説明

生体情報取得装置

【課題】車輌などの乗り物に乗車した乗員が測定器などを装着することを必要とせず、乗員の頭部の血流分布又は血流量等の生体情報を取得することができる生体情報取得装置を提供する。
【解決手段】血液成分に吸収される近赤外光を照射してその反射光を受光する赤外光ユニット15を、車輌1の運転席5のヘッドレスト6に搭載する。また、車輌1にカメラ11を搭載して運転者100の頭部を撮像し、撮像した画像を基に頭部の位置を検出する。検出した頭部の位置に応じて、ECU30はアクチュエータ13によりヘッドレスト6を運転者100の頭部に近接するように移動させる。移動完了後に赤外光ユニット15により近赤外光の照射及び受光を行い、受光した反射光を基に運転者100の頭部の血流分布又は血流量を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輌などの乗り物の乗員(特に、運転者)の疲労、眠気及び飲酒等の状態を判定するために乗員の生体情報を取得する生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌などの乗り物を運転する運転者が、極度に疲労した状態での運転、居眠り運転、酒気帯び運転又は飲酒運転等を行うことは非常に危険である。特に、近年では酒気帯び運転又は飲酒運転に伴う事故は後を絶たず、社会問題化している。このため、運転者が疲労状態、居眠り状態、酒気帯び状態又は飲酒状態等の生体状態であるか否かを運転時又は運転開始前に判定して、運転者に警告を与える、又は乗り物を発進不可能な状態にロックする等の制御を乗り物自身に搭載することが求められ、この制御を行うための装置が研究・開発されている。
【0003】
例えば、車輌の挙動を測定することによって、運転者の注意力及び判断力等を判定することができ、間接的に運転者の状態を判定することができる。車輌の挙動の測定としては、車輌と走行車線との距離を一定の時間間隔で測定するなどの方法がある。また、運転者の顔部分をカメラにより撮像し、目の開閉状態及びまばたきの頻度等を判定することによって、運転者が居眠り運転などを行っているか否かを判定することができる。また、運転者の体に測定器を装着して脈拍、血圧又は血流等を測定することによって直接的に生体情報を取得し、運転者の状態を判定することができる。
【0004】
特許文献1においては、乗り物の運転時に、運転者の生理情報と乗り物の外部状況とをモニターして、いずれかに異常を検知した場合には運転者に危険を知らせることができる装置が提案されている。この装置では、頭部を覆うヘッドギアを運転者に装着させて、ヘッドギアに搭載された発光素子から近赤外線を頭部に照射し、その反射光を受光素子にて検出する。近赤外線の反射光を検出することによって、血中のヘモグロビン量を計測することができ、運転者の生理情報を取得することができる。また、この他にも脳波計、心電計、脈波計又は筋電計等を運転者に装着させることによって整理情報を取得することについても言及されている。
【0005】
近年では、人間の脳の血流量又は血流分布に関する研究が行われている。これらの研究では、人間が疲労している場合、眠気を感じている場合、及びアルコールを摂取した場合等に、脳の血流量又は血流分布に変化が生じることが明らかにされている(非特許文献1及び非特許文献2参照)。よって、乗り物の運転者の脳の血流量又は血流分布を測定する装置を車輌などの乗り物に搭載することによって運転者の生体情報を取得し、居眠り運転及び又は飲酒運転等を防止することができる。
【特許文献1】特開2006−280512号公報
【非特許文献1】文部科学省科学技術振興調整費 生活者ニーズ対応研究 「疲労および疲労感の分子・神経メカニズムとその防衛に関する研究」班、”疲れを感じる脳の部分は”、[online]、[平成19年4月26日検索]、インターネット<URL:http://www.hirou.jp/P04/03-1.html>
【非特許文献2】株式会社日立製作所、”光トポグラフィを用いてアルコール摂取後の脳活動の画像化に成功”、[online]、2005年7月15日、[2007年4月26日検索]、インターネット<URL:http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2005/07/0715.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車輌の挙動を測定して運転者の状態を判定する場合、車輌の挙動が必ずしも運転者の状態によるものとは限らず、また運転者の運転技術には個人差があるため、正確に判定を行うことができない虞がある。カメラの撮像により運転者の目の開閉状態及びまばたきの頻度等を判定することによって運転者の状態を判定する場合、運転者がカメラに対して正面を向いている状態でなければ判定を行うことができない虞がある。運転者の脈拍、血圧又は血流等を測定器にて測定して運転者の状態を判定する場合、測定器を運転者が装着しなければならず煩わしいため、運転者が測定器を装着しない虞がある。
【0007】
特許文献1に記載の装置は、運転者の頭部に近赤外線を照射することによって血中のヘモグロビン量を計測することができるため、脳の血流量又は血流分布を取得することができる。よって、脳の血流量又は血流分布の変化に基づいて、運転者が疲労しているか、眠気を感じているか、又はアルコールを摂取しているか等を精度よく判定することができる。しかしながら、特許文献1に記載の装置においても、近赤外線の照射及び受光をヘッドギアにて行う構成であるため、運転者がヘッドギアを常に装着していなければならず煩わしいという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、乗員の頭部へ近接/離隔するように移動する移動部に、血液成分に吸収される光成分を含む光を照射する照射手段と、この光成分を受光する受光手段とを搭載し、乗員の頭部の位置を検出して移動部を移動させ、受光した光成分を基に頭部の血流に係る生体情報を取得する構成とすることにより、乗員の頭部に対する光の照射及び受光を確実に行うことができ、乗員が測定器を装着することなく生体情報を確実に取得することができる生体情報取得装置を提供することにある。
【0009】
また本発明の他の目的とするところは、乗員の頭部を撮像した画像を基に頭部の位置を検出する構成とすることにより、頭部の位置を精度よく検出することができ、移動部を移動させて光の照射及び受光を正確に行うことができる生体情報取得装置を提供することにある。
【0010】
また本発明の他の目的とするところは、乗員の頭部までの距離を測定する手段を備えて、測定した距離を基に頭部の位置を検出する構成とすることにより、頭部の位置を簡単に精度よく検出することができ、移動部を精度よく移動させることができる生体情報取得装置を提供することにある。
【0011】
また本発明の他の目的とするところは、運転者の頭部への光の照射及び受光を行う場合には移動部を頭部へ近接させ、照射及び受光を行った後で移動部を頭部から離隔させるように移動を制御する構成とすることにより、生体情報を取得するための移動部が、運転者に対して運転の妨げとなりにくい生体情報取得装置を提供することにある。
【0012】
また本発明の他の目的とするところは、光の受光により運転者の頭部の血流分布又は血流量を生体情報として取得し、予め記憶した生体情報と比較して乗員の生体状態を判定する構成とすることにより、乗員が疲労した状態であるか否か、眠気を感じた状態であるか否か、又はアルコールを摂取した状態であるか否か等を、取得した生体情報を基に精度よく判定することができる生体情報取得装置を提供することにある。
【0013】
また本発明の他の目的とするところは、判定した乗員の生体状態に応じて、警告の発生、乗り物外への通報、又は乗り物の動作の制御等を行う構成とすることにより、運転を行うことが困難な状態である場合に、乗員が乗り物の運転を行うことを防止することができる生体情報取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1発明に係る生体情報取得装置は、乗り物の乗員の頭部に係る生体情報を取得する生体情報取得装置において、血液成分に吸収される波長の光成分を含む光を照射する照射手段と、前記光成分を受光する受光手段と、前記乗り物の乗車席に設けられ、前記照射手段及び受光手段が搭載されて、前記乗員の頭部へ近接/離隔するように移動する移動部と、前記乗員の頭部の位置を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に応じて、前記移動部を移動させる制御を行う移動制御手段とを備え、前記受光手段が受光した光成分を基に、前記乗員の頭部の血流に係る生体情報を取得するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、血液成分に吸収される波長の光成分を含む光を乗員の頭部へ照射する照射手段と、この光成分を受光する受光手段とを用いて生体情報の取得を行う。これにより、乗員の頭部の血流に係る生体情報を精度よく取得することができる。この場合、光の照射及び受光は乗員の頭部にできるだけ近接して行うことが好ましい。そこで、乗り物の乗車席に乗員の頭部へ近接/離隔する移動部を設け、移動部に照射手段及び受光手段を搭載すると共に、乗員の頭部の位置を検出して移動部を移動させる。これにより、移動部を移動させて乗員の頭部に近接させた状態で光の照射及び受光を行うことができるため、取得できる生体情報の精度が高まる。また、この構成の場合には、乗員は測定器などを装着する必要はない。
【0016】
また、第2発明に係る生体情報取得装置は、前記乗員の頭部を撮像する撮像手段を備え、前記検出手段は、前記撮像手段が撮像した画像を基に、前記頭部の位置を検出するようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、乗車席に乗車した乗員の頭部をカメラなどにより撮像する。撮像した画像を基に、例えば人間の顔を認識する画像処理を施すことによって、乗員の頭部の位置を検出することができる。また、この場合には、乗員の頭部の向きなども検出することができるため、移動部をより正確に乗員の頭部に近接するように移動させることができる。
【0018】
また、第3発明に係る生体情報取得装置は、前記乗員の頭部までの距離を測定する測定手段を備え、前記検出手段は、前記測定手段が測定した距離を基に、前記頭部の位置を検出するようにしてあることを特徴とする。
【0019】
本発明においては、例えばレーザ光又は超音波等を利用して、乗車席に乗車した乗員の頭部までの距離を測定する。複雑な画像処理などを行うことなく、乗員の頭部までの正確な距離が容易に得られるため、移動部の移動量を容易に決定できる。よって、移動部を乗員の頭部に容易に近接させることができる。もちろん、上述の撮像による方法と距離測定による方法とを併用してもよく、この場合にはより精度よく移動部の移動を行うことができる。
【0020】
また、第4発明に係る生体情報取得装置は、前記移動制御手段が、前記照射手段による光の照射及び前記受光手段による受光を行う前に、前記移動部を前記乗員の頭部へ近接するように移動させ、前記照射手段による光の照射及び前記受光手段による受光を行った後に、前記移動部を前記乗員の頭部から離隔するように移動させるようにしてあることを特徴とする。
【0021】
本発明においては、運転者の頭部への光の照射及び受光を行う場合には移動部を頭部へ近接させ、照射及び受光を行った後で移動部を頭部から離隔させる。よって、生体情報の取得を行う場合にのみ移動部が運転者の頭部へ近接するため、それ以外の場合に移動部が運転の妨げとならない。なお、生体情報の取得を常時行う場合には、移動部を常に運転者の頭部に近接するように移動させればよい。
【0022】
また、第5発明に係る生体情報取得装置は、前記生体情報として、前記乗員の頭部の血流分布又は血流量を取得するようにしてあり、運転に不適当な生体状態における頭部の生体情報を予め記憶する記憶手段と、取得した生体情報及び前記記憶手段が記憶した生体情報を比較し、前記乗員の生体状態を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
本発明においては、受光手段が受光した光を基に、乗員の頭部の血流分布又は血流量を生体情報として取得する。また、疲労した状態、眠気を感じた状態及びアルコールを摂取した状態等の運転に不適当な生体状態での血流分布又は血流量を予め記憶しておく。これにより、取得した生体情報と記憶した生体情報とを比較することで、乗員の生体状態が判定できる。よって、乗員が運転に適した生体状態であるか否かを簡単且つ精度よく判定できる。
【0024】
また、第6発明に係る生体情報取得装置は、前記判定手段の判定結果に応じて、警告を発する警告手段、前記乗り物外へ通報を行う通報手段、又は前記乗り物の動作を制御する制御手段を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明においては、乗員の生体状態が疲労した状態、眠気を感じた状態及びアルコールを摂取した状態等の場合には、例えば警告音などをスピーカから出力することによって警告を行うことができる。また、例えば無線通信などを利用して、乗り物外の警察署などに自動的に通知を行うことができる。更に、例えば乗り物のエンジンなどを停止するなど、乗り物の動作を制御して動作不能にロックすることができる。運転に不適当な生体状態で乗員が乗り物の運転を行うことを防止できる。
【発明の効果】
【0026】
第1発明による場合は、血液成分に吸収される光成分を含む光を照射する照射手段及びの光成分を受光する受光手段を搭載した移動部を、乗員の頭部の位置に応じて移動させて、受光した光成分を基に頭部の血流に係る生体情報を取得することにより、乗員の頭部に近接させた状態で光の照射及び受光を行うことができるため、生体情報を精度よく取得することができる。よって、乗員は計測器などを体に装着する必要はなく、煩わしさを感じることはない。また、生体情報の取得は乗り物の動作時であっても常時又は定期的に行うことができ、取得した生体情報を基に乗員が運転に適した生体状態であるか否かを判定できる。よって、乗員への警告又は乗り物の動作停止等を常時又は定期的に行うことができるため、乗り物の動作の安全性を高めることができ、事故の防止及び低減に寄与することができる。
【0027】
また、第2発明による場合は、乗員の頭部を撮像した画像を基に頭部の位置を検出する構成とすることにより、頭部の位置を精度よく検出することができ、移動部をより正確に乗員の頭部に近接するように移動させることができるため、生体情報をより正確に取得することができ、生体情報取得装置の信頼性を高めることができる。
【0028】
また、第3発明による場合は、乗員の頭部までの距離を測定して移動部を移動させる構成とすることにより、乗員の頭部までの正確な距離を容易に得ることができ、移動部をより正確に乗員の頭部に近接するように移動させることができるため、生体情報をより正確に取得することができ、生体情報取得装置の信頼性を高めることができる。
【0029】
また、第4発明による場合は、運転者の頭部への光の照射及び受光を行う場合には移動部を頭部へ近接させ、照射及び受光を行った後で移動部を頭部から離隔させる構成とすることにより、生体情報の取得を行う場合にのみ移動部が運転者の頭部へ近接し、それ以外の場合に移動部が運転の妨げとならないため、生体情報取得装置の利便性を高めることができる。
【0030】
また、第5発明による場合は、光の受光により運転者の頭部の血流分布又は血流量を生体情報として取得し、予め記憶した運転に不適当な生体状態での生体情報と比較して判定する構成とすることにより、乗員が疲労した状態、眠気を感じた状態又はアルコールを摂取した状態等であるか否かを簡単且つ正確に判定することができるため、生体情報取得装置の信頼性及び利便性をより高めることができる。
【0031】
また、第6発明による場合は、判定した乗員の生体状態に応じて、警告の発生、乗り物外への通報、又は乗り物の動作の制御等を行う構成とすることにより、運転に不適当な生体状態で乗員が乗り物の運転を行うことを防止できるため、乗り物の動作の安全性をより高めることができ、事故の防止及び低減を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づき具体的に説明する。図1は、本発明に係る生体情報取得装置の構成を示す模式図であり、(a)に全体図を示し、(b)に拡大図を示してある。図において1は車輌であり、車輌1内には運転者100が運転の際に座る運転席5が設けてある。運転席5には、運転者100が座る場合に頭部の後側を凭れ掛けることができるヘッドレスト6が設けてある。本実施の形態に係る生体情報取得装置は、運転席5のヘッドレスト6を前後方向に、即ち運転席5に座った運転者100の頭部へ近接/離隔する方向に移動させることができるようにしてあり、移動を行うためのアクチュエータ13が運転席5内に搭載してある。アクチュエータ13は、車輌1の適所に配設されたECU(Electronic Control Unit)30により動作を制御されている。
【0033】
また、運転席5のヘッドレスト6内には、近赤外光の照射及び受光を行う赤外光ユニット15が搭載してある。赤外光ユニット15は、ヘッドレスト6内の前側(即ち、運転者100の頭部に近い側)に配されており、運転席5に座った運転者100の頭部へ近赤外光の照射を行い易くしてある。赤外光ユニット15が照射する近赤外光は、人間の体をある程度の深さまで透過する性質を有しており、また、血液に含まれるヘモグロビンにより吸収される性質を有している。赤外光ユニット15が運転者100の頭部へ照射した赤外光は、頭部の表面を透過して脳内の血管に到達するため、照射した近赤外光の反射光を受光して調べることにより脳内の血流分布を取得することができる。赤外光ユニット15は、近赤外光を受光して撮像した画像データを血流分布の取得結果としてECU30へ与えるようにしてある。
【0034】
人間の脳内の血流は体の状態により変化する。例えば、人間が眠気を感じている状態では脳の血流量が全体的に減少することが明らかにされている。また、疲労により脳の前頭皮質の一部にて血流が増加することが明らかにされている。よって、これらの脳の血流分布パターンを画像データとして予め記憶しておき、赤外光ユニット15を用いて取得した運転者100の血流分布の画像データと比較することにより、運転者100の体の状態を判断することが可能である。
【0035】
また、本実施の形態に係る生体情報取得装置は、車輌1内の例えば天井部分に搭載されたカメラ11を備えている。カメラ11は、運転席5に座った運転者100の頭部へ向けて設置してあり、運転者100の頭部を撮像してECU30へ画像データを与えるようにしてある。ECU30は、カメラ11にて撮像された画像データを基に、運転者100の頭部の位置を検出するようにしてあり、検出した頭部の位置に応じてアクチュエータ13を制御してヘッドレスト6を移動させるようにしてある。
【0036】
図2は、本発明に係る生体情報取得装置の構成を示すブロック図である。生体情報取得装置のECU30は、CPU(Central Processing Unit)31、移動制御部32、画像処理部33、画像記憶部34、通信部35、タイマ36、ROM(Read Only Memory)37、RAM(Random Access Memory)38、及び位置検出部39等を備えている。CPU31は、ECU30内の各部の制御処理及び各種の演算処理等を行うものであり、ROM37に予め記憶されたプログラム及びデータを読み出して実行することによって種々の処理を行うようにしてある。
【0037】
ROM37は、マスクROM又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、ECU30の動作に必要な種々のプログラム及びデータ等が予め記憶してある。RAM38は、CPU31が制御処理又は演算処理等を行う際に発生する一時的なデータを記憶するためのものであり、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)等の書き換え可能なメモリ素子により構成してある。
【0038】
また、タイマ36は、CPU31が計時を行う際に用いられるものであり、CPU31により計時の開始、停止及び時間のリセット等が行われるようにしてある。本実施の形態に係る生体情報取得装置は、所定の時間間隔(例えば、30分毎又は1時間毎等)に赤外光ユニット15による生体情報の取得を行うようにしてある。CPU31は、生体情報の取得が完了した場合にタイマ36をリセットして計時を開始し、所定時間が経過した場合に生体情報の取得を再度行うようにしてある。
【0039】
移動制御部32は、アクチュエータ13の動作を制御するものであり、CPU31からの指示により運転席5のヘッドレスト6を運転者100の頭部に近接/離隔する方向へ移動させるようにしてある。アクチュエータ13には、例えば圧縮空気を利用して直線運動又は揺動運動等を行うシリンダ型のアクチュエータを用いることができる。
【0040】
位置検出部39は、車輌1の適所に配設されたカメラ11が接続されており、カメラ11が1秒間に数回〜数十回程度の頻度で撮像した画像が与えられている。位置検出部39は、カメラ11が撮像した画像を基に画像処理を行って、カメラ11から運転者100の頭部までの距離を算出するようにしてあり、これにより運転席5のヘッドレスト6に対する運転者100の頭部の相対位置を検出するようにしてある。CPU11は、位置検出部39が検出した頭部の位置に応じて移動制御部32にヘッドレスト6の移動を行わせるようにしてあり、生体情報の取得を行う場合にはヘッドレスト6が運転者100の頭部に近接する方向へヘッドレスト6を移動させ、生体情報の取得完了後には運転者100の頭部から離隔する方向へヘッドレスト6を移動させて元の位置へ戻すようにしてある。
【0041】
ヘッドレスト6に搭載された赤外光ユニット15は、近赤外光を照射する発光素子16及び近赤外光を受光する受光素子17等により構成されるものである。発光素子16は、例えば波長が800nm程度の近赤外光を照射するようにしてあり、この赤外光は血液中の酸化ヘモグロビン及び還元ヘモグロビンにて吸収される。受光素子17は、近赤外光を受光する複数の画素がマトリクス状に並設された構成であり、各画素が受光に応じて出力する電圧を基に画像データを生成してECU30の画像処理部33へ与えるようにしてある。
【0042】
運転者100の脳内の血流量が多い場合には発光素子16が照射した近赤外光の吸収量が多く、血流量が少ない場合には近赤外光の吸収量は少ない。よって、受光素子17が生成した画像データから運転者100の脳内において近赤外光の吸収量が多い部分及び少ない部分を判断することができる。即ち、受光素子17が生成する画像データは運転者100の脳内の血流分布を表すものである。
【0043】
画像処理部33は、赤外光ユニット15の受光素子17から与えられた血流分布を示す画像データを基に、運転者100の生体状態(体調又は健康状態等)を画像処理により判定するようにしてある。ECU30の画像記憶部34は、フラッシュメモリなどの容量の大きい不揮発性のメモリ素子で構成してあり、人間の各種の生体状態における脳の血流分布のパターンが画像データとして予め記憶してある。例えば画像記憶部34には、人間が眠気を感じている状態の血流分布パターン、人間が疲労した状態の血流分布パターン、及びアルコールを摂取した状態の血流分布パターン等が予め記憶してある。
【0044】
画像処理部33は、赤外光ユニット15の受光素子17から画像データが与えられた場合、画像記憶部34から各種の画像データを読み出して、受光素子17から与えられた画像データとの比較を行う。これにより、画像処理部33は、与えられた画像データに係る運転者100の脳の血流分布と、予め記憶された画像データに係る各種の血流分布パターンとの比較を行うことができ、画像データの類似度から運転者100の脳の血流分布に類似する血流分布パターンを調べ、運転者100の生体状態を判定することができる。
【0045】
通信部35は、車輌1の適所に搭載された警報装置51、無線通信装置52、ステアリングロック装置53、シフトロック装置54及びエンジンロック装置55等のその他の装置が接続されたCAN(Controller Area Network)などのネットワークに接続するためのものである。通信部35は、ネットワークを介してその他の装置との間でデータ又はメッセージ等の送受信を行うようにしてある。ECU30のCPU31は、通信部35により制御メッセージをその他の装置へ送信することによって、これらの装置の動作を制御することができるようにしてある。
【0046】
警報装置51は例えば車輌1に搭載されたスピーカを利用して警告音又は音声による警告メッセージ等を出力することができ、ECU30からの出力要求に応じて出力を行うようにしてある。無線通信装置52は、車輌1の外の装置との間で無線通信によるメッセージの送受信を行うことができ、ECU30から与えられたメッセージを無線信号に変換して外の装置へ送信を行うと共に、外の装置から受信した無線信号をメッセージに変換してECU30又はその他の装置へ与えるようにしてある。ECU30は、無線通信装置52を利用することによって、例えば警察への通報などを行うことができる。
【0047】
ステアリングロック装置53は、車輌1のステアリング装置を動作不可能にロックするための装置であり、ECU30からのロック要求に応じて運転者100がステアリング操作を行うことができないようにロックするようにしてある。シフトロック装置54は、車輌1のシフトレバーによるギヤの状態を変更不可能にロックするための装置であり、ECU30からのロック要求に応じて運転者100がシフトレバーの操作を行うことができないようにロックするようにしてある。同様に、エンジンロック装置55は、車輌1のエンジンを始動不可能にロックするための装置であり、ECU30からのロック要求に応じて運転者100がエンジンを始動して車輌1を発進させることができないようにロックするようにしてある。
【0048】
ECU30のCPU31は、運転者100の生体状態が運転に適さない状態であると判定される場合に、通信部35にネットワークを介して接続された他の装置を利用して、運転者100に対する警告、警察への通報又は車輌1のロック等の処理を行うようにしてある。ただし、これらの処理全てを行う必要はなく、判定した運転者100の生体情報に応じて警告、通報又はロック等のいずれを行うかをECU30のCPU31が選択する構成としてもよい。また、車輌1の走行中にステアリングロック装置53、シフトロック装置54又はエンジンロック装置55によるロックを行うことは危険であるため、ECU30にて車輌1の走行状態を判断し、危険でない場合にのみロックを行う構成とすることが好ましい。
【0049】
図3は、本発明に係る生体情報取得装置が行う取得処理の手順を示すフローチャートであり、ECU30のCPU31にて行われる処理である。まず、ECU30のCPU31は、タイマ36をリセットすると共に計時を開始し(ステップS1)、所定時間が経過したか否かを調べる(ステップS2)。本実施の形態に係る生体情報取得装置は、車輌1のイグニッションスイッチがオフとされた場合に、運転者100の頭部に係る生体情報の取得処理を終了する旨が他の装置(図示は省略する)からネットワークを介して終了通知として与えられるようにしてある。CPU31は、タイマ36が計時する時間が所定時間を経過していない場合(S2:NO)、ネットワークを介して他の装置から終了通知が与えられたか否かを調べるようにしてある(ステップS3)。CPU31は、他の装置から終了通知が与えられた場合には(S3:YES)、取得処理を終了し、終了通知が与えられていない場合には(S3:NO)、ステップS2へ戻り、所定時間が経過するか、終了通知が与えられるまで待機する。
【0050】
タイマ36による計時が所定時間を経過した場合(S2:YES)、CPU31は位置検出部39にてカメラ11が撮像した画像を基に運転者100の頭部の位置検出する処理を行わせ(ステップS4)、検出した頭部の位置に応じて移動制御部32によりアクチュエータ13を動作させて、ヘッドレスト6を運転者100の頭部に近接するように移動させる(ステップS5)。次いで、CPU31は、ヘッドレスト6に搭載された赤外光ユニット15にて近赤外光の照射及び受光を行わせて(ステップS6)、画像処理部33に赤外光ユニット15から生体情報である血流分布を示す画像データを取得させる。
【0051】
生体情報として血流分布を示す画像データを取得した後、CPU31は画像記憶部34に予め記憶された血流分布パターンの画像データを画像処理部33に与えることによって、画像処理部33にて血流分布パターンとの比較を行わせる(ステップS7)。比較の結果、赤外光ユニット15にて取得した運転者100の血流分布と類似する血流分布パターンが存在したか否かを調べることによって(ステップS8)、運転者100の生体状態の判定を行う。類似する血流分布パターンが存在しない場合には(S8:NO)、CPU31は運転者100が正常な状態であり、運転を適切に行うことができる生体状態であると判定し、ステップS12へ進む。
【0052】
類似する血流分布パターンが存在する場合には(S8:YES)、CPU31は運転者100が運転を適切に行うことができない生体状態であると判定し、通信部35からネットワークを介して他の装置へメッセージを送信し、警報装置51にて警告音又は警告メッセージを音声出力することにより警報を行い(ステップS9)、無線通信装置52にて例えば警察などへの通報を行い(ステップS10)、更にステアリングロック装置53、シフトロック装置54及びエンジンロック装置55によるロック処理を行う(ステップS11)。次いで、CPU31は移動制御部32によりアクチュエータ13を動作させて、ヘッドレスト6を運転者100の頭部から離隔する方向へ移動させ(ステップS12)、ステップS1へ戻り、上述の処理を繰り返し行う。これにより、CPU31はタイマ36により計時される所定時間毎に、生体情報として運転者100の頭部の血流分布を取得することができる。
【0053】
以上の構成の生体情報取得装置は、運転席5のヘッドレスト6に搭載された赤外光ユニット15により運転者100の頭部の血流分布を生体情報として取得することができる。ECU30はこのときに、カメラ11にて運転者100を撮像した画像から運転者100の頭部の位置を位置検出部39にて検出し、検出した位置に応じて移動制御部32にてアクチュエータ13を動作させてヘッドレスト6を運転者100の頭部へ近接させるように移動させることができる。よって、ヘッドレスト6に搭載された赤外光ユニット15の発光素子16からの近赤外光を効率よく確実に運転者100の頭部へ照射することができる。また、赤外光ユニット15の受光素子17が運転者100の頭部の近傍で近赤外光の反射光を受光できるため、受光素子17による受光効率を高めることができ、太陽光などによる外乱の影響を低減することができる。よって、生体情報取得装置が生体情報として取得する血流分布の精度を高めることができる。
【0054】
また、生体情報取得装置にて、ECU30が取得した生体情報を基に運転者100の生体状態を判定し、判定結果に応じて警報を発し、警察への通報を行い、更に車輌1のステアリング、シフトレバー及びエンジンのロックを行うことによって、運転者100が車輌1の運転に不適切な生体状態の場合に、車輌1の運転を控えさせることができるため、交通事故を未然に防ぐことができ、交通安全に寄与することができる。
【0055】
なお、本実施の形態においては、運転席5のヘッドレスト6をアクチュエータ13により前後方向へ移動させる構成としたが、これに限るものではなく、上下左右等のその他の方向に移動させる構成としてもよく、更にはヘッドレスト6を揺動して角度を変更する構成としてもよい。また、運転席5のヘッドレスト6を移動させる構成としたが、これに限るものではなく、運転席5の背もたれを移動させる構成としてもよく、その他の部分を移動させる構成としてもよい。また、車輌1の運転席5に本発明の生体情報取得装置を適用する構成としたが、これに限るものではなく、助手席又は後部座席等についても同様の構成とすることができる。また、乗り物として車輌1に生体情報取得装置を搭載する構成としたが、これに限るものではなく、列車、船舶又は飛行機等の他の乗り物に同様の生体情報取得装置を搭載してもよい。
【0056】
また、近赤外光を照射する発光素子16と受光する受光素子17とを1つの赤外光ユニット15としてヘッドレスト6に搭載する構成としたが、これに限るものではなく、発光素子16と受光素子17とを別に搭載してもよく、更には発光素子16と受光素子17とを別の方法で移動させる構成としてもよい。また、生体情報の取得をタイマ36の計時に基づく所定の時間間隔で行う構成としたが、これに限るものではなく、生体情報の取得を常時行う構成としてもよく、車輌1のエンジン始動前などの特定の場合にのみ行う構成としてもよい。また、生体情報として近赤外光の反射光を受光して脳の血流分布を取得する構成としたが、これに限るものではなく、単に血流量を取得する構成としてもよく、他の生体情報を取得する構成としてもよい。
【0057】
また、画像データとして取得した血流分布と、予め記憶した画像データに係る血流分布パターンを比較することによって、運転者100が眠気を感じた状態であるか、疲労した状態であるか、又はアルコールを摂取した状態であるか等の生体状態を判定する構成としたが、これに限るものではなく、例えば血流量が閾値を超えるか否かにより判定を行うなど、その他の方法で判定を行う構成としてもよい。更に、カメラ11が撮像した画像を基に、運転者100のまぶたの開閉の頻度及び時間等を取得し、これらの情報を合わせて運転者の生体状態を判定する構成としてもよい。また、カメラ11は、運転者100の頭部を正面側から撮像するのではなく、左右側方又は後方等の他の方向から運転者100の頭部を撮像してもよい。
【0058】
(変形例)
上述の生体情報取得装置は、カメラ11が撮像した画像を基に運転者100の頭部の位置を検出する構成であるが、以下に示す変形例に係る生体情報取得装置は、頭部の位置検出の精度を更に高める構成である。図4は、本発明の変形例に係る生体情報取得装置の構成を示すブロック図である。変形例に係る生体情報取得装置は、車輌1の運転席5のヘッドレスト6に搭載された測距センサ211を備えている。測距センサ211は、ヘッドレスト6から運転者100の頭部へ向けて超音波を出射し、頭部にて反射した反射波を検知することによって、ヘッドレスト6から運転者100の頭部までの距離を測定するようにしてある。
【0059】
測距センサ211が測定した距離はECU230の位置検出部239に与えられるようにしてある。位置検出部239は、カメラ11が撮像した運転者100の画像と、測距センサ211が測定した距離とを基にして、運転者100の頭部の位置を検出するようにしてある。よって、変形例に係る生体情報取得装置は、カメラ11が撮像した画像のみでなく、測距センサ211が測定した距離を基に位置を検出できるため、ヘッドレスト6の移動をより精度よく行うことができる。
【0060】
なお、変形例に係る生体情報取得装置は、カメラ11が撮像した画像及び測距センサ211が測定した距離を基に運転者100の頭部の位置を検出する構成としたが、これに限るものではなく、カメラ11を備えずに、測距センサ211が測定した距離のみから運転者100の頭部の位置を検出する構成としてもよい。また、測距センサ211は、超音波を利用して距離を測定する構成としたが、これに限るものではなく、例えばレーザ光を利用して距離を測定する構成としてもよく、その他の方法で距離を測定する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る生体情報取得装置の構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る生体情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る生体情報取得装置が行う取得処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】本発明の変形例に係る生体情報取得装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 車輌(乗り物)
5 運転席(乗車席)
6 ヘッドレスト(移動部)
11 カメラ(撮像手段)
13 アクチュエータ
15 赤外光ユニット
16 発光素子(照射手段)
17 受光素子(受光手段)
30 ECU
31 CPU
32 移動制御部(移動制御手段)
33 画像処理部(判定手段)
34 画像記憶部(記憶手段)
35 通信部
36 タイマ
39 位置検出部(検出手段)
51 警報装置(警告手段)
52 無線通信装置(通報手段)
53 ステアリングロック装置(制御手段)
54 シフトロック装置(制御手段)
55 エンジンロック装置(制御手段)
100 運転者(乗員)
211 測距センサ(測定手段)
230 ECU
239 位置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物の乗員の頭部に係る生体情報を取得する生体情報取得装置において、
血液成分に吸収される波長の光成分を含む光を照射する照射手段と、
前記光成分を受光する受光手段と、
前記乗り物の乗車席に設けられ、前記照射手段及び受光手段が搭載されて、前記乗員の頭部へ近接/離隔するように移動する移動部と、
前記乗員の頭部の位置を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果に応じて、前記移動部を移動させる制御を行う移動制御手段と
を備え、
前記受光手段が受光した光成分を基に、前記乗員の頭部の血流に係る生体情報を取得するようにしてあること
を特徴とする生体情報取得装置。
【請求項2】
前記乗員の頭部を撮像する撮像手段を備え、
前記検出手段は、前記撮像手段が撮像した画像を基に、前記頭部の位置を検出するようにしてあること
を特徴とする請求項1に記載の生体情報取得装置。
【請求項3】
前記乗員の頭部までの距離を測定する測定手段を備え、
前記検出手段は、前記測定手段が測定した距離を基に、前記頭部の位置を検出するようにしてあること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の生体情報取得装置。
【請求項4】
前記移動制御手段は、
前記照射手段による光の照射及び前記受光手段による受光を行う前に、前記移動部を前記乗員の頭部へ近接するように移動させ、
前記照射手段による光の照射及び前記受光手段による受光を行った後に、前記移動部を前記乗員の頭部から離隔するように移動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の生体情報取得装置。
【請求項5】
前記生体情報として、前記乗員の頭部の血流分布又は血流量を取得するようにしてあり、
運転に不適当な生体状態における頭部の生体情報を予め記憶する記憶手段と、
取得した生体情報及び前記記憶手段が記憶した生体情報を比較し、前記乗員の生体状態を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の生体情報取得装置。
【請求項6】
前記判定手段の判定結果に応じて、警告を発する警告手段、前記乗り物外へ通報を行う通報手段、又は前記乗り物の動作を制御する制御手段を備えること
を特徴とする請求項5に記載の生体情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−284165(P2008−284165A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−132107(P2007−132107)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】