説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法及び画像処理装置の制御プログラム

【課題】簡易な構成で且つユーザに余計な操作を求めることなく、ユーザによる装置の使用意図に応じて装置の省電力状態からの復帰時間を短縮すること。
【解決手段】通常状態と、メインCPU1100への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、省電力状態においても通電されるサブCPU1320を有する画像処理装置であって、サブCPU1320は、復帰要因を検知し、検知された復帰要因を識別し、識別された復帰要因を記憶媒体に記憶させ、復帰要因の検知に応じてメインCPU1100への通電を開始し、メインCPU1100は、通電が開始されて起動された後に、記憶された復帰要因を読み込み、読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能を優先的に起動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理装置の制御方法及び画像処理装置の制御プログラムに関し、特に画像処理装置の省電力状態から通常状態への復帰処理に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報の電子化が推進される傾向にあり、電子化された情報の出力に用いられるプリンタやファクシミリ及び書類の電子化に用いるスキャナ等の画像処理装置は欠かせない機器となっている。このような画像処理装置は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、コピー機として利用可能な複合機として構成されることが多い。
【0003】
上述した複合機においては、通常の運転状態の他に省電力状態を設定することができるようになっているものが多い。この種の画像処理装置では、消費電力を低減するために、通常の運転状態の他に複合機が使用されていないときには、省電力状態に遷移するようになっている。省電力状態とは、複合機の消費電力を低減するために、運転状態でないときに複合機の大半の部分を通電されていない状態とするもので、しばしば制御部を構成するRAM(Random Access Memory)等の通電までも切断してしまう。このため省電力状態から通常状態への復帰時には、複合機はハードディスクや不揮発性メモリから再度プログラムを読み込み、RAMに展開する必要が生じる。
【0004】
一方、複合機はユーザにコピー、プリンタ、スキャナ、FAX等の様々な機能を提供しており、これらの機能は増える一方である。このため省電力状態からの通常の通電状態への復帰時に、これらの機能を実現するための夫々のアプリケーション・プログラムを再度読み込む必要があるため、省電力状態から通常状態への復帰時間は長くなる。このため、例えば、ユーザがスキャナを使用したくとも、複合機が省電力状態に移行しているとスキャナ機能を実現するためのアプリケーション・プログラムが読み込まれるまでの間待つ必要があり、ユーザが利用したい機能がなかなか使用できないという状態になる。
【0005】
そこで、ユーザが複合機を使用可能となるまでの待ち時間を短縮する技術として、ユーザが使用したい機能を選択し、選択された機能に対応するプログラムを省電力状態からの復帰時に優先的にハードディスクからRAMにロードしてその機能を使用可能にした後、他のプログラムを起動する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されているような方法では、ユーザを待たせる時間は短くて済むが、優先的に復帰させたい機能の分だけ選択部を用意しなければならず、消費電力が増加してしまい、また、選択部の増加に伴ってユーザによる操作が煩雑になってしまうという問題があった。
【0007】
更に、複合機の動作には、ユーザによる操作部の操作に応じて実行される動作と、ネットワークを介して入力されたコマンドに応じて実行される動作とがあり、後者の場合、特許文献1に開示されている方法は用いることができない。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で且つユーザに余計な操作を求めることなく、ユーザによる装置の使用意図に応じて装置の省電力状態からの復帰時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態においても通電される第二の制御部を有する画像処理装置であって、前記第二の制御部は、前期省電力状態から前期通常状態へ復帰する要因となる復帰要因を検知する復帰要因検知部と、前記検知された復帰要因を識別する復帰要因識別部と、前記識別された復帰要因を記憶媒体に記憶させる復帰要因記憶部と、前記復帰要因の検知に応じて前記第一の制御部への通電を開始する第一の制御部起動部とを有し、前記第一の制御部は、前記通電が開始されて起動された後に、前記記憶された復帰要因を読み込む復帰要因読込部と、前記読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能を優先的に起動する機能起動制御部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【0010】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有する共に、前記省電力状態においても通電される第二の制御部を有する画像処理装置の制御方法であって、前期省電力状態から前期通常状態へ復帰する要因となる復帰要因を生成し、前記第二の制御部が、前記復帰要因を検知し、前記検知された復帰要因を識別し、前記識別された復帰要因を記憶媒体に記憶させ、前記復帰要因の検知に応じて前記第一の制御部への通電を開始し、前記第一の制御部が、前記通電が開始されて起動された後に、前記記憶された復帰要因を読み込み、前記読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能を優先的に起動することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で且つユーザに余計な操作を求めることなく、ユーザによる装置の使用意図に応じて装置の省電力状態からの復帰時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの運用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を模式的に示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る画像処理装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態に係る画像処理装置の状態遷移を示す図である。
【図6】従来の画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、画像形成装置の例として、画像形成出力を実行する画像処理装置であって、ネットワークを介して入力されたコマンドに応じて省電力状態から通常の通電状態に復帰する装置を例として説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係るシステムの運用形態の例を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係るシステムは、画像処理装置1、クライアント端末2、データ管理サー3がネットワーク4を介して接続され、さらに、画像処理装置1は電話回線5に接続されて構成されている。
【0015】
画像処理装置1は、撮像機能、画像形成機能及び通信機能等を備えることにより、プリンタ、ファクシミリ、スキャナ、複写機として利用可能なMFP(MultiFunction Peripheral:複合機)である。本実施形態において、画像処理装置1は、ネットワーク4を介してクライアント端末2から受信した印刷ジョブに基づいて画像形成出力を実行する。
【0016】
クライアント端末2は、ユーザが操作する情報処理端末であり、PC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実現される。ユーザがクライアント端末2を操作することにより、ネットワーク4を介して印刷ジョブをクライアント端末2から画像処理装置1へ送信することができる。
【0017】
データ管理サーバ3は、ネットワーク上に存在するファイル共有サーバであり、印刷対象となるデータが格納されている。なお、ユーザは、画像処理装置1やクライアント端末2からネットワーク4を介してデータ管理サーバ3にアクセスすることにより、印刷したいデータを選択及び取得することができる。
【0018】
図1におけるネットワーク4は、例えばオフィスLAN(Local Area Network)等の限定されたネットワークであるが、インターネットや電話回線等の広域ネットワークを介して接続される態様とすることも可能である。
【0019】
次に、本実施形態に係る画像処理装置1、クライアント端末2、データ管理サーバ3のハードウェア構成について図2を参照して説明する。なお、本実施形態に係る画像処理装置1は、図2に示すハードウェア構成に加えて、スキャナ、プリンタ、ファクシミリ、コピー等を実現するためのエンジンを備える。以下の説明においては、画像処理装置1のハードウェア構成を例として説明するが、クライアント端末2についても同様である。
【0020】
図2に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、一般的なサーバやPC等と同様の構成を含む。即ち、本実施形態に係る画像処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)10、RAM(Random Access Memory)20、ROM(Read Only Memory)30、HDD(Hard Disk Drive)40及びI/F50がバス80を介して接続されている。また、I/F50にはLCD(Liquid Crystal Display)60及び操作部70が接続されている。
【0021】
CPU10は演算手段であり、画像処理装置1全体の動作を制御する。RAM20は、情報の高速な読み書きが可能な揮発性の記憶媒体であり、CPU10が情報を処理する際の作業領域として用いられる。ROM30は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウェア等のプログラムが格納されている。HDD40は、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。
【0022】
I/F50は、バス80と各種のハードウェアやネットワーク等を接続し制御する。LCD60は、ユーザが画像処理装置1の状態を確認するための視覚的ユーザインタフェースである。操作部70は、キーボードやマウス等、ユーザが画像処理装置1に情報を入力するためのユーザインタフェースである。尚、図1において説明したように、本実施形態に係るデータ管理サーバ3は共有サーバとして運用される。従って、LCD60及び操作部70等のユーザインタフェースは省略可能である。
【0023】
このようなハードウェア構成において、ROM30やHDD40若しくは図示しない光学ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムがRAM20に読み出され、CPU10がRAM20にロードされたプログラムに従って演算を行うことにより、ソフトウェア制御部が構成される。このようにして構成されたソフトウェア制御部と、ハードウェアとの組み合わせによって、本実施形態に係る画像処理装置1、クライアント端末2、データ管理サーバ3の機能を実現する機能ブロックが構成される。
【0024】
次に、本実施形態に係る画像処理装置1のハードウェア構成について、図3を参照して説明する。図3は、本実施形態に係る画像処理装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る画像処理装置1は、コントローラ1000、データ記憶部1010、操作部1020、画像読取部1030、画像形成部1040、ファクシミリ1050、用紙セットセンサ1060、本体部電源スイッチ1070、主電源スイッチ1080、AC/DC電源生成部1090を有する。
【0025】
また、コントローラ1000は、上述したCPU10に相当するメインCPU1100、上述したRAM20に相当する主メモリ1200の他に、信号受信部1300、サブ電源スイッチ1400を含む。さらに、信号受信部1300は、Ethernet(登録商標)用PHY1310、サブCPU1320を含む。尚、図3においては、電気的接続を実線の矢印で示しており、電力の流れを破線の矢印で示している。
【0026】
コントローラ1000は、ソフトウェアとハードウェアとが連携して動作することにより機能する。具体的には、ROM30や不揮発性メモリ並びにHDD40や光学ディスク等によって構成されるデータ記憶部1010に格納されたプログラムが、主メモリ1200等の揮発性メモリ(以下、メモリ)にロードされ、メインCPU1100がそのプログラムに従って演算を行うことにより構成されるソフトウェア制御部と、信号受信部1300やサブ電源スイッチ1400などのハードウェアとが連携することによりコントローラ1000が機能する。コントローラ1000は、画像処理装置1全体を制御する制御部として機能する。
【0027】
メインCPU1100は、コントローラ1000に含まれる各部を制御する役割を担い、コントローラ1000の各部に命令を与える。主メモリ1200は、図2のRAM20に相当し、メインCPU1100が情報を処理する際の作業領域として用いられる。メインCPU1100は、本体部電源スイッチ1070またはサブ電源スイッチ1400がONのときには電源はONであり、本体部電源スイッチ1070またはサブ電源スイッチ1400がOFFのときには電源はOFFである。
【0028】
信号受信部1300は、Ethernet(登録商標)用PHY1310とサブCPU1320から構成され、ネットワーク接続を担う。信号受信部1300は、ネットワーク4を介してEthernet(登録商標)用PHY1310に入力されたネットワーク信号をサブCPU1320を介してメインCPU1100に送る。これにより画像処理装置1はネットワーク4を介してネットワーク接続される。
【0029】
サブCPU1320は、操作部1020、画像読取部1030、ファクシミリ1050、用紙セットセンサ1060、Ethernet(登録商標)用PHY1310が生成した復帰要因となる信号を検知し、検知した復帰要因はどこで生成された復帰要因かを識別する。また、サブCPU1320は、復帰要因を検知したら、画像処理装置1の省エネモードにおける電源OFF状態のメインCPU1100を電源ONの状態に切り替える役割を担う。
【0030】
ここで、復帰要因とは、画像処理装置1を省エネモードからスタンバイモードへと遷移させるためのトリガーであり、サブCPU1320が復帰要因を検知することにより省エネモードからスタンバイモードへと遷移させるべく制御を実行する。これは、サブCPU1320は内部にキャッシュメモリとしてのSRAMを含み、そのSRAMにロードされた復帰要因検知プログラムに従って演算を行うことにより、復帰要因検知動作や復帰動作を実行する。モード及び異なるモードへの遷移については後述する。
【0031】
尚、SRAMの代わりに主メモリ1200のようなサブCPU1320の外部にあるメモリに復帰要因プログラムが読み出され、そのプログラムに従ってサブCPU1320が演算を行うことにより上述した機能が実現される構成としても良い。上記したように、サブCPU1320によって構成される復帰要因検知機能は、検知した復帰要因がどこで生成されたか識別できるので、優先的に使用可能にする機能を決定して、その機能に対応したアプリケーションを起動することができる。これは本実施形態に係る要旨の一つである。
【0032】
また、サブCPU1320は、省エネモードにおいて、Ethernet(登録商標)用PHY1310に入力されたネットワーク信号をメインCPU1100に自動で送るネットワーク応答を担う。
【0033】
さらに、サブCPU1320は、タイマー時計などの機器制御を行う機能を有し、画像処理装置1のスタンバイモードにおいて画像処理装置1へのユーザからの操作や装置動作が一定時間ない場合に、本体部電源スイッチ1070を自動的にONからOFFへ切り替える。このとき、画像処理装置1はスタンバイモードから省エネモードへと遷移する。反対に、サブCPU1320は、画像処理装置1の省エネモードにおいてサブCPU1320が復帰要因を検知した場合に、本体部電源スイッチ1070を自動的にOFFからONへ切り替える。このとき、画像処理装置1は省エネモードからスタンバイモードへと遷移する。
【0034】
サブ電源スイッチ1400は、ユーザが直接操作することにより、ON/OFFが切り替えられ、その切替信号をサブCPU1320へ送る。切替信号を受け取ったサブCPU1320は、その切替信号に基づいて本体部電源スイッチ1070の切り替えを自動で行う。
【0035】
画像処理装置1が省エネモードである時に、ユーザがサブ電源スイッチ1400を操作することにより、サブCPU1320が、画像処理装置1のモードを省エネモードからスタンバイモードへと遷移させる。このとき、サブ電源スイッチ1400はOFFからONになり、切替信号を受け取ったサブCPU1320は受け取った切替信号に基づいて本体部電源スイッチ1070をOFFからONに切り替える。反対に、画像処理装置1がスタンバイモードである時に、ユーザがサブ電源スイッチ1400を操作することにより、サブCPU1320が、画像処理装置1のモードをスタンバイモードから省エネモードへと遷移させる。このとき、サブ電源スイッチ1400はONからOFFになり、切替信号を受け取ったサブCPU1320は受け取った切替信号に基づいて本体部電源スイッチ1070をONからOFFへ切り替える。
【0036】
データ記憶部1010は、図2のHDD40に相当し、情報の読み書きが可能な不揮発性の記憶媒体であり、画像処理装置1を制御するためのOSや各種の制御プログラム、アプリケーション・プログラム等が格納される。また、データ記憶部1010は、図2のROM30に相当する読み出し専用の記憶媒体も含む。なお、データ記憶部1010は、画像処理装置1が省エネモードである時には、本体部電源スイッチ1070がOFFであるため、電源は供給されない。
【0037】
操作部1020は、操作ボタン1021、操作パネル1022を含む。操作ボタン1021は、ユーザが画像処理装置1を直接操作し、若しくは画像処理装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースであり、図示しない複数のボタンにより構成されている。操作ボタン1021は、画像処理装置1がスタンバイモードのときにはユーザのキー操作に応じた信号を生成してメインCPU1100にその信号を送る。
【0038】
また、操作ボタン1021は、画像処理装置1が省エネモードのときには、ユーザが操作ボタン1021の何れかに触れたことを検知し、検知信号を生成して、その検知信号をサブCPU1320に送るためのセンサとしての機能を有する。つまり、画像処理装置1が省エネモードである時には、操作ボタン1021は、ユーザが操作ボタン1021のどのボタンを操作してもキー操作に応じた信号を生成せず、ユーザが操作ボタン1021に触れたことだけを検知する信号を生成するのみである。なお、画像処理装置1が省エネモードである時でも、操作ボタン1021がセンサとして機能するための電源は別途確保されている。操作ボタン1021は、図2に示す操作部70によって実現される。
【0039】
操作パネル1022は、画像処理装置1の状態を視覚的に表示する出力インタフェースであると共に、タッチパネルとしてユーザが画像処理装置1を直接操作し、若しくは画像処理装置1に対して情報を入力する際の入力インタフェースでもある。即ち、操作パネル1022は、ユーザによる操作を受けるための画像を表示する機能を含む。操作パネル1022は、画像処理装置1がスタンバイモードのときにはユーザのパネル操作に応じた信号を生成してメインCPU1100にその信号を送る。
【0040】
また、操作パネル1022は、画像処理装置1が省エネモードのときには、ユーザが操作パネル1022に触れたことを検知し、検知信号を生成して、その検知信号をサブCPU1320に送るためのセンサとしての機能を有する。つまり、画像処理装置1が省エネモードである時には、ユーザが操作パネル1022のどの部分を操作してもパネル操作に応じた信号を生成せず、ユーザが操作パネル1022に触れたことだけを検知する信号を生成するのみである。なお、画像処理装置1が省エネモードである時でも、操作パネル1022がセンサとして機能するための電源は別途確保されている。操作パネル1022は、図2に示すLCD60及び操作部70によって実現される。
【0041】
画像読取部1030は、メインCPU1100の制御に従い、原稿を撮像して撮像情報を取得し、取得した撮像情報をメインCPU1100に送る。画像形成部1040は、メインCPU1100の制御に従い、印刷出力すべき画像情報に基づいて生成された描画情報を画像として形成する。なお、画像読取部1030及び画像形成部1040は、画像処理装置1が省エネモードである時には本体部電源スイッチ1070がOFFであるため、電源は供給されない。
【0042】
ファクシミリ1050は、電話回線5を介して画像情報を受信し、その画像情報をメインCPU1100に送る。また、ファクシミリ1050は、ユーザの操作によって、画像情報を電話回線5を介して他の場所にある画像処理装置1に送信する。なお、ファクシミリ1050は、電話回線5からの受信を常時監視しなければならないため、省エネモードであっても電源は供給される。
【0043】
用紙セットセンサ1060は、画像処理装置1が省エネモードである時に画像読取部1030に用紙がセットされたことを検知し、検知信号を生成して、その検知信号をサブCPU1320に送るためのセンサとして機能する。なお、用紙セットセンサ1060は、用紙のセットを常時監視しなければならないため、画像処理装置1が省エネモードであっても電源は供給される。
【0044】
本体部電源スイッチ1070は、画像処理装置1がスタンバイモードにある時に、画像処理装置1へのユーザからの操作や、装置動作が一定時間ない場合に、サブCPU1320の制御により、自動的にONからOFFへ切り替えられる。このとき画像処理装置1はスタンバイモードから省電力モードへと遷移する。また、本体部電源スイッチ1070は、画像処理装置1が省エネモードにある時に、サブCPU1320が復帰要因を検知した場合に、サブCPU1320の制御により、自動的にOFFからONへ切り替えられる。このとき画像処理装置1は省エネモードからスタンバイモードへと遷移する。
【0045】
本体部電源スイッチ1070がOFFのときは、データ記憶部1010、操作ボタン1021、操作パネル1022、画像読取部1030、画像形成部1040への電源供給はない。なお、上記したように、本体部電源スイッチ1070がOFFのときでも、操作ボタン1021と操作パネル1022がセンサとして機能する際の電源は別途供給される。
【0046】
また、本体部電源スイッチ1070は、サブ電源スイッチ1400の操作によりサブCPU1320の制御を介してON/OFFの切り替えが実行される。つまり、サブ電源スイッチ1400がOFFからONに切り替わった時には、サブCPU1320の制御により本体部電源スイッチ1070もOFFからONに切り替わる。また、サブ電源スイッチ1400がONからOFFに切り替わった時には、サブCPU1320の制御により本体部電源スイッチ1070もONからOFFに切り替わる。
【0047】
主電源スイッチ1080は、サブ電源スイッチ1400がOFFのとき、または、本体部電源スイッチ1070がOFFのときにのみ、すなわち、省エネモードのときにのみ、ユーザの操作によりON/OFFが切り替えられる。主電源スイッチ1080がOFFのときは画像処理装置1を構成するすべての機器への電源供給はない。主電源スイッチ1080がONのときは、画像処理装置1は複数の状態を取りうる。これについては後述する。
【0048】
AC/DC電源生成部1090は、コンセントから入力された交流電源を、画像処理装置1に適した直流電源に変換して画像処理装置1に電源を供給する。
【0049】
次に、本実施形態に係る画像処理装置1のソフトウェア構成について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る画像処理装置1のソフトウェア構成を示すブロック図である。ソフトウェア201としては、種々のアプリケーション211と、プラットフォーム212が存在する。これらは、UNIX(登録商標)等のOS(Operating System)によりプロセス単位で並列的に実行される。
【0050】
アプリケーション211は、画像処理装置1の各機能に固有の情報処理を実行するためのソフトウェアである。アプリケーション211としては、コピー機用のアプリケーションであるコピーアプリ221、プリンタ用のアプリケーションであるプリンタアプリ222、スキャナ用のアプリケーションであるスキャナアプリ223、ファクシミリ用のアプリケーションであるファクシミリアプリ224及び操作部1020を制御するためのアプリケーションである操作アプリ225が存在する。この他、HTML文書等を配信するためのWebサーバソフト、HTML文書等を閲覧するためのWebブラウザ等により構成されるネットワークファイルアプリ等を含んでも良い。
【0051】
プラットフォーム212は、アプリケーション211から画像処理装置1の各ハードウェアへの処理要求に関する情報処理を実行するためのソフトウェアである。アプリケーション211からの処理要求の受信には、予め定義されている関数により処理要求を受信するAPI(Application Programming Interface)213を利用して、画像処理装置1の各ハードウェアへの処理要求の送信には、予め定義されている関数により処理要求を送信するENI(Engine Interface)214を利用する。プラットフォーム212は、種々のコントロールサービス231と、SRM(System Resource Manager)232と、種々のハンドラ233を有する。
【0052】
コントロールサービス231は、アプリケーション211から画像処理装置1の各ハードウェアへの処理要求を解釈して、解釈結果に応じて画像処理装置1の各ハードウェアの獲得要求を発生する。コントロールサービス231としては、NCS(Network Control Service)241、FCS(Facsimile Control Service242、DCS(Delivery Control Service)243、ECS(Engine Control Service)244、MCS(Memory Control Service)245、OCS(Operation Control Service)246、UCS(User Directory Control Service)247、SCS(System Control Service)248、OUS(On Demand Update Service)249が存在する。
【0053】
NCS241のプロセスは、ネットワーク等を介してデータ通信を行うためのAPIを提供する。FCS242のプロセスは、ファクシミリとして画像データ通信・画像データ取得・画像データ印刷等を行うためのAPIを提供する。DCS243のプロセスは、画像処理装置1に蓄積されている文書データの配信に関する制御を行う。ECS244のプロセスは、画像処理装置1の画像読取部1030、画像形成部1040に関する制御を行う。MCS245のプロセスは、画像データ記憶・画像データ処理等のメモリやハードディスクドライブに関する制御を行う。OCS246のプロセスは、オペレーションパネルに関する制御を行う。UCS247のプロセスは、ユーザ情報の管理に関する制御を行う。SCS248のプロセスは、システムの管理に関する制御を行う。OUS249のプロセスは、プログラムの更新に関する制御を行う。
【0054】
尚、コントロールサービス231は、画像処理装置1が省エネモードから復帰する際の復帰動作を制御する復帰制御モジュールを含む。この復帰制御モジュールについては後に詳述する。この復帰制御モジュールは、アプリケーション211に含まれる構成としても良い。
【0055】
SRM232は、画像処理装置1の各ハードウェアの獲得要求を調停して、調停結果に応じて画像処理装置1の各ハードウェアへの処理要求を実現するための制御を行う。具体的に言うと、SRM232のプロセスは、獲得要求に係る画像処理装置1の各ハードウェアが利用可能か否か(他の獲得要求と競合しないか否か)を判定して、利用可能である場合にはその旨をコントロールサービス231に通知する。さらには、獲得要求に係る画像処理装置1の各ハードウェアの利用スケジュールを作成して、作成結果に応じて画像処理装置1の各ハードウェアへの処理要求を実現するための制御を行う。
【0056】
ハンドラ233は、上記の調停結果に応じて画像処理装置1の各ハードウェアを管理する。ハンドラ233としては、FCUH(Facsimile Control Unit Hndler)251と、IMH(Image Memory Handler)252が存在する。FCUH251は、ファクシミリコントロールユニットを管理する。IMH252は、メモリを各プロセスに割り振り、各プロセスが割り振られたメモリを管理する。
【0057】
画像処理装置起動部202は、画像処理装置1の電源投入時に、すなわち、主電源209がOFFからONになった時に最初に実行される。これにより、UNIX(登録商標)等のOSが起動されて、プラットフォーム212が起動され、更にアプリケーション211が起動される。これらのプログラムは、データ記憶部1010に格納されており、主メモリ1200に読み出されることによって起動される。
【0058】
次に、画像処理装置1が取りうる状態について図5を参照して説明する。図5は本実施形態に係る画像処理装置1の状態遷移を示す図である。図5に示すように、画像処理装置1の状態には、アクティブモード301、スタンバイモード302、省エネモード303、シャットダウンモード304がある。
【0059】
アクティブモード301は、画像処理装置1がコピー、プリンタ、スキャナ、ファクシミリなど、画像処理装置1が持つ機能のうち、少なくとも一つの機能を動作させている状態であり、消費電力が最も大きくなる。アクティブモード301は、装置動作の命令が実行されるに際して、スタンバイモードから遷移する。
【0060】
スタンバイモード302は、画像処理装置1が待機している状態であり、すぐに装置動作の命令を実行することができる状態である。つまり、スタンバイモードにある画像処理装置1は、それが持つ機能の少なくとも一つをユーザが使用できる状態である。スタンバイモードは、装置動作が終了したらアクティブモード301から遷移する。また、スタンバイモード302へは、シャットダウンモードにおいて主電源スイッチ1090がOFFからONになったときにも遷移する。なお、スタンバイモード302においては、図3で示す本体部電源スイッチ1070、主電源スイッチ1080およびサブ電源スイッチ1400のすべてがONである。
【0061】
省エネモード303は、最も消費電力が低い状態であり、本体部電源スイッチ1070、または、サブ電源スイッチ1400はOFFである。この状態においては、データ記憶部1010、操作ボタン1021、操作パネル1022、画像読取部1030、画像形成部1040、メインCPU1100及び主メモリ1200への電源供給はない。ただし、上記したように、省エネモード303の状態においても、操作ボタン1021、操作パネル1022がセンサとして機能する際の電源は別途供給される。省エネモード303においては、復帰要因の検知およびネットワーク応答は、サブCPU1320で行われる。
【0062】
画像処理装置1がスタンバイモード302の状態にあるとき、画像処理装置1へのユーザからの操作や、装置動作が一定時間ない場合に、画像処理装置1は省エネモード303へ遷移する。このとき、本体部電源スイッチ1070およびサブ電源スイッチ1400はONからOFFに切り替わる。反対に、画像処理装置1が省エネモード303の状態にあるとき、サブCPU1320が復帰要因を検知した場合には、画像処理装置1はスタンバイモード302へ遷移する。
【0063】
主メモリ1200は揮発性記憶媒体であるため、電源供給がない場合、情報が失われる。そのため、省エネモード303に遷移する際、主メモリ1200の記憶領域のイメージは不揮発性の記憶媒体であるデータ記憶部1010にコピーされる。これにより、省エネモード303からの復帰時においては、データ記憶部1010にコピーされた主メモリ1200のイメージを再度読み込むことにより、省エネモード303に遷移する前の状態に復帰することができる。
【0064】
シャットダウンモード304は、主電源スイッチ1080がOFFであり、画像処理装置1を構成するすべての機器への電源供給がない状態である。サブ電源スイッチ1400がOFFのときまたは本体部電源スイッチ1070がOFFのときにのみ、すなわち、省エネモード303においてのみ、ユーザの操作により主電源スイッチ1080がONからOFFに切り替えられて画像処理装置1はシャットダウンモード304へ遷移する。
【0065】
次に、本実施形態に係る画像処理装置1における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作を説明する前に、従来の画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作について、図6を参照して簡単に説明する。図6は従来の画像処理装置における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。図6に示すように、従来の画像処理装置では、アプリケーションが起動を開始してから、すべてのアプリケーションの起動が完了するまでどの機能も使用できない。
【0066】
なお、実際には、予め定められているアプリケーションの起動順序は図6で示す限りではないが、起動順序の変更ができないことと、すべてのアプリケーションが起動し終えるまでどの機能も使用できないことは従来の画像処理装置に共通である。
【0067】
次に、本実施形態に係る画像処理装置1における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作手順について図7を参照して説明する。図7は本実施形態に係る画像処理装置1における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作手順を示すフローチャートである。画像処理装置1が省エネモードからスタンバイモードへ復帰するときには、まず、復帰要因が生成される。この復帰要因には、操作部1020へのユーザからの操作、ファクシミリ1050の画像情報の受信、用紙セットセンサによる用紙セットの検知、Ethernet(登録商標)用PHY1310における印刷要求の受信がある。つまり、操作部1020、ファクシミリ1050、用紙セットセンサ1060、Ethernet(登録商標)用PHY1310が復帰要因生成部として機能する。
【0068】
復帰要因が生成されたら、まず、サブCPU1320は復帰要因を検知する(S701)。このとき、サブCPU1320は、復帰要因検知部として機能する。次に、サブCPU1320は、検知した復帰要因を識別する(S702)。このときサブCPU1320は復帰要因識別部として機能する。サブCPU1320は、識別された復帰要因を自身の持つメモリへ格納(S703)する。このとき、サブCPU1320は復帰要因記憶部として機能する。そして、サブCPU1320は、主制御部としてのメインCPU1100を電源OFFの状態から電源ONの状態へと切り替えて、メインCPU1100を起動させる(S704)。このときサブCPU1320は、第一の制御部起動部として機能する。
【0069】
メインCPU1100が起動したら、メインCPU1100は、データ記憶部1010に格納されていた主メモリ1200のイメージを主メモリ1200に読み出すことによりオペレーティングシステムを復帰させ(S705)、ハードウェアを起動する(S706)。これにより、図4において説明したようなプラットフォーム212のソフトウェア構成が主メモリ1200の記憶領域上に再構成され、上述した復帰制御モジュールも起動する。その後、復帰制御モジュールはS703で格納された復帰要因を読み込む(S707)。このとき復帰制御モジュールは、復帰要因読込部として機能する。復帰制御モジュールは、読み込んだ復帰要因がユーザによるキー操作または用紙セットによるものであるか否かを判定する(S708)。ここで、キー操作とは、操作ボタン1021、操作パネル1022の何れかにユーザが触れること、または、ユーザがサブ電源スイッチ1400を操作することを指す。
【0070】
S707で読み込まれた復帰要因がユーザによるキー操作または用紙セットによるものであると判定された場合(S708/YES)は、この復帰要因はユーザが画像処理装置1に対して直接操作した結果生成されたものである。その場合、ユーザが画像処理装置1のすぐ近くにいると考えられるため、操作部1020を使用可能にするためのアプリケーションを優先的に起動させ、ユーザの次の操作が可能な状態に一刻も早く遷移させる必要がある。
【0071】
従って、復帰制御モジュールは、S707で読み込んだ復帰要因がユーザによるキー操作または用紙セットによるものであると判定した場合(S708/YES)には、操作アプリ225を優先的に起動させる(S709)。ここで、復帰制御モジュールは機能起動制御部として機能する。そして、機能選択画面が表示され(S710)、操作部1020の使用が可能になり、画像処理装置1は省エネモードからスタンバイモードへの遷移を完了する。
【0072】
S707で読み込まれた復帰要因がユーザによるキー操作または用紙セットのどちらでもないと判定された場合(S708/NO)は、この復帰要因は画像処理装置1に対してユーザが直接操作することなしに生成されたものである。ここで、ユーザが直接操作することなしに生成された復帰要因とは、ネットワーク4を介しての印刷要求の受信、または、電話回線5を介しての画像情報の受信により生成された復帰要因である。従って、この場合には、画像形成部1040またはファクシミリ1050を使用可能にするためのアプリケーションを優先的に起動させ、画像処理装置1の状態をプリンタ機能もしくはファクシミリ機能が使用可能な状態に一刻も早く遷移させる必要がある。
【0073】
S707で読み込まれた復帰要因がユーザによるキー操作または用紙セットによるものでないと判定された場合(S708/NO)、復帰制御モジュールは、読み込んだ復帰要因が印刷要求であるか否か判定する(S711)。復帰要因が印刷要求である場合(S711/YES)には、プリンタ機能を使用可能にするためのアプリケーションを優先的に起動させ、印刷が可能な状態に一刻も早く遷移させる必要がある。従って、復帰制御モジュールは、プリンタアプリ222を優先的に起動させ(S712)、画像処理装置1は省エネモードからスタンバイモードへの遷移を完了する。このとき復帰制御モジュールは、機能起動制御部として機能する。
【0074】
一方、復帰要因が印刷要求でない場合(S711/NO)には、ファクシミリ機能を使用可能にするためのアプリケーションを優先的に起動させ、ファクシミリ1050による画像情報の受信が可能な状態に一刻も早く遷移させる必要がある。従って、復帰制御モジュールは、ファクシミリアプリ224を優先的に起動させ(S713)、画像処理装置1は省エネモードからスタンバイモードへの遷移を完了する。
【0075】
尚、優先的に起動させたアプリケーション以外については、予め定められた順番にしたがって起動し、使用可能な状態に復帰させても良いし、そのまま使用できない状態、つまり、省エネモードのままの状態でも良く、ユーザが適宜どちらかに切り替えるような構成としても良い。また、予め定められる順番は、ユーザが自由に設定できるように構成しても良い。これらについては、図8と図9を参照して説明する。
【0076】
図8は、本実施形態に係る画像処理装置1における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。尚、図8では、復帰要因が印刷要求であった場合を例にとっている。図8に示すように、本発明に係る画像処理装置1では、ある特定の機能のアプリケーションが起動を完了したら、他の機能のアプリケーションの起動が完了するのを待つことなく起動を終えたアプリケーションの機能を使用することができる。
【0077】
他の機能のアプリケーションいついては、使用可能となった機能の動作中にバックグラウンドで順次起動させ、ついには全機能使用可能となる。このような構成とすることで、全機能が使用可能となるまでの時間を短縮することができ、従来の画像処理装置と比較して消費電力を低減させることができる。
【0078】
また、図9に示すように、ある特定の機能のアプリケーションが起動を完了したら、他の機能のアプリケーションについては、そのまま使用できない状態としても良い。図9は、本実施形態に係る画像処理装置1における省エネモードからスタンバイモードへの復帰動作の時間経過を示す図である。尚、図9では、復帰要因が印刷要求であった場合を例にとっている。図9に示すように、本発明に係る画像処理装置1では、ある特定のアプリケーションが起動を完了したら、他の機能のアプリケーションの起動が完了するのを待つことなく起動を終えたアプリケーションの機能を使用することができる。
【0079】
他の機能のアプリケーションについては、そのまま使用できない状態であり、使用可能となった機能の動作完了後には直ちに省エネモードへと遷移する。このような構成とすることで、使用する機能だけの起動となることから起動時間が短縮され、その機能を使用し終えたら速やかに省エネモードに遷移するため、消費電力をより低減させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 画像処理装置
2 クライアント端末
3 データ管理サーバ
4 ネットワーク回線
5 電話回線
10 CPU
20 RAM
30 ROM
40 HDD
50 I/F
60 LCD
70 操作部
80 バス
1000 コントローラ
1010 データ記憶部
1020 操作部
1021 操作ボタン
1022 操作パネル
1030 画像読取部
1040 画像形成部
1050 ファクシミリ
1060 用紙セットセンサ
1070 本体電源スイッチ
1080 主電源スイッチ
1090 AC/DC電源生成部
1100 メインCPU
1200 主メモリ
1300 信号検知部
1310 Ethernet(登録商標)用PHY
1320 サブCPU
1400 サブ電源スイッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2007−194876号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有すると共に、前記省電力状態においても通電される第二の制御部を有する画像処理装置であって、
前記第二の制御部は、
前期省電力状態から前期通常状態へ復帰する要因となる復帰要因を検知する復帰要因検知部と、
前記検知された復帰要因を識別する復帰要因識別部と、
前記識別された復帰要因を記憶媒体に記憶させる復帰要因記憶部と、
前記復帰要因の検知に応じて前記第一の制御部への通電を開始する第一の制御部起動部とを有し、
前記第一の制御部は、
前記通電が開始されて起動された後に、前記記憶された復帰要因を読み込む復帰要因読込部と、
前記読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能を優先的に起動する機能起動制御部とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記優先的に起動されて起動が完了した機能が、起動が完了する前の他の機能があった場合であっても使用可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記機能起動制御部は、前記読み込まれた復帰要因が前記画像処理装置へのユーザの直接操作によるものである場合、前記画像処理装置へのユーザの直接操作を処理する機能を優先的に起動することを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記機能起動制御部は、前記読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能のみを起動することを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第二の制御部は、前記優先的に起動された機能の動作が終了した後、装置を省電力状態に遷移させることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
通常状態と、装置全体を制御する第一の制御部への通電が停止した省電力状態とを有する共に、前記省電力状態においても通電される第二の制御部を有する画像処理装置の制御方法であって、
前期省電力状態から前期通常状態へ復帰する要因となる復帰要因を生成し、
前記第二の制御部が、
前記復帰要因を検知し、
前記検知された復帰要因を識別し、
前記識別された復帰要因を記憶媒体に記憶させ、
前記復帰要因の検知に応じて前記第一の制御部への通電を開始し、
前記第一の制御部が、
前記通電が開始されて起動された後に、前記記憶された復帰要因を読み込み、
前記読み込まれた復帰要因に基づいて優先的に起動する機能を決定し、決定した機能を優先的に起動することを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−34072(P2013−34072A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168566(P2011−168566)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】