説明

用紙品質検査装置

【課題】
抄造工程で付与されるすき入れ、すき入れコード情報及び印刷模様を抄紙機上で検査する用紙品質検査装置を提供する。
【解決手段】
本発明は、従来例の用紙品質管理装置の検査方法とは別の方法としたすき入れ検査部と、印刷検査部と、新たな機能としてすき入れコード情報検査部を設け、これらを制御部によって制御する用紙品質検査装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に付与されたすき入れ模様、すき入れによるコード情報及び印刷模様の品質を、抄紙機のカレンダ以降で検査する検査装置に関するものである。
【0002】
偽造防止要素として銀行券に付与されるすき入れには、人物の肖像、風景及び建物のように階調のある形状並びに図形及びマークのようにすき入れの階調がほぼ一定で単純な形状をしたすき入れがある。
【0003】
また、別の偽造防止要素として、パールインキを用紙に塗布し、用紙を傾けたときに潜像として浮かび上がらせるものもある。
【0004】
さらに、近年の銀行券には、偽造防止及び機械読み取りの機能を有するすき入れコード情報が付与されている。該すき入れコード情報は、用紙の凹凸によって作製されたすき入れで、一般的な光源下に透かすことによって目視可能であり、著作権侵害防止等のため、その存在は視認できないか、又は視認しにくい形で埋め込まれる電子透かしとは異なるものである。そして、該すき入れコード情報は、機械読み取りを目的に付与されており、任意の特定の形状に加工されたすき入れ模様である。
【0005】
前記すき入れコード情報を検査する場合、任意に特定の形状として付与されることから、幅、長さ、面積のような形状測定に加え、すき入れの明暗の度合いで鮮明度を測定する必要がある。
【0006】
このように、用紙に付与されるすき入れ及び印刷模様の検査を行う装置として、すかし画像の鮮明度、用紙の伸縮度合い、ピンホール及び用紙表面に塗布された塗料の塗布状態等の検査を行う用紙品質管理装置があった(特許文献1)。
【0007】
前述の用紙品質管理装置によるすき入れ鮮明度の検査方法は、取り込んだ検査画像を任意の閾値で二値化し、白画素又は黒画素となった画素の総和をそれぞれ求めてあらかじめ設定された欠陥の判定基準値と比較し、過鮮明及び不鮮明といった欠点を検出するものである。
【0008】
また、用紙品質管理装置による塗料の塗布状態を検査する方法は、塗布状態の許容範囲を示す閾値を設けて、塗料の塗布状態を定量的に認識する方法又は塗料の塗布状態をモニタに表示して、人が監視を行う方法である。
【特許文献1】特開平2002−342745号公報(第1−6項、第1、2、3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のすき入れ鮮明度の検査方法は、取り込んだ検査画像を任意の閾値で二値化し、白画素又は黒画素となった画素の総和をそれぞれ求め、あらかじめ設定された欠陥の判定基準値と比較する方法であり、画像全体の明るさは評価可能であるが、正常なすき入れと比較して欠陥と判定する濃度、面積及び位置を評価することはできなかった。また、任意に閾値の設定が可能であるが、実際の検査では、一つの閾値を固定して二値化しているため、坪量の変動でも測定値に影響していた。上記の問題から、従来の方法で階調のあるすき入れを評価するのは困難であった。このため、すき入れ模様の検査は、抄造で巻き取り交換時にサンプリング検査を行うとともに、後工程で目視による検査を行っており、効率的でないという問題があった。
【0010】
また、特許文献1の塗料の塗布状態を検査する方法では、許容範囲である閾値を設けて、塗料の塗布状態を定量的に認識する方法又は塗料の塗布状態をモニタに表示して、人が監視を行う方法であり、前者については、塗布状態の検査をする方法として具体的な検査方法まで言及されておらず、また、後者についても、人がモニタを見て判断する必要があり、個人差が発生すること及び効率的でないという問題があった。
【0011】
さらに、特許文献1の用紙品質管理装置は、二値化面積からすき入れを評価する方法であり、すき入れコード情報のような任意に特定の形状を施したすき入れの形状及び明暗の度合いである鮮明度を検査する機能はなかった。
【0012】
すなわち、同じように施されるすき入れでも、階調の有無、模様及び形状のようなすき入れの形態により評価方法が異なるので、施されるすき入れに応じた評価機能が必要であり、更に印刷模様の検査機能の高度化が必要であった。
【0013】
本発明は、前述した装置の問題点を解決することを目的としたもので、従来例の用紙品質管理装置の検査方法とは別の方法としたすき入れ検査部と、印刷検査部と、新たな機能としてすき入れコード情報検査部を設け、これらを制御部によって制御する用紙品質検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、用紙に付与されたすき入れ模様、すき入れによるコード情報及び印刷模様の品質を、抄紙機のカレンダ以降で検査する検査装置において、
前述の検査装置は、すき入れ模様及びすき入れコード情報の透過画像を取り込む第1の照明部及び第1の撮像部と、印刷模様の反射画像を取り込む第2の照明部及び第2の撮像部と、第1の撮像部で取得したすき入れ模様画像データを処理して、すき入れ模様の品質を検査するすき入れ検査部と、第1の撮像部で取得したすき入れコード情報画像データを処理して、すき入れコード情報の品質を検査するすき入れコード情報検査部と、第2の撮像部で取得した印刷模様画像データを処理して、印刷模様の品質を検査する印刷検査部と、すき入れ検査部、すき入れコード情報検査部及び印刷検査部と通信を行い、動作を制御する制御部とから成ることを特徴とする用紙品質検査装置である。
【0015】
また、本発明の用紙品質検査装置は、濃度の高い第1のすき入れ基準画像及び濃度の低い第2のすき入れ基準画像と、すき入れ模様画像データの位置補正に用いる第3のすき入れ基準画像をあらかじめ記憶させる画像記憶部と、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、欠陥と判定する基準値を明の濃度基準値として少なくとも一つ設定し、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、明の濃度基準値を超える画素を求め、明の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値を明の面積基準値として設定し、すき入れ模様画像データと前記第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して、欠陥と判定する基準値を暗の濃度基準値として少なくとも一つ設定し、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して、暗の濃度基準値を超える画素を求め、暗の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値を暗の面積基準値として設定する検査設定部と、すき入れ模様画像データと第3のすき入れ基準画像で位置補正後、位置補正されたすき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像で濃度を比較し、位置補正されたすき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差が、明の濃度基準値を超える画素を求め、明の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積を求め、求められた面積と明の面積基準値を比較して明欠陥を判定する処理と、位置補正されたすき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像で濃度を比較し、位置補正されたすき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差が、暗の濃度基準値を超える画素を求め、暗の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積を求め、求められた面積と暗の面積基準値を比較して暗欠陥を判定する処理を行うすき入れ検査処理部と、すき入れ検査処理部の検査結果を表示する表示部と、すき入れ検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、制御部に対して、すき入れ検査部の運転状況の通信と、すき入れ検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成るすき入れ検査部を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の用紙品質検査装置は、所定の幅、長さ、面積、本数及び鮮明度の基準値を設定する検査設定部と、第1の撮像部で取り込んだすき入れコード情報画像データから、すき入れコード情報検査画像を抽出する画像抽出部と、画像抽出部で、すき入れコード情報検査画像を抽出するときに用いるすき入れコード情報基準画像が記憶された画像記憶部と、抽出したすき入れコード情報検査画像を二値化し、二値化した画像からすき入れコード情報の幅、長さ、面積及び本数の測定を行い、所定の幅、長さ、面積及び本数の基準値と比較して判定する第1の検査処理部と、抽出したすき入れコード情報検査画像において、すき入れコード情報領域と、すき入れコード情報領域の背景となる領域の濃度分布から鮮明度を求め、所定の鮮明度の基準値と比較して判定する第2の検査処理部と、第1の検査処理部及び第2の検査処理部のすき入れコード情報の検査結果を表示する表示部と、第1の検査処理部及び第2の検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、制御部に対して、すき入れコード情報検査部の運転状況の通信と、第1の検査処理部及び第2の検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成るすき入れコード情報検査部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の用紙品質検査装置は、階調のある第1の印刷基準画像及び第1の印刷基準画像を二値化した第2の印刷基準画像をあらかじめ記憶させる画像記憶部と、欠陥面積の基準値を設定し、印刷模様画像データから検査する画像の抽出範囲を設定する検査設定部と、第2の撮像部で取り込んだ印刷模様画像データから、抽出範囲を基に印刷模様検査画像を抽出する画像抽出部と、抽出した印刷模様検査画像を濃度変換し、濃度変換された印刷模様検査画像と第1の印刷基準画像でパターンマッチングして位置合わせを行い、印刷模様検査画像を二値化し、二値化した印刷模様検査画像と第2の印刷基準画像で差分処理を行い印刷模様の欠陥面積を求め、欠陥面積の基準値と比較して判定する印刷検査処理部と、印刷検査処理部の検査結果を表示する表示部と、印刷検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、制御部に対して、印刷検査部の運転状況の通信と、印刷検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成る印刷検査部を備えることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の用紙品質検査装置は、すき入れ検査部、すき入れコード情報検査部及び印刷検査部に対して、各検査部の運転状況及び欠陥信号の通信を行い、各検査部を制御する通信制御部と、すき入れ検査部、すき入れコード情報検査部及び印刷検査部からの運転状況及び欠陥信号を処理するデータ処理部と、データ処理部の結果を表示する表示部と、データ処理部の結果を保存するデータ記録部から成る制御部を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の用紙品質検査装置は、欠陥発生時に、制御部の通信制御部から欠陥信号を受信し、欠陥が発生したことを外部に知らせる報知部を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の用紙品質検査装置の第1の撮像部は、すき入れ模様の透過画像を取り込む第1aの撮像部及びすき入れコード情報の透過画像を取り込む第1bの撮像部から成り、第1の照明部は、すき入れ模様の透過画像を取り込む第1aの照明部と、すき入れコード情報の透過画像を取り込む第1bの照明部から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の用紙品質検査装置のすき入れ検査部は、すき入れ模様画像データと、第1のすき入れ基準画像及びすき入れ模様画像データと、第2のすき入れ基準画像の対応する画素同士で濃度比較を行う検査により、第1のすき入れ基準画像に対して明るい側の明欠陥及び第2のすき入れ基準画像に対して暗い側の暗欠陥の検出が行える。さらに、明の濃度基準値及び暗の濃度基準値と、明の面積基準値及び暗の面積基準値が一つ以上設定可能であるので、濃度差と面積の程度に応じて「良」又は「欠陥」の判定ができ、従来よりも高度な検査が行える。
【0022】
また、本発明の用紙品質検査装置のすき入れコード情報検査部の第1の検査処理部は、二値化閾値を自動で変更する処理により閾値を求め、すき入れコード情報検査画像を二値化した画像から、すき入れコード情報の幅、長さ、面積及び本数の測定が行える。また、第2の検査処理部は、すき入れコード情報検査画像のすき入れコード情報領域と、すき入れコード情報の背景となる領域の濃度分布から濃度の最大値及び最小値を求め、鮮明度を求める演算処理により、鮮明度の測定が行える。
【0023】
また、本発明の用紙品質検査装置の印刷検査部は、印刷模様検査画像と、第2の印刷基準画像で行う差分処理と、差分処理で得られた画素の位置情報から、印刷模様の欠陥面積「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」の検出ができ、差分処理で得られた画素の総和面積及び差分処理で得られた画素の連結成分の単独面積を求めることで、欠陥の程度に応じて「良」又は「欠陥」の判定ができ、従来よりも高度な検査が行える。
【0024】
また、本発明の用紙品質検査装置は、従来の用紙品質検査装置よりも高度なすき入れ模様及び印刷模様の検査及びすき入れコード情報の検査が行えるとともに、サンプリング検査及び目視検査することなく用紙品質の検査が行えるので効率的である。
【0025】
さらに、本発明の用紙品質検査装置の制御部は、各検査部及び報知部と通信を行い、動作を制御するため、オペレータが各検査部を一つずつ操作する必要がなく、各検査部を一括して運転させることができ、制御部のモニタで各検査部の稼働状況が把握でき、作業性が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は以下に述べる実施するための最良の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
【0027】
用紙に付与されたすき入れ模様、すき入れによるコード情報及び印刷模様の品質を、抄紙機のカレンダ以降で検査する用紙品質検査装置の一つの実施形態について、図1のブロックを用いて説明する。
【0028】
図1に示すように、用紙品質検査装置7は、すき入れ模様の透過画像を取り込む第1aの照明部1a及び第1aの撮像部1bと、すき入れコード情報の透過画像を取り込む第1bの照明部2a及び第1bの撮像部2bと、印刷模様の反射画像を取り込む第2の照明部3a及び第2の撮像部3bと、第1aの撮像部1bで取り込んだすき入れ模様画像データを処理し、すき入れ模様の品質を検査するすき入れ検査部4と、第1bの撮像部2bで取り込んだすき入れコード情報画像データを処理し、すき入れコード情報の品質を検査するすき入れコード情報検査部5と、第2の撮像部3bで取り込んだ画像データを処理し、印刷模様の品質を検査する印刷検査部6と、欠陥発生時に、欠陥が発生した用紙にマーキングするマーキング部10a、外部に知らせる表示灯10b及びブザー10cから成る報知部10と、すき入れ検査部4、すき入れコード情報検査部5、印刷検査部6及び報知部10の動作を制御する制御部8を備える。なお、すき入れ模様及びすき入れコード情報の透過画像の取り込みについては、共通のカメラと照明を使用して検査処理を行うことも可能である(図示せず)。この場合、取り込んだ画像データは、いったん別の画像入力部にデータを移し、別の画像入力部から必要な画像データをすき入れ検査処理部4b又は、画像抽出部5aに移すと良い。また、すき入れ検査部4、すき入れコード情報検査部5及び印刷検査部6には、用紙の走行速度の測定を行うロータリーエンコーダと画像取り込みの基準となるトリガマークを検出するセンサがそれぞれ接続されているが、ここでは、図は省略する。また、カメラ及び照明については、可視光及び赤外光を用いた画像取込が可能であるが、赤外光は目に見えず危険なため、ここでは可視光を用いて画像を取り込んでいる。用いるカメラとしては、すき入れ模様及びすき入れコード情報についてはモノクロ階調のCCDラインカメラ、印刷模様についてはカラーのCCDラインカメラを用いるのが望ましく、照明としては高周波蛍光灯又はLED照明を用いるのが望ましい。また、第1aの撮像部1b、第1bの撮像部2b及び第2の撮像部3bには外光の影響を防ぐため、遮光ボックスでカバーしている(図示せず)。
【0029】
本発明の用紙品質検査装置で検査する用紙の一つの実施形態について、図2を用いて説明する。
【0030】
図2に示すとおり、用紙上にすき入れ模様21、すき入れコード情報22及び印刷模様23が、それぞれm行×n列付与されている。また、巻取紙を断裁する目安となるトリガマーク24も付与されている。これらを含む範囲を一つの検査エリア20とし、検査エリア20は、抄紙機上を連続して走行している。
【0031】
図2に示す用紙の実施形態は、各製品によって異なるが、すき入れ検査部4、すき入れコード情報検査部5及び印刷検査部6は、製品に応じてあらかじめ設定された基準値、検査範囲及び基準画像等を用いることで検査が可能である。また、運転停止時に設定を変更することも可能である。
【0032】
次に、本発明の用紙品質検査装置を抄紙機のカレンダ以降に設置した一つの実施形態について、図3を用いて説明する。
【0033】
図3に示すとおり、すき入れ検査部4は、トリガマークを検出するセンサ13aと用紙の走行速度を測定するロータリーエンコーダ14aが接続され、それぞれ別の所定の位置に設置されている。そして、第1aの撮像部1bからセンサ13aまでの距離と、ロータリーエンコーダ14aの信号と、センサ13aのトリガ検出信号を利用して、第1aの画像取込部1bで所定の範囲のすき入れ模様検査画像データが取り込まれ、検査が行われる。印刷模様検査部6及びすき入れコード情報検査部5についても、ロータリーエンコーダとセンサが接続され、それぞれ別の所定の位置に設置されているが、図3では省略する。ペーパーロール15は、用紙の走行を安定させるためのものである。
【0034】
(すき入れ検査部)
図4は、すき入れ検査部4の詳細を示す図である。第1aの撮像部1bと第1aの照明1aによって、すき入れ模様の透過画像が取り込まれる。そして、取り込まれたすき入れ模様画像データは、すき入れ検査部4のすき入れ検査処理部4bで検査処理が行われる。以下にその詳細な説明をする。
【0035】
画像記憶部4aに、濃度の高い第1のすき入れ基準画像(以下「第1のすき入れ基準画像」という。)、濃度の低い第2のすき入れ基準画像(以下「第2のすき入れ基準画像」という。)及びすき入れ模様画像データの位置補正に用いる第3のすき入れ基準画像をあらかじめ設定しておく。第1のすき入れ基準画像及び第2のすき入れ基準画像の設定は、あらかじめ検査エリア20の画像を任意の回数だけ取り込み、位置補正を行って集計し、画素ごとに最も明るいものだけを集めた第1のすき入れ基準画像と、画素毎に最も暗いものだけを集めた第2のすき入れ基準画像が画像記憶部4aに設定される。位置補正に用いる第3のすき入れ基準画像は、第1のすき入れ基準画像と、第2のすき入れ基準画像が作成されるときに取り込んだ1枚目の画像が設定される。そして、第3のすき入れ基準画像中に位置補正のための補正エリアとして任意の範囲を2箇所設定しておき、該補正エリアと2枚目の取り込んだ画像でパターンマッチングを行うことにより位置補正が行われる。以降、任意の回数まで取り込んだ画像の位置補正が行われ、集計が行われる。
【0036】
検査設定部4cには、あらかじめ検査範囲の設定を行うが、この検査設定部4cの設定については、図5に示す。すき入れ模様21を含む検査範囲21aの設定及び検査範囲の大きさの変更が可能であり、一つのすき入れ模様を分割して検査する場合は、例えば、検査範囲21bと検査範囲21cのように分割して検査範囲を設定することも可能である。また、検査エリア20内に2種類のすき入れ模様がある場合でも、それぞれの模様に応じて検査範囲の設定が可能である。また、すき入れ模様以外の範囲を検査範囲とすることで用紙の穴、異物、汚れ等の検査をすることも可能である。
【0037】
また、検査設定部4cでは、第1aの撮像部1bで取りこまれ、検査対象となるすき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、欠陥と判定する基準値(以下「明の濃度基準値」という。)を設定し、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、明の濃度基準値を超える画素を求め、明の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値(以下「明の面積基準値」という。)を設定する。また、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して、欠陥と判定する基準値(以下「暗の濃度基準値」という。)を設定し、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して、暗の濃度基準値を超える画素を求め、暗の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値(以下「暗の面積基準値」という。)を設定しておく。
【0038】
前述の説明では、明の濃度基準値及び明の面積基準値を一つ設定し、暗の濃度基準値及び暗の面積基準値を一つ設定する場合の説明をしたが、複数設定する場合について説明する。
【0039】
人間の視覚ですき入れ又は印刷物等の検査を行うとき、見本と比較する場合がある。この場合、見本に対して異なる部分の特徴、例えば、色、濃度、形状、大きさの程度等によって欠陥と判定している。そして、見本に対して濃度差が大きい箇所は、その面積が小さくても人間の視覚では目立つため、欠陥と判定する場合がある。また、見本に対して濃度差が小さい場合は目立たないため、良品と判定する場合がある。このように見本に対して異なる部分の特徴の程度に応じて欠陥を判定するため、明の濃度基準値及び明の面積基準値と、暗の濃度基準値及び暗の面積基準値をそれぞれ一つ以上設定することも可能である。
【0040】
さらに、前述の一つ以上設定された明の濃度基準値及び明の面積基準値と、暗の濃度基準値及び暗の面積基準値を一つの検査レベルとし、該検査レベルと異なる検査レベルが一つ以上設定可能である。また、設定した検査範囲ごとに一つ以上設定した検査レベルの中から選択して、検査レベルを設定することも可能である。例えば、検査レベルAと検査レベルBの二つの検査レベルを仮に設定し、なおかつ、検査レベルBの明の濃度基準値及び明の面積基準値と暗の濃度基準値及び暗の面積基準値を、検査レベルAの値より大きく設定したとする。そして、図6に示すように、すき入れ模様21を含む検査範囲21aには検査レベルAを用い、検査範囲21a以外の領域21dには検査レベルBを用いるというようにして設定すると、検査範囲21aは、検査範囲21a以外の領域21dよりも高精度に欠陥を検出することができる。この機能については、検査範囲ごとに欠陥の判定基準が異なる場合に有効である。
【0041】
次に、すき入れ検査処理部4bの処理について説明する。
【0042】
まず、すき入れ検査処理部4bでは、すき入れ模様画像データと第3のすき入れ基準画像で位置補正が行われる。次に、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像及びすき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像で濃度比較が行われる。ここで、濃度比較について図7を用いて説明する。図7の(a)は、第2のすき入れ基準画像の一部の画像データ例である。図7の(b)は、すき入れ模様画像データの一部の画像データ例である。図7の(c)は、第1のすき入れ基準画像の一部の画像データ例である。なお、図7の(a)、(b)及び(c)は、位置補正後の対応する画素の画像データである。仮に、明の濃度基準値及び暗の濃度基準値をそれぞれ二つ設定し、暗の濃度基準値を「10」と「20」、明の濃度基準値を「10」と「20」とする場合、第2のすき入れ基準画像とすき入れ模様画像データで濃度比較を行うと、暗の濃度基準値が「10」に対しては、図7(d)に示す画素25aが欠陥と判定され、暗の濃度基準値「20」に対しては、図7(e)に示す画素25bが欠陥と判定される。また、第1のすき入れ基準画像とすき入れ模様画像データで濃度比較を行うと、明の濃度基準値「10」に対しては、図7(f)に示す画素26aが欠陥と判定され、明の濃度基準値「20」に対しては、図7(g)に示す画素26bが欠陥と判定される。このように、暗の濃度基準値を「20」とする場合、図7(e)のように、欠陥と判定される画素は少ないが、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の対応する画素から濃度差が目立つ画素が検出される。また、暗の濃度基準値を「10」とする場合、図7の(d)のように、欠陥と判定される画素は、濃度基準値を「20」とする場合よりも多くなり、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の対応する画素から濃度差が目立たない画素も検出される。なお、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差が明の濃度基準値を超えるということは、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像の濃度差の絶対値が明の濃度基準値より大きいことを意味し、同様に、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差が、暗の濃度基準値を超えるということは、すき入れ模様画像データと第2のすき入れ基準画像の濃度差の絶対値が暗の濃度基準値より大きいことを意味する。
【0043】
次に、濃度比較で欠陥と判定された画素の面積が求められる。このとき、欠陥と判定された画素のうち、左右方向又は上下方向で隣り合っている画素がなければ、当該欠陥部の面積は1画素分の面積で求められ、欠陥と判定された画素のうち、左右方向又は上下方向で隣り合っている画素があれば、一つの画素群となるように連結させて欠陥の面積が求められる。この連結させる処理について図8を用いて説明する。
【0044】
図8(a)の画素28及び画素29は、すき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像で濃度比較し、欠陥と判定された画素の例である。ここで連結させる処理を行うと、欠陥と判定された画素のうち、左右方向又は上下方向で隣り合っている画素28と画素29は、図8(b)で示す、連結した一つの画素群28a及び29aとなる。なお、連結は、上下左右方向の4近傍と上下左右と斜め方向を含む8近傍の連結のいずれも可能である。そして、図8(b)の画素群28a及び29aで示す連結した一つの画素群ごとに面積を求め、求められた一つの画素群の面積と明の面積基準値を比較して、明の面積基準値を超える画素群が最終的に明欠陥となる。同様に、暗欠陥についても濃度比較で欠陥と判定された画素のうち、左右方向又は上下方向で隣り合っている画素があれば連結させる処理が行われ、連結した一つの画素群の面積と暗の面積基準値を比較して、暗の面積基準値を超える画素が、最終的に暗欠陥となる。
【0045】
すき入れ検査処理部4bの検査処理結果は、表示部4dに表示されるとともに、検査結果記録部4eに保存される。また、欠陥発生時には、通信部4fから制御部8に欠陥信号が送られる。
【0046】
このように、階調のあるすき入れ模様を検査する場合、単純に二値化してその面積を求める方法では、すき入れ模様の有無しか評価できないが、本発明のすき入れ検査部では、第1のすき入れ基準画像及び第2のすき入れ基準画像に対して、異なる部分の濃度及び面積を求めてすき入れ模様を評価することができ、目視に近い検査をすることができる。さらに、一つ以上の明と暗の濃度基準値及び明と暗の面積基準値をそれぞれ設け、検査範囲ごとに検査レベルを設定することによって、欠陥の検出精度の高い検査を行うことができる。
【0047】
(すき入れコード情報検査部)
図9は、すき入れコード情報検査部5の詳細を示すブロック図である。すき入れコード情報検査部5には、センサ13bとロータリーエンコーダ14bが接続されており、その信号を利用し、第1bの撮像部2bと第1bの照明2aによって、すき入れコード情報の透過画像が取り込まれる。そして、取り込まれたすき入れコード情報画像データは、すき入れコード情報検査部5の画像抽出部5aに送られ、画像抽出部5aで抽出されたすき入れコード情報検査画像は、2つの検査処理部によって検査が行われる。以下にその詳細を説明する。
【0048】
画像抽出部5aですき入れコード情報検査画像を抽出するときに用いるすき入れコード情報基準画像を、あらかじめ画像記憶部5bに記憶させておく。
【0049】
検査設定部5dには、すき入れコード情報の幅、長さ、面積及び鮮明度に対する基準値を最大値及び最小値であらかじめ設定するとともに、本数の基準値をあらかじめ設定しておく。
【0050】
画像抽出部5aでは、画像記憶部5bにあらかじめ記憶されたすき入れコード情報基準画像を用いてパターンマッチングを行い、図10に示す、すき入れコード情報22を含むすき入れコード情報基準画像と同じ画像の範囲22aをすき入れコード情報検査画像として抽出し、抽出したすき入れコード情報検査画像の画像データは、第1の検査処理部5cと第2の検査処理部5eに送られる。
【0051】
第1の検査処理部5cでは、すき入れコード情報検査画像の画像データのヒストグラムから二値化閾値を自動で変更する判別分析法又はクラスタリング法により閾値を求め、検査画像を二値化してラベリングし、すき入れコード情報の形状の測定を行い、検査設定部5dにあらかじめ設定した幅、長さ、面積及び本数の基準値と比較して判定する。
【0052】
第2の検査処理部5eでは、図11に示す、すき入れコード情報領域30と、すき入れコード情報領域の背景となる領域31の濃度分布から鮮明度を求め、検査設定部5dの基準値と比較して判定する。鮮明度の求め方については、次式のとおりである。
【0053】
【数1】

【0054】
ここでの最大値とは検査画像中の最も明るい画素であり、最小値とは最も暗い画素である。
【0055】
第1の検査処理部5c及び第2の検査処理部5eの検査処理結果は、表示部5fに表示されるとともに、検査結果記録部5gに保存される。また、欠陥発生時には、通信部5hから制御部8に欠陥信号が送られる。
【0056】
このように、階調のない任意に特定の形状で付与されるすき入れコード情報を評価する場合、いったん、すき入れ画像を二値化してその形状を求める処理が必要となる。なお、このようなすき入れコード情報の中には、銀行券に採用されているすき入れバーパターンがある。
【0057】
(印刷検査部)
図12は、印刷検査部6の詳細を示すブロック図である。印刷検査部6には、センサ13cとロータリーエンコーダ14cが接続されており、その信号を利用し、第2の撮像部3bと第2の照明3aによって印刷模様の反射画像が、カラー画像で取り込まれる。そして、取り込まれた印刷模様画像データは、印刷検査部6の画像抽出部6aに送られ、画像抽出部6aで抽出された印刷模様検査画像は、印刷検査処理部6cで検査処理が行われる。以下にその詳細を説明する。
【0058】
図13に示す印刷模様23を含む検査範囲23aを抽出するための座標値を、検査設定部6dにあらかじめ設定する。なお、座標値の設定は、一つの検査エリア20内に付与される印刷模様23のすべてに対して行う。また、印刷検査処理部6cで用いる欠陥の判定基準値として「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」の単独面積と総和面積をそれぞれあらかじめ設定する。
【0059】
画像記憶部6bには、第1の印刷基準画像及び第2の印刷基準画像をあらかじめ記憶させておく。第1の印刷基準画像とは、座標値をもとに抽出された印刷模様検査画像の位置補正を行うための濃淡画像である。また、第2の印刷基準画像とは、第1の印刷基準画像を二値化した画像である。
【0060】
画像抽出部6aでは検査設定部6dに設定された座標値を基に検査範囲23aを抽出し、抽出された印刷模様検査画像から順に検査処理が行われる。
【0061】
印刷検査処理部6cでは、印刷模様検査画像の画像データが任意の設定で濃度変換される。この濃度変換では、図14の例に示す印刷が付与されない領域33に対して、印刷が付与される領域32の特徴のある色成分を強調する設定で、濃度変換を行うと良い。次に、濃度変換された印刷模様検査画像と第1の印刷基準画像でパターンマッチングをして位置合わせを行う。次に、判別分析法により閾値を求めて印刷模様検査画像を二値化し、二値化された印刷模様検査画像と第2の印刷基準画像で差分処理を行い、印刷模様の欠陥を差分画像として求める。ここで差分処理と差分画像を求めて判定する処理について説明する。
【0062】
図15(a)は、二値化された印刷模様検査画像のデータの一例である。また、図15(b)は、第2の印刷基準画像のデータについての一例である。差分処理とは、第2の印刷基準画像から二値化された印刷模様検査画像の差をとる処理で、図15(b)と図15(a)の差を求めると図15(c)の差分画像が得られる。
【0063】
次に、得られた差分画像の欠陥の位置情報から、「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」を判定する。ここで、「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」について図15(c)を用いて説明する。「かすれ」とは、画素34で示す印刷の抜けている箇所、つまり、第2の印刷基準画像の領域37にあって、印刷模様検査画像にない箇所である。次に、「にじみ」とは、画素35で示す箇所、つまり、印刷模様検査画像において第2の印刷基準画像の領域37より大きい箇所で、なおかつ、第2の印刷基準画像の輪郭に隣り合う箇所である。なお、画素35に接していれば当該画素も「にじみ」と判定される。次に、「汚れ」とは、画素36で示す箇所、つまり、印刷模様検査画像にあって、第2の印刷基準画像の領域37にない箇所で、なおかつ、第2の印刷基準画像の輪郭に隣り合わない箇所である。
【0064】
さらに、「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」として求められた画素は、それぞれ「総和面積」と「単独面積」を求める処理が行われる。ここでの「総和面積」とは、差分処理によって欠陥と判定された画素をすべて加算した値である。総和面積を求めることで、差分処理により欠陥と判定された画素及び画素群の一つ一つは、小さくても全体として総和面積が大きい場合の欠陥を検出することができる。一方、「単独面積」とは、前述のすき入れ検査部の欠陥面積を求める際に行う連結させる処理と同様に、欠陥と判定された画素のうち上下方向及び左右方向で隣り合っている画素があれば連結させて一つの画素群とする処理を行い、印刷模様検査画像内で連結された画素の中の最大値である。単独面積を求めることにより、1箇所の欠陥でもその面積が大きい場合に、欠陥として検出することができる。そして、「総和面積」と「単独面積」は、「かすれ」、「にじみ」及び「汚れ」の欠陥別に求め、検査設定部6dにあらかじめ設定した基準値と比較して判定する。
【0065】
印刷検査処理部6cの検査処理結果は、表示部6eに表示されるとともに検査結果記録部6fに記録される。また、欠陥発生時には、通信部6gから制御部8に欠陥信号が送られる。
【0066】
(制御部)
図16は、制御部8の詳細を示すブロック図である。通信制御部8aは、すき入れ検査部4、すき入れコード情報検査部5及び印刷検査部6に対して、運転状態及び欠陥信号の通信を行うとともに、すき入れ検査部4、すき入れコード情報検査部5及び印刷検査部6の運転及び停止を制御する。データ処理部8bは、通信制御部8aで通信する運転情報の処理及び欠陥信号の集計処理を行う。データ処理部8bの処理結果は、表示部8cに表示され、データ記録部8dに保存される。
【0067】
いずれかの検査部で欠陥と判定された場合、通信制御部8aは、当該検査部から欠陥信号を受け、マーキングのための欠陥処理信号をマーキング部10aに送る。マーキング部10aは、通信制御部8aからの欠陥処理信号を受けて、欠陥発生箇所にマーキングを行う。マーキング位置については、欠陥信号を送った検査部別にマーキングを行う。仮に、一度に複数の欠陥信号を受けた場合は、検査部ごとに優先順位を設定し、一つの検査エリア20の任意の箇所にマーキングを行う。また、通信制御部8aは、外部に欠陥が発生したことを知らせるため、表示灯10b及びブザー10cを作動させるための欠陥処理信号を送り、欠陥処理信号を受けた表示灯10b及びブザー10cは、作動する。
【0068】
接続された検査部ごとにマーキングの 「有効/無効」 の切替えが可能である。さらに、新たな検査部を抄紙機上に設置する場合、制御部8は、新たな検査部との接続も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の用紙品質検査装置の詳細を示すブロック図
【図2】用紙に付与されるすき入れ模様、すき入れコード情報、印刷模様の形態を示す図
【図3】本発明の用紙品質検査装置を抄紙機上に設置した状態を示す図
【図4】すき入れ検査部の詳細を示すブロック図
【図5】すき入れ模様の検査範囲の例を示す図
【図6】検査範囲を2種類設定した場合の例を示す
【図7】すき入れ検査処理部で行われる濃度比較から、欠陥を求める処理の一例を示す図
【図8】すき入れ検査処理部で濃度比較から欠陥と判定された画素を連結させる処理の一例
【図9】すき入れコード情報検査部の詳細を示すブロック図
【図10】すき入れコード情報の検査範囲の例を示す図
【図11】すき入れコード情報の一例を示す図
【図12】印刷検査部の詳細を示すブロック図
【図13】印刷模様の検査範囲の例を示す図
【図14】印刷模様の一例を示す図
【図15】印刷検査処理部で行われる、差分処理と欠陥を判定する処理を示す図
【図16】制御部の詳細を示すブロック図
【符号の説明】
【0070】
1a 第1aの照明部
1b 第1aの撮像部
2a 第1bの照明部
2b 第1bの撮像部
3a 第2の照明部
3b 第2の撮像部
4 すき入れ検査部
4a 画像記憶部
4b すき入れ検査処理部
4c 検査設定部
4d 表示部
4e 検査結果記録部
4f 通信部
5 すき入れコード情報検査部
5a 画像抽出部
5b 画像記憶部
5c 第1の検査処理部
5d 検査設定部
5e 第2の検査処理部
5f 表示部
5g 検査結果記録部
5h 通信部
6 印刷検査部
6a 画像抽出部
6b 画像記憶部
6c 印刷検査処理部
6d 検査設定部
6e 表示部
6f 検査結果記録部
6g 通信部
7 用紙品質検査装置
8 制御部
8a 通信制御部
8b データ処理部
8c 表示部
8d データ記録部
10 報知部
10a マーキング部
10b 表示灯
10c ブザー
13a センサ
13b センサ
13c センサ
14a ロータリーエンコーダ
14b ロータリーエンコーダ
14c ロータリーエンコーダ
15 ペーパーロール
16 カレンダ
20 一つの検査エリア
21 すき入れ模様
21a すき入れ模様を含む検査範囲
21b 分割されたすき入れ模様の検査範囲の例
21c 分割されたすき入れ模様の検査範囲の例
21d 検査範囲21a以外の領域
22 すき入れコード情報
22a すき入れコード情報の検査範囲
23 印刷模様
23a 印刷模様の検査範囲
24 トリガマーク
25a 暗の濃度基準値「10」を超えた画素
25b 暗の濃度基準値「20」を超えた画素
26a 明の濃度基準値「10」を超えた画素
26b 明の濃度基準値「20」を超えた画素
28 欠陥と判定された画素
28a 画素28が連結された1つの画素群
29 欠陥と判定された画素
29a 画素29が連結された1つの画素群
30 すき入れコード情報領域
31 すき入れコード情報領域の背景となる領域
32 印刷が付与される領域
33 印刷が付与されない領域
34 かすれ
35 にじみ
36 汚れ
37 第2の印刷基準画像の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に付与されたすき入れ模様、すき入れによるコード情報及び印刷模様の品質を、抄紙機のカレンダ以降で検査する用紙品質検査装置において、
すき入れ模様及びすき入れコード情報の透過画像を取り込むための第1の照明部及び第1の撮像部と、
印刷模様の反射画像を取り込むための第2の照明部及び第2の撮像部と前記第1の撮像部で取得したすき入れ模様画像データを処理し、すき入れ模様の品質を検査するすき入れ検査部と、
前記第1の撮像部で取得したすき入れコード情報画像データを処理し、すき入れコード情報の品質を検査するすき入れコード情報検査部と、
前記第2の撮像部で取得した印刷模様画像データを処理し、印刷模様の品質を検査する印刷検査部と、
前記すき入れ検査部、前記すき入れコード情報検査部及び前記印刷検査部と通信を行い、動作を制御する制御部とを有することを特徴とする用紙品質検査装置。
【請求項2】
前記すき入れ検査部は、濃度の高い第1のすき入れ基準画像及び濃度の低い第2のすき入れ基準画像と前記すき入れ模様画像データの位置補正に用いる第3のすき入れ基準画像をあらかじめ記憶させる画像記憶部と、
前記すき入れ模様画像データと前記第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、欠陥と判定する基準値を明の濃度基準値として少なくとも一つ設定し、前記すき入れ模様画像データと前記第1のすき入れ基準画像の濃度差に対して、前記明の濃度基準値を超える画素を求め、前記明の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、前記連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値を明の面積基準値として設定し、前記すき入れ模様画像データと前記第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して欠陥と判定する基準値を暗の濃度基準値として少なくとも一つ設定し、前記すき入れ模様画像データと前記第2のすき入れ基準画像の濃度差に対して、前記暗の濃度基準値を超える画素を求め、前記暗の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、前記連結された画素の面積に対して、欠陥と判定する基準値を暗の面積基準値として設定する検査設定部と、前記すき入れ模様画像データと前記第3のすき入れ基準画像で位置補正後、前記位置補正されたすき入れ模様画像データと第1のすき入れ基準画像で濃度を比較し、前記位置補正されたすき入れ模様画像データと前記第1のすき入れ基準画像の濃度差が、明の濃度基準値を超える画素を求め、前記明の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、前記連結された画素の面積を求め、前記求められた面積と前記明の面積基準値を比較して明欠陥を判定する処理と、前記位置補正されたすき入れ模様画像データと前記第2のすき入れ基準画像で濃度を比較し、前記位置補正されたすき入れ模様画像データと前記第2のすき入れ基準画像の濃度差が、暗の濃度基準値を超える画素を求め、前記暗の濃度基準値を超える画素同士で隣り合う画素を連結させ、前記連結された画素の面積を求め、前記求められた面積と前記暗の面積基準値を比較して暗欠陥を判定する処理を行うすき入れ検査処理部と、
前記すき入れ検査処理部の検査結果を表示する表示部と、
前記すき入れ検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、
前記制御部に対して、すき入れ検査部の運転状況の通信と前記すき入れ検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成ることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。
【請求項3】
前記すき入れコード情報検査部は、所定の幅、長さ、面積、本数及び鮮明度の基準値を設定する検査設定部と、
前記第1の撮像部で取り込んだすき入れコード情報画像データから、すき入れコード情報検査画像を抽出する画像抽出部と、
前記画像抽出部で、すき入れコード情報検査画像を抽出するときに用いるすき入れコード情報基準画像が記憶された画像記憶部と、
前記抽出したすき入れコード情報検査画像を二値化し、前記二値化した画像からすき入れコード情報の幅、長さ、面積及び本数の測定を行い、前記所定の幅、長さ、面積及び本数の基準値と比較して判定する第1の検査処理部と、
前記抽出したすき入れコード情報検査画像を基に、すき入れコード情報領域と前記すき入れコード情報領域の背景となる領域の濃度分布から鮮明度を求め、前記所定の鮮明度の基準値と比較して判定する第2の検査処理部と、
前記第1の検査処理部及び前記第2の検査処理部のすき入れコード情報の検査結果を表示する表示部と、
前記第1の検査処理部及び前記第2の検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、
前記制御部に対して、すき入れコード情報検査部の運転状況の通信と、前記第1の検査処理部及び前記第2の検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成ることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。
【請求項4】
前記印刷検査部は、階調のある第1の印刷基準画像及び前記第1の印刷基準画像を二値化した第2の印刷基準画像をあらかじめ記憶させる画像記憶部と、 欠陥面積の基準値の設定と前記印刷模様画像データから検査する画像の抽出範囲を設定する検査設定部と、
前記第2の撮像部で取り込んだ印刷模様画像データから、前記抽出範囲を基に印刷模様検査画像を抽出する画像抽出部と、
前記抽出した印刷模様検査画像を濃度変換し、前記濃度変換された印刷模様検査画像と前記第1の印刷基準画像でパターンマッチングして位置合わせを行い、前記印刷模様検査画像を二値化し、前記二値化した印刷模様検査画像と前記第2の印刷基準画像で差分処理を行い、印刷模様の欠陥面積を求め、前記欠陥面積の基準値と比較して判定する印刷検査処理部と、
前記印刷検査処理部の検査結果を表示する表示部と、
前記印刷検査処理部の検査結果を保存する検査結果記録部と、
前記制御部に対して、前記印刷検査部の運転状況の通信と、前記印刷検査処理部で欠陥と判定されたときに、欠陥信号の通信を行う通信部から成ることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記すき入れ検査部、前記すき入れコード情報検査部及び前記印刷検査部に対して、各検査部の運転状況及び欠陥信号の通信を行い、各検査部を制御する通信制御部と、
前記すき入れ検査部、前記すき入れコード情報検査部及び前記印刷検査部からの前記運転状況及び前記欠陥信号を処理するデータ処理部と、
前記データ処理部の結果を表示する表示部と、
前記データ処理部の結果を保存するデータ記録部から成ることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。
【請求項6】
欠陥発生時に、前記制御部の前記通信制御部から欠陥信号を受信し、欠陥が発生したことを外部に知らせる報知部を備えていることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。
【請求項7】
前記第1の撮像部は、すき入れ模様の透過画像を取り込む第1aの撮像部及びすき入れコード情報の透過画像を取り込む第1bの撮像部と、
前記第1の照明部は、すき入れ模様の透過画像を取り込むための第1aの照明部と、
すき入れコード情報の透過画像を取り込むための第1bの照明部から成ることを特徴とする請求項1記載の用紙品質検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2008−122139(P2008−122139A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303902(P2006−303902)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(303017679)独立行政法人 国立印刷局 (471)
【Fターム(参考)】