画像処理装置、および、画像処理方法
【課題】パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】対象画像データの解析結果に応じて選択された制御パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する。
【解決手段】対象画像データの解析結果に応じて選択された制御パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データに対する様々な画像処理が実行されている。このような画像処理としては、例えば、明るさを調整する処理や人物の顔の輪郭を補正する処理がある。ここで、ユーザによって調整されたパラメータを利用して画像処理を実行する技術も知られている。このようなパラメータとしては、例えば、明るさ調整の度合いや、変形の度合いがある。このような技術を利用することによって、画像処理をユーザの好みに適合させることが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−318204号公報
【0004】
このような画像処理技術では、画像処理に利用され得る種々のパラメータの調整をユーザに許容することが好ましい。ところが、調整が望まれるパラメータは画像に応じて変わる場合が多く、パラメータを選択して調整することはユーザにとって大きな負担である場合が多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]表示部と操作部とを利用可能な画像処理装置であって、対象画像データを解析する解析部と、前記解析部の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択し、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを前記表示部に表示するユーザインタフェース制御部と、前記操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する画像調整部と、を備える、画像処理装置。
【0008】
この画像処理装置によれば、対象画像データの解析結果に応じて選択された対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示部に表示されるので、制御パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の画像処理装置であって、前記解析部は、前記対象画像データを解析することによって、予め設定された複数の画像条件の中から、前記対象画像データによって満たされる画像条件を選択し、前記ユーザインタフェース制御部は、前記選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを前記対象パラメータとして選択する、画像処理装置。
【0010】
この構成によれば、複数の画像条件の中から、対象画像データによって満たされる画像条件が選択され、選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータが対象パラメータとして選択されるので、対象画像データに適した制御パラメータを、容易に、対象パラメータとして選択することができる。
【0011】
[適用例3]適用例2に記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件を含む、画像処理装置。
【0012】
この構成によれば、一部の制御パラメータが対象パラメータとして選択されるので、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。その結果、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0013】
[適用例4]適用例3に記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、前記第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件を含む、画像処理装置。
【0014】
この構成によれば、選択された画像条件に応じて、異なる制御パラメータのためのユーザインタフェースが表示されるので、調整すべき制御パラメータを対象画像データに応じて選択するためのユーザの負担を軽減することができる。
【0015】
[適用例5]適用例2ないし適用例4のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記対象画像データの撮影シーンを表す画像条件を含む、画像処理装置。
【0016】
この構成によれば、対象パラメータを、撮影シーンに応じて選択することができる。
【0017】
[適用例6]適用例2ないし適用例5のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記対象画像データの総画素数に対する所定の色範囲の色を示す画素の数の比率が所定値よりも大きいことを表す画像条件を含む、画像処理装置。
【0018】
この構成によれば、対象パラメータを、対象画像データに特徴的な色に応じて選択することができる。
【0019】
[適用例7]適用例2ないし適用例6のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記画像調整は、複数種類の画像処理を含み、前記画像調整部は、前記複数種類の画像処理の中の、前記ユーザインタフェース制御部によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする、画像処理装置。
【0020】
この構成によれば、対象画像データに応じて選択的に画像処理を実行することができる。
【0021】
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記ユーザインタフェースは、前記操作部に入力された指示に応答して前記対象パラメータを調整するための調整コントロールを含み、前記対象パラメータ以外の制御パラメータのための調整コントロールを含まない、画像処理装置。
【0022】
この構成によれば、対象パラメータ以外の制御パラメータがユーザに考慮されることが抑制されるので、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0023】
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の制御パラメータは、所定の肌色範囲の色を示す肌色画素の色の調整に利用される肌色制御パラメータを含み、前記画像調整部は、前記肌色制御パラメータが前記対象パラメータとして選択された場合には、前記対象画像データによって表される画像上に形成された、前記肌色画素が連結した領域の総数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定を利用する、画像処理装置。
【0024】
この構成によれば、画像中の人物の数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定が利用されるので、画像処理の簡素化を図ることができる。
【0025】
[適用例10]画像処理方法であって、対象画像データを解析する工程と、前記解析工程の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する工程と、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する工程と、操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する工程と、を備える、方法。
【0026】
[適用例11]画像を処理するコンピュータプログラムであって、対象画像データを解析する機能と、前記解析機能の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する機能と、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する機能と、操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する機能と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0027】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての画像処理装置が適用されるプリンタを示す説明図である。このプリンタ100は、メモリカードやデジタルスチルカメラ等から取得した画像データを利用して画像を印刷するプリンタである。プリンタ100は、CPU110と、内部メモリ120と、操作部140と、表示部150と、プリンタエンジン160と、カードインタフェース(カードI/F)170と、スロット172と、を備えている。プリンタ100の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0030】
CPU110は、プリンタ100の各構成要素を制御する。内部メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムを格納している。内部メモリ120としては、CPU110によって利用されるデータを格納する任意のメモリを採用可能である。例えば、RAMとROMとを含む種々の半導体メモリや、ハードディスクドライブを採用可能である。
【0031】
操作部140は、複数のボタンを有している。これらの複数のボタンによって、ユーザの指示が受け入れられる。なお、操作部140としては、ボタンに限らず、ユーザの指示を受け入れる任意の装置を採用可能である。例えば、タッチパネルやダイヤルを採用可能である。
【0032】
表示部150は、種々の情報を表示する。表示部150としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の種々のディスプレイを採用可能である。
【0033】
カードインタフェース170は、スロット172に挿入されたメモリカードMCとデータのやり取りを行うためのインタフェースである。メモリカードMCに格納されたデータは、カードインタフェース170を介して、CPU110によって読み出される。
【0034】
プリンタエンジン160は、与えられた印刷データを利用して印刷を実行する印刷機構である。印刷機構としては、インク滴を印刷媒体に吐出して画像を形成する印刷機構や、トナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する印刷機構等の種々の印刷機構を採用可能である。
【0035】
なお、プリンタ100は、さらに、他の外部装置(例えば、デジタルスチルカメラやパーソナルコンピュータ)とのデータ通信を行うための通信インタフェースを備えてもよい。そして、プリンタ100が、これらの外部装置から、画像データを受信してもよい。このような通信インタフェースとしては、有線のインタフェースを採用してもよく、無線のインタフェースを採用してもよい。
【0036】
内部メモリ120には、画像選択部340と、画像解析部350と、ユーザインタフェース(UI)制御部360と、画像調整部370と、印刷処理部380と、を有している。これらの処理部は、CPU110によって実行されるプログラムである。各処理部は、内部メモリ120を介して種々のデータをやりとりすることが可能である。各処理部の詳細については、後述する。
【0037】
図2は、画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。本実施例では、図1に示すプリンタ100(CPU110)は、スロット172にメモリカードMCが挿入されたことに応答して、この画像印刷処理を自動的に開始する。
【0038】
最初のステップS100では、画像選択部340(図1)は、ユーザの指示に従って、印刷すべき画像を選択する。図3は、画像選択ユーザインタフェースの一例を示す説明図である。図3には、操作部140と表示部150とが示されている。操作部140は、4つの方向ボタンUb、Db、Lb、Rbと、OKボタンObと、を有している。表示部150は、操作部140に組み込まれている。
【0039】
画像選択部340(図1)は、メモリカードMCに格納された画像のリストと、選択枠SFと、を表すグラフィカルなユーザインタフェースを表示部150に表示する。選択枠SFは、選択された画像(すなわち、印刷すべき画像)を示している。ユーザは、右ボタンRbと左ボタンLbとを操作することによって、選択された画像を切り換えることができる。また、ユーザは、OKボタンObを押下することによって、選択された画像(以下「対象画像」とも呼ぶ)を確定することができる。図3の例では、3つの画像IMG1、IMG2、IMG3が表示され、それらの中の第2画像IMG2が選択されている。
【0040】
なお、画像選択部340は、図3のインタフェースを表示するために、メモリカードMCに格納された画像データファイルに含まれるサムネイル画像データを利用する。この代わりに、画像データファイルに含まれる主画像データを利用してもよい。
【0041】
OKボタンOb(図3)が押下されたことに応答して、処理は、図2の次のステップS200に移行する。このステップS200では、プリンタ100(図1)の処理部350、360、370によって、選択された画像を表す主画像データ(「対象画像データ」とも呼ぶ)に対する画像調整が実行される。この画像調整では、画像調整を制御するパラメータがユーザによって調整され得る(詳細は後述)。次のステップS300では、印刷処理部380は、画像調整が実行された後の対象画像データから印刷データを生成する。印刷データは、例えば、解像度変換処理とハーフトーン処理とによって生成される。印刷処理部380は、印刷データをプリンタエンジン160に供給する。プリンタエンジン160は、受信した印刷データに従って、画像調整が施された対象画像を印刷する。このように、印刷処理部380は、印刷データ生成部として機能する。
【0042】
図4は、図2のステップS200で実行される画像調整の手順を示すフローチャートである。最初のステップS210では、画像解析部350(図1)は、画像選択部340によって選択された対象画像データをメモリカードMCから取得し、そして、対象画像データを解析することによって対象画像の撮影シーンを判定する。
【0043】
図5は、撮影シーン判定の概要を示す説明図である。本実施例では、画像解析部350は、予め準備された複数の撮影シーンの中から1つの撮影シーンを選択する。図5の例では、「風景」と「人物」と「夜景」と「その他」との4つの撮影シーンが予め準備されている。
【0044】
画像解析部350(図1)は、先ず、対象画像TIを複数のブロック画像に分割する。対象画像TIは、対象画像データによって表される画像である。図5の例では、対象画像TIは、25のブロック画像BK1〜BK25に分割されている(縦方向に5等分、横方向に5等分)。次に、画像解析部350は、対象画像データを解析することによって、ブロック画像の特徴を表す特徴値を各ブロック画像毎に決定する。図5の例では、ブロック画像中における平均色相Haと平均彩度Saと平均明るさVaとが、特徴値として、各ブロック画像毎に算出される。この結果、75の特徴値Ha(01)、Sa(01)、Va(01)〜Ha(25)、Sa(25)、Va(25)が算出される(括弧内の数字は、ブロック画像の識別番号(1〜25)を示している)。なお、色相Hと彩度Sと明るさVとは、対象画像データにおける画素値(例えば、RGBの各色成分の階調値)から、周知の種々の方法で算出され得る。
【0045】
次に、画像解析部350は、人工ニューラルネットワークによって撮影シーンを判定する。この人工ニューラルネットワークには、上述の75の特徴値Ha、Sa、Vaが入力される。そして、この人工ニューラルネットワークによって1つの撮影シーンが選択される。すなわち、選択された撮影シーンは、人工ニューラルネットワークによって定められる条件が、対象画像データによって満たされているシーンであるということができる。なお、この人工ニューラルネットワークは、対象画像の撮影シーンを適切に選択するように学習済みのものである。このような学習済みの人工ニューラルネットワークは、周知の種々の方法によって、構築可能である。そして、画像解析部350は、このような人工ニューラルネットワークによって撮影シーンを判定するように、予め構成されている。
【0046】
図4の次のステップS230では、UI制御部360(図1)は、制御パラメータの調整をユーザに許容するグラフィカルなユーザインタフェースを表示部150に表示する。制御パラメータは、対象画像データに対する画像調整を制御するためのパラメータである。後述するように、本実施例では、画像調整として、明るさ調整と、コントラスト調整と、鮮やかさ調整と、色相調整と、変形と、を含む種々の画像処理が実行され得る。このような画像処理を制御するパラメータが、制御パラメータである。以下、制御パラメータの調整をユーザに許容するユーザインタフェースを「調整インタフェース」とも呼ぶ。
【0047】
図6は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。表示部150には、制御パラメータを調整するための3つのスライダーSL1、SL2、SL3が表示されている。図6の例では、明るさ調整の度合いと、コントラスト調整の度合いと、鮮やかさ調整の度合いと、の3つの制御パラメータを調整することができる。各スライダーSL1、SL2、SL3の水平方向の位置は、制御パラメータの設定を示している。例えば、第1スライダーSL1を右方向へ移動させると画像処理後の画像が明るくなり、第1スライダーSL1を左方向へ移動させると画像処理後の画像が暗くなる。UI制御部360は、ユーザによる右ボタンRbと左ボタンLbとの押下に応答して、スライダーを右方向と左方向とに、それぞれ移動させる(制御パラメータを調整する)。なお、各制御パラメータは、予め、所定の値に設定されている。
【0048】
また、UI制御部360は、1つのスライダーを調整対象として選択する。図6の例では、明るさ調整用のスライダーSL1が、調整対象として選択されている。選択されたスライダーSL1は、他のスライダーSL2、SL3とは異なる色で表示されている。さらに、UI制御部360は、ユーザによる上ボタンUbあるいは下ボタンDbの押下に応答して、調整対象の1つのスライダーを、3つのスライダーSL1、SL2、SL3の中の他のスライダーに切り替える。
【0049】
UI制御部360(図1)は、対象画像とユーザインタフェース(スライダー)とを重ね合わせて、表示部150に表示させる。これにより、ユーザは、対象画像を見ながら制御パラメータを調整することができる。ここで、UI制御部360が、ユーザによって設定された制御パラメータを利用した画像調整後の対象画像を、表示部150に表示させることが好ましい。こうすれば、ユーザは、調整結果を見ながら、制御パラメータを調整することができる。なお、画像調整は、画像調整部370(図1)によって実行される。画像調整の詳細については、後述する。
【0050】
図5の下部分には、撮影シーンと制御パラメータとの対応関係が示されている。この対応関係は予め決定されている。例えば、「風景」には、「明るさ」調整の制御パラメータと、「コントラスト」調整の制御パラメータと、「鮮やかさ」調整の制御パラメータと、が対応付けられている。図4のステップS230では、UI制御部360(図1)は、この対応関係に基づいて、調整インタフェースを表示する。具体的には、UI制御部360は、ステップS210で判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータを選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。このように、選択されなかった制御パラメータは、設定対象から除外される。ここで、設定対象の制御パラメータ(選択された制御パラメータ)は、調整インタフェースを介して調整可能であり、選択されなかった制御パラメータは、調整できない。
【0051】
図6の例は、撮影シーンが「風景」と判定された場合を示している。この場合には、「風景」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とのそれぞれの度合いを調整するための3つのスライダーSL1、SL2、SL3が表示される。
【0052】
図7〜9は、「風景」とは異なる撮影シーンが選択された場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。これらの図には、図6と同様に操作部140と表示部150とが示されている。
【0053】
図7は、撮影シーンが「人物」と判定された場合を示している。この場合には、「人物」に対応付けられた「顔の明るさ調整」と「背景の明るさ調整」と「肌色の色相調整」と「コントラスト調整」と「変形」とのそれぞれの度合いを調整するための5つのスライダーが表示される。
【0054】
図8は、撮影シーンが「夜景」と判定された場合を示している。この場合には、「夜景」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とのそれぞれの度合いを調整するための3つのスライダーが表示される。
【0055】
図9は、撮影シーンが「その他」と判定された場合を示している。この場合には、「その他」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」とのそれぞれの度合いを調整するための2つのスライダーが表示される。
【0056】
図6〜図9のいずれの場合も、UI制御部360は、ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、各制御パラメータを確定する。すなわち、UI制御部360は、調整インタフェースが表示部150に表示された状態で操作部140に入力されたユーザの指示に従って、各制御パラメータを設定(決定)する。OKボタンObが押下されたことに応答して、処理は、図4の次のステップS270に移行する。
【0057】
図4のステップS270では、画像調整部370(図1)は、ユーザによって設定された制御パラメータを利用して、対象画像データに対する画像調整を実行する。第1実施例では、画像調整部370は、複数種類の画像処理の中のUI制御部360によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする。例えば、「風景」の場合には、「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とが実行され、「色相調整」と「変形」とは実行されない。また、「人物」の場合には、「顔の明るさ調整」と「背景の明るさ調整」と「肌色の色相調整」と「コントラスト調整」と「変形」とが実行され、「鮮やかさ調整」は実行されない。
【0058】
ステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0059】
以上のように、第1実施例では、対象画像データの解析結果に応じて選択された対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示部に表示される。その結果、ユーザは、自動的に選択された制御パラメータを容易に調整できるので、制御パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0060】
また、第1実施例では、判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータが、対象パラメータとして選択されるので、対象パラメータを、撮影シーンに応じて選択することができる。
【0061】
また、第1実施例では、各撮影シーンには、利用可能な複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが、対応付けられている。その結果、利用可能な制御パラメータの全ての中からユーザによって所望の制御パラメータが選択される場合と比べて、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。また、所望の制御パラメータを選択するためのユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。例えば、図6〜図9の実施例では、一部の制御パラメータが設定対象として選択されているので、設定対象の制御パラメータのための全てのスライダーを、同時に表示部150上に表示することが可能である。その結果、ユーザは、簡単に、これらの制御パラメータを調整することができる。なお、このような利点は、表示部150の表示領域のサイズが小さい場合には、特に顕著である。
【0062】
また、第1実施例では、画像調整部370(図1)は、UI制御部360によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を実行せずに、UI制御部360によって選択された制御パラメータを利用する画像処理のみを実行する。その結果、画像調整部370は、対象画像データに応じて選択的に画像処理を実行することができる。すなわち、対象画像に対する余計な画像処理を実行せずに済む。
【0063】
画像処理の概要:
図10と図11とは、画像処理の概要を示す説明図である。図10(A)には、明るさ調整に利用されるグラフが示されている。横軸は明るさVの入力値Vinを示し、縦軸は明るさVの出力値Voutを示している。この実施例では、明るさVの全範囲は、0から100までの範囲である。入力値Vinと出力値Voutとの対応関係を示すグラフは「トーンカーブ」とも呼ばれる。図中のグラフGLeは、変化無しのグラフである。第1グラフGL1は、出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定することによって、対象画像を明るくする。第2グラフGL2は、出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定することによって、対象画像を暗くする。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の明るさVを明るくするか、それとも、暗くするかを、決定することができる。また、明るさVの変化量も、スライダーによって調整される。なお、図10(A)の実施例では、明るさVの最小値(0)と最大値(100)とに関しては、出力値Voutは入力値Vinと同じである。
【0064】
なお、図7に示す場合のように、「顔の明るさ」を調整する場合には、対象画像中の顔を表す領域の明るさが調整される。対象画像中の顔の検出方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用する方法を採用可能である。また、「背景の明るさ」を調整する場合には、対象画像中の顔を表す領域を除く残りの領域の明るさが調整される。
【0065】
図10(B)には、コントラスト調整に利用されるグラフが示されている。これらのグラフGLe、GC1、GC2は、図10(A)と同様のトーンカーブを示している。第1グラフGC1は、明るい範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定し、暗い範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定することによって、対象画像のコントラストを強める。第2グラフGC2は、明るい範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定し、暗い範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定することによって、対象画像のコントラストを弱める。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後のコントラストを強くするのか、それとも、弱くするのかを、決定することができる。また、コントラストの調整量も、スライダーによって調整される。なお、図10(B)の実施例では、明るさVの最小値(0)と最大値(100)とに関しては、出力値Voutは入力値Vinと同じである。
【0066】
図10(C)には、鮮やかさ調整に利用されるグラフが示されている。横軸は彩度Sの入力値Sinを示し、縦軸は彩度Sの出力値Soutを示している。この実施例では、彩度Sの全範囲は、0から100までの範囲である。図中のグラフGSeは、変化無しのグラフを示している。第1グラフGS1は、出力値Soutを入力値Sinよりも大きな値に設定することによって、対象画像の彩度を高める。第2グラフGS2は、出力値Soutを入力値Sinよりも小さな値に設定することによって、対象画像の彩度を下げる。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の彩度Sを高くするのか、それとも、低くするのかを、決定することができる。また、彩度Sの変化量も、スライダーによって調整される。なお、図10(C)の実施例では、出力値Soutは、入力値Sinに比例している。
【0067】
図10(D)には、肌色の色相調整に利用されるグラフが示されている。横軸は色相Hの入力値Hinを示し、縦軸は色相Hの出力値Houtを示している。この実施例では、色相Hの全範囲は、0から360までの範囲である。0と360とは同じ色相を表している。図中のグラフGHeは、変化無しのグラフを示している。第1グラフGH1は、所定の肌色範囲HR1内の色相を黄色側にシフトする。第2グラフGH2は、肌色範囲HR1内の色相を赤色側にシフトする。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の色相Hのシフト方向を、黄色方向と赤色方向との中から選択することができる。また、色相のシフト量も、スライダーによって調整される。なお、図10(D)の実施例では、肌色範囲HR1外の色相に関しては、出力値Houtは入力値Hinと同じ値に維持される。
【0068】
図11は、変形処理の概要を示す説明図である。図11(A)は、変形前の対象画像を示し、図11(B)は、変形後の対象画像を示している。画像調整部370は、対象画像から人物の顔を検出し、検出された顔を含む変形領域TAを決定する。この変形領域TAは、顔の高さ方向に関しては、顎から額までの画像を含み、顔の幅方向に関しては、左右の頬の画像を含むように、決定される。そして、画像調整部370は、顔の左右の頬のライン(顔の輪郭)が内側に移動するように、変形領域TA内の画像を変形させる。図11の実施例では、変形後の顔(頬)の幅Wdは、変形前の顔(頬)の幅Woと比べて、変形量DQの2倍だけ狭くなる。このような変形によって、対象画像中の顔の形状はシャープになる。なお、変形量DQは、上述の調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整される。また、図11の実施例では、変形領域TAの外の画像は変形されない。
【0069】
対象画像中の顔の検出方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用する方法を採用可能である。また、変形領域TAを決定する方法としては、検出された顔画像の頬のラインを含む領域を変形領域TAとして決定する種々の方法を採用可能である。例えば、検出された顔画像中の目や口といった所定の器官の配置に基づいて変形領域TAの位置と大きさと傾きとを決定する方法を採用可能である。ここで、変形領域TAの形状としては、種々の形状を採用可能である。例えば、矩形の領域を採用してもよく、矩形以外の多角形の領域を採用してもよく、楕円の領域を採用してもよい。また、変形領域TA内の画像の変形方法としては、変形後の顔(頬)の幅が細くなるような種々の方法を採用可能である。
【0070】
変形領域TA内の画像の変形方法としては、例えば、以下の方法を採用可能である。まず、変形領域TAを複数の四辺形ブロック(例えば、矩形ブロック)に分割する。次に、所定の四辺形ブロックの所定の頂点(グリッド点)を移動させる。頂点が移動した四辺形ブロック内の画像を、頂点の移動に合わせて変形させる。ここで、四辺形ブロックを、その四辺形ブロックの4つの頂点と重心点とで表される4つの三角ブロックに分割し、各三角ブロック内の画像をアフィン変換によって変形すればよい。ここで、頬を表す四辺形ブロックの4つの頂点の内の顔の内側に最も近い一部の頂点(例えば、2つの頂点)を、顔の内側に向かう所定方向に移動させることが好ましい。こうすれば、顔(頬)の幅を狭くすることができる。ここで、頂点の移動量を、上述の調整インタフェース上のスライダーに従って調整すればよい。
【0071】
B.第2実施例:
図12は、画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。この第2実施例における画像調整は、図4に示す画像調整の代わりに、図2のステップS200の処理として、実行可能である。図4に示す第1実施例との差違は、撮影シーンの代わりに特定色範囲が利用される点だけである。
【0072】
最初のステップS220では、画像解析部350(図1)は、対象画像データを解析することによって、画素数比率の高い特定色範囲(以下「高比率特定色範囲」と呼ぶ)を検出する。ここで、特定色範囲は、予め決定された色範囲である。画素数比率は、対象画像の全画素数に対する特定色範囲内の色を示す画素の総数の比率である。以下、特定色範囲内の色を示す画素のことを、「特定色画素」と呼ぶ。
【0073】
図13は、高比率特定色範囲の検出を説明する概略図である。図13の左側には、特定色範囲を表すグラフが示されている。横軸は彩度Sを示し、縦軸は色相Hを示している。彩度Sの全範囲は、0から100までの範囲であり、色相Hの全範囲は、0から360までの範囲である。縦軸には、色を示す符号R(赤)、M(マゼンタ)、B(青)、C(シアン)、G(緑)、Y(黄)、R(赤)が添えられている。例えば、0と360とは同じ赤を表し、120は緑を表し、240は青を表している。
【0074】
本実施例では、7つの特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRが予め決定されている。
[1]赤範囲RRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、赤色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[2]マゼンタ範囲MRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、マゼンタ色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[3]青範囲BRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、青色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[4]シアン範囲CRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、シアン色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[5]緑範囲GRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、緑色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[6]黄範囲YRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、黄色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[7]肌色範囲SRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、肌色を表す一部の範囲内である色範囲である。
【0075】
図13では、赤範囲RRの色相Hが360を超えているが、360を超える範囲の色相Hは、色相Hの値から360を引いた値によって表される色相を示している。すなわち、赤範囲RRは、色相Hの環における0(360)を含む連続な一部の範囲を示している。また、各特定色範囲の彩度Sの閾値は、全ての特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRに共通な値に設定されている。ただし、特定色範囲毎に彩度Sの閾値が異なっていても良い。いずれの場合も、彩度Sの閾値は、最小値(0)よりも大きく最大値(100)よりも小さい値に設定される。
【0076】
図14は、高比率特定色範囲の検出の手順を示すフローチャートである。最初のステップS222では、画像解析部350(図1)は、特定色画素の総数を、特定色範囲毎に算出する。そして、次のステップS224では、画像解析部350は、対象画像の全画素数に対する特定色画素の数の比率が所定の閾値よりも大きい特定色範囲を、高比率特定色範囲として選択(検出)する。画素数比率と比較される閾値は、特定色範囲毎に予め決定されている。
【0077】
図13の実施例では、各特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRから、特定色画素の総数R_n、M_n、B_n、C_n、G_n、Y_n、S_nが、それぞれ算出される。そして、これらの特定色画素数を対象画像の全画素数T_nで割ることによって、画素数比率R_nr、M_nr、B_nr、C_nr、G_nr、Y_nr、S_nrが、それぞれ算出される。これらの画素数比率は、各特定色範囲に対応付けられた閾値R_nth、M_nth、B_nth、C_nth、G_nth、Y_nth、S_nthと、それぞれ比較される。そして、画素数比率が閾値よりも大きな特定色範囲は、高比率特定色範囲として選択される。
【0078】
図12の次のステップS240では、UI制御部360(図1)は、調整インタフェースを表示部150に表示する。この表示は、図4のステップS230と同様に実行される。ただし、図12の実施例では、UI制御部360は、検出された高比率特定色範囲に予め対応付けられた制御パラメータを選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。
【0079】
図13の右部分には、特定色範囲と制御パラメータとの対応関係が示されている。各特定色範囲には、その特定色範囲内の色の色相を調整するための制御パラメータが対応付けられている。例えば、赤範囲RRには「赤色の色相」調整の制御パラメータが対応付けられており、青範囲BRには「青色の色相」調整の制御パラメータが対応付けられている。
【0080】
図15は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。この例では、対象画像は海を表している。そして、青範囲BRの画素数比率B_nrが、青範囲BRの閾値B_nthよりも大きい。その結果、UI制御部360(図1)は、青範囲BRに対応付けられた「青色の色相調整」の度合いを調整するためのスライダーを、表示部150に表示する。
【0081】
図16は、調整インタフェースの別の例を示す説明図である。この例では、対象画像は、山と空とを表している。そして、青範囲BRの画素数比率B_nrが、青範囲BRの閾値B_nthよりも大きく、緑範囲GRの画素数比率G_nrが、緑範囲GRの閾値G_nthよりも大きい。これらの結果、UI制御部360(図1)は、青範囲BRに対応付けられた「青色の色相調整」と、緑範囲GRに対応付けられた「緑色の色相調整」と、のそれぞれの度合いを調整するための2つのスライダーを、表示部150に表示する。このように、第2実施例では、複数の高比率特定色範囲が検出され得る。
【0082】
調整インタフェースの操作方法は、上述の第1実施例と同じである。ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、制御パラメータが確定し、処理は、図12のステップS270に移行する。このステップS270の処理は、図4のステップS270と同様に実行される。なお、第2実施例では、画像調整部370は、画像処理として色相調整を実行する。この色相調整は、図10(D)の実施例と同様に実行される。ここで、画像調整部370は、高比率特定色範囲を定める色相範囲内において色相を調整し、この色相範囲外では色相を調整しない。肌色に限らず、他の色の色相調整に利用されるグラフも、図10(D)のグラフ(例えば、第1グラフGH1や第2グラフGH2)と同様に、決定される。色相Hのシフト方向と、色相Hのシフト量は、スライダーによって調整される。
【0083】
画像調整部370は、色相調整の対象となる画素として、高比率特定色範囲内の色を示す画素のみを採用する。すなわち、高比率特定色範囲外の色を示す画素の色相は、元の色相に維持される。その結果、対象画像中の過剰に広い領域の色相を変えることを抑制できる。ただし、高比率特定色範囲内の画素に加えて、この範囲の外の画素の色相を調整してもよい。例えば、彩度Sと明るさVとに拘わらずに、与えられた色相範囲内の色相Hを示す画素の色相を調整してもよい。このような色相範囲としては、例えば、高比率特定色範囲を定める色相範囲をそのまま採用可能である。このように、色相が調整される色の範囲は、高比率特定色範囲と一致していなくてもよい。この場合も、色相が調整される色の範囲が、高比率特定色範囲を含んでいることが好ましい。
【0084】
なお、図13の例では、黄範囲YRと肌色範囲SRとが重なっている。このように重なっている2つの特定色範囲が高比率特定色範囲として検出された場合には、所定の順番に色相を調整すればよい。例えば、肌色の色相を調整した後に、黄色の色相を調整すればよい。また、重なる部分が生じないように各特定色範囲を予め決定してもよい。
【0085】
図12のステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0086】
以上のように、第2実施例では、高比率特定色範囲に対応付けられた制御パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示される。すなわち、設定対象の制御パラメータが、対象画像中の所定の大きさの領域を占める色に応じて自動的に選択される。その結果、設定対象の制御パラメータを、対象画像の特徴的な色に応じて選択することができる。
【0087】
C.第3実施例:
図17は、画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。この画像調整は、図4に示す第1実施例の画像調整と、図12に示す第2実施例の画像調整と、を合体させたものである。この第3実施例における画像調整は、図4と図12とに示す画像調整の代わりに、図2のステップS200の処理として、実行可能である。
【0088】
最初のステップS210は、図4のステップS210と同じである。次のステップS220は、図12のステップS220と同じである。これらのステップにより、画像解析部350(図1)は、撮影シーンを判別し、そして、高比率特定色範囲を検出する。
【0089】
次のステップS250では、UI制御部360(図1)は、調整インタフェースを表示部150に表示する。この表示は、図4のステップS230と図12のステップS240と同様に実行される。ただし、図17のステップS250では、UI制御部360は、ステップS210で判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータと、高比率特定色範囲に対応付けられた制御パラメータと、の両方を選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。
【0090】
図18は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。この例では、対象画像は、山と空とを表している。撮影シーンは「風景」と判定されている。また、高比率特定色範囲として、青範囲BRと緑範囲GRとが検出されている。これらの結果、UI制御部360(図1)は、「風景」に対応付けられたスライダーと、青範囲BRに対応付けられたスライダーと、緑範囲GRに対応付けられたスライダーと、を表示する。
【0091】
図19は、調整インタフェースの別の例を示す説明図である。この例では、対象画像は人物と木とを表している。撮影シーンは「人物」と判定されている。また、高比率特定色範囲として、緑範囲GRが検出されている。これらの結果、UI制御部360(図1)は、「人物」に対応付けられたスライダーと、緑範囲GRに対応付けられたスライダーとを、表示する。
【0092】
調整インタフェースの操作方法は、上述の各実施例と同じである。ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、制御パラメータが確定し、処理は、図17のステップS270に移行する。このステップS270の処理は、図4と図12とのステップS270と同様に実行される。このステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0093】
以上のように、第3実施例では、高比率特定色範囲と、判定された撮影シーンとのいずれかに対応付けられた制御パラメータが設定対象として選択される。その結果、対象画像の調整に適した制御パラメータが設定対象から外れることを抑制できる。
【0094】
D.第4実施例:
図20は、対象画像が複数の人物を表している場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。図20の例では、対象画像は2人の人物を表している。本実施例における画像調整は、図4に示す第1実施例と同じである。図20の例では、撮影シーンが「人物」と判定されているので、UI制御部360(図1)は、図7と同様のスライダーを表示する。そして、画像調整部370は、ユーザによって設定された制御パラメータを利用して、対象画像データに対する画像調整を実行する。
【0095】
図20には、対象画像上に形成された肌領域FR1、FR2が示されている。これらの領域FR1、FR2は、それぞれ、対象画像上で肌色画素が連結した領域である。また、第1肌領域FR1は、第2肌領域FR2から分離している。図20の例では、これらの領域FR1、FR2は、それぞれ、人物の顔を表している。なお、肌色画素とは、所定の肌色範囲の色を示す画素を意味している。このような肌色範囲としては、肌色を示す任意の色範囲を採用可能である(例えば、図13の肌色範囲SR)。
【0096】
2つの画素(第1画素と第2画素)が連結しているのか、それとも、分離しているのかを判定する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、対象画像上で第1画素が第2画素から所定の距離内に位置する場合に、2つの画素が連結していると判定する方法を採用可能である。格子状に画素が配置された画像データにおいて、所定の距離を1.5画素とした場合には、第1画素の周りを囲む8つの画素のいずれかの位置に第2画素が位置する場合に、2つの画素が連結していると判定される。
【0097】
複数の肌色画素から肌領域を形成する方法としては、共通の画素と連結している複数の画素は同じ領域に属するものとして扱う方法を採用可能である。この方法によって、複数の肌色画素から、1つ、もしくは、複数の肌領域が形成される。
【0098】
本実施例では、互いに分離した複数の肌領域が対象画像上に形成された場合にも、「肌色の色相調整」の制御パラメータの設定は、各肌領域に共通に利用される。換言すれば、対象画像上に形成された肌領域の総数に拘わらずに、全ての肌色画素の色相の調整に、制御パラメータの共通の設定が利用される。その結果、画像処理の簡素化を図ることができる。
【0099】
以上説明した処理は、色相を調整する場合に限らず、彩度や明るさを調整する場合にも適用可能である。
【0100】
E.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0101】
変形例1:
上述の各実施例において、撮影シーンとしては、図5に示す4つのシーンに限らず、任意のシーンを採用可能である。例えば、「逆光」や「山」や「海」を採用してもよい。また、判定に利用される撮影シーンとしては、上述した複数の撮影シーンの中の任意の組合せを採用可能である。
【0102】
変形例2:
上述の各実施例において、人工ニューラルネットワークの入力値としては、平均彩度Saと平均明るさVaと平均色相Haとに限らず、対象画像データを解析して得られる種々の値を採用可能である。例えば、シャープネスを表す値を採用してもよい。いずれの場合も、対象画像を複数のブロック画像に分割し、各ブロック画像の代表値を入力値として利用することが好ましい。各ブロック画像の代表値は、撮影シーンの違いによって大きく変化し易い。その結果、各ブロック画像の代表値を入力値として利用することによって、適切な撮影シーン判定が可能になる。なお、代表値としては、平均値に限らず、種々の値(例えば、最大値や最頻値)を採用可能である。また、ブロック画像の総数としても、任意の数を採用可能である。また、ブロック画像毎に大きさ(面積)が異なっていても良い。
【0103】
変形例3:
上述の各実施例において、撮影シーンの判定方法としては、人工ニューラルネットワークを利用した判定方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、サポートベクターマシンを利用した判定方法を採用してもよい。また、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用した判定方法を採用してもよい。例えば、対象画像中から人の顔が検出された場合には「人物」と判定してもよい。また、対象画像中の色の分布から撮影シーンを判定する方法を採用してもよい。例えば、対象画像の所定の中央部分における肌色画素の割合が所定の閾値以上の場合には「人物」と判定してもよい。また、対象画像の全体における青色画素の割合が所定の閾値以上の場合には「風景」と判定してもよい。
【0104】
変形例4:
上述の各実施例において、1枚の対象画像に関して、複数の撮影シーンが選択されてもよい。例えば、「人物」と「風景」との両方が選択されてもよい。この場合には、「人物」に対応付けられた制御パラメータと、「風景」に対応付けられた制御パラメータとの、両方を設定対象の制御パラメータとして選択すればよい。
【0105】
変形例5:
上述の各実施例において、特定色範囲に対応付けられる制御パラメータとしては、色相調整の制御パラメータに限らず、他の種々の画像処理の制御パラメータを採用可能である。例えば、明るさVあるいは彩度Sを調整するための制御パラメータを採用してもよい。いずれの場合も、画像処理の対象となる色の範囲は、高比率特定色範囲と一致していなくてもよい。ただし、処理対象の色範囲が高比率特定色範囲を含んでいることが好ましい。例えば、全ての画素が画像処理の対象として選択されてもよい。また、処理対象の色範囲が高比率特定色範囲と一致していてもよい。こうすれば、対象画像中の特徴的な色を示す部分のみに画像処理が実行されるので、対象画像中の過剰に広い部分に画像処理を実行することを抑制できる。
【0106】
変形例6:
上述の各実施例において、特定色範囲としては、彩度Sが所定の閾値以上で、色相Hが所定の一部の範囲内である色を表す範囲に限らず、種々の範囲を採用可能である。例えば、明るさVが閾値以下である暗範囲を採用してもよい(閾値は最小値(0)よりも大きく最大値(100)よりも小さい)。このような暗範囲内の色を示す画素の割合が高い対象画像に関しては、ユーザが明るさVの調整を望む場合が多い。そこで、このような暗範囲には、「明るさ」調整の制御パラメータを対応付けることが好ましい。
【0107】
変形例7:
上述の各実施例において、画像処理としては、図10、図11に示した処理に限らず、種々の処理を採用可能である。例えば、シャープネスを調整する処理を採用してもよい。風景画像に関しては、シャープな画像が好まれるので、「風景」にシャープネス調整の制御パラメータを対応付けることが好ましい。
【0108】
変形例8:
上述の各実施例において、画像条件としては、撮影シーンと特定色範囲とに限らず、種々の条件を採用可能である。例えば、対象画像のシャープネスが閾値よりも小さいことを表す画像条件を採用してもよい。この場合には、画像解析部350(図1)は、対象画像データを解析することによって対象画像のシャープネスを算出し、UI制御部360は、シャープネスが閾値よりも小さい場合に(対象画像がぼやけている場合に)、シャープネス調整の制御パラメータを設定対象として選択することが好ましい。なお、シャープネスの算出方法と、シャープネスの調整方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。
【0109】
いずれの場合も、対象画像データによって満たされる画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを対象パラメータとして選択すれば、対象画像データに適した制御パラメータを、容易に、対象パラメータとして選択することができる。ここで、画像条件としては、上述した画像条件のように、対象画像の特徴を表す条件を採用することが好ましい。また、予め設定された画像条件の総数は、複数に限らず、1であってもよい。その1つの画像条件が満たされなかった場合には、UI制御部360は、全ての制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示してもよい。この代わりに、UI制御部360は調整インタフェースを表示せずに、画像調整部370は所定の設定に従って画像調整を実行してもよい。
【0110】
変形例9:
上述の各実施例において、画像条件(例えば、撮影シーンと特定色範囲)と制御パラメータとの対応関係は、任意に設定可能である。ここで、画像条件に対応付けられる制御パラメータとして、ユーザが調整を望む可能性が高い制御パラメータを採用することが好ましい。このような制御パラメータは、様々な対象画像を用いた実験に基づいて決定すればよい。
【0111】
いずれの場合も、少なくとも一部の画像条件には、画像調整部370(図1)によって利用され得る複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられることが好ましい。こうすれば、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。
【0112】
また、一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件と、一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件と、を含む複数の画像条件を利用することが特に好ましい。こうすれば、選択された画像条件に応じて、異なる制御パラメータのための調整インタフェースが表示される。これにより、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制しつつ、さらに、調整インタフェースを種々の対象画像データに適合させることが可能となる。その結果、調整すべき制御パラメータを対象画像データに応じて選択するためのユーザの負担を軽減することができる。
【0113】
変形例10:
上述の各実施例において、画像調整部370(図1)は、設定対象として選択された制御パラメータを利用する画像処理に加えて、設定対象として選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を実行してもよい。この場合には、選択されなかった制御パラメータの設定として、既定の設定を採用すればよい。
【0114】
変形例11:
上述の各実施例において、制御パラメータを調整するためのユーザインタフェース(調整インタフェース)としては、調整コントロールを含む種々のユーザインタフェースを採用可能である。ここで、調整コントロールとは、制御パラメータの設定を示す表示領域であって、操作部に入力されたユーザ指示によって、その示された設定が調整され得るような表示領域を意味している。このような調整コントロールとしては、スライダーに限らず、種々の種類の調整コントロールを採用可能である。例えば、トーンカーブや、設定値を数字で表すフィールドを採用してもよい。
【0115】
また、設定対象の制御パラメータ(対象パラメータ)を調整するための調整インタフェースの構成としては、対象パラメータを調整するための調整コントロールを含む種々の構成を採用可能である。ここで、対象パラメータの全ての調整コントロールが同時に表示されなくてもよい。例えば、一部の調整コントロールが同時に表示され、さらに、表示画面のスクロールによって、表示される調整コントロールが切り替えられる構成を採用してもよい。また、操作部に入力されたユーザ指示によって選択された一部の調整コントロールが表示され、他の調整コントロールは表示されない構成を採用してもよい。ただし、上述の各実施例のように、対象パラメータの全ての調整コントロールを同時に表示する構成を採用すれば、ユーザの負担軽減の効果が顕著である。いずれの場合も、UI制御部360(図1)は、設定対象から除外された制御パラメータのための調整コントロールを表示しないことが好ましい。こうすれば、対象パラメータ以外の制御パラメータがユーザに考慮されることが抑制されるので、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0116】
また、UI制御部360は、以下のような第1動作モードと第2動作モードとを有していても良い。第1動作モードは、対象画像データの解析結果に応じて選択された設定対象の制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示する動作モードである。第2動作モードは、対象画像データに拘わらずに所定の制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示する動作モードである。所定の制御パラメータとしては、全ての制御パラメータを採用してもよく、また、一部の制御パラメータを採用してもよい。ここで、UI制御部360は、操作部140に入力されたユーザの指示に従って動作モードを切り替えればよい。
【0117】
変形例12:
上述の各実施例において、対象画像データの供給元としては、任意の装置を採用可能である。例えば、画像処理装置(例えば、プリンタ100)が、メモリカードMCの代わりにデジタルスチルカメラから直接に対象画像データを取得してもよい。また、ネットワークを介して画像処理装置に接続された装置を採用してもよい。また、画像選択部340(図1)を省略して、利用可能な全ての画像データを、画像調整の対象として利用してもよい。
【0118】
また、画像調整後の画像データは、印刷に限らず、種々の用途に利用することができる。例えば、画像調整後の画像をディスプレイ装置に表示してもよい。また、画像調整後の画像データを格納する画像ファイルを不揮発性メモリ(例えば、ハードディスクドライブや、着脱可能なメモリカード)に格納してもよい。
【0119】
このように、画像処理装置は、プリンタに限らず、画像解析部350とUI制御部360と画像調整部370とを備える種々の装置として実現可能である。例えば、汎用のパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA)や携帯電話やデジタルスチルカメラを画像処理装置として利用してもよい。また、汎用のパーソナルコンピュータのように、表示部150と操作部140との少なくとも一方が、外部装置として、画像処理装置に接続されてもよい。
【0120】
なお、表示部150が予め組み込まれた画像処理装置を利用する場合には、表示部150の表示領域のサイズが小さい場合が多い。また、操作部140が予め組み込まれた画像処理装置を利用する場合には、操作部140が簡素化されている場合が多く、複雑な入力が困難な場合が多い。これらのような場合には、設定対象の制御パラメータとして、一部の制御パラメータが自動的に選択されることによって、ユーザインタフェースの簡素化が可能となる。その結果、ユーザの負担軽減の効果が顕著である。操作部140と表示部150の少なくとも一方が組み込まれた画像処理装置としては、例えば、上述のプリンタ100や携帯情報端末(PDA)や携帯電話やデジタルスチルカメラがある。
【0121】
変形例13:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1の画像解析部350の機能を、論理回路を有するハードウェア回路によって実現してもよい。
【0122】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施例としての画像処理装置が適用されるプリンタを示す説明図である。
【図2】画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】画像選択ユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
【図4】図2のステップS200で実行される画像調整の手順を示すフローチャートである。
【図5】撮影シーン判定の概要を示す説明図である。
【図6】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図7】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図8】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図9】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図10】画像処理の概要を示す説明図である。
【図11】変形処理の概要を示す説明図である。
【図12】画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。
【図13】高比率特定色範囲の検出を説明する概略図である。
【図14】高比率特定色範囲の検出の手順を示すフローチャートである。
【図15】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図16】調整インタフェースの別の例を示す説明図である。
【図17】画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。
【図18】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図19】調整インタフェースの別の例を示す説明図である。
【図20】対象画像が複数の人物を表している場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0124】
100…プリンタ
110…CPU
120…内部メモリ
140…操作部
150…表示部
160…プリンタエンジン
170…カードインタフェース
172…スロット
340…画像選択部
350…画像解析部
360…UI制御部
370…画像調整部
380…印刷処理部
MC…メモリカード
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像データに対する様々な画像処理が実行されている。このような画像処理としては、例えば、明るさを調整する処理や人物の顔の輪郭を補正する処理がある。ここで、ユーザによって調整されたパラメータを利用して画像処理を実行する技術も知られている。このようなパラメータとしては、例えば、明るさ調整の度合いや、変形の度合いがある。このような技術を利用することによって、画像処理をユーザの好みに適合させることが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−318204号公報
【0004】
このような画像処理技術では、画像処理に利用され得る種々のパラメータの調整をユーザに許容することが好ましい。ところが、調整が望まれるパラメータは画像に応じて変わる場合が多く、パラメータを選択して調整することはユーザにとって大きな負担である場合が多かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]表示部と操作部とを利用可能な画像処理装置であって、対象画像データを解析する解析部と、前記解析部の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択し、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを前記表示部に表示するユーザインタフェース制御部と、前記操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する画像調整部と、を備える、画像処理装置。
【0008】
この画像処理装置によれば、対象画像データの解析結果に応じて選択された対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示部に表示されるので、制御パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0009】
[適用例2]適用例1に記載の画像処理装置であって、前記解析部は、前記対象画像データを解析することによって、予め設定された複数の画像条件の中から、前記対象画像データによって満たされる画像条件を選択し、前記ユーザインタフェース制御部は、前記選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを前記対象パラメータとして選択する、画像処理装置。
【0010】
この構成によれば、複数の画像条件の中から、対象画像データによって満たされる画像条件が選択され、選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータが対象パラメータとして選択されるので、対象画像データに適した制御パラメータを、容易に、対象パラメータとして選択することができる。
【0011】
[適用例3]適用例2に記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件を含む、画像処理装置。
【0012】
この構成によれば、一部の制御パラメータが対象パラメータとして選択されるので、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。その結果、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0013】
[適用例4]適用例3に記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、前記第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件を含む、画像処理装置。
【0014】
この構成によれば、選択された画像条件に応じて、異なる制御パラメータのためのユーザインタフェースが表示されるので、調整すべき制御パラメータを対象画像データに応じて選択するためのユーザの負担を軽減することができる。
【0015】
[適用例5]適用例2ないし適用例4のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記対象画像データの撮影シーンを表す画像条件を含む、画像処理装置。
【0016】
この構成によれば、対象パラメータを、撮影シーンに応じて選択することができる。
【0017】
[適用例6]適用例2ないし適用例5のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の画像条件は、前記対象画像データの総画素数に対する所定の色範囲の色を示す画素の数の比率が所定値よりも大きいことを表す画像条件を含む、画像処理装置。
【0018】
この構成によれば、対象パラメータを、対象画像データに特徴的な色に応じて選択することができる。
【0019】
[適用例7]適用例2ないし適用例6のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記画像調整は、複数種類の画像処理を含み、前記画像調整部は、前記複数種類の画像処理の中の、前記ユーザインタフェース制御部によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする、画像処理装置。
【0020】
この構成によれば、対象画像データに応じて選択的に画像処理を実行することができる。
【0021】
[適用例8]適用例1ないし適用例7のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記ユーザインタフェースは、前記操作部に入力された指示に応答して前記対象パラメータを調整するための調整コントロールを含み、前記対象パラメータ以外の制御パラメータのための調整コントロールを含まない、画像処理装置。
【0022】
この構成によれば、対象パラメータ以外の制御パラメータがユーザに考慮されることが抑制されるので、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0023】
[適用例9]適用例1ないし適用例8のいずれかに記載の画像処理装置であって、前記複数の制御パラメータは、所定の肌色範囲の色を示す肌色画素の色の調整に利用される肌色制御パラメータを含み、前記画像調整部は、前記肌色制御パラメータが前記対象パラメータとして選択された場合には、前記対象画像データによって表される画像上に形成された、前記肌色画素が連結した領域の総数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定を利用する、画像処理装置。
【0024】
この構成によれば、画像中の人物の数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定が利用されるので、画像処理の簡素化を図ることができる。
【0025】
[適用例10]画像処理方法であって、対象画像データを解析する工程と、前記解析工程の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する工程と、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する工程と、操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する工程と、を備える、方法。
【0026】
[適用例11]画像を処理するコンピュータプログラムであって、対象画像データを解析する機能と、前記解析機能の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する機能と、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する機能と、操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する機能と、をコンピュータに実行させるプログラム。
【0027】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像処理方法および装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.変形例:
【0029】
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例としての画像処理装置が適用されるプリンタを示す説明図である。このプリンタ100は、メモリカードやデジタルスチルカメラ等から取得した画像データを利用して画像を印刷するプリンタである。プリンタ100は、CPU110と、内部メモリ120と、操作部140と、表示部150と、プリンタエンジン160と、カードインタフェース(カードI/F)170と、スロット172と、を備えている。プリンタ100の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0030】
CPU110は、プリンタ100の各構成要素を制御する。内部メモリ120は、CPU110によって実行されるプログラムを格納している。内部メモリ120としては、CPU110によって利用されるデータを格納する任意のメモリを採用可能である。例えば、RAMとROMとを含む種々の半導体メモリや、ハードディスクドライブを採用可能である。
【0031】
操作部140は、複数のボタンを有している。これらの複数のボタンによって、ユーザの指示が受け入れられる。なお、操作部140としては、ボタンに限らず、ユーザの指示を受け入れる任意の装置を採用可能である。例えば、タッチパネルやダイヤルを採用可能である。
【0032】
表示部150は、種々の情報を表示する。表示部150としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の種々のディスプレイを採用可能である。
【0033】
カードインタフェース170は、スロット172に挿入されたメモリカードMCとデータのやり取りを行うためのインタフェースである。メモリカードMCに格納されたデータは、カードインタフェース170を介して、CPU110によって読み出される。
【0034】
プリンタエンジン160は、与えられた印刷データを利用して印刷を実行する印刷機構である。印刷機構としては、インク滴を印刷媒体に吐出して画像を形成する印刷機構や、トナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する印刷機構等の種々の印刷機構を採用可能である。
【0035】
なお、プリンタ100は、さらに、他の外部装置(例えば、デジタルスチルカメラやパーソナルコンピュータ)とのデータ通信を行うための通信インタフェースを備えてもよい。そして、プリンタ100が、これらの外部装置から、画像データを受信してもよい。このような通信インタフェースとしては、有線のインタフェースを採用してもよく、無線のインタフェースを採用してもよい。
【0036】
内部メモリ120には、画像選択部340と、画像解析部350と、ユーザインタフェース(UI)制御部360と、画像調整部370と、印刷処理部380と、を有している。これらの処理部は、CPU110によって実行されるプログラムである。各処理部は、内部メモリ120を介して種々のデータをやりとりすることが可能である。各処理部の詳細については、後述する。
【0037】
図2は、画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。本実施例では、図1に示すプリンタ100(CPU110)は、スロット172にメモリカードMCが挿入されたことに応答して、この画像印刷処理を自動的に開始する。
【0038】
最初のステップS100では、画像選択部340(図1)は、ユーザの指示に従って、印刷すべき画像を選択する。図3は、画像選択ユーザインタフェースの一例を示す説明図である。図3には、操作部140と表示部150とが示されている。操作部140は、4つの方向ボタンUb、Db、Lb、Rbと、OKボタンObと、を有している。表示部150は、操作部140に組み込まれている。
【0039】
画像選択部340(図1)は、メモリカードMCに格納された画像のリストと、選択枠SFと、を表すグラフィカルなユーザインタフェースを表示部150に表示する。選択枠SFは、選択された画像(すなわち、印刷すべき画像)を示している。ユーザは、右ボタンRbと左ボタンLbとを操作することによって、選択された画像を切り換えることができる。また、ユーザは、OKボタンObを押下することによって、選択された画像(以下「対象画像」とも呼ぶ)を確定することができる。図3の例では、3つの画像IMG1、IMG2、IMG3が表示され、それらの中の第2画像IMG2が選択されている。
【0040】
なお、画像選択部340は、図3のインタフェースを表示するために、メモリカードMCに格納された画像データファイルに含まれるサムネイル画像データを利用する。この代わりに、画像データファイルに含まれる主画像データを利用してもよい。
【0041】
OKボタンOb(図3)が押下されたことに応答して、処理は、図2の次のステップS200に移行する。このステップS200では、プリンタ100(図1)の処理部350、360、370によって、選択された画像を表す主画像データ(「対象画像データ」とも呼ぶ)に対する画像調整が実行される。この画像調整では、画像調整を制御するパラメータがユーザによって調整され得る(詳細は後述)。次のステップS300では、印刷処理部380は、画像調整が実行された後の対象画像データから印刷データを生成する。印刷データは、例えば、解像度変換処理とハーフトーン処理とによって生成される。印刷処理部380は、印刷データをプリンタエンジン160に供給する。プリンタエンジン160は、受信した印刷データに従って、画像調整が施された対象画像を印刷する。このように、印刷処理部380は、印刷データ生成部として機能する。
【0042】
図4は、図2のステップS200で実行される画像調整の手順を示すフローチャートである。最初のステップS210では、画像解析部350(図1)は、画像選択部340によって選択された対象画像データをメモリカードMCから取得し、そして、対象画像データを解析することによって対象画像の撮影シーンを判定する。
【0043】
図5は、撮影シーン判定の概要を示す説明図である。本実施例では、画像解析部350は、予め準備された複数の撮影シーンの中から1つの撮影シーンを選択する。図5の例では、「風景」と「人物」と「夜景」と「その他」との4つの撮影シーンが予め準備されている。
【0044】
画像解析部350(図1)は、先ず、対象画像TIを複数のブロック画像に分割する。対象画像TIは、対象画像データによって表される画像である。図5の例では、対象画像TIは、25のブロック画像BK1〜BK25に分割されている(縦方向に5等分、横方向に5等分)。次に、画像解析部350は、対象画像データを解析することによって、ブロック画像の特徴を表す特徴値を各ブロック画像毎に決定する。図5の例では、ブロック画像中における平均色相Haと平均彩度Saと平均明るさVaとが、特徴値として、各ブロック画像毎に算出される。この結果、75の特徴値Ha(01)、Sa(01)、Va(01)〜Ha(25)、Sa(25)、Va(25)が算出される(括弧内の数字は、ブロック画像の識別番号(1〜25)を示している)。なお、色相Hと彩度Sと明るさVとは、対象画像データにおける画素値(例えば、RGBの各色成分の階調値)から、周知の種々の方法で算出され得る。
【0045】
次に、画像解析部350は、人工ニューラルネットワークによって撮影シーンを判定する。この人工ニューラルネットワークには、上述の75の特徴値Ha、Sa、Vaが入力される。そして、この人工ニューラルネットワークによって1つの撮影シーンが選択される。すなわち、選択された撮影シーンは、人工ニューラルネットワークによって定められる条件が、対象画像データによって満たされているシーンであるということができる。なお、この人工ニューラルネットワークは、対象画像の撮影シーンを適切に選択するように学習済みのものである。このような学習済みの人工ニューラルネットワークは、周知の種々の方法によって、構築可能である。そして、画像解析部350は、このような人工ニューラルネットワークによって撮影シーンを判定するように、予め構成されている。
【0046】
図4の次のステップS230では、UI制御部360(図1)は、制御パラメータの調整をユーザに許容するグラフィカルなユーザインタフェースを表示部150に表示する。制御パラメータは、対象画像データに対する画像調整を制御するためのパラメータである。後述するように、本実施例では、画像調整として、明るさ調整と、コントラスト調整と、鮮やかさ調整と、色相調整と、変形と、を含む種々の画像処理が実行され得る。このような画像処理を制御するパラメータが、制御パラメータである。以下、制御パラメータの調整をユーザに許容するユーザインタフェースを「調整インタフェース」とも呼ぶ。
【0047】
図6は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。表示部150には、制御パラメータを調整するための3つのスライダーSL1、SL2、SL3が表示されている。図6の例では、明るさ調整の度合いと、コントラスト調整の度合いと、鮮やかさ調整の度合いと、の3つの制御パラメータを調整することができる。各スライダーSL1、SL2、SL3の水平方向の位置は、制御パラメータの設定を示している。例えば、第1スライダーSL1を右方向へ移動させると画像処理後の画像が明るくなり、第1スライダーSL1を左方向へ移動させると画像処理後の画像が暗くなる。UI制御部360は、ユーザによる右ボタンRbと左ボタンLbとの押下に応答して、スライダーを右方向と左方向とに、それぞれ移動させる(制御パラメータを調整する)。なお、各制御パラメータは、予め、所定の値に設定されている。
【0048】
また、UI制御部360は、1つのスライダーを調整対象として選択する。図6の例では、明るさ調整用のスライダーSL1が、調整対象として選択されている。選択されたスライダーSL1は、他のスライダーSL2、SL3とは異なる色で表示されている。さらに、UI制御部360は、ユーザによる上ボタンUbあるいは下ボタンDbの押下に応答して、調整対象の1つのスライダーを、3つのスライダーSL1、SL2、SL3の中の他のスライダーに切り替える。
【0049】
UI制御部360(図1)は、対象画像とユーザインタフェース(スライダー)とを重ね合わせて、表示部150に表示させる。これにより、ユーザは、対象画像を見ながら制御パラメータを調整することができる。ここで、UI制御部360が、ユーザによって設定された制御パラメータを利用した画像調整後の対象画像を、表示部150に表示させることが好ましい。こうすれば、ユーザは、調整結果を見ながら、制御パラメータを調整することができる。なお、画像調整は、画像調整部370(図1)によって実行される。画像調整の詳細については、後述する。
【0050】
図5の下部分には、撮影シーンと制御パラメータとの対応関係が示されている。この対応関係は予め決定されている。例えば、「風景」には、「明るさ」調整の制御パラメータと、「コントラスト」調整の制御パラメータと、「鮮やかさ」調整の制御パラメータと、が対応付けられている。図4のステップS230では、UI制御部360(図1)は、この対応関係に基づいて、調整インタフェースを表示する。具体的には、UI制御部360は、ステップS210で判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータを選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。このように、選択されなかった制御パラメータは、設定対象から除外される。ここで、設定対象の制御パラメータ(選択された制御パラメータ)は、調整インタフェースを介して調整可能であり、選択されなかった制御パラメータは、調整できない。
【0051】
図6の例は、撮影シーンが「風景」と判定された場合を示している。この場合には、「風景」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とのそれぞれの度合いを調整するための3つのスライダーSL1、SL2、SL3が表示される。
【0052】
図7〜9は、「風景」とは異なる撮影シーンが選択された場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。これらの図には、図6と同様に操作部140と表示部150とが示されている。
【0053】
図7は、撮影シーンが「人物」と判定された場合を示している。この場合には、「人物」に対応付けられた「顔の明るさ調整」と「背景の明るさ調整」と「肌色の色相調整」と「コントラスト調整」と「変形」とのそれぞれの度合いを調整するための5つのスライダーが表示される。
【0054】
図8は、撮影シーンが「夜景」と判定された場合を示している。この場合には、「夜景」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とのそれぞれの度合いを調整するための3つのスライダーが表示される。
【0055】
図9は、撮影シーンが「その他」と判定された場合を示している。この場合には、「その他」に対応付けられた「明るさ調整」と「コントラスト調整」とのそれぞれの度合いを調整するための2つのスライダーが表示される。
【0056】
図6〜図9のいずれの場合も、UI制御部360は、ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、各制御パラメータを確定する。すなわち、UI制御部360は、調整インタフェースが表示部150に表示された状態で操作部140に入力されたユーザの指示に従って、各制御パラメータを設定(決定)する。OKボタンObが押下されたことに応答して、処理は、図4の次のステップS270に移行する。
【0057】
図4のステップS270では、画像調整部370(図1)は、ユーザによって設定された制御パラメータを利用して、対象画像データに対する画像調整を実行する。第1実施例では、画像調整部370は、複数種類の画像処理の中のUI制御部360によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする。例えば、「風景」の場合には、「明るさ調整」と「コントラスト調整」と「鮮やかさ調整」とが実行され、「色相調整」と「変形」とは実行されない。また、「人物」の場合には、「顔の明るさ調整」と「背景の明るさ調整」と「肌色の色相調整」と「コントラスト調整」と「変形」とが実行され、「鮮やかさ調整」は実行されない。
【0058】
ステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0059】
以上のように、第1実施例では、対象画像データの解析結果に応じて選択された対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示部に表示される。その結果、ユーザは、自動的に選択された制御パラメータを容易に調整できるので、制御パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0060】
また、第1実施例では、判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータが、対象パラメータとして選択されるので、対象パラメータを、撮影シーンに応じて選択することができる。
【0061】
また、第1実施例では、各撮影シーンには、利用可能な複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが、対応付けられている。その結果、利用可能な制御パラメータの全ての中からユーザによって所望の制御パラメータが選択される場合と比べて、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。また、所望の制御パラメータを選択するためのユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。例えば、図6〜図9の実施例では、一部の制御パラメータが設定対象として選択されているので、設定対象の制御パラメータのための全てのスライダーを、同時に表示部150上に表示することが可能である。その結果、ユーザは、簡単に、これらの制御パラメータを調整することができる。なお、このような利点は、表示部150の表示領域のサイズが小さい場合には、特に顕著である。
【0062】
また、第1実施例では、画像調整部370(図1)は、UI制御部360によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を実行せずに、UI制御部360によって選択された制御パラメータを利用する画像処理のみを実行する。その結果、画像調整部370は、対象画像データに応じて選択的に画像処理を実行することができる。すなわち、対象画像に対する余計な画像処理を実行せずに済む。
【0063】
画像処理の概要:
図10と図11とは、画像処理の概要を示す説明図である。図10(A)には、明るさ調整に利用されるグラフが示されている。横軸は明るさVの入力値Vinを示し、縦軸は明るさVの出力値Voutを示している。この実施例では、明るさVの全範囲は、0から100までの範囲である。入力値Vinと出力値Voutとの対応関係を示すグラフは「トーンカーブ」とも呼ばれる。図中のグラフGLeは、変化無しのグラフである。第1グラフGL1は、出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定することによって、対象画像を明るくする。第2グラフGL2は、出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定することによって、対象画像を暗くする。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の明るさVを明るくするか、それとも、暗くするかを、決定することができる。また、明るさVの変化量も、スライダーによって調整される。なお、図10(A)の実施例では、明るさVの最小値(0)と最大値(100)とに関しては、出力値Voutは入力値Vinと同じである。
【0064】
なお、図7に示す場合のように、「顔の明るさ」を調整する場合には、対象画像中の顔を表す領域の明るさが調整される。対象画像中の顔の検出方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用する方法を採用可能である。また、「背景の明るさ」を調整する場合には、対象画像中の顔を表す領域を除く残りの領域の明るさが調整される。
【0065】
図10(B)には、コントラスト調整に利用されるグラフが示されている。これらのグラフGLe、GC1、GC2は、図10(A)と同様のトーンカーブを示している。第1グラフGC1は、明るい範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定し、暗い範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定することによって、対象画像のコントラストを強める。第2グラフGC2は、明るい範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも小さな値に設定し、暗い範囲の出力値Voutを入力値Vinよりも大きな値に設定することによって、対象画像のコントラストを弱める。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後のコントラストを強くするのか、それとも、弱くするのかを、決定することができる。また、コントラストの調整量も、スライダーによって調整される。なお、図10(B)の実施例では、明るさVの最小値(0)と最大値(100)とに関しては、出力値Voutは入力値Vinと同じである。
【0066】
図10(C)には、鮮やかさ調整に利用されるグラフが示されている。横軸は彩度Sの入力値Sinを示し、縦軸は彩度Sの出力値Soutを示している。この実施例では、彩度Sの全範囲は、0から100までの範囲である。図中のグラフGSeは、変化無しのグラフを示している。第1グラフGS1は、出力値Soutを入力値Sinよりも大きな値に設定することによって、対象画像の彩度を高める。第2グラフGS2は、出力値Soutを入力値Sinよりも小さな値に設定することによって、対象画像の彩度を下げる。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の彩度Sを高くするのか、それとも、低くするのかを、決定することができる。また、彩度Sの変化量も、スライダーによって調整される。なお、図10(C)の実施例では、出力値Soutは、入力値Sinに比例している。
【0067】
図10(D)には、肌色の色相調整に利用されるグラフが示されている。横軸は色相Hの入力値Hinを示し、縦軸は色相Hの出力値Houtを示している。この実施例では、色相Hの全範囲は、0から360までの範囲である。0と360とは同じ色相を表している。図中のグラフGHeは、変化無しのグラフを示している。第1グラフGH1は、所定の肌色範囲HR1内の色相を黄色側にシフトする。第2グラフGH2は、肌色範囲HR1内の色相を赤色側にシフトする。ユーザは、調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整後の色相Hのシフト方向を、黄色方向と赤色方向との中から選択することができる。また、色相のシフト量も、スライダーによって調整される。なお、図10(D)の実施例では、肌色範囲HR1外の色相に関しては、出力値Houtは入力値Hinと同じ値に維持される。
【0068】
図11は、変形処理の概要を示す説明図である。図11(A)は、変形前の対象画像を示し、図11(B)は、変形後の対象画像を示している。画像調整部370は、対象画像から人物の顔を検出し、検出された顔を含む変形領域TAを決定する。この変形領域TAは、顔の高さ方向に関しては、顎から額までの画像を含み、顔の幅方向に関しては、左右の頬の画像を含むように、決定される。そして、画像調整部370は、顔の左右の頬のライン(顔の輪郭)が内側に移動するように、変形領域TA内の画像を変形させる。図11の実施例では、変形後の顔(頬)の幅Wdは、変形前の顔(頬)の幅Woと比べて、変形量DQの2倍だけ狭くなる。このような変形によって、対象画像中の顔の形状はシャープになる。なお、変形量DQは、上述の調整インタフェース上のスライダーを調整することによって、調整される。また、図11の実施例では、変形領域TAの外の画像は変形されない。
【0069】
対象画像中の顔の検出方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用する方法を採用可能である。また、変形領域TAを決定する方法としては、検出された顔画像の頬のラインを含む領域を変形領域TAとして決定する種々の方法を採用可能である。例えば、検出された顔画像中の目や口といった所定の器官の配置に基づいて変形領域TAの位置と大きさと傾きとを決定する方法を採用可能である。ここで、変形領域TAの形状としては、種々の形状を採用可能である。例えば、矩形の領域を採用してもよく、矩形以外の多角形の領域を採用してもよく、楕円の領域を採用してもよい。また、変形領域TA内の画像の変形方法としては、変形後の顔(頬)の幅が細くなるような種々の方法を採用可能である。
【0070】
変形領域TA内の画像の変形方法としては、例えば、以下の方法を採用可能である。まず、変形領域TAを複数の四辺形ブロック(例えば、矩形ブロック)に分割する。次に、所定の四辺形ブロックの所定の頂点(グリッド点)を移動させる。頂点が移動した四辺形ブロック内の画像を、頂点の移動に合わせて変形させる。ここで、四辺形ブロックを、その四辺形ブロックの4つの頂点と重心点とで表される4つの三角ブロックに分割し、各三角ブロック内の画像をアフィン変換によって変形すればよい。ここで、頬を表す四辺形ブロックの4つの頂点の内の顔の内側に最も近い一部の頂点(例えば、2つの頂点)を、顔の内側に向かう所定方向に移動させることが好ましい。こうすれば、顔(頬)の幅を狭くすることができる。ここで、頂点の移動量を、上述の調整インタフェース上のスライダーに従って調整すればよい。
【0071】
B.第2実施例:
図12は、画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。この第2実施例における画像調整は、図4に示す画像調整の代わりに、図2のステップS200の処理として、実行可能である。図4に示す第1実施例との差違は、撮影シーンの代わりに特定色範囲が利用される点だけである。
【0072】
最初のステップS220では、画像解析部350(図1)は、対象画像データを解析することによって、画素数比率の高い特定色範囲(以下「高比率特定色範囲」と呼ぶ)を検出する。ここで、特定色範囲は、予め決定された色範囲である。画素数比率は、対象画像の全画素数に対する特定色範囲内の色を示す画素の総数の比率である。以下、特定色範囲内の色を示す画素のことを、「特定色画素」と呼ぶ。
【0073】
図13は、高比率特定色範囲の検出を説明する概略図である。図13の左側には、特定色範囲を表すグラフが示されている。横軸は彩度Sを示し、縦軸は色相Hを示している。彩度Sの全範囲は、0から100までの範囲であり、色相Hの全範囲は、0から360までの範囲である。縦軸には、色を示す符号R(赤)、M(マゼンタ)、B(青)、C(シアン)、G(緑)、Y(黄)、R(赤)が添えられている。例えば、0と360とは同じ赤を表し、120は緑を表し、240は青を表している。
【0074】
本実施例では、7つの特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRが予め決定されている。
[1]赤範囲RRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、赤色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[2]マゼンタ範囲MRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、マゼンタ色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[3]青範囲BRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、青色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[4]シアン範囲CRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、シアン色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[5]緑範囲GRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、緑色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[6]黄範囲YRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、黄色を表す一部の範囲内である色範囲である。
[7]肌色範囲SRは、彩度Sが閾値以上で、色相Hが、肌色を表す一部の範囲内である色範囲である。
【0075】
図13では、赤範囲RRの色相Hが360を超えているが、360を超える範囲の色相Hは、色相Hの値から360を引いた値によって表される色相を示している。すなわち、赤範囲RRは、色相Hの環における0(360)を含む連続な一部の範囲を示している。また、各特定色範囲の彩度Sの閾値は、全ての特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRに共通な値に設定されている。ただし、特定色範囲毎に彩度Sの閾値が異なっていても良い。いずれの場合も、彩度Sの閾値は、最小値(0)よりも大きく最大値(100)よりも小さい値に設定される。
【0076】
図14は、高比率特定色範囲の検出の手順を示すフローチャートである。最初のステップS222では、画像解析部350(図1)は、特定色画素の総数を、特定色範囲毎に算出する。そして、次のステップS224では、画像解析部350は、対象画像の全画素数に対する特定色画素の数の比率が所定の閾値よりも大きい特定色範囲を、高比率特定色範囲として選択(検出)する。画素数比率と比較される閾値は、特定色範囲毎に予め決定されている。
【0077】
図13の実施例では、各特定色範囲RR、MR、BR、CR、GR、YR、SRから、特定色画素の総数R_n、M_n、B_n、C_n、G_n、Y_n、S_nが、それぞれ算出される。そして、これらの特定色画素数を対象画像の全画素数T_nで割ることによって、画素数比率R_nr、M_nr、B_nr、C_nr、G_nr、Y_nr、S_nrが、それぞれ算出される。これらの画素数比率は、各特定色範囲に対応付けられた閾値R_nth、M_nth、B_nth、C_nth、G_nth、Y_nth、S_nthと、それぞれ比較される。そして、画素数比率が閾値よりも大きな特定色範囲は、高比率特定色範囲として選択される。
【0078】
図12の次のステップS240では、UI制御部360(図1)は、調整インタフェースを表示部150に表示する。この表示は、図4のステップS230と同様に実行される。ただし、図12の実施例では、UI制御部360は、検出された高比率特定色範囲に予め対応付けられた制御パラメータを選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。
【0079】
図13の右部分には、特定色範囲と制御パラメータとの対応関係が示されている。各特定色範囲には、その特定色範囲内の色の色相を調整するための制御パラメータが対応付けられている。例えば、赤範囲RRには「赤色の色相」調整の制御パラメータが対応付けられており、青範囲BRには「青色の色相」調整の制御パラメータが対応付けられている。
【0080】
図15は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。この例では、対象画像は海を表している。そして、青範囲BRの画素数比率B_nrが、青範囲BRの閾値B_nthよりも大きい。その結果、UI制御部360(図1)は、青範囲BRに対応付けられた「青色の色相調整」の度合いを調整するためのスライダーを、表示部150に表示する。
【0081】
図16は、調整インタフェースの別の例を示す説明図である。この例では、対象画像は、山と空とを表している。そして、青範囲BRの画素数比率B_nrが、青範囲BRの閾値B_nthよりも大きく、緑範囲GRの画素数比率G_nrが、緑範囲GRの閾値G_nthよりも大きい。これらの結果、UI制御部360(図1)は、青範囲BRに対応付けられた「青色の色相調整」と、緑範囲GRに対応付けられた「緑色の色相調整」と、のそれぞれの度合いを調整するための2つのスライダーを、表示部150に表示する。このように、第2実施例では、複数の高比率特定色範囲が検出され得る。
【0082】
調整インタフェースの操作方法は、上述の第1実施例と同じである。ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、制御パラメータが確定し、処理は、図12のステップS270に移行する。このステップS270の処理は、図4のステップS270と同様に実行される。なお、第2実施例では、画像調整部370は、画像処理として色相調整を実行する。この色相調整は、図10(D)の実施例と同様に実行される。ここで、画像調整部370は、高比率特定色範囲を定める色相範囲内において色相を調整し、この色相範囲外では色相を調整しない。肌色に限らず、他の色の色相調整に利用されるグラフも、図10(D)のグラフ(例えば、第1グラフGH1や第2グラフGH2)と同様に、決定される。色相Hのシフト方向と、色相Hのシフト量は、スライダーによって調整される。
【0083】
画像調整部370は、色相調整の対象となる画素として、高比率特定色範囲内の色を示す画素のみを採用する。すなわち、高比率特定色範囲外の色を示す画素の色相は、元の色相に維持される。その結果、対象画像中の過剰に広い領域の色相を変えることを抑制できる。ただし、高比率特定色範囲内の画素に加えて、この範囲の外の画素の色相を調整してもよい。例えば、彩度Sと明るさVとに拘わらずに、与えられた色相範囲内の色相Hを示す画素の色相を調整してもよい。このような色相範囲としては、例えば、高比率特定色範囲を定める色相範囲をそのまま採用可能である。このように、色相が調整される色の範囲は、高比率特定色範囲と一致していなくてもよい。この場合も、色相が調整される色の範囲が、高比率特定色範囲を含んでいることが好ましい。
【0084】
なお、図13の例では、黄範囲YRと肌色範囲SRとが重なっている。このように重なっている2つの特定色範囲が高比率特定色範囲として検出された場合には、所定の順番に色相を調整すればよい。例えば、肌色の色相を調整した後に、黄色の色相を調整すればよい。また、重なる部分が生じないように各特定色範囲を予め決定してもよい。
【0085】
図12のステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0086】
以上のように、第2実施例では、高比率特定色範囲に対応付けられた制御パラメータを調整するためのユーザインタフェースが表示される。すなわち、設定対象の制御パラメータが、対象画像中の所定の大きさの領域を占める色に応じて自動的に選択される。その結果、設定対象の制御パラメータを、対象画像の特徴的な色に応じて選択することができる。
【0087】
C.第3実施例:
図17は、画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。この画像調整は、図4に示す第1実施例の画像調整と、図12に示す第2実施例の画像調整と、を合体させたものである。この第3実施例における画像調整は、図4と図12とに示す画像調整の代わりに、図2のステップS200の処理として、実行可能である。
【0088】
最初のステップS210は、図4のステップS210と同じである。次のステップS220は、図12のステップS220と同じである。これらのステップにより、画像解析部350(図1)は、撮影シーンを判別し、そして、高比率特定色範囲を検出する。
【0089】
次のステップS250では、UI制御部360(図1)は、調整インタフェースを表示部150に表示する。この表示は、図4のステップS230と図12のステップS240と同様に実行される。ただし、図17のステップS250では、UI制御部360は、ステップS210で判定された撮影シーンに対応付けられた制御パラメータと、高比率特定色範囲に対応付けられた制御パラメータと、の両方を選択し、選択した制御パラメータを調整するためのスライダーを表示する。選択されなかった制御パラメータを調整するためのスライダーは表示されない。
【0090】
図18は、調整インタフェースの一例を示す説明図である。この例では、対象画像は、山と空とを表している。撮影シーンは「風景」と判定されている。また、高比率特定色範囲として、青範囲BRと緑範囲GRとが検出されている。これらの結果、UI制御部360(図1)は、「風景」に対応付けられたスライダーと、青範囲BRに対応付けられたスライダーと、緑範囲GRに対応付けられたスライダーと、を表示する。
【0091】
図19は、調整インタフェースの別の例を示す説明図である。この例では、対象画像は人物と木とを表している。撮影シーンは「人物」と判定されている。また、高比率特定色範囲として、緑範囲GRが検出されている。これらの結果、UI制御部360(図1)は、「人物」に対応付けられたスライダーと、緑範囲GRに対応付けられたスライダーとを、表示する。
【0092】
調整インタフェースの操作方法は、上述の各実施例と同じである。ユーザによるOKボタンObの押下に応答して、制御パラメータが確定し、処理は、図17のステップS270に移行する。このステップS270の処理は、図4と図12とのステップS270と同様に実行される。このステップS270の完了に応答して、処理は図2のステップS300に移行する。そして、画像調整の施された対象画像が印刷される。
【0093】
以上のように、第3実施例では、高比率特定色範囲と、判定された撮影シーンとのいずれかに対応付けられた制御パラメータが設定対象として選択される。その結果、対象画像の調整に適した制御パラメータが設定対象から外れることを抑制できる。
【0094】
D.第4実施例:
図20は、対象画像が複数の人物を表している場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。図20の例では、対象画像は2人の人物を表している。本実施例における画像調整は、図4に示す第1実施例と同じである。図20の例では、撮影シーンが「人物」と判定されているので、UI制御部360(図1)は、図7と同様のスライダーを表示する。そして、画像調整部370は、ユーザによって設定された制御パラメータを利用して、対象画像データに対する画像調整を実行する。
【0095】
図20には、対象画像上に形成された肌領域FR1、FR2が示されている。これらの領域FR1、FR2は、それぞれ、対象画像上で肌色画素が連結した領域である。また、第1肌領域FR1は、第2肌領域FR2から分離している。図20の例では、これらの領域FR1、FR2は、それぞれ、人物の顔を表している。なお、肌色画素とは、所定の肌色範囲の色を示す画素を意味している。このような肌色範囲としては、肌色を示す任意の色範囲を採用可能である(例えば、図13の肌色範囲SR)。
【0096】
2つの画素(第1画素と第2画素)が連結しているのか、それとも、分離しているのかを判定する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、対象画像上で第1画素が第2画素から所定の距離内に位置する場合に、2つの画素が連結していると判定する方法を採用可能である。格子状に画素が配置された画像データにおいて、所定の距離を1.5画素とした場合には、第1画素の周りを囲む8つの画素のいずれかの位置に第2画素が位置する場合に、2つの画素が連結していると判定される。
【0097】
複数の肌色画素から肌領域を形成する方法としては、共通の画素と連結している複数の画素は同じ領域に属するものとして扱う方法を採用可能である。この方法によって、複数の肌色画素から、1つ、もしくは、複数の肌領域が形成される。
【0098】
本実施例では、互いに分離した複数の肌領域が対象画像上に形成された場合にも、「肌色の色相調整」の制御パラメータの設定は、各肌領域に共通に利用される。換言すれば、対象画像上に形成された肌領域の総数に拘わらずに、全ての肌色画素の色相の調整に、制御パラメータの共通の設定が利用される。その結果、画像処理の簡素化を図ることができる。
【0099】
以上説明した処理は、色相を調整する場合に限らず、彩度や明るさを調整する場合にも適用可能である。
【0100】
E.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0101】
変形例1:
上述の各実施例において、撮影シーンとしては、図5に示す4つのシーンに限らず、任意のシーンを採用可能である。例えば、「逆光」や「山」や「海」を採用してもよい。また、判定に利用される撮影シーンとしては、上述した複数の撮影シーンの中の任意の組合せを採用可能である。
【0102】
変形例2:
上述の各実施例において、人工ニューラルネットワークの入力値としては、平均彩度Saと平均明るさVaと平均色相Haとに限らず、対象画像データを解析して得られる種々の値を採用可能である。例えば、シャープネスを表す値を採用してもよい。いずれの場合も、対象画像を複数のブロック画像に分割し、各ブロック画像の代表値を入力値として利用することが好ましい。各ブロック画像の代表値は、撮影シーンの違いによって大きく変化し易い。その結果、各ブロック画像の代表値を入力値として利用することによって、適切な撮影シーン判定が可能になる。なお、代表値としては、平均値に限らず、種々の値(例えば、最大値や最頻値)を採用可能である。また、ブロック画像の総数としても、任意の数を採用可能である。また、ブロック画像毎に大きさ(面積)が異なっていても良い。
【0103】
変形例3:
上述の各実施例において、撮影シーンの判定方法としては、人工ニューラルネットワークを利用した判定方法に限らず、任意の方法を採用可能である。例えば、サポートベクターマシンを利用した判定方法を採用してもよい。また、テンプレートを利用したパターンマッチングを利用した判定方法を採用してもよい。例えば、対象画像中から人の顔が検出された場合には「人物」と判定してもよい。また、対象画像中の色の分布から撮影シーンを判定する方法を採用してもよい。例えば、対象画像の所定の中央部分における肌色画素の割合が所定の閾値以上の場合には「人物」と判定してもよい。また、対象画像の全体における青色画素の割合が所定の閾値以上の場合には「風景」と判定してもよい。
【0104】
変形例4:
上述の各実施例において、1枚の対象画像に関して、複数の撮影シーンが選択されてもよい。例えば、「人物」と「風景」との両方が選択されてもよい。この場合には、「人物」に対応付けられた制御パラメータと、「風景」に対応付けられた制御パラメータとの、両方を設定対象の制御パラメータとして選択すればよい。
【0105】
変形例5:
上述の各実施例において、特定色範囲に対応付けられる制御パラメータとしては、色相調整の制御パラメータに限らず、他の種々の画像処理の制御パラメータを採用可能である。例えば、明るさVあるいは彩度Sを調整するための制御パラメータを採用してもよい。いずれの場合も、画像処理の対象となる色の範囲は、高比率特定色範囲と一致していなくてもよい。ただし、処理対象の色範囲が高比率特定色範囲を含んでいることが好ましい。例えば、全ての画素が画像処理の対象として選択されてもよい。また、処理対象の色範囲が高比率特定色範囲と一致していてもよい。こうすれば、対象画像中の特徴的な色を示す部分のみに画像処理が実行されるので、対象画像中の過剰に広い部分に画像処理を実行することを抑制できる。
【0106】
変形例6:
上述の各実施例において、特定色範囲としては、彩度Sが所定の閾値以上で、色相Hが所定の一部の範囲内である色を表す範囲に限らず、種々の範囲を採用可能である。例えば、明るさVが閾値以下である暗範囲を採用してもよい(閾値は最小値(0)よりも大きく最大値(100)よりも小さい)。このような暗範囲内の色を示す画素の割合が高い対象画像に関しては、ユーザが明るさVの調整を望む場合が多い。そこで、このような暗範囲には、「明るさ」調整の制御パラメータを対応付けることが好ましい。
【0107】
変形例7:
上述の各実施例において、画像処理としては、図10、図11に示した処理に限らず、種々の処理を採用可能である。例えば、シャープネスを調整する処理を採用してもよい。風景画像に関しては、シャープな画像が好まれるので、「風景」にシャープネス調整の制御パラメータを対応付けることが好ましい。
【0108】
変形例8:
上述の各実施例において、画像条件としては、撮影シーンと特定色範囲とに限らず、種々の条件を採用可能である。例えば、対象画像のシャープネスが閾値よりも小さいことを表す画像条件を採用してもよい。この場合には、画像解析部350(図1)は、対象画像データを解析することによって対象画像のシャープネスを算出し、UI制御部360は、シャープネスが閾値よりも小さい場合に(対象画像がぼやけている場合に)、シャープネス調整の制御パラメータを設定対象として選択することが好ましい。なお、シャープネスの算出方法と、シャープネスの調整方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。
【0109】
いずれの場合も、対象画像データによって満たされる画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを対象パラメータとして選択すれば、対象画像データに適した制御パラメータを、容易に、対象パラメータとして選択することができる。ここで、画像条件としては、上述した画像条件のように、対象画像の特徴を表す条件を採用することが好ましい。また、予め設定された画像条件の総数は、複数に限らず、1であってもよい。その1つの画像条件が満たされなかった場合には、UI制御部360は、全ての制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示してもよい。この代わりに、UI制御部360は調整インタフェースを表示せずに、画像調整部370は所定の設定に従って画像調整を実行してもよい。
【0110】
変形例9:
上述の各実施例において、画像条件(例えば、撮影シーンと特定色範囲)と制御パラメータとの対応関係は、任意に設定可能である。ここで、画像条件に対応付けられる制御パラメータとして、ユーザが調整を望む可能性が高い制御パラメータを採用することが好ましい。このような制御パラメータは、様々な対象画像を用いた実験に基づいて決定すればよい。
【0111】
いずれの場合も、少なくとも一部の画像条件には、画像調整部370(図1)によって利用され得る複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられることが好ましい。こうすれば、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制できる。
【0112】
また、一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件と、一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件と、を含む複数の画像条件を利用することが特に好ましい。こうすれば、選択された画像条件に応じて、異なる制御パラメータのための調整インタフェースが表示される。これにより、ユーザインタフェースが過剰に複雑になることを抑制しつつ、さらに、調整インタフェースを種々の対象画像データに適合させることが可能となる。その結果、調整すべき制御パラメータを対象画像データに応じて選択するためのユーザの負担を軽減することができる。
【0113】
変形例10:
上述の各実施例において、画像調整部370(図1)は、設定対象として選択された制御パラメータを利用する画像処理に加えて、設定対象として選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を実行してもよい。この場合には、選択されなかった制御パラメータの設定として、既定の設定を採用すればよい。
【0114】
変形例11:
上述の各実施例において、制御パラメータを調整するためのユーザインタフェース(調整インタフェース)としては、調整コントロールを含む種々のユーザインタフェースを採用可能である。ここで、調整コントロールとは、制御パラメータの設定を示す表示領域であって、操作部に入力されたユーザ指示によって、その示された設定が調整され得るような表示領域を意味している。このような調整コントロールとしては、スライダーに限らず、種々の種類の調整コントロールを採用可能である。例えば、トーンカーブや、設定値を数字で表すフィールドを採用してもよい。
【0115】
また、設定対象の制御パラメータ(対象パラメータ)を調整するための調整インタフェースの構成としては、対象パラメータを調整するための調整コントロールを含む種々の構成を採用可能である。ここで、対象パラメータの全ての調整コントロールが同時に表示されなくてもよい。例えば、一部の調整コントロールが同時に表示され、さらに、表示画面のスクロールによって、表示される調整コントロールが切り替えられる構成を採用してもよい。また、操作部に入力されたユーザ指示によって選択された一部の調整コントロールが表示され、他の調整コントロールは表示されない構成を採用してもよい。ただし、上述の各実施例のように、対象パラメータの全ての調整コントロールを同時に表示する構成を採用すれば、ユーザの負担軽減の効果が顕著である。いずれの場合も、UI制御部360(図1)は、設定対象から除外された制御パラメータのための調整コントロールを表示しないことが好ましい。こうすれば、対象パラメータ以外の制御パラメータがユーザに考慮されることが抑制されるので、パラメータを調整するユーザの負担を軽減することができる。
【0116】
また、UI制御部360は、以下のような第1動作モードと第2動作モードとを有していても良い。第1動作モードは、対象画像データの解析結果に応じて選択された設定対象の制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示する動作モードである。第2動作モードは、対象画像データに拘わらずに所定の制御パラメータを調整するための調整インタフェースを表示する動作モードである。所定の制御パラメータとしては、全ての制御パラメータを採用してもよく、また、一部の制御パラメータを採用してもよい。ここで、UI制御部360は、操作部140に入力されたユーザの指示に従って動作モードを切り替えればよい。
【0117】
変形例12:
上述の各実施例において、対象画像データの供給元としては、任意の装置を採用可能である。例えば、画像処理装置(例えば、プリンタ100)が、メモリカードMCの代わりにデジタルスチルカメラから直接に対象画像データを取得してもよい。また、ネットワークを介して画像処理装置に接続された装置を採用してもよい。また、画像選択部340(図1)を省略して、利用可能な全ての画像データを、画像調整の対象として利用してもよい。
【0118】
また、画像調整後の画像データは、印刷に限らず、種々の用途に利用することができる。例えば、画像調整後の画像をディスプレイ装置に表示してもよい。また、画像調整後の画像データを格納する画像ファイルを不揮発性メモリ(例えば、ハードディスクドライブや、着脱可能なメモリカード)に格納してもよい。
【0119】
このように、画像処理装置は、プリンタに限らず、画像解析部350とUI制御部360と画像調整部370とを備える種々の装置として実現可能である。例えば、汎用のパーソナルコンピュータや携帯情報端末(PDA)や携帯電話やデジタルスチルカメラを画像処理装置として利用してもよい。また、汎用のパーソナルコンピュータのように、表示部150と操作部140との少なくとも一方が、外部装置として、画像処理装置に接続されてもよい。
【0120】
なお、表示部150が予め組み込まれた画像処理装置を利用する場合には、表示部150の表示領域のサイズが小さい場合が多い。また、操作部140が予め組み込まれた画像処理装置を利用する場合には、操作部140が簡素化されている場合が多く、複雑な入力が困難な場合が多い。これらのような場合には、設定対象の制御パラメータとして、一部の制御パラメータが自動的に選択されることによって、ユーザインタフェースの簡素化が可能となる。その結果、ユーザの負担軽減の効果が顕著である。操作部140と表示部150の少なくとも一方が組み込まれた画像処理装置としては、例えば、上述のプリンタ100や携帯情報端末(PDA)や携帯電話やデジタルスチルカメラがある。
【0121】
変形例13:
上記各実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図1の画像解析部350の機能を、論理回路を有するハードウェア回路によって実現してもよい。
【0122】
また、本発明の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施例としての画像処理装置が適用されるプリンタを示す説明図である。
【図2】画像印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】画像選択ユーザインタフェースの一例を示す説明図である。
【図4】図2のステップS200で実行される画像調整の手順を示すフローチャートである。
【図5】撮影シーン判定の概要を示す説明図である。
【図6】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図7】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図8】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図9】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図10】画像処理の概要を示す説明図である。
【図11】変形処理の概要を示す説明図である。
【図12】画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。
【図13】高比率特定色範囲の検出を説明する概略図である。
【図14】高比率特定色範囲の検出の手順を示すフローチャートである。
【図15】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図16】調整インタフェースの別の例を示す説明図である。
【図17】画像調整の別の実施例を示すフローチャートである。
【図18】調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【図19】調整インタフェースの別の例を示す説明図である。
【図20】対象画像が複数の人物を表している場合の調整インタフェースの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0124】
100…プリンタ
110…CPU
120…内部メモリ
140…操作部
150…表示部
160…プリンタエンジン
170…カードインタフェース
172…スロット
340…画像選択部
350…画像解析部
360…UI制御部
370…画像調整部
380…印刷処理部
MC…メモリカード
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と操作部とを利用可能な画像処理装置であって、
対象画像データを解析する解析部と、
前記解析部の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択し、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを前記表示部に表示するユーザインタフェース制御部と、
前記操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する画像調整部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記解析部は、前記対象画像データを解析することによって、予め設定された複数の画像条件の中から、前記対象画像データによって満たされる画像条件を選択し、
前記ユーザインタフェース制御部は、前記選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを前記対象パラメータとして選択する、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、前記第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記対象画像データの撮影シーンを表す画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記対象画像データの総画素数に対する所定の色範囲の色を示す画素の数の比率が所定値よりも大きいことを表す画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画像調整は、複数種類の画像処理を含み、
前記画像調整部は、前記複数種類の画像処理の中の、前記ユーザインタフェース制御部によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースは、前記操作部に入力された指示に応答して前記対象パラメータを調整するための調整コントロールを含み、前記対象パラメータ以外の制御パラメータのための調整コントロールを含まない、
画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の制御パラメータは、所定の肌色範囲の色を示す肌色画素の色の調整に利用される肌色制御パラメータを含み、
前記画像調整部は、前記肌色制御パラメータが前記対象パラメータとして選択された場合には、前記対象画像データによって表される画像上に形成された、前記肌色画素が連結した領域の総数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定を利用する、
画像処理装置。
【請求項10】
画像処理方法であって、
対象画像データを解析する工程と、
前記解析工程の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する工程と、
前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する工程と、
操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する工程と、
を備える、方法。
【請求項11】
画像を処理するコンピュータプログラムであって、
対象画像データを解析する機能と、
前記解析機能の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する機能と、
前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する機能と、
操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
表示部と操作部とを利用可能な画像処理装置であって、
対象画像データを解析する解析部と、
前記解析部の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択し、前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを前記表示部に表示するユーザインタフェース制御部と、
前記操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する画像調整部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記解析部は、前記対象画像データを解析することによって、予め設定された複数の画像条件の中から、前記対象画像データによって満たされる画像条件を選択し、
前記ユーザインタフェース制御部は、前記選択された画像条件に予め対応付けられた制御パラメータを前記対象パラメータとして選択する、
画像処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられた第1画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記複数の制御パラメータの中の一部の制御パラメータが対応付けられるとともに、前記第1画像条件には対応付けられていない制御パラメータが対応付けられている第2画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項5】
請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記対象画像データの撮影シーンを表す画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項6】
請求項2ないし請求項5のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の画像条件は、前記対象画像データの総画素数に対する所定の色範囲の色を示す画素の数の比率が所定値よりも大きいことを表す画像条件を含む、
画像処理装置。
【請求項7】
請求項2ないし請求項6のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記画像調整は、複数種類の画像処理を含み、
前記画像調整部は、前記複数種類の画像処理の中の、前記ユーザインタフェース制御部によって選択されなかった制御パラメータを利用する画像処理を無効にする、
画像処理装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースは、前記操作部に入力された指示に応答して前記対象パラメータを調整するための調整コントロールを含み、前記対象パラメータ以外の制御パラメータのための調整コントロールを含まない、
画像処理装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像処理装置であって、
前記複数の制御パラメータは、所定の肌色範囲の色を示す肌色画素の色の調整に利用される肌色制御パラメータを含み、
前記画像調整部は、前記肌色制御パラメータが前記対象パラメータとして選択された場合には、前記対象画像データによって表される画像上に形成された、前記肌色画素が連結した領域の総数に拘わらずに、全ての前記肌色画素の色の調整に肌色制御パラメータの同じ設定を利用する、
画像処理装置。
【請求項10】
画像処理方法であって、
対象画像データを解析する工程と、
前記解析工程の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する工程と、
前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する工程と、
操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する工程と、
を備える、方法。
【請求項11】
画像を処理するコンピュータプログラムであって、
対象画像データを解析する機能と、
前記解析機能の解析結果に応じて、画像調整に利用され得る複数の制御パラメータの中から設定対象の制御パラメータである対象パラメータを選択する機能と、
前記対象パラメータを調整するためのユーザインタフェースを表示部に表示する機能と、
操作部に入力された指示によって設定された前記対象パラメータを利用して、前記対象画像データに対する前記画像調整を実行する機能と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−282204(P2008−282204A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125629(P2007−125629)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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