説明

環状シームレスベルトおよびその製造方法

【課題】低コストでベルト端部強度が向上した、生産性のよい環状シームレスベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】ベルト基材101の両端に該ベルト基材よりも厚い補強部102が一体的に設けられた環状シームレスベルト。軸方向で互いに連結/切り離し可能な2個以上の金型ユニットを連結させてなる連結式金型の表面に対して一端側から樹脂溶液を連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返す環状シームレスベルトの製造方法であって、金型ユニットの切り離し前に、切り離される金型ユニットpおよび該金型ユニットに隣接する金型ユニットqの表面にある樹脂塗膜に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目で規制部材を押圧して、樹脂塗膜の端部を規制する環状シームレスベルトの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環状シームレスベルトおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の複写機やプリンター等の画像形成装置において、感光体、中間転写体および定着ベルト等としては、薄肉の樹脂ベルトがよく用いられる。そのような樹脂ベルトは変形が可能なため、装置の小径化に有用である。樹脂ベルトに継ぎ目(シーム)があると、出力画像に継ぎ目に起因する欠陥が生じるので、継ぎ目がないシームレスベルトが好ましい。
【0003】
シームレスベルトは、例えば、金型の外周面または内周面に樹脂溶液を塗布し、樹脂塗膜を加熱し、得られた樹脂膜を脱型する方法によって製造される。特に、ポリイミド樹脂からなるシームレスベルトは、金型の外周面または内周面にポリイミド前駆体溶液を塗布し、樹脂塗膜を加熱して乾燥および反応させ、得られた樹脂膜を脱型する方法によって製造される。金型は一般に、樹脂膜の脱型を容易にするために、樹脂溶液塗布面にメッキ膜やシリコーン樹脂膜等の離型層が形成されて使用される(例えば、特許文献1〜3)。また金型は軸方向長さを所望のベルトの幅と略同等に設定され、量産時には数百本用意され、それらを繰り返して使用される。
【0004】
しかしながら、従来の製造方法で得られたベルトは端部が補強処理されていないので、複数のローラに張架させて使用すると、当該ローラの低い真円性および真直性に起因して、ベルト駆動時においてベルト幅方向への蛇行が起こった。蛇行が起こると、ベルトが、周辺の部品、例えばベルトの蛇行を規制するガイド部材等に接触し、比較的短時間の使用でベルト端面にクラックが入り、ベルトの破損が起こった。
【0005】
そこで、特許文献4および5では、ベルトの両端にベルト基材とは別の補強部材を貼り付けることを提案している。しかしながら、別部材を精度良く貼り付けることは部品のコストアップにつながった。また、使用部位を考えると、熱がかかることによる接着剤のしみだしの懸念があった。すなわち、低コストで十分な補強効果を得ることはできないのが現状であった。
【特許文献1】特開平1−156017号公報
【特許文献2】特開平6−23770号公報
【特許文献3】特開2004−291367号公報
【特許文献4】特開2001−282017号公報
【特許文献5】特開2005−266519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、低コストでベルト端部強度が十分に向上した環状シームレスベルトを提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、低コストでベルト端部強度を十分に向上した環状シームレスベルトを生産性よく製造できる環状シームレスベルトの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ベルト基材の両端に該ベルト基材よりも厚い補強部が一体的に設けられたことを特徴とする環状シームレスベルトに関する。
【0009】
本発明はまた、
軸方向で互いに連結/切り離し可能な2個以上の金型ユニットを連結させてなる連結式金型の表面に対して一端側から樹脂溶液を連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返す環状シームレスベルトの製造方法であって、
金型ユニットの切り離し前に、切り離される金型ユニットpおよび該金型ユニットに隣接する金型ユニットqの表面にある樹脂塗膜に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目で規制部材を押圧して、金型ユニットp表面の樹脂塗膜における金型ユニットq側の端部、および金型ユニットq表面の樹脂塗膜における金型ユニットp側の端部を規制することを特徴とする環状シームレスベルトの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の環状シームレスベルトは、ベルト基材の両端に補強部が一体的に設けられているので、低コストでベルト端部強度を十分に向上できる。
本発明によれば、金型は連結式構造を有し、当該連結式金型に樹脂溶液を連続的に塗布することにより、ベルトの連続製造が可能となるので、生産性に優れている。
本発明によれば、連結式金型はその表面に樹脂溶液を連続的に塗布され、塗布が中断することはないため、得られるベルトの膜厚は比較的均一である。
本発明によれば、連結式金型はその表面全面に樹脂溶液を連続的に塗布され、離型層の露出がないので、剥離不良に起因する破損を防止できる。
本発明によれば、たとえベルトに剥離不良に起因する破損が生じても、当該破損が生じた金型ユニットのみを取り替えればよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
<環状シームレスベルト>
本発明の環状シームレスベルト(以下、単に「ベルト」ということがある)は、ベルト基材の両端に補強部を有するものである。
【0012】
例えば、図1に示すように、本発明のベルト100は、ベルト基材101の幅方向Dにおける両端に補強部102を有するものである。図1は本発明のベルトの概略見取り図である。
【0013】
補強部102はベルト基材101よりも厚みが厚くなっており、当該ベルト基材101に対して一体的に設けられている。これによって低コストでベルトの端部強度が十分に向上する。
【0014】
ベルト基材101および補強部102の平均厚みは、ベルトの用途に応じて適宜設定されればよい。例えば、電子写真式画像形成装置で使用される定着ベルト、転写ベルト、接触帯電ベルト等のベルトとして使用する場合、ベルト基材101の平均厚みは20〜1000μm、特に30〜100μmが好ましく、補強部102の平均厚みは30〜1500μm、特に40〜200μmが好ましい。
【0015】
補強部102の幅方向Dの長さは特に制限されず、通常は1〜15mm、特に2〜10mmである。
【0016】
ベルト基材101および補強部102を構成する材料は公知の樹脂が使用可能であり、例えば、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂等が挙げられる。具体的には、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーなどが使用可能である。中でも、強度、耐熱性、耐久性、寸法安定性の観点から、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、特にポリイミド樹脂が好ましい。
【0017】
<金型>
本発明のベルトの製造に使用される金型は、表面に樹脂溶液を塗布されて、環状シームレスベルトを製造するためのものであって、軸方向で互いに連結/切り離し可能な2個以上の金型ユニットを連結させてなる連結式構造を有するものである。樹脂溶液は連結式金型の外周面に塗布されても、または内周面に塗布されてもよい。樹脂溶液を連結式金型外周面に塗布する場合、当該連結式金型を構成する金型ユニットは中空体であってもよいし、または中実体であってもよい。樹脂溶液を金型内周面に塗布する場合、当該連結式金型を構成する金型ユニットは中空体である。
【0018】
連結式金型(以下、単に「金型」ということがある)を構成する金型ユニットは、2個以上用意したとき、軸方向で互いに連結/切り離し可能なものであり、例えば、両端に連結部を有し、一端の連結部が他端の連結部と嵌合可能な形状を有する金型ユニットであればよい。嵌合とは、一方の凸部を他方の凹部に嵌入させることによって結合を達成することである。
【0019】
そのような金型ユニットの具体例として、例えば、図2に示すものが挙げられる。図2は本発明の連結式金型を構成する金型ユニットの一実施形態を示す概略構成図であって、当該金型ユニット軸を通る断面図を示すものである。
図2に示す金型ユニット1は一端に凸部2を有し、他端に凹部3を有し、当該凸部2および凹部3は互いに嵌合可能な形状を有するものである。そのため、そのような金型ユニットを複数個用意したとき、凸部−凹部間の嵌合によって連結/切り離し可能に連結できる。金型ユニット1は中空形状を有しているので、外周面に樹脂溶液が塗布されても、または内周面に樹脂溶液が塗布されてもよい。
【0020】
金型ユニット1の軸方向長さXは、従来の金型の軸方向長さに対応するものであり、環状シームレスベルト1個分の所定幅Yに略同等である。図2における寸法Zは、得ようとする環状シームレスベルトの用途等に依存して決定されるため、特に制限されるものではない。
【0021】
金型ユニットを構成する材料としては、シームレスベルトの製造時における加熱によっても変形が起こらないものであれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鋼、ステンレス等の金属、アルミナ、炭化珪素等のセラミックス、およびポリイミド、ポリアミドイミド等の耐熱樹脂等が好ましく使用される。中でも市場流通性、耐溶剤性、熱伝導性、強度等の観点から、アルミニウムが特に好ましく用いられる。上記金属からなる金型ユニットを製造するに際しては、溶融金属を特定形状の鋳型へ流し込み、冷却した後、切削等を施せばよい。特にアルミニウムを用いる場合は、管材、あるいは棒材を切削により所定の形状にすればよく、金属の中でも切削性に優れるため、加工しやすい特徴があり、型生産効率を上げられる。
【0022】
金型ユニットにおける樹脂溶液塗布面には離型層が形成されていることが好ましい。
離型層を構成する材料としては特に制限されず、例えば、シリコーン樹脂やフッ素含有樹脂等を被覆したり、シリコーン系、フッ素系離型剤をコーティングして使用される。
【0023】
連結式金型の一実施形態を図3に示す。図3に示す連結式金型10は、図2に示す金型ユニット1を5個だけ連結させてなるものである。
金型を構成する金型ユニットの数は2個以上であれば特に制限されるものではなく、例えば、2〜10個、特に4〜7個程度でよい。
【0024】
<環状シームレスベルトの製造方法>
本発明の環状シームレスベルトは以下に示す環状シームレスベルトの製造方法によって製造できる。
そのような環状シームレスベルトの製造方法においては、上記連結式金型の表面に対して一端側から樹脂溶液を連続的に塗布する樹脂塗膜形成工程を含む。これにより、複数の金型ユニットに対する樹脂溶液の塗布を連続的に行うことができる。
【0025】
樹脂溶液の塗布方法は、連結式金型に対して軸方向一端側からの塗布が可能であれば特に制限されず、通常はリングコート法、ブレードコート法、バーコート法、ロールコート法が採用され、縦塗りが可能なこと、外塗りと内塗りのどちらでも可能なこと、といった観点から、リングコート法が好ましい。
【0026】
リングコート法においては、樹脂溶液が塗布されるべき塗布面の外側または内側で当該塗布面と所定の間隙を確保しながら、樹脂溶液を金型の全周にわたって一様な速度で吐出する樹脂溶液用環状スリットヘッドを用いて塗布を行う。樹脂溶液用環状スリットヘッドは樹脂溶液を貯蔵および供給する供給槽と一体化された構成を有していてもよいし、または当該供給槽を外部に配置した構成を有していてもよい。
【0027】
樹脂溶液を連続的に塗布するとは、複数の金型ユニットからなる連結式金型に一端側から樹脂溶液を塗布するに際し、1つの金型ユニットの塗布を終えた後、中断することなく、前記一端側から他端側への方向で隣の金型ユニットの塗布を連続的に行うという意味である。
【0028】
本工程における樹脂塗膜の厚みを調整することによってベルトにおけるベルト基材部および補強部の平均厚みを調整できる。
【0029】
本発明においては、そのような樹脂塗膜形成工程で、連続的塗布を行いながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返す。図4に樹脂溶液の塗布時の実施形態の一例を示す。
【0030】
図4は、5個の金型ユニットを連結した連結式金型10に対して一端側Aから樹脂溶液4を連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部の金型ユニット1aを切り離すとともに、該連結式金型10の他端側Bに新規金型ユニット1fを連結させるところの概略模式図である。樹脂溶液用環状スリットヘッド11は、一体化された供給槽12内の樹脂溶液4を、連結式金型10の外周面に対して外側から所定の速度で制御しながら連続的に吐出する。一方で連結式金型10は所定の速度で図4中、上方に移動する。その結果、樹脂溶液4は複数の金型ユニットをまたいで連続的に塗布される。図4において、連結式金型10は移動し、環状スリットヘッド11は固定されているが、環状スリットヘッド11が連結式金型10に対して相対的に移動できれば特に制限されず、両者が互いに反対方向に移動しても、または連結式金型10が固定され、環状スリットヘッド11が移動してもよい。
【0031】
塗布を連続的に行いながら、金型ユニットの切り離し/連結を行うときの具体例を以下に示す。
まず、連結式金型10を図4に示すように上方移動させ、環状スリットヘッド11による連続塗布を開始する。図4に示すように、1番目の金型ユニット1aの塗布を完了し、2番目の金型ユニット1bおよび3番目の金型ユニット1cへと連続して塗布する。そして、環状スリットヘッド11が連結した3番目の金型ユニット1cと4番目の金型ユニット1dとのつなぎ目へ到達した時、1番目の金型ユニット1aの上方への切り離しを実行する。それと同時に最下部の5番目の金型ユニット1eの下に新規の金型ユニット1f(6番目)を連結する。これ以降は、環状スリットヘッド11が次の金型ユニットのつなぎ目(例えば、金型ユニット1dと1eとのつなぎ目)に到達する毎に、最上部の金型ユニット(例えば、金型ユニット1b)を切り離し、新規の金型ユニット(図示せず)を最下部の金型ユニット(例えば、金型ユニット1f)の下に連結するというサイクルを繰り返すことにより、複数の金型ユニットへの塗布が連続して行われる。
【0032】
本発明において金型ユニットの切り離し前には、規制部材による押圧・規制を行う。以下、連結式金型の一端側からの連続的塗布によって塗布が完了した当該一端側最端部の金型ユニットであって、まず切り離される金型ユニットを「金型ユニットp」(図4中、1a)、当該金型ユニットpに隣接する金型ユニットを「金型ユニットq」(図4中、1b)と呼ぶものとする。
【0033】
規制部材による押圧・規制に際しては、図5(A)に示すように、金型ユニットp(1a)および金型ユニットq(1b)の表面にある樹脂塗膜4に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目16で規制部材20を押圧して、図5(B)に示すように、金型ユニットp(1a)表面の樹脂塗膜4aにおける金型ユニットq側の端部41a、および金型ユニットq(1b)表面の樹脂塗膜4bにおける金型ユニットp側の端部41bを規制する。詳しくは、図5(B)に示すように、規制部材20の押圧により、樹脂塗膜4を金型表面上で押しのけて、金型軸を通る断面において該規制部材20の両側に盛り上がり部42a、42bを形成しつつ、該盛り上がり部を規制して端部41a、41bの形状を制御する。端部41a、41bにおける盛り上がり部42a、42bは図5(B)に示すように自由面を有していてもよいし、または規制部材20によって規制されてもよい。そのような端部41a、41bが前記したベルト100における補強部102に相当するものである。図5(A)は、樹脂溶液の塗布が完了した金型ユニット連結部の拡大模式図であり、図5(B)は図5(A)に示す樹脂塗膜に対して規制部材を適用したところの拡大模式図である。つなぎ目とは樹脂溶液塗布面における金型ユニット同士のつなぎ目である。
【0034】
そのような規制部材による押圧・規制を行った後は、金型ユニットpを切り離す。その際には、図5(C)に示すように、規制部材20を金型軸方向で分割させて、その後も、金型ユニットp(1a)表面の樹脂塗膜4aおよび金型ユニットq(1b)表面の樹脂塗膜4bの端部(41a、41b)の規制を継続することが好ましい。20aおよび20bは分割された規制部材であり、そのような分割規制部材20a、20bによる規制は、通常、後述する乾燥工程が終了するまで継続される。図5(C)は規制部材を適用後に金型ユニットpを切り離すところの拡大模式図である。本発明は、規制部材による押圧・規制後において、規制部材20を分割させて端部の規制を継続しなければならないというわけではなく、規制部材を分割させることなく、退避させてから、金型ユニットpを切り離しても良い。
【0035】
規制部材20は、図6(A)に示すように、樹脂塗膜に対する押圧時において樹脂塗膜を押しのける押しのけ部201a、201b、および端部41a、42bを規制する規制部202a、202bを有するものであり、その形状は特に制限されるものではない。規制部材20は、金型ユニットpの切り離し時において、自己が分割されることによって、端部41a、41bの規制を継続できるものであることが好ましい。図6(A)において、押しのけ部201a、201bにはそれぞれ位置決め部203a、203bが備わっており、当該押しのけ部によって樹脂塗膜を押しのける際、当該位置決め部203a、203bを金型ユニット間のつなぎ目に差し込むことにより、端部の位置精度を向上させることができるが、本発明において規制部材20は位置決め部203a、203bを必ずしも有さなければならないというわけではない。例えば、図6(A)に示す規制部材20は、具体的には、位置決め部203a、203bから上下にある金型ユニットの表面に沿って上下に折れ、樹脂塗膜の端部位置を規制する位置(図6(A)中、Y)で金型ユニット表面から鉛直に立ちあがり、次に樹脂塗膜端部41a、41bの厚みを規制する位置(図6(A)中、T)で再度金型ユニット表面と並行で上下に折れ、さらに任意長のところで金型ユニット表面から鉛直方向に折れた形状を有している。図6(A)は規制部材20の断面形状を示すものであり、詳しくは当該規制部材を用いて金型表面の樹脂塗膜を規制したときの当該金型軸を通る断面における規制部材の断面図を示すものである。規制部材は、実際はそのような断面形状をもって金型を周回する立体形状を有し、かつ周方向で2以上に分割されている。図6(A)に示す規制部材が金型軸方向および周方向で等分割され、4つの分割部分からなるときの1つの分割規制部材の見取り図を図6(B)に示す。
【0036】
規制部材20の具体的寸法は、端部の規制を行える限り特に制限されず、例えば、樹脂塗膜の端部位置を規制する押しのけ部の長さ(図6(A)中、Y)は、ベルトにおける端部以外の部分の平均厚みをt(μm)としたとき、2×t以上、特に2×t以上10×t以下、好ましくは4×t以上6×t以下である。また例えば、樹脂塗膜の端部厚みを規制する規制部高さ(図6(A)中、T)は、上記と同様のtについて、1.5×t以上、特に1.5×t以上5×t以下、好ましくは2×t以上3×t以下である。
【0037】
規制部材の構成材料としては、特に制限されず、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属、ポリイミド、ポリアミドイミド等の耐熱樹脂等が挙げられる。規制部材の離型性を良好にするため、部材表面にシリコーン樹脂層あるいは、フッ素樹脂層を塗布しておくことが好ましい。
【0038】
本発明において樹脂溶液を塗布した後、樹脂塗膜を規制部材により押圧・規制する前に、金型ユニットp表面の樹脂塗膜と、金型ユニットq表面の樹脂塗膜とを、それらの金型ユニットのつなぎ目でカットすることが好ましい。樹脂塗膜を金型ユニットpと金型ユニットqとのつなぎ目でカットした後、当該つなぎ目で、上記した規制部材による押圧・規制を行うことにより、規制部材の押しのけ部と金型表面との間に樹脂塗膜が残留するのを抑制できる。
【0039】
カット手段は特に制限されず、例えば、エアーを吐出すること、刃物やレーザー等を用いること等が挙げられるが、エアーを吐出することが好ましい。刃物等の接触式のカット手段を用いると、カット後、刃物を樹脂塗膜から遠ざける際に、粘性流体である樹脂塗膜が刃物に付着したまま引っ張られてしまう。また、レーザーのような非接触式だけれどカット幅の薄いカット手段を用いると、レーザーを当てている間は切れていても、オフした途端にカット上面側の樹脂塗膜が垂れてきて、またつながってしまう。それらのカット手段に対し、エアー吐出によるカット手段であれば、非接触で、かつカット幅も十分取れるため、有効である。
【0040】
エアーの吐出によりカットする場合、詳しくは図7(A)に示すように、エアー13を樹脂塗膜4に対して吐出させることにより、図7(C)に示すように、該樹脂塗膜4を金型表面上、エアー吐出線14の両側へ押しのける。これによって、樹脂塗膜4がカットされ、分割される。図7(A)は、樹脂溶液の塗布が完了した金型ユニット連結部の拡大模式図であり、図7(C)は図7(A)に示す樹脂塗膜をエアーによりカットしたところの拡大模式図である。図7(A)および図7(C)において金型ユニット1aと金型ユニット1bとの間には間隙15が生じているが、なくてもよい。また図7(A)においてエアー13は金型ユニットの外側から樹脂塗膜4に対して吐出されているが、金型ユニット1aと金型ユニット1bとの間に間隙15がある場合はこれに制限されず、図7(B)に示すように、エアー13は金型ユニットの内側から間隙15を経て樹脂塗膜4に対して吐出されてもよい。エアー吐出線とは、エアーの吐出方向を示す線である。
【0041】
エアーの吐出は、例えば、エアー用環状スリットヘッド(図示せず)によって達成される。エアー用環状スリットヘッドは、連結式金型の外側または内側で該金型の樹脂溶液塗布面と所定の間隙を確保して位置し、環状に有するスリットより金型の全周にわたって一様な圧力で圧縮エアーを吹き出させる。エアー圧力は樹脂塗膜を押しのけて、樹脂塗膜の分離・分割を達成できれば特に制限されない。
【0042】
エアーは、金型ユニットpと金型ユニットqとのつなぎ目を目標にして吐出させる。したがって、エアー吐出によって金型表面上、エアー吐出線14の両側へ押しのけられた樹脂塗膜4a、4bは、図7(C)に示すように、つなぎ目16を挟んで略一定幅で分断される。
【0043】
金型ユニットpの切り離しおよび新規金型ユニット(例えば、図4における1f)の連結の動作は、樹脂溶液を塗布する樹脂溶液用環状スリットヘッドが別の金型ユニットのつなぎ目位置、例えば、図4において金型ユニット1cと1dとのつなぎ目位置、にある時に行われる。一連の金型ユニットの切り離し/連結動作時において振動等によって、樹脂溶液の塗布動作に対して膜厚の乱れ等の悪影響があっても、そのような悪影響を最小限に抑えるための制御である。樹脂塗膜における金型ユニットのつなぎ目に膜厚乱れ等の悪影響が起きても、当該つなぎ目において将来、端部(補強部)が形成されるので、影響は少ない。
【0044】
本発明において使用される樹脂溶液は、前記したベルト基材および補強部の構成材料を形成可能な樹脂を有機溶剤に溶解して得られるものである。そのような樹脂として、例えば、未硬化の液状熱硬化性樹脂、未硬化の固形状熱硬化性樹脂、および熱可塑性樹脂等が挙げられる。有機溶剤としては、樹脂を溶解可能なものであれば特に制限されず、例えば、後述する有機溶剤等が挙げられる。なお、液状の樹脂を使用する場合、有機溶剤の使用は必ずしも要しない。
【0045】
本方法において例えば、ポリイミド樹脂製の環状シームレスベルトを製造する場合、樹脂溶液としてポリイミド前駆体溶液が使用される。ポリイミド前駆体として、いわゆるポリアミック酸、例えば、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)とp−フェニレンジアミン(PDA)からなる前駆体、ピロメリット酸二無水物(PMDA)と4,4’−ジアミノフェニルエーテル(ODA)からなる前駆体等が使用される。
【0046】
また例えば、ポリアミドイミド樹脂製の環状シームレスベルトを製造する場合、樹脂溶液としてポリアミドイミド前駆体溶液が使用される。ポリアミドイミド前駆体として、例えば、アミド基含有芳香族ジアミンとPMDAからなる前駆体や、芳香族ジアミンまたはその誘導体と無水トリメリット酸(TMA)からなる前駆体等が使用される。
【0047】
以下、特に好ましい実施態様として、ポリイミド樹脂製の環状シームレスベルトの製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリイミド樹脂環状シームレスベルトの製造方法は、以下の工程を含むものである;
上記連結式金型に対して一端側から樹脂溶液を連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返す樹脂塗膜形成工程であって、金型ユニットの切り離し前に、切り離される金型ユニットpおよび該金型ユニットに隣接する金型ユニットqの表面にある樹脂塗膜に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目で規制部材を押圧して、金型ユニットp表面の樹脂塗膜における金型ユニットq側の端部、および金型ユニットq表面の樹脂塗膜における金型ユニットp側の端部を規制する工程;
切り離された金型ユニット表面の樹脂塗膜を加熱し、乾燥させる乾燥工程;
乾燥した樹脂塗膜を加熱して焼成する焼成工程;および
焼成した樹脂塗膜を金型ユニットから剥離する脱型工程。
【0048】
(樹脂塗膜形成工程)
本工程は、以下に特記しない限り、前記した樹脂塗膜形成工程と同様である。
樹脂溶液はポリイミド前駆体溶液である。ポリイミド前駆体は上記したものが使用可能であり、2種以上を混合して用いてもよい。
【0049】
有機溶剤は、ポリイミド前駆体を溶解可能なものであれば、特に制限されず、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。樹脂溶液におけるポリイミド前駆体の濃度、粘度等は、塗布方法およびベルトの所望厚み等に応じて適宜選択される。
【0050】
得られる成形体を、定着ベルト、中間転写ベルト、接触帯電ベルト等、導電性機能を付与する場合には、樹脂溶液の中に導電性物質の添加剤を分散させることができる。
【0051】
(乾燥工程)
本工程では、樹脂塗膜を加熱し、乾燥させる。
詳しくは、樹脂塗膜中に過度に残留する溶剤を除去する目的で、静置しても塗膜が変形しない程度まで加熱乾燥を行う。乾燥条件は、80〜200℃の温度で30〜60分間であることが好ましい。その際、温度が高いほど、加熱時間は短くてよい。また、加熱することに加え、風を当てることも有効である。また、遠赤外線加熱やハロゲン加熱を用いれば、溶剤除去をさらに効率よく行うことができる。加熱は、時間内において、段階的に上昇させたり、一定速度で上昇させてもよい。なお、樹脂塗膜から溶剤を除去させすぎると、塗膜はまだベルトとしての強度を保持していないので、割れを生じる虞がある。そのため溶剤を適度に残留させておくことが好ましい。具体的には樹脂塗膜中に15〜50質量%、特に35〜50質量%の割合で溶剤を残留させることが好ましい。
【0052】
(焼成工程)
本工程では、乾燥した樹脂塗膜を加熱して焼成する。
詳しくは、300〜450℃、好ましくは350℃前後で、20〜60分間、樹脂塗膜を加熱反応させることで、ポリイミド樹脂膜を形成できる。加熱反応の際、塗膜中に有機溶剤が残留していると、ポリイミド樹脂膜に膨れが生じることがあるため、加熱の最終温度に達する前に、完全に残留溶剤を除去することが好ましく、具体的には、加熱前に、200〜250℃の温度で、10〜30分間加熱乾燥して残留溶剤を除去し、続けて、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱し、ポリイミド樹脂膜を形成することが好ましい。この際、遠赤外線加熱やハロゲン加熱を併用すれば、残留溶剤の除去とイミド化反応を効率的に行える。
【0053】
(脱型工程)
本工程では、焼成した樹脂塗膜(ポリイミド樹脂膜)を金型ユニットから剥離し、脱型する。
金型ユニットからの樹脂塗膜の剥離方法は、特に制限されるものではなく、例えば、金型ユニットと皮膜との隙間に、加圧空気を注入することで、皮膜を膨張させて剥離できる。加圧空気の圧力は、一般的な空気圧縮機で得られる数気圧程度でよい。注入された加圧空気は、ある程度は皮膜端部から漏れるが、全部が漏れるわけではないので、皮膜は空気圧により、多少、膨れることになる。そのため、形成された樹脂塗膜を金型ユニットから容易に抜き取ることができる。
【0054】
抜き取られた樹脂塗膜は、環状シームレスベルト1個分の所定幅と同等の幅を有しており、しかも幅方向の両端において補強部が一体的に設けられているので、耐久性に優れた環状シームレスベルトとしてそのまま使用できる。
【実施例】
【0055】
<実施例1>
(金型ユニットAの製造)
内径26mm、外径30mmおよび長さ300mmのアルミニウム製円筒状金型ユニットを注型法により製造し、切削により、図2に示すような凸部および凹部を設けた。凸部および凹部の軸方向の段差は5mmであった。
金型ユニットの外周面に、シリコーン系離型剤(商品名:KS700 (株)信越化学社製)を塗布することによって離型層としてシリコーン樹脂膜(膜厚約1μm)を形成し、金型ユニットAとして用いた。
【0056】
(連結式金型の製造)
金型ユニットAを5個連結して連結式金型を製造した。
【0057】
(樹脂塗膜形成工程)
3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、p−フェニレンジアミン(PDA)とを、N,N−ジメチルアセトアミド中で反応させて、22質量%濃度ポリイミド前駆体溶液Aを調製した。この前駆体溶液Aに、カーボンブラック(商品名:スペシャルブラック4、デグザヒュルス社製)を固形分質量比で23%混合し、次いでジェットミルにより分散し、樹脂溶液Aを得た。
図4に示すように、樹脂溶液用環状スリットヘッドにより、上記連結式金型に対して一端側から樹脂溶液Aを連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返した。
【0058】
金型ユニットを切り離す直前には、図5(A)および図5(B)に示すように、金型ユニット1aおよび金型ユニット1bの表面にある樹脂塗膜4に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目で規制部材20を押圧して、金型ユニット1a表面の樹脂塗膜4aにおける端部41a、および金型ユニット1b表面の樹脂塗膜4bにおける端部41bを規制した。使用された規制部材は図6に示す形状を有するものであり、Y=2.0mm、T=1.0mmの寸法を有していた。
金型ユニット1aを切り離す際、図5(C)に示すように、規制部材を分割させて金型ユニット1a表面の樹脂塗膜4aの端部41aおよび金型ユニット1b表面の樹脂塗膜4bの端部41bを継続して規制した。なお、そのような規制は後述する乾燥工程が完了するまで行った。
金型ユニット1aの切り離しおよび新規金型ユニットの連結は、図4に示すように樹脂溶液用環状スリットヘッド11が金型ユニット1cと金型ユニット1dとのつなぎ目位置にある時に行った。
切り離されたいずれの金型ユニットの表面にも、端部以外の部分において約500μm厚の樹脂塗膜が形成されていた。樹脂塗膜の端部は約1000μmの厚みを有していた。
【0059】
以下の工程は切り離された金型ユニットごとに行った。
(乾燥工程)
次に、金型ユニットを水平にして、20rpmにて回転させながら、室温で5分間の乾燥後、80℃で20分間、100℃で1時間、加熱乾燥させた。これにより、厚さ約150μmの樹脂塗膜を得た。
【0060】
(焼成工程)
次に、金型ユニットを一旦、室温まで冷却した。その後、金型ユニットを垂直に立てて、200℃で30分、300℃で30分加熱反応させ、ポリイミド樹脂膜を形成した。
【0061】
(脱型工程)
室温に冷えた後、金型ユニットとポリイミド樹脂膜との隙間に圧力0.5MPaの加圧空気を注入したところ、ポリイミド樹脂膜が膨張し、容易に抜き取ることができた。得られたベルトはそのまま電子写真用転写ベルトとして使用できる寸法を有していた。ベルト基材101の平均厚みは100μm、補強部102の平均厚みは200μmであった。
【0062】
(評価)
樹脂塗膜形成工程の所定のサイクルを100回繰り返し行い、100個のベルトを製造した。ベルトの破損は全く起こらなかった。また樹脂溶液の塗布を連続的に行ったので、生産性に優れていた。
任意の10個のベルトそれぞれについてベルト基材部における任意の10点の厚みを測定したところ、全てのベルトで最大値と最小値との差は14μm以下であり、膜厚均一性に優れていた。
得られたベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、30日間連続駆動させても、ベルト端面にクラックは発生しなかった。
【0063】
<実施例2>
樹脂溶液を塗布した後、樹脂塗膜を規制部材により押圧・規制する前に、図7(A)に示すようにエアー用環状スリットヘッドより金型の外側から圧縮エアーを圧力0.2MPaで、つなぎ目16に吐出することにより、図7(C)に示すように樹脂塗膜を金型周囲にわたってカットしたこと以外、実施例1と同様の方法により、ベルトを製造した。得られたベルトはそのまま電子写真用転写ベルトとして使用できる寸法を有していた。ベルト基材101の平均厚みは100μm、補強部102の平均厚みは200μmであった。
【0064】
(評価)
樹脂塗膜形成工程の所定のサイクルを100回繰り返し行い、100個のベルトを製造した。ベルトの破損は全く起こらなかった。また樹脂溶液の塗布を連続的に行ったので、生産性に優れていた。
任意の10個のベルトそれぞれについてベルト基材部における任意の10点の厚みを測定したところ、全てのベルトで最大値と最小値との差は14μm以下であり、膜厚均一性に優れていた。
得られたベルトを中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載し、30日間連続駆動させても、ベルト端面にクラックは発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明のベルトは、画像形成装置、特に電子写真式画像形成装置の中間ベルト、接触帯電ベルト、定着ベルトとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の環状シームレスベルトの一実施形態の概略見取り図である。
【図2】本発明で使用される連結式金型を構成する金型ユニットの一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明で使用される連結式金型の一実施形態を示す概略構成図である。
【図4】本発明の環状シームレスベルトの製造方法における樹脂塗膜形成工程の一例を説明するための概略模式図である。
【図5】(A)は、樹脂溶液の塗布が完了した金型ユニット連結部の一例の拡大模式図であり、(B)は(A)に示す樹脂塗膜に対して規制部材を適用したところの拡大模式図であり、(C)は規制部材を適用後に金型ユニットpを切り離すところの拡大模式図である。
【図6】(A)は規制部材の概略的な断面形状を示すものであり、(B)は(A)に示す規制部材を構成する分割規制部材の見取り図を示す。
【図7】(A)および(B)は樹脂溶液の塗布が完了した金型ユニット連結部の一例の拡大模式図であり、(C)は(A)および(B)に示す樹脂塗膜をエアーによりカットしたところの拡大模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1:1a:1b:1c:1d:1e:1f:金型ユニット、2:凸部、3:凹部、4:4a:4b:樹脂塗膜(樹脂溶液)、10:連結式金型、11:21:環状スリットヘッド、12:22:供給槽、13:エアー、14:エアー吐出線、15:間隙、16:つなぎ目、20:規制部材、41a:41b:端部、42a:42b:盛り上がり部、100:環状シームレスベルト、101:ベルト基材、102:補強部、201a:201b:押しのけ部、202a:202b:規制部、203a:203b:位置決め部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト基材の両端に該ベルト基材よりも厚い補強部が一体的に設けられたことを特徴とする環状シームレスベルト。
【請求項2】
軸方向で互いに連結/切り離し可能な2個以上の金型ユニットを連結させてなる連結式金型の表面に対して一端側から樹脂溶液を連続的に塗布しながら、該連結式金型を構成する金型ユニットのうち前記一端側最端部にある塗布が完了した金型ユニットを切り離すとともに、該連結式金型の他端側に新規金型ユニットを連結させるサイクルを繰り返す環状シームレスベルトの製造方法であって、
金型ユニットの切り離し前に、切り離される金型ユニットpおよび該金型ユニットに隣接する金型ユニットqの表面にある樹脂塗膜に対して、それらの金型ユニットのつなぎ目で規制部材を押圧して、金型ユニットp表面の樹脂塗膜における金型ユニットq側の端部、および金型ユニットq表面の樹脂塗膜における金型ユニットp側の端部を規制することを特徴とする環状シームレスベルトの製造方法。
【請求項3】
規制部材の押圧により、樹脂塗膜を金型表面上で押しのけて、該規制部材の両側に盛り上がり部を形成しつつ、該盛り上がり部を規制して端部を形成する請求項2に記載の環状シームレスベルトの製造方法。
【請求項4】
規制部材の押圧前に、金型ユニットp表面の樹脂塗膜と、金型ユニットq表面の樹脂塗膜とを、それらの金型ユニットのつなぎ目でカットする請求項2または3に記載の環状シームレスベルトの製造方法。
【請求項5】
樹脂塗膜のカットをエアーの吐出により達成する請求項4に記載の環状シームレスベルトの製造方法。
【請求項6】
金型ユニットpを切り離す際、該規制部材を分割させて、その後も、金型ユニットp表面の樹脂塗膜および金型ユニットq表面の樹脂塗膜における端部規制を継続する請求項2〜5のいずれかに記載の環状シームレスベルトの製造方法。
【請求項7】
樹脂溶液がポリイミド前駆体溶液である請求項2〜6のいずれかに記載の環状シームレスベルトの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−98261(P2009−98261A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267692(P2007−267692)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】