画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体
【課題】 検査対象物のタイヤ内側が撮影された画像から欠陥と刻印文字とを判別することができる画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体を提供する。
【解決手段】 テンプレート領域設定工程a2では、判別対象が含まれる位置にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程a3では、自己相関値を算出し、差分処理工程a4では、相関差分値を算出する。極大位置検出工程a5では、相関差分値の極大位置を検出する。偏差値算出工程a6では、極大位置の間隔を算出し、極大位置の間隔の偏差値を算出する。線状模様数算出工程a10では、画像中のブラダーグルーブの合計数を算出する。判定工程a7,a8,a11,a13では、極大位置の間隔の偏差値とブラダーグルーブの合計数とに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかの判定を行う。
【解決手段】 テンプレート領域設定工程a2では、判別対象が含まれる位置にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程a3では、自己相関値を算出し、差分処理工程a4では、相関差分値を算出する。極大位置検出工程a5では、相関差分値の極大位置を検出する。偏差値算出工程a6では、極大位置の間隔を算出し、極大位置の間隔の偏差値を算出する。線状模様数算出工程a10では、画像中のブラダーグルーブの合計数を算出する。判定工程a7,a8,a11,a13では、極大位置の間隔の偏差値とブラダーグルーブの合計数とに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかの判定を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を用いて検査対象物の外観検査を行う画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体に関し、より詳細には、画像中の判別対象が検出すべき欠陥であるか否かを判別する画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用タイヤの製法として、タイヤドラムにビード、ラジアルスチールコードおよびゴム生地を順番に巻きつけ、内側からブラダーと呼ばれるゴム風船をタイヤの形に膨らまし、金型へ押しつけて加硫する方法がある。この方法では、加硫時のブラダーとタイヤとの間の空気を抜くため、ブラダーには溝が掘られており、この溝がタイヤの内表面の一部に転写される。タイヤに転写される溝は、斜め方向の線状の固定パターンであり、「ブラダーグルーブ」と呼ばれる。さらにタイヤの内表面には、刻印文字が形成される。
【0003】
加硫されたタイヤは、出荷される前に検査装置によって外観検査などの検査が行われる。外観検査では、タイヤが撮影された画像を用いて、タイヤの表面のコード露出、凹凸欠陥などの欠陥を、画像処理によって検出する。
【0004】
従来の技術であるタイヤ形状検査方法は、タイヤサイド部が撮影された画像からローレット加工部分を除去し、タイヤサイド部の形状を検査して、表面に形成される傷などの欠陥を検出する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1のタイヤ形状検査方法では、画像処理を用いるタイヤの外観検査において、検出すべき欠陥と、欠陥ではない刻印文字とを判別することが困難である。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。したがって、従来の技術による画像処理を用いた外観検査では、刻印文字を欠陥であると誤判定するなど欠陥の検出を適切に行うことができない。
【0006】
そこで、画像処理を用いる外観検査では、刻印文字および欠陥が撮影されたそれぞれの画像を基準テンプレートとして予め準備しておき、検査対象物が撮影された画像から、パターンマッチングによって刻印文字および欠陥を検出する方法が考えられる。検出すべき欠陥は、たとえばコード露出、凹凸欠陥などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−139297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、タイヤの表面に現れる欠陥は、局所的に現れる場合や、横一列に連続的に現れる場合などがあり、パターンマッチングの基準テンプレートを固定化することが困難である。刻印文字は、多様な文字が組み合わされており、また金型の使用頻度による劣化程度で刻印の状態がそれぞれ異なるので、基準テンプレートを固定化することが困難である。
【0009】
本発明の目的は、検査対象物のタイヤ内側が撮影された画像から欠陥と刻印文字とを判別することができる画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定工程と、
前記テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出工程と、
前記自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理工程と、
前記差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出工程と、
前記極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出工程と、
前記偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出工程と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定工程とを含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0011】
また本発明は、前記テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定し、
前記判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記検査対象物は、タイヤであり、
前記線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブであることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、前記検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を前記予め定める領域に決定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定手段と、
前記テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出手段と、
前記自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理手段と、
前記差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出手段と、
前記極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出手段と、
前記偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出手段と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定手段とを含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
また本発明は、コンピュータに、前記画像処理方法を実行させるための画像処理プログラムである。
【0016】
また本発明は、前記画像処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像処理方法は、テンプレート領域設定工程と、自己相関値算出工程と、差分処理工程と、極大位置検出工程と、偏差値算出工程と、線状模様数算出工程と、判定工程とを含む。テンプレート領域設定工程では、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程では、テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理工程では、自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出工程では、差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程では、極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出工程では、偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定工程では、極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0018】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0019】
画像処理方法では、刻印文字が線状模様のない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0020】
また、テンプレート領域設定工程では、予め登録したテンプレートを用いることなく、画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理方法では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理方法では、線状模様の間隔が異なる他の画像に対してでも、その画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0021】
また本発明によれば、テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定する。判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0022】
これによって、テンプレート領域中に刻印文字が含まれ、さらにテンプレート領域中に線状模様の一部が含まれているとき、判定工程で判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、テンプレート領域設定工程が複数の異なるテンプレート領域を設定するので、判定工程では、精度良く判定を行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、検査対象物は、タイヤである。線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブである。
【0024】
これによって、画像処理方法では、ブラダーグルーブが形成されるタイヤが撮影された画像から、コード露出、凹凸欠陥などの欠陥と、刻印文字とを正確に判別することができる。したがって、画像処理方法では、タイヤの外観検査において、欠陥を確実に検出することができる。
【0025】
また本発明によれば、テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。
【0026】
これによって、テンプレート領域設定工程では、刻印文字または欠陥のいずれかである判別対象の位置を画像中から検出することができる。したがって、テンプレート領域設定工程では、検出した判別対象を含む領域を予め定める領域とすることができる。これによって、画像処理方法では、画像中の全領域に順次的にテンプレート領域を設定して刻印文字および欠陥の検出を行うときに比べて、処理時間を短縮することができる。したがって、画像処理方法では、検査対象物の表面に形成される欠陥を効率的に検出することができる。
【0027】
また本発明によれば、画像処理装置は、テンプレート領域設定手段と、自己相関値算出手段と、差分処理手段と、極大位置検出手段と、偏差値算出手段と、線状模様数算出手段と、判定手段とを含んで構成される。テンプレート領域設定手段では、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出手段では、テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理手段では、自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出手段では、差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出手段では、極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出手段では、偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定手段では、極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0028】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0029】
画像処理装置では、刻印文字が線状模様のない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0030】
また、テンプレート領域設定手段では、予め登録したテンプレートを用いることなく、画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理装置では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理装置では、線状模様の間隔が異なる他の画像に対してでも、その画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0031】
また本発明によれば、画像処理プログラムは、コンピュータに、画像処理方法を実行させることができる。
【0032】
また本発明によれば、前記画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像21を示す図である。
【図3】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像26を示す図である。
【図4】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例を示す図である。
【図5】刻印文字が含まれる取込画像41の横方向Aの濃度変化を示す図である。
【図6】欠陥が含まれる取込画像46の横方向Aの濃度変化を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態である画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】取込画像51からの自己相関値および相関差分値の算出を説明するための図である。
【図9】図9(a)は、相関差分値の波形63の一例のグラフ61を示す図である。図9(b)は、グラフ61中の領域62を拡大して示す図である。
【図10】刻印文字を含む取込画像71における判別対象の判定を説明するための図である。
【図11】欠陥を含む取込画像81における判別対象の判定を説明するための図である。
【図12】極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの一部である。
【図13】極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの残余である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、たとえばゴム、金属もしくは樹脂からなる成型品の外観検査を、画像処理を用いて検査する検査装置であり、以下、タイヤを検査する検査装置である画像処理装置1を例に説明する。本発明に係る画像処理方法は、たとえば画像処理装置1で実行される。
【0035】
画像処理装置1は、入力部11、制御部12、記憶部13および出力部14を含んで構成される。入力部11は、たとえばマウスおよびキーボードなどの入力装置、ならびに照明部および撮影部からなる撮影装置を含んで構成される。入力装置は、たとえば検査の開始および終了を指示する情報、および検査の条件などの情報を入力する装置であり、入力部11は、入力装置によって入力された情報を制御部12に送る。
【0036】
撮影装置は、タイヤの内側をライトなどの照明部によって照明し、照明光が照射されているタイヤ表面をカメラなどの撮影部によって撮影する。撮影装置は、タイヤの内側を1度に撮影することができないので、タイヤの内側の表面の位置を移動して順次撮影する。入力部11は、撮影装置によって撮影したタイヤの内側の表面、すなわち内表面の画像を制御部12に送る。
【0037】
制御部12は、たとえば中央処理装置(Central Processing Unit;略称CPU)によって構成され、記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御し、本発明に係る画像処理を行う後述する複数の機能を実現する。記憶部13は、たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置などによって構成される読み書き可能な記憶装置であり、制御部12で実行されるプログラムおよび制御部12で用いられる情報を記憶する。
【0038】
出力部14は、情報を出力するディスプレイなどの表示装置あるいはプリンタなどの印刷装置によって構成され、制御部12から受け取る情報を出力する。あるいは、着脱可能な記録媒体への情報の読み書きが可能な記録再生装置、他の画像処理装置と情報の送受信を行う通信装置などを、入力装置兼出力装置とすることも可能である。制御部12は、画像処理を行った後、処理済画像に基づいて欠陥の有無を判定し、判定結果に基づく検査結果を出力部14に出力する。
【0039】
【表1】
【0040】
線状欠陥は、コード露出欠陥および凹凸欠陥を含む。コード露出欠陥には、タイヤ内部のコードが表面に露出する故障があり、また、凹凸欠陥には、内面凹あるいは内面凸と呼ばれる故障があり、それぞれ表1に示した発生原因で発生する。コードとは、プライコードのことであり、ラジアル状(放射状)に貼り付けられているナイロン素材、ポリエステル素材もしくはスチール素材のものである。
【0041】
図2は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像21を示す図である。図3は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像26を示す図である。矢符Aで示す方向は、予め定める方向である横方向であり、矢符Bで示す方向は、縦方向である。撮影装置から受け取る画像(以下「取込画像」という)は、ラインごとに配列された画素から構成され、記憶部13に記憶される。
【0042】
取込画像21,26は、タイヤ内側の底面部を撮影した画像である。以下、タイヤの表面のうち、タイヤ内側の面を内表面といい、タイヤ外側の面を外表面という。取込画像21,26では、タイヤの内表面にブラダーグルーブ22と刻印文字23とが形成されている。ブラダーグルーブ22は、タイヤ内側の内表面に形成される周期的な線状の凹部または凸部である。
【0043】
取込画像21,26において、ブラダーグルーブ22は、タイヤ内表面の縦方向Bの中央の領域を除いて形成されている。ブラダーグルーブ22は、取込画像21,26において横方向Aに一定の間隔をあけて周期的な線状模様として表われている。ブラダーグルーブ22の長手方向は、縦方向Bおよび横方向Aとは異なる斜め方向である。ブラダーグルーブ22は、横方向Aに周期的に並び横方向Aと異なる方向に延びる線状模様である。
【0044】
刻印文字23は、タイヤの内表面の凹凸によって形成される文字である。刻印文字23は、ブラダーグルーブ22が形成されていない領域に形成される。刻印文字23の周囲、たとえば50ミリメートルには、ブラダーグルーブ22は形成されない。この値は、タイヤサイズ、ブラダーグルーブの種類によって異なる値となる。
【0045】
図4は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例を示す図である。図4(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像31を示す図である。図4(b)は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像36を示す図である。取込画像31,36は、タイヤの内表面を撮影した画像である。取込画像31,36では、タイヤの内表面にブラダーグルーブ22とコード露出32とが形成されている。ブラダーグルーブ22は、斜め方向に形成され、横方向Aに周期的に形成されている。コード露出32は、縦方向Bに線状に形成される。コード露出32は、取込画像31,36において横方向Aに一定の間隔をあけて周期的に表われている。コード露出32が形成されている領域には、ブラダーグルーブ22も形成されている。
【0046】
図5は、刻印文字が含まれる取込画像41の横方向Aの濃度変化を示す図である。図5(a)は、濃度変化に基づく値の波形がグラフ42に示されている。図5(b)は、図5(a)中のグラフ42を示す図である。グラフ42には、自己相関値の波形43と、相関差分値の波形44とが示される。自己相関値および相関差分値は、横方向Aの濃度変化に基づく値であり、後に詳述する。グラフ42では、自己相関値の波形43および相関差分値の波形44が周期的な変動を示しておらず、これは刻印文字が形成される領域にブラダーグルーブが存在しないことを示す。
【0047】
図6は、欠陥が含まれる取込画像46の横方向Aの濃度変化を示す図である。図6(a)は、濃度変化に基づく値の波形がグラフ47に示されている。図6(b)は、図6(a)中のグラフ47を示す図である。グラフ47には、自己相関値の波形43と、相関差分値の波形44とが示される。グラフ47では、自己相関値の波形43および相関差分値の波形44が周期的な変動を示しており、これは欠陥が形成される領域にブラダーグルーブが存在することを示す。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態である画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。画像処理方法は、制御部12によって実行される。制御部12は、入力部11から画像情報を受け取ると、ステップa1に進んで処理を開始する。
【0049】
テンプレート領域設定工程であるステップa2では、制御部12は、予め定める画像処理によって、取込画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。予め定める画像処理とは、たとえば取込画像をフーリエ展開して、取込画像中の各画素の空間周波数の値に基づいて、ブラダーグルーブとは異なる判別対象の位置を検出することである。
【0050】
制御部12は、取込画像上の予め定める領域に矩形のテンプレート領域を設定する。予め定める領域は、刻印文字または欠陥である判別対象が含まれる領域である。制御部12は、予め定める数、たとえば3つのテンプレート領域を設定する。第1番目のテンプレート領域は、刻印文字または欠陥である判別対象が全て含まれる矩形の領域であり、かつ判別対象の上下左右に予め定める寸法、たとえば30画素分大きい領域である。第2番目のテンプレート領域は、第1番目のテンプレート領域を横方向Aのうちの一方の向きに、たとえば10画素移動させた領域である。第3番目のテンプレート領域は、第1番目のテンプレート領域を横方向Aのうちの他方の向きに、たとえば10画素移動させた領域である。ステップa3〜11までの処理は、第1〜第3番目のテンプレート領域ごとにそれぞれ行われる。以下、第1〜第3番目のテンプレート領域を単にテンプレート領域ともいう。
【0051】
自己相関値算出工程であるステップa3では、制御部12は、テンプレート領域中の各画素と、横方向Aにテンプレート領域を移動させた自己相関値算出領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。制御部12は、取込画像を横方向Aに走査して、テンプレート領域中の画素と、自己相関値算出領域中の画素との自己相関値を算出する。自己相関値は、「−1≦(自己相関値)≦1」の値で表わされるけれども、本実施形態では、算出した自己相関値に「10000」を乗じて、自己相関値を整数で表わしてもよい。
【0052】
差分処理工程であるステップa4では、制御部12は、ステップa3で自己相関値を算出した各画素について、横方向Aに予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。具体的には、制御部12は、自己相関値R(x,y)から、式(1)を用いて相関差分値D(x,y)を算出する。xは、横方向Aの画素の位置を示し、yは、縦方向Bの画素の位置を示す。
D(x,y) = R(x+Δx,y) − R(x,y) …(1)
【0053】
ここで、差分幅Δxは、予め定める間隔、たとえば「5」である。相関差分値は、自己相関値よりもフラットな値であるので、算出した相関差分値を用いて、ブラダーグルーブの本数の算出を容易かつ確実に行うことができる。
【0054】
図8は、取込画像51からの自己相関値および相関差分値の算出を説明するための図である。図8(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像51およびグラフ52を示す図である。図8(b)は、図8(a)内のグラフ52のみを示す図である。
【0055】
取込画像51には、テンプレート領域53と、テンプレート領域53との間で自己相関値を算出する領域である自己相関値算出領域54とが示されている。グラフ52には、自己相関値の波形55、相関差分値の波形56、および相関差分値ピーク位置の検出に用いる閾値である相関差分値閾値57が示される。相関差分値閾値57については、後に詳述する。グラフ52において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0056】
極大位置検出工程であるステップa5では、制御部12は、ステップa4で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置、すなわちピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程であるステップa6では、制御部12は、ステップa5で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。
【0057】
図9(a)は、相関差分値の波形63の一例のグラフ61を示す図である。図9(b)は、グラフ61中の領域62を拡大して示す図である。グラフ61には、相関差分値の波形63、相関差分値閾値64、相関差分値の波形63の最大値65、ピーク位置66、および隣接するピーク位置66の間隔であるピーク間隔67が示されている。グラフ61の横軸は、相関差分値を算出した位置Xであり、縦軸は、相関差分値Dである。位置Xは、横方向Aの画素の位置を表す。
【0058】
相関差分値閾値64は、たとえば波形の最大値65に対する閾値の比率として閾値比率を設定することによって、「(相関差分値閾値64)=(相関差分値の波形63の最大値65)×(閾値比率)」によって算出される。
【0059】
図9(b)には、ピーク位置66と、相関差分値の波形63が相関差分値閾値64を超えた位置である立上がり位置68と、相関差分値の波形63が相関差分値閾値64を下回った位置である立下がり位置69とが示されている。
【0060】
制御部12は、ピーク位置66を、「(ピーク位置66)={(立上がり位置68)+(立下がり位置69)}/2」によって算出する。さらに制御部12は、複数のピーク位置66のうち、互いに隣接するピーク位置66の間隔をそれぞれ算出してピーク間隔67を求める。
【0061】
ステップa7では、制御部12は、ピーク間隔偏差値が予め定める偏差値閾値である上限値、たとえば「5」以下であるか否かを判定する。ステップa7,a8,a11,a13は、判定工程である。制御部12によって、ピーク間隔偏差値が上限値以下であると判定されると、ステップa10に進み、ピーク間隔偏差値が上限値よりも小さいと判定されると、ステップa8に進む。
【0062】
線状模様数算出工程であるステップa10では、制御部12は、ステップa6で算出された極大位置の間隔の平均値と、ブラダーグルーブの本数を算出した領域の横方向Aの幅とに基づいて、取込画像中に含まれるブラダーグルーブの合計本数を算出する。
【0063】
ステップa11では、制御部12は、ステップa10で算出したブラダーグルーブの本数が、予め定める範囲内、すなわち予め定める第1の合計数閾値以上でかつ予め定める第2の合計数閾値以下であるか否かを判定する。第2の合計数閾値は、第1の合計数閾値よりも大きい。たとえば第1の合計数閾値が「5」であり、第2の合計数閾値が「12」であるとき、予め定める範囲は「5〜12」となる。制御部12によって、ブラダーグルーブの本数が第1の合計数閾値以上でかつ第2の合計数閾値以下であると判定されると、ステップa12に進み、ブラダーグルーブの本数が第1の合計数閾値よりも小さい、または第2の合計数閾値よりも大きいと判定されると、ステップa8に進む。
【0064】
ステップa8では、制御部12は、テンプレート領域内からブラダーグルーブが検出されないと判定して、テンプレート領域内に刻印文字が含まれると判定し、ステップa9に進んで処理が終了する。制御部12は、テンプレート領域内の判別対象を刻印文字と判定する。第1〜第3番目のテンプレート領域のうちの少なくとも1つのテンプレート領域において、刻印文字が含まれると判定されると、判別対象が刻印文字であると判定される。
【0065】
ステップa12では、制御部12は、第1〜第3番目のテンプレート領域のそれぞれについて全箇所でステップa3〜11の処理が終了したか否かを判定する。制御部12によって、全箇所終了したと判定されると、ステップa13に進み、全箇所終了していないと判定されると、ステップa3に進む。
【0066】
ステップa13では、制御部12は、テンプレート領域内からブラダーグルーブが検出されたと判定して、テンプレート領域内に欠陥が含まれると判定し、ステップa14に進んで処理が終了する。制御部12は、テンプレート領域内の判別対象を欠陥と判定する。
【0067】
他の実施形態において、ステップa2では、制御部12は、テンプレート領域中の横方向Aの中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域を設定し、テンプレート領域中の横方向Aの中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域を設定してもよい。さらに制御部12は、テンプレート領域中の縦方向Bの中央の位置に判別対象を含む第3のテンプレート領域を設定し、テンプレート領域中の縦方向Bの中央とは異なる位置に判別対象を含む第4のテンプレート領域を設定してもよい。
【0068】
制御部12は、設定した第1〜第4のテンプレート領域のそれぞれについて、ステップa3〜a14での処理を行う。制御部12は、第1〜第4のテンプレート領域に基づいて算出されたそれぞれのブラダーグルーブの合計本数のうちのいずれかのブラダーグルーブの合計本数が予め定める範囲外、すなわち第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1〜第4のテンプレート領域内に刻印文字が含まれると判定する。したがって、制御部12は、第1〜第4のテンプレート領域内の判別対象を刻印文字と判定する。これによって、判別対象が刻印文字である場合にテンプレート領域中の一部にブラダーグルーブが含まれていると、制御部12が判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、複数の異なるテンプレート領域に基づいて判別対象の判定をするので、判定精度を高めることができる。
【0069】
図10は、刻印文字を含む取込画像71における判別対象の判定を説明するための図である。図10(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像71およびグラフ72を示す図である。図10(b)は、図10(a)内のグラフ72のみを示す図である。
【0070】
取込画像71には、テンプレート領域73と、自己相関値算出領域74とが示されている。テンプレート領域73は、刻印文字が含まれる位置に設定されている。グラフ72には、自己相関値の波形75、相関差分値の波形76、および相関差分値閾値77が示される。グラフ72において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0071】
制御部12は、前述のようにステップa7,a11で、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値、たとえば「5」以下であり、かつブラダーグルーブ本数が予め定める範囲、たとえば「5〜12」内であるとき、判別対象を欠陥と判定し、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値よりも大きい、またはブラダーグルーブ本数が予め定める範囲外であるとき、判別対象を刻印文字と判定する。
【0072】
取込画像71では、ピーク間隔偏差値が「8.679」と算出され、ブラダー本数、すなわちブラダーグルーブ本数が「24」と算出されている。したがって、取込画像71は、判別対象を刻印文字と判定する。このように、本発明の画像処理方法では、取込画像71内の判別対象を刻印文字であると正確に判定することができる。
【0073】
図11は、欠陥を含む取込画像81における判別対象の判定を説明するための図である。図11(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像81およびグラフ82を示す図である。図11(b)は、図11(a)内のグラフ82のみを示す図である。
【0074】
取込画像81には、テンプレート領域83と、自己相関値算出領域84とが示されている。テンプレート領域83は、欠陥が含まれる位置に設定されている。グラフ82には、自己相関値の波形85、相関差分値の波形86、および相関差分値閾値87が示される。グラフ82において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0075】
制御部12は、前述のようにステップa7,a11で、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値、たとえば「5」以下であり、かつブラダーグルーブ本数が予め定める範囲、たとえば「5〜12」内であるとき、判別対象を欠陥と判定し、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値よりも大きい、またはブラダーグルーブ本数が予め定める範囲外であるとき、判別対象を刻印文字と判定する。
【0076】
取込画像81では、ピーク間隔偏差値が「0.816」と算出され、ブラダー本数、すなわちブラダーグルーブ本数が「6」と算出されている。したがって、取込画像81は、判別対象を欠陥と判定する。このように、本発明の画像処理方法では、取込画像81内の判別対象を欠陥であると正確に判定することができる。
【0077】
図12は、極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの一部である。図13は、極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの残余である。制御部12が相関差分値のピーク位置を検出するときに、ステップb1に進んで処理が開始される。
【0078】
ステップb2では、制御部12は、相関差分値の閾値比率に初期値、たとえば100%を設定する。ステップb3では、制御部12は、相関差分値の閾値を設定する。相関差分値閾値は、「(相関差分値閾値)=(相関差分値の最大値)×(閾値比率)÷100」によって算出される。
【0079】
ステップb4では、制御部12は、X軸走査位置に初期値として「0」を設定し、ピーク検出個数に初期値として「0」を設定して、記憶部13に記憶させる。ステップb5では、制御部12は、横方向AであるX軸方向の全画素の走査が終了したか否かを判定する。制御部12によって、X軸方向の全画素の走査が終了したと判定されると、ステップb16に進み、X軸方向の全画素の走査が終了していないと判定されると、ステップb6に進む。
【0080】
ステップb6では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値以上であるか否かを判定する。制御部12によって、相関差分値が相関差分値閾値以上であると判定されると、ステップb7に進み、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいと判定されると、ステップb15に進む。
【0081】
ステップb7では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値を超えた位置を、相関差分値の立上がり位置であると判定する。さらに制御部12は、相関差分値の立上がり位置のX座標の値を、記憶部13に記憶させる。ステップb8では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させる。
【0082】
ステップb9では、制御部12は、X軸方向の全画素の走査が終了したか否かを判定する。制御部12によって、X軸方向の全画素の走査が終了したと判定されると、ステップb16に進み、X軸方向の全画素の走査が終了していないと判定されると、ステップb10に進む。
【0083】
ステップb10では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいか否かを判定する。制御部12によって、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいと判定されると、ステップb12に進み、相関差分値が相関差分値閾値以上であると判定されると、ステップb11に進む。ステップb11では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させる。
【0084】
ステップb12では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値を下回った位置を、相関差分値の立ち下がり位置であると判定する。さらに制御部12は、相関差分値の立ち下がり位置のX座標の値を、記憶部13に記憶させて、ステップb9に進む。
【0085】
ステップb13では、制御部12は、記憶部13に記憶される相関差分値の立上がりの位置と立ち下がりの位置とから、ピーク位置を算出する。ピーク位置は、「(ピーク位置)={(立上がり位置)+(立下がり位置)}÷2」によって算出される。
【0086】
ステップb14では、制御部12は、記憶部13に記憶されるピーク検出個数を更新、すなわち算出されたピーク位置の個数を加算する。ステップb15では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させて、ステップb5に進む。
【0087】
ステップb16では、制御部12は、記憶部13に記憶されるピーク検出個数が、規定個数、たとえば「4」以上であるか否かを判定する。制御部12によって、ピーク検出個数が規定個数以上であると判定されると、ステップb17に進み、ピーク検出個数が規定個数よりも少ないと判定されると、ステップb22に進む。
【0088】
ステップb17では、制御部12は、ピーク間隔平均値を算出し、さらにピーク間隔偏差値を算出する。ステップb18では、制御部12は、ピーク間隔偏差値が偏差値上限、たとえば「5」よりも小さいか否かを判定する。制御部12によって、ピーク間隔偏差値が偏差値上限よりも小さいと判定されると、ステップb19に進み、ピーク間隔偏差値が偏差値上限以上であると判定されると、ステップb22に進む。
【0089】
ステップb19では、制御部12は、ブラダーグルーブの本数を算出する。ブラダーグルーブの本数は、「(本数)=(ブラダーグルーブ本数算出領域幅)÷(ピーク間隔平均値)+0.5」によって算出される。さらに制御部12は、算出したブラダーグルーブの本数を、記憶部13に記憶させる。
【0090】
ステップb20では、制御部12は、ブラダーグルーブの本数を正常に算出したと判定して、ステップb21に進んで処理が終了する。ステップb22では、制御部12は、相関差分値の閾値比率を更新する。閾値比率は、「(閾値比率)=(閾値比率)−5%」によって算出される。
【0091】
ステップb23では、制御部12は、算出した閾値比率が「0」よりも大きいか否かを判定する。制御部12によって、閾値比率が「0」よりも大きいと判定されると、ステップb3に進み、閾値比率が「0」以下であると判定されると、ステップb24に進む。ステップb24では、制御部12は、エラー、すなわちブラダーグルーブの本数を算出できないと判定して、ステップb25に進んで処理が終了する。
【0092】
上述した実施形態では、制御部12が記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御するとともに、上述した機能を実現するが、上述した機能を実現するためのプログラムは、記憶部13に記憶されることに限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、たとえば図示しない外部記憶装置としてプログラム読取装置を画像処理装置1に設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。
【0093】
いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。あるいはいずれの記録媒体であっても、プログラムが読み出され、読み出されたプログラムが、記憶装置のプログラム記憶エリアに記憶されて、そのプログラムが実行される構成であってもよい。
【0094】
画像処理装置1と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/CD−R(Compact
Disk Recordable)/ブルーレイディスクなどの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【0095】
また、画像処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(Value Added
Network)、CATV(Community Antenna Television)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、または衛星通信網など通信ネットワークが利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)あるいはリモートコントロールで用いられる赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High
Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0096】
このように、画像処理方法は、ステップa2であるテンプレート領域設定工程と、ステップa3である自己相関値算出工程と、ステップa4である差分処理工程と、ステップa5である極大位置検出工程と、ステップa6である偏差値算出工程と、ステップa10である線状模様数算出工程と、ステップa7,a8,a11,a13である判定工程とを含む。テンプレート領域設定工程では、表面に周期的な線状模様、たとえばブラダーグルーブと刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程では、テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理工程では、自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出工程では、差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置をピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程では、極大位置検出工程で検出した各ピーク位置のうち、互いに隣接するピーク位置の間隔をそれぞれ算出して、ピーク位置の間隔の平均値と、ピーク位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出工程では、偏差値算出工程で算出されたピーク位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定工程では、ピーク位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、ピーク位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0097】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査において、フーリエ展開によって取込画像を処理して欠陥を検出するとしても、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0098】
画像処理方法では、刻印文字が線状模様、たとえばブラダーグルーブのない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、取込画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0099】
また、テンプレート領域設定工程では、予め登録したテンプレートを用いることなく、取込画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理方法では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理方法では、線状模様の間隔が異なる他の取込画像に対してでも、その取込画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0100】
さらに、テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定する。判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0101】
これによって、テンプレート領域中に刻印文字が含まれ、さらにテンプレート領域中に線状模様の一部が含まれているとき、判定工程で判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、テンプレート領域設定工程が複数の異なるテンプレート領域を設定するので、判定工程では、精度良く判定を行うことができる。
【0102】
さらに、検査対象物は、タイヤである。線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブである。
【0103】
これによって、画像処理方法では、ブラダーグルーブが形成されるタイヤが撮影された取込画像から、コード露出、凹凸欠陥などの欠陥と、刻印文字とを正確に判別することができる。したがって、画像処理方法では、タイヤの外観検査において、欠陥を確実に検出することができる。
【0104】
さらに、テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。
【0105】
これによって、テンプレート領域設定工程では、刻印文字または欠陥のいずれかである判別対象の位置を画像中から検出することができる。したがって、テンプレート領域設定工程では、検出した判別対象を含む領域を予め定める領域とすることができる。これによって、画像処理方法では、画像中の全領域に順次的にテンプレート領域を設定して刻印文字および欠陥の検出を行うときに比べて、処理時間を短縮することができる。したがって、画像処理方法では、検査対象物の表面に形成される欠陥を効率的に検出することができる。
【0106】
さらに、画像処理装置は、テンプレート領域設定手段と、自己相関値算出手段と、差分処理手段と、極大位置検出手段と、偏差値算出手段と、線状模様数算出手段と、判定手段とを含んで構成される。テンプレート領域設定手段では、表面に周期的な線状模様、たとえばブラダーグルーブと刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出手段では、テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理手段では、自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出手段では、差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置をピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出手段では、極大位置検出手段で検出した各ピーク位置のうち、互いに隣接するピーク位置の間隔をそれぞれ算出して、ピーク位置の間隔の平均値と、ピーク位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出手段では、偏差値算出手段で算出されたピーク位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定手段では、ピーク位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、ピーク位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0107】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査において、フーリエ展開によって取込画像を処理して欠陥を検出するとしても、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0108】
画像処理装置では、刻印文字が線状模様、たとえばブラダーグルーブのない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、取込画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0109】
また、テンプレート領域設定手段では、予め登録したテンプレートを用いることなく、取込画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理装置では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理装置では、線状模様の間隔が異なる他の取込画像に対してでも、その取込画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0110】
さらに、画像処理プログラムは、コンピュータに、画像処理方法を実行させることができる。
【0111】
さらに、前記画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 画像処理装置
11 入力部
12 制御部
13 記憶部
14 出力部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理を用いて検査対象物の外観検査を行う画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体に関し、より詳細には、画像中の判別対象が検出すべき欠陥であるか否かを判別する画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用タイヤの製法として、タイヤドラムにビード、ラジアルスチールコードおよびゴム生地を順番に巻きつけ、内側からブラダーと呼ばれるゴム風船をタイヤの形に膨らまし、金型へ押しつけて加硫する方法がある。この方法では、加硫時のブラダーとタイヤとの間の空気を抜くため、ブラダーには溝が掘られており、この溝がタイヤの内表面の一部に転写される。タイヤに転写される溝は、斜め方向の線状の固定パターンであり、「ブラダーグルーブ」と呼ばれる。さらにタイヤの内表面には、刻印文字が形成される。
【0003】
加硫されたタイヤは、出荷される前に検査装置によって外観検査などの検査が行われる。外観検査では、タイヤが撮影された画像を用いて、タイヤの表面のコード露出、凹凸欠陥などの欠陥を、画像処理によって検出する。
【0004】
従来の技術であるタイヤ形状検査方法は、タイヤサイド部が撮影された画像からローレット加工部分を除去し、タイヤサイド部の形状を検査して、表面に形成される傷などの欠陥を検出する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
しかし、特許文献1のタイヤ形状検査方法では、画像処理を用いるタイヤの外観検査において、検出すべき欠陥と、欠陥ではない刻印文字とを判別することが困難である。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。したがって、従来の技術による画像処理を用いた外観検査では、刻印文字を欠陥であると誤判定するなど欠陥の検出を適切に行うことができない。
【0006】
そこで、画像処理を用いる外観検査では、刻印文字および欠陥が撮影されたそれぞれの画像を基準テンプレートとして予め準備しておき、検査対象物が撮影された画像から、パターンマッチングによって刻印文字および欠陥を検出する方法が考えられる。検出すべき欠陥は、たとえばコード露出、凹凸欠陥などである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−139297号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、タイヤの表面に現れる欠陥は、局所的に現れる場合や、横一列に連続的に現れる場合などがあり、パターンマッチングの基準テンプレートを固定化することが困難である。刻印文字は、多様な文字が組み合わされており、また金型の使用頻度による劣化程度で刻印の状態がそれぞれ異なるので、基準テンプレートを固定化することが困難である。
【0009】
本発明の目的は、検査対象物のタイヤ内側が撮影された画像から欠陥と刻印文字とを判別することができる画像処理方法、画像処理装置、画像処理プログラムおよび記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定工程と、
前記テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出工程と、
前記自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理工程と、
前記差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出工程と、
前記極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出工程と、
前記偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出工程と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定工程とを含むことを特徴とする画像処理方法である。
【0011】
また本発明は、前記テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定し、
前記判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記検査対象物は、タイヤであり、
前記線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブであることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、前記検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を前記予め定める領域に決定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定手段と、
前記テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出手段と、
前記自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理手段と、
前記差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出手段と、
前記極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出手段と、
前記偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出手段と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定手段とを含むことを特徴とする画像処理装置である。
【0015】
また本発明は、コンピュータに、前記画像処理方法を実行させるための画像処理プログラムである。
【0016】
また本発明は、前記画像処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像処理方法は、テンプレート領域設定工程と、自己相関値算出工程と、差分処理工程と、極大位置検出工程と、偏差値算出工程と、線状模様数算出工程と、判定工程とを含む。テンプレート領域設定工程では、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程では、テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理工程では、自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出工程では、差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程では、極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出工程では、偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定工程では、極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0018】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0019】
画像処理方法では、刻印文字が線状模様のない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0020】
また、テンプレート領域設定工程では、予め登録したテンプレートを用いることなく、画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理方法では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理方法では、線状模様の間隔が異なる他の画像に対してでも、その画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0021】
また本発明によれば、テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定する。判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0022】
これによって、テンプレート領域中に刻印文字が含まれ、さらにテンプレート領域中に線状模様の一部が含まれているとき、判定工程で判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、テンプレート領域設定工程が複数の異なるテンプレート領域を設定するので、判定工程では、精度良く判定を行うことができる。
【0023】
また本発明によれば、検査対象物は、タイヤである。線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブである。
【0024】
これによって、画像処理方法では、ブラダーグルーブが形成されるタイヤが撮影された画像から、コード露出、凹凸欠陥などの欠陥と、刻印文字とを正確に判別することができる。したがって、画像処理方法では、タイヤの外観検査において、欠陥を確実に検出することができる。
【0025】
また本発明によれば、テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。
【0026】
これによって、テンプレート領域設定工程では、刻印文字または欠陥のいずれかである判別対象の位置を画像中から検出することができる。したがって、テンプレート領域設定工程では、検出した判別対象を含む領域を予め定める領域とすることができる。これによって、画像処理方法では、画像中の全領域に順次的にテンプレート領域を設定して刻印文字および欠陥の検出を行うときに比べて、処理時間を短縮することができる。したがって、画像処理方法では、検査対象物の表面に形成される欠陥を効率的に検出することができる。
【0027】
また本発明によれば、画像処理装置は、テンプレート領域設定手段と、自己相関値算出手段と、差分処理手段と、極大位置検出手段と、偏差値算出手段と、線状模様数算出手段と、判定手段とを含んで構成される。テンプレート領域設定手段では、表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出手段では、テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理手段では、自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出手段では、差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出手段では、極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出手段では、偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定手段では、極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0028】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査では、フーリエ展開によって画像を処理して欠陥を検出するけれども、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0029】
画像処理装置では、刻印文字が線状模様のない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0030】
また、テンプレート領域設定手段では、予め登録したテンプレートを用いることなく、画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理装置では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理装置では、線状模様の間隔が異なる他の画像に対してでも、その画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0031】
また本発明によれば、画像処理プログラムは、コンピュータに、画像処理方法を実行させることができる。
【0032】
また本発明によれば、前記画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像21を示す図である。
【図3】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像26を示す図である。
【図4】入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例を示す図である。
【図5】刻印文字が含まれる取込画像41の横方向Aの濃度変化を示す図である。
【図6】欠陥が含まれる取込画像46の横方向Aの濃度変化を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態である画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】取込画像51からの自己相関値および相関差分値の算出を説明するための図である。
【図9】図9(a)は、相関差分値の波形63の一例のグラフ61を示す図である。図9(b)は、グラフ61中の領域62を拡大して示す図である。
【図10】刻印文字を含む取込画像71における判別対象の判定を説明するための図である。
【図11】欠陥を含む取込画像81における判別対象の判定を説明するための図である。
【図12】極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの一部である。
【図13】極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの残余である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の一実施形態である画像処理装置1の構成を示すブロック図である。画像処理装置1は、たとえばゴム、金属もしくは樹脂からなる成型品の外観検査を、画像処理を用いて検査する検査装置であり、以下、タイヤを検査する検査装置である画像処理装置1を例に説明する。本発明に係る画像処理方法は、たとえば画像処理装置1で実行される。
【0035】
画像処理装置1は、入力部11、制御部12、記憶部13および出力部14を含んで構成される。入力部11は、たとえばマウスおよびキーボードなどの入力装置、ならびに照明部および撮影部からなる撮影装置を含んで構成される。入力装置は、たとえば検査の開始および終了を指示する情報、および検査の条件などの情報を入力する装置であり、入力部11は、入力装置によって入力された情報を制御部12に送る。
【0036】
撮影装置は、タイヤの内側をライトなどの照明部によって照明し、照明光が照射されているタイヤ表面をカメラなどの撮影部によって撮影する。撮影装置は、タイヤの内側を1度に撮影することができないので、タイヤの内側の表面の位置を移動して順次撮影する。入力部11は、撮影装置によって撮影したタイヤの内側の表面、すなわち内表面の画像を制御部12に送る。
【0037】
制御部12は、たとえば中央処理装置(Central Processing Unit;略称CPU)によって構成され、記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御し、本発明に係る画像処理を行う後述する複数の機能を実現する。記憶部13は、たとえば半導体メモリあるいはハードディスク装置などによって構成される読み書き可能な記憶装置であり、制御部12で実行されるプログラムおよび制御部12で用いられる情報を記憶する。
【0038】
出力部14は、情報を出力するディスプレイなどの表示装置あるいはプリンタなどの印刷装置によって構成され、制御部12から受け取る情報を出力する。あるいは、着脱可能な記録媒体への情報の読み書きが可能な記録再生装置、他の画像処理装置と情報の送受信を行う通信装置などを、入力装置兼出力装置とすることも可能である。制御部12は、画像処理を行った後、処理済画像に基づいて欠陥の有無を判定し、判定結果に基づく検査結果を出力部14に出力する。
【0039】
【表1】
【0040】
線状欠陥は、コード露出欠陥および凹凸欠陥を含む。コード露出欠陥には、タイヤ内部のコードが表面に露出する故障があり、また、凹凸欠陥には、内面凹あるいは内面凸と呼ばれる故障があり、それぞれ表1に示した発生原因で発生する。コードとは、プライコードのことであり、ラジアル状(放射状)に貼り付けられているナイロン素材、ポリエステル素材もしくはスチール素材のものである。
【0041】
図2は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像21を示す図である。図3は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像26を示す図である。矢符Aで示す方向は、予め定める方向である横方向であり、矢符Bで示す方向は、縦方向である。撮影装置から受け取る画像(以下「取込画像」という)は、ラインごとに配列された画素から構成され、記憶部13に記憶される。
【0042】
取込画像21,26は、タイヤ内側の底面部を撮影した画像である。以下、タイヤの表面のうち、タイヤ内側の面を内表面といい、タイヤ外側の面を外表面という。取込画像21,26では、タイヤの内表面にブラダーグルーブ22と刻印文字23とが形成されている。ブラダーグルーブ22は、タイヤ内側の内表面に形成される周期的な線状の凹部または凸部である。
【0043】
取込画像21,26において、ブラダーグルーブ22は、タイヤ内表面の縦方向Bの中央の領域を除いて形成されている。ブラダーグルーブ22は、取込画像21,26において横方向Aに一定の間隔をあけて周期的な線状模様として表われている。ブラダーグルーブ22の長手方向は、縦方向Bおよび横方向Aとは異なる斜め方向である。ブラダーグルーブ22は、横方向Aに周期的に並び横方向Aと異なる方向に延びる線状模様である。
【0044】
刻印文字23は、タイヤの内表面の凹凸によって形成される文字である。刻印文字23は、ブラダーグルーブ22が形成されていない領域に形成される。刻印文字23の周囲、たとえば50ミリメートルには、ブラダーグルーブ22は形成されない。この値は、タイヤサイズ、ブラダーグルーブの種類によって異なる値となる。
【0045】
図4は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例を示す図である。図4(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像31を示す図である。図4(b)は、入力部11の撮影装置によって撮影されたタイヤの画像の一例である取込画像36を示す図である。取込画像31,36は、タイヤの内表面を撮影した画像である。取込画像31,36では、タイヤの内表面にブラダーグルーブ22とコード露出32とが形成されている。ブラダーグルーブ22は、斜め方向に形成され、横方向Aに周期的に形成されている。コード露出32は、縦方向Bに線状に形成される。コード露出32は、取込画像31,36において横方向Aに一定の間隔をあけて周期的に表われている。コード露出32が形成されている領域には、ブラダーグルーブ22も形成されている。
【0046】
図5は、刻印文字が含まれる取込画像41の横方向Aの濃度変化を示す図である。図5(a)は、濃度変化に基づく値の波形がグラフ42に示されている。図5(b)は、図5(a)中のグラフ42を示す図である。グラフ42には、自己相関値の波形43と、相関差分値の波形44とが示される。自己相関値および相関差分値は、横方向Aの濃度変化に基づく値であり、後に詳述する。グラフ42では、自己相関値の波形43および相関差分値の波形44が周期的な変動を示しておらず、これは刻印文字が形成される領域にブラダーグルーブが存在しないことを示す。
【0047】
図6は、欠陥が含まれる取込画像46の横方向Aの濃度変化を示す図である。図6(a)は、濃度変化に基づく値の波形がグラフ47に示されている。図6(b)は、図6(a)中のグラフ47を示す図である。グラフ47には、自己相関値の波形43と、相関差分値の波形44とが示される。グラフ47では、自己相関値の波形43および相関差分値の波形44が周期的な変動を示しており、これは欠陥が形成される領域にブラダーグルーブが存在することを示す。
【0048】
図7は、本発明の一実施形態である画像処理方法の処理手順を示すフローチャートである。画像処理方法は、制御部12によって実行される。制御部12は、入力部11から画像情報を受け取ると、ステップa1に進んで処理を開始する。
【0049】
テンプレート領域設定工程であるステップa2では、制御部12は、予め定める画像処理によって、取込画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。予め定める画像処理とは、たとえば取込画像をフーリエ展開して、取込画像中の各画素の空間周波数の値に基づいて、ブラダーグルーブとは異なる判別対象の位置を検出することである。
【0050】
制御部12は、取込画像上の予め定める領域に矩形のテンプレート領域を設定する。予め定める領域は、刻印文字または欠陥である判別対象が含まれる領域である。制御部12は、予め定める数、たとえば3つのテンプレート領域を設定する。第1番目のテンプレート領域は、刻印文字または欠陥である判別対象が全て含まれる矩形の領域であり、かつ判別対象の上下左右に予め定める寸法、たとえば30画素分大きい領域である。第2番目のテンプレート領域は、第1番目のテンプレート領域を横方向Aのうちの一方の向きに、たとえば10画素移動させた領域である。第3番目のテンプレート領域は、第1番目のテンプレート領域を横方向Aのうちの他方の向きに、たとえば10画素移動させた領域である。ステップa3〜11までの処理は、第1〜第3番目のテンプレート領域ごとにそれぞれ行われる。以下、第1〜第3番目のテンプレート領域を単にテンプレート領域ともいう。
【0051】
自己相関値算出工程であるステップa3では、制御部12は、テンプレート領域中の各画素と、横方向Aにテンプレート領域を移動させた自己相関値算出領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。制御部12は、取込画像を横方向Aに走査して、テンプレート領域中の画素と、自己相関値算出領域中の画素との自己相関値を算出する。自己相関値は、「−1≦(自己相関値)≦1」の値で表わされるけれども、本実施形態では、算出した自己相関値に「10000」を乗じて、自己相関値を整数で表わしてもよい。
【0052】
差分処理工程であるステップa4では、制御部12は、ステップa3で自己相関値を算出した各画素について、横方向Aに予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。具体的には、制御部12は、自己相関値R(x,y)から、式(1)を用いて相関差分値D(x,y)を算出する。xは、横方向Aの画素の位置を示し、yは、縦方向Bの画素の位置を示す。
D(x,y) = R(x+Δx,y) − R(x,y) …(1)
【0053】
ここで、差分幅Δxは、予め定める間隔、たとえば「5」である。相関差分値は、自己相関値よりもフラットな値であるので、算出した相関差分値を用いて、ブラダーグルーブの本数の算出を容易かつ確実に行うことができる。
【0054】
図8は、取込画像51からの自己相関値および相関差分値の算出を説明するための図である。図8(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像51およびグラフ52を示す図である。図8(b)は、図8(a)内のグラフ52のみを示す図である。
【0055】
取込画像51には、テンプレート領域53と、テンプレート領域53との間で自己相関値を算出する領域である自己相関値算出領域54とが示されている。グラフ52には、自己相関値の波形55、相関差分値の波形56、および相関差分値ピーク位置の検出に用いる閾値である相関差分値閾値57が示される。相関差分値閾値57については、後に詳述する。グラフ52において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0056】
極大位置検出工程であるステップa5では、制御部12は、ステップa4で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置、すなわちピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程であるステップa6では、制御部12は、ステップa5で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する。
【0057】
図9(a)は、相関差分値の波形63の一例のグラフ61を示す図である。図9(b)は、グラフ61中の領域62を拡大して示す図である。グラフ61には、相関差分値の波形63、相関差分値閾値64、相関差分値の波形63の最大値65、ピーク位置66、および隣接するピーク位置66の間隔であるピーク間隔67が示されている。グラフ61の横軸は、相関差分値を算出した位置Xであり、縦軸は、相関差分値Dである。位置Xは、横方向Aの画素の位置を表す。
【0058】
相関差分値閾値64は、たとえば波形の最大値65に対する閾値の比率として閾値比率を設定することによって、「(相関差分値閾値64)=(相関差分値の波形63の最大値65)×(閾値比率)」によって算出される。
【0059】
図9(b)には、ピーク位置66と、相関差分値の波形63が相関差分値閾値64を超えた位置である立上がり位置68と、相関差分値の波形63が相関差分値閾値64を下回った位置である立下がり位置69とが示されている。
【0060】
制御部12は、ピーク位置66を、「(ピーク位置66)={(立上がり位置68)+(立下がり位置69)}/2」によって算出する。さらに制御部12は、複数のピーク位置66のうち、互いに隣接するピーク位置66の間隔をそれぞれ算出してピーク間隔67を求める。
【0061】
ステップa7では、制御部12は、ピーク間隔偏差値が予め定める偏差値閾値である上限値、たとえば「5」以下であるか否かを判定する。ステップa7,a8,a11,a13は、判定工程である。制御部12によって、ピーク間隔偏差値が上限値以下であると判定されると、ステップa10に進み、ピーク間隔偏差値が上限値よりも小さいと判定されると、ステップa8に進む。
【0062】
線状模様数算出工程であるステップa10では、制御部12は、ステップa6で算出された極大位置の間隔の平均値と、ブラダーグルーブの本数を算出した領域の横方向Aの幅とに基づいて、取込画像中に含まれるブラダーグルーブの合計本数を算出する。
【0063】
ステップa11では、制御部12は、ステップa10で算出したブラダーグルーブの本数が、予め定める範囲内、すなわち予め定める第1の合計数閾値以上でかつ予め定める第2の合計数閾値以下であるか否かを判定する。第2の合計数閾値は、第1の合計数閾値よりも大きい。たとえば第1の合計数閾値が「5」であり、第2の合計数閾値が「12」であるとき、予め定める範囲は「5〜12」となる。制御部12によって、ブラダーグルーブの本数が第1の合計数閾値以上でかつ第2の合計数閾値以下であると判定されると、ステップa12に進み、ブラダーグルーブの本数が第1の合計数閾値よりも小さい、または第2の合計数閾値よりも大きいと判定されると、ステップa8に進む。
【0064】
ステップa8では、制御部12は、テンプレート領域内からブラダーグルーブが検出されないと判定して、テンプレート領域内に刻印文字が含まれると判定し、ステップa9に進んで処理が終了する。制御部12は、テンプレート領域内の判別対象を刻印文字と判定する。第1〜第3番目のテンプレート領域のうちの少なくとも1つのテンプレート領域において、刻印文字が含まれると判定されると、判別対象が刻印文字であると判定される。
【0065】
ステップa12では、制御部12は、第1〜第3番目のテンプレート領域のそれぞれについて全箇所でステップa3〜11の処理が終了したか否かを判定する。制御部12によって、全箇所終了したと判定されると、ステップa13に進み、全箇所終了していないと判定されると、ステップa3に進む。
【0066】
ステップa13では、制御部12は、テンプレート領域内からブラダーグルーブが検出されたと判定して、テンプレート領域内に欠陥が含まれると判定し、ステップa14に進んで処理が終了する。制御部12は、テンプレート領域内の判別対象を欠陥と判定する。
【0067】
他の実施形態において、ステップa2では、制御部12は、テンプレート領域中の横方向Aの中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域を設定し、テンプレート領域中の横方向Aの中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域を設定してもよい。さらに制御部12は、テンプレート領域中の縦方向Bの中央の位置に判別対象を含む第3のテンプレート領域を設定し、テンプレート領域中の縦方向Bの中央とは異なる位置に判別対象を含む第4のテンプレート領域を設定してもよい。
【0068】
制御部12は、設定した第1〜第4のテンプレート領域のそれぞれについて、ステップa3〜a14での処理を行う。制御部12は、第1〜第4のテンプレート領域に基づいて算出されたそれぞれのブラダーグルーブの合計本数のうちのいずれかのブラダーグルーブの合計本数が予め定める範囲外、すなわち第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1〜第4のテンプレート領域内に刻印文字が含まれると判定する。したがって、制御部12は、第1〜第4のテンプレート領域内の判別対象を刻印文字と判定する。これによって、判別対象が刻印文字である場合にテンプレート領域中の一部にブラダーグルーブが含まれていると、制御部12が判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、複数の異なるテンプレート領域に基づいて判別対象の判定をするので、判定精度を高めることができる。
【0069】
図10は、刻印文字を含む取込画像71における判別対象の判定を説明するための図である。図10(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像71およびグラフ72を示す図である。図10(b)は、図10(a)内のグラフ72のみを示す図である。
【0070】
取込画像71には、テンプレート領域73と、自己相関値算出領域74とが示されている。テンプレート領域73は、刻印文字が含まれる位置に設定されている。グラフ72には、自己相関値の波形75、相関差分値の波形76、および相関差分値閾値77が示される。グラフ72において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0071】
制御部12は、前述のようにステップa7,a11で、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値、たとえば「5」以下であり、かつブラダーグルーブ本数が予め定める範囲、たとえば「5〜12」内であるとき、判別対象を欠陥と判定し、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値よりも大きい、またはブラダーグルーブ本数が予め定める範囲外であるとき、判別対象を刻印文字と判定する。
【0072】
取込画像71では、ピーク間隔偏差値が「8.679」と算出され、ブラダー本数、すなわちブラダーグルーブ本数が「24」と算出されている。したがって、取込画像71は、判別対象を刻印文字と判定する。このように、本発明の画像処理方法では、取込画像71内の判別対象を刻印文字であると正確に判定することができる。
【0073】
図11は、欠陥を含む取込画像81における判別対象の判定を説明するための図である。図11(a)は、入力部11の撮影装置によって撮影された取込画像81およびグラフ82を示す図である。図11(b)は、図11(a)内のグラフ82のみを示す図である。
【0074】
取込画像81には、テンプレート領域83と、自己相関値算出領域84とが示されている。テンプレート領域83は、欠陥が含まれる位置に設定されている。グラフ82には、自己相関値の波形85、相関差分値の波形86、および相関差分値閾値87が示される。グラフ82において、横軸は、画素の横方向Aの位置を示し、縦軸は、自己相関値および相関差分値の値を示す。
【0075】
制御部12は、前述のようにステップa7,a11で、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値、たとえば「5」以下であり、かつブラダーグルーブ本数が予め定める範囲、たとえば「5〜12」内であるとき、判別対象を欠陥と判定し、ピーク間隔偏差値が予め定める閾値よりも大きい、またはブラダーグルーブ本数が予め定める範囲外であるとき、判別対象を刻印文字と判定する。
【0076】
取込画像81では、ピーク間隔偏差値が「0.816」と算出され、ブラダー本数、すなわちブラダーグルーブ本数が「6」と算出されている。したがって、取込画像81は、判別対象を欠陥と判定する。このように、本発明の画像処理方法では、取込画像81内の判別対象を欠陥であると正確に判定することができる。
【0077】
図12は、極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの一部である。図13は、極大位置検出工程a5、偏差値算出工程a6および線状模様数算出工程a10での処理を詳細に説明するためのフローチャートの残余である。制御部12が相関差分値のピーク位置を検出するときに、ステップb1に進んで処理が開始される。
【0078】
ステップb2では、制御部12は、相関差分値の閾値比率に初期値、たとえば100%を設定する。ステップb3では、制御部12は、相関差分値の閾値を設定する。相関差分値閾値は、「(相関差分値閾値)=(相関差分値の最大値)×(閾値比率)÷100」によって算出される。
【0079】
ステップb4では、制御部12は、X軸走査位置に初期値として「0」を設定し、ピーク検出個数に初期値として「0」を設定して、記憶部13に記憶させる。ステップb5では、制御部12は、横方向AであるX軸方向の全画素の走査が終了したか否かを判定する。制御部12によって、X軸方向の全画素の走査が終了したと判定されると、ステップb16に進み、X軸方向の全画素の走査が終了していないと判定されると、ステップb6に進む。
【0080】
ステップb6では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値以上であるか否かを判定する。制御部12によって、相関差分値が相関差分値閾値以上であると判定されると、ステップb7に進み、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいと判定されると、ステップb15に進む。
【0081】
ステップb7では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値を超えた位置を、相関差分値の立上がり位置であると判定する。さらに制御部12は、相関差分値の立上がり位置のX座標の値を、記憶部13に記憶させる。ステップb8では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させる。
【0082】
ステップb9では、制御部12は、X軸方向の全画素の走査が終了したか否かを判定する。制御部12によって、X軸方向の全画素の走査が終了したと判定されると、ステップb16に進み、X軸方向の全画素の走査が終了していないと判定されると、ステップb10に進む。
【0083】
ステップb10では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいか否かを判定する。制御部12によって、相関差分値が相関差分値閾値よりも小さいと判定されると、ステップb12に進み、相関差分値が相関差分値閾値以上であると判定されると、ステップb11に進む。ステップb11では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させる。
【0084】
ステップb12では、制御部12は、相関差分値が相関差分値閾値を下回った位置を、相関差分値の立ち下がり位置であると判定する。さらに制御部12は、相関差分値の立ち下がり位置のX座標の値を、記憶部13に記憶させて、ステップb9に進む。
【0085】
ステップb13では、制御部12は、記憶部13に記憶される相関差分値の立上がりの位置と立ち下がりの位置とから、ピーク位置を算出する。ピーク位置は、「(ピーク位置)={(立上がり位置)+(立下がり位置)}÷2」によって算出される。
【0086】
ステップb14では、制御部12は、記憶部13に記憶されるピーク検出個数を更新、すなわち算出されたピーク位置の個数を加算する。ステップb15では、制御部12は、走査位置をX軸の正の方向へ1画素分移動させて、ステップb5に進む。
【0087】
ステップb16では、制御部12は、記憶部13に記憶されるピーク検出個数が、規定個数、たとえば「4」以上であるか否かを判定する。制御部12によって、ピーク検出個数が規定個数以上であると判定されると、ステップb17に進み、ピーク検出個数が規定個数よりも少ないと判定されると、ステップb22に進む。
【0088】
ステップb17では、制御部12は、ピーク間隔平均値を算出し、さらにピーク間隔偏差値を算出する。ステップb18では、制御部12は、ピーク間隔偏差値が偏差値上限、たとえば「5」よりも小さいか否かを判定する。制御部12によって、ピーク間隔偏差値が偏差値上限よりも小さいと判定されると、ステップb19に進み、ピーク間隔偏差値が偏差値上限以上であると判定されると、ステップb22に進む。
【0089】
ステップb19では、制御部12は、ブラダーグルーブの本数を算出する。ブラダーグルーブの本数は、「(本数)=(ブラダーグルーブ本数算出領域幅)÷(ピーク間隔平均値)+0.5」によって算出される。さらに制御部12は、算出したブラダーグルーブの本数を、記憶部13に記憶させる。
【0090】
ステップb20では、制御部12は、ブラダーグルーブの本数を正常に算出したと判定して、ステップb21に進んで処理が終了する。ステップb22では、制御部12は、相関差分値の閾値比率を更新する。閾値比率は、「(閾値比率)=(閾値比率)−5%」によって算出される。
【0091】
ステップb23では、制御部12は、算出した閾値比率が「0」よりも大きいか否かを判定する。制御部12によって、閾値比率が「0」よりも大きいと判定されると、ステップb3に進み、閾値比率が「0」以下であると判定されると、ステップb24に進む。ステップb24では、制御部12は、エラー、すなわちブラダーグルーブの本数を算出できないと判定して、ステップb25に進んで処理が終了する。
【0092】
上述した実施形態では、制御部12が記憶部13に記憶されるプログラムを実行することによって、入力部11および出力部14を制御するとともに、上述した機能を実現するが、上述した機能を実現するためのプログラムは、記憶部13に記憶されることに限定されるものではなく、コンピュータで読取り可能な記録媒体に記録されていてもよい。記録媒体は、たとえば図示しない外部記憶装置としてプログラム読取装置を画像処理装置1に設け、そこに記録媒体を挿入することによって読取り可能な記録媒体であってもよいし、あるいは他の装置の記憶装置であってもよい。
【0093】
いずれの記録媒体であっても、記憶されているプログラムがコンピュータからアクセスされて実行される構成であればよい。あるいはいずれの記録媒体であっても、プログラムが読み出され、読み出されたプログラムが、記憶装置のプログラム記憶エリアに記憶されて、そのプログラムが実行される構成であってもよい。
【0094】
画像処理装置1と分離可能に構成される記録媒体は、たとえば磁気テープ/カセットテープなどのテープ系の記録媒体、フレキシブルディスク/ハードディスクなどの磁気ディスクもしくはCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)/MO(Magneto Optical disk)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disk)/CD−R(Compact
Disk Recordable)/ブルーレイディスクなどの光ディスクのディスク系の記録媒体、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを含む)/光カードなどのカード系の記録媒体、またはマスクROM/EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)/EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)/フラッシュROMなどの半導体メモリを含む固定的にプログラムを担持する記録媒体であってもよい。
【0095】
また、画像処理装置1を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムを供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN(Local Area Network)、ISDN(Integrated Services Digital Network)、VAN(Value Added
Network)、CATV(Community Antenna Television)通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、または衛星通信網など通信ネットワークが利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線等の有線でも、IrDA(Infrared Data Association)あるいはリモートコントロールで用いられる赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR(High
Data Rate)、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網などの無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0096】
このように、画像処理方法は、ステップa2であるテンプレート領域設定工程と、ステップa3である自己相関値算出工程と、ステップa4である差分処理工程と、ステップa5である極大位置検出工程と、ステップa6である偏差値算出工程と、ステップa10である線状模様数算出工程と、ステップa7,a8,a11,a13である判定工程とを含む。テンプレート領域設定工程では、表面に周期的な線状模様、たとえばブラダーグルーブと刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出工程では、テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理工程では、自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出工程では、差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置をピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出工程では、極大位置検出工程で検出した各ピーク位置のうち、互いに隣接するピーク位置の間隔をそれぞれ算出して、ピーク位置の間隔の平均値と、ピーク位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出工程では、偏差値算出工程で算出されたピーク位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定工程では、ピーク位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、ピーク位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0097】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査において、フーリエ展開によって取込画像を処理して欠陥を検出するとしても、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0098】
画像処理方法では、刻印文字が線状模様、たとえばブラダーグルーブのない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、取込画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0099】
また、テンプレート領域設定工程では、予め登録したテンプレートを用いることなく、取込画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理方法では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理方法では、線状模様の間隔が異なる他の取込画像に対してでも、その取込画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0100】
さらに、テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定する。判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0101】
これによって、テンプレート領域中に刻印文字が含まれ、さらにテンプレート領域中に線状模様の一部が含まれているとき、判定工程で判別対象を欠陥であると判定することがあるけれども、テンプレート領域設定工程が複数の異なるテンプレート領域を設定するので、判定工程では、精度良く判定を行うことができる。
【0102】
さらに、検査対象物は、タイヤである。線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブである。
【0103】
これによって、画像処理方法では、ブラダーグルーブが形成されるタイヤが撮影された取込画像から、コード露出、凹凸欠陥などの欠陥と、刻印文字とを正確に判別することができる。したがって、画像処理方法では、タイヤの外観検査において、欠陥を確実に検出することができる。
【0104】
さらに、テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を予め定める領域に決定する。
【0105】
これによって、テンプレート領域設定工程では、刻印文字または欠陥のいずれかである判別対象の位置を画像中から検出することができる。したがって、テンプレート領域設定工程では、検出した判別対象を含む領域を予め定める領域とすることができる。これによって、画像処理方法では、画像中の全領域に順次的にテンプレート領域を設定して刻印文字および欠陥の検出を行うときに比べて、処理時間を短縮することができる。したがって、画像処理方法では、検査対象物の表面に形成される欠陥を効率的に検出することができる。
【0106】
さらに、画像処理装置は、テンプレート領域設定手段と、自己相関値算出手段と、差分処理手段と、極大位置検出手段と、偏差値算出手段と、線状模様数算出手段と、判定手段とを含んで構成される。テンプレート領域設定手段では、表面に周期的な線状模様、たとえばブラダーグルーブと刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定する。自己相関値算出手段では、テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する。差分処理手段では、自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する。極大位置検出手段では、差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置をピーク位置としてそれぞれ検出する。偏差値算出手段では、極大位置検出手段で検出した各ピーク位置のうち、互いに隣接するピーク位置の間隔をそれぞれ算出して、ピーク位置の間隔の平均値と、ピーク位置の間隔の偏差値とを算出する。線状模様数算出手段では、偏差値算出手段で算出されたピーク位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する。判定手段では、ピーク位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、ピーク位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する。
【0107】
検査対象物を画像処理によって外観検査する際、検査によって検出すべき欠陥と欠陥ではない刻印文字とを判別することは困難であり、刻印文字を欠陥と判定するなどの誤判定を起こすことがある。これは、画像処理を用いる外観検査において、フーリエ展開によって取込画像を処理して欠陥を検出するとしても、周波数成分によって欠陥と刻印文字とを判別できないからである。
【0108】
画像処理装置では、刻印文字が線状模様、たとえばブラダーグルーブのない位置に形成され、欠陥が線状模様のある位置に形成されるという性質を利用するので、取込画像中の判別対象に線状模様の周期性があるか否かに基づいて、判別対象が刻印文字および欠陥のうちのいずれであるかを正確に判定することができる。
【0109】
また、テンプレート領域設定手段では、予め登録したテンプレートを用いることなく、取込画像中にテンプレート領域を自動的に設定することができる。これによって、画像処理装置では、テンプレートを予め準備することなく、線状模様の合計数を正確に算出することができる。したがって、画像処理装置では、線状模様の間隔が異なる他の取込画像に対してでも、その取込画像中の線状模様の合計数を正確に算出することができる。
【0110】
さらに、画像処理プログラムは、コンピュータに、画像処理方法を実行させることができる。
【0111】
さらに、前記画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体として提供することができる。
【符号の説明】
【0112】
1 画像処理装置
11 入力部
12 制御部
13 記憶部
14 出力部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定工程と、
前記テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出工程と、
前記自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理工程と、
前記差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出工程と、
前記極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出工程と、
前記偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出工程と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定し、
前記判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記検査対象物は、タイヤであり、
前記線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、前記検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を前記予め定める領域に決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項5】
表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定手段と、
前記テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出手段と、
前記自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理手段と、
前記差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出手段と、
前記極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出手段と、
前記偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出手段と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定手段とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理方法を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項1】
表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定工程と、
前記テンプレート領域設定工程で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出工程と、
前記自己相関値算出工程で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理工程と、
前記差分処理工程で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出工程と、
前記極大位置検出工程で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出工程と、
前記偏差値算出工程で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出工程と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定工程とを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記テンプレート領域設定工程では、予め定める方向の中央の位置に判別対象を含む第1のテンプレート領域と、予め定める方向の中央とは異なる位置に判別対象を含む第2のテンプレート領域とを設定し、
前記判定工程では、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域のそれぞれに基づいて算出された線状模様の各合計数のうちのいずれかの合計数が、第1の合計数閾値よりも小さいとき、または第2の合計数閾値よりも大きいとき、第1のテンプレート領域および第2のテンプレート領域に刻印文字が含まれると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記検査対象物は、タイヤであり、
前記線状模様は、タイヤを加硫したときに、ブラダーの溝によってタイヤの内表面に形成された線状の凹部または凸部であるブラダーグルーブであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記テンプレート領域設定工程では、予め定める画像処理によって、前記検査対象物が撮影された画像中から刻印文字または欠陥である判別対象を検出し、検出した判別対象が含まれる領域を前記予め定める領域に決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像処理方法。
【請求項5】
表面に周期的な線状模様と刻印文字とが形成された検査対象物が撮影された画像の予め定める領域にテンプレート領域を設定するテンプレート領域設定手段と、
前記テンプレート領域設定手段で設定されたテンプレート領域中の各画素と、前記線状模様の長手方向とは異なる予め定める方向にテンプレート領域を移動させた領域中の各画素との間の自己相関値を算出する自己相関値算出手段と、
前記自己相関値算出手段で自己相関値を算出した各画素について、前記予め定める方向に予め定める間隔をあける2つの画素間の各自己相関値を差分処理して相関差分値をそれぞれ算出する差分処理手段と、
前記差分処理手段で算出された各画素の相関差分値のうち、相関差分値の極大を示す画素の位置を極大位置としてそれぞれ検出する極大位置検出手段と、
前記極大位置検出手段で検出した各極大位置のうち、互いに隣接する極大位置の間隔をそれぞれ算出して、極大位置の間隔の平均値と、極大位置の間隔の偏差値とを算出する偏差値算出手段と、
前記偏差値算出手段で算出された極大位置の間隔の平均値に基づいて、画像中に含まれる線状模様の合計数を算出する線状模様数算出手段と、
前記極大位置の間隔の偏差値が予め定める偏差値閾値以下であるとともに、前記線状模様の合計数が予め定める第1の合計数閾値以上でかつ前記第1の合計数閾値よりも大きい予め定める第2の合計数閾値以下であるとき、前記テンプレート領域に欠陥が含まれると判定し、前記極大位置の間隔の偏差値が偏差値閾値よりも大きいとき、または前記線状模様の合計数が第1の合計数閾値よりも小さいとき、または前記線状模様の合計数が第2の合計数閾値よりも大きいとき、前記テンプレート領域に刻印文字が含まれると判定する判定手段とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像処理方法を実行させるための画像処理プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【図1】
【図7】
【図9】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【図7】
【図9】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−138208(P2011−138208A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296227(P2009−296227)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]