説明

現像装置

【課題】トナー画像の背景部にかぶりが発生することを抑制できる現像装置を提供することである。
【解決手段】撹拌スクリュー22は、撹拌空間Sp1において、現像剤を撹拌しながらx軸方向の負方向側に向かって搬送する。撹拌スクリュー24は、撹拌空間Sp1において、現像剤を撹拌しながらx軸方向の負方向側に向かって搬送する。搬送スクリュー26は、搬送空間Sp2において、現像剤をx軸方向の正方向側に搬送する。現像ローラ28は、搬送空間Sp2において搬送スクリュー26よりもy軸方向の正方向側に位置し、かつ、x軸方向に延在している現像剤担持体であって、搬送スクリュー26が搬送している現像剤を担持する。撹拌スクリュー22に対向する底面S1のz軸方向の負方向側の端部は、撹拌スクリュー24に対向する底面S2のz軸方向の負方向側の端部(下端)よりも下側に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置に関し、より特定的には、トナー及びキャリアからなる現像剤を用いてトナー画像を形成する現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の一般的な現像装置としては、例えば、特許文献1に記載の現像装置が知られている。図5は、特許文献1に記載の現像装置500の断面構造図である。図6は、特許文献1に記載の現像装置500の上面図である。以下では、鉛直方向をz軸方向と定義し、現像装置500の長手方向をx軸方向と定義し、x軸方向及びz軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。
【0003】
現像装置500は、ハウジング502、撹拌スクリュー504,506、搬送スクリュー508及び現像ローラ510を備えている。ハウジング502は、現像剤撹拌部Sp11、現像剤供給回収部Sp12及び連通部R11,R12を形成している。現像剤撹拌部Sp11と現像剤供給回収部Sp12は、両端において連通部R11,R12を介して連通している。
【0004】
撹拌スクリュー504,506は、現像剤撹拌部Sp11において、x軸方向に延在しており、x軸方向の正方向側に向かって現像剤を搬送する。撹拌スクリュー504,506により搬送された現像剤は、連通部R11を介して現像剤供給回収部Sp12に流入する。
【0005】
搬送スクリュー508は、現像剤供給回収部Sp12において、x軸方向に延在しており、x軸方向の負方向側に向かって現像剤を搬送する。搬送スクリュー508により搬送された現像剤は、連通路R12を介して現像剤撹拌部Sp11に流入する。
【0006】
現像ローラ510は、現像剤供給回収部Sp12に設けられ、搬送スクリュー508により搬送されている現像剤を周面において担持する。
【0007】
以上のように構成された現像装置500では、現像剤は、現像剤撹拌部Sp11、連通部R11、現像剤供給回収部Sp12、連通部R12の順に搬送され、これらを循環する。
【0008】
ところで、現像装置500では、トナー画像の背景(以下、背景部と称す)にかぶりが発生するおそれがある。より詳細には、現像装置500では、トナーは、現像剤撹拌部Sp11において、上側から補給される。補給されたトナーは、撹拌スクリュー504,506に撹拌されている現像剤上に落下する。ただし、トナーは、現像剤に比べて比重が軽いため、撹拌スクリュー504,506により十分に撹拌されない。そのため、トナーは、撹拌スクリュー504,506上を滑るように搬送されて、連通路R11を介して現像剤供給回収部Sp12に流入する。その結果、現像剤の撹拌不足が発生し、トナーが十分に帯電しない。よって、特許文献1に記載の画像形成装置500では、トナー画像の背景部にかぶりが発生するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−2760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、トナー画像の背景部にかぶりが発生することを抑制できる現像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一形態に係る現像装置は、現像剤を収容している本体であって、鉛直方向に直交する第1の方向に延在している第1の空間、該第1の空間に隣接して該第1の方向に延在している第2の空間、該第2の空間の該第1の方向の端部において該第1の空間と該第2の空間とを連通させる第1の連通部、及び、前記第2の空間の該第1の方向の反対方向の端部において該第1の空間と該第2の空間とを連通させる第2の連通部を形成している本体と、前記第1の空間において前記第1の方向に延在している第1の撹拌部材であって、前記現像剤を撹拌しながら該第1の方向に搬送する第1の撹拌部材と、前記第1の空間において前記第1の撹拌部材と前記第2の空間との間に位置し、かつ、前記第1の方向に延在している第2の撹拌部材であって、前記現像剤を撹拌しながら該第1の方向に搬送する第2の撹拌部材と、前記第2の空間において前記第1の方向に延在している搬送部材であって、前記第1の連通部から流入してくる前記現像剤を、該第1の方向の反対方向に搬送することによって前記第2の連通部を介して前記第1の空間に送り出す搬送部材と、前記第2の空間において、前記第1の方向に延在している現像剤担持体であって、該搬送部材が搬送している前記現像剤を担持する現像剤担持体と、を備えており、前記第1の撹拌部材と対向している前記本体の底面の下端は、前記第2の撹拌部材と対向している該本体の底面の下端よりも下側に位置していること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、トナー画像の背景部にかぶりが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】現像装置をz軸方向の正方向側から透視した図である。
【図3】図3(a)は、図2のX−Xにおける現像装置の断面構造図であり、図3(b)は、図2のY−Yにおける現像装置の断面構造図である。
【図4】比較例の現像装置の断面構造図である。
【図5】特許文献1に記載の現像装置の断面構造図である。
【図6】特許文献1に記載の現像装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係る現像装置について図面を参照しながら説明する。
【0015】
(画像形成装置の構成)
以下に、本発明の実施形態に係る現像装置を備えている画像形成装置について図面を参照しながら説明する。図1は、画像形成装置1の全体構成を示した図である。以下では、鉛直方向をz軸方向と定義し、主走査方向をx軸方向と定義し、副走査方向をy軸方向と定義する。x軸方向、y軸方向及びz軸方向は互いに直交している。
【0016】
画像形成装置1は、電子写真方式によるカラープリンタであって、いわゆるタンデム式で4色(Y:イエロー、M:マゼンタ、C:シアン、K:ブラック)の画像を合成するように構成したものである。該画像形成装置1は、スキャナにより読み取った画像データに基づいて、トナー画像を用紙(印刷媒体)Pに形成する機能を有し、図1に示すように、搬送経路R、印刷部2、定着装置16及びクリーニング装置18を備えている。
【0017】
搬送経路Rは、用紙Pが搬送される通紙経路であり、図示しない搬送ローラやガイド等により構成されている。搬送経路Rの上流端には、図示しない給紙部が設けられている。また、搬送経路Rの下流端には、図示しない排紙トレイが設けられている。
【0018】
印刷部2は、図示しない給紙部から供給されてくる用紙Pにトナー画像を形成し、感光体ドラム4(4Y,4M,4C,4K)、光走査装置6(6Y,6M,6C,6K)、現像装置7(7Y,7M,7C,7K)、転写部8(8Y,8M,8C,8K)、クリーナー9(9Y,9M,9C,9K)、帯電器10(10Y,10M,10C,10K)、中間転写ベルト11、駆動ローラ12、従動ローラ13、2次転写ローラ14及びホッパー30(30Y,30M,30C,30K)を含んでいる。
【0019】
感光体ドラム4は、円筒状をなしており、反時計回りに回転させられる。帯電器10は、感光体ドラム4の周面を負に帯電させる。光走査装置6は、感光体ドラム4の周面に対してビームBY,BM,BC,BKを走査する。ビームBY,BM,BC,BKが照射された部分の電位は、0Vに近づく。これにより、感光体ドラム4の周面には静電潜像が形成される。
【0020】
現像装置7は、感光体ドラム4の周面に、トナーを付与して静電潜像に従ったトナー画像を形成する。現像装置7の構成の詳細については後述する。
【0021】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12と従動ローラ13との間に張り渡されており、感光体ドラム4に現像されたトナー画像が1次転写される。転写部8は、中間転写ベルト11の内周面に対向するように配置されており、1次転写電圧が印加されることにより、感光体ドラム4に形成されたトナー画像を中間転写ベルト11に1次転写する。駆動ローラ12は、中間転写ベルト駆動部(図1には記載せず)により回転させられることにより、中間転写ベルト11を矢印αの方向に駆動させる。これにより、中間転写ベルト11は、トナー画像を2次転写ローラ14まで搬送する。
【0022】
2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11に接触し、ドラム形状をなしている。2次転写ローラ14は、中間転写ベルト11との間を通過する用紙Pに対して、中間転写ベルト11が担持しているトナー画像を2次転写する。
【0023】
クリーニング装置18は、用紙Pへのトナー画像の2次転写後に、中間転写ベルト11に残存しているトナーを除去する。
【0024】
トナー画像が2次転写された用紙Pは、定着装置16に搬送される。定着装置16は、用紙Pに対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナー画像を用紙Pに定着させる。トナー画像が定着された用紙Pは、搬送経路Rを通過して排紙トレイに出力される。
【0025】
(現像装置の構成)
次に、現像装置7の構成について図面を参照しながら説明する。図2は、現像装置7をz軸方向の正方向側から透視した図である。図3(a)は、図2のX−Xにおける現像装置7の断面構造図であり、図3(b)は、図2のY−Yにおける現像装置7の断面構造図である。
【0026】
現像装置7は、図2及び図3に示すように、本体20、撹拌スクリュー22,24、搬送スクリュー26及び現像ローラ28を備えている。
【0027】
本体20は、トナー及びキャリアからなる現像剤を収容しており、撹拌空間Sp1、搬送空間Sp2、供給空間Sp3及び連通部R1,R2を形成している。撹拌空間Sp1は、x軸方向に延在している。搬送空間Sp2は、撹拌空間Sp1に隣接しており、撹拌空間Sp1よりもy軸方向の正方向側においてx軸方向に延在している。撹拌空間Sp1と搬送空間Sp2との間は、図2及び図3(a)に示すように、隔壁40により仕切られている。隔壁40は、y軸に垂直な面を有し、x軸方向に延在している壁である。
【0028】
連通部R1は、搬送空間Sp2のx軸方向の負方向側の端部において、撹拌空間Sp1と搬送空間Sp2とを連通させている。連通部R2は、搬送空間Sp2のx軸方向の正方向側の端部において、撹拌空間Sp1と搬送空間Sp2とを連通させている。
【0029】
供給空間Sp3は、撹拌空間Sp1のx軸方向の正方向側に設けられている。
【0030】
撹拌スクリュー22は、撹拌空間Sp1及び供給空間Sp3においてx軸方向に延在しており、現像剤を撹拌しながらx軸方向の負方向側に向かって搬送する。撹拌スクリュー22は、図3(a)に示すように、x軸方向の正方向側から平面視したときに、図示しない動力源によって、時計回りに回転させられる。
【0031】
撹拌スクリュー24は、撹拌空間Sp1において撹拌スクリュー22よりもy軸方向の正方向側に位置(すなわち、撹拌空間Sp1において撹拌スクリュー22と搬送空間Sp2との間に位置)し、かつ、x軸方向に延在しており、現像剤を撹拌しながらx軸方向の負方向側に向かって搬送する。撹拌スクリュー24は、図3(a)に示すように、x軸方向の正方向側から平面視したときに、図示しない動力源によって、反時計回りに回転させられる。
【0032】
撹拌スクリュー22のz軸方向の負方向側の端部(下端)は、撹拌スクリュー24のz軸方向の負方向側の端部(下端)よりもz軸方向の負方向側(下側)に位置している。
【0033】
ここで、本体20の撹拌空間Sp1における底面S1,S2は、図3(a)に示すように、撹拌スクリュー22,24に倣った形状をなしている。すなわち、底面S1は、撹拌スクリュー22と対向しており、円筒面をなしている。底面S2は、底面S1よりもy軸方向の正方向側に位置し、かつ、撹拌スクリュー24と対向しており、円筒面をなしている。そして、底面S1のz軸方向の負方向側の端部(下端)は、底面S2のz軸方向の負方向側の端部(下端)よりもz軸方向の負方向側(下側)に位置している。更に、底面S1のz軸方向の負方向側の端部(下端)と底面S2のz軸方向の負方向側の端部(下端)とを結ぶ直線Lは、xy平面(水平面)に対して角度θをなしている。角度θは、時計回りを正とする。更に、底面S1,S2の境界は、z軸方向の正方向側に突出しており、突条42をなしている。突条42は、図2に示すように、撹拌スクリュー22,24の間において、x軸方向に延在している。
【0034】
以上のように構成された撹拌スクリュー22,24がそれぞれ時計回り及び反時計回りに回転させられると、現像剤は、時計回り及び反時計回りに底面S1,S2上に沿って撹拌されるようになる。そして、底面S1,S2上に沿って撹拌された現像剤は、突条42において合流し、更に撹拌される。その結果、現像剤中のトナーは帯電させられる。
【0035】
搬送スクリュー26は、搬送空間Sp2においてx軸方向に延在しており、連通部R1から流入してくる現像剤を、x軸方向の正方向側に向かって搬送することによって連通部R2を介して撹拌空間Sp1に送り出す。搬送スクリュー26は、図3(a)に示すように、x軸方向の正方向側から平面視したときに、図示しない動力源によって、時計回りに回転させられる。
【0036】
現像ローラ28は、搬送空間Sp2において搬送スクリュー26よりもy軸方向の正方向側に位置し、かつ、x軸方向に延在している現像剤担持体であって、搬送スクリュー26が搬送している現像剤を担持する。より詳細には、現像ローラ28は、磁石28a及びスリーブ28bを含んでいる。スリーブ28bは、非磁性の金属製の円筒であり、感光体ドラム4と対向している。スリーブ28bは、感光体ドラム4と逆方向(すなわち、時計回り)に回転させられる。
【0037】
磁石28aは、図3(a)に示すように、スリーブ28b内に設けられており、磁極N1,S1,N2,N3,S2を形成している。磁極N1は、感光体ドラム4に対向している。そして、磁極N1,S1,N2,N3,S2は、この順に、時計回りに並ぶように磁石28aに配置されている。磁石28aは、現像剤中のキャリアを吸着することによって、現像剤をスリーブ28bの周面に保持する。
【0038】
以上のような構成を有する現像ローラ28では、キャリアは、磁極N3,S2間の磁界によりスリーブ28bの周面に吸着される。この際、キャリアに付着しているトナーも、スリーブ28bに吸着される。すなわち、現像剤は、スリーブ28bの周面に吸着され、スリーブ28bの回転により搬送される。この間、現像剤は、磁極S2,N1間の磁界によって、スリーブ28bの周面に保持されている。現像剤中のトナーは、感光体ドラム4とスリーブ28bとの間に発生している電界により、スリーブ28bから感光体ドラム4へと移動する。すなわち、感光体ドラム4の周面にトナー画像が現像される。
【0039】
また、現像剤は、感光体ドラム4とスリーブ28bとの間を通過した後、磁極N1,S1間の磁界及び磁極S1,N2間の磁界によりスリーブ28bに保持された状態で搬送される。その後、現像剤は、磁極N2,N3間の磁界により、スリーブ28bから剥離される。
【0040】
また、ホッパー30は、図3(b)に示すように、供給空間Sp3のz軸方向の正方向側に接続されており、供給空間Sp3に対してトナーを供給する。より詳細には、画像形成装置1は、図示しない制御部及び検知部を備えている。検知部は、現像装置7内のトナー濃度を検知するための透磁率センサである。トナー濃度とは、現像剤中のトナーの重量比である。制御部は、検知部が検知したトナー濃度が所定値より低い場合には、ホッパー30に現像装置7に対してトナーの補給を行わせる。なお、トナーの補給量は、検知部が検知したトナー濃度や画像形成時の画像情報等に基づいて制御部により決定される。
【0041】
(現像剤について)
次に、現像剤について説明する。現像剤は、トナー及びトナーを帯電するためのキャリアからなるものである。トナーとしては、一般に使用されているトナーを用いることができ、バインダー樹脂中に着色剤や必要に応じて、荷電制御材や離型材を含有させ、外添材を処理したものを使用できる。トナー粒径は、例えば、3μm〜15μmである。
【0042】
以上のようなトナーは、粉砕法、乳化重合法、懸濁重合法等の一般的な製造方法によって製造可能である。
【0043】
トナーに使用するバインダー樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)やポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂単体又は複合体により、軟化温度が80℃〜160℃のものを、又、ガラス転移点が50℃〜75℃の範囲のものを用いることが好ましい。
【0044】
また、着色剤としては、一般に使用されている公知のものを用いることができ、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、活性炭、マグネタイト、ベンジンイエロー、パーマネントイエロー、ナフトールイエロー、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、ウルトラマリンブルー、ローズベンガル、レーキーレッド等を用いることができ、一般に上記のバインダー樹脂100重量部に対して2重量部〜20重量部の割合で用いられることが好ましい。
【0045】
また、荷電制御材としては、一般に使用されているものを用いることができる。正帯電性トナー用の荷電制御材としては、例えば、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩系化合物、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール系化合物、ポリアミン樹脂等が挙げられる。負帯電性トナー用荷電制御材としては、例えば、Cr,Co,Al,Fe等の金属含有アゾ系染料、サリチル酸金属化合物、アルキルサリチル酸金属化合物、カーリックスアレン化合物等が挙げられる。荷電制御材は、一般に、上記のバインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の割合で用いられることが好ましい。
【0046】
また、離型材としては、一般に使用されているものを用いることができ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、カルナバワックス、サゾールワックス等を単独あるいは2種類以上組み合わせて使用することができる。一般に、蒸気のバインダー樹脂100重量部に対して0.1重量部〜10重量部の割合で用いられることが好ましい。
【0047】
また、トナーに外添する粒子としては、一般に使用されているものを用いることができ、流動性改善の目的として、例えば、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム等が用いられる。特に、シランカップリング剤やチタンカップリング剤やシリコンオイル等で撥水化したものを用いることが好ましい。そして、このような流動化剤を上記のトナー100重量部に対して0.1重量部〜5重量部の割合で添加させる。
【0048】
キャリアとしては、一般に使用されているものを用いることができ、バインダー型キャリアやコート型キャリア等を用いることができる。キャリア粒径は、例えば、15μm〜100μmである。
【0049】
バインダー型キャリアは、磁性体微粒子をバインダー樹脂中に分散させたものであり、キャリア表面に正又は負帯電性の帯電性微粒子を固着させたり、表面コーティング層を設けることもできる。バインダー型キャリアの極性等の帯電特性は、バインダー樹脂の材質、帯電性微粒子、表面コーティング層の種類によって制御することができる。
【0050】
バインダー型キャリアに用いられるバインダー樹脂としては、ポリスチレン系樹脂に代表されるビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0051】
バインダー型キャリアの磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn,Ni,Mg,Cu等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化鉄を有する鉄や合金の粒子を用いることができる。その形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に、高磁化を要する場合には、鉄系の強磁性微粒子を用いることが好ましい。また、科学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性微粒子を用いることが好ましい。強磁性微粒子の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の磁化を有する磁性樹脂キャリアを得ることができる。磁性体微粒子は磁性樹脂キャリア中に50重量%〜90重量%の割合で添加することが適当である。
【0052】
バインダー型キャリアの表面コート材としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フッ素系樹脂等が用いられ、これらの樹脂を表面にコートし硬化させてコート層を形成することにより、帯電付与能力を向上させることができる。
【0053】
バインダー型キャリア表面への帯電性微粒子あるいは導電性微粒子の固着は、例えば、磁性樹脂キャリアと微粒子とを均一混合し、磁性樹脂キャリアの表面にこれらの微粒子を付着させたのち、機械的・熱的な衝撃力を加え、微粒子を磁性樹脂キャリア中に打ち込むようにして固定することにより行われる。この場合、微粒子は磁性樹脂キャリア中に完全に埋設されるのではなく、その一部を磁性樹脂キャリア表面から突きだすようにして固定される。帯電性微粒子としては、有機、無機の絶縁性材料が用いられる。具体的には、有機系としては、ポリスチレン、スチレン系共重合物、アクリル樹脂、各種アクリル共重合物、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂及びこれらの架橋物等の有機絶縁性微粒子を用いることができ、帯電レベル及び極性については、素材、重合触媒、表面処理等により、希望するレベルの帯電及び極性を得ることができる。また、無機系としては、シリカ、二酸化チタン等の負帯電性の無機微粒子や、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等の正帯電性の無機微粒子等が挙げられる。
【0054】
一方、コート型キャリアは磁性体からなるキャリアコア粒子に樹脂コートがされてなるキャリアであり、コート型キャリアにおいてもバインダー型キャリア同様に、キャリア表面に正又は負帯電性の帯電性微粒子を固着させたりできる。コート型キャリアの極性等の帯電特性は、表面コーティング層の種類や帯電性微粒子により制御することができ、バインダー型キャリアと同様の材料を用いることができる。特に、コート樹脂はバインダー型キャリアのバインダー樹脂と同様の樹脂が使用可能である。
【0055】
逆極性粒子、トナー及びキャリアの組み合わせによるトナー及び逆極性粒子の帯電極性は、それぞれを混合撹拌し現像剤とした後、現像剤からトナー又は逆極性粒子を分離するための電解の方向から容易に知ることができる。
【0056】
トナーとキャリアとの混合比は、所望のトナー帯電量が得られるように調整されればよく、トナー比はトナーとキャリアとの合計量に対して3重量%〜30重量%、好ましくは4重量%〜20重量%が適している。
【0057】
(効果)
以上のように構成された現像装置7によれば、トナー画像に濃度むらが発生することを抑制できる。より詳細には、特許文献1に記載の現像装置500では、トナーは、現像剤撹拌部Sp11において、上側から補給される。補給されたトナーは、撹拌スクリュー504,506に撹拌されている現像剤上に落下する。ただし、トナーは、現像剤に比べて比重が軽いため、撹拌スクリュー504,506により十分に撹拌されない。そのため、トナーは、撹拌スクリュー504,506上を滑るように搬送されて、連通路R11を介して現像剤供給回収部Sp12に流入する。その結果、現像剤の撹拌不足が発生し、トナーが十分に帯電しない。よって、特許文献1に記載の画像形成装置500では、トナー画像の背景部にかぶりが発生するおそれがある。
【0058】
これに対して、現像装置7では、底面S1のz軸方向の負方向側の端部(下端)は、底面S2のz軸方向の負方向側の端部(下端)よりもz軸方向の負方向側(下側)に位置している。これにより、補給されたトナーは、撹拌スクリュー22,24上に落下した後、撹拌スクリュー22,24の回転によって、撹拌スクリュー22側へと落下する。そして、トナーは、現像剤と共に撹拌されて、撹拌スクリュー22,24により搬送され、連通部R1を介して搬送空間Sp2へと流入する。このように、補給されたトナーは、撹拌スクリュー22側へと落下した後に、撹拌スクリュー24を越えて、搬送空間Sp2へと流入するので、撹拌スクリュー24を越える際に撹拌される。よって、トナーが現像剤と共に撹拌されていない状態で搬送空間Sp2に流入することが抑制される。その結果、現像装置7によれば、現像剤の撹拌不足によって、トナー画像に濃度むらが発生することを抑制できる。
【0059】
(第1の実験)
本願発明者は、現像装置7が奏する効果をより明確にするために、以下に説明する第1の実験を行った。具体的には、以下の表1に示す構造を有する実施例1ないし実施例6及び比較例を作製した。表1は、実施例1ないし実施例6及び比較例の構造を示す表である。図4は、比較例の現像装置100の断面構造図である。
【0060】
【表1】

【0061】
第1の実験では、現像剤として、キャリア粒子径35μm、トナー粒子径6μm、トナー濃度7%の現像剤Aを用いた。
【0062】
以上のような条件下で、本願発明者は、各実施例及び比較例において、撹拌スクリュー22,24及び搬送スクリュー26を以下の表2の回転数で回転させて、トナー画像に濃度むらが発生するか否かを調べた。濃度むらとは、x軸方向の負方向側から正方向側にいくにしたがってトナー画像の濃度が薄くなることを意味する。本願発明者は、ベタ画像を用いて、目視によって濃度むらの発生の有無を判定した。表2は、条件(回転数)及び実験結果を示した表である。また、印刷速度は、150枚/分とした。
【0063】
【表2】

【0064】
表2において、○は、トナー画像に濃度むらが発生しなかったことを示し、×は、トナー画像に濃度むらが発生したことを示す。表2によれば、各実施例では、撹拌スクリュー22,24の回転数が500rpm〜760rpmである場合に、トナー画像に濃度むらが発生しなかった。一方、比較例では、撹拌スクリュー122,124の回転数が800rpm以上でなければ、トナー画像に濃度むらが発生した。すなわち、実施例では比較例よりも撹拌スクリュー22,24の回転数が低くてもトナー画像に濃度むらが発生しにくいことが分かる。
【0065】
次に、本願発明者は、トナー画像に濃度むらが発生しなかった条件の実施例及び比較例について、以下に説明する4種類の評価を行った。なお、1つの実施例において、複数の条件でトナー画像に濃度むらが発生しなかった場合には、最も回転数が低い条件について、評価を行った。また、印刷速度は、150枚/分とした。
【0066】
評価1では、撹拌スクリュー22,24,122,124の軸受部に発生した摩耗の程度を評価した。評価2では、本体20に収容されるべき現像剤の量を評価した。評価3では、トナー画像の背景(以下、背景部と称す)にかぶりが発生した程度を評価した。評価4では、1000000枚印刷時点におけるトナー画像の画質を評価した。表3は、評価結果を示した表である。
【0067】
【表3】

【0068】
表3において、評価での1〜7は、順位を示している。なお、評価は、数字が小さくなるにしたがって、良好であることを意味する。
【0069】
評価1によれば、回転数が低くなるにしたがって良好な結果が得られていることが分かる。これは、撹拌スクリュー22,24,122,124の回転数が低くなると、撹拌スクリュー22,24,122,124の軸受部の摩耗が進行しにくいことを意味している。そして、実施例1ないし実施例6は、表3によれば、評価1において、比較例よりも良好な結果が得られていることが分かる。以上より、評価1によれば、現像装置7では、現像装置100に比べて、耐久性が向上することが分かる。
【0070】
評価2では、実施例1ないし実施例6は、表3によれば、比較例よりも良好な結果が得られていることが分かる。以上より、評価2によれば、現像装置7では、現像装置100に比べて、本体20に収容されるべき現像剤の量が少なくて済む。その結果、現像装置7の製造コストを低減することが可能となる。
【0071】
評価3では、背景部にかぶりが発生した程度を評価した。背景部のかぶりは、現像剤が十分に帯電していない場合に発生する。すなわち、評価3では、実施例1ないし実施例6及び比較例において、現像剤を十分に撹拌できているか否かが評価されている。表3によれば、実施例1ないし実施例6では、比較例よりも良好な効果が得られていることが分かる。よって、現像装置7では、底面S1のz軸方向の負方向側の端部(下端)が、底面S2のz軸方向の負方向側の端部(下端)よりもz軸方向の負方向側(下側)に位置していることにより、現像装置100に比べて、現像剤を十分に撹拌することができることが分かる。
【0072】
また、実施例5及び実施例6では、以下の理由により、実施例1ないし実施例4よりも良好な結果が得られている。実施例5の撹拌スクリュー22の直径及び実施例6における撹拌スクリュー24の直径は、実施例1ないし実施例4における撹拌スクリュー22,24の直径よりも大きい。そのため、表3によれば、実施例5及び実施例6では、実施例1ないし実施例4よりも現像剤が十分に撹拌されて、背景部にかぶりが発生しにくくなっている。
【0073】
評価4では、目視でトナー画像(ベタ画像)のコントラストを評価することによって、トナー画像の画質を評価した。評価4では、表3に示すように、評価1と同じ結果が得られた。すなわち、評価4では、回転数が低くなるにしたがって良好な結果が得られていることが分かる。これは、撹拌スクリュー22,24の回転数が低くなると、撹拌スクリュー22,24の軸受部における発熱が抑制され、熱による現像剤の劣化が防止されるためである。よって、評価4によれば、現像装置7では、現像装置100に比べて、優れた画質を得ることができることが分かる。
【0074】
(第2の実験)
本願発明者は、更に、以下に説明する第2の実験を行った。具体的には、以下の表4に示す構造を有する実施例7ないし実施例9を作製した。表4は、実施例7ないし実施例9の構造を示す表である。
【0075】
【表4】

【0076】
本願発明者は、実施例7ないし実施例9を表5に示す条件で動作させて、濃度むら及び背景部のかぶりの発生の有無を調べた。第2の実験では、現像剤として、現像剤A、及び、キャリア粒子径50μm、トナー粒子径8μm、トナー濃度8%の現像剤Bを用いた。表5は、条件(回転数)及び実験結果を示した表である。
【0077】
【表5】

【0078】
実施例7によれば、印刷速度が100枚/分と比較的に低速とした場合には、必要な現像剤の量が少なくて済むので、撹拌スクリュー22の直径を小さくしてもよいことが分かる。
【0079】
実施例8によれば、撹拌スクリュー22,24及び搬送スクリュー26の速度を変化させて実験を行ったところ、いずれの条件においても濃度むら及びかぶりが発生しなかった。
【0080】
実施例9では、現像剤Aではなく、現像剤Bを用いたところ、濃度むら及びかぶりが発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0081】
以上のように、本発明は、現像装置に有用であり、特に、トナー画像に濃度むらが発生することを抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0082】
R1,R2 連通部
S1,S2 底面
Sp1 撹拌空間
Sp2 搬送空間
7 現像装置
20 本体
22,24 撹拌スクリュー
26 搬送スクリュー
28 現像ローラ
40 隔壁
42 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容している本体であって、鉛直方向に直交する第1の方向に延在している第1の空間、該第1の空間に隣接して該第1の方向に延在している第2の空間、該第2の空間の該第1の方向の端部において該第1の空間と該第2の空間とを連通させる第1の連通部、及び、前記第2の空間の該第1の方向の反対方向の端部において該第1の空間と該第2の空間とを連通させる第2の連通部を形成している本体と、
前記第1の空間において前記第1の方向に延在している第1の撹拌部材であって、前記現像剤を撹拌しながら該第1の方向に搬送する第1の撹拌部材と、
前記第1の空間において前記第1の撹拌部材と前記第2の空間との間に位置し、かつ、前記第1の方向に延在している第2の撹拌部材であって、前記現像剤を撹拌しながら該第1の方向に搬送する第2の撹拌部材と、
前記第2の空間において前記第1の方向に延在している搬送部材であって、前記第1の連通部から流入してくる前記現像剤を、該第1の方向の反対方向に搬送することによって前記第2の連通部を介して前記第1の空間に送り出す搬送部材と、
前記第2の空間において、前記第1の方向に延在している現像剤担持体であって、該搬送部材が搬送している前記現像剤を担持する現像剤担持体と、
を備えており、
前記第1の撹拌部材と対向している前記本体の底面の下端は、前記第2の撹拌部材と対向している該本体の底面の下端よりも下側に位置していること、
を特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1の撹拌部材及び前記第2の撹拌部材は、スクリューであり、
前記第1の撹拌部材の直径は、前記第2の撹拌部材の直径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1の撹拌部材及び前記第2の撹拌部材は、スクリューであり、
前記第2の撹拌部材の直径は、前記第1の撹拌部材の直径よりも大きいこと、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の現像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37023(P2013−37023A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170220(P2011−170220)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】