説明

画像における移動物体追跡方法及び装置

【課題】移動物体を一時的に隠す遮蔽物が存在し又は移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識可能にする。
【解決手段】画像のフレーム内に遮蔽物12の一端側及び他端側に沿ってそれぞれスリットSL1及びSL2を予め設定しておき、一方のスリット内で移動物体の一部が検出され、その後他方のスリット内で移動物体の一部が検出された場合に、該一方の移動物体の一部に付与されている識別符号を該他方の移動物体の一部に付与する。
スリットの替わりに遮蔽物領域を設定して、該領域に隠れた移動物体を推定してもよい。遮蔽物の一端及び他端に沿ったスリット画像をそれぞれ該一端及び他端から遮蔽物の内側へ所定回数複写することにより遮蔽物の幅を擬似的に狭く又は0にしてもよい。画像の縮小比が大きい領域ほどブロックサイズを大きくしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時系列画像を処理して画像中の移動物体(車、自転車、動物等の移動可能なもの)を追跡する移動物体追跡方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラで移動物体を撮像し、画像処理して画像上の移動物体を追跡することにより、交通状態や交通事故の検出、駐車場の車の出入り分析、店舗内の客の移動分析等を自動的に行うことができる。
【0003】
画像上の移動物体を追跡する方法として、例えば480×640画素のフレームを8×8画素のブロックに分割して60×80ブロックの画像とし、各ブロックの画像を背景画像の対応するブロックの画像と比較して、ブロック単位で移動物体を検出し、時刻t−1とtのフレーム画像の時空相関に基づいてブロック単位で移動物体の識別符号(ID)及び動きベクトル(MV)を求める方法がある(例えば下記特許文献1〜3)。これにより、同一移動物体と認められるブロックには同一IDが付与される。
【0004】
例えば図26に示すように、交差点の撮影画像が不図示のブロックに分割され、フレーム10内に設定された入り口スリットEN1〜EN4のいずれかを移動物体が通るとこれにIDがブロック単位で付与されて移動物体の追跡が開始され、フレーム10内に設定された出口スリットEX1〜EX4のいずれかを移動物体が通るとそのIDが消滅されて該移動物体の追跡が終了する。
【0005】
しかしながら、同一移動物体でありながら異なる移動物体と認識される場合がある。
【0006】
例えば図26において、ビデオカメラと移動物体11との間に電柱、信号機又は木等の遮蔽物12が存在し、画像上で遮蔽物12が1ブロックより大きい場合、遮蔽物12を通過中の1つの移動物体11について、通過した部分にIDが付与されないという問題があった。
【0007】
また、遮蔽物がなくても、画像上で移動物体の中間部が背景画像と類似しているために、1つの移動物体が分割されて2つの移動物体と認識される場合があった。例えばビデオカメラの光軸を道路中央部上方から斜め下へ向けて図27に示すようにトラック13のモノクロ画像を撮像した場合、トラック13の中間部が道路に類似していると、図28に示すように移動物体13Aと移動物体13Bとに分離して認識され、両者に異なるIDが付与されるという問題があった。図28中のメッシュはブロックの境界を示し、‘3’及び‘4’はブロック単位で付与されたIDを示す。
【特許文献1】特開2002−133421号公報
【特許文献2】特開2003−006655号公報
【特許文献3】特開2003−263626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物が存在しても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができる、画像における移動物体追跡方法及び装置を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができる、画像における移動物体追跡方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第1態様では、画像のフレーム内に遮蔽物の一端側及び他端側に沿ってそれぞれ第1及び第2のスリットを予め設定しておき、
該第1及び第2のスリットの一方の内側で移動物体の一部が検出され、その後他方の内側で移動物体の一部が検出された場合に、該一方の内側の移動物体の一部に付与されている識別符号を該他方の内側の移動物体の一部に付与する。
【0011】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第2態様では、画像のフレーム内に遮蔽物領域を予め設定しておき、
該領域の一端側及び他端側に該領域と接している移動物体が検出され、該一端側で検出された移動物体に識別符号が付与され該他端側で検出された移動物体に識別符号が付与されていないとき、該他端側の移動物体に該一端側の移動物体の識別符号を付与する。
【0012】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第3態様では、画像のフレーム内に遮蔽物領域を予め設定しておき、
移動物体が該領域に接した場合に、その後、該移動物体の動きベクトルに基づき該領域に隠れている該移動物体の部分を推定して該移動物体の一部とみなす。
【0013】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第4態様では、遮蔽物の一端及び他端に沿った第1及び第2のスリット画像をそれぞれ該一端及び他端から該遮蔽物の内側へ所定回数複写することにより該遮蔽物の幅を擬似的に狭く又は0にする。
【0014】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第5態様では、画像の縮小比が大きい領域ほどブロックサイズを大きくする。
【0015】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第6態様では、画像の縮小比が大きい領域ほど多くの画素を間引いた画像を、同一サイズのブロックに分割する。
【0016】
本発明による、画像における移動物体追跡方法の第7態様では、第1及び第2の領域が移動物体として認識され、該第1及び第2の領域が互いに所定値以上接近しかつ相対位置の変化が所定値以内である場合に、該第1領域と該第2領域とを連結してこれに1つの識別符号を付与する。
【発明の効果】
【0017】
上記第1態様の構成によれば、第1及び第2のスリットの一方の内側で検出された移動物体に付与されている識別符号を、他方の内側で検出された移動物体に付与するので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物を通過した移動物体を追跡することができる。
【0018】
上記第2態様の構成によれば、遮蔽物領域の一端側で検出された移動物体に付与されている識別符号を、他端側で検出された移動物体に付与するので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物を通過した移動物体を追跡することができる。
【0019】
上記第3態様の構成によれば、遮蔽物領域に接した移動物体の動きベクトルに基づき遮蔽物領域に隠れている移動物体ブロックを推定してこれを移動物体の一部と見なすので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物を通過した移動物体を追跡することができる。
【0020】
また、遮蔽物に隠れたブロックが推定されるので、移動物体が遮蔽物に隠れても移動物体の代表点、例えば幾何学的重心を、ほぼ正確に求めることができ、移動物体の代表点の軌跡を精度よく求めることが可能となる。
【0021】
上記第4態様の構成によれば、遮蔽物の幅が擬似的に0又は狭くなるので、遮蔽物が存在する領域に移動物体が隠れても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物を通過した移動物体を追跡することができる。
【0022】
上記第5態様の構成によれば、画像の比較的大きく見える部分のブロックサイズが小さく見える部分のそれよりも大きく設定されるので、画像の大きく見える部分の特徴が背景画像のそれに比し強調されることになって、各ブロックの移動物体存否判定をより正確に判断することができ、これにより、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、誤った分離認識を防止することが可能となる。また、同じ理由により、ブロックマッチングにより求めることができなかった動きベクトルも、求めることが可能になる。
【0023】
上記第6態様の構成によれば、画像の大きく見える部分の特徴が背景画像のそれに比し強調されることになるので、上記第5態様と同様の効果を奏する。
【0024】
本発明の第7態様の構成によれば、移動物体と認識された2つの領域が互いに設定値以下接近しかつ両領域の相対位置の変化が設定値以内であるとき、両領域を連結してこれに1つの識別符号を付与するので、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、誤った分離認識を防止することが可能となる。
【0025】
本発明の他の目的、構成及び効果は以下の説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図面において、同一又は類似の要素には、同一又は類似の符号を付している。
【実施例1】
【0027】
図1は、ビデオカメラ(例えばITVカメラ)14で撮像された画像を処理して移動物体を追跡する移動物体追跡装置20の概略機能ブロック図である。
【0028】
移動物体追跡装置20のうち記憶部以外は、コンピュータソフトウェア、専用のハードウェア又はコンピュータソフトウエアと専用のハードウエアの組み合わせで構成することができる。
【0029】
ビデオカメラ14で撮影された時系列画像は、例えば12フレーム/秒のレートで、画像メモリ21に格納され、最も古いフレームが新しいフレーム画像で書き換えられる。
【0030】
本発明は、画像メモリ21に格納された画像データを構成要素23〜26により、リアルタイムで処理する場合のみならず、不図示の外部記憶装置に格納しておき、必要な部分のみ後で処理する場合にも適用できる。
【0031】
また、画像メモリ21に格納された画像(原画像)を直接、構成要素23〜26で処理しても、ラプラシアンフィルタ等のフィルタをかけて空間的差分フレーム画像に変換したもの又は2次元フーリエ変換し所定周波数以上の成分を強調した後に逆フーリエ変換したもの(変換画像)を、構成要素23〜26で処理する構成であってもよい。以下、「画像」とは原画像又は変換画像を意味する。
【0032】
背景画像生成部22は、記憶部と処理部とを備え、処理部は、画像メモリ21をアクセスし、例えば過去1分間の全ての又は間引かれたもののフレーム画像の対応する画素について画素値のヒストグラムを作成し、その最頻値(モード)をその画素の画素値とする画像を、移動物体が存在しない背景画像として生成し、これを該記憶部に格納する。背景画像は、この処理が定期的に行われて更新される。
【0033】
ID生成/消滅部23には、図26に示す如くフレーム10内の、交差点への4つの入口及び交差点からの4つの出口にそれぞれ配置されるスリットEN1〜EN4及びEX1〜EX4の位置及びサイズのデータが、予め設定されている。ID生成/消滅部23は、画像メモリ21から入口スリットEN1〜EN4内の画像データを読み込み、これら入口スリット内に移動物体が存在するかどうかを上述のブロック単位で判定する。あるブロックに移動物体が存在するかどうかは、このブロック内の各画素と背景画像の対応する画素との差の絶対値の総和が所定値以上であるかどうかにより判定する。
【0034】
ID生成/消滅部23は、ブロック内に移動物体が存在すると判定すると、このブロックに新たな移動物体識別符号(ID)を付与する。ID生成/消滅部23は、ID付与済ブロックと隣接しているブロックに移動物体が存在すると判定すると、この隣接ブロックに付与済ブロックと同一のIDを付与する。このID付与済ブロックは入口スリットに隣接しているブロックも含まれる。例えば図26中の入口スリットEN1内のブロックにはID=1が付与される。以下、IDが付与されたブロックの塊をクラスタと称する。
【0035】
IDの付与は、記憶部24内のオブジェクトマップの対応するブロックに対して行われる。オブジェクトマップは、上述の場合60×80ブロックの各ブロックの移動物体情報を記憶するためのものであり、移動物体情報は、IDが付与されているかどうかを示すフラグと、IDが付与されていることを示している場合にはID及びブロックの動きベクトル(MV)を含む。なお、該フラグを用いずに、ID=0のときIDが付与されていないと判定してもよい。また、IDの最上位ビットをフラグとしてもよい。ブロックマッチングでMVが求まらないブロックのMVは例えば、その回りの同一IDのブロックのMVの平均値に等しくする。
【0036】
入口スリットを通過したクラスタに対しては、移動物体追跡部25により公知の方法で追跡処理が行われる。例えば、高速処理のため、時刻t−1(フレーム番号)でのMVに基づいて時刻tでのクラスタの概略移動範囲が推定され、この範囲内で上述の移動物体存否判定がブロック毎に行われ、移動方向側のブロックに対するIDの付与及び移動と反対方向側のブロックに対するIDの消滅が行われて、時刻tでのクラスタが決定される。また、時刻t−1とtのフレーム画像間のブロックマッチングにより、時刻tでIDが付与されているブロックのMVが求められる。高速処理のため、ブロックマッチングを行う範囲は、時刻t−1でのMVに基づいて定められる。各ブロックのIDとMVは、評価関数を用いて同時に決定することもできる(例えば上記特許文献3)。ID及びMVの更新は、記憶部24内のオブジェクトマップに対して行われる。
【0037】
移動物体追跡部25による追跡処理は、各クラスタについて出口スリット内まで行われる。
【0038】
ID生成/消滅部23はさらに、記憶部24内のオブジェクトマップに基づき出口スリットEX1〜EX4内のブロックにIDが付与されているかどうかを調べ、付与されていれば、クラスタが出口スリットを通過したときにそのIDを消滅させる。例えば図26中の出口スリットEX1内のブロックにID=3が付されている状態から、IDが付されない状態に変化したときに、ID=3を消滅させる。消滅IDは、次の生成IDとして用いることができる。
【0039】
本実施例1の特徴は遮蔽物処理部26の構成にあり、以下これを詳述する。
【0040】
ビデオカメラ14は、例えば図26に示すような交差点を撮像しており、通過する移動物体の一部を遮蔽する遮蔽物12が写っている。図3は、この遮蔽物12付近を拡大して示す。図3中のメッシュは、ブロックの境界線である。図3では、理解を容易にするために、移動物体のIDを示すオブジェクトマップ(記憶部24内)に、移動物体11、遮蔽物12(画像メモリ21内)、スリットSL1及びSL2(遮蔽物処理部26内)を重ねて示している。
【0041】
遮蔽物12の幅方向一端側及び他端側に沿ってそれぞれ、スリットSL1及びSL2が移動物体追跡処理前に予め設定されている。
【0042】
この設定は、マウス等のポインティングデバイス又はキーボード等の入力装置INと、設定を確認する表示装置OUTと、遮蔽物処理部26に含まれる入力処理プログラムとを含む設定手段により、人の操作に基づいて行われる。これら入力装置及び表示装置は、機能的に少なくとも遮蔽物処理部26に接続されている。
【0043】
本実施例1の特徴は、スリットSL1とSL2の一方の内側に移動物体が検出され、その後、他方の内側に移動物体が検出された場合、該一方の内側で検出された移動物体に付与されているIDを、他方の内側で検出された移動物体の各ブロックに付与する点である。この検出及び付与処理は遮蔽物処理部26により行われる。
【0044】
スリットSL1及びSL2は、上記入り口スリットEN1〜EN4及び出口スリットEX1〜EX4と同様にして、遮蔽物処理部26内の記憶領域に設定されている。スリットSL1及びSAL2の幅は、図3ではブロック幅の2倍であるが、ブロック幅の整数倍であればよく、ブロックと等幅であってもよい。また、図3では、スリットSL1及びSL2の一部が遮蔽物12の端部と重なっているが、両者が離れていても問題はない。
【0045】
図2(A)及び図2(B)はそれぞれ、図3のスリットSL1及びSL2内の画像処理を示す概略フローチャートである。これら2つの処理は実質的に同一であり、以下、図2(A)の処理のみ説明する。これらの処理は、図1の遮蔽物処理部26により、フレーム画像毎に行なわれる。
【0046】
(S1)スリットSL1内の各ブロックについて、上述のようにして移動物体存否を判定する。スリットSL1内で移動物体のクラスタ(1ブロックのクラスタを含む)が新たに生成された場合には、ステップS2へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0047】
(S2)この新たなクラスタを構成するブロックにIDが付与されていれば、スリットSL1の右側から移動物体がスリットSL1内へ入ったことを意味している。この場合、ステップS3へ進み、そうでなければステップS4へ進む。
【0048】
(S3)このブロックのID、位置、MV及び時刻を一時記憶し、処理を終了する。
【0049】
(S4)図2(B)のステップS7で一時記憶されたデータに基づいて、スリットSL1に入ったこのブロックのIDを推定し付与(オブジェクトマップに対し付与)し、このIDを含む一時記憶データを消去する。これにより、複数の移動物体がほぼ同時にスリットSL1に入っても、正しいIDを付与することができる。
【0050】
IDを付与したことが移動物体追跡部25に通知され、移動物体追跡部25はこれに応答して上述のようにブロックのMVを決定し、これを記憶部24内のオブジェクトマップに記入し、その後の移動物体追跡処理を行う。
【0051】
スリットSL1又はSL2を出た移動物体の追跡は、移動物体追跡部25により行われる。この場合、クラスタリングは、例えばスリットSL1又はSL2を出た未定IDの移動物体ブロック(移動物体のブロック)に、これと接触しているスリットSL1又はSL2内の移動物体ブロックと同じIDを付与することにより行われ、又は、スリットSL1又はSL2内を含めた領域の評価関数(例えば特開2003-263626号公報に記載のもの)を用いて行われる。
【0052】
本実施例1によれば、スリットSL1とSL2の一方の内側で検出された移動物体に付与されているIDを、他方の内側で検出された移動物体に付与するので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物12が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物12を通過した移動物体を追跡することができる。
【0053】
なお、ステップS2において、IDがブロックに付与されているかどうかを調べる代わりに、スリットSL1の右側に接したブロックかつスリットSL1に入ったブロックの付近に移動物体が存在するかどうか調べてもよい。また、ステップS3において、MV等の代わりにブロック画像またはその特徴量を用いて移動物体ブロック間の相関度を求めてIDを決定してもよい。
【0054】
図4は、移動物体11の一部がスリットSL1を通ってSL2に入り、そのブロックにID=3が付与された場合を示す。
【実施例2】
【0055】
本発明の実施例2では、実施例1のスリットSL1及びSL2の代わりに、SL1 とSL2の間の領域を遮蔽物領域と設定する。
【0056】
このため、各ブロックに遮蔽物フラグを備え、図6に示すように遮蔽物領域の各ブロックのフラグを‘1’に設定し、領域外のフラグを‘0’に設定する(図6では簡単化のため‘0’を省略)。このデータは、移動物体追跡処理前に予め図1の記憶部24内のオブジェクトマップまたはこれと独立なマップに、実施例1で述べた設定手段と同様の手段を用いて設定されている。図7では、移動物体のIDを示すオブジェクトマップに、理解を容易にするため移動物体11、遮蔽物12及び遮蔽物領域27を重ねて示している。
【0057】
実施例2の特徴は、遮蔽物領域27の幅方向一端側及び他端側に遮蔽物領域27と接している移動物体が検出され、該一端側で検出された移動物体にIDが付与され、該他端側で検出された移動物体にIDが付与されていないときに、該他端側の移動物体に、該一端側の移動物体に付与されているIDを付与する点である。
【0058】
図5は、図1の遮蔽物処理部26による処理を示す概略フロ−チャートである。この処理は、フレーム画像毎に行われる。
【0059】
(S10)図1の記憶部24内のオブジェクトマップを参照して、遮蔽物領域27の幅方向のいずれか一方側に遮蔽物領域27と接しているID付ブロックが存在すれば、このブロックの位置とMVとを一時記憶してステップS11へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0060】
(S11)一時記憶されたブロックの位置とMVとに基づいて、遮蔽物領域27の他方側から出る移動物体の一部の概略範囲28(遮蔽物領域27の他方側に接している複数ブロック)を求める。
【0061】
(S12)範囲28内の各ブロックの移動物体存否を、時刻tでのフレーム画像及び背景画像に基づき上述のようにして判定する。存在すればステップS12へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0062】
(S13)範囲28内の移動物体ブロックに、一方側ブロックに付与されているIDと同一のIDを付与する。
【0063】
この付与が移動物体追跡部25に通知され、移動物体追跡部25はこれに応答して上述のようにブロックのMVを決定し、記憶部24内のオブジェクトマップにこれを記入し、その後の移動物体追跡処理を行う。
【0064】
本実施例2によれば、遮蔽物領域27の一端側で検出された移動物体に付与されているIDを、他端側で検出された移動物体に付与するので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物12が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物12を通過した移動物体を追跡することができる。
【実施例3】
【0065】
実施例2の方法は、移動物体全体が遮蔽物に隠れてしまう場合に適用することができない。そこで、本発明の実施例3では、図9に示す如く、移動物体11が遮蔽物領域27Aに接した場合に、その後、接した移動物体のMVに基づき、図10及び図11に示す如く、遮蔽物領域27Aに隠れている移動物体ブロックを推定してこれを移動物体の一部と見なす。図10及び図11中の太線で囲まれた領域はこの推定されたブロックのクラスタである。図9〜11では、理解を容易にするために、移動物体のIDを示すオブジェクトマップに、移動物体11、遮蔽物12及び遮蔽物領域27Aを重ねて示している。
【0066】
この方法によれば、遮蔽物領域27Aのどの辺から移動物体が入っても問題なく処理できる。そこで、遮蔽物領域27Aは、遮蔽物12の全体にわたって設定されている。なお、図7に示すように遮蔽物12の一部に設定してもよいことは勿論である。
【0067】
図8は、この方法を実施するための概略フローチャートであり、図1の遮蔽物処理部26により処理される。この処理は、フレーム画像毎に行われる。
【0068】
(S20)図1の記憶部24内のオブジェクトマップを参照して、遮蔽物領域27Aに接触しているブロックにIDが付与されているものが存在するかどうかを調べる。存在すればステップS21へ進み、そうでなければステップS23へ進む。
【0069】
(S21)遮蔽物領域27Aに接している移動物体ブロックの位置とMVとに基づいて、このMVが遮蔽物領域27A内で変わらないとしてその後のブロック位置(固定のブロック境界と無関係に移動させたブロックの位置)を想定し、想定ブロックの中心位置が存在する、遮蔽物領域27A内のブロックを、移動物体ブロック(推定ブロック)とみなす。このブロックには、想定ブロックと同一のID及びMVが付与される。この付与は、記憶部24内のオブジェクトマップに対して行なわれる。
【0070】
(S23)遮蔽物領域27A内に推定ブロックが存在すればステップS24へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0071】
(S24)推定ブロックを、上述のようにMVに基づいて移動させる。
【0072】
図11に示すように、移動物体11が遮蔽物12を通ってその一部が遮蔽物12から突出した場合、そのブロックには、これに接している遮蔽物領域27Aのブロックと同一のIDが付与される。
【0073】
この付与が移動物体追跡部25に通知され、移動物体追跡部25はこれに応答して上述のようにブロックのMVを決定し、これを記憶部24内のオブジェクトマップに記入し、その後の移動物体追跡処理を行う。
【0074】
本実施例3によれば、遮蔽物領域27Aに接した移動物体のMVに基づき遮蔽物領域27Aに隠れている移動物体ブロックを推定してこれを移動物体の一部と見なすので、ビデオカメラと移動物体との間に遮蔽物12が存在していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、遮蔽物12を通過した移動物体を追跡することができる。
【0075】
また、遮蔽物12に隠れたブロックが推定されるので、移動物体11が遮蔽物12に隠れても移動物体11の代表点、例えば幾何学的重心を、ほぼ正確に求めることができ、移動物体11の代表点の軌跡を精度よく求めることが可能となる。
【実施例4】
【0076】
図12は、本発明の実施例4の移動物体追跡装置20Aの概略構成を示す機能ブロック図である。
【0077】
遮蔽物処理部26Aは、画像メモリ21に格納された各フレーム画像に対し、移動物体追跡部25により処理が行われる前に以下のような処理を行なうことにより、遮蔽物の幅を疑似的に狭く又は0にする。
【0078】
すなわち、図13に示すように、移動物体追跡処理前に遮蔽物12の幅方向一端及び他端に沿ったスリット画像30及び31を、実施例1と同様の設定手段で設定しておく。スリット画像30及び31の幅はいずれも、1画素の幅の整数倍であり、例えば1倍である。スリット画像30及び31はいずれも、遮蔽物12に接するか遮蔽物12に接近しており、遮蔽物12とは重なっていない。移動物体追跡処理においては、移動物体追跡部25により処理が行われる前に、図12の遮蔽物処理部26Aはスリット画像30を遮蔽物12の内側へ設定回数だけ複写し、同様に、スリット画像31を遮蔽物12の内側へ設定回数だけ複写する。この処理は、繰り返し行われる。背景画像生成部22は、この複写が行われた画像に基づいて背景画像を生成する。なお、該設定回数は、複写領域32と33の間隔はが0又は1ブロック幅未満になるようにする。
【0079】
このような処理により、図14に示す如く、遮蔽物12Aの幅が擬似的に狭く又は0になる。そして、移動物体11が実際の遮蔽物12に接すると、移動物体11の接している部分が急に延びて領域11aとなる。
【0080】
遮蔽物処理部26Aにより複写された複写領域32内のブロックについては、図12の移動物体追跡部25は、MVを付与しないか、スリット画像30に接し又はスリット画像30を含むブロックのMVと同じMVを付与する。複写領域33についても前記同様である。
【0081】
図15は、図14の移動物体11に対しIDが付与されたブロックを示す。図14では、理解を容易にするために、移動物体のIDを示すオブジェクトマップに、移動物体11及び遮蔽物12Aを重ねて示している。太線は、ID=3のクラスタを示しているが、実際には存在しない。
【0082】
図16は、移動物体11の一部が遮蔽物12Aを通った場合の画像を示す。領域11b及び11cはそれぞれ、図13の複写領域32及び33内の部分である。図17は、図16の移動物体11に対しIDが付与されたブロックを示す。
【0083】
本実施例5によれば、遮蔽物12Aの幅が擬似的に0又は1ブロック幅未満になるので、遮蔽物12が存在する領域に移動物体が隠れても、遮蔽物処理部26Aにより、遮蔽物12内のブロックにIDが付与される。したがって、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、ビデオカメラと移動物体との間に存在する遮蔽物12を通過した移動物体を追跡することができる。なお、遮蔽物12Aの幅は、原理的には2ブロック幅−2画素幅でもよい場合があるが、1ブロック幅未満であれば確実に本実施例の効果が得られる。
【実施例5】
【0084】
道路の中央上方から光軸を斜め下方へ向けたビデオカメラで移動物体を撮像すると、図27に示すように、画像の上側ほど縮小比が小さくなる(像サイズ/実サイズが小さくなる)。縮小比が大きいほど一般的に、等幅ブロックに分割した場合のブロック内画像の空間的変化率が小さくなるので、背景画像との差が小さくなって、すなわち移動物体存在判定のための情報量が少なくなって、図28に示すように1つの移動物体が移動物体13Aと13Bとに分離していると誤認識される場合がある。特に、高速に移動する移動物体をリアルタイムで追跡処理するためにモノクロ画像を使用すると、このような誤認識が生じやすい。
【0085】
そこで、本発明の実施例5では、この問題を解決するために、図18に示す如く、画像の縮小比が大きい領域ほどブロックを大きくしている。すなわち、図示Y方向については領域34a〜34eの順に画像の縮小比が小さくなるので、領域34aの各ブロックでは12ライン、領域34bの各ブロックでは11ライン、領域34cの各ブロックでは10ライン、領域34dの各ブロックでは9ライン、領域34eの各ブロックでは8ラインとしている。各ブロックの図示X方向の幅は、簡単化のために同じにしている。
【0086】
なお、ブロックの境界を示すメッシュは、実際にはぎざぎざになるが、図18では簡単化のために直線で示している。また、ブロックサイズは、実施例1と同様の設定手段により、設定される。
【0087】
図19は、図18に対応した、ID分布を示すオブジェクトマップであり、理解を容易にするために移動物体13が重ねて描かれている。
【0088】
本実施例5によれば、画像の比較的大きく見える部分のブロックサイズが小さく見える部分のそれよりも大きく設定されているので、画像の大きく見える部分の特徴が背景画像のそれに比し強調されることになって、各ブロックの移動物体存否判定をより正確に判断することができ、これにより、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、図28に示すような誤った分離認識を防止することが可能となる。また、同じ理由により、ブロックマッチングにより求めることができなかったMVも、求めることが可能になる。
【0089】
なお、図18において、領域34a〜34dのブロックからそれぞれ4〜1ラインを略均等に間引くことにより、図18の画像を図19に示すよう変換して均一サイズのブロックにし、その後に移動物体追跡処理を行なうようにしてもよい。背景画像についても同様に変換する。
【0090】
この場合、間引かれるラインの画素データを無視することにより、実質的に画像変換する構成であってもよい。また、公知の画像縮小変換方法のように、間引きとともに、間引かれないラインの画像を補正して、画像がより滑らかになるように縮小してもよい。
【0091】
このような方法によっても、画像の大きく見える部分の特徴が背景画像のそれに比し強調されることになるので、これにより、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、図28に示すような誤った分離認識を防止することが可能となるとともに、単純ブロックマッチングにより求めることができなかったMVも求めることができるようになる。
【実施例6】
【0092】
本発明の実施例6では、図20に示す如く、座標Yの値が大きくなるほど、Y方向のみならずX方向のブロック幅も狭くしている。ブロックの境界を示すメッシュは、実際にはぎざぎざになるが、図20では簡単化のために直線で示している。
【0093】
図20中の移動物体13Sは、同じ移動物体13がさらにY方向へ移動したときの画像である。このようにブロックサイズを決めることにより、同じ姿勢の移動物体13が占めるブロック数がフレーム内の位置によらず略一定になる。
【0094】
図21は、図20の右半分の領域35のブロック座標を示している。各ブロックの位置は、領域35の外側の実際に存在しない領域36まで想定することにより、容易に指定することができる。ブロックサイズを決定する座標変換パラメータは、実施例1と同様の設定手段により設定される。
【0095】
本実施例6によれば、実施例5の場合よりも、画像の大きく見える部分の特徴が背景画像のそれに比し強調されることになるので、図28に示すような誤った分離認識をより効果的に防止することが可能となるとともに、単純ブロックマッチングにより求めることができなかったMVも求めることができるようになる。
【実施例7】
【0096】
本発明の実施例7では、実施例5又は6のようにブロックサイズを画像位置によって変更することなく、誤った分離認識を防止するために、次のような方法を用いている。
【0097】
すなわち、例えば図24(A)に示すように、ID=2の領域とID=3の領域が同一移動物体であるにも拘わらず、移動物体中間部が背景画像に類似しているために互いに異なる移動物体として認識された場合、両領域が互いに設定値以下接近しかつ両領域の相対位置の変化が設定値以内であれば、両領域を連結してこれに1つのIDを付与する(IDを修正する)。この処理は図22の合成部26Bにより、オブジェクトマップ記憶部24に対して行われる。これら設定値は、実施例1と同様の設定手段で設定される。
【0098】
この処理を簡単に行なうために、図22の合成部26Bはオブジェクトマップ記憶部24に対して、図23に示す処理を行なう。この処理は、フレーム画像毎に行われる。
【0099】
(S30)同一IDのクラスタが内接する矩形を描き又は想定する。例えば図24(A)に示すように、ID=2のクラスタが内接する矩形領域37A及びID=3のクラスタが内接する矩形領域37Bを描き又は想定する。
【0100】
(S31)矩形領域37Aと37BのX方向間隔DXを測定し、一時記憶する。図24(A)の場合、矩形領域37Aと37Bとが重なっているので、DX<0である。図24(B)の場合もDX<0である。
【0101】
(S32)DX≦DX0であればステップS33へ進み、そうでなければ処理を終了する。例えば、矩形領域37Aと37BがX方向に関し重なり、接し又は離れているがDX0以内であれば、DX≦DX0であると判定される。ここにDX0は、ブロックの一辺の長さを単位とする正の整数値であり、本方法がより効果的になるように経験的に定められる。
【0102】
(S33、S34)Y方向についてもX方向と同様の処理を行ない、Y方向間隔DYを一時記憶する。図24(A)、図24(B)はそれぞれ、DY<0、DY>0の場合を示している。
【0103】
(S35)連続する設定フレーム数について、上記一時記憶したDX及びDYの変化が設定値以下である場合にはステップS36へ進み、そうでなければ処理を終了する。
【0104】
(S36)ステップS30で生成されステップS32、S33及びS35の条件を満たす2つの矩形領域について、移動物体ブロックに同一IDを付与する。例えば図24(A)の矩形領域37A、37B内の移動物体ブロックに、図25(A)に示す如く同一IDを付与して、1つの矩形領域37にする。同様に、図24(B)の矩形領域38A、38B内の移動物体ブロックに、図25(B)に示す如く同一IDを付与して、1つの矩形領域38にする。
【0105】
本実施例7によれば、移動物体と認識された2つの領域が互いに設定値以下接近しかつ両領域の相対位置の変化が設定値以内であるとき、両領域を連結してこれに1つのIDを付与するので、これにより、移動物体の中間部が背景画像と類似していても、1つの移動物体を画像上で1つの移動物体として認識することができ、誤った分離認識を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の実施例1に係る移動物体追跡装置の概略機能ブロック図である。
【図2】(A)及び(B)はそれぞれ、図1の遮蔽物処理部で行われる、第1及び第2のスリット内の画像処理を示す概略フローチャートである。
【図3】遮蔽物付近を拡大して示す、図2の処理説明図である。
【図4】図2の処理説明図である。
【図5】本発明の実施例2に係る、遮蔽物処理部による処理を示す概略フロ−チャートである。
【図6】遮蔽物フラグの値が‘1’の分布を示す図である。
【図7】図5の処理説明図である。
【図8】本発明の実施例3に係る、遮蔽物処理部による処理を示す概略フロ−チャートである。
【図9】図5の処理説明図である。
【図10】図5の処理説明図である。
【図11】図5の処理説明図である。
【図12】本発明の実施例4に係る移動物体追跡装置の概略機能ブロック図である。
【図13】図12の遮蔽物処理部による処理の説明図である。
【図14】この遮蔽物処理部の処理結果説明図である。
【図15】図14の移動物体に対しIDが付与されたブロックを示す図である。
【図16】図12の遮蔽物処理部の処理結果説明図である。
【図17】図16の移動物体に対しIDが付与されたブロックを示す図である。
【図18】本発明の実施例5に係るブロック分割説明図である。
【図19】図18の移動物体に対しIDが付与されたブロックを示す図である。
【図20】本発明の実施例6に係るブロック分割説明図である。
【図21】図20の右半分の領域のブロック座標説明図である。
【図22】本発明の実施例7に係る移動物体追跡装置の概略機能ブロック図である。
【図23】図22の合成部で行われる処理を示す概略フロ−チャートである。
【図24】(A)及び(B)は図23の処理対象説明図である。
【図25】(A)及び(B)はそれぞれ図24の(A)及び(B)に対する処理結果説明図である。
【図26】本発明の背景技術の問題点説明図である。
【図27】本発明の背景技術の他の問題点が生ずる画像の説明図である。
【図28】該他の問題点説明図である。
【符号の説明】
【0107】
10 フレーム
11、13、13S 移動物体
11a〜11c 領域
12、12A 遮蔽物
14 ビデオカメラ
20、20A、20B 移動物体追跡装置
21 画像メモリ
22 背景画像生成部
23 ID生成/消滅部
24 オブジェクトマップ記憶部
25 移動物体追跡部
26、26A 遮蔽物処理部
26B 合成部
27、27A 遮蔽物領域
28 範囲
30、31 スリット画像
32、33 複写領域
34a〜34e 領域
35、36 領域
37、37A、37B、38、38A、38B 矩形領域
EN1〜EN4 入口スリット
EX1〜EX4 出口スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物が存在する場合に、
画像のフレーム内に該遮蔽物の一端側及び他端側に沿ってそれぞれ第1及び第2のスリットを予め設定しておき、
該第1及び第2のスリットの一方の内側で移動物体の一部が検出され、その後他方の内側で移動物体の一部が検出された場合に、該一方の内側の移動物体の一部に付与されている識別符号を該他方の内側の移動物体の一部に付与する
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項2】
該一方及び他方の内側で検出された移動物体間の相関度を求め、該相関度に基づいて、該一方の内側の移動物体に付与されている識別符号を該他方の内側で検出された移動物体に付与することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも、該一方の内側で検出された移動物体の位置及び動きベクトルに基づいて、該他方の内側で検出される移動物体の位置を推定し、該推定位置と該他方の内側で検出された移動物体の位置との一致度を該相関度として求めることを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡装置において、
画像のフレーム内に、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物の一端側及び他端側に沿ってそれぞれ第1及び第2のスリットを予め設定するための設定手段と、
該第1及び第2のスリットの一方の内側で移動物体の一部が検出され、その後他方の内側で移動物体の一部が検出された場合に、該一方の内側の移動体の一部に付与されている識別符号を該他方の内側の移動体の一部に付与する移動物体処理手段と、
を有することを特徴とする、画像における移動物体追跡装置。
【請求項5】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物が存在する場合に、
画像のフレーム内に遮蔽物領域を予め設定しておき、
該領域の一端側及び他端側に該領域と接している移動物体が検出され、該一端側で検出された移動物体に識別符号が付与され該他端側で検出された移動物体に識別符号が付与されていないとき、該他端側の移動物体に該一端側の移動物体の識別符号を付与する
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項6】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物が存在する場合に、
画像のフレーム内に遮蔽物領域を予め設定しておき、
移動物体が該領域に接した場合に、その後、該移動物体の動きベクトルに基づき該領域に隠れている該移動物体の部分を推定して該移動物体の一部とみなす
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項7】
時系列画像の各々を複数ブロックに分割し、
該遮蔽物領域は、ブロック単位で該遮蔽物が存在するかどうかが設定されており、
該領域に隠れている該移動物体の部分がブロック単位で推定される
ことを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡装置において、
画像のフレーム内に、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物の領域を予め設定するための設定手段と、
移動物体が該領域に接した場合に、その後、該移動物体の動きベクトルに基づき該領域に隠れている該移動物体の部分を推定して該移動物体の一部とみなす遮蔽物処理手段と、
を有することを特徴とする画像における移動物体追跡装置。
【請求項9】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、画像上で移動物体を一時的に隠す遮蔽物が存在する場合に、
該遮蔽物の一端及び他端に沿った第1及び第2のスリット画像をそれぞれ該一端及び他端から該遮蔽物の内側へ所定回数複写することにより該遮蔽物の幅を擬似的に狭く又は0にする
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項10】
時系列画像上の移動物体をブロック単位で検出して該ブロックに識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、
画像の縮小比が大きい領域ほどブロックサイズを大きくする
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項11】
時系列画像上の移動物体をブロック単位で検出して該ブロックに識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、実質的に、
画像の縮小比が大きい領域ほど多くの画素を間引いた画像を、同一サイズのブロックに分割する
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項12】
時系列画像上の移動物体をブロック単位で検出して該ブロックに識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡装置において、
画像の縮小比が大きい領域ほどブロックサイズを大きくする
ことを特徴とする画像における移動物体追跡方法。
【請求項13】
時系列画像上の移動物体を検出して該移動物体に識別符号を付与し該移動物体を追跡する、画像における移動物体追跡方法において、
第1及び第2の領域が移動物体として認識され、該第1及び第2の領域が互いに所定値以上接近しかつ相対位置の変化が所定値以内である場合に、該第1領域と該第2領域とを連結してこれに1つの識別符号を付与する
ことを特徴とする、画像における移動物体追跡方法。
【請求項14】
該第1領域が内接する第1矩形領域と該第2領域が内接する第2矩形領域とが第1方向に関し重なり、接し、又は所定距離以下離れているという第1条件を満たしている場合に、該第1及び第2の領域が互いに該所定値以上接近していると判定する
ことを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
該第1条件を満たし、かつ、該第1矩形領域と該第2矩形領域とが該第1方向と直角な第2方向に関し所定距離以下離れているという第2条件を満たしている場合に、該第1及び第2の領域が互いに該所定値以上接近していると判定する
ことを特徴とする請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2006−24148(P2006−24148A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−203854(P2004−203854)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【出願人】(801000049)財団法人生産技術研究奨励会 (72)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】