説明

画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法

【課題】1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれに起因する表示画像の画質の低下を抑えることができる画像処理装置等を提供する。
【解決手段】1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理装置は、表示画面内の基準位置における表示画素を構成し前記サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶するずれ量記憶部と、前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に応じて、前記表示画面の端部の表示サブ画素に対応した前記サブ画素の画素値を補正する画素値補正部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大画面テレビジョンやプロジェクタ等の高性能な画像表示装置が広く普及しており、これらの画像表示装置においては、より一層、表示画像の高画質化が重要となっている。特に、設置の自由度が高く、いわゆるズーム機能により表示画像のサイズを簡単に調整できる画像表示装置として重宝されているプロジェクタについては、コンテンツ自体の高画質化により、より一層の高画質化に対する要求が強まっている。
【0003】
このようなプロジェクタに関し、特許文献1には、ライトバルブとして透過型のマトリックス形液晶表示装置を用いたプロジェクタが開示されている。このプロジェクタは、複数のダイクロイックミラーを備え、光源からの光を複数のダイクロイックミラーによりR、G、Bの3原色に分離し、それぞれの光を液晶表示装置に透過させた後に、投射レンズを介してスクリーンに投射する。このとき、ミラー等の光学的手段によって2次元的な表示画素配置が一致するように液晶表示装置の透過光を合成させる。
【0004】
この種のプロジェクタでは、例えばマトリックス形液晶表示装置の画素数を増加させてコンテンツに対応した画像信号に基づく光変調を行って画像表示を行うことで、表示画像の高画質化を図ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開昭61−150487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プロジェクタの光学系の色収差や、光学系の構成部材の位置調整手段の調整精度等に起因して、スクリーン上において、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれが生じる。このため、例えばスクリーンの表示画像のエッジ部分において、解像感の低下や偽色の発生を伴い、表示画像の画質の劣化を招くという問題がある。このようなサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量は、表示画素数が少ないときは無視できる程度であったが、表示画素数の増大に伴い表示位置のずれが目立つようになり、スクリーン上における表示サブ画素の表示位置のずれに起因した画質の劣化を招きやすくなる傾向にある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれに起因する表示画像の画質の低下を抑えることができる画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理装置であって、表示画面内の基準位置における表示画素を構成する、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶するずれ量記憶部と、前記表示画面内の目的表示位置における表示画素を構成するサブ画素に対応した基準表示サブ画素を選択し、前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に応じて、該表示基準サブ画素を基準に当該表示画素を構成する残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する画素値補正部とを含む画像処理装置に関係する。
【0009】
本発明によれば、表示画面内の基準位置における表示画素を構成する表示サブ画素であって、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶しておき、表示画面内の目的表示位置における表示画素を構成する基準表示サブ画素を選択し、該基準表示サブ画素を基準に残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正するようにしたので、目的表示位置における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、表示画面内の目的表示位置における解像感の低下や偽色の発生を抑え、表示画面の画質の低下を抑えることができるようになる。
【0010】
また本発明は、1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理装置であって、表示画面内の基準位置における表示画素を構成し前記サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶するずれ量記憶部と、前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に応じて、前記表示画面の端部の表示サブ画素に対応した前記サブ画素の画素値を補正する画素値補正部とを含む画像処理装置に関係する。
【0011】
本発明によれば、表示画面内の基準位置における表示画素を構成する表示サブ画素であって、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶しておき、表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の画素値を補正するようにしたので、最も偽色が発生しやすい位置である表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0012】
また本発明に係る画像処理装置では、前記ずれ量記憶部は、前記表示画面内の複数の基準位置において、前記表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶し、前記画素値補正部は、前記ずれ量記憶部に記憶された複数の基準位置における前記表示サブ画素の表示位置のずれ量を補間して前記端部の表示サブ画素の表示位置のずれ量を算出し、該ずれ量に応じて前記端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することができる。
【0013】
本発明によれば、ずれ量記憶部の記憶容量を削減することができるようになり、上記の効果に加えて画像処理装置の低コスト化も図ることができるようになる。
【0014】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画素値補正部は、前記端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち所与の方向において前記表示画面の中央部から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する基準表示サブ画素選択部と、前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に基づいて、前記基準表示サブ画素選択部により選択された前記基準表示サブ画素の表示位置を基準に、前記複数の表示サブ画素のうち前記基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素のずれ量を算出する表示サブ画素ずれ量算出部と、前記表示サブ画素ずれ量算出部により算出されたずれ量に基づいて、前記複数の表示サブ画素のうち前記基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する画素値補正演算部とを含むことができる。
【0015】
本発明によれば、表示画面の端部における表示画素を構成するすべての表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することなく、画素値の補正対象となるサブ画素を限定することができるので、表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、少ない処理負荷で、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0016】
また本発明に係る画像処理装置では、1画素が少なくともR成分のサブ画素、G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成され、前記ずれ量記憶部は、前記基準位置における表示画素を構成するG成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準に、該表示画素を構成するR成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量、及び該表示画素を構成するB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶することができる。
【0017】
本発明によれば、ずれ量記憶部の記憶容量を削減することができるようになり、上記の効果に加えて画像処理装置の低コスト化も図ることができるようになる。
【0018】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画素値補正部は、前記表示画面の左端部、右端部、上端部、及び下端部のうち少なくとも1つの端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することができる。
【0019】
本発明によれば、最も偽色が発生しやすい位置である表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0020】
また本発明に係る画像処理装置では、前記画素値補正部は、前記端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の輝度値を補正することができる。
【0021】
本発明によれば、簡素な処理で、表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0022】
また本発明は、上記のいずれか記載の画像処理装置と、前記画像処理装置によって補正されたサブ画素の画素値に基づいて画像表示を行う画像表示部とを含む画像表示装置に関係する。
【0023】
本発明によれば、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれに起因する表示画像の画質の低下を抑える画像表示装置を提供できるようになる。
【0024】
また本発明は、1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理方法であって、表示画面の端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を取得する画素値取得ステップと、前記表示画面内の基準位置における表示画素を構成し前記サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じて、前記表示画面の端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する画素値補正ステップとを含む画像処理方法に関係する。
【0025】
本発明によれば、表示画面内の基準位置における表示画素を構成する表示サブ画素であって、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶しておき、表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の画素値を補正するようにしたので、最も偽色が発生しやすい位置である表示画面の端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0027】
以下では、本発明に係る画像表示装置としてプロジェクタを例に説明するが、本発明に係る画像表示装置がプロジェクタに限定されるものではない。即ち、1画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれに起因した画質の低下は、プロジェクタに限らず種々の画質表示装置でも起こり得る現象であると考えられるため、本発明に係る画像表示装置はプロジェクタに限定されるものではない。
【0028】
図1に、本発明に係る実施形態における画像表示装置が適用された画像表示システムの構成例のブロック図を示す。
【0029】
本実施形態における画像表示システム10は、画像表示装置としてのプロジェクタ20と、スクリーンSCRとを含む。プロジェクタ20には、1画素を構成する複数のサブ画素の各サブ画素の画素値を有する入力画像信号が入力される。プロジェクタ20は、該入力画像信号に基づいて図示しない光源からの光を変調し、変調後の光をスクリーンSCRに投射する。
【0030】
プロジェクタ20は、画像表示部100と、画像処理部(広義には画像処理装置)200とを含む。画像処理部200には入力画像信号が入力され、サブ画素に対応したスクリーンSCR上での表示サブ画素の表示位置のずれに起因した偽色の発生を抑えるように該入力画像信号を補正し、補正後の画像信号を画像表示部100に供給する。ここで、偽色は、本来的に意図しない画像の色(表示させたい画像には存在しない色)をいう。
【0031】
画像表示部100は、画像処理部200によって補正された画像信号に基づいて、図示しない光源からの光を変調し、変調後の光を用いてスクリーンSCRに投射する。スクリーンSCRに投射された投射画像(表示画像)の画素(表示画素)は、プロジェクタ20が有する光変調部(光変調素子)の画素のスクリーンSCR上の像である輝点を有し、投射画像の画素は光変調部の画素に対応付けられる。
【0032】
以下では、光変調部の画素に対応するスクリーンSCR上に表示された画素を表示画素という。また、光変調部の画素を構成するサブ画素に対応するスクリーンSCR上に表示された画素を表示サブ画素という。この場合、表示画素は表示サブ画素により構成される。
【0033】
スクリーンSCR上での表示サブ画素の表示位置のずれに起因した偽色の発生を抑えるように入力画像信号を補正する画像処理部200は、ずれ量記憶部210と、画素値補正部220とを含む。
【0034】
ずれ量記憶部210は、表示画面内の基準位置における表示画素を構成するサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶する。例えば、ずれ量は、所与の画素測定手段によりスクリーンSCRの表示画面内の基準位置の画素の測定結果に対応した値としてずれ量記憶部210に記憶される。
【0035】
画素値補正部220は、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量に応じて、プロジェクタ20(画像表示部100)によりスクリーンSCRに投射された表示画面(投射画面)内の目的表示位置の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する。より具体的には、画素値補正部220は、表示画面内の目的表示位置における表示画素を構成しサブ画素に対応した基準表示サブ画素を選択し、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量に応じて、該表示基準サブ画素を基準に当該表示画素を構成する残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する。なお、画素値補正部220は、サブ画素の画素値として輝度値を補正することが望ましい。
【0036】
目的表示位置は、サブ画素に対応したスクリーンSCR上での表示サブ画素の表示位置のずれがあっても偽色の発生を抑えたい位置である。このような目的表示位置は、例えばプロジェクタ20がスクリーンSCRに投射した画面(表示画面)の端部(最端部、縁部、境界部)とすることができる。この場合、画素値補正部220は、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量に応じて、表示画面内の端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する。スクリーンSCRの表示画面の端部は画面のエッジ部であり、輝度が急激に変化する部分であるため、本実施形態における補正処理を行わないときには偽色が発生しやすい部分である。
【0037】
以下では、1画素がR成分のサブ画素、G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成されるものとして、本実施形態におけるプロジェクタ20の画像表示部100、画像処理部200について説明するが、本実施形態が、1画素を構成するサブ画素数(色成分数)に限定されるものではない。
【0038】
図2に、図1の画像表示部100の構成例を示す。図2では、本実施形態におけるプロジェクタ20の画像表示部100が、いわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものとして説明するが、本発明に係る画像表示装置の画像表示部がいわゆる3板式の液晶プロジェクタにより構成されるものに限定されるものではない。
【0039】
画像表示部100は、光源110、インテグレータレンズ112、114、偏光変換素子116、重畳レンズ118、R用ダイクロイックミラー120R、G用ダイクロイックミラー120G、反射ミラー122、R用フィールドレンズ124R、G用フィールドレンズ124G、R用液晶パネル130R(第1の光変調部)、G用液晶パネル130G(第2の光変調部)、B用液晶パネル130B(第3の光変調部)、リレー光学系140、クロスダイクロイックプリズム160、投射レンズ170を含む。R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bとして用いられる液晶パネルは、透過型の液晶表示装置である。リレー光学系140は、リレーレンズ142、144、146、反射ミラー148、150を含む。
【0040】
光源110は、例えば超高圧水銀ランプにより構成され、少なくともR成分の光、G成分の光、B成分の光を含む光を射出する。インテグレータレンズ112は、光源110からの光を複数の部分光に分割するための複数の小レンズを有する。インテグレータレンズ114は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズに対応する複数の小レンズを有する。重畳レンズ118は、インテグレータレンズ112の複数の小レンズから射出される部分光を重畳する。
【0041】
また偏光変換素子116は、偏光分離膜とλ/2板とを有し、p偏光を透過させると共にs偏光を反射させ、p偏光をs偏光に変換する。この偏光変換素子116からのs偏光が、重畳レンズ118に照射される。
【0042】
重畳レンズ118によって重畳された光は、R用ダイクロイックミラー120Rに入射される。R用ダイクロイックミラー120Rは、R成分の光を反射して、G成分及びB成分の光を透過させる機能を有する。R用ダイクロイックミラー120Rを透過した光は、G用ダイクロイックミラー120Gに照射され、R用ダイクロイックミラー120Rにより反射した光は反射ミラー122により反射されてR用フィールドレンズ124Rに導かれる。
【0043】
G用ダイクロイックミラー120Gは、G成分の光を反射して、B成分の光を透過させる機能を有する。G用ダイクロイックミラー120Gを透過した光は、リレー光学系140に入射され、G用ダイクロイックミラー120Gにより反射した光はG用フィールドレンズ124Gに導かれる。
【0044】
リレー光学系140では、G用ダイクロイックミラー120Gを透過したB成分の光の光路長と他のR成分及びG成分の光の光路長との違いをできるだけ小さくするために、リレーレンズ142、144、146を用いて光路長の違いを補正する。リレーレンズ142を透過した光は、反射ミラー148によりリレーレンズ144に導かれる。リレーレンズ144を透過した光は、反射ミラー150によりリレーレンズ146に導かれる。リレーレンズ146を透過した光は、B用液晶パネル130Bに照射される。
【0045】
R用フィールドレンズ124Rに照射された光は、平行光に変換されてR用液晶パネル130Rに入射される。R用液晶パネル130Rは、光変調素子(光変調部)として機能し、R用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、R用液晶パネル130Rに入射された光(第1の色成分の光)は、R用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0046】
G用フィールドレンズ124Gに照射された光は、平行光に変換されてG用液晶パネル130Gに入射される。G用液晶パネル130Gは、光変調素子(光変調部)として機能し、G用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、G用液晶パネル130Gに入射された光(第2の色成分の光)は、G用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0047】
リレーレンズ142、144、146で平行光に変換された光が照射されるB用液晶パネル130Bは、光変調素子(光変調部)として機能し、B用画像信号に基づいて透過率(通過率、変調率)が変化するようになっている。従って、B用液晶パネル130Bに入射された光(第3の色成分の光)は、B用画像信号に基づいて変調され、変調後の光がクロスダイクロイックプリズム160に入射される。
【0048】
R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G、B用液晶パネル130Bは、それぞれ同様の構成を有している。各液晶パネルは、電気光学物質である液晶を一対の透明なガラス基板に密閉封入したものであり、例えばポリシリコン薄膜トランジスタをスイッチング素子として、各サブ画素の画像信号に対応して各色光の通過率を変調する。
【0049】
本実施形態では、1画素を構成する色成分毎に光変調部としての液晶パネルが設けられ、各液晶パネルの透過率がサブ画素に対応した画像信号により制御される。即ち、R成分のサブ画素用の画像信号が、R用液晶パネル130Rの透過率(通過率、変調率)の制御に用いられ、G成分のサブ画素用の画像信号が、G用液晶パネル130Gの透過率の制御に用いられ、B成分のサブ画素用の画像信号が、B用液晶パネル130Bの透過率の制御に用いられる。本実施形態におけるプロジェクタ20では、各色成分用の画像信号が補正され、補正後の画像信号が色成分毎に設けられた各液晶パネルに供給されて液晶パネル毎に透過率が制御される。
【0050】
クロスダイクロイックプリズム160は、R用液晶パネル130R、G用液晶パネル130G及びB用液晶パネル130Bからの入射光を合成した合成光を出射光として出力する機能を有する。投射レンズ170は、出力画像をスクリーンSCR上に拡大して結像させるレンズであり、ズーム倍率に応じて画像を拡大又は縮小させる機能を有する。
【0051】
以上のような構成を有する本実施形態における画像表示部100は、上述のようにサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じて補正された画像信号に基づいて変調された光をスクリーンSCRに投射することができる。そして、プロジェクタ20は、画像処理部200によって補正されたサブ画素の画素値に基づいて画像表示を行う画像表示部100を含むことができる。
【0052】
次に、図1の画像処理部200の各部について説明する。
【0053】
図3に、図1の画像処理部200のずれ量記憶部210に記憶されるずれ量の説明図を示す。図3は、プロジェクタ20により投射されたスクリーンSCR上の投射画面(表示画面)DSPを模式的に表す。図3において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図4に、図1のずれ量記憶部210の説明図を示す。
【0054】
本実施形態では、表示画面内の基準位置として、スクリーンSCR上の表示画面DSPの4隅の画素位置P1〜P4が採用される。画素位置P1は、表示画面DSPの左端部(最左端部)を構成する画素群の位置の1つであり、表示画面DSPの上端部(最上端部)を構成する画素群の位置の1つである。画素位置P2は、表示画面DSPの上端部を構成する画素群の位置の1つであり、表示画面DSPの右端部(最右端部)を構成する画素群の位置の1つである。画素位置P3は、表示画面DSPの左端部を構成する画素群の位置の1つであり、表示画面DSPの下端部(最下端部)を構成する画素群の位置の1つである。画素位置P4は、表示画面DSPの右端部を構成する画素群の位置の1つであり、表示画面DSPの下端部を構成する画素群の位置の1つである。
【0055】
そして、ずれ量記憶部210は、4隅の画素位置P1〜P4の各画素位置における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶する。即ち、ずれ量記憶部210は、表示画面DSP内の複数の端部(基準位置)において、表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶する。
【0056】
また本実施形態では、ずれ量記憶部210には、4隅の画素位置P1〜P4の各画素位置(基準位置)について、1画素を構成するR成分、G成分及びB成分のサブ画素のうち、G成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準に、該表示画素を構成するR成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量、及び該表示画素を構成するB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量が記憶される。これにより、ずれ量記憶部210の記憶容量を削減することができ、画像処理部200や画像処理部200を含むプロジェクタ20の低コスト化を図ることができるようになる。また、人間の目に認識しやすいG成分を基準とすることで、ずれ量を用いた処理を扱いやすくできる。
【0057】
ここで、図3の表示画面DSPの水平方向の画素数をm(mは2以上の自然数)、垂直方向の画素数をn(nは2以上の自然数)とすると、画素位置P1は(1,1)、画素位置P2は(m,1)、画素位置P3は(1,n)、画素位置P4は(m,n)である。そして、図4に示すように、画素位置P1の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の水平方向(x方向)のずれ量ΔR11x、R成分の表示サブ画素の垂直方向(y方向)のずれ量ΔR11y、画素位置P1の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、B成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔB11x、B成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔB11yが、画素位置P1に対応したずれ量としてずれ量記憶部210に記憶される。
【0058】
同様に、画素位置P2の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔRm1x、R成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔRm1y、画素位置P2の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、B成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔBm1x、B成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔBm1yが、画素位置P2に対応したずれ量としてずれ量記憶部210に記憶される。また、画素位置P3の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔR1nx、R成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔR1ny、画素位置P3の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、B成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔB1nx、B成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔB1nyが、画素位置P3に対応したずれ量としてずれ量記憶部210に記憶される。更に、画素位置P4の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、R成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔRmnx、R成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔRmny、画素位置P4の表示画素を構成するG成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、B成分の表示サブ画素の水平方向のずれ量ΔBmnx、B成分の表示サブ画素の垂直方向のずれ量ΔBmnyが、画素位置P4に対応したずれ量としてずれ量記憶部210に記憶される。
【0059】
そして、画素値補正部220は、サブ画素の画素値をずれ量に応じて補正するのに先立って、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量を補間することで、表示画面DSPの目的表示位置の画素位置における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれ量を求める。即ち、画素値補正部220は、ずれ量記憶部210に記憶された複数の基準位置における表示サブ画素の表示位置のずれ量を補間して表示画面DSPの端部の表示サブ画素の表示位置のずれ量を算出し、該ずれ量に応じて表示画面DSPの端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する。
【0060】
図5に、図1の画素値補正部220の構成例のブロック図を示す。
【0061】
画素値補正部220は、基準表示サブ画素選択部222と、表示サブ画素ずれ量算出部224と、画素値補正演算部226とを含む。
【0062】
基準表示サブ画素選択部222は、スクリーンSCRの表示画面DSPの端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち所与の方向において表示画面DSPの中央部C1(図3を参照)から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。ここで、表示画面DSPの左端部又は右端部の場合は、端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち水平方向(x方向)において表示画面DSPの中央部C1から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。表示画面DSPの上端部又は下端部の場合は、端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち垂直方向(y方向)において表示画面DSPの中央部C1から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。
【0063】
表示サブ画素ずれ量算出部224は、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量に基づいて、基準表示サブ画素選択部222により選択された基準表示サブ画素の表示位置を基準に、表示画面DSPの端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素のずれ量を算出する。
【0064】
画素値補正演算部226は、表示サブ画素ずれ量算出部224により算出されたずれ量に基づいて、表示画面DSPの端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する。画素値補正演算部226は、補正後の画像信号を図1の画像表示部100に出力する。
【0065】
これにより、表示画面DSPの端部における表示画素を構成するすべての表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することなく、画素値の補正対象となるサブ画素を限定することができるので、表示画面DSPの端部における表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれた場合であっても、少ない処理負荷で、端部における解像感の低下や偽色の発生を抑えることができるようになる。
【0066】
なお、画素値補正部220は、表示画面DSPの左端部、右端部、上端部、及び下端部のすべての端部の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する必要はない。例えば、画素値補正部220は、表示画面DSPの左端部、右端部、上端部、及び下端部のうち少なくとも1つの端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正してもよい。
【0067】
以上のような構成を有するプロジェクタ20では、スクリーンSCR上での表示画面の端部において上述のように画素値を、偽色の発生を抑えるように補正することで、スクリーンSCRの投射画像の画質の低下を防止できるようになる。
【0068】
図6(A)、図6(B)に、本実施形態における画像処理部200における画素値の補正処理を行わない場合のスクリーンSCRの投射画面の説明図を示す。図6(A)は、投射画面内の表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれている状態で、サブ画素の画素値を補正することなくスクリーンSCRに投射した様子を模式的に表したものである。なお、図6(A)では、説明の便宜上、表示画素を構成する表示サブ画素が画面内において一様にずれているものとして示している。図6(B)は、スクリーンSCRの投射画面のイメージを模式的に表したものである。
【0069】
図7(A)、図7(B)に、本実施形態における画像処理部200における画素値の補正処理を行う場合のスクリーンSCRの投射画面の説明図を示す。図7(A)は、投射画面内の表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置がずれている状態で、サブ画素の画素値を補正することなくスクリーンSCRに投射した様子を模式的に表したものである。なお、図7(A)では、説明の便宜上、表示画素を構成する表示サブ画素が画面内において一様にずれているものとして示している。図7(B)は、スクリーンSCRの投射画面のイメージを模式的に表したものである。
【0070】
R成分の表示サブ画素の表示位置、G成分の表示サブ画素の表示位置、及びB成分の表示サブ画素の表示位置が、図6(A)に示すように互いにずれ、且つB成分の表示サブ画素が表示画面DSPの右方向に寄っているものとする。そして、図6(A)に示すように、B成分の表示サブ画素の表示位置が表示画面DSPの下方向に寄っているものとする。
【0071】
このとき、スクリーンSCRに全白の画像を投射した場合であっても、図6(B)に示すように、投射画面の端部のうち左側の端部にはシアン、右側の端部には赤、下側には赤と青、上側には黄が偽色として表れてしまう。
【0072】
これに対して、本実施形態では、表示画面(投射画面)DSPの端部について、上述のように画素値の補正を行うことで、図7(A)に示すように、R成分の表示サブ画素の表示位置、G成分の表示サブ画素の表示位置、及びB成分の表示サブ画素の表示位置が互いにずれていた場合であっても、図7(B)に示すように偽色の発生を抑えることができる。従って、本実施形態によれば、スクリーンSCR上の表示画像において解像感の低下や偽色の発生がなく、サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置がずれた場合でも、画像の低下を防止できるようになる。
【0073】
以下では、このような画素値の補正を行うことができる画像処理部200の処理例について詳細に説明する。
【0074】
図8に、図1の画像処理部200のハードウェア構成例のブロック図を示す。
【0075】
画像処理部200は、CPU300、I/F回路310、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)320、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)330、バス340を有し、バス340を介して、CPU300、I/F回路310、ROM320、RAM330は電気的に接続されている。
【0076】
例えばROM320又はRAM330には、画像処理部200の機能を実現するプログラムが記憶される。CPU300は、ROM320又はRAM330に記憶されたプログラムを読み出し、該プログラムに対応した処理を実行することで、上述の画像処理部200の機能をソフトウェア処理で実現できる。即ち、ROM320又はRAM330に記憶されたプログラムを読み込んで該プログラムに対応した処理を行うCPU300により、図1の画素値補正部220の処理が実現される。なお、RAM330は、CPU300による処理の作業エリアとして用いられたり、ずれ量記憶部210の機能を実現したり、I/F回路310やROM320のバッファエリアとして用いられたりする。なお、ROM320が、図1のずれ量記憶部210の機能を実現してもよい。I/F回路310は、図示しない画像信号生成装置からの画像信号の入力インタフェース処理を行う。
【0077】
図9に、図1の画像処理部200の処理例のフロー図を示す。例えば図8のROM320又はRAM330には、図9に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM320又はRAM330に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図9に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0078】
まず、ずれ量取得ステップとして、画像処理部200は、ずれ量記憶部210において記憶されていたずれ量を取得する(ステップS10)。より具体的には、画像処理部200は、処理対象の画素に対応したずれ量を、画素値の補正処理に先立って取得しておく。例えば、ずれ量記憶部210には、スクリーンSCRへの投射画面上の全表示画素のうち離散的にいくつかの表示画素に対応したずれ量のみが格納されており、画像処理部200が、ずれ量記憶部210から読み出したずれ量を補間することで処理対象の画素に対応した表示画素のずれ量を取得する。また例えば、ずれ量記憶部210には、スクリーンSCRへの投射画面上の全表示画素に対応したずれ量が格納されており、画像処理部200が、処理対象に対応したずれ量を読み出すようにしてもよい。
【0079】
その後、画素値取得ステップとして、画像処理部200は、処理対象の画素又はその修理の画素の画素値を取得する(ステップS12)。そして、画素値補正ステップとして、画像処理部200は、処理対象の画素の画素値を、サブ画素毎に表示サブ画素のずれ量に応じて補正し(ステップS14)、補正後の画素値を画像表示部100に出力して一連の処理を終了する(エンド)。
【0080】
図10に、図9のステップS14の処理例のフロー図を示す。例えば図8のROM320又はRAM330には、図10に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM320又はRAM330に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図10に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0081】
画像処理部200は、まず左端部補正ステップとして、表示画面DSPの左端部(最左端部)の画素の補正処理を行う(ステップS20)。ここで、左端部の画素とは、例えば図3の画素位置P1の画素と画素位置P3の画素とを結ぶ画素群であり、表示画面DSPの左側の端部の画素を構成する。
【0082】
次に、右端部補正ステップとして、画像処理部200は、表示画面DSPの右端部(最右端部)の画素の補正処理を行う(ステップS22)。ここで、右端部の画素とは、例えば図3の画素位置P2の画素と画素位置P4の画素とを結ぶ画素群であり、表示画面DSPの右側の端部の画素を構成する。
【0083】
続いて、上端部補正ステップとして、画像処理部200は、表示画面DSPの上端部(最上端部)の画素の補正処理を行う(ステップS24)。ここで、上端部の画素とは、例えば図3の画素位置P1の画素と画素位置P2の画素とを結ぶ画素群であり、表示画面DSPの上側の端部の画素を構成する。
【0084】
その後、下端部補正ステップとして、画像処理部200は、表示画面DSPの下端部(最下端部)の画素の補正処理を行い(ステップS26)、一連の処理を終了する(エンド)。ここで、下端部の画素とは、例えば図3の画素位置P3の画素と画素位置P4の画素とを結ぶ画素群であり、表示画面DSPの下側の端部の画素を構成する。
【0085】
なお、本実施形態は、図9のステップS14において図10で説明した順序で処理するものに限定されるものではなく、図10で説明した順序以外の順序で処理してもよい。
【0086】
図10のステップS20、ステップS22、ステップS24、ステップS24は、処理対象の画素の選択順序と当該処理の補間処理に用いる周辺画素とを除いて同様の処理であるため、以下では、図10のステップS20について処理例について説明する。
【0087】
図11に、図10のステップS20の処理例のフロー図を示す。例えば図8のROM320又はRAM330には、図11に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM320又はRAM330に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図11に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
【0088】
ここで、ずれ量記憶部210が、図3及び図4に示すように画素位置P1〜P4のずれ量のみを記憶しているものとする。このとき、画像処理部200の画素値補正部220は、処理画素ずれ量算出ステップとして、例えば図5の表示サブ画素ずれ量算出部224において、処理対象の画素(処理画素)のずれ量を算出する(ステップS30)。
【0089】
図12に、図11のステップS30の処理の説明図を示す。
図13に、図11のステップS30の詳細な処理例を示す。
【0090】
図11のステップS30では、画素値補正部220の表示サブ画素ずれ量算出部224が、表示画面DSPの左端部を構成する表示画素を構成する表示サブ画素のずれ量を、ずれ量記憶部210に記憶される画素位置P1、P3の表示画素に対応したずれ量を用いて算出する。例えば、左端部を構成する図12の表示画素Q1を構成する表示サブ画素のずれ量は、水平方向及び垂直方向のそれぞれについて、画素位置P1の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したずれ量、画素位置P3の表示画素を構成する表示サブ画素に対応したずれ量を用いた線形補間により算出される。
【0091】
ここで、図13を用いて、表示画面DSPの左上の画素(画素位置P1の画素)を原点として、垂直方向にr画素だけ正方向(下方向)に位置する画素位置Qrの画素に対応したずれ量を算出する例を説明する。画素位置Qrは、画素位置P3に対してs画素だけ負方向(上方向)に位置するものとする。
【0092】
表示画面DSPの左端部を構成する画素のうち図13の画素位置Qrのずれ量を算出する場合、表示サブ画素ずれ量算出部224は、画素位置P1の画素に対応したずれ量ΔR11、ΔB11(G成分の表示サブ画素を基準)、画素位置P3の画素に対応したずれ量ΔR1n、ΔB1nを用いた補間処理を行って、画素位置Qrの表示画素を構成する表示サブ画素のずれ量ΔR1r、ΔB1rを算出する。ここで、ずれ量ΔR1rは、x方向(水平方向)のずれ量ΔR1rx、y方向(垂直方向)のずれ量ΔR1ryを有し、以下の式のように求められる。
【0093】
ΔR1rx=ΔR11x×s/n+ΔR1nx×r/n ・・・(1)
ΔR1ry=ΔR11y×s/n+ΔR1ny×r/n ・・・(2)
【0094】
また、ずれ量ΔB1rは、x方向のずれ量ΔB1rx、y方向のずれ量ΔB1ryを有し、以下の式のように求められる。
【0095】
ΔB1rx=ΔB11x×s/n+ΔB1nx×r/n ・・・(3)
ΔB1ry=ΔB11y×s/n+ΔB1ny×r/n ・・・(4)
【0096】
なお、図10の例えばステップS24において表示画面DSPの上端部の画素の補正処理を行うときには、表示画面DSPの上端部を構成する表示画素を構成する表示サブ画素のずれ量を、ずれ量記憶部210に記憶される画素位置P1、P2の表示画素に対応したずれ量を用いて算出する。
【0097】
図11において、上記のように表示サブ画素ずれ量算出部224が処理画素のずれ量を算出すると、基準表示サブ画素選択ステップとして、画素値補正部220は、基準表示サブ画素選択部222において、左端部(端部)における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち、水平方向において表示画面DSPの中央部C1から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する(ステップS32)。
【0098】
図14に、図11のステップS32の説明図を示す。
【0099】
図11のステップS30では、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、左端部LTにおける表示画素を構成するR成分及びB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量が求められている。そのため、画素位置P1から画素位置P2に向かう方向を正方向(負方向)と定めた場合、G成分の表示サブ画素のずれ量である「0」とステップS30で求めたずれ量のうちの最大値(最小値)となるずれ量を有する表示サブ画素が基準表示サブ画素となる。即ち、基準表示サブ画素選択部222は、「0」とステップS30で求めたずれ量のうち「0」が最大値のときG成分の表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択し、R成分の表示サブ画素のずれ量が最大値のときR成分の表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択し、B成分の表示サブ画素のずれ量が最大値のときB成分の表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。
【0100】
なお、画素位置P1から画素位置P2に向かう方向を正方向(負方向)と定めた場合、図10の例えばステップS22において表示画面DSPの右端部RTの画素の補正処理を行うとき、基準表示サブ画素選択部222は、G成分の表示サブ画素のずれ量である「0」とステップS30で求めた水平方向のずれ量のうちの最小値(最大値)となるずれ量を有する表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。
【0101】
また、画素位置P1から画素位置P3に向かう方向を正方向(負方向)と定めた場合、図10の例えばステップS24において表示画面DSPの上端部UTの画素の補正処理を行うとき、基準表示サブ画素選択部222は、G成分の表示サブ画素のずれ量である「0」とステップS30で求めた垂直方向のずれ量のうちの最小値(最大値)となるずれ量を有する表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。
【0102】
更に、画素位置P1から画素位置P3に向かう方向を正方向(負方向)と定めた場合、図10の例えばステップS26において表示画面DSPの下端部DTの画素の補正処理を行うとき、基準表示サブ画素選択部222は、G成分の表示サブ画素のずれ量である「0」とステップS30で求めた垂直方向のずれ量のうちの最大値(最小値)となるずれ量を有する表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する。
【0103】
図11において、上記のように基準表示サブ画素選択部222が基準表示サブ画素を選択すると、表示サブ画素ずれ量算出ステップとして、表示サブ画素ずれ量算出部224は、ずれ量記憶部210に記憶されたずれ量に基づいて、基準表示サブ画素選択部222により選択された基準表示サブ画素の表示位置を基準に、左端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素のずれ量を算出する(ステップS34)。
【0104】
そして、画素値補正部220の画素値補正演算部226は、左端部における当該サブ画素に対応した画素値とその周辺部のサブ画素に対応した画素値とを取得する(ステップS36)。その後、画素値補正演算部226は、表示サブ画素ずれ量算出部224により算出されたずれ量に基づいて、左端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正し(ステップS38)、一連の処理を終了する(エンド)。
【0105】
図15(A)、図15(B)、図15(C)、図15(D)に、図11のステップS32〜ステップS38の説明図を示す。図15(A)〜図15(D)は、説明を簡略化するため、画素位置P1付近の画素のうち丸い波線で囲んだ画素(1,2)を構成するサブ画素の補正処理を例に示す。図15(A)〜図15(D)では、R成分の表示サブ画素を「○」印、G成分の表示サブ画素を「×」印、B成分の表示サブ画素を「△」印で表している。
【0106】
図11のステップS30において処理画素のずれ量を算出すると、基準表示サブ画素選択部222は、関数max(ΔR12x,ΔB12x,0)(関数maxは引数の最大値を求める関数)の結果に応じて、基準表示サブ画素を選択する。ここでは、図15(A)に示すように、基準表示サブ画素をR成分の表示サブ画素とする。
【0107】
次に、表示サブ画素ずれ量算出部224は、基準表示サブ画素であるR成分の表示サブ画素を基準に、G成分の表示サブ画素のずれ量とB成分の表示サブ画素のずれ量とを求める。図15(B)において、G成分のx方向のずれ量をXg、G成分のy方向のずれ量をYg、B成分のx方向のずれ量をXb、B成分のy方向のずれ量をYbとする。なお、図15(B)では、x軸方向のずれ量のみを図示している。
【0108】
この結果、表示サブ画素ずれ量算出部224が求める各ずれ量は、次のようになる。
Xg=−ΔR12x ・・・(5)
Yg=−ΔR12y ・・・(6)
Xb=−ΔR12x+ΔB12x ・・・(7)
Yb=−ΔR12y+ΔB12y ・・・(8)
【0109】
続いて、画素値補正演算部226は、図15(C)に示すように、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値と、当該表示画素の周辺の表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値とを取得する。ここでは、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値を、Rin12、Gin12、Bin12とする。
【0110】
そして、画素値補正演算部226は、図15(D)に示すように、基準表示サブ画素として選択したR成分のサブ画素については補正することなくそのまま出力し、G成分及びB成分のサブ画素については補正する。なお、G成分及びB成分については、Ygの符号及びYbの符号に応じて補間処理に用いる周辺画素を構成するサブ画素を異ならせている。
【0111】
例えば、画素ピッチを「1」、サブ画素のずれ量は1未満として、Yg<0のときG成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Gout12=Gin11×(-Yg)×(1+Xg)+Gin12×(1+Yg)×(1+Xg) ・・・(9)
【0112】
また、Yg≧0のときG成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Gout12=Gin12×(1-Yg)×(1+Xg)+Gin13×(Yg)×(1+Xg) ・・・(10)
【0113】
画素値補正演算部226は、B成分についてもG成分と同様に補正後のサブ画素の画素値を求める。即ち、Yb<0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Bout12=Bin11×(-Yb)×(1+Xb)+Bin12×(1+Yb)×(1+Xb) ・・・(11)
【0114】
また、Yb≧0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Bout12=Bin12×(1-Yb)×(1+Xb)+Bin13×(Yb)×(1+Xb) ・・・(12)
【0115】
以上のように、図10のステップS20に示すように、表示画面DSPの左端部の画素を構成するサブ画素の画素値を、サブ画素に対応した表示サブ画素のずれ量に応じて補正することができる。
【0116】
図16(A)、図16(B)、図16(C)、図16(D)に、表示画面DSPの右端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図を示す。図16(A)〜図16(D)は、表示画面DSPの右端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する際に、図11のステップS32〜ステップS38の処理に相当する。図16(A)〜図16(D)は、説明を簡略化するため、画素位置P2付近の画素のうち丸い波線で囲んだ画素(m,2)を構成するサブ画素の補正処理を例に示す。図16(A)〜図16(D)では、R成分の表示サブ画素を「○」印、G成分の表示サブ画素を「×」印、B成分の表示サブ画素を「△」印で表している。
【0117】
図11のステップS30において処理画素のずれ量を算出すると、基準表示サブ画素選択部222は、関数min(ΔRm2x,ΔBm2x,0)(関数maxは引数の最小値を求める関数)の結果に応じて、基準表示サブ画素を選択する。ここでは、図16(A)に示すように、基準表示サブ画素をG成分の表示サブ画素とする。
【0118】
次に、表示サブ画素ずれ量算出部224は、基準表示サブ画素であるG成分の表示サブ画素を基準に、R成分の表示サブ画素のずれ量とB成分の表示サブ画素のずれ量とを求める。図16(B)において、R成分のx方向のずれ量をXr、R成分のy方向のずれ量をYr、B成分のx方向のずれ量をXb、B成分のy方向のずれ量をYbとする。なお、図16(B)では、x軸方向のずれ量のみを図示している。
【0119】
この結果、表示サブ画素ずれ量算出部224が求める各ずれ量は、次のようになる。
Xr=ΔRm2x ・・・(13)
Yg=ΔRm2y ・・・(14)
Xb=ΔBm2x ・・・(15)
Yb=ΔBm2y ・・・(16)
【0120】
続いて、画素値補正演算部226は、図16(C)に示すように、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値と、当該表示画素の周辺の表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値とを取得する。ここでは、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値を、Rinm2、Ginm2、Binm2とする。
【0121】
そして、画素値補正演算部226は、図16(D)に示すように、基準表示サブ画素として選択したG成分のサブ画素については補正することなくそのまま出力し、R成分及びB成分のサブ画素については補正する。なお、R成分及びB成分については、Yrの符号及びYbの符号に応じて補間処理に用いる周辺画素を構成するサブ画素を異ならせている。
【0122】
例えば、画素ピッチを「1」、サブ画素のずれ量は1未満として、Yr<0のときG成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Routm2=Rinm1×(-Yr)×(1+Xr)+Rinm2×(1+Yr)×(1+Xr) ・・・(17)
【0123】
また、Yr≧0のときR成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Routm2=Rinm2×(1-Yr)×(1+Xr)+Rinm3×(Yr)×(1+Xr) ・・・(18)
【0124】
画素値補正演算部226は、B成分についてもR成分と同様に補正後のサブ画素の画素値を求める。即ち、Yb<0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Boutm2=Binm1×(-Yb)×(1+Xb)+Binm2×(1+Yb)×(1+Xb) ・・・(19)
【0125】
また、Yb≧0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Boutm2=Binm2×(1-Yb)×(1+Xb)+Binm3×(Yb)×(1+Xb) ・・・(20)
【0126】
以上のように、図10のステップS22に示すように、表示画面DSPの右端部の画素を構成するサブ画素の画素値を、サブ画素に対応した表示サブ画素のずれ量に応じて補正することができる。
【0127】
図17(A)、図17(B)、図17(C)、図17(D)に、表示画面DSPの上端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図を示す。図17(A)〜図17(D)は、表示画面DSPの上端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する際に、図11のステップS32〜ステップS38の処理に相当する。図17(A)〜図17(D)は、説明を簡略化するため、画素位置P1付近の画素のうち丸い波線で囲んだ画素(2,2)を構成するサブ画素の補正処理を例に示す。図17(A)〜図17(D)では、R成分の表示サブ画素を「○」印、G成分の表示サブ画素を「×」印、B成分の表示サブ画素を「△」印で表している。
【0128】
図11のステップS30において処理画素のずれ量を算出すると、基準表示サブ画素選択部222は、関数max(ΔR21y,ΔB21y,0)の結果に応じて、基準表示サブ画素を選択する。ここでは、図17(A)に示すように、基準表示サブ画素をB成分の表示サブ画素とする。
【0129】
次に、表示サブ画素ずれ量算出部224は、基準表示サブ画素であるB成分の表示サブ画素を基準に、R成分の表示サブ画素のずれ量とG成分の表示サブ画素のずれ量とを求める。図17(B)において、R成分のx方向のずれ量をXr、R成分のy方向のずれ量をYr、G成分のx方向のずれ量をXg、G成分のy方向のずれ量をYgとする。なお、図17(B)では、y軸方向のずれ量のみを図示している。
【0130】
この結果、表示サブ画素ずれ量算出部224が求める各ずれ量は、次のようになる。
Xr=−ΔB21x+ΔR21x ・・・(21)
Yr=−ΔB21y+ΔR21y ・・・(22)
Xg=−ΔB21x ・・・(23)
Yg=−ΔB21y ・・・(24)
【0131】
続いて、画素値補正演算部226は、図17(C)に示すように、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値と、当該表示画素の周辺の表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値とを取得する。ここでは、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値を、Rin21、Gin21、Bin21とする。
【0132】
そして、画素値補正演算部226は、図17(D)に示すように、基準表示サブ画素として選択したB成分のサブ画素については補正することなくそのまま出力し、R成分及びG成分のサブ画素については補正する。なお、R成分及びG成分については、Xrの符号及びXgの符号に応じて補間処理に用いる周辺画素を構成するサブ画素を異ならせている。
【0133】
例えば、画素ピッチを「1」、サブ画素のずれ量は1未満として、Xr<0のときR成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Rout21=Rin11×(-Xr)×(1+Yr)+Rin21×(1+Xr)×(1+Yr) ・・・(25)
【0134】
また、Xr≧0のときR成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Rout21=Rin21×(1-Xr)×(1+Yr)+Rin31×(Xr)×(1+Yr) ・・・(26)
【0135】
画素値補正演算部226は、G成分についてもR成分と同様に補正後のサブ画素の画素値を求める。即ち、Xg<0のときG成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Gout21=Gin11×(-Xg)×(1+Yg)+Gin21×(1+Xg)×(1+Yg) ・・・(27)
【0136】
また、Xg≧0のときG成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Gout21=Gin21×(1-Xg)×(1+Yg)+Gin31×(Xg)×(1+Yg) ・・・(28)
【0137】
以上のように、図10のステップS24に示すように、表示画面DSPの上端部の画素を構成するサブ画素の画素値を、サブ画素に対応した表示サブ画素のずれ量に応じて補正することができる。
【0138】
図18(A)、図18(B)、図18(C)、図18(D)に、表示画面DSPの下端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図を示す。図18(A)〜図18(D)は、表示画面DSPの下端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する際に、図11のステップS32〜ステップS38の処理に相当する。図18(A)〜図18(D)は、説明を簡略化するため、画素位置P3付近の画素のうち丸い波線で囲んだ画素(2,n)を構成するサブ画素の補正処理を例に示す。図18(A)〜図18(D)では、R成分の表示サブ画素を「○」印、G成分の表示サブ画素を「×」印、B成分の表示サブ画素を「△」印で表している。
【0139】
図11のステップS30において処理画素のずれ量を算出すると、基準表示サブ画素選択部222は、関数min(ΔR2ny,ΔB2ny,0)の結果に応じて、基準表示サブ画素を選択する。ここでは、図18(A)に示すように、基準表示サブ画素をG成分の表示サブ画素とする。
【0140】
次に、表示サブ画素ずれ量算出部224は、基準表示サブ画素であるG成分の表示サブ画素を基準に、R成分の表示サブ画素のずれ量とB成分の表示サブ画素のずれ量とを求める。図18(B)において、R成分のx方向のずれ量をXr、R成分のy方向のずれ量をYr、B成分のx方向のずれ量をXb、B成分のy方向のずれ量をYbとする。なお、図18(B)では、y軸方向のずれ量のみを図示している。
【0141】
この結果、表示サブ画素ずれ量算出部224が求める各ずれ量は、次のようになる。
Xr=ΔR2nx ・・・(29)
Yr=ΔR2ny ・・・(30)
Xb=ΔB2nx ・・・(31)
Yb=ΔB2ny ・・・(32)
【0142】
続いて、画素値補正演算部226は、図18(C)に示すように、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値と、当該表示画素の周辺の表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値とを取得する。ここでは、当該表示画素を構成する表示サブ画素に対応した画素値を、Rin2n、Gin2n、Bin2nとする。
【0143】
そして、画素値補正演算部226は、図18(D)に示すように、基準表示サブ画素として選択したG成分のサブ画素については補正することなくそのまま出力し、R成分及びB成分のサブ画素については補正する。なお、R成分及びB成分については、Xrの符号及びXbの符号に応じて補間処理に用いる周辺画素を構成するサブ画素を異ならせている。
【0144】
例えば、画素ピッチを「1」、サブ画素のずれ量は1未満として、Xr<0のときR成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Rout2n=Rin1n×(-Xr)×(1+Yr)+Rin2n×(1+Xr)×(1+Yr) ・・・(33)
【0145】
また、Xr≧0のときR成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Rout2n=Rin2n×(1-Xr)×(1+Yr)+Rin3n×(Xr)×(1+Yr) ・・・(34)
【0146】
画素値補正演算部226は、B成分についてもR成分と同様に補正後のサブ画素の画素値を求める。即ち、Xb<0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Bout2n=Bin1n×(-Xb)×(1+Yb)+Bin2n×(1+Xb)×(1+Yb) ・・・(35)
【0147】
また、Xb≧0のときB成分の補正後の画素値を、以下のように補正する。
Bout2n=Bin2n×(1-Xb)×(1+Yb)+Bin3n×(Xb)×(1+Yb) ・・・(36)
【0148】
以上のように、図10のステップS26に示すように、表示画面DSPの下端部の画素を構成するサブ画素の画素値を、サブ画素に対応した表示サブ画素のずれ量に応じて補正することができる。
【0149】
以上説明したように、本実施形態においては、プロジェクタの光学系の色収差や、光学系の構成部材の位置調整手段の調整精度等に起因して、スクリーン上において表示画素を構成する表示サブ画素の表示位置のずれが生じた場合であっても、表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じてサブ画素の画素値を補正できるため、表示位置のずれに起因した偽色の発生を抑えることができる。従って、本実施形態によれば、表示サブ画素の表示位置のずれに起因する表示画像の画質の低下を抑えることができるようになる。
【0150】
以上、本発明に係る画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0151】
(1)上記の実施形態では、1画素を3つの色成分のサブ画素で構成されるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。1画素を構成する色成分数が2、又は4以上であってもよい。
【0152】
(2)上記の実施形態では、G成分の表示サブ画素の表示位置を基準にR成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量やB成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量をずれ量記憶部に記憶しているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、R成分の表示サブ画素の表示位置やB成分の表示サブ画素の表示位置を基準に、他の色成分の表示サブ画素の表示位置のずれ量をずれ量記憶部に記憶していてもよい。また、1画素を構成する複数の色成分の中から基準となる色成分を選択することなく、所与の基準画素の表示画素(表示サブ画素)の表示位置を基準に各色成分の表示サブ画素のずれ量を定義してもよい。
【0153】
(3)上記の実施形態では、光変調部としてライトバルブを用いるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。光変調部として、例えばDLP(Digital Light Processing)(登録商標)、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を採用してもよい。
【0154】
(4)上記の実施形態では、光変調部として、いわゆる3板式の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを例に説明したが、4板式以上の透過型の液晶パネルを用いたライトバルブを採用してもよい。
【0155】
(5)上記の実施形態において、本発明を、画像処理装置、画像表示装置及び画像処理方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明を実現するための画像処理方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0156】
【図1】本発明に係る実施形態における画像表示装置が適用された画像表示システムの構成例のブロック図。
【図2】図1の画像表示部の構成例を示す図。
【図3】図1の画像処理部のずれ量記憶部に記憶されるずれ量の説明図。
【図4】図1のずれ量記憶部の説明図。
【図5】図1の画素値補正部の構成例のブロック図。
【図6】図6(A)、図6(B)は本実施形態における画像処理部における画素値の補正処理を行わない場合のスクリーンの投射画面の説明図。
【図7】図7(A)、図7(B)は本実施形態における画像処理部における画素値の補正処理を行う場合のスクリーンの投射画面の説明図。
【図8】図1の画像処理部のハードウェア構成例のブロック図。
【図9】図1の画像処理部の処理例のフロー図。
【図10】図9のステップS14の処理例のフロー図。
【図11】図10のステップS20の処理例のフロー図。
【図12】図11のステップS30の処理の説明図。
【図13】図11のステップS30の詳細な処理例の説明図。
【図14】図11のステップS32の説明図。
【図15】図15(A)、図15(B)、図15(C)、図15(D)は図11のステップS32〜ステップS38の説明図。
【図16】図16(A)、図16(B)、図16(C)、図16(D)は表示画面の右端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図。
【図17】図17(A)、図17(B)、図17(C)、図17(D)は表示画面の上端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図。
【図18】図18(A)、図18(B)、図18(C)、図18(D)は表示画面の下端部の画素を構成するサブ画素の画素値を補正する処理の説明図。
【符号の説明】
【0157】
10…画像表示システム、 20…プロジェクタ、 100…画像表示部、
110…光源、 112,114…インテグレータレンズ、 116…偏光変換素子、
118…重畳レンズ、 120R…R用ダイクロイックミラー、
120G…G用ダイクロイックミラー、 122,148,150…反射ミラー、
124R…R用フィールドレンズ、 124G…G用フィールドレンズ、
130R…R用液晶パネル、 130G…G用液晶パネル、
130B…B用液晶パネル、 140…リレー光学系、
142,144,146…リレーレンズ、 160…クロスダイクロイックプリズム、
170…投射レンズ、 200…画像処理部、 210…ずれ量記憶部、
220…画素値補正部、 222…基準表示サブ画素選択部、
224…表示サブ画素ずれ量算出部、 226…画素値補正演算部、300…CPU、
310…I/F回路、 320…ROM、 330…RAM、 340…バス、
SCR…スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理装置であって、
表示画面内の基準位置における表示画素を構成する、前記サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶するずれ量記憶部と、
前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に応じて、前記表示画面の端部の表示サブ画素に対応した前記サブ画素の画素値を補正する画素値補正部とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記ずれ量記憶部は、
前記表示画面内の複数の基準位置において、前記表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶し、
前記画素値補正部は、
前記ずれ量記憶部に記憶された複数の基準位置における前記表示サブ画素の表示位置のずれ量を補間して前記端部の表示サブ画素の表示位置のずれ量を算出し、該ずれ量に応じて前記端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記画素値補正部は、
前記端部における表示画素を構成する複数の表示サブ画素のうち所与の方向において前記表示画面の中央部から最も近い表示サブ画素を基準表示サブ画素として選択する基準表示サブ画素選択部と、
前記ずれ量記憶部に記憶されたずれ量に基づいて、前記基準表示サブ画素選択部により選択された前記基準表示サブ画素の表示位置を基準に、前記複数の表示サブ画素のうち前記基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素のずれ量を算出する表示サブ画素ずれ量算出部と、
前記表示サブ画素ずれ量算出部により算出されたずれ量に基づいて、前記複数の表示サブ画素のうち前記基準表示サブ画素を除く残りの表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する画素値補正演算部とを含むことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
1画素が少なくともR成分のサブ画素、G成分のサブ画素、及びB成分のサブ画素により構成され、
前記ずれ量記憶部は、
前記基準位置における表示画素を構成するG成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置を基準に、該表示画素を構成するR成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量、及び該表示画素を構成するB成分のサブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量を記憶することを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記画素値補正部は、
前記表示画面の左端部、右端部、上端部、及び下端部のうち少なくとも1つの端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記画素値補正部は、
前記端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の輝度値を補正することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか記載の画像処理装置と、
前記画像処理装置によって補正されたサブ画素の画素値に基づいて画像表示を行う画像表示部とを含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
1画素を構成するサブ画素に対応した画素値を補正する画像処理方法であって、
表示画面の端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を取得する画素値取得ステップと、
前記表示画面内の基準位置における表示画素を構成し前記サブ画素に対応した表示サブ画素の表示位置のずれ量に応じて、前記表示画面の端部の表示サブ画素に対応したサブ画素の画素値を補正する画素値補正ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−237238(P2009−237238A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82853(P2008−82853)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】