画像処理装置およびその方法
【課題】 指定領域に虹様光彩を有する画像を形成する。
【解決手段】 画像データおよび虹様光彩を発生する領域を示す領域データを入力し(S201、S202)、色材を用いて、画像データに基づく画像を記録媒体に形成する(S206)。そして、画質調整材を用いて、画像が形成された記録媒体上に、領域データに基づき、光の干渉を発生させるための干渉発生層を形成する(S207)。
【解決手段】 画像データおよび虹様光彩を発生する領域を示す領域データを入力し(S201、S202)、色材を用いて、画像データに基づく画像を記録媒体に形成する(S206)。そして、画質調整材を用いて、画像が形成された記録媒体上に、領域データに基づき、光の干渉を発生させるための干渉発生層を形成する(S207)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹様光彩を有する画像を形成する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット、電子写真、昇華型などの様々な方式のプリンタ(ディジタル画像出力機器)の進歩は目覚しく、手軽に写真プリントが楽しめる時代になった。写真プリントが一般化した昨今、画像出力機器の画質向上に加え、ディジタルならではの写真プリントの新しい楽しみ方が求められている。このような要求に応える技術として、虹のような光彩(以下、虹様光彩)を有するインクジェット記録紙の製造法が知られている(特許文献1)。
【0003】
虹様光彩は、観察角度によって色が変わる干渉色であり、真珠光沢、遊色とも呼ばれ、美観に優れる。身近な例ではコンパクトディスク(CD)の裏面や、シャボン玉の表面に虹様光彩を観察することができる。虹色に輝くプリントは幻想的な風合いを呈するため、従来のプリントにはない新しい質感を楽しむことができる。
【0004】
虹様光彩の発生メカニズムは、一般に薄膜干渉と呼ばれる。図1と図2は薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図である。図1に示すように、基材10上の薄膜11に入射角45度で光12が入射する場合を考える。薄膜11からの反射光は、薄膜表面からの反射光13と、薄膜11を通過して薄膜底面から反射する光14の二光線からなる。二光線が通る経路には差(光路差)があるため、二光線を合成した場合、波長と光路差の関係で光強度の強め合い、弱め合い(干渉)が生じる。図2に示すように、光路差がちょうど波長分の場合、波の山と山が重なり光強度が強まる。一方、光路差が半波長分の場合、波の山と谷が重なり光強度は弱まる。このように、波長によって反射強度が異なるため、薄膜11からの反射光は、色付いて観察される。
【0005】
特許文献1の技術は、記録紙全体にコロイド状シリカ層を形成し、シリカ層の表面と底面からの反射光の干渉により、虹様光彩を発生させる。コロイド状シリカ層は、図1における薄膜11、すなわち干渉発生層に相当する。
【0006】
また、インクジェット方式において虹様光彩を再現する技術が知られている(特許文献2)。特許文献2の技術は、記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成し、光干渉によって虹様光彩を発生させる。
【0007】
図3は記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成した様子を示す図である。図3に示すように、記録紙20上にインク21を一定の間隔で格子状に配列した場合、インク21に入射する光の経路はA0A1A2、B0B1B2、C0C1C2で表される。図3に示すように、観察方向が正反射方向ではない場合、光路長A0A1A2、B0B1B2、C0C1C2はそれぞれ異なる。光路長は相互に異なるが、インク21が規則的に配列されていることから、光路差A0A1A2-B0B1B2とC0C1C2-B0B1B2は一定である。先述した光路差と波長の関係により、波長によってインク21からの反射強度が異なるため、反射光は色付いて観察される。
【0008】
しかし、特許文献1の技術は、記録紙全面が虹様光彩をもち、記録紙の任意部分に選択的に虹様光彩を発生させることはできない。例えば、飾り枠を虹様光彩にした写真プリントを印刷しようとしても、選択的に虹様光彩を発生することができない。あるいは、顔料などの色材を用いて印刷を行えば、色材が干渉発生層を覆い隠し、色材が定着した領域には虹様光彩が発生しない。
【0009】
また、虹様光彩における観察角度による色の変化は、干渉発生層の厚さを変えることで実現することができる。しかし、特許文献1の技術においては、干渉発生層の厚さが記録紙の製造時に固定され調整することができない。
【0010】
言い換えれば、特許文献1の技術は、虹様光彩の発生が限定的であり、ユーザの意図や好みに応じて虹様光彩を発生することはできない。
【0011】
また、インクの規則的な周期構造により虹様光彩を発生させる特許文献2の技術は、記録紙に凹凸がある場合、インクを周期的に配置したとしても、最終的なプリントの表面にはインクの規則的な周期構造が形成されない。図4は凹凸がある記録紙にインクによって規則的な周期構造を形成しようとした様子を示す図である。図4に示すように、インク21は、水平方向に周期的に配置されるが、記録紙表面の凹凸の影響を受け、垂直方向には周期性をもたない。従って、垂直方向のインク21の配置に周期性、規則性がないため、光路差が一定にならない(光路差A0A1A2-B0B1B2≠C0C1C2-B0B1B2)。
【0012】
このように、特許文献2の技術は、インクの規則的な周期構造の形成を阻害しない、表面が平坦な記録紙の場合のみ、虹様光彩を発生し得る。光沢紙など、その表面が比較的平滑と思われるインクジェット紙においても、その表面には光の波長程度の不規則な凹凸が存在する。そのため光路差が不規則になり、虹様光彩を発生させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005-138515号公報
【特許文献2】特開2001-239661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、記録媒体上の指定領域に虹様光彩を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0016】
本発明にかかる画像処理は、記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力し、前記領域データと前記色情報に基づき、前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを画質調整材を用いて制御して、前記干渉発生層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体上の指定領域に虹様光彩を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図2】薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図3】記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成した様子を示す図。
【図4】凹凸がある記録紙にインクによって規則的な周期構造を形成しようとした様子を示す図。
【図5】実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図。
【図6】虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャート。
【図7】色度・厚み対応テーブルの一例を示す図。
【図8】使用量・厚み対応テーブルの一例を示す図。
【図9】画像形成部に適用可能なインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図。
【図10】マルチパス記録方式において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図。
【図11】1パス印刷において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図。
【図12】記録1ライン分の断面を示す図。
【図13】虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図14】光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)と色度の関係を表す図。
【図15】光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)のばらつき(標準偏差)と色度の関係を表す図。
【図16】電子写真装置の構成例を示す図。
【図17】実施例3の画像処理装置の構成例を示すブロック図。
【図18】実施例3の虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図5は実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図で、画像処理部101と画像形成部102を有する。なお、画像処理部101を演算ユニット、画像形成部102をプリンタエンジンとして、プリンタのような画像形成装置として一体に構成してもよい。あるいは、画像処理部101を実現するコンピュータ装置(PC)と、画像形成部102を備える画像形成装置を接続して、本実施例の画像処理装置としてもよい。
【0021】
画像処理部101の画像データ入力部106は、印刷すべき画像データ103を入力する。領域データ入力部107は、虹様光彩を発生させる領域を示す領域データ104を入力する。色度データ入力部108は、虹様光彩を所定の角度で観察した場合の色情報として色度を示す色度データ105を入力する。
【0022】
画像変換部109は、画像データを画像形成部102の第一の画像形成部116に適したデータ形式に変換し、メモリ112に格納する。また、領域データはメモリ110に格納され、色度データはメモリ111に格納される。
【0023】
厚み計算部113は、詳細は後述するが、虹様光彩の色度と干渉発生層の厚みの対応関係を保持する色度・厚み対応テーブル119を参照して、干渉発生層の厚みを計算する。使用量計算部114は、詳細は後述するが、画質調整材の使用量と干渉発生層の厚みの対応関係を保持する使用量・厚み対応テーブル115を参照して、使用する画質調整材の量を計算する。
【0024】
画像形成部102の第一の画像形成部116は、例えばインクジェット方式のプリンタエンジンで、メモリ112に格納された画像データに応じた画像を形成する。また、第二の画像形成部117は、第一の画像形成部116が形成した画像上に、画質調整材によって干渉発生層を形成する。
【0025】
[画像処理]
図6は虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャートで、図5に示す画像処理装置が実行する処理である。
【0026】
領域データ入力部107と色度データ入力部108はそれぞれ、領域データ104と色度データ105を入力し、入力したデータをメモリ110と111に格納する(S201)。なお、領域データ104は、例えば二値画像でもよく、値が‘1’の領域を虹様光彩の発生領域としてドローイングソフトなどで二値画像を作成すればよい。また、虹様光彩の色度は観察角度によって変わるため、観察角度とXYZ色度を一組にして色度データ105にすることが望ましい。
【0027】
次に、画像データ入力部106は、例えばRGB形式の画像データ103を入力する(S202)。画像変換部109は、入力された画像データ103を第一の画像形成部116に適したデータ形式に変換してメモリ112に格納する(S203)。第一の画像形成部116はインクジェット方式のプリンタであるから連続階調の印刷はできない。そのため、画像変換部109は、データ形式の変換だけでなく、中間調処理を含む様々な画像処理を画像データ103に施す。
【0028】
次に、厚み計算部113は、詳細は後述するが、色度・厚み対応テーブル119を参照して、色度データ105から画質調整材の厚みを算出する(S204)。使用量計算部114は、詳細は後述するが、使用量・厚み対応テーブル115を参照して、算出された画質調整材の厚みから画質調整材の使用量を決定する(S205)。
【0029】
次に、第一の画像形成部116は、メモリ112に格納された画像データが表す画像を形成する(S206)。そして、第二の画像形成部117は、メモリ110に格納された領域データ104および算出された画質調整材の使用量に基づき、第一の画像形成部116が形成した画像上の虹様光彩の発生領域に画質調整材を塗布(重畳)する(S207)。
【0030】
以上の処理により、記録媒体上に虹様光彩を有する画像が形成される。
【0031】
[画質調整材の厚み]
画質調整材の厚さdと色度を表す三刺激値XYZの間には式(1)の関係が成立する。
┌ ┐ ┌ ┐
│X│ │x(λ)│
│Y│=∫S(λ)×1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2×│y(λ)│dλ …(1)
│Z│ │z(λ)│
└ ┘ └ ┘
ここで、S(λ)は照明の分光放射輝度、
x(λ)y(λ)z(λ)はCIE等色関数、
λは波長、
XYZは色度の三刺激値、
nは画質調整材の屈折率、
dは画質調整材の厚さ、
θは観察角度、
積分範囲は可視光の波長範囲。
【0032】
式(1)において、右辺中央の項1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2は波長ごとの反射率を表すが、その理由は、画質調整材の表面と底面から反射する二光線の光路差は2nd・cosθである。位相差と光路差には式(2)の関係があるから、二光線の位相差は2π・2nd・cosθ/λで表される。
位相差 = 2π/λ×光路差 …(2)
【0033】
一方の光線の位相が0である場合、その光線の振幅はcos 0、つまり1であり、もう一方の光線の振幅はcos(4nd・cosθπ/λ)で表される。二光線の振幅の平均値を取ると、1/2・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}であり、反射強度が振幅の二乗に比例することを考慮すると、反射光の強度は1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2で表される。
【0034】
式(1)を用いれば、画質調整材の厚さdから三刺激値XYZを求めることができる。従って、式(1)を用いて、画質調整材の厚さdと三刺激値XYZの関係を示す色度・厚み対応テーブル119を予め作成しておく。図7は色度・厚み対応テーブル119の一例を示す図である。つまり、厚み計算部113による画質調整材の厚みの算出(S204)は、色度を表すXYZ三刺激値から色度・厚み対応テーブル119の中で最も近いX'Y'Z'を探索し、対応する厚さdを取得する。なお、X'Y'Z'の探索には色差を用いる。
【0035】
[画質調整材の使用量]
厚み計算部113が算出した厚さdに対応する画質調整材の使用量を求めるために、画質調整材の使用量を変化させて、記録媒体および色材上に画質調整材による干渉発生層を形成し、その厚さdを測定する。そして、使用量と厚さの関係を示す使用量・厚み対応テーブル115を予め作成する。つまり、使用料計算部による画質調整材の使用料の算出(S205)は、厚み計算部113が算出した厚さdに対応する使用量を使用量・厚み対応テーブル115から取得する。図8は使用量・厚み対応テーブル115の一例を示す図である。
【0036】
[インクジェット記録装置]
図9は画像形成部102に適用可能なインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図である。
【0037】
記録ヘッド501は、複数のカラーインクをそれぞれ収容するインクタンクと、各色に独立に対応する記録ヘッドから構成されるマルチヘッドである。キャリッジ502は、記録ヘッド501を搭載し、記録動作時は、記録ヘッド501とともにX方向に移動走査する。キャリッジ502は、記録動作が行われない場合は、ホームポジションHPに移動し待機する。
【0038】
紙送りローラ503は、補助ローラ504とともに記録媒体506を支持し、図に示す矢印の方向に回転して、記録媒体506をY方向に随時搬送する。給紙ローラ505は、記録媒体506を供給するとともに、紙送りローラ503および補助ローラ504と同様に、記録媒体506を支持する役割を担う。
【0039】
記録動作命令が発行されると、給紙ローラ505によって一枚の記録媒体506が、記録ヘッド501による記録が可能な位置まで給紙(搬送)される。次に、キャリッジ502がホームポジションHPから記録媒体506の記録位置までX方向に移動する。そして、X方向に移動走査される記録ヘッド501は、複数の記録素子により、所定の周波数で画像データに従うインクの吐出を行う。記録ヘッド501による一走査分の記録が終了すると、紙送りローラ503は、記録媒体506をY方向に所定量だけ搬送する副走査を行う。以上の記録走査(主走査)と副走査を交互に繰り返して、記録媒体506上に順次画像を形成する。
【0040】
近年のインクジェット記録装置は、記録ヘッド501を複数回走査してインクを吐出するマルチパス処理を行うものが多い。マルチパス記録方式は、記録ヘッド501を記録素子を数個単位に分割し、分割した1ブロックに対応する記録媒体506の搬送(紙送り)を行う。そして、記録媒体506の同一領域を記録ヘッド501が複数回走査して、走査の度に、異なるブロックの記録素子で記録を行う。
【0041】
図10はマルチパス記録方式において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図である。記録ヘッド501が16個の記録素子をもつ場合、16個の記録素子を4ブロックに分割すると、同じ領域を四回走査して画像を形成することになる。
【0042】
マルチパス処理を行わない場合、記録ヘッド501が一走査分の記録を行うと、記録ヘッド501の幅分紙送りして、次の領域の記録を行う(1パス印刷)。つまり、記録媒体の同一領域を複数回記録ヘッド501が走査することはない。
【0043】
図11は1パス印刷において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図である。記録ヘッド501が16個の記録素子をもつ場合、形成される画像の一列は一つの記録素子だけが関与する。
【0044】
[画質調整材の記録]
本実施例においては、記録媒体および色材上に、均一な厚さで画質調整材を重畳する必要がある。画質調整材を均一な厚さで重畳する方法として、パス数を低くして画質調整材を記録することが挙げられる。
【0045】
図12は記録1ライン分の断面を示す図で、図中の数字はインクを吐出した記録素子の番号に対応する。パス数が多い場合、1ライン分の印刷時間が増え、先に記録されたインクが乾燥し、後続するインクは乾燥したインクの上に重なる。その結果、乾燥したインクの表面は粗くなり、均一な厚さで干渉発生層を形成することができない。
【0046】
一方、1パス印刷のように、少ないパス数で記録(低パス印刷)を行うと、短時間にインクを吐出するため、インクが乾燥する前にインク同士が、記録媒体または色材上で結合する。その結果、乾燥したインクの表面は滑らかになり、均一な厚さで干渉発生層を形成することができる。
【0047】
なお、干渉発生層の均一な厚さを実現する方法はパス数の制御に限らず、例えばインクの粘性を低くしてインクが広がり易くするなど、画質調整材自体の特性によって干渉発生層の均一な厚さを実現してもよい。粘性を低くする方法としては、インクに含まれる樹脂量を増加することが考えられる。
【0048】
[虹様光彩の発生メカニズム]
図13は虹様光彩の発生メカニズムを説明する図で、表面に凹凸がある記録媒体506上に形成した画像に、画質調整材512を塗布(厚さdで重畳)した状態の断面を模式的に表している。
【0049】
画像に入射した光は、画質調整材512の表面からの反射光513と、画質調整材512と色材511の界面からの反射光514の二光線に分かれる。二光線の光路差は、画質調整材512の屈折率をnとすれば2nd・cosθである。従って、式(3)を満たす波長λに対して二光線の位相差は0になり、波長λの光が強く反射される。
λ = 2nd・cosθ/m …(3)
ここで、mは整数。
【0050】
色材511が定着していない記録媒体506上に画質調整材512を直接印刷しても、同様のメカニズムにより、画質調整材512の表面からの反射光と、記録媒体506と画質調整材512の界面からの反射光が干渉して、虹様光彩が発生する。
【0051】
[虹様光彩を良好に発生させる条件]
虹様光彩を良好に発生させるには、画質調整材と色材の界面および画質調整材と記録媒体の界面からの反射光が画質調整材を透過する必要がある。そのため、画質調整材の透過率が高いことが望ましく、画質調整材として例えばクリアインクなどの透明色材が好適である。
【0052】
画質調整材の厚さに比例して、式(3)を満たす可視光の波長の数が増大し、複数の波長が強調されて反射される。そのため、画質調整材が厚過ぎると様々な波長の光が反射され、その結果、特定の色が観察されない。
【0053】
図14は光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)と色度の関係を表す図である。色度0は、反射光の色が照明の色と同じであることを表し、虹様光彩は観察されない。
【0054】
照明の色と印刷物からの反射光の色の違いを認識可能にするには、照明の色と反射光の色の色差を3以上にする必要がある。照明の色を色度の基準にすると、反射光の色度は3以上である必要がある。図14において、膜厚が3μm以下の場合、色度が3以上になり、印刷物からの反射光が色付いて観察される。言い換えれば、虹様光彩を良好に発生するには、画質調整材の厚さdを3μm以下にする必要がある。
【0055】
また、ミクロンオーダの微細な領域で画質調整材の厚さdが不均一の場合、領域により強調される光の波長が異なる。目に入る光は微細な領域からの光を総和したものであり、複数の波長の光が混合する結果、特定の色が観察されない。
【0056】
図15は光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)のばらつき(標準偏差)と色度の関係を表す図で、基準膜厚0.1μm、1μm、3μmにおいて、膜厚のばらつきを発生させ、光干渉シミュレーションを行った結果である。図15に示すように、膜厚のばらつきが標準偏差で200nm以下の場合、色度が3以上になり、印刷物からの反射光が色付いて観察される。言い換えれば、虹様光彩を良好に発生するには、画質調整材の厚さdのばらつきを200nm以下にする必要がある。
【0057】
また、色材と画質調整材の界面が粗いと、入射光が乱反射し鏡面反射が発生しないため、虹様光彩を良好に発生することができない。色材と画質調整材の界面を平滑にするには、第一の画像形成部116において記録する色材の表面を一般的な光沢紙の粗さ程度にすればよい。その方法として、例えば第一の画像形成部116がインクジェット記録装置の場合は、低パス印刷を行えばよい。また、記録媒体と画質調整剤の界面を平滑にするには、記録媒体として光沢紙など平滑性の高いものを採用すればよい。
【0058】
このように、画像データとは別に、虹様光彩を発生させる領域を示す領域データを用意して、指定領域の記録媒体および色材上に画質調整材による干渉発生層を形成する。従って、記録媒体上の色材の有無に関わらず、指定領域に虹様光彩を発生させることができる。
【0059】
また、記録媒体に凹凸があっても、厚さがほぼ均一な干渉発生層を形成するため、薄膜干渉の原理によって虹様光彩を発生させることができる。
【0060】
さらに、画質調整材の使用量によって干渉発生層の厚さを調整することで、画像形成時に、虹様光彩の観察角度による色の変化を調整することができる。
【実施例2】
【0061】
以下、本発明にかかる実施例2の画像処理を説明する。なお、本実施例において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0062】
実施例1では、画像形成部102がインクジェット記録装置の例を説明したが、実施例2では画像形成部102が電子写真装置の例を説明する。なお、画質調整材には透明トナーを使用する。
【0063】
図16は電子写真装置の構成例を示す図である。
【0064】
ドラム型の感光体1211は、像担持体であり、図に示す矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1211の周面は、回転過程において、帯電部1212によって正または負の所定電位に均一に帯電され、露光部1213において図示しない像露光手段が発生する光Lによって露光(スリット露光、レーザビーム走査露光など)される。これにより、感光体1211の周面には、露光像に対応した静電潜像が順次形成される。
【0065】
静電潜像は、現像部1214によってトナー現像される。トナー像は、転写部1215によって記録媒体Pに順次転写される。記録媒体Pは、図示しない給紙部から搬送され、感光体1211の回転に同期して、感光体1211と転写部1215の間に供給される。トナー像が転写された記録媒体Pは、感光体1211から分離され、定着部1218へ導かれてトナー像が定着され、装置外へ排出される。
【0066】
トナー像が転写された後の感光体1211の周面は、クリーニング部1216によって転写残りトナーが除去され、前露光部1217により除電され、繰り返し像形成に使用される。
【0067】
以上は一色分の電子写真装置の構成である。画像形成部102は、各色成分のトナー像を形成する感光体1211と転写部1215などの画像形成ユニットを、色成分の数分、連続して備える。そして、例えばマゼンタM、シアンC、イエローY、ブラックK、透明Tのトナー像を順次重畳した後、定着部1218によって記録媒体にトナー像を定着する。
【0068】
なお、均一な厚さで画質調整材(透明トナー)を記録媒体および色材上に形成する必要がある。その方法として、透明トナーを転写後、定着部1218による加圧を制御して画質調整材の厚さを均一化する方法などが考えられる。
【実施例3】
【0069】
以下、本発明にかかる実施例3の画像処理を説明する。なお、本実施例において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0070】
図17は実施例3の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0071】
実施例1、2においては、第一の画像形成部116と第二の画像形成部117は一体であったが、実施例3では一体ではない。つまり、第一の画像形成部116と第二の画像形成部117は異なる画像形成装置であり、搬送部120によって結合され、画像形成部102を構成する。例えば、第一の画像形成部116を電子写真装置とし、第二の画像形成部117を画質調整材を吐出するインクジェット記録装置として、搬送ベルトにより搬送部120を構成する。
【0072】
あるいは、第一の画像形成部116をインクジェット記録装置とし、第二の画像形成部117を電子写真装置にしてもよい。勿論、インクジェット記録装置を二台用意して一方に画質調整材を吐出させてもよいし、電子写真記録装置を二台用意して一方に画質調整材を搭載してもよい。
【0073】
図18は実施例3の虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャートで、図17に示す画像処理装置が実行する処理である。
【0074】
実施例1の処理との違いは、ステップS208において、搬送部120により、第一の画像形成部116において画像が形成された記録媒体を第二の画像形成部117に搬送する点である。
【0075】
[変形例]
上記では、画質調整材として透明インクまたは透明トナーを例に挙げたが、例えばカラーインク(トナー)の樹脂量を増加させて、画質調整材として用いてもよい。
【0076】
また、入力する画像データ103はRGB形式に限定されず、XYZ、Lab、CMYKなど他の形式でもよい。同様に、虹様光彩の色度はXYZに限らず、他の表色系の色度(例えばsRGB、 Labなど)で虹様光彩の色度を表してもよい。
【0077】
また、画像形成部102として、インクジェット記録方式、電子写真方式を例に説明したが、画質調整材の厚みを制御できる画像形成装置であれば、その他の記録装置でもよい。
【0078】
また、利用可能な色材としては染料、顔料の両者が挙げられる。染料色材の場合は、色材粒子が小さいために記録媒体中に色材が浸透する可能性がある。その場合も、画質調整材を記録媒体上に形成すれば、画質調整材の表面からの反射光と、記録媒体と画質調整材の界面からの反射光の干渉により虹様光彩が発生する。また、顔料色材としては、顔料インクやトナーなどがあり、染料色材としては染料インクなどがある。
【0079】
[他の実施例]
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置、制御装置など)に適用してもよい。
【0080】
また、本発明の目的は、上記実施例の機能を実現するコンピュータプログラムを記録した記憶媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記コンピュータプログラムを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのコンピュータプログラムと、そのコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は本発明を構成する。
【0081】
また、前記コンピュータプログラムの実行により上記機能が実現されるだけではない。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)および/または第一の、第二の、第三の、…プログラムなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0082】
また、前記コンピュータプログラムがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットなどのデバイスのメモリに書き込まれていてもよい。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、第一の、第二の、第三の、…デバイスのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0083】
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応または関連するコンピュータプログラムが格納される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、虹様光彩を有する画像を形成する画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット、電子写真、昇華型などの様々な方式のプリンタ(ディジタル画像出力機器)の進歩は目覚しく、手軽に写真プリントが楽しめる時代になった。写真プリントが一般化した昨今、画像出力機器の画質向上に加え、ディジタルならではの写真プリントの新しい楽しみ方が求められている。このような要求に応える技術として、虹のような光彩(以下、虹様光彩)を有するインクジェット記録紙の製造法が知られている(特許文献1)。
【0003】
虹様光彩は、観察角度によって色が変わる干渉色であり、真珠光沢、遊色とも呼ばれ、美観に優れる。身近な例ではコンパクトディスク(CD)の裏面や、シャボン玉の表面に虹様光彩を観察することができる。虹色に輝くプリントは幻想的な風合いを呈するため、従来のプリントにはない新しい質感を楽しむことができる。
【0004】
虹様光彩の発生メカニズムは、一般に薄膜干渉と呼ばれる。図1と図2は薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図である。図1に示すように、基材10上の薄膜11に入射角45度で光12が入射する場合を考える。薄膜11からの反射光は、薄膜表面からの反射光13と、薄膜11を通過して薄膜底面から反射する光14の二光線からなる。二光線が通る経路には差(光路差)があるため、二光線を合成した場合、波長と光路差の関係で光強度の強め合い、弱め合い(干渉)が生じる。図2に示すように、光路差がちょうど波長分の場合、波の山と山が重なり光強度が強まる。一方、光路差が半波長分の場合、波の山と谷が重なり光強度は弱まる。このように、波長によって反射強度が異なるため、薄膜11からの反射光は、色付いて観察される。
【0005】
特許文献1の技術は、記録紙全体にコロイド状シリカ層を形成し、シリカ層の表面と底面からの反射光の干渉により、虹様光彩を発生させる。コロイド状シリカ層は、図1における薄膜11、すなわち干渉発生層に相当する。
【0006】
また、インクジェット方式において虹様光彩を再現する技術が知られている(特許文献2)。特許文献2の技術は、記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成し、光干渉によって虹様光彩を発生させる。
【0007】
図3は記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成した様子を示す図である。図3に示すように、記録紙20上にインク21を一定の間隔で格子状に配列した場合、インク21に入射する光の経路はA0A1A2、B0B1B2、C0C1C2で表される。図3に示すように、観察方向が正反射方向ではない場合、光路長A0A1A2、B0B1B2、C0C1C2はそれぞれ異なる。光路長は相互に異なるが、インク21が規則的に配列されていることから、光路差A0A1A2-B0B1B2とC0C1C2-B0B1B2は一定である。先述した光路差と波長の関係により、波長によってインク21からの反射強度が異なるため、反射光は色付いて観察される。
【0008】
しかし、特許文献1の技術は、記録紙全面が虹様光彩をもち、記録紙の任意部分に選択的に虹様光彩を発生させることはできない。例えば、飾り枠を虹様光彩にした写真プリントを印刷しようとしても、選択的に虹様光彩を発生することができない。あるいは、顔料などの色材を用いて印刷を行えば、色材が干渉発生層を覆い隠し、色材が定着した領域には虹様光彩が発生しない。
【0009】
また、虹様光彩における観察角度による色の変化は、干渉発生層の厚さを変えることで実現することができる。しかし、特許文献1の技術においては、干渉発生層の厚さが記録紙の製造時に固定され調整することができない。
【0010】
言い換えれば、特許文献1の技術は、虹様光彩の発生が限定的であり、ユーザの意図や好みに応じて虹様光彩を発生することはできない。
【0011】
また、インクの規則的な周期構造により虹様光彩を発生させる特許文献2の技術は、記録紙に凹凸がある場合、インクを周期的に配置したとしても、最終的なプリントの表面にはインクの規則的な周期構造が形成されない。図4は凹凸がある記録紙にインクによって規則的な周期構造を形成しようとした様子を示す図である。図4に示すように、インク21は、水平方向に周期的に配置されるが、記録紙表面の凹凸の影響を受け、垂直方向には周期性をもたない。従って、垂直方向のインク21の配置に周期性、規則性がないため、光路差が一定にならない(光路差A0A1A2-B0B1B2≠C0C1C2-B0B1B2)。
【0012】
このように、特許文献2の技術は、インクの規則的な周期構造の形成を阻害しない、表面が平坦な記録紙の場合のみ、虹様光彩を発生し得る。光沢紙など、その表面が比較的平滑と思われるインクジェット紙においても、その表面には光の波長程度の不規則な凹凸が存在する。そのため光路差が不規則になり、虹様光彩を発生させることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005-138515号公報
【特許文献2】特開2001-239661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、記録媒体上の指定領域に虹様光彩を形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0016】
本発明にかかる画像処理は、記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力し、前記領域データと前記色情報に基づき、前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを画質調整材を用いて制御して、前記干渉発生層を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録媒体上の指定領域に虹様光彩を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図2】薄膜干渉による虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図3】記録紙上にインクによって規則的な周期構造を形成した様子を示す図。
【図4】凹凸がある記録紙にインクによって規則的な周期構造を形成しようとした様子を示す図。
【図5】実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図。
【図6】虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャート。
【図7】色度・厚み対応テーブルの一例を示す図。
【図8】使用量・厚み対応テーブルの一例を示す図。
【図9】画像形成部に適用可能なインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図。
【図10】マルチパス記録方式において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図。
【図11】1パス印刷において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図。
【図12】記録1ライン分の断面を示す図。
【図13】虹様光彩の発生メカニズムを説明する図。
【図14】光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)と色度の関係を表す図。
【図15】光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)のばらつき(標準偏差)と色度の関係を表す図。
【図16】電子写真装置の構成例を示す図。
【図17】実施例3の画像処理装置の構成例を示すブロック図。
【図18】実施例3の虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明にかかる実施例の画像処理を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図5は実施例の画像処理装置の構成例を示すブロック図で、画像処理部101と画像形成部102を有する。なお、画像処理部101を演算ユニット、画像形成部102をプリンタエンジンとして、プリンタのような画像形成装置として一体に構成してもよい。あるいは、画像処理部101を実現するコンピュータ装置(PC)と、画像形成部102を備える画像形成装置を接続して、本実施例の画像処理装置としてもよい。
【0021】
画像処理部101の画像データ入力部106は、印刷すべき画像データ103を入力する。領域データ入力部107は、虹様光彩を発生させる領域を示す領域データ104を入力する。色度データ入力部108は、虹様光彩を所定の角度で観察した場合の色情報として色度を示す色度データ105を入力する。
【0022】
画像変換部109は、画像データを画像形成部102の第一の画像形成部116に適したデータ形式に変換し、メモリ112に格納する。また、領域データはメモリ110に格納され、色度データはメモリ111に格納される。
【0023】
厚み計算部113は、詳細は後述するが、虹様光彩の色度と干渉発生層の厚みの対応関係を保持する色度・厚み対応テーブル119を参照して、干渉発生層の厚みを計算する。使用量計算部114は、詳細は後述するが、画質調整材の使用量と干渉発生層の厚みの対応関係を保持する使用量・厚み対応テーブル115を参照して、使用する画質調整材の量を計算する。
【0024】
画像形成部102の第一の画像形成部116は、例えばインクジェット方式のプリンタエンジンで、メモリ112に格納された画像データに応じた画像を形成する。また、第二の画像形成部117は、第一の画像形成部116が形成した画像上に、画質調整材によって干渉発生層を形成する。
【0025】
[画像処理]
図6は虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャートで、図5に示す画像処理装置が実行する処理である。
【0026】
領域データ入力部107と色度データ入力部108はそれぞれ、領域データ104と色度データ105を入力し、入力したデータをメモリ110と111に格納する(S201)。なお、領域データ104は、例えば二値画像でもよく、値が‘1’の領域を虹様光彩の発生領域としてドローイングソフトなどで二値画像を作成すればよい。また、虹様光彩の色度は観察角度によって変わるため、観察角度とXYZ色度を一組にして色度データ105にすることが望ましい。
【0027】
次に、画像データ入力部106は、例えばRGB形式の画像データ103を入力する(S202)。画像変換部109は、入力された画像データ103を第一の画像形成部116に適したデータ形式に変換してメモリ112に格納する(S203)。第一の画像形成部116はインクジェット方式のプリンタであるから連続階調の印刷はできない。そのため、画像変換部109は、データ形式の変換だけでなく、中間調処理を含む様々な画像処理を画像データ103に施す。
【0028】
次に、厚み計算部113は、詳細は後述するが、色度・厚み対応テーブル119を参照して、色度データ105から画質調整材の厚みを算出する(S204)。使用量計算部114は、詳細は後述するが、使用量・厚み対応テーブル115を参照して、算出された画質調整材の厚みから画質調整材の使用量を決定する(S205)。
【0029】
次に、第一の画像形成部116は、メモリ112に格納された画像データが表す画像を形成する(S206)。そして、第二の画像形成部117は、メモリ110に格納された領域データ104および算出された画質調整材の使用量に基づき、第一の画像形成部116が形成した画像上の虹様光彩の発生領域に画質調整材を塗布(重畳)する(S207)。
【0030】
以上の処理により、記録媒体上に虹様光彩を有する画像が形成される。
【0031】
[画質調整材の厚み]
画質調整材の厚さdと色度を表す三刺激値XYZの間には式(1)の関係が成立する。
┌ ┐ ┌ ┐
│X│ │x(λ)│
│Y│=∫S(λ)×1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2×│y(λ)│dλ …(1)
│Z│ │z(λ)│
└ ┘ └ ┘
ここで、S(λ)は照明の分光放射輝度、
x(λ)y(λ)z(λ)はCIE等色関数、
λは波長、
XYZは色度の三刺激値、
nは画質調整材の屈折率、
dは画質調整材の厚さ、
θは観察角度、
積分範囲は可視光の波長範囲。
【0032】
式(1)において、右辺中央の項1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2は波長ごとの反射率を表すが、その理由は、画質調整材の表面と底面から反射する二光線の光路差は2nd・cosθである。位相差と光路差には式(2)の関係があるから、二光線の位相差は2π・2nd・cosθ/λで表される。
位相差 = 2π/λ×光路差 …(2)
【0033】
一方の光線の位相が0である場合、その光線の振幅はcos 0、つまり1であり、もう一方の光線の振幅はcos(4nd・cosθπ/λ)で表される。二光線の振幅の平均値を取ると、1/2・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}であり、反射強度が振幅の二乗に比例することを考慮すると、反射光の強度は1/4・{1+cos(4nd・cosθπ/λ)}2で表される。
【0034】
式(1)を用いれば、画質調整材の厚さdから三刺激値XYZを求めることができる。従って、式(1)を用いて、画質調整材の厚さdと三刺激値XYZの関係を示す色度・厚み対応テーブル119を予め作成しておく。図7は色度・厚み対応テーブル119の一例を示す図である。つまり、厚み計算部113による画質調整材の厚みの算出(S204)は、色度を表すXYZ三刺激値から色度・厚み対応テーブル119の中で最も近いX'Y'Z'を探索し、対応する厚さdを取得する。なお、X'Y'Z'の探索には色差を用いる。
【0035】
[画質調整材の使用量]
厚み計算部113が算出した厚さdに対応する画質調整材の使用量を求めるために、画質調整材の使用量を変化させて、記録媒体および色材上に画質調整材による干渉発生層を形成し、その厚さdを測定する。そして、使用量と厚さの関係を示す使用量・厚み対応テーブル115を予め作成する。つまり、使用料計算部による画質調整材の使用料の算出(S205)は、厚み計算部113が算出した厚さdに対応する使用量を使用量・厚み対応テーブル115から取得する。図8は使用量・厚み対応テーブル115の一例を示す図である。
【0036】
[インクジェット記録装置]
図9は画像形成部102に適用可能なインクジェット記録装置の記録部の構成を示す図である。
【0037】
記録ヘッド501は、複数のカラーインクをそれぞれ収容するインクタンクと、各色に独立に対応する記録ヘッドから構成されるマルチヘッドである。キャリッジ502は、記録ヘッド501を搭載し、記録動作時は、記録ヘッド501とともにX方向に移動走査する。キャリッジ502は、記録動作が行われない場合は、ホームポジションHPに移動し待機する。
【0038】
紙送りローラ503は、補助ローラ504とともに記録媒体506を支持し、図に示す矢印の方向に回転して、記録媒体506をY方向に随時搬送する。給紙ローラ505は、記録媒体506を供給するとともに、紙送りローラ503および補助ローラ504と同様に、記録媒体506を支持する役割を担う。
【0039】
記録動作命令が発行されると、給紙ローラ505によって一枚の記録媒体506が、記録ヘッド501による記録が可能な位置まで給紙(搬送)される。次に、キャリッジ502がホームポジションHPから記録媒体506の記録位置までX方向に移動する。そして、X方向に移動走査される記録ヘッド501は、複数の記録素子により、所定の周波数で画像データに従うインクの吐出を行う。記録ヘッド501による一走査分の記録が終了すると、紙送りローラ503は、記録媒体506をY方向に所定量だけ搬送する副走査を行う。以上の記録走査(主走査)と副走査を交互に繰り返して、記録媒体506上に順次画像を形成する。
【0040】
近年のインクジェット記録装置は、記録ヘッド501を複数回走査してインクを吐出するマルチパス処理を行うものが多い。マルチパス記録方式は、記録ヘッド501を記録素子を数個単位に分割し、分割した1ブロックに対応する記録媒体506の搬送(紙送り)を行う。そして、記録媒体506の同一領域を記録ヘッド501が複数回走査して、走査の度に、異なるブロックの記録素子で記録を行う。
【0041】
図10はマルチパス記録方式において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図である。記録ヘッド501が16個の記録素子をもつ場合、16個の記録素子を4ブロックに分割すると、同じ領域を四回走査して画像を形成することになる。
【0042】
マルチパス処理を行わない場合、記録ヘッド501が一走査分の記録を行うと、記録ヘッド501の幅分紙送りして、次の領域の記録を行う(1パス印刷)。つまり、記録媒体の同一領域を複数回記録ヘッド501が走査することはない。
【0043】
図11は1パス印刷において形成する画像の各位置に関与する記録素子の対応例を表す図である。記録ヘッド501が16個の記録素子をもつ場合、形成される画像の一列は一つの記録素子だけが関与する。
【0044】
[画質調整材の記録]
本実施例においては、記録媒体および色材上に、均一な厚さで画質調整材を重畳する必要がある。画質調整材を均一な厚さで重畳する方法として、パス数を低くして画質調整材を記録することが挙げられる。
【0045】
図12は記録1ライン分の断面を示す図で、図中の数字はインクを吐出した記録素子の番号に対応する。パス数が多い場合、1ライン分の印刷時間が増え、先に記録されたインクが乾燥し、後続するインクは乾燥したインクの上に重なる。その結果、乾燥したインクの表面は粗くなり、均一な厚さで干渉発生層を形成することができない。
【0046】
一方、1パス印刷のように、少ないパス数で記録(低パス印刷)を行うと、短時間にインクを吐出するため、インクが乾燥する前にインク同士が、記録媒体または色材上で結合する。その結果、乾燥したインクの表面は滑らかになり、均一な厚さで干渉発生層を形成することができる。
【0047】
なお、干渉発生層の均一な厚さを実現する方法はパス数の制御に限らず、例えばインクの粘性を低くしてインクが広がり易くするなど、画質調整材自体の特性によって干渉発生層の均一な厚さを実現してもよい。粘性を低くする方法としては、インクに含まれる樹脂量を増加することが考えられる。
【0048】
[虹様光彩の発生メカニズム]
図13は虹様光彩の発生メカニズムを説明する図で、表面に凹凸がある記録媒体506上に形成した画像に、画質調整材512を塗布(厚さdで重畳)した状態の断面を模式的に表している。
【0049】
画像に入射した光は、画質調整材512の表面からの反射光513と、画質調整材512と色材511の界面からの反射光514の二光線に分かれる。二光線の光路差は、画質調整材512の屈折率をnとすれば2nd・cosθである。従って、式(3)を満たす波長λに対して二光線の位相差は0になり、波長λの光が強く反射される。
λ = 2nd・cosθ/m …(3)
ここで、mは整数。
【0050】
色材511が定着していない記録媒体506上に画質調整材512を直接印刷しても、同様のメカニズムにより、画質調整材512の表面からの反射光と、記録媒体506と画質調整材512の界面からの反射光が干渉して、虹様光彩が発生する。
【0051】
[虹様光彩を良好に発生させる条件]
虹様光彩を良好に発生させるには、画質調整材と色材の界面および画質調整材と記録媒体の界面からの反射光が画質調整材を透過する必要がある。そのため、画質調整材の透過率が高いことが望ましく、画質調整材として例えばクリアインクなどの透明色材が好適である。
【0052】
画質調整材の厚さに比例して、式(3)を満たす可視光の波長の数が増大し、複数の波長が強調されて反射される。そのため、画質調整材が厚過ぎると様々な波長の光が反射され、その結果、特定の色が観察されない。
【0053】
図14は光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)と色度の関係を表す図である。色度0は、反射光の色が照明の色と同じであることを表し、虹様光彩は観察されない。
【0054】
照明の色と印刷物からの反射光の色の違いを認識可能にするには、照明の色と反射光の色の色差を3以上にする必要がある。照明の色を色度の基準にすると、反射光の色度は3以上である必要がある。図14において、膜厚が3μm以下の場合、色度が3以上になり、印刷物からの反射光が色付いて観察される。言い換えれば、虹様光彩を良好に発生するには、画質調整材の厚さdを3μm以下にする必要がある。
【0055】
また、ミクロンオーダの微細な領域で画質調整材の厚さdが不均一の場合、領域により強調される光の波長が異なる。目に入る光は微細な領域からの光を総和したものであり、複数の波長の光が混合する結果、特定の色が観察されない。
【0056】
図15は光干渉シミュレーションによる干渉発生層の厚さ(膜厚)のばらつき(標準偏差)と色度の関係を表す図で、基準膜厚0.1μm、1μm、3μmにおいて、膜厚のばらつきを発生させ、光干渉シミュレーションを行った結果である。図15に示すように、膜厚のばらつきが標準偏差で200nm以下の場合、色度が3以上になり、印刷物からの反射光が色付いて観察される。言い換えれば、虹様光彩を良好に発生するには、画質調整材の厚さdのばらつきを200nm以下にする必要がある。
【0057】
また、色材と画質調整材の界面が粗いと、入射光が乱反射し鏡面反射が発生しないため、虹様光彩を良好に発生することができない。色材と画質調整材の界面を平滑にするには、第一の画像形成部116において記録する色材の表面を一般的な光沢紙の粗さ程度にすればよい。その方法として、例えば第一の画像形成部116がインクジェット記録装置の場合は、低パス印刷を行えばよい。また、記録媒体と画質調整剤の界面を平滑にするには、記録媒体として光沢紙など平滑性の高いものを採用すればよい。
【0058】
このように、画像データとは別に、虹様光彩を発生させる領域を示す領域データを用意して、指定領域の記録媒体および色材上に画質調整材による干渉発生層を形成する。従って、記録媒体上の色材の有無に関わらず、指定領域に虹様光彩を発生させることができる。
【0059】
また、記録媒体に凹凸があっても、厚さがほぼ均一な干渉発生層を形成するため、薄膜干渉の原理によって虹様光彩を発生させることができる。
【0060】
さらに、画質調整材の使用量によって干渉発生層の厚さを調整することで、画像形成時に、虹様光彩の観察角度による色の変化を調整することができる。
【実施例2】
【0061】
以下、本発明にかかる実施例2の画像処理を説明する。なお、本実施例において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0062】
実施例1では、画像形成部102がインクジェット記録装置の例を説明したが、実施例2では画像形成部102が電子写真装置の例を説明する。なお、画質調整材には透明トナーを使用する。
【0063】
図16は電子写真装置の構成例を示す図である。
【0064】
ドラム型の感光体1211は、像担持体であり、図に示す矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。感光体1211の周面は、回転過程において、帯電部1212によって正または負の所定電位に均一に帯電され、露光部1213において図示しない像露光手段が発生する光Lによって露光(スリット露光、レーザビーム走査露光など)される。これにより、感光体1211の周面には、露光像に対応した静電潜像が順次形成される。
【0065】
静電潜像は、現像部1214によってトナー現像される。トナー像は、転写部1215によって記録媒体Pに順次転写される。記録媒体Pは、図示しない給紙部から搬送され、感光体1211の回転に同期して、感光体1211と転写部1215の間に供給される。トナー像が転写された記録媒体Pは、感光体1211から分離され、定着部1218へ導かれてトナー像が定着され、装置外へ排出される。
【0066】
トナー像が転写された後の感光体1211の周面は、クリーニング部1216によって転写残りトナーが除去され、前露光部1217により除電され、繰り返し像形成に使用される。
【0067】
以上は一色分の電子写真装置の構成である。画像形成部102は、各色成分のトナー像を形成する感光体1211と転写部1215などの画像形成ユニットを、色成分の数分、連続して備える。そして、例えばマゼンタM、シアンC、イエローY、ブラックK、透明Tのトナー像を順次重畳した後、定着部1218によって記録媒体にトナー像を定着する。
【0068】
なお、均一な厚さで画質調整材(透明トナー)を記録媒体および色材上に形成する必要がある。その方法として、透明トナーを転写後、定着部1218による加圧を制御して画質調整材の厚さを均一化する方法などが考えられる。
【実施例3】
【0069】
以下、本発明にかかる実施例3の画像処理を説明する。なお、本実施例において、実施例1、2と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
【0070】
図17は実施例3の画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
【0071】
実施例1、2においては、第一の画像形成部116と第二の画像形成部117は一体であったが、実施例3では一体ではない。つまり、第一の画像形成部116と第二の画像形成部117は異なる画像形成装置であり、搬送部120によって結合され、画像形成部102を構成する。例えば、第一の画像形成部116を電子写真装置とし、第二の画像形成部117を画質調整材を吐出するインクジェット記録装置として、搬送ベルトにより搬送部120を構成する。
【0072】
あるいは、第一の画像形成部116をインクジェット記録装置とし、第二の画像形成部117を電子写真装置にしてもよい。勿論、インクジェット記録装置を二台用意して一方に画質調整材を吐出させてもよいし、電子写真記録装置を二台用意して一方に画質調整材を搭載してもよい。
【0073】
図18は実施例3の虹様光彩を有する画像を形成する画像処理を説明するフローチャートで、図17に示す画像処理装置が実行する処理である。
【0074】
実施例1の処理との違いは、ステップS208において、搬送部120により、第一の画像形成部116において画像が形成された記録媒体を第二の画像形成部117に搬送する点である。
【0075】
[変形例]
上記では、画質調整材として透明インクまたは透明トナーを例に挙げたが、例えばカラーインク(トナー)の樹脂量を増加させて、画質調整材として用いてもよい。
【0076】
また、入力する画像データ103はRGB形式に限定されず、XYZ、Lab、CMYKなど他の形式でもよい。同様に、虹様光彩の色度はXYZに限らず、他の表色系の色度(例えばsRGB、 Labなど)で虹様光彩の色度を表してもよい。
【0077】
また、画像形成部102として、インクジェット記録方式、電子写真方式を例に説明したが、画質調整材の厚みを制御できる画像形成装置であれば、その他の記録装置でもよい。
【0078】
また、利用可能な色材としては染料、顔料の両者が挙げられる。染料色材の場合は、色材粒子が小さいために記録媒体中に色材が浸透する可能性がある。その場合も、画質調整材を記録媒体上に形成すれば、画質調整材の表面からの反射光と、記録媒体と画質調整材の界面からの反射光の干渉により虹様光彩が発生する。また、顔料色材としては、顔料インクやトナーなどがあり、染料色材としては染料インクなどがある。
【0079】
[他の実施例]
なお、本発明は、複数の機器(例えばコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置、制御装置など)に適用してもよい。
【0080】
また、本発明の目的は、上記実施例の機能を実現するコンピュータプログラムを記録した記憶媒体をシステムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(CPUやMPU)が前記コンピュータプログラムを実行することでも達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたソフトウェア自体が上記実施例の機能を実現することになり、そのコンピュータプログラムと、そのコンピュータプログラムを記憶する、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体は本発明を構成する。
【0081】
また、前記コンピュータプログラムの実行により上記機能が実現されるだけではない。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、コンピュータ上で稼働するオペレーティングシステム(OS)および/または第一の、第二の、第三の、…プログラムなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0082】
また、前記コンピュータプログラムがコンピュータに接続された機能拡張カードやユニットなどのデバイスのメモリに書き込まれていてもよい。つまり、そのコンピュータプログラムの指示により、第一の、第二の、第三の、…デバイスのCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、それによって上記機能が実現される場合も含む。
【0083】
本発明を前記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明したフローチャートに対応または関連するコンピュータプログラムが格納される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力する入力手段と、
前記領域データと前記色情報に基づき、画質調整材を用いて前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを制御して、前記干渉発生層を形成する形成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記色情報と前記画質調整材の使用量との対応関係を保持する保持手段を有し、
前記形成手段は、前記領域データと前記色情報に基づき、前記対応関係を用いて前記干渉発生層を形成することを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項3】
前記形成手段は、前記干渉発生層の厚さを3μm以下に制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された画像処理装置。
【請求項4】
前記形成手段は、前記干渉発生層の厚さのばらつきを200nm以下に制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項5】
前記画質調整材は透明色材であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項6】
入力手段、形成手段を有する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記入力手段が、記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力し、
前記形成手段が、前記領域データと前記色情報に基づき、画質調整材を用いて前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを制御して、前記干渉発生層を形成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置を請求項1から請求項5の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力する入力手段と、
前記領域データと前記色情報に基づき、画質調整材を用いて前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを制御して、前記干渉発生層を形成する形成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記色情報と前記画質調整材の使用量との対応関係を保持する保持手段を有し、
前記形成手段は、前記領域データと前記色情報に基づき、前記対応関係を用いて前記干渉発生層を形成することを特徴とする請求項1に記載された画像処理装置。
【請求項3】
前記形成手段は、前記干渉発生層の厚さを3μm以下に制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載された画像処理装置。
【請求項4】
前記形成手段は、前記干渉発生層の厚さのばらつきを200nm以下に制御することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項5】
前記画質調整材は透明色材であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載された画像処理装置。
【請求項6】
入力手段、形成手段を有する画像処理装置の画像処理方法であって、
前記入力手段が、記録媒体上で虹様光彩を発生させる領域を示す領域データと前記虹様光彩の色情報とを入力し、
前記形成手段が、前記領域データと前記色情報に基づき、画質調整材を用いて前記記録媒体上に光の干渉を発生させる干渉発生層の厚さを制御して、前記干渉発生層を形成することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
画像処理装置を請求項1から請求項5の何れか一項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−99944(P2013−99944A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−268794(P2012−268794)
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−29584(P2008−29584)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月7日(2012.12.7)
【分割の表示】特願2008−29584(P2008−29584)の分割
【原出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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