説明

環境における3次元(3D)オブジェクトの3D姿勢を求めるための方法

【課題】カメラによって前記環境から捕捉した画像から特徴を抽出することによって、環境における3次元(3D)オブジェクトの3D姿勢が求められる。
【解決手段】前記特徴を前記環境の3Dモデルにマッチングして、対応を求める。前記対応を用いて、前記画像のカメラ基準系および前記環境のワールド基準系を対応する中間カメラ基準系および対応する中間ワールド基準系に変換する。前記中間カメラ基準系および前記中間ワールド基準系に幾何学的制約を適用して、制約付き中間ワールド基準系および制約付きワールド基準系を取得する。次に、前記制約付き中間ワールド基準系および前記制約付きワールド基準系のパラメーターから前記3D姿勢を求める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には姿勢を推定することに関し、より詳細にはジオロケーションの目的で環境における姿勢を推定することに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータービジョンアプリケーションでは、点および線等の画像特徴を用いて、多岐にわたる幾何学的問題が解かれる。従来の方法は、全ての利用可能な特徴を用い、それらの全ての特徴にわたって最小二乗基準を用いて問題を解く。一方、多くのコンピュータービジョン問題において、最小解が、非最小法と比較して雑音を受けにくいことがわかっている。
【0003】
最小解は、ランダムサンプルコンセンサス(RANSAC)等の仮説作成・検査手順における仮説生成器として、非常に有用であった(特許文献1を参照されたい)。
【0004】
最小解は、いくつかのコンピュータービジョン問題に関して知られている。それらの問題は、半径方向歪みの自動較正、透視3点問題、5点相対姿勢問題、6点焦点距離問題、6点一般化カメラ問題、放物面反射屈折基本行列を推定するための9点問題、および9点半径方向歪み問題である。全ての既知の解法を把握する統一化の試みも存在する。
【0005】
2D−3Dレジストレーション
本発明は、特に、点および線を用いた姿勢推定に関する。姿勢は、並進および回転の3自由度を有するものとして規定される。目標は、ワールド基準系における点および線間の3つの対応、並びにカメラ基準系におけるそれらの画像への投影を所与として、カメラ基準系とワールド基準系との間のカメラの姿勢を求めることである。3線構成または3点構成のための解法が既知である。本明細書で定義されるとき、「基準系」は、3D座標系である。
【0006】
実際には、点特徴および線特徴の双方が相補的な利点を有する。都市環境における本発明者らの意図されるジオローカライゼーションの用途に配慮すると、画像シーケンスおよび粗い3Dモデルを用いて、3Dモデルおよび画像の線間の対応を取得することは、比較的容易である。
【0007】
2つの画像間の点マッチングも既知であり、線マッチングよりも容易である。追跡のための点および線の融合が説明されてきたが、外れ値、不完全な一致、および狭い視野に対し、より敏感でない最小解は、従来技術において説明されてこなかった。
【0008】
近年、点または線のいずれかを用いるが、双方を用いないステレオカメラのための最小姿勢手順が説明されてきた。
【0009】
画像に基づくジオローカライゼーション
画像からジオロケーションを推測することへの興味が増してきている。縮小していく縦方向を用いて、クエリ画像をデータベース内に格納された画像とマッチングすることによって、地理空間ローカライゼーションを取得することが可能である。
【0010】
大きな都市環境の再構築に関して、いくつかの3D再構築手順が説明されてきた。1つのローカライゼーション方法は、3Dモデルからの線を、制御された室内環境から広角カメラによって捕捉された画像内の線とマッチングする。
【0011】
しかしながら、「都市キャニオン」等の屋外環境における姿勢を求めることは、より困難な課題である。そのような環境におけるジオロケーションの目的での姿勢推定は、無線受信が乏しい場合、GPSに基づく解法では多くの場合、困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7、359、526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、そのようなジオロケーション用途のためのカメラに基づく解法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の実施の形態は、最小数の画像特徴を用いてコンピュータービジョンにおける幾何学的問題を解くための方法を提供する。本方法は、幾何学的共線性制約および幾何学的共平面性制約を用いて、4つの最小幾何学問題の解をもたらす。
【0015】
中間基準系を用いて姿勢推定に関与する方程式を単純化する。本明細書において定義されるとき、「基準系」は、3D座標系である。制約の従来の適用では、64次多項式の解がもたらされる。本発明者らの中間基準系を用いると、問題は、4次多項式および8次多項式まで低減される。
【0016】
最小姿勢推定のために、点および線を用いて、最後の2つの欠けている項を与える。
【0017】
姿勢推定は、ワールド内の既知の特徴(点および線)並びに画像に対するそれらの投影を所与として、カメラの姿勢を回復する問題を指す。点特徴および線特徴を用いる4つの最小構成、すなわち、3点、2点1線、1点2線、および3線が存在する。点または線のいずれかのみに依拠する第1の構成および最後の構成のための解法が既知である。
【0018】
しかしながら、実際にはより一般的である混合構成は、これまで解決されていない。
【0019】
本発明者らは、同じ手法を用いて4つ全ての構成を解くことができる汎用技法を開発することが実際に可能であること、およびその解法が4次多項式または8次多項式のいずれかの根を求めることを伴うことを示している。
【0020】
解決の鍵は、適切な中間基準系の選択、および姿勢推定問題を解く際の共線性制約および共平面性制約の使用である。画像シーケンス、および無線受信が乏しいGPS不良都市環境の粗い3Dモデルを用いたジオローカライゼーションのための強力な適用も提供する。
【発明の効果】
【0021】
多くの現実世界の用途において、3点または3線の対応を求めることは、必ずしも可能でない。本発明は、これらの特徴を混合させるという選択を与え、それによって、以前には可能でなかった事例における解決を可能にすることによって、この状況を改善する。
【0022】
共線性制約および共平面性制約を用いた本発明者らの問題定式化、並びに中間基準系を選択する技法は、都市環境におけるジオロケーションおよびオブジェクト検出等の多くの用途で非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】空間内の点が、カメラからの対応する逆投影された光線上にある共線性制約の概略図である。
【図2】空間内の線が、カメラからの対応する逆投影された光線によって形成される対応する解釈平面上にある共平面性制約の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態による、カメラ基準系およびワールド基準系が対応する中間カメラ基準系および中間ワールド基準系に変換される中間変換技法の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態による、2点1線を用いた最小姿勢推定手順のための中間変換の概略図である。
【図5】本発明の実施の形態による、1点2線を用いた最小姿勢推定手順のための中間変換の概略図である。
【図6】本発明の実施の形態による最小姿勢推定方法のフローブロック図である。
【図7】都市環境における強化されたジオロケーションおよびオブジェクト検出に用いられる都市環境の3Dモデルを構築するための方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図6は、本発明の実施の形態による、環境602におけるオブジェクトの3D姿勢641を求めるための方法を示している。姿勢は、並進(T)において3自由度、および回転(R)において3自由度を有する。
【0025】
カメラ603によって環境から捕捉された画像601内の点および線から、特徴が抽出される(610)。これらの特徴は、環境の3Dモデル609にマッチングされ、対応611が求められる。
【0026】
対応を用いて、画像のカメラ基準系および環境のワールド基準系を、対応する中間カメラ基準系および中間ワールド基準系621に変換する。本明細書において定義されるとき、「基準系」は、3D座標系である。幾何学的制約が中間基準系に適用される(630)。次に、制約付き基準系のパラメーターを用いて、3D姿勢が求められる(640)。
【0027】
図7は、環境、たとえば、屋外都市場面の3Dモデルを構築するために実行することができるステップを示している。たとえば、Google 3D Warehouseからテクスチャのない粗い3Dモデルが捕捉される。代替的に、粗いモデルは、車両ナビゲーティング上に搭載されるカメラによって環境を通じて捕捉された画像から構築される。
【0028】
テクスチャを、たとえば、GoogleおよびSketchUpを用いて付加することができる(702)。テクスチャ化されたモデルに人を投入することができ(703)、投影マッピングを用いて道路標識を付加して、詳細な3Dモデルを生成することもできる(704)。構築中、都市環境のいくつかの点および線700を画像から抽出することができる。次に、本明細書において説明される方法を用いて、これらの点および線を用いて様々なオブジェクトの姿勢を求める。そして、この詳細な3Dモデルを、歩行者、車両、交通信号、および道路標識の自動検出を実行するジオロケーション、強化車両ナビゲーションサービスに用いることができる。
【0029】
代替的に、本方法は、自動化された製造中に、工業用部品を掴むための姿勢推定、および屋内場面でのロボットナビゲーションのために最小数の点特徴および線特徴が用いられるロボット設定において、用いることができる。たとえば、環境は、屋内工場設定であり、3D姿勢は、ロボットアームを用いて小さな工業用部品を掴み取るために用いられる。
【0030】
上記の方法ステップの全てを、当該技術分野において既知のメモリおよび入力/出力インターフェースに接続されたプロセッサ600において実行することができる。
【0031】
これより、本方法をより詳細に説明する。
【0032】
共線性および共平面性
図1および図2に示すように、本発明者らの方法は、2つの幾何学的制約、すなわち、共線性および共平面性のみを用いて、4つ全ての最小構成を解決する。共線性制約は、2D−3D対応611から生じる。一般的なイメージングセットアップにおいて、画像内の全てのピクセルが3D投影光線に対応し、対応する3D点がこの光線上にある。ここで、x、y、およびzは、3D座標である。
【0033】
本明細書において説明される最小解は、2D画像特徴に連結される投影光線CDを用い、環境内の関連付けられた3D点Pは、基準系内に表されるとき、共線である。
【0034】
図2において、2D線の端点に連結された2つの投影光線CDおよびCD、並びに2つの点LおよびLによって表される関連付けられる3D線は、全て共平面である。
【0035】
図1において、投影光線CDおよび点Pは、同じ中間基準系内に表されるとき、光線上にある。本発明者らの目標は、姿勢(R、T)のもとで、点Pが光線CD上にある該姿勢(R、T)を見つけることであり、ここで、Rは回転であり、Tは並進である。これらの点を以下の行列にスタックする。この行列を共線性行列と呼ぶ。
【0036】
【数1】

【0037】
第1の共線性制約は、上記の行列のサイズ3×3を有する任意の部分行列の行列式が消滅するように強制する。換言すれば、一度に1つの行を除去することによって、4つの制約を取得する。上記の行列から4つの式を取得するが、2つのみが独立しており、このため有用である。
【0038】
第2の共平面性幾何学的制約は、2D−3D線対応から生じる。図2に示すように、点C、D、D、P、およびPは、同じ基準系内に表されるとき、単一平面上にある。換言すれば、正しい姿勢[R、T]の場合、単一の2D−3D線対応から2つの制約を取得する。すなわち、4つ組(C、D、D、[R、T]L)および(C、D、D、[R、T]L)が、それぞれ共平面である。4つ組(C、D、D、[R、T]L)の共平面性制約は、以下の行列の行列式が消滅するように強制する。
【0039】
【数2】

【0040】
同様に、他方の4つ組(C、D、D、[R、T]L)も共平面性制約を与える。したがって、全ての2D−3D線対応は、線上の2つの点から2つの式をもたらす。
【0041】
本発明者らの目標は、3D特徴(点および線の双方)が共線性制約および共平面性制約を満たす6つのパラメーター(3つがR用で3つがT用)を求めることである。このため、4つの可能な最小構成を有する(3点、2点1線、1点2線、および3線)。
【0042】
基準系
図3に示すように、点および線が存在するカメラ基準系およびワールド基準系は、それぞれCおよびWによって表される。
【0043】
本発明者らの目標は、ワールド基準系Wとカメラ基準系Cとの間の変換を求めることである。最初にCおよびWをそれぞれ中間カメラ基準系Cおよび中間ワールド基準系Wに変換する。次に、これらの中間ワールド基準系Wと中間カメラ基準系Cとの間の姿勢を求める。これは、カメラ基準系とワールド基準系との間の姿勢を求めるのに用いることができる。これらの中間基準系を用いる解法によって、結果としての多項式の次数が大幅に低減される。すなわち、従来の64(2)次多項式から、本発明の4次多項式および8次多項式に低減される。
【0044】
変換(Rw2c、Tw2c)を求める。これは、ワールド基準系およびカメラ基準系内の3Dの点および線を表す。共線性制約および共平面性制約を直接適用した結果、12個の変数(9個のRij、3個のT)を伴う6つの一次方程式となる。これらの変数を解くために、さらなる式を必要とする。これらの式は、6つの二次直交性制約とすることができる。
【0045】
そのような系の解は、最終的に、結果として64個の解を有する64(2)次多項式となる。そのような解を求めることは、いくつかのコンピュータービジョンアプリケーションにとって実現可能でない場合がある。本発明者らの主な目標は、この困難を克服する方法を提供することである。これをなすために、まずカメラ基準系Cおよびワールド基準系Wの双方を、それぞれ中間カメラ基準系Cおよび中間ワールド基準系Wに変換する。
【0046】
この変換後、本発明者らの目標は、中間基準系間の姿勢(R、T)を見つけることである。中間カメラ基準系Cおよび中間ワールド基準系Wを、結果としての多項式が、最も低い可能な次数となるように選択する。2つの最小構成のための姿勢推定手順を説明する。他の2つの構成は、類似した形で取り扱うことができる。
【0047】
最小解
2点1線
2つの2D−3D点および1つの2D−3D線の対応からの姿勢推定手順を提供する。点の2D座標から、較正を用いて対応する投影光線を求めることができる。2D線の構成において、画像内の線の端点の対応する投影光線を求めることができる。以下で、画像上の点特徴および線特徴の関連付けられる3D投影光線のみを考察する。
【0048】
図4(A)〜図4(D)は、カメラ基準系Cおよびワールド基準系W、並びに2点1線構成からの姿勢推定における中間カメラ基準系Cおよび中間ワールド基準系Wを示している。変換前および変換後のカメラ基準系がそれぞれ図4(A)および図4(C)に示されている。同様に、変換前および変換後のワールド基準系がそれぞれ図4(B)および図4(D)に示されている。
【0049】
中間カメラ基準系C
図4(A)および図4(B)において、それぞれ、カメラ基準系Cおよびワールド基準系Wにおけるカメラ投影光線(2Dの点および線に関連付けられる)および3D特徴(点および線)を示している。カメラの中心は、Cであり、2つの2D点に対応する投影光線は、それらの方向ベクトルd(→)およびd(→)によって与えられ、2D線に対応する投影光線は、方向ベクトルd(→)およびd(→)によって与えられる(ここで、(→)の表記は、かっこの前の記号の上に→が付され、ベクトルを表すことを意味している)。
【0050】
中間カメラ基準系Cにおいて、常に、2つの点(中心および光線上の点)を用いてカメラの投影光線を表す。2つの2D点に対応する投影光線は、CDおよびCDであり、線は、CDおよびCDである。3つ組(C、D、D)によって形成される平面は、解釈平面と呼ばれる。
【0051】
以下の条件を満たす中間カメラ基準系Cを選択する。
a.カメラ中心が座標C(0、0、−1)にある、
b.線Lに対応する投影光線のうちの一方CDが、D=(0、0、0)となるようにZ軸上にある、および
c.線Lに対応する他方の投影光線CDが、DがX軸上にあるようにXZ平面上にある。
【0052】
構築的な偏角を用いて、2点1線に対応する投影光線の任意のセットの変換が可能である。PおよびPがそれぞれ基準系CおよびC内の任意の点の座標を表すとする。この表記に従って、点DおよびDは、代数的微分を用いてCおよびCで表される。
【0053】
【数3】

【0054】
とCとの間の姿勢(Rc1、Tc1)は、3つ組(C、D、D)を(C、D、D)に変換するものによって与えられる。
【0055】
中間ワールド基準系W
中間ワールド基準系は、以下のように記述することができる。任意の2つの3D点PおよびQ間のユークリッド距離をd(P、Q)によって表されるものとする。Wにおける3D線上の2つの3D点および1つの3D点は、下式となる。
【0056】
【数4】

【0057】
ここで、XおよびYは、三角法を用いて求めることができる。
【0058】
【数5】

【0059】
ワールド基準系Wと中間ワールド基準系Wとの間の姿勢(Rw1、Tw1)は、3つ組(P、P、L)を(P、P、P)に変換するものによって与えられる。簡潔にするために、姿勢推定手順において、以下の表記を用いる。
【0060】
【数6】

【0061】
中間カメラ基準系Cと中間ワールド基準系Wとの間の姿勢推定
第1のステップは、全ての利用可能な共線性制約および共平面性制約を行列内にスタックすることである。この場合、3D点PおよびPにそれぞれ対応する3つ組(C、D、P)および(C、D、P)のための2つの共線性行列を有する。式(1)に示すように、これらの2つの共線性行列は、4つの方程式を与える。
【0062】
加えて、3D線Lに対応する4つ組(C、D、D、L)および(C、D、D、L)からの2つの共平面性方程式を有する。(部分)行列の行列式からの制約をスタックした後、線形系AX=Bを得る。ここで、A、X、およびBは、下式である。
【0063】
【数7】

【0064】
行列Aは、既知の変数を有し、階数6である。線形系内に8つの変数が存在するので、2つのベクトルが広がる部分空間内に解を得ることができる。
a.X=u+lv+l
ここで、u、v、およびwは、サイズ8×1の既知のベクトルである。
【0065】
次に、回転行列からの直交性制約を用いて、未知の変数lおよびlを推定する。回転変数を伴う2つの直交性制約を書くことができる。
【0066】
【数8】

【0067】
これらの回転変数をlおよびlの関数として代入し、上記の連立二次方程式を解いた後、(l、l)について4つの解を得て、このため(R11、R21、R31、R22、R23)について4つの解を得る。
【0068】
回転行列内の5つの要素は、直交性制約を用いて、他の要素を一意に確定する。このため、2点1線構成によって、姿勢(R、T)の合計4つの解がもたらされる。
【0069】
1点2線
このセクションでは、1つの2D−3D点、および2つの2D−3D線対応からの姿勢推定手順を説明する。
【0070】
中間カメラ基準系W
図5(A)および図5(B)は、それぞれ、カメラ基準系Cおよびワールド基準系Wにおけるカメラ投影光線(2Dの点および線に関連付けられる)および3D特徴(点および線)を示している。カメラ基準系Cにおいて、カメラの中心は、Cにあり、2D点に対応する投影光線は、それらの方向ベクトルd(→)によって与えられ、2つの2D線に対応する投影光線は、方向ベクトルの対(d(→)、d(→))および(d(→)、d(→))によって与えられる。中間カメラ基準系Cにおいて、2D点に対応する光線は、CDであり、2つの線に連結される光線は、それぞれ対(CD、CD)、および(CD、CD)である。
【0071】
以下の条件を満たすことによって、Cを選択する。
a.カメラ中心が、座標C(0、0、−1)にある、
b.2つの解釈平面の交差線からの投影光線CDが、D=(0、0、0)となるようにZ軸上にある、および
c.光線CDが、XZ平面上にあり、ただしDが、X軸上にある。
【0072】
上記の構成と同様に、そのような変換が構築によって可能であることを証明する。解釈平面(C、d(→)、d(→))の単位法線ベクトルは、n(→)=d(→)×d(→)およびd(→)=d(→)×d(→)によって与えられる。2つの平面の交差線の方向ベクトルは、d12(→)=d(→)×d(→)として求めることができる。Cにおける方向ベクトルd(→)、d12(→)およびd(→)は、それぞれ投影光線CD、CD、およびCDに対応する。
【0073】
代数的変換を用いて、中間基準系への変換前および変換後の点DおよびDは下式となる。
【0074】
【数9】

【0075】
カメラ基準系Cと中間カメラ基準系Cとの間の変換は、3つ組(C、D、D)を(C、D、D)に投影するものによって与えられる。
【0076】
中間ワールド基準系W
中間ワールド基準系Wは、単一の3D点Pが原点(0、0、0)にあるように選択される。ワールド基準系Wと中間ワールド基準系Wとの間の変換は、PをPに並進させる。簡潔にするために、CおよびWにおけるいくつかの点について、以下の表記を用いる。
【0077】
【数10】

【0078】
中間カメラ基準系Cと中間ワールド基準系Wとの間の姿勢推定
1点2線対応を用いた姿勢推定を説明した。3つ組(C、D、P)からの2つの共線性方程式と、4つ組(C、D、D、L)および(C、D、D、L)からの4つの共平面性方程式とをスタックする。以下の線形系、すなわち、AX=Bを構築する。ここで、A、X、およびBは、下式となる。
【0079】
【数11】

【0080】
線形系AX=Bにおいて、第1の行および第2の行は、3つ組(C、D、P)について、式(1)の共線性制約を用いて得られる。第3行、第4行、第5行、および第6行は、それぞれ4つ組(C、D、D、L)、(C、D、D、L)、(C、D、D、L)、および(C、D、D、L)について、式(2)の共平面性制約を用いて得られる。
【0081】
行列Mは、既知の変数を有し、階数6である。線形系内に9つの変数が存在するので、2つのベクトルが広がる部分空間内に以下に示すように解を得ることができる。すなわち、X=u+lv+lw+lyであり、ここで、u、v、w、およびyは、サイズ9×1の既知のベクトルであり、l、l、およびlは、未知の変数である。3つの直交性制約は、回転変数R11、R12、R13、R21、R22、およびR23を含んでいる(X内の個々の要素は、l、l、およびlの関数として表される)。
【0082】
【数12】

【0083】
上記の方程式の効率的で安定した解を得るために、グレブナー基底法を用いて構築された自動ソルバを用いて、(l、l、l)の8つの異なる解を得る。結果として、これによって姿勢(R、T)の8つの解が生成された。
【0084】
退化構成および他のシナリオ
3D特徴間で、3D点が3D線上にある場合、構成は、退化している。座標変換の同じ着想および共線性制約および共平面性制約の使用を用いて、3点および3線を解くことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境における3次元(3D)オブジェクトの3D姿勢を求めるための方法であって、
カメラによって前記環境から捕捉した画像から特徴を抽出することと、
前記特徴を前記環境の3Dモデルにマッチングすることであって、対応を求める、マッチングすることと、
前記対応を用いて、前記画像のカメラ基準系および前記環境のワールド基準系を対応する中間カメラ基準系および対応する中間ワールド基準系に変換することと、
前記中間カメラ基準系および前記中間ワールド基準系に幾何学的制約を適用することであって、制約付き中間ワールド基準系および制約付きワールド基準系を取得する、適用することと、
前記制約付き中間ワールド基準系および前記制約付きワールド基準系のパラメーターから前記3D姿勢を求めること
を含み、これらのステップは、プロセッサにおいて実行される、方法。
【請求項2】
前記環境は、屋外都市場面であり、前記3D姿勢は、ジオロケーションのために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記姿勢は、自動ナビゲーションのために用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記環境は、屋内工場設定であり、前記3D姿勢は、ロボットアームを用いて小さな工業用部品を掴み取るのに用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記幾何学的制約は、共線性制約および共平面性制約である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記特徴は、2つの点および1つの線を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記特徴は、1つの点および2つの線を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記パラメーターは、前記姿勢の3つの回転パラメーターおよび3つの並進パラメーターを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記姿勢は、4次多項式を用いて求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記姿勢は、8次多項式を用いて求められる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記中間カメラ基準系において、前記カメラの中心は、座標C(0、0、−1)にあり、第1の線の投影光線は、Z軸上の線に対応し、第2の線の投影光線は、XZ平面上の線に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記姿勢は、ランダムサンプルコンセンサスの枠組みを用いて推定される、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−8124(P2012−8124A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−123320(P2011−123320)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(597067574)ミツビシ・エレクトリック・リサーチ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド (484)
【住所又は居所原語表記】201 BROADWAY, CAMBRIDGE, MASSACHUSETTS 02139, U.S.A.
【Fターム(参考)】