説明

環状化合物の製造方法

【課題】
本発明の課題は、従来技術に比較して、生成物を高収率で得ることができ、また少数の反応工程により高度の変換を達成することができる環状化合物の合成方法を提供し、および組合せ合成戦略を開発することにある。
【解決手段】
本発明は、スズキカプリング、引き続くハロ−脱金属化および最後のスズキカプリングに基づく組合せ合成による環状化合物の製造方法を提供する。スズキカプリングはそれぞれ、ボロン酸またはボロン酸エステルを用いて行う。本発明はまた、対応する環状化合物およびこの目的に用いられる新規合成単位を提供する。本発明による環状化合物は液晶混合物の成分として好ましく使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スズキ(Suzuki)カプリング、引き続くハロ−脱金属化および最後のスズキカプリングに基づく組合せ合成による環状化合物の製造方法に関する。スズキカプリングはそれぞれ、ボロン酸(boronic acids)またはボロン酸エステル(boronic acid ester)化合物を用いて行う。
本発明はまた、対応する環状化合物およびこの目的に使用される新規合成単位に関する。本発明による環状化合物は、液晶混合物の成分として好ましく使用される。
【背景技術】
【0002】
従来技術の刊行物(特許文献1参照)には、芳香族ホウ素化合物、例えばボロン酸およびその誘導体および芳香族ハロゲン化合物のパラジウム触媒作用交差カプリング反応が記載されており、この方法はかなりの年月にわたり、有機合成の分野でますます使用されている。この刊行物に開示されている方法は、パラジウム(0)錯体、特にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を使用する均一系触媒プロセスである。このプロセスの欠点は、これらの錯体が酸化感受性であることにあり、これによりそれらの失活の原因となる。活性の変化によって、このプロセスは再現が困難であり、またかなりの場合、収率は非常に低い。さらにまた、これらの錯体は非常に高価である。
【0003】
芳香族ハロゲン化合物またはペルフルオロアルキルスルホネート化合物を、少なくとも1種の水溶性錯体リガンドの存在下にパラジウム触媒を用い、芳香族ホウ素化合物と交差カプリングさせることによって多環状芳香族化合物を製造する方法は開示されている(特許文献2参照)。この方法は、有機相および無機相を包含する2−相系で行われ、パラジウム触媒は有機相に溶解される。この方法の欠点は、2相の非常に良好な混合が、反応の必要条件である点にある。さらに、この方法はまた、使用される触媒に基づき、非常に高価である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0470795号明細書(EP0470795A1)
【特許文献2】独国特許出願公開第4426671号明細書(DE4426671A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、従来技術に比較して、生成物を高収率で得ることができ、また少数の反応工程により高度の変換を達成することができる方法を提供すること、または組合せ合成戦略を開発することにあるものと認識することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の特徴を有する方法によって、および請求項14に記載の特徴を有する液晶環状化合物によって、上記課題が本発明により解決される。本発明で用いられる合成単位は、請求項17および19に記載されている特徴を有するボロン酸またはボロン酸エステル化合物である。従属項は好適態様を示す。
【0007】
本発明に従い、下記一般式I〜IVで表わされる環状化合物の製造方法が提供される:
【化16】

【0008】
これらの式において、mおよびnは相互に独立し、同一または相違しており、0または1の数値を表わすことができ、その合計(m+n)は1または2である。特に好ましくは、m=n=1である、すなわちその合計(m+n)=2である。
Xは単結合、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−または
【化17】

である。好ましくは、Xは単結合である。
【0009】
Lは相互に独立し、同一または相違しており、R、F、Cl、Br、I、OH、OR、SH、SR、CN、NO2、NO、CHO、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、CF3、NH2、NHRまたはNR2であり、ここでRは炭素原子1〜12個を有するアルキル、アルケニルまたはアシル基または6個の炭素原子を有するアリール基であり、この基は所望により、炭素原子1〜12個を有するアルキル基により置換されていてもよい。Lは好ましくは、相互に独立し、同一または相違しており、F、Cl、CF3またはCH3であり、Fは特に好適である。
【0010】
指数a、b、c、d、eおよびfは相互に独立し、同一または相違しており、0、1または2の数値を表わし、その合計(a+b+c+d+e+f)は1〜8、好ましくは3〜8、特に好ましくは4〜8の数値を表わす。式I〜IVで表わされる芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい。
【0011】
1およびR2は相互に独立し、同一または相違しており、H、F、Cl、CNまたはNCSである。R1および/またはR2はまた、炭素原子1〜12個を有し、直鎖状または分枝鎖状であり、任意にカイラルであるアルキル基またはアルコキシ基、もしくは炭素原子2〜8個を有するアルケニル基またはアルキニル基であり、これらの基中に存在する1個のCH2基はまた、ヘテロ原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−CO−、−O−CO−または−COO−により置き換えられていてもよく、および/または1個または2個以上のHはハロゲン、好ましくはFにより置き換えられていてもよい。R1および/またはR2は好ましくは、炭素原子1〜7個を有する直鎖状アルキル基である。さらに好適な態様において、R2は炭素原子1〜12個を有するカイラルアルキル基である。
【0012】
m=0またはn=0である場合、R1またはR2中に存在する1個のCH2基は好ましくは、下記基の一つによって置き換えられている:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてもよい)、
b)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群からの基、または
c)1,4−シクロヘキセニレン。
ただし、基a)、b)およびc)はまた、CNおよび/またはハロゲンにより置換されていてもよい。
【0013】
上記および下記の式中に存在するR1および/またはR2がアルキル基である場合、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は特に好ましくは、直鎖状であって、炭素原子1個、2個、3個、4個、5個、6個または7個を有し、従って、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルまたはヘプチルであり、さらにまたオクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルであることができる。
【0014】
1および/またはR2がアルキル基であって、この基中に存在する1個のCH2基が−O−により置き換えられている場合、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は好ましくは、直鎖状であって、炭素原子1〜10個を有する。このアルキル基中に存在する第一のCH2基は特に好ましくは、−O−により置き換えられており、従ってこの基R1はアルコキシ基の意味を有し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、またはノニルオキシである。
【0015】
いずれかに存在するCH2基はまた、−O−により置き換えられていてもよく、この場合、R1および/またはR2は好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2−メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニル、2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0016】
1および/またはR2がアルキル基であって、この基中に存在する1個のCH2基が−O−により置き換えられており、および1個のCH2基が−CO−により置き換えられている場合、これらの基は好ましくは、隣接している。従って、この基はアシルオキシ基−CO−O−またはオキシカルボニル基−O−CO−を含有する。この基は特に好ましくは、直鎖状であって、炭素原子2〜6個を有する。
【0017】
従って、この基は特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルおよび4−(メトキシカルボニル)プチルである。
【0018】
1および/またはR2がアルキル基またはアルケニル基であって、1個のCNまたはCF3により置換されている場合、この基は好ましくは、直鎖状であり、CNまたはCF3による置換は、ω−位置である。
1および/またはR2がアルキル基であって、少なくとも1個のハロゲンにより置換されている場合、この基は好ましくは、直鎖状である。ハロゲンは好ましくは、FまたはClである。多置換されている場合、ハロゲンは好ましくは、Fである。生成する基はまた、過フッ素化基を包含する。1個の置換基を有する場合、このフッ素または塩素置換基は、いずれか所望の位置に存在することができるが、好ましくはω−位置に存在する。
【0019】
分枝鎖状基R1および/またはR2を有する式Iで表わされる化合物は、その慣用の液晶基材中における良好な溶解性によって場合により重要であることができるが、これらの化合物が光学活性である場合、カイラルドープ剤として重要である。この種のスメクティック化合物は、強誘電性材料の成分として適している。
この種の分枝鎖状基は一般に、多くて1個の鎖分枝を有する。好適分枝鎖状基R1および/またはR2は、イソプロピル、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、イソブチル(=2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(=3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペンチルオキシ、3−メチルペンチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、1−メチルヘキシルオキシおよび1−メチルヘプチルオキシである。
【0020】
下記のm、n、X、L、a、b、c、d、e、f、R1およびR2は、別段の記載がないかぎり、上記定義のとおりである。対応して、下記環系中に存在する1個または2個のCH基は、一般式I〜IVで表わされる環状化合物と同様に、Nにより置き換えられていてもよい。
一般式I〜IVで表わされる環状化合物は、下記式V〜VIIIで表わされる化合物から出発して製造される:
【0021】
【化18】

【0022】
これらの式において、ZはI、Cl、BrおよびOTf(トリフレート)からなる群から選択され、Zは好ましくは、Iであり、またMはSi、GeまたはSnからなる群から選択され、Siは好適である。
3、R4およびR5は相互に独立し、同一または相違しており、H、C1−C12−アルキルまたはC1−C12−アルコキシである。
さらにまた、一般式V〜VIIIにおける少なくとも1個の基R3、R4およびR5は、一般式IX:
−(CH2p−(CF2q−CF3 IX
(式中、pは2〜4の範囲の数値を表わし、qは≧2の数値を表わし、またその合計(p+q)は2〜11の範囲の数値を表わすqは好ましくは>pである。)
で表わされるフッ素含有アルキル基であることができる。
【0023】
下記のR3、R4、R5、MおよびZは、別段の記載がないかぎり、上記定義のとおりである。
これらの環状化合物は、組合せ合成法によって製造され、この方法において、マトリックス様配置の反応容器中で下記反応工程を行う:
A)一般式Xで表わされるボロン酸またはボロン酸エステルとのスズキカプリング:
【化19】

上記式中、R6およびR7は相互に独立し、同一または相違しており、H、C1−C12−アルキル、C2−C12−アルケニル、好ましくはC3−C12−アルケニル、またはC6−アリールであり、またR6およびR7はまた、環状様相で架橋されていてもよい。R6およびR7はまた、環状様相で架橋されていてもよい。
下記R6およびR7は、別段の記載がないかぎり、上記定義のとおりである。
【0024】
B)引き続くハロ−脱金属化、好ましくはヨウド−脱シリル化、および
C)一般式XI:
【化20】

で表わされるボロン酸またはボロン酸エステル好ましくはボロン酸エステルとのスズキカプリング。
【0025】
工程A)に先立つ工程において、式Vにおいて、Xが単結合である化合物を、少なくとも部分的にフッ素化されているp−ブロモヨウドベンゼンとのスズキカプリングによって式XII:
【化21】

で表わされるボロン酸またはボロン酸エステルから製造する。この反応は組合せ合成として、マトリックス様配置の反応容器で行い、引き続いて、例えばブチルリチウムおよびヨウド化剤を用いることによって、臭素を置換するヨウ素化工程を行う。
【0026】
本発明による方法の特別の利点は、当該方法が組合せ合成(combinatorial synthesis)として行われることにある。組合せ合成法を開発する場合、変換および収率について反応を最適にする目的を持って、反応が相互に適合するという合成概念を開発することが必要である。この方法は放散的合成として行われ、この方法は3種の反応工程を要するのみである点で、直線的合成法に優る利点を有する。これに対して、直線的合成方法は、5種の反応工程を要する。もう一つの利点は、直線的合成法の場合の性能に比較し、精製に少ない労力を要する点にある。
中間体および/または最終生成物は、再結晶により精製すると好ましく、この精製は全反応容器に対して平行的に行い、次いでこれらの結晶は固体相抽出用カートリッジを経て単離する。
【0027】
スズキカプリングにおいて、この目的に必要な基体は好ましくは、水酸化物、炭酸塩およびフッ素化物からなる群から選択され、水酸化バリウムおよびフッ化セシウムは特に好適である。
使用される触媒は好ましくは、パラジウム含有化合物であり、特に好ましくはパラジウムアセテートである。
反応は好ましくは、極性溶媒、例えばアルコールまたはエーテル中で行う。特に好適な溶媒として、イソプロパノールの使用が挙げられる。
特に好適なスズキカプリング改変法では、使用される基体がフッ化セシウムであり、使用される触媒がパラジウムアセテートであり、また使用される溶媒がジオキサンである。
【0028】
本明細書に記載の好適スズキカプリング改変法では、ほとんど定量的変換が達成され、また生成物がパラジウムを含有していないという利点を有する。同時に、分離することができない副生成物は形成されない。このことは、粗製生成物の純度が引き続く反応にとって適合していることを意味する。この触媒のもう一つの利点は、取り扱いが簡単であり、空気中で安定であり、また安価であることにある。
スズキカプリングは好ましくは、10〜120℃の温度で行い、および反応は0.1〜30時間にわたり持続させる。特に好適な態様として、50〜100℃の温度および18〜24時間の反応時間が挙げられる。
【0029】
ハロ−脱金属化の好適変法であるヨウド−脱シリル化は好ましくは、シアン化メチル中で塩化ヨウ素の添加によって行う。10〜75℃の温度および0.1〜20時間の反応時間は特に好ましいことが見出される。特に好適な態様として、20〜30℃の温度および0.5〜2時間の反応時間が挙げられる。
この合成における重要な点は、ハロ−脱金属化期間中に側鎖塩素化が抑制されることにある。基R1およびR2の側鎖塩素化は、ヨウド−脱シリル化をアセトニトリル中で行うと、ほとんど完全に防止することができる。スズキカプリングと組合されているヨウド−脱シリル化が好適であるもう一つの理由は、o−位置に存在するフッ素置換基との両立性にある。
【0030】
一般式I〜IVで表わされる環状化合物を製造するための本発明による方法を、一般式XVIIIで表わされる好適環状化合物の場合について、下記図を用いて詳細に示す。
本発明による方法の出発物質であるビフェニル化合物の製造はスキーム1に示されている。スキーム2はスキーム1からのビフェニル化合物およびボロン酸から出発するターフェニル化合物の合成を示している(本発明による方法の工程A)。スキーム3はスキーム2からのターフェニル化合物のヨウド−脱シリル化を示している(本発明による方法の工程B)およびスキーム4はクオーターフエニル化合物の合成を示している(本発明による方法の工程C)。
【0031】
スキーム1
ビフェニル化合物(8)の合成
【化22】

【0032】
スキーム2
ターフェニル化合物(10)の合成
【化23】

【0033】
スキーム3
ヨウド−脱シリル化によるターフェニル化合物(11)の合成
【化24】

【0034】
スキーム4
クオーターフェニル化合物(12)の合成
【化25】

【0035】
一般式XIIIで表わされる化合物はまた、本発明により製造される:
【化26】

(式中、mおよびnは相互に独立し、同一または相違しており、0または1の数値を表わし、またその合計(m+n)は1または2であり、好ましくはm=n=1であり、すなわちその合計(m+n)=2である。
【0036】
これらの式において、Yは式XIV〜XVIIで表わされる基である:
【化27】

(式中、X=単結合、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−または
【化28】

である)
【0037】
【化29】

【0038】
各式中、
Lは相互に独立し、同一または相違しており、R、F、Cl、Br、I、OH、OR、SH、SR、CN、NO2、NO、CHO、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、CF3、NH2、NHRまたはNR2であり、ここでRは炭素原子1〜12個を有するアルキル、アルケニルまたはアシル基、もしくは6個の炭素原子を有するアリール基であり、この基は所望により、炭素原子1〜12個を有するアルキル基により置換されていてもよい。Lは好ましくは、相互に独立し、同一または相違しており、F、Cl、CF3またはCH3であり、Fは特に好適である。
【0039】
指数a、b、c、d、eおよびfは相互に独立し、同一または相違しており、0、1または2であり、ただしその合計(a+b+c+d+e+f)=1〜8、好ましくは3〜8、特に好ましくは4〜8である。式XIII〜XVIIで表わされる芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい。
【0040】
1およびR2は相互に独立し、同一または相違しており、H、F、Cl、CNまたはNCSである。R1および/またはR2はまた、炭素原子1〜12個を有し、直鎖状または分枝鎖状であり、任意にカイラルであるアルキル基またはアルコキシ基または炭素原子2〜8個を有するアルケニル基またはアルキニル基であることができ、これらの基中に存在する1個のCH2基はまた、ヘテロ原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−CO−、−O−CO−、−COO−または−CH=CH−により置き換えられていてもよく、および/または1個または2個以上のHはハロゲン、好ましくはFにより置き換えられていてもよい。
【0041】
m=0またはn=0の場合、R1またはR2中に存在する1個のCH2基は下記基の一つによって置き換えられていてもよい:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてもよい)、
b)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群からの基、または
c)1,4−シクロヘキセニレン。
ただし、基a)、b)およびc)はまた、CNおよび/またはハロゲンにより置換されていてもよい。
【0042】
一般式XVIIIで表わされる環状化合物は好ましい化合物として挙げられる:
【化30】

式中、特に好ましくは、m=n=1であり、および基R1およびR2は相互に独立し、同一または相違しており、基C1−C7−アルキルから選択される。
【0043】
下記式XVIIIa〜XVIIIgで表わされる環状化合物は特に好適な化合物して挙げられる:
【化31】

【0044】
【化32】

各式中、R1およびR2は、式XVIIIについて上記定義のとおりであり、L1、L2およびL3は、Ldの意味を表わすことができ、またL4、L5およびL6は、Laの意味を表わすことができる。式XVIIIfおよびXVIIIgで表わされる環状化合物は特に好適化合物として挙げられる。
【0045】
下記一般式XIXで表わされるボロン酸またはボロン酸エステル化合物がまた、本発明に従い、合成単位として製造される:
【化33】

【0046】
ボロン酸またはボロン酸エステル化合物は好ましくは、一般式XXで表わされる構造を有する:
【化34】

構造XIXおよびXXにおいて、rは=mまたはnであることができ、従って1または2を表わすことができ、好ましくは1である。r=mの場合、R=R1であり、またr=nの場合、R=Rである。
RはR1およびR2について定義されているとおりであることができ、従ってH、F、Cl、CNまたはNCSである。
【0047】
Rはまた、炭素原子1〜12個を有し、直鎖状または分枝鎖状であり、任意にカイラルであるアルキル基またはアルコキシ基であるか、または炭素原子2〜8個を有するアルケニル基またはアルキニル基であることができ、これらの基中に存在する1個のCH2基はまた、ヘテロ原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−または−COO−により置き換えられていてもよく、および/または1個または2個以上のHはFにより置き換えられていてもよい。さらにまた、r=0の場合、R中に存在する1個のCH2基は下記基の一つによって置き換えられていてもよい:
【0048】
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてもよい)、
b)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群からの基、または
c)1,4−シクロヘキセニレン。
6、R7、Lおよびaは上記定義のとおりである。
【0049】
8およびR9は相互に独立し、同一または相違しており、C1〜C12−アルキルまたはC6−アリールである。
さらにまた、一般式XXIで表わされるボロン酸またはボロン酸エステル化合物が本発明により製造される:
【化35】

【0050】
このボロン酸またはボロン酸エステル化合物は好ましくは、一般式XXIIを有する:
【化36】

式中、M、r、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、Lおよびaは上記定義のとおりである。
一般式XIX、XX、XXIおよびXXIIで表わされる芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい。
【実施例】
【0051】
下記例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。これらの例は、組合せ合成法により製造された本発明による化合物を例示するものであり、いずれの点についても本発明を制限するものではない。
本明細書全体を通して、パーセンテージは重量パーセントである。
同時に、これらの化合物は相転移について確認した。
Cは結晶状態を表わし、N=ネマティック相であり、Sm=スメクティック相であり、またI=アイソティック相である。これらの記号間のデータは、転移温度である。全部の温度は摂氏度で示されている。
【0052】
例1
ボロン酸化合物(4)の製造
【化37】

【0053】
4−ブロモ−2,6−ジフルオロベンズアルデヒド(1)
乾燥テトラヒドロフラン120ml中の1−ブロモ−3,5−ジフ
ルオロベンゼン19.3g(0.1mmol)の溶液に、−70℃において撹拌しながら、2Mリチウムジイソプロピルアミド55ml(0.11mmol)を添加する。30分後、N−ホルミルピペリジンを、この温度で滴下添加する。この混合物を0℃まで温める。約0℃において、この反応混合物を冷水中に注ぎ入れ、10%HClを用いて酸性化し、次いでメチルtert−ブチルエーテルにより2回、抽出する。有機相を集め、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、次いで溶媒を減圧下に分離する。この残留物をSiO2に通して濾過する(ヘプタン/ジクロロメタン1:1)、(収率:17.6g、78%)。
【0054】
5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−[(R)−3−メチルペント−1−エニル]ベンゼン(2)
ホスホニウム塩合成
S−(+)−1−ブロモ−2−メチルブタン10g(66mmol)およびトリフェニルホスフィン17.4g(66mmol)を、トルエン50mlに溶解し、110℃において48時間にわたり撹拌する。この混合物を室温まで温め、次いで固形物を濾別し、トルエンにより洗浄する(6.9g、25%)。
【0055】
このホスホニウム塩(6.9g、16.7mmol)を、乾燥テトラヒドロフラン25mlに懸濁し、次いで0〜5℃に冷却させる。この温度において、2Mリチウムジイソプロピルアミド8.3ml(16.7mmol)を、滴下添加する。15分後、乾燥テトラヒドロフラン25ml中の化合物(1)3.8g(16.7mmol)の溶液を滴下添加する。この混合物を室温まで温め、次いでこの温度で1時間かけて撹拌する。引き続いて、水を添加し、この混合物を10%HClを用いて酸性化し、次いでメチルtert−ブチルエーテルにより2回、抽出する。有機相を集め、水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、次いで濾過し、次いで溶媒を減圧下に分離する。この残留物をSiO2に通して濾過する(ヘプタン)、(収率:1.8g、22%)。
【0056】
5−ブロモ−1,3−ジフルオロ−2−[(R)−3−メチルペンチル]ベンゼン(3)
ヘプタン50ml中の化合物(2)1.8g(5.9mmol)の溶液に、5%Pt/C(乾燥)0.4gを添加し、この混合物を大気圧下に20時間かけて水素添加する。溶媒を減圧下に分離する。全量が化合物(4)に変換される。
【0057】
3,5−ジフルオロ−4−[((R)−3−メチルペンチル)フェニル]フェニルボロン酸(4)
乾燥ジエチルエーテル5ml中の化合物(3)1.4g(5mmol)の溶液に、−78℃において、1.6M BuLi 3.3ml(5.5mmol)を滴下添加する。30分後、トリメチルボレート0.6ml(5.5mmol)を滴下添加する。この混合物を一夜かけて室温まで温める。水5.2ml、メチルtert−ブチルエーテル5.2mlおよび濃HCl 3mlを順次添加する。この有機相を水(2x3ml)および飽和NaCl(1x3ml)により洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、次いで溶媒を減圧下に分離する。この残留物をSiO2に通して濾過する(ヘプタン/ジクロロメタン1:1)、(収率:0.8g、70%)。
【0058】
例2
ビフェニル化合物(8)の製造
【化38】

【0059】
1,2−ジフルオロ−3−トリメチルシリルベンゼン(5)
乾燥テトラヒドロフラン1l中の1,2−ジフルオロベンゼン114g(1mol)の溶液に、−78℃において、1.6M BuLi 625ml(1mol)を滴下添加する。1時間後、トリメチルシリルクロライド140ml(120g、1.1mol)を、−78℃において、ゆっくりと滴下して添加する。この混合物を一夜かけて室温まで温め、次いでメチルtert−ブチルエーテル200mlおよび水200mlを添加する。この有機相を水(2x100ml)および飽和NaCl(1x100ml)により洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、次いで溶媒を減圧下に分離する。この残留物から、100〜102℃/70ミリバールにおいて、化合物(5)170g(91%)を蒸留採取する。
【0060】
2−(2,3−ジフルオロ−4−トリメチルシリルフェニル)−5,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサボリナン(6)
乾燥テトラヒドロフラン1.4l中の1,2−ジフルオロ−3−トリメチルシリルベンゼン(5)169g(910mmol)の溶液に、−78℃において、1.6M BuLi 625ml(1mol)を滴下添加する。15分後、トリイソプロピルボレート276ml(1.2mol)を滴下添加する。この混合物を一夜かけて室温まで温める。水200ml、メチルtert−ブチルエーテル200mlおよび濃HCl 100mlを順次添加する。この有機相を水(2x100ml)および飽和NaCl(1x100ml)により洗浄し、次いで硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、次いで溶媒を減圧下に分離する。この油状残留物をTHF270mlに溶解し、次いでネオペンチルグリコール94g(910mmol)および硫酸マグネシウム455gを添加する。この混合物を1時間かけて撹拌した後、溶媒を減圧下に分離し、この油状残留物に石油エーテル(273ml)を添加する。沈殿したネオペンチルグリコールを濾別し、化合物(6)251g(87%)を、−25℃において、濾液から結晶化させる。
【0061】
(4´−ブロモ−2,3,2´−トリフルオロビフェニル−4−イル)トリメチルシラン(7)
水50ml中のK2CO3 16.6g(120mmol)の溶液を、ジオキサン100ml中の4−ブロモ−2−フルオロ−1−ヨウドベンゼン15g(50mmol)、化合物(6)14.9g(50mmol)および[Pd(PPh34]2.31g(2mmol)の溶液に添加し、この混合物を一夜かけて還流させる。この有機相を水および飽和NaClにより洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に除去し、この油状残留物に石油エーテルを添加し、生成物を−25℃において再結晶させる(収率:88%、融点:78.0℃)。
【0062】
トリメチル(2,3,2´−トリフルオロ−4´−ヨウドビフェニル−4−イル)シラン(8)
乾燥THF 132ml中の化合物(7)15.8g(44mmol)の溶液に、−78℃において、1.6M BuLi 30ml(48mmol)を滴下添加する。15分後、1,2−ジヨウドエタン16g(57.2mmol)を、固形物として添加し、この混合物を1時間以上かけて室温まで温める。水およびメチルtert−ブチルエーテルを順次添加する。この有機相を水、飽和Na225および飽和NaClにより洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に除去し、この油状残留物に石油エーテルを添加し、生成物を−25℃において再結晶させる(収率:84%、融点:76.0℃)。
【0063】
例3
ターフェニル化合物(10)の製造
【化39】

【0064】
トリメチル−(2,3,2´−トリフルオロ−4´´−プロピル−[1,1´;4´,1´´]−ターフェニル−4−イル)シラン(9)
95%i−PrOH 20ml中の、化合物(8)(2mmol)、4−プロピルフェニルボロン酸(2.2mmol)、ネオペンチルグリコール250mg(2.40mmol)、Ba(OH)2・8H2O 1.53g(4.84mmol)、Pd(OAc)2の76mMアセトン溶液1.35ml(0.103mmol、5mol%)の溶液を、80℃において12時間にわたり撹拌する。溶媒を次いで、減圧下に除去する。この残留物に、2M HCl 5mlを添加し、この混合物をジクロロメタン(3x5ml)により抽出する。有機相を集め、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に除去する。残留物は化合物(10)に変換される(収率:89%)。
【0065】
2,3,2´−トリフルオロ−4−ヨウド−4´´−プロピル−[1,1´;4´,1´´]−ターフェニル(10)
ターフェニル化合物(9)の全量を無水アセトニトリル4mlに溶解し、次いでアセトニトリル中のICIの5M溶液1.2ml(6mmol)と反応させ、この混合物を室温で1時間にわたり撹拌する。この残留物を、−20℃において2時間かけて結晶化させる。上清溶液を次いで、吸引濾過し、残留する生成物を2M Na225(10ml)および水(10ml)により洗浄し、次いで油圧ポンプ減圧において乾燥させる(収率:54%)。
【0066】
例4
クオーターフェニル化合物(11)の製造
【化40】

【0067】
3,5,2´,3´,2´´−ペンタフルオロ−4´´´−メチル−4−((S)−3−メチルペンチル)−[1,4´;1´,1´´;4´´,1´´´]−クオーターフェニル(11)
95%i−PrOH 2ml中の、化合物(10)(0.1mmol)、化合物(4)(0.12mmol)、ネオペンチルグリコール14mg(0.13mmol)、Ba(OH)2・8H2O 95mg(0.3mmol)、Pd(OAc)2の76mMアセトン溶液80μl(6.08mmol、5mol%)の溶液を、80℃において12時間にわたり撹拌する。溶媒を次いで、減圧下に分離する。この残留物に、2M HCl 2mlを添加し、この混合物をジクロロメタン(3x2ml)により抽出する。有機相を集め、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に分離し、この残留物をノナンから2回、再結晶させることによって精製する(収率:60%)。
【0068】
クオーターフェニル化合物(11)1重量%を、メルク社(Merck KGaA,Darmstadt)からの市販ネマティック基材混合物MLC−6260に添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ(Grandjean-Cano)法により測定する。この組成物は−1.9のHTPを有する。
【0069】
例5
クオーターフェニル(13)の製造
【化41】

【0070】
2´,3´,2´´−トリフルオロ−3,5−ジメチル−4−((S)−3−メチルペンチル)−4´´´−プロピル−[1,4´;1´,1´´,4´´,1´´´]−クオーターフェニル(13)
95%i−PrOH 2ml中の、化合物(10)(0.1mmol)、化合物(12)(0.12mmol)、ネオペンチルグリコール14mg(0.13mmol)、Ba(OH)2・8H2O 95mg(0.3mmol)、Pd(OAc)2の76mMアセトン溶液80μl(6.08mmol、5mol%)の溶液を、80℃において12時間にわたり撹拌する。溶媒を次いで、減圧下に分離する。この残留物に、2M HCl 2mlを添加し、この混合物をジクロロメタン(3x2ml)により抽出する。有機相を集め、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に分離し、この残留物をノナンから2回、再結晶させることによって精製する(収率:65%)。
【0071】
クオーターフェニル化合物(13)1重量%を、メルク社からの市販ネマティック基材混合物MLC−6260に添加し、この組成物のねじれ力HTPを20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は−1.5のHTPを有する。
クオーターフェニル化合物(13)1重量%を、メルク社からの市販ネマティック基材混合物MJ−001667に添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は−1.9のHTPを有する。
【0072】
例6
クオーターフェニル(15)の製造
【化42】

【0073】
2´,3´,2´´−トリフルオロ−3,5−ジメチル−4−((S)−1−メチルヘプチルオキシ)−4´´´−プロピル[1,4´;1´,1´´,4´´,1´´´]−クオーターフェニル(15)
95%i−PrOH 2ml中の、化合物(10)(0.1mmol)、化合物(14)(0.12mmol)、ネオペンチルグリコール14mg(0.13mmol)、Ba(OH)2・8H2O 95mg(0.3mmol)、Pd(OAc)2の76mMアセトン溶液80μl(6.08mmol、5mol%)の溶液を、80℃において12時間にわたり撹拌する。溶媒を次いで、減圧下に分離する。この残留物に、2M HCl 2mlを添加し、この混合物をジクロロメタン(3x2ml)により抽出する。有機相を集め、MgSO4上で乾燥させ、次いでSiO2に通して濾過する。溶媒を減圧下に分離し、この残留物をノナンから2回、再結晶させることによって精製する(収率:68%)。
【0074】
クオーターフェニル化合物(15)1重量%を、メルク社からの市販ネマティック基材混合物MLC−6260に添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃において、グランジャン−カノ法により測定する。この組成物は−12.1のHTPを有する。
クオーターフェニル化合物(15)1重量%を、メルク社からの市販ネマティック基材混合物MJ−001667に添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃において、グランジャン−カノ法により測定する。この組成物は−19.5のHTPを有する。
【0075】
下記例の化合物を、例1〜6および反応スキーム1〜4と同様にし、対応する出発化合物から製造する:
例7〜21
【化43】

【0076】
表1
【表1】

【0077】
例22〜46
【化44】

【0078】
表2
【表2】

【0079】
例47〜71
【化45】

【0080】
表3
【表3】

【0081】
例72〜86
【化46】

【0082】
表4
【表4】

【0083】
例87〜111
【化47】

【0084】
表5
【表5】

【0085】
例112〜136
【化48】

【0086】
表6
【表6】

【0087】
例137〜151
【化49】

【0088】
表7
【表7】

【0089】
例152〜176
【化50】

【0090】
表8
【表8】

【0091】
例177〜201
【化51】

【0092】
表9
【表9】

【0093】
例202〜216
【化52】

【0094】
表10
【表10】

【0095】
例217〜231
【化53】

【0096】
表11
【表11】

【0097】
例232〜247
【化54】

【0098】
表12
【表12】

【0099】
例248〜272
【化55】

【0100】
表13
【表13】

【0101】
例273
【化56】

相転移[℃]:C 108 SmA 109 N 133.1 I。
【0102】
例274
【化57】

相転移[℃]:C 113 SmA 141 N 204.0 I。
【0103】
例275
【化58】

相転移[℃]:C 127 N。
【0104】
例276
【化59】

相転移[℃]:C 114 SmC 136 I。
【0105】
例277
【化60】

相転移[℃]:C 131 SmA 143I。
【0106】
例278
【化61】

相転移[℃]:C 138 SmA 244 I。
【0107】
下記式:
【化62】

で表わされる液晶化合物に、例278の化合物1重量%を添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は3.4のHTPを有する。
【0108】
例279
【化63】

相転移[℃]:C 111 SmA 264 I。
【0109】
下記式:
【化64】

で表わされる液晶化合物に、例279の化合物1重量%を添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は6.3のHTPを有する。
【0110】
例280
【化65】

相転移[℃]:C 108 SmA 216 I。
【0111】
下記式:
【化66】

で表わされる液晶化合物に、例280の化合物1重量%を添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は6.7のHTPを有する。
【0112】
例281
【化67】

相転移[℃]:C 97 N 190.3 I。
【0113】
下記式:
【化68】

で表わされる液晶化合物に、例281の化合物1重量%を添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は0.8のHTPを有する。
【0114】
例282
【化69】

相転移[℃]:C 92 N 112 I。
【0115】
例279に記載の液晶混合物に、例282の化合物1重量%を添加し、この組成物のねじれ力HTPを、20℃においてグランジャン−カノ法により測定する。この組成物は1.3のHTPを有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I〜IV:
【化1】

各式中、
mおよびnは相互に独立し、同一または相違しており、0または1であり、ただしその合計(m+n)は1または2であり;
Xは単結合、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−または
【化2】

であり;
Lは相互に独立し、同一または相違しており、R、F、Cl、Br、I、OH、OR、SH、SR、CN、NO2、NO、CHO、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、CF3、NH2、NHRまたはNR2であり、ここでRは炭素原子1〜12個を有するアルキル、アルケニルまたはアシル基、もしくは6個の炭素原子を有するアリール基であり、この基は所望により、炭素原子1〜12個を有するアルキル基により置換されていてもよく、
a、b、c、d、eおよびfは相互に独立し、同一または相違しており、0、1または2であり、ただしその合計(a+b+c+d+e+f)=1〜8、好ましくは3〜8であり;
式I〜IVで表わされる芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよく;
1およびR2は相互に独立し、同一または相違しており、H、F、Cl、CNまたはNCSであり、もしくは炭素原子1〜12個を有し、直鎖状または分枝鎖状であり、任意にカイラルであるアルキル基またはアルコキシ基、もしくは炭素原子2〜8個を有するアルケニル基またはアルキニル基であり、これらの基中に存在する1個のCH2基はまた、ヘテロ原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−CO−、−O−CO−または−COO−により置き換えられていてもよく、および/または1個または2個以上のHはハロゲン、好ましくはFにより置き換えられていてもよく;および
1において、m=0である場合、またはR2において、n=0である場合、R1またはR2中に存在する1個のCH2基は下記基の一つによって置き換えられていてもよく:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてもよい)、
b)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群からの基、または
c)1,4−シクロヘキセニレン、
および基a)、b)およびc)はまた、CNおよび/またはハロゲンにより置換されていてもよい;
で表わされる化合物の製造方法であって、
式V〜VIII:
【化3】

(各式中、
ZはI、Cl、BrまたはOTfであり、
MはSi、GeまたはSnであり、および
3、R4およびR5は相互に独立し、同一または相違しており、H、C1−C12−アルキルまたはC1−C12−アルコキシである)
で表わされる化合物から出発し、マトリックス様配置の反応容器において組合せ合成法によって、下記反応工程:
A)一般式X:
【化4】

(式中、R6およびR7は相互に独立し、同一または相違しており、H、C1−C12−アルキル、C2−C12−アルケニルまたはアリールであり、またR6およびR7はまた、環状様相で架橋されていてもよい)
で表わされるボロン酸またはボロン酸エステルとのスズキ(Suzuki)カプリング;
B)引き続くハロ−脱金属化、好ましくはヨウド−脱シリル化;および
C)一般式XI:
【化5】

(上記一般式V〜VIIIおよびXおよびXI中に存在する1個また
は2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい)
で表わされるボロン酸またはボロン酸エステルとのスズキカプリング;
を行うことを包含する、上記製造方法。
【請求項2】
工程A)に先立つ工程において、式Vにおいて、X=単結合である化合物を、式XII:
【化6】

で表わされるボロン酸またはボロン酸エステルから、少なくとも部分的にフッ素化されているp−ブロモヨウドベンゼンとのスズキカプリングによって製造し、この反応は組合せ合成として、マトリックス様配置の反応容器で行い、引き続いて、例えばブチルリチウムおよびヨウド化剤を用いることによって、臭素を置換するヨウ素化工程を行うことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中間体および/または最終生成物を再結晶により精製し、この精製を全反応容器に対して平行に行い、次いでこれらの結晶を固体相抽出用カートリッジにより単離することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
一般式V〜VIIIを有する群において、少なくとも1個の基R3、R4およびR5が一般式IX:
−(CH2p−(CF2q−CF3 IX
(式中、pは2〜4の範囲の数値を表わし、qは≧2の数値を表わし、またその合計(p+q)は2〜11の範囲の数値を表わす)
で表わされるフッ素含有アルキル基であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
一般式V〜VIIIを有する群において、Z=1であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
スズキカプリングにおいて、基体が水酸化物、炭酸塩およびフッ素化物からなる群から選択され、使用される触媒がパラジウム含有化合物であり、および使用される溶媒が極性溶媒であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
スズキカプリングにおいて、使用される基体が水
酸化バリウムであり、使用される触媒がパラジウムアセテートであり、
および使用される溶媒がイソプロパノールであることを特徴とする、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
使用される基体がフッ化セシウムであり、使用される触媒がパラジウムアセテートであり、および使用される溶媒がジオキサンであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
スズキカプリングを10〜120℃の温度で行い、および反応を0.1〜30時間にわたり持続することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
スズキカプリングを50〜100℃の温度で行い、および反応を18〜24時間にわたり持続することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ヨウド−脱シリル化を、シアン化メチル中で塩化ヨウ素の添加によって行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ヨウド−脱シリル化を、10〜75℃の温度で行い、および反応を0.1〜20時間にわたり持続することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ヨウド−脱シリル化を、20〜30℃の温度で行い、および反応を0.5〜2時間にわたり継続することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
一般式XIIIで表わされる環状化合物:
【化7】

式中、
mおよびnは相互に独立し、同一または相違しており、0または1であり、ただしその合計(m+n)=1または2であり、
Yは式XIV〜XVII:
【化8】

(式中、X=単結合、−CH2−CH2−、−CH=CH−、−C≡C−または
【化9】

である);
【化10】

(各式中、
Lは相互に独立し、同一または相違しており、R、F、Cl、Br、I、OH、OR、SH、SR、CN、NO2、NO、CHO、COOH、COOR、CONH2、CONHR、CONR2、CF3、NH2、NHRまたはNR2であり、ここでRは炭素原子1〜12個を有するアルキル、アルケニルまたはアシル基、もしくは6個の炭素原子を有するアリール基であり、この基は所望により、炭素原子1〜12個を有するアルキル基により置換されていてもよく、および
a、b、c、d、eおよびfは相互に独立し、同一または相違しており、0、1または2であり、ただしその合計(a+b+c+d+e+f)=1〜8、好ましくは3〜8であり、
芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよく、
1およびR2は相互に独立し、同一または相違しており、H、F、Cl、CNまたはNCSであり、もしくは炭素原子1〜12個を有し、直鎖状または分枝鎖状であり、任意にカイラルであるアルキル基またはアルコキシ基または炭素原子2〜8個を有するアルケニル基またはアルキニル基であり、これらの基中に存在する1個のCH2基はまた、ヘテロ原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−CO−、−O−CO−、−COO−または−CH=CH−により置き換えられていてもよく、および/または1個または2個以上のHはハロゲン、好ましくはFにより置き換えられていてもよく、および
1またはR2において、m=0またはn=0である場合、R1またはR2中に存在する1個のCH2基は下記基の一つによって置き換えられていてもよく:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン(この基中に存在する1個のCH2基または隣接していない2個以上のCH2基は、−O−および/または−S−により置き換えられていてもよい)、
b)1,4−ビシクロ[2.2.2]オクチレン、ピペリジン−1,4−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイルおよび1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイルからなる群からの基、または
c)1,4−シクロヘキセニレン、
ただし、基a)、b)およびc)はまた、CNおよび/またはハロゲンにより置換されていてもよい)。
【請求項15】
一般式XVIIIで表わされることを特徴とする、請求項14に記載の環状化合物:
【化11】

(式中、m=n=1である)。
【請求項16】
1およびR2が相互に独立し、同一または相違しており、基C1−C7−アルキルから選択されることを特徴とする、請求項15に記載の環状化合物。
【請求項17】
一般式XIXで表わされるボロン酸またはボロン酸エステル化合物:
【化12】

(式中、r=mまたはnであり、r=mの場合、R=R1であり、またはr=nの場合、R=Rであり、m、n、R1、R2、L、a、R6およびR7は請求項1に定義されているとおりであり、およびこれらの芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい)。
【請求項18】
一般式XXで表わされることを特徴とする、請求項17に記載のボロン酸またはボロン酸エステル化合物:
【化13】

(式中、R8およびR9は相互に独立し、同一または相違しており、
1−C12−アルキルまたはC6−アリールである)。
【請求項19】
一般式XXIで表わされることを特徴とする、ボロン酸またはボロン酸エステル化合物:
【化14】

(式中、r=mまたはnであり、m、n、R3、R4、R5、R6、R7、M、Lおよびaは請求項1に定義されているとおりであり、およびこれらの芳香族環系中に存在する1個または2個のCH基はNにより置き換えられていてもよい)。
【請求項20】
一般式XXIIで表わされることを特徴とする、請求項19に記載のボロン酸またはボロン酸エステル化合物:
【化15】

(式中、R8およびR9は相互に独立し、同一または相違しており、C1−C12−アルキルまたはC6−アリールである)。

【公開番号】特開2010−83902(P2010−83902A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11440(P2010−11440)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【分割の表示】特願2003−69260(P2003−69260)の分割
【原出願日】平成15年3月14日(2003.3.14)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】