球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板

【課題】搭載対象体に対して球状体を確実に搭載させる。
【解決手段】半田ボール300を吸着する第1吸気口25aが吸着面22aに形成された吸着ヘッド11と、半田ボール300が通過可能な挿通孔71が形成されて吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制するマスク17の上面17aと吸着面22aとが近接または接触している装着状態においてマスク17の下面17b側から半田ボール300を供給する供給部(本体部100)とを備え、吸着ヘッド11は、装着状態のマスク17を吸着して吸着面22aに密着させる第2吸気口26aが吸着面22aに形成されて構成されている。
【解決手段】半田ボール300を吸着する第1吸気口25aが吸着面22aに形成された吸着ヘッド11と、半田ボール300が通過可能な挿通孔71が形成されて吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制するマスク17の上面17aと吸着面22aとが近接または接触している装着状態においてマスク17の下面17b側から半田ボール300を供給する供給部(本体部100)とを備え、吸着ヘッド11は、装着状態のマスク17を吸着して吸着面22aに密着させる第2吸気口26aが吸着面22aに形成されて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着面に形成された吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドを備えた球状体吸着装置、その球状体吸着装置を備えて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置、吸着ヘッドに球状体を吸着させる球状体吸着方法、その球状体吸着方法によって吸着した球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、およびその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2011−40704号公報において出願人が開示した球状体搭載装置が知られている。この球状体搭載装置は、半田ボールを吸着する吸着ヘッド、半田ボールを保持する吸着保持部を有して半田ボールを吸着ヘッドに供給する供給部、整列用プレート、搬送機構および制御部などを備えて、半田ボールを基板の端子(搭載対象体)に搭載可能に構成されている。この球状体搭載装置では、搬送機構が、整列用プレートの配設位置に吸着ヘッドを搬送して吸着ヘッドの吸着面と整列用プレートとを接触させ、次いで、供給部が、吸着保持部で保持している半田ボールを整列用プレートに近接させた状態で整列用プレートに沿って移動する。この際に、半田ボールが吸着ヘッドの吸引力によって引き寄せられて吸着ヘッドに供給され、整列用プレートの各挿通孔を通って、吸着ヘッドの吸着面に形成されている各吸気口の縁部に1つずつ吸着される。続いて、搬送機構が、吸着ヘッドを整列用プレートから離反させて基板の配設位置に搬送し、次いで、吸着ヘッドが吸着を解除する。これにより、基板の端子に半田ボールが搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−40704号公報(第6−11頁、第7−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の球状体搭載装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この球状体搭載装置では、吸着ヘッドを整列用プレートの配設位置に搬送して吸着ヘッドの吸着面と整列用プレートの上面とを接触させ、その状態で半田ボールを供給している。この場合、図18に示すように、整列用プレート517は、吸着ヘッド511の吸着面522aにおける吸気孔525の縁部に吸着されている半田ボール300の端部が整列用プレート517の下面517bからやや突出する程度の厚みに形成されており、吸着ヘッド511の吸着面522aと整列用プレート517とが密着しているときには、吸気孔525の縁部に吸着されている半田ボール300以外の半田ボール300は、整列用プレート517の下面517bにおける挿通孔571の縁部に衝突することなく、例えば、同図に示す矢印の向きにスムーズに移動する。一方、図19に示すように、例えば、吸着ヘッド511の吸着面522aと整列用プレート517とが密着せずに両者の間に隙間が生じているときには、整列用プレート517の下面517bにおける挿通孔571の縁部が吸着ヘッド511に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置することとなる。この状態のときには、挿通孔571の縁部に半田ボール300が衝突し、この際に縁部から受ける反力が衝突した半田ボール300を介して吸着ヘッド511に吸着されている半田ボール300に加わり、この結果、吸着されている半田ボール300が吸気孔525の縁部に押し付けられて変形して、吸着ヘッド511に固着することがある。このような固着した半田ボール300は、吸着ヘッド511の吸着が解除されたとしても、吸着ヘッド511から離反しないおそれがあり、この結果、搭載対象体としての基板における各端子の一部に半田ボール300が搭載されない欠陥が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、搭載対象体に対して球状体を確実に搭載させ得る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板を用いて製造される電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体吸着装置は、球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドと、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態において当該マスクの他面側から前記球状体を供給する供給部とを備えた球状体吸着装置であって、前記吸着ヘッドは、前記装着状態のマスクを吸着して前記吸着面に密着させる第2吸気口が当該吸着面に形成されて構成されている。
【0007】
また、請求項2記載の球状体吸着装置は、請求項1記載の球状体吸着装置において、前記第2吸気口は、前記吸着面における前記第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成されている。
【0008】
また、請求項3記載の球状体吸着装置は、請求項1または2記載の球状体吸着装置において、前記吸着ヘッドは、前記吸着面側における前記第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて当該切り欠き部の形成部位が前記装着状態のマスクから離間するように構成されている。
【0009】
また、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記球状体が供給される位置に搬送すると共に当該球状体を吸着している状態の前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0010】
また、請求項5記載の球状体吸着方法は、球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドの当該吸着面と、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面とが近接または接触するように当該吸着ヘッドに当該マスクを装着し、当該装着状態のマスクの他面側から前記球状体を供給して当該球状体を前記吸着ヘッドに吸着させる球状体吸着方法であって、前記装着状態のマスクを吸着する第2吸気口が前記吸着面に形成された前記吸着ヘッドを用いて当該マスクを当該吸着面に密着させた状態で前記球状体を供給する。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載方法は、請求項5記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0012】
また、請求項7球状体搭載済基板は、請求項4記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0013】
また、請求項8記載の球状体搭載済基板は、請求項6記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0014】
さらに、請求項9記載の電子部品搭載済基板は、請求項7または8記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の球状体吸着装置、請求項4記載の球状体搭載装置、請求項5記載の球状体吸着方法、および請求項6記載の球状体搭載方法では、吸着面に第2吸気口を形成した吸着ヘッドを用いて装着状態のマスクを吸着して吸着ヘッドの吸着面に密着させる。このため、吸着面とマスクとの間に隙間が生じて、マスクの他面における挿通孔の縁部が吸着ヘッドに吸着されている球状体の端部よりも下側に位置し、この結果、マスクの他面に沿って移動している球状体が挿通孔の縁部に衝突するおそれのある従来の構成および方法とは異なり、このような挿通孔の縁部に対する球状体の衝突を確実に回避して、吸着ヘッドにおける第1吸気口の縁部への球状体の固着を確実に防止することができる。したがって、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、例えば、搭載対象対としての基板の各端子に球状体を搭載する場合において、吸着ヘッドによる吸着が解除されたときに吸着ヘッドから全ての球状体を確実に離反させて、基板における全ての端子上に球状体を確実に搭載させることができる。
【0016】
また、請求項2記載の球状体吸着装置によれば、第2吸気口が吸着面における第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッドを用いることにより、例えば、円形で小形の第2吸気口を第1吸気口の形成領域の周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口の形成領域とマスクとをより確実に密着させることができる。
【0017】
また、請求項3記載の球状体吸着装置によれば、吸着面側における第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて切り欠き部の形成部位が装着状態のマスクから離間するように構成された吸着ヘッドを用いることにより、切り欠き部が形成されていない構成と比較して、吸着ヘッドの吸着面とマスクとの接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッドの吸着面とマスクとをより確実に密着させることができる。
【0018】
また、請求項7および8記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または上記の球状体搭載方法によって基板の端子上に搭載した球状体が溶融されて端子に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、基板の各端子上に過不足なく球状体が搭載される結果、球状体の溶融によって全ての端子上に球状体の溶融体が確実に固着される。
【0019】
また、請求項9記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体の溶融体を介して電子部品の端子が球状体搭載済基板の端子に接続されている。この場合、上記の球状体搭載済基板では、全ての端子上に球状体の溶融体が確実に固着されている。このため、この電子部品搭載済基板によれば、全ての電子部品の端子が球状体の溶融体を介して確実に基板の端子に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール吸着装置2の構成を示す構成図である。
【図3】半田ボール吸着装置2の構成を示す断面図である。
【図4】吸着ヘッド11の底板22およびマスク17の構成を示す断面図である。
【図5】吸着ヘッド11を吸着面22a側から見た平面図である。
【図6】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図7】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図8】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図9】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第8の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第9の説明図である。
【図15】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第10の説明図である。
【図16】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図17】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【図18】従来の球状体吸着装置の動作を説明する第1の説明図である。
【図19】従来の球状体吸着装置の動作を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、半田ボール吸着装置2、搬送装置3および制御部4を備えて、球状体搭載方法に従い、球状体の一例としての微小な球状体である半田ボール(マイクロボール)300(図3,4参照)を搭載対象体としての基板400の端子401上に搭載(載置)可能に構成されている。
【0023】
この場合、半田ボール300は、直径L1(図4参照)が80μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図16に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の各端子401上にそれぞれ搭載された後に加熱溶融されて、半球状(同図に示す半田301)となった状態で各端子401上に固着されてボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図17に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600の端子401上に固着された半田ボール300(半田301)を介して端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0024】
半田ボール吸着装置2は、球状体吸着装置の一例であって、図2に示すように、吸着ヘッド11、収容容器12、吸着保持部13、吸引部14、移動機構15、吸気機構16およびマスク17を備えて構成されて、球状体吸着方法に従って後述する供給処理および除去処理を実行して半田ボール300を吸着する。この場合、収容容器12、吸着保持部13、吸引部14、移動機構15および吸気機構16により、吸着ヘッド11に半田ボール300を供給する供給部が構成される。
【0025】
吸着ヘッド11は、図3に示すように、一例として、底板22、側板23および天板24を備えて、内部に空隙21が形成された箱状に構成されている。また、図4に示すように、吸着ヘッド11の底板22には、底板22の外面(吸着面として機能する面であって、以下「吸着面22a」ともいう)に開口すると共に空隙21と連通する第1吸気孔25が、底板22の厚み方向に沿って複数(同図では、そのうちの1個のみを図示している)形成されている。なお、吸着面22aにおける第1吸気孔25の開口部が第1吸気口(以下、「第1吸気口25a」ともいう)に相当する。
【0026】
この場合、図4に示すように、第1吸気孔25(つまり、第1吸気口25a)の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図3に示すように、吸着ヘッド11の天板24には、空隙21内の空気を排気するための排気孔24aが形成されている。この吸着ヘッド11では、空隙21内の空気の排気によって空隙21内が負圧状態となり、それに伴って第1吸気口25aからの吸気が行われることにより、吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に半田ボール300を吸着することが可能となっている(図4参照)。
【0027】
さらに、吸着ヘッド11の底板22には、図3,5に示すように、第2吸気口26aが形成されている。この場合、第2吸気口26aは、図5に示すように、吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視が矩形の枠状の溝に形成されている。また、第2吸気口26aには、図3,5に示すように、吸着ヘッド11の底板22および側板23を貫通して形成された第2吸気孔26が連通してしており、この第2吸気孔26を介して吸気が行われることで、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面(一面)17aとが近接または接触している装着状態(図6参照)のマスク17が吸着されて吸着ヘッド11の吸着面22aに密着させられる。
【0028】
また、図3,5に示すように、吸着ヘッド11は、底板22(吸着面22a側)における第2吸気口26aの形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部22bが形成されて、図6に示すように、その切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成されている。
【0029】
収容容器12は、図3に示すように、その内面が断面半円状に湾曲した容器本体31と、容器本体31の両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、容器本体31および側壁によって形成される収容部12a(同図参照)内に半田ボール300を収容可能に構成されている。また、収容容器12の開口部12b(同図参照)側には、側壁に両端部が支持されたワイパー33が配設されている。また、側壁には、吸着保持部13を回動可能に支持するためのベアリング(図示せず)が配設されている。この場合、収容容器12は、後述する供給処理の実行時において開口部12bがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向するように配設される。
【0030】
吸着保持部13は、図3に示すように、全体として直方体状に形成されると共に、基端部13b側から先端部13aに至る吸気経路13cが内部に形成されて、収容容器12の収容部12a内に収容されている半田ボール300をその先端部13aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部13の先端部13aには、通気性シート43が取り付けられている。また、吸着保持部13は、基端部13b側に配設された図外の軸および吸気管42が収容容器12の側壁に配設されたベアリングによって回転可能に支持されることで、収容容器12の開口部12b側において基端部13bを中心として回動可能に配設されている。
【0031】
この場合、吸着保持部13は、図3に示すように、先端部13aが収容容器12の容器本体31の底部側に対向しているときに、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300を先端部13aで吸着して保持する。また、吸着保持部13は、後述する供給処理の実行時において、図8に示すように、半田ボール300を保持している先端部13aがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向するように移動機構15によって回動させられる。
【0032】
吸引部14は、図3に示すように、2枚の区画壁51a,51bを備えて構成されて、収容容器12における2枚の側壁と区画壁51a,51bとによって形成される吸引経路14a(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。この場合、この半田ボール吸着装置2では、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14が上記のように構成されることで、これらが一体に構成されている(以下、一体化された収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を全体として「本体部100」ともいう)。
【0033】
移動機構15は、制御部4の制御に従い、本体部100(収容容器12、吸着保持部13および吸引部14)の移動および吸着保持部13の回動を行う。
【0034】
吸気機構16は、吸気管61(図2参照)を介して、吸着ヘッド11の排気孔24a、吸着ヘッド11の第2吸気孔26、吸着保持部13の吸気経路13cに連通する吸気管42、および吸引部14の吸引経路14aに繋がれた吸気ポンプ(図示せず)を備えて構成されている。また、吸気機構16は、排気孔24aと吸気ポンプとの間、第2吸気孔26と吸気ポンプとの間、吸気管42と吸気ポンプとの間、および吸引経路14aと吸気ポンプとの間(つまり、各吸気管61の途中)にそれぞれ配設された電磁バルブ(図示せず)を備えて構成されている。この場合、吸気機構16は、各電磁バルブが制御部4の制御に従って作動することにより、吸着ヘッド11の空隙21内を負圧状態とすることによる第1吸気口25aからの吸気、第2吸気孔26に連通している第2吸気口26aからの吸気、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14aからの吸気を個別に行うことが可能となっている。
【0035】
マスク17は、吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制する機能を有しており、本体部100の配設位置の上方の位置(供給処理および除去処理が実行される位置)に配設されている。また、マスク17には、図4に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aと上面17aとが接触(近接または接触の一例)している装着状態において吸着ヘッド11の第1吸気口25aに対向する位置に挿通孔71が形成されている。この場合、挿通孔71の直径L4は、半田ボール300が通過可能な95μm程度に規定されている。また、同図に示すように、マスク17の厚みL3は、装着状態において第1吸気口25aの縁部に吸着された半田ボール300の端部が下面(他面)17bからやや突出する75μm程度に規定されている。
【0036】
搬送装置3は、制御部4の制御に従い、半田ボール吸着装置2の吸着ヘッド11をマスク17の配設位置(半田ボール300が供給される位置)に搬送すると共に、半田ボール300を吸着している吸着ヘッド11を基板400の配設位置まで搬送する。
【0037】
制御部4は、半田ボール吸着装置2の移動機構15および吸気機構16を制御すると共に、搬送装置3を制御する。
【0038】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、球状体吸着方法に従って半田ボール吸着装置2に半田ボール300を吸着させ、その半田ボール300を基板400に搭載する方法(球状体搭載方法)について、図面を参照して説明する。なお、基板400における各端子401の表面には、半田フラックスが塗布されているものとする。
【0039】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部4が、搬送装置3を制御して、図3に示すように、マスク17の配設位置の上方に吸着ヘッド11を搬送させる。次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、図6に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが接触(近接)するように吸着ヘッド11を下降させて、吸着ヘッド11に対してマスク17を装着させる(装着状態とさせる)。
【0040】
続いて、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、第2吸気孔26に連通している第2吸気口26aからの吸気を開始させる。この際に、第2吸気口26aからの吸気に伴う吸引力よって装着状態のマスク17が吸着ヘッド11に吸着される。このため、例えば、マスク17が湾曲していたとしても、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが確実に密着する(図6,11参照)。
【0041】
次いで、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド11の排気孔24aからの吸気を開始させる。この際に、吸着ヘッド11の空隙21内が負圧状態となって第1吸気口25aからの吸気が開始される。また、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14aからの吸気を開始させる。
【0042】
続いて、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気に伴い、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300が吸着保持部13の先端部13aに吸着されて保持される。次いで、制御部4は、移動機構15を制御して、吸着保持部13の基端部13bに取り付けられている吸気管42を回転させることにより、図7に示すように、基端部13bを中心として吸着保持部13を回動させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300が吸着保持部13の回動に伴い、収容容器12の開口部12b側に移動させられる。また、開口部12b側に移動させられた半田ボール300の一部が、開口部12b側に配設されているワイパー33によって払い落とされる。このため、吸着ヘッド11に供給される半田ボール300の量(数)が適正な量に制限される。
【0043】
続いて、制御部4は、図8に示すように、吸着保持部13の先端部13aがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向した時点(吸着保持部13が180°回動した時点)で、移動機構15を制御して、吸気管42の回転を停止させる。次いで、制御部4は、供給処理を実行する。この供給処理では、制御部4は、移動機構15を制御して、図9に示すように、マスク17の下面17bに向けて本体部100を移動させて、先端部13aをマスク17の一端側(同図における左側)に近接させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300のうちのマスク17側(上部)に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の第1吸気口25aからの吸気に伴う吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給される。また、供給された半田ボール300の一部が、第1吸気口25aに引き寄せられて、マスク17の各挿通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に吸着される。
【0044】
続いて、制御部4は、移動機構15を制御して、図10に示すように、先端部13aをマスク17の下面17bに近接させた状態で、本体部100を下面17bに沿ってマスク17の他端側(同図における右側)に向けて(同図に矢印で示す方向に)移動させる。この際に、上記したように、先端部13aに保持されている半田ボール300のうちのマスク17側に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給され、その一部がマスク17の各挿通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に吸着される。このようにして、吸着保持部13の先端部13aに保持されている半田ボール300が、吸着保持部13の移動に伴って徐々に分散されつつ吸着ヘッド11に供給されると共に、供給された半田ボール300の一部が吸着ヘッド11の吸着面22aにおける各第1吸気口25aの縁部に1つずつ吸着される。
【0045】
ここで、吸着ヘッド11がマスク17を吸着していない従来の構成では、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが密着せずに両者の間に隙間が生じることがある。このような隙間が生じているときには、下面17bにおける挿通孔71の縁部が吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置し、この結果、下面17bに沿って移動している半田ボール300が下面17bにおける挿通孔71の縁部に衝突する。この際には、縁部から受ける反力が衝突した半田ボール300を介して吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300に加わり、この結果、吸着されている半田ボール300が第1吸気口25aの縁部に押し付けられて変形し、吸着ヘッド11に固着することがある。
【0046】
これに対して、この半田ボール吸着装置2では、図11に示すように、第2吸気口26aからの吸気によって吸着ヘッド11の吸着面22aにマスク17が吸着されて、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが密着している。このため、この半田ボール吸着装置2では、下面17bにおける挿通孔71の縁部に対して半田ボール300が衝突する事態が確実に回避されて、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着が確実に防止される。
【0047】
また、この半田ボール吸着装置2では、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成されている(図5参照)。このため、例えば、円形で小形の第2吸気口26aを第1吸気口25aの形成領域Fの周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口25aの形成領域Fとマスク17とをより確実に密着させることが可能となっている。
【0048】
さらに、この半田ボール吸着装置2では、吸着ヘッド11における底板22の外周部分に切り欠き部22bが形成されて、切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成されている。このため、この半田ボール吸着装置2では、切り欠き部22bが形成されていない構成と比較して、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとの接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとを一層確実に密着させることが可能となっている。
【0049】
一方、半田ボール300は、上記したように微小なため、静電気や分子間力による半田ボール300同士が互いに引き合う力が半田ボールの重量に対して相対的に大きくなっている。このため、図11に示すように、第1吸気口25aの縁部に吸着された搭載対象の半田ボール300に、他の余剰な半田ボール300が付着する。この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、マスク17の厚みL3が半田ボール300の直径L1よりもやや薄い75μm程度に規定され、挿通孔71の直径L4が、半田ボール300の直径L1よりもやや大きい95μm程度に規定されている。このため、搭載対象の半田ボール300だけが挿通孔71内に収容され、余剰な半田ボール300は、挿通孔71の下面17bよりも外側(下側)に位置している。また、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、吸着保持部13の先端部13aに保持されている半田ボール300が徐々に分散されつつ供給されるため、半田ボール300の過剰な供給が防止されて、余剰な半田ボール300の付着が抑えられている。
【0050】
次いで、制御部4は、除去処理を実行する。この除去処理では、制御部4は、移動機構15を制御して、図12に示すように、本体部100をマスク17の下面17bに沿って同図に矢印で示す方向にさらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部13に続いて吸引部14が移動させられて、吸引部14における吸引経路14aからの吸気によって余剰な半田ボール300が吸引される。このため、搭載対象の半田ボール300と余剰な半田ボール300とが互いに強く引き合っていたとしても、余剰な半田ボール300の全てが搭載対象の半田ボール300から強制的に引き離されて吸着ヘッド11またはマスク17から確実に除去される。
【0051】
次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、図13に示すように、吸着ヘッド11がマスク17から離反するように、吸着ヘッド11を同図に示す矢印の向き(上方への向き)に移動させる。続いて、制御部4は、搬送装置3を制御して、吸着ヘッド11を基板400の配設位置に搬送させ、次いで、図14に示すように、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300が基板400における端子401の表面に接触するように吸着ヘッド11を基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。
【0052】
続いて、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド11における第1吸気口25aからの吸気を停止させる。この際に、図15に示すように、吸着ヘッド11による吸着が解除されて、半田ボール300が基板400における端子401上(端子401の表面に塗布されている半田フラックスの上)に搭載される。次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、同図に示すように、吸着ヘッド11を上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400への半田ボール300の搭載が完了する。
【0053】
この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記した供給処理を実行することで半田ボール300の過剰な供給が防止されると共に、上記した除去処理を実行することで余剰な半田ボール300が確実に除去されている。このため、この半田ボール搭載装置1では、余剰な半田ボール300の基板400への搭載(つまり、基板400に対する半田ボール300の過剰な搭載)が確実に防止される。
【0054】
また、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、吸着ヘッド11の吸着面22aにマスク17を吸着して両者を密着させることで、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着が確実に防止されている。このため、この半田ボール搭載装置1では、吸着ヘッド11による吸着が解除されたときに吸着ヘッド11から半田ボール300が離反せずに、基板400における各端子401の一部に半田ボール300が搭載されない欠陥が生じる事態が確実に防止される。
【0055】
一方、半田ボール300の搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送されて、リフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が行われることにより、図16に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301:溶融体の一例)となった状態で、基板400の表面(図外の端子上)に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。
【0056】
続いて、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、次いで、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。続いて、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図17に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。
【0057】
このように、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、吸着面22aに第2吸気口26aを形成した吸着ヘッド11を用いて装着状態のマスク17を吸着して吸着ヘッド11の吸着面22aに密着させる。このため、吸着面22aとマスク17との間に隙間が生じて、マスク17の下面17bにおける挿通孔71の縁部が吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置し、この結果、マスク17の下面17bに沿って移動している半田ボール300が挿通孔71の縁部に衝突するおそれのある従来の構成および方法とは異なり、このような挿通孔71の縁部に対する半田ボール300の衝突を確実に回避して、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着を確実に防止することができる。したがって、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、吸着ヘッド11による吸着が解除されたときに吸着ヘッド11から全ての半田ボール300を確実に離反させて、基板400における全ての端子401上に半田ボール300を確実に搭載させることができる。
【0058】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッド11を用いることにより、例えば、円形で小形の第2吸気口26aを第1吸気口25aの形成領域Fの周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口25aの形成領域Fとマスク17とをより確実に密着させることができる。
【0059】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、吸着面22a側における第2吸気口26aの形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部22bが形成されて切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成された吸着ヘッド11を用いることにより、切り欠き部22bが形成されていない構成と比較して、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17との接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17とをより確実に密着させることができる。
【0060】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1を用いて上記の球状体搭載方法によって基板400の端子401上に搭載した半田ボール300が溶融されて端子401に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、基板400の各端子401上に過不足なく半田ボール300が搭載される結果、半田ボール300の溶融によって全ての端子401上に半田301が確実に固着される。
【0061】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600に固着された半田301を介して電子部品701の端子が半田搭載済基板600の端子401に接続されている。この場合、上記の半田搭載済基板600では、全ての端子401上に半田301が確実に固着されている。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、全ての電子部品701の端子が半田301を介して確実に端子401に接続される。
【0062】
なお、球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、底板22の外周部分に切り欠き部22bを形成した吸着ヘッド11を採用した例について上記したが、切り欠き部22bが形成されていない吸着ヘッド11を採用することもできる。また、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッド11を用いる構成および方法について上記したが、これに限定されない。例えば、円形、楕円形および多角形などの平面視が任意の形状の1または複数の第2吸気口26aを吸着面22aに形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法を採用することもできる。
【0063】
また、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を一体に構成した本体部100を用いる構成および方法について上記したが、別体にした収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を用いて、これらを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に、吸引部14を別体に構成し、一体に構成した収容容器12および吸着保持部13と、別体に構成した吸引部14とを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。
【0064】
また、静止状態の吸着ヘッド11およびマスク17に対して本体部100を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法について上記したが、静止状態の本体部100に対して吸着ヘッド11およびマスク17を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。また、吸着ヘッド11およびマスク17と本体部100との双方を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
【0065】
さらに、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を別体にしたときには、収容容器12および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸着保持部13に半田ボール300を保持させた後に、吸着ヘッド11および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に(以下、両者による構成体を「一体構成体」という)、吸引部14を別体に構成したときには、吸着ヘッド11および一体構成体の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。
【0066】
また、基板400における端子401の表面に塗布した半田フラックス上に半田ボール300を載置する構成に代えて、吸着ヘッド11によって吸着された半田ボール300の先端部をトレイに収容した半田フラックスに浸してその先端部に半田フラックスを付着させた後に、半田フラックスが塗布されていない基板400の上にその半田ボール300を載置する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 半田ボール搭載装置
2 半田ボール吸着装置
3 搬送装置
11 吸着ヘッド
17 マスク
17a 上面
22a 吸着面
22b 切り欠き部
25a 第1吸気口
26a 第2吸気口
71 挿通孔
300 半田ボール
301 半田
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
701 電子部品
F 形成領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着面に形成された吸気口に球状体を吸着する吸着ヘッドを備えた球状体吸着装置、その球状体吸着装置を備えて球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載装置、吸着ヘッドに球状体を吸着させる球状体吸着方法、その球状体吸着方法によって吸着した球状体を搭載対象体に搭載する球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、およびその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の球状体搭載装置として、特開2011−40704号公報において出願人が開示した球状体搭載装置が知られている。この球状体搭載装置は、半田ボールを吸着する吸着ヘッド、半田ボールを保持する吸着保持部を有して半田ボールを吸着ヘッドに供給する供給部、整列用プレート、搬送機構および制御部などを備えて、半田ボールを基板の端子(搭載対象体)に搭載可能に構成されている。この球状体搭載装置では、搬送機構が、整列用プレートの配設位置に吸着ヘッドを搬送して吸着ヘッドの吸着面と整列用プレートとを接触させ、次いで、供給部が、吸着保持部で保持している半田ボールを整列用プレートに近接させた状態で整列用プレートに沿って移動する。この際に、半田ボールが吸着ヘッドの吸引力によって引き寄せられて吸着ヘッドに供給され、整列用プレートの各挿通孔を通って、吸着ヘッドの吸着面に形成されている各吸気口の縁部に1つずつ吸着される。続いて、搬送機構が、吸着ヘッドを整列用プレートから離反させて基板の配設位置に搬送し、次いで、吸着ヘッドが吸着を解除する。これにより、基板の端子に半田ボールが搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−40704号公報(第6−11頁、第7−10図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の球状体搭載装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この球状体搭載装置では、吸着ヘッドを整列用プレートの配設位置に搬送して吸着ヘッドの吸着面と整列用プレートの上面とを接触させ、その状態で半田ボールを供給している。この場合、図18に示すように、整列用プレート517は、吸着ヘッド511の吸着面522aにおける吸気孔525の縁部に吸着されている半田ボール300の端部が整列用プレート517の下面517bからやや突出する程度の厚みに形成されており、吸着ヘッド511の吸着面522aと整列用プレート517とが密着しているときには、吸気孔525の縁部に吸着されている半田ボール300以外の半田ボール300は、整列用プレート517の下面517bにおける挿通孔571の縁部に衝突することなく、例えば、同図に示す矢印の向きにスムーズに移動する。一方、図19に示すように、例えば、吸着ヘッド511の吸着面522aと整列用プレート517とが密着せずに両者の間に隙間が生じているときには、整列用プレート517の下面517bにおける挿通孔571の縁部が吸着ヘッド511に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置することとなる。この状態のときには、挿通孔571の縁部に半田ボール300が衝突し、この際に縁部から受ける反力が衝突した半田ボール300を介して吸着ヘッド511に吸着されている半田ボール300に加わり、この結果、吸着されている半田ボール300が吸気孔525の縁部に押し付けられて変形して、吸着ヘッド511に固着することがある。このような固着した半田ボール300は、吸着ヘッド511の吸着が解除されたとしても、吸着ヘッド511から離反しないおそれがあり、この結果、搭載対象体としての基板における各端子の一部に半田ボール300が搭載されない欠陥が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、搭載対象体に対して球状体を確実に搭載させ得る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法、その球状体搭載装置または球状体搭載方法を用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板を用いて製造される電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体吸着装置は、球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドと、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態において当該マスクの他面側から前記球状体を供給する供給部とを備えた球状体吸着装置であって、前記吸着ヘッドは、前記装着状態のマスクを吸着して前記吸着面に密着させる第2吸気口が当該吸着面に形成されて構成されている。
【0007】
また、請求項2記載の球状体吸着装置は、請求項1記載の球状体吸着装置において、前記第2吸気口は、前記吸着面における前記第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成されている。
【0008】
また、請求項3記載の球状体吸着装置は、請求項1または2記載の球状体吸着装置において、前記吸着ヘッドは、前記吸着面側における前記第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて当該切り欠き部の形成部位が前記装着状態のマスクから離間するように構成されている。
【0009】
また、請求項4記載の球状体搭載装置は、請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記球状体が供給される位置に搬送すると共に当該球状体を吸着している状態の前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0010】
また、請求項5記載の球状体吸着方法は、球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドの当該吸着面と、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面とが近接または接触するように当該吸着ヘッドに当該マスクを装着し、当該装着状態のマスクの他面側から前記球状体を供給して当該球状体を前記吸着ヘッドに吸着させる球状体吸着方法であって、前記装着状態のマスクを吸着する第2吸気口が前記吸着面に形成された前記吸着ヘッドを用いて当該マスクを当該吸着面に密着させた状態で前記球状体を供給する。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載方法は、請求項5記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する。
【0012】
また、請求項7球状体搭載済基板は、請求項4記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0013】
また、請求項8記載の球状体搭載済基板は、請求項6記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体が溶融されて当該端子に固着されている。
【0014】
さらに、請求項9記載の電子部品搭載済基板は、請求項7または8記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の球状体吸着装置、請求項4記載の球状体搭載装置、請求項5記載の球状体吸着方法、および請求項6記載の球状体搭載方法では、吸着面に第2吸気口を形成した吸着ヘッドを用いて装着状態のマスクを吸着して吸着ヘッドの吸着面に密着させる。このため、吸着面とマスクとの間に隙間が生じて、マスクの他面における挿通孔の縁部が吸着ヘッドに吸着されている球状体の端部よりも下側に位置し、この結果、マスクの他面に沿って移動している球状体が挿通孔の縁部に衝突するおそれのある従来の構成および方法とは異なり、このような挿通孔の縁部に対する球状体の衝突を確実に回避して、吸着ヘッドにおける第1吸気口の縁部への球状体の固着を確実に防止することができる。したがって、この球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、例えば、搭載対象対としての基板の各端子に球状体を搭載する場合において、吸着ヘッドによる吸着が解除されたときに吸着ヘッドから全ての球状体を確実に離反させて、基板における全ての端子上に球状体を確実に搭載させることができる。
【0016】
また、請求項2記載の球状体吸着装置によれば、第2吸気口が吸着面における第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッドを用いることにより、例えば、円形で小形の第2吸気口を第1吸気口の形成領域の周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口の形成領域とマスクとをより確実に密着させることができる。
【0017】
また、請求項3記載の球状体吸着装置によれば、吸着面側における第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて切り欠き部の形成部位が装着状態のマスクから離間するように構成された吸着ヘッドを用いることにより、切り欠き部が形成されていない構成と比較して、吸着ヘッドの吸着面とマスクとの接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッドの吸着面とマスクとをより確実に密着させることができる。
【0018】
また、請求項7および8記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載装置または上記の球状体搭載方法によって基板の端子上に搭載した球状体が溶融されて端子に固着されている。このため、この球状体搭載済基板では、基板の各端子上に過不足なく球状体が搭載される結果、球状体の溶融によって全ての端子上に球状体の溶融体が確実に固着される。
【0019】
また、請求項9記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体の溶融体を介して電子部品の端子が球状体搭載済基板の端子に接続されている。この場合、上記の球状体搭載済基板では、全ての端子上に球状体の溶融体が確実に固着されている。このため、この電子部品搭載済基板によれば、全ての電子部品の端子が球状体の溶融体を介して確実に基板の端子に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】半田ボール搭載装置1の構成を示す構成図である。
【図2】半田ボール吸着装置2の構成を示す構成図である。
【図3】半田ボール吸着装置2の構成を示す断面図である。
【図4】吸着ヘッド11の底板22およびマスク17の構成を示す断面図である。
【図5】吸着ヘッド11を吸着面22a側から見た平面図である。
【図6】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第1の説明図である。
【図7】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第2の説明図である。
【図8】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第3の説明図である。
【図9】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第4の説明図である。
【図10】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第5の説明図である。
【図11】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第6の説明図である。
【図12】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第7の説明図である。
【図13】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第8の説明図である。
【図14】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第9の説明図である。
【図15】半田ボール搭載装置1の動作を説明する第10の説明図である。
【図16】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図17】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【図18】従来の球状体吸着装置の動作を説明する第1の説明図である。
【図19】従来の球状体吸着装置の動作を説明する第2の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法、球状体搭載方法、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
最初に、図1に示す半田ボール搭載装置1の構成について説明する。半田ボール搭載装置1は、球状体搭載装置の一例であって、同図に示すように、半田ボール吸着装置2、搬送装置3および制御部4を備えて、球状体搭載方法に従い、球状体の一例としての微小な球状体である半田ボール(マイクロボール)300(図3,4参照)を搭載対象体としての基板400の端子401上に搭載(載置)可能に構成されている。
【0023】
この場合、半田ボール300は、直径L1(図4参照)が80μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図16に示すように、半田ボール搭載装置1によって基板400の各端子401上にそれぞれ搭載された後に加熱溶融されて、半球状(同図に示す半田301)となった状態で各端子401上に固着されてボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図17に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600の端子401上に固着された半田ボール300(半田301)を介して端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0024】
半田ボール吸着装置2は、球状体吸着装置の一例であって、図2に示すように、吸着ヘッド11、収容容器12、吸着保持部13、吸引部14、移動機構15、吸気機構16およびマスク17を備えて構成されて、球状体吸着方法に従って後述する供給処理および除去処理を実行して半田ボール300を吸着する。この場合、収容容器12、吸着保持部13、吸引部14、移動機構15および吸気機構16により、吸着ヘッド11に半田ボール300を供給する供給部が構成される。
【0025】
吸着ヘッド11は、図3に示すように、一例として、底板22、側板23および天板24を備えて、内部に空隙21が形成された箱状に構成されている。また、図4に示すように、吸着ヘッド11の底板22には、底板22の外面(吸着面として機能する面であって、以下「吸着面22a」ともいう)に開口すると共に空隙21と連通する第1吸気孔25が、底板22の厚み方向に沿って複数(同図では、そのうちの1個のみを図示している)形成されている。なお、吸着面22aにおける第1吸気孔25の開口部が第1吸気口(以下、「第1吸気口25a」ともいう)に相当する。
【0026】
この場合、図4に示すように、第1吸気孔25(つまり、第1吸気口25a)の直径L2は、半田ボール300の直径L1(この例では、80μm)よりも短い40μm程度に規定されている。また、図3に示すように、吸着ヘッド11の天板24には、空隙21内の空気を排気するための排気孔24aが形成されている。この吸着ヘッド11では、空隙21内の空気の排気によって空隙21内が負圧状態となり、それに伴って第1吸気口25aからの吸気が行われることにより、吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に半田ボール300を吸着することが可能となっている(図4参照)。
【0027】
さらに、吸着ヘッド11の底板22には、図3,5に示すように、第2吸気口26aが形成されている。この場合、第2吸気口26aは、図5に示すように、吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視が矩形の枠状の溝に形成されている。また、第2吸気口26aには、図3,5に示すように、吸着ヘッド11の底板22および側板23を貫通して形成された第2吸気孔26が連通してしており、この第2吸気孔26を介して吸気が行われることで、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面(一面)17aとが近接または接触している装着状態(図6参照)のマスク17が吸着されて吸着ヘッド11の吸着面22aに密着させられる。
【0028】
また、図3,5に示すように、吸着ヘッド11は、底板22(吸着面22a側)における第2吸気口26aの形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部22bが形成されて、図6に示すように、その切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成されている。
【0029】
収容容器12は、図3に示すように、その内面が断面半円状に湾曲した容器本体31と、容器本体31の両側部に配設された2枚の側壁(図示せず)とを備えて、容器本体31および側壁によって形成される収容部12a(同図参照)内に半田ボール300を収容可能に構成されている。また、収容容器12の開口部12b(同図参照)側には、側壁に両端部が支持されたワイパー33が配設されている。また、側壁には、吸着保持部13を回動可能に支持するためのベアリング(図示せず)が配設されている。この場合、収容容器12は、後述する供給処理の実行時において開口部12bがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向するように配設される。
【0030】
吸着保持部13は、図3に示すように、全体として直方体状に形成されると共に、基端部13b側から先端部13aに至る吸気経路13cが内部に形成されて、収容容器12の収容部12a内に収容されている半田ボール300をその先端部13aで吸着して保持可能に構成されている。また、吸着保持部13の先端部13aには、通気性シート43が取り付けられている。また、吸着保持部13は、基端部13b側に配設された図外の軸および吸気管42が収容容器12の側壁に配設されたベアリングによって回転可能に支持されることで、収容容器12の開口部12b側において基端部13bを中心として回動可能に配設されている。
【0031】
この場合、吸着保持部13は、図3に示すように、先端部13aが収容容器12の容器本体31の底部側に対向しているときに、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300を先端部13aで吸着して保持する。また、吸着保持部13は、後述する供給処理の実行時において、図8に示すように、半田ボール300を保持している先端部13aがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向するように移動機構15によって回動させられる。
【0032】
吸引部14は、図3に示すように、2枚の区画壁51a,51bを備えて構成されて、収容容器12における2枚の側壁と区画壁51a,51bとによって形成される吸引経路14a(同図参照)を介して半田ボール300を吸引可能に構成されている。この場合、この半田ボール吸着装置2では、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14が上記のように構成されることで、これらが一体に構成されている(以下、一体化された収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を全体として「本体部100」ともいう)。
【0033】
移動機構15は、制御部4の制御に従い、本体部100(収容容器12、吸着保持部13および吸引部14)の移動および吸着保持部13の回動を行う。
【0034】
吸気機構16は、吸気管61(図2参照)を介して、吸着ヘッド11の排気孔24a、吸着ヘッド11の第2吸気孔26、吸着保持部13の吸気経路13cに連通する吸気管42、および吸引部14の吸引経路14aに繋がれた吸気ポンプ(図示せず)を備えて構成されている。また、吸気機構16は、排気孔24aと吸気ポンプとの間、第2吸気孔26と吸気ポンプとの間、吸気管42と吸気ポンプとの間、および吸引経路14aと吸気ポンプとの間(つまり、各吸気管61の途中)にそれぞれ配設された電磁バルブ(図示せず)を備えて構成されている。この場合、吸気機構16は、各電磁バルブが制御部4の制御に従って作動することにより、吸着ヘッド11の空隙21内を負圧状態とすることによる第1吸気口25aからの吸気、第2吸気孔26に連通している第2吸気口26aからの吸気、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14aからの吸気を個別に行うことが可能となっている。
【0035】
マスク17は、吸着ヘッド11による余剰な半田ボール300の吸着を規制する機能を有しており、本体部100の配設位置の上方の位置(供給処理および除去処理が実行される位置)に配設されている。また、マスク17には、図4に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aと上面17aとが接触(近接または接触の一例)している装着状態において吸着ヘッド11の第1吸気口25aに対向する位置に挿通孔71が形成されている。この場合、挿通孔71の直径L4は、半田ボール300が通過可能な95μm程度に規定されている。また、同図に示すように、マスク17の厚みL3は、装着状態において第1吸気口25aの縁部に吸着された半田ボール300の端部が下面(他面)17bからやや突出する75μm程度に規定されている。
【0036】
搬送装置3は、制御部4の制御に従い、半田ボール吸着装置2の吸着ヘッド11をマスク17の配設位置(半田ボール300が供給される位置)に搬送すると共に、半田ボール300を吸着している吸着ヘッド11を基板400の配設位置まで搬送する。
【0037】
制御部4は、半田ボール吸着装置2の移動機構15および吸気機構16を制御すると共に、搬送装置3を制御する。
【0038】
次に、半田ボール搭載装置1を用いて、球状体吸着方法に従って半田ボール吸着装置2に半田ボール300を吸着させ、その半田ボール300を基板400に搭載する方法(球状体搭載方法)について、図面を参照して説明する。なお、基板400における各端子401の表面には、半田フラックスが塗布されているものとする。
【0039】
この半田ボール搭載装置1では、開始操作がされたときに、制御部4が、搬送装置3を制御して、図3に示すように、マスク17の配設位置の上方に吸着ヘッド11を搬送させる。次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、図6に示すように、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが接触(近接)するように吸着ヘッド11を下降させて、吸着ヘッド11に対してマスク17を装着させる(装着状態とさせる)。
【0040】
続いて、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、第2吸気孔26に連通している第2吸気口26aからの吸気を開始させる。この際に、第2吸気口26aからの吸気に伴う吸引力よって装着状態のマスク17が吸着ヘッド11に吸着される。このため、例えば、マスク17が湾曲していたとしても、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが確実に密着する(図6,11参照)。
【0041】
次いで、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド11の排気孔24aからの吸気を開始させる。この際に、吸着ヘッド11の空隙21内が負圧状態となって第1吸気口25aからの吸気が開始される。また、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気、および吸引部14における吸引経路14aからの吸気を開始させる。
【0042】
続いて、吸着保持部13における吸気経路13cからの吸気に伴い、収容容器12の収容部12aに収容されている半田ボール300が吸着保持部13の先端部13aに吸着されて保持される。次いで、制御部4は、移動機構15を制御して、吸着保持部13の基端部13bに取り付けられている吸気管42を回転させることにより、図7に示すように、基端部13bを中心として吸着保持部13を回動させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300が吸着保持部13の回動に伴い、収容容器12の開口部12b側に移動させられる。また、開口部12b側に移動させられた半田ボール300の一部が、開口部12b側に配設されているワイパー33によって払い落とされる。このため、吸着ヘッド11に供給される半田ボール300の量(数)が適正な量に制限される。
【0043】
続いて、制御部4は、図8に示すように、吸着保持部13の先端部13aがマスク17の下面17b(吸着ヘッド11の吸着面22a)に対向した時点(吸着保持部13が180°回動した時点)で、移動機構15を制御して、吸気管42の回転を停止させる。次いで、制御部4は、供給処理を実行する。この供給処理では、制御部4は、移動機構15を制御して、図9に示すように、マスク17の下面17bに向けて本体部100を移動させて、先端部13aをマスク17の一端側(同図における左側)に近接させる。この際に、先端部13aに保持されている半田ボール300のうちのマスク17側(上部)に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の第1吸気口25aからの吸気に伴う吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給される。また、供給された半田ボール300の一部が、第1吸気口25aに引き寄せられて、マスク17の各挿通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に吸着される。
【0044】
続いて、制御部4は、移動機構15を制御して、図10に示すように、先端部13aをマスク17の下面17bに近接させた状態で、本体部100を下面17bに沿ってマスク17の他端側(同図における右側)に向けて(同図に矢印で示す方向に)移動させる。この際に、上記したように、先端部13aに保持されている半田ボール300のうちのマスク17側に位置している半田ボール300が、吸着ヘッド11の吸引力によって吸着保持部13の吸引力に抗して吸着ヘッド11に引き寄せられて、吸着ヘッド11に供給され、その一部がマスク17の各挿通孔71を通って吸着ヘッド11の吸着面22aにおける第1吸気口25aの縁部に吸着される。このようにして、吸着保持部13の先端部13aに保持されている半田ボール300が、吸着保持部13の移動に伴って徐々に分散されつつ吸着ヘッド11に供給されると共に、供給された半田ボール300の一部が吸着ヘッド11の吸着面22aにおける各第1吸気口25aの縁部に1つずつ吸着される。
【0045】
ここで、吸着ヘッド11がマスク17を吸着していない従来の構成では、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが密着せずに両者の間に隙間が生じることがある。このような隙間が生じているときには、下面17bにおける挿通孔71の縁部が吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置し、この結果、下面17bに沿って移動している半田ボール300が下面17bにおける挿通孔71の縁部に衝突する。この際には、縁部から受ける反力が衝突した半田ボール300を介して吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300に加わり、この結果、吸着されている半田ボール300が第1吸気口25aの縁部に押し付けられて変形し、吸着ヘッド11に固着することがある。
【0046】
これに対して、この半田ボール吸着装置2では、図11に示すように、第2吸気口26aからの吸気によって吸着ヘッド11の吸着面22aにマスク17が吸着されて、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとが密着している。このため、この半田ボール吸着装置2では、下面17bにおける挿通孔71の縁部に対して半田ボール300が衝突する事態が確実に回避されて、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着が確実に防止される。
【0047】
また、この半田ボール吸着装置2では、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成されている(図5参照)。このため、例えば、円形で小形の第2吸気口26aを第1吸気口25aの形成領域Fの周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口25aの形成領域Fとマスク17とをより確実に密着させることが可能となっている。
【0048】
さらに、この半田ボール吸着装置2では、吸着ヘッド11における底板22の外周部分に切り欠き部22bが形成されて、切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成されている。このため、この半田ボール吸着装置2では、切り欠き部22bが形成されていない構成と比較して、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとの接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17の上面17aとを一層確実に密着させることが可能となっている。
【0049】
一方、半田ボール300は、上記したように微小なため、静電気や分子間力による半田ボール300同士が互いに引き合う力が半田ボールの重量に対して相対的に大きくなっている。このため、図11に示すように、第1吸気口25aの縁部に吸着された搭載対象の半田ボール300に、他の余剰な半田ボール300が付着する。この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、マスク17の厚みL3が半田ボール300の直径L1よりもやや薄い75μm程度に規定され、挿通孔71の直径L4が、半田ボール300の直径L1よりもやや大きい95μm程度に規定されている。このため、搭載対象の半田ボール300だけが挿通孔71内に収容され、余剰な半田ボール300は、挿通孔71の下面17bよりも外側(下側)に位置している。また、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、吸着保持部13の先端部13aに保持されている半田ボール300が徐々に分散されつつ供給されるため、半田ボール300の過剰な供給が防止されて、余剰な半田ボール300の付着が抑えられている。
【0050】
次いで、制御部4は、除去処理を実行する。この除去処理では、制御部4は、移動機構15を制御して、図12に示すように、本体部100をマスク17の下面17bに沿って同図に矢印で示す方向にさらに移動させる。この際に、同図に示すように、吸着保持部13に続いて吸引部14が移動させられて、吸引部14における吸引経路14aからの吸気によって余剰な半田ボール300が吸引される。このため、搭載対象の半田ボール300と余剰な半田ボール300とが互いに強く引き合っていたとしても、余剰な半田ボール300の全てが搭載対象の半田ボール300から強制的に引き離されて吸着ヘッド11またはマスク17から確実に除去される。
【0051】
次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、図13に示すように、吸着ヘッド11がマスク17から離反するように、吸着ヘッド11を同図に示す矢印の向き(上方への向き)に移動させる。続いて、制御部4は、搬送装置3を制御して、吸着ヘッド11を基板400の配設位置に搬送させ、次いで、図14に示すように、吸着ヘッド11によって吸着されている半田ボール300が基板400における端子401の表面に接触するように吸着ヘッド11を基板400に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させる。
【0052】
続いて、制御部4は、吸気機構16の電磁バルブを制御して、吸着ヘッド11における第1吸気口25aからの吸気を停止させる。この際に、図15に示すように、吸着ヘッド11による吸着が解除されて、半田ボール300が基板400における端子401上(端子401の表面に塗布されている半田フラックスの上)に搭載される。次いで、制御部4は、搬送装置3を制御して、同図に示すように、吸着ヘッド11を上方に向けて(同図に示す矢印の向きに)移動させた後に、初期位置に搬送させる。以上により、基板400への半田ボール300の搭載が完了する。
【0053】
この場合、この半田ボール吸着装置2では、上記した供給処理を実行することで半田ボール300の過剰な供給が防止されると共に、上記した除去処理を実行することで余剰な半田ボール300が確実に除去されている。このため、この半田ボール搭載装置1では、余剰な半田ボール300の基板400への搭載(つまり、基板400に対する半田ボール300の過剰な搭載)が確実に防止される。
【0054】
また、この半田ボール吸着装置2では、上記したように、吸着ヘッド11の吸着面22aにマスク17を吸着して両者を密着させることで、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着が確実に防止されている。このため、この半田ボール搭載装置1では、吸着ヘッド11による吸着が解除されたときに吸着ヘッド11から半田ボール300が離反せずに、基板400における各端子401の一部に半田ボール300が搭載されない欠陥が生じる事態が確実に防止される。
【0055】
一方、半田ボール300の搭載が完了した基板400は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送されて、リフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が行われることにより、図16に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301:溶融体の一例)となった状態で、基板400の表面(図外の端子上)に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。
【0056】
続いて、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、次いで、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。続いて、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図17に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。
【0057】
このように、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法では、吸着面22aに第2吸気口26aを形成した吸着ヘッド11を用いて装着状態のマスク17を吸着して吸着ヘッド11の吸着面22aに密着させる。このため、吸着面22aとマスク17との間に隙間が生じて、マスク17の下面17bにおける挿通孔71の縁部が吸着ヘッド11に吸着されている半田ボール300の端部よりも下側に位置し、この結果、マスク17の下面17bに沿って移動している半田ボール300が挿通孔71の縁部に衝突するおそれのある従来の構成および方法とは異なり、このような挿通孔71の縁部に対する半田ボール300の衝突を確実に回避して、吸着ヘッド11における第1吸気口25aの縁部への半田ボール300の固着を確実に防止することができる。したがって、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、吸着ヘッド11による吸着が解除されたときに吸着ヘッド11から全ての半田ボール300を確実に離反させて、基板400における全ての端子401上に半田ボール300を確実に搭載させることができる。
【0058】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッド11を用いることにより、例えば、円形で小形の第2吸気口26aを第1吸気口25aの形成領域Fの周囲に点在させて形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法と比較して、第1吸気口25aの形成領域Fとマスク17とをより確実に密着させることができる。
【0059】
また、この半田ボール吸着装置2、半田ボール搭載装置1、球状体吸着方法および球状体搭載方法によれば、吸着面22a側における第2吸気口26aの形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部22bが形成されて切り欠き部22bの形成部位が装着状態のマスク17から離間するように段部に構成された吸着ヘッド11を用いることにより、切り欠き部22bが形成されていない構成と比較して、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17との接触面積を少なくすることができる結果、吸着ヘッド11の吸着面22aとマスク17とをより確実に密着させることができる。
【0060】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載装置1を用いて上記の球状体搭載方法によって基板400の端子401上に搭載した半田ボール300が溶融されて端子401に固着されている。このため、この半田搭載済基板600では、基板400の各端子401上に過不足なく半田ボール300が搭載される結果、半田ボール300の溶融によって全ての端子401上に半田301が確実に固着される。
【0061】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600に固着された半田301を介して電子部品701の端子が半田搭載済基板600の端子401に接続されている。この場合、上記の半田搭載済基板600では、全ての端子401上に半田301が確実に固着されている。このため、この電子部品搭載済基板700によれば、全ての電子部品701の端子が半田301を介して確実に端子401に接続される。
【0062】
なお、球状体吸着装置、球状体搭載装置、球状体吸着方法および球状体搭載方法は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、底板22の外周部分に切り欠き部22bを形成した吸着ヘッド11を採用した例について上記したが、切り欠き部22bが形成されていない吸着ヘッド11を採用することもできる。また、第2吸気口26aが吸着面22aにおける第1吸気口25aの形成領域Fを取り囲むように平面視枠状に形成された吸着ヘッド11を用いる構成および方法について上記したが、これに限定されない。例えば、円形、楕円形および多角形などの平面視が任意の形状の1または複数の第2吸気口26aを吸着面22aに形成した吸着ヘッドを用いる構成および方法を採用することもできる。
【0063】
また、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を一体に構成した本体部100を用いる構成および方法について上記したが、別体にした収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を用いて、これらを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に、吸引部14を別体に構成し、一体に構成した収容容器12および吸着保持部13と、別体に構成した吸引部14とを個別に駆動する構成および方法を採用することもできる。
【0064】
また、静止状態の吸着ヘッド11およびマスク17に対して本体部100を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法について上記したが、静止状態の本体部100に対して吸着ヘッド11およびマスク17を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。また、吸着ヘッド11およびマスク17と本体部100との双方を移動させて供給処理および吸引処理を実行する構成および方法を採用することもできる。
【0065】
さらに、収容容器12、吸着保持部13および吸引部14を別体にしたときには、収容容器12および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸着保持部13に半田ボール300を保持させた後に、吸着ヘッド11および吸着保持部13の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。また、収容容器12および吸着保持部13を一体に構成すると共に(以下、両者による構成体を「一体構成体」という)、吸引部14を別体に構成したときには、吸着ヘッド11および一体構成体の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて供給処理を行い、吸着ヘッド11および吸引部14の一方または双方(つまり、両者の1つ以上)を移動させて吸引処理を行う構成および方法を採用することができる。
【0066】
また、基板400における端子401の表面に塗布した半田フラックス上に半田ボール300を載置する構成に代えて、吸着ヘッド11によって吸着された半田ボール300の先端部をトレイに収容した半田フラックスに浸してその先端部に半田フラックスを付着させた後に、半田フラックスが塗布されていない基板400の上にその半田ボール300を載置する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0067】
1 半田ボール搭載装置
2 半田ボール吸着装置
3 搬送装置
11 吸着ヘッド
17 マスク
17a 上面
22a 吸着面
22b 切り欠き部
25a 第1吸気口
26a 第2吸気口
71 挿通孔
300 半田ボール
301 半田
400 基板
401 端子
600 半田搭載済基板
701 電子部品
F 形成領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドと、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態において当該マスクの他面側から前記球状体を供給する供給部とを備えた球状体吸着装置であって、
前記吸着ヘッドは、前記装着状態のマスクを吸着して前記吸着面に密着させる第2吸気口が当該吸着面に形成されて構成されている球状体吸着装置。
【請求項2】
前記第2吸気口は、前記吸着面における前記第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成されている請求項1記載の球状体吸着装置。
【請求項3】
前記吸着ヘッドは、前記吸着面側における前記第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて当該切り欠き部の形成部位が前記装着状態のマスクから離間するように構成されている請求項1または2記載の球状体吸着装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記球状体が供給される位置に搬送すると共に当該球状体を吸着している状態の前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置。
【請求項5】
球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドの当該吸着面と、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面とが近接または接触するように当該吸着ヘッドに当該マスクを装着し、当該装着状態のマスクの他面側から前記球状体を供給して当該球状体を前記吸着ヘッドに吸着させる球状体吸着方法であって、
前記装着状態のマスクを吸着する第2吸気口が前記吸着面に形成された前記吸着ヘッドを用いて当該マスクを当該吸着面に密着させた状態で前記球状体を供給する球状体吸着方法。
【請求項6】
請求項5記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載方法。
【請求項7】
請求項4記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項8】
請求項6記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項9】
請求項7または8記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。
【請求項1】
球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドと、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面と前記吸着面とが近接または接触している装着状態において当該マスクの他面側から前記球状体を供給する供給部とを備えた球状体吸着装置であって、
前記吸着ヘッドは、前記装着状態のマスクを吸着して前記吸着面に密着させる第2吸気口が当該吸着面に形成されて構成されている球状体吸着装置。
【請求項2】
前記第2吸気口は、前記吸着面における前記第1吸気口の形成領域を取り囲むように平面視枠状に形成されている請求項1記載の球状体吸着装置。
【請求項3】
前記吸着ヘッドは、前記吸着面側における前記第2吸気口の形成部位よりも外周側の部位に切り欠き部が形成されて当該切り欠き部の形成部位が前記装着状態のマスクから離間するように構成されている請求項1または2記載の球状体吸着装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の球状体吸着装置と、当該球状体吸着装置の前記吸着ヘッドを前記球状体が供給される位置に搬送すると共に当該球状体を吸着している状態の前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送する搬送装置とを備えて、前記球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載装置。
【請求項5】
球状体を吸着する第1吸気口が吸着面に形成された吸着ヘッドの当該吸着面と、前記球状体が通過可能な挿通孔が形成されて前記吸着ヘッドによる余剰な当該球状体の吸着を規制するマスクの一面とが近接または接触するように当該吸着ヘッドに当該マスクを装着し、当該装着状態のマスクの他面側から前記球状体を供給して当該球状体を前記吸着ヘッドに吸着させる球状体吸着方法であって、
前記装着状態のマスクを吸着する第2吸気口が前記吸着面に形成された前記吸着ヘッドを用いて当該マスクを当該吸着面に密着させた状態で前記球状体を供給する球状体吸着方法。
【請求項6】
請求項5記載の球状体吸着方法で前記吸着ヘッドに前記球状体を吸着させ、当該球状体を吸着している前記吸着ヘッドを搭載対象体の配設位置まで搬送して当該球状体を前記搭載対象体に搭載する球状体搭載方法。
【請求項7】
請求項4記載の球状体搭載装置によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項8】
請求項6記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象体としての基板の端子に搭載された前記球状体を溶融して当該端子に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項9】
請求項7または8記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体の溶融体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。
【図1】


【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【図19】




【図2】


【図3】


【図4】


【図5】


【図6】


【図7】


【図8】


【図9】


【図10】


【図11】


【図12】


【図13】


【図14】


【図15】


【図16】


【図17】


【図18】


【図19】


【公開番号】特開2012−244021(P2012−244021A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114273(P2011−114273)
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月23日(2011.5.23)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]