説明

画像処理装置およびデータ処理装置

【課題】暗号化期間に応じて画像データの暗号化・復号化を自動制御すると共に、暗号化期間内でも特定のユーザは復号化したデータを入手可能にする画像処理装置を提供する。
【解決手段】画像読み取り時は、画像入力部11で入力した画像データ内に暗号化期間を示す日時情報が設定されているか否かを調べ、有る場合は画像データを暗号化処理部13で暗号化して記憶部14に保存する。画像出力時は、出力対象の暗号化された画像データに設定されている日時情報が示す暗号化期間内に現在日時が含まれるか否かを日時情報比較部17で判別し、暗号化期間外であれば復号化処理部18で復号化して出力し、暗号化期間内であれば復号化せずに出力する。暗号化期間内は一切の出力を禁止するのではなく、暗号化された画像データを復号化せずに出力するので、復号鍵を知っている特定のユーザは復号化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号化されたデータを扱う画像処理装置およびデータ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からデータの機密を確保するための一方法として暗号化が行なわれるが、データの中には、特定の期間だけ機密が確保されればよいものもある。そこで、データの作成時に、機密を要する期間の指定を作成者から受け付け、その期間を表わす期日情報を付加した暗号データを作成し、その期日情報が示す期間内に出力要求を受けたときは出力を拒否し、期間外に出力要求を受けたときは暗号データを復号化して出力する処理方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−189718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に開示された方法では、データを作成する際に、機密の要否や機密を要する期間などを判断しなければならない。このため、この技術を、たとえば、デジタル複合機などの画像処理装置に適用すると、原稿を読み取ってその画像データをハードディスク装置に保存する作業を行なうときに、その作業者が原稿毎に機密の要否や機密期間を判断して操作部から設定しなければならず、画像データの保存作業が煩雑になってしまう。また、作業者と原稿の作成者とが相違する場合には、機密の要否や機密を保持すべき期間を作業者が判断できない場合もある。
【0005】
さらに、特許文献1に開示された方法では、作成時に指定した期間内の出力要求は拒否されてしまうので、原稿の作成者のように秘匿する必要のない特定のユーザが出力要求を行なった場合でも、出力を得ることができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、機密の要否や機密の保持期間を作業者が意識することなく必要な場合に画像データが自動的に暗号化される画像処理装置を提供することを目的としている。
【0007】
また、機密を保持すべき期間内であっても特定のユーザに対しては復号化されたデータの取得を可能にする画像処理装置およびデータ処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、以下に示す各項の発明により達成される。
【0009】
(1)画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記画像データ入力手段で入力した前記画像データに対して暗号化期間を規定する日時情報が設定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、日時情報が設定されている場合は、前記画像データを暗号化する暗号化手段と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【0010】
上記発明では、入力された画像データに暗号化期間を規定する日時情報が設定されているか否かを判定し、日時情報が設定されている場合は自動的にその画像データを暗号化する。このように、画像データに暗号化の要否を判断するための日時情報が設定されているので、作業者自身で暗号化の要否を判断しなくて済む。
【0011】
日時情報は、暗号化すべき期間を表わす情報でも、暗号化の不要な期間を表わす情報でもかまわない。また、日時情報は、画像データにコードデータとして付加されたものでもよいし、画像データに対応する画像の中にイメージ情報として含まれていてもよく、その形態は問わない。日時情報は画像データと共に(対応付けて)入力されることが望ましい。画像入力手段は、原稿を光学的に読み取って画像データを入力するものでよいし、外部PC(Personal Computer)などから入力するものでもよい。
【0012】
(2)前記暗号化手段で暗号化された画像データに対して、復号化処理を許可する許可コードを付与する付与手段をさらに有する
ことを特徴とする(1)に記載の画像処理装置。
【0013】
上記発明では、暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうための許可コードが付与される。許可コードは、単に復号化処理を許可することを示す情報でもよいし、復号化処理で使用する復号鍵でもよい。許可コードは画像データに関連付けて保存される。また、付与した許可コードを作業者に通知するとよい。
【0014】
(3)前記許可コードの入力を受ける入力手段と、
前記許可コードの入力に応じて、前記暗号化手段で暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする(2)に記載の画像処理装置。
【0015】
上記発明では、付与した許可コードを知っているユーザは、暗号化された画像データを許可コードの入力により復号化処理することができる。
【0016】
(4)前記暗号化手段で暗号化された画像データに設定されている前記日時情報と該画像データに基づく画像出力時の日時とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて、前記暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果に基づいて、前記暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0017】
上記発明では、暗号化された画像データを復号化処理するか否かが、その暗号化された画像データに設定されている日時情報に基づいて決定される。
【0018】
(5)前記暗号化手段で暗号化された画像データに基づく画像出力時の日時が、該画像データに設定されている前記日時情報に合致するか否かを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて、前記暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果に基づいて、前記暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【0019】
上記発明では、暗号化された画像データを復号化処理するか否かが、その暗号化された画像データに設定されている日時情報と、該画像データに基づく画像出力日時とが合致するか否かに基づいて決定される。
【0020】
(6)前記決定手段により前記復号化処理を行なう決定がなされた場合は、前記暗号化された前記画像データを前記復号化手段で復号化処理して出力し、前記復号化処理を行なわない決定がなされた場合は、前記暗号化された前記画像データを復号化処理せずに出力する出力手段をさらに有する
ことを特徴とする(4)または(5)に記載の画像処理装置。
【0021】
上記発明では、日時情報と現在日時との比較の結果、復号化処理を行なわない決定がなされた場合は、暗号化された画像データが復号化処理されずに出力される。したがって、日時情報により復号化処理が禁止されている期間内であっても、許可コードや復号鍵を有するユーザは、暗号化された状態の画像データを取得してこれを別途、復号化処理することができる。
【0022】
(7)暗号データの復号化処理を行う復号化手段と、
暗号化期間を規定する日時情報が設定されて保存されている暗号データの出力要求を受ける受付手段と、
前記受付手段で出力要求を受けたとき、前記出力要求が対象とする前記暗号データに設定されている前記日時情報に基づいて、前記暗号データの復号化処理を許可するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別の結果、復号化が許可された場合は、前記暗号データを前記復号化手段で復号化処理して出力し、復号化が許可されない場合は、前記暗号データを復号化処理せずに出力する出力手段と
を有する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【0023】
上記発明では、出力要求を受けた暗号データに設定されている日時情報に基づいて、その暗号データに対する復号化処理を許可するか否かを判別し、許可する場合は暗号データを復号化処理して出力し、許可しない場合は暗号データを復号化処理せずに出力する。これにより、日時情報によって復号化処理が禁止されている期間内であっても、許可コードや復号鍵を有するユーザは、出力された暗号データを別途、復号化処理することができる。
【0024】
(8)前記復号化処理の許可コードの入力を受ける入力手段をさらに有し、
前記許可コードの入力に応じて、前記暗号データを前記復号化手段で復号化処理して出力する
ことを特徴とする(7)に記載のデータ処理手段。
【0025】
上記発明では、日時情報によって復号化処理が禁止されている期間内であっても、許可コードを入力することで、復号化処理された出力を得ることができる。
【0026】
(9)前記暗号データが暗号化された画像データである
ことを特徴とする(7)または(8)に記載のデータ処理装置。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係わる画像処理装置によれば、入力された画像データに日時情報が設定されている場合はその画像データを自動的に暗号化するので、作業者自身で機密の要否や機密の保持期間を認識したり、暗号化の指示操作を行なったりする必要がなく、作業性・利便性が向上する。
【0028】
また、暗号化された画像データや暗号データに設定されている日時情報に基づいて復号化処理を行なうか否かを決定し、復号化処理を行なわないと決定した場合は、暗号化された画像データや暗号データを復号化処理せずに出力するものでは、日時情報によって復号化処理が禁止されている期間内であっても、許可コードや復号鍵を有するユーザは、出力されたデータを別途、復号化処理することができる。すなわち、許可コードや復号鍵を持たないユーザに対しては日時情報によるアクセス制限を行ないつつ、許可コードや復号鍵を持っているユーザに対しては日時情報にかかわらずデータへのアクセスを可能にして利便性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態に係わる画像処理装置10の概略構成を示している。画像処理装置10は、原稿を読み取って画像データを入手しその保存や外部端末への送信を行なうスキャナ機能、原稿を読み取って入手した画像データに基づく画像を記録紙上に形成するコピー機能、外部端末から受信した印刷データや画像データに基づく画像を記録紙上に形成するプリンタ機能などを有する、いわゆるデジタル複合機として構成されている。
【0031】
画像処理装置10は、画像入力部11と、日時情報検出部12と、暗号化処理部13と、記憶部14と、通信部15と、内部時計16と、日時情報比較部17と、復号化処理部18と、画像出力部19と、操作表示部20とを有している。
【0032】
画像入力部11は、画像データを入力する画像入力手段として機能する。画像入力部11は、原稿を光学的に読み取って画像データを取得するスキャナ装置として構成するほか、ネットワーク2を通じて接続された外部PC30などから通信部15を介して画像データを入手する態様であってもよい。
【0033】
日時情報検出部12は、画像入力部11から入力した画像データに日時情報が設定されているか否かを判定する判定手段として機能する。ここでは、画像データに対応する画像を画像解析することで日時情報の有無を判定したり日時情報の内容(期間や日時)を認識したりするようになっている。日時情報が文字情報の場合は、日時情報の検出および内容の認識にOCR(Optical Character Reader)処理を使用している。
【0034】
暗号化処理部13は、画像入力部11で入力した画像データを暗号化する機能を果たす。暗号化処理部13は、入力した画像データに日時情報が設定されている場合は、その画像データを暗号化する。暗号化方式は特に限定されず、どのようなものでもかまわない。暗号化処理部13は、暗号化された画像データにこれを復号化処理するための許可コードを付与する付与手段としても機能する。許可コードは、復号鍵であってもよいし、単に復号化処理の許否を判断するための認証情報であってもよい。許可コードは、たとえば、暗号化された画像データのヘッダ情報などとして管理され、暗号化された画像データと関連付けて保存される。
【0035】
記憶部14は、画像データや暗号化された画像データを一時的に保存する用途に使用される。記憶部14にはハードディスク装置や不揮発の半導体メモリなどが利用される。
【0036】
通信部15は、LAN(Local Area Network)などの通信回線を通じて外部PC30や他の画像処理装置との間で各種のデータを送受信する機能を果たす。通信部15を通じて、たとえば、暗号化された画像データや許可コードが送受信される。
【0037】
内部時計16は、機械内部の時計であって、現在日時を計時する機能を果たす。ネットワーク2に接続されているサーバにアクセスして現在日時(年月日や時刻)を取得するようにしてもよい。
【0038】
日時情報比較部17は、暗号化された画像データに設定されている日時情報と、この画像データに基づく画像出力時の日時とを比較する、すなわち、暗号化された画像データに基づく画像出力時の日時が、この画像データに設定されている日時情報に合致するか否かを比較する比較手段と、この比較結果に応じて、前記暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうか否かを決定する決定手段もしくは判別手段としての機能とを果たす。
【0039】
復号化処理部18は、暗号化された画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段として機能する。
【0040】
画像出力部19は、画像データを出力する出力手段としての機能を果たす。たとえば、画像データに対応する画像を記録紙上に形成して出力するプリンタ装置として構成される。なお、画像データを外部PC30や他の画像処理装置などに送信する場合は、通信部15が出力手段として機能する。
【0041】
操作表示部20は、ユーザから各種の操作を受け付ける操作部としての機能と、各種の操作画面や通知画面を表示する表示部としての機能を果たす。操作表示部20は、液晶ディスプレイ、タッチパネル、操作スイッチなどで構成される。操作表示部20は、許可コードを入力する入力手段や画像データの出力要求を受ける受付手段や許可コードをユーザに通知する手段としても機能する。
【0042】
図2は、画像処理装置10が読み取る原稿40の一例を示している。原稿40に付されている日時情報マーク41は、日時情報を可視画像として表わしたマークである。日時情報マーク41には、一次元バーコード41aや二次元のバーコードを使用できる。また、日時情報を文字や数字、記号で表わすもの(図中のマーク41b、41cなど)でもよい。
【0043】
日時情報は、暗号化を要する期間(暗号化期間)を表わしている。暗号化期間の規定形態には、(1)暗号化期間の始期を示すもの、(2)暗号化期間の終期を示すもの、(3)暗号化を要する期間を示すもの、(4)暗号化の不要な期間を示すもの、などがある。
【0044】
上記(1)、(2)の規定形態では、「2005年10月22日9時00分」というように、始期または終期となる特定の日時を1つ指定する。上記(3)、(4)の規定形態では「2005年10月1日〜2005年12月31日」や「9:00〜17:00」というように2つの日時で期間を指定する。
【0045】
なお、日時情報は、図2に示す日時情報マーク41のように可視画像として原稿内に含めるもののほか、コードデータで表わされたものでもよい。コードデータの場合、たとえば、外部PC30などから入力される画像データのヘッダ情報や付加情報として入力される。
【0046】
図3は、画像データ入力時(例えば、画像読み取り時)の画像処理装置10の動作の流れを示している。画像処理装置10は、画像入力部11で原稿を読み取って画像データを入力する(ステップS101)。次に、画像入力部11で読み取った画像データに日時情報が設定されているか否かを日時情報検出部12で調べ、日時情報が設定されているときは暗号化することを決定し、日時情報が設定されていないときは暗号化しないことを決定する(ステップS102)。ここでは、読み取った画像データの画像内に日時情報マーク41が存在するか否かをOCR処理などの画像解析で判別する。
【0047】
暗号化すると決定した場合は(ステップS103;Y)、画像入力部11で読み取った画像データを暗号化処理部13で暗号化すると共に、その暗号化された画像データに復号化処理のための許可コードを付与する(ステップS104)。そして、暗号化されかつ許可コードの付与された画像データを記憶部14に保存したり(ステップS105)外部PC30に送信したりして(ステップS106)処理を終了する(エンド)。なお、画像データを保存するか送信するかはユーザの指定に従う。保存と送信の双方を指定可能に構成してもよい。
【0048】
ここでは、許可コードは復号化処理に使用する復号鍵になっている。また、許可コードは、操作表示部20に表示したり画像出力部19でプリントアウトしたりして、今回の画像読取動作を指示したユーザに通知される。
【0049】
一方、日時情報が検出されず、画像データを暗号化しないと決定した場合は(ステップS103;N)、画像入力部11から読み取った画像データを暗号化せずに記憶部14への保存や外部PC30への送信を行なって(ステップS105、S106)処理を終了する(エンド)。
【0050】
このように、原稿(画像データ)に日時情報が設定されている場合はその画像データを自動的に暗号化するので、作業者自身で機密の要否や機密の保持期間を判断したり、暗号化を指示する操作を行なったりする必要がなく、作業性・利便性が向上する。
【0051】
図4は、画像処理装置10が行なう画像出力時の動作の流れを示している。ユーザから画像データの出力要求を受けると、その出力要求に係わる画像データを入手する(ステップS121)。出力対象の画像データが画像処理装置10の記憶部14に記憶されている場合は記憶部14から入手する。また、出力対象の画像データが外部PC30などの外部サーバに保存されている場合は、そこから画像データを通信で入手する。
【0052】
ここで、ユーザからの出力要求は、画像処理装置10の操作表示部20から受け付けてもよいし、外部PC30などの外部端末から受け付けてもよい。出力要求における画像データの特定は、たとえば、ジョブ番号やファイル名などで行なわれる。また、コピー機能での画像出力の場合は、画像処理装置10の内部処理で出力対象の画像データが特定される。
【0053】
入手した出力対象の画像データが暗号化されているか否かを判断し、暗号化されていない場合は(ステップS122;N)、その画像データを画像出力部19から出力して(ステップS126)処理を終了する(エンド)。
【0054】
暗号化されている場合は(ステップS122;Y)、日時情報比較部17はその画像データに設定されている日時情報が示す暗号化期間と内部時計16などから取得したこの画像データに基づく画像出力時の日時とを比較して復号化処理を許可するか否かを判別する(ステップS123)。すなわち、画像出力時の日時が日時情報の示す暗号化期間内か否かを調べ、暗号化期間外であれば復号化処理を許可し、暗号化期間内であれば復号化処理を許可しない決定を行なう。
【0055】
復号化処理を許可する場合は(ステップS124;Y)、復号化処理部18で画像データを復号化する(ステップS125)。このとき、その画像データに付与されている許可コードが復号鍵の場合はそれを使用して復号化処理を行なう。そして、復号化された画像データを画像出力部19から出力して(ステップS126)処理を終了する(エンド)。
【0056】
復号化処理が許可されない場合は(ステップS124;N)、復号化処理せずに、暗号化されたままの画像データを出力して(ステップS126)処理を終了する(エンド)。
【0057】
現在日時が暗号化期間内の場合は、暗号化された画像データをそのまま出力するので、復号鍵や復号化処理の許可コードを持っているユーザはその画像データを別途、復号化することができる。すなわち、許可コードや復号鍵を持たないユーザに対しては日時情報によるアクセス制限を行ないつつ、許可コードや復号鍵を持っているユーザに対しては日時情報にかかわらずデータへのアクセスを可能にして利便性を向上させることができる。
【0058】
なお、復号化処理せずに、暗号化されたままでの画像データの出力は、その出力先が他の複合機や外部PC30のような外部装置である場合に有効である。すなわち、暗号化期間内であっても外部装置は暗号化された状態の画像データを入手できるので、外部装置側のユーザが復号鍵や復号化処理の許可コードを持っているユーザであれば、入手した画像データを復号化処理して元の画像データに復元することができる。特に、出力先の外部装置まで暗号化された状態で画像データが転送されるので、通信経路での情報漏洩は起こりにくくセキュリティが向上する。また、画像データは、外部装置が入手した後も、復号鍵や許可コードを有するユーザが復号化処理を指示するまでは暗号化された状態なので、入手後に外部装置に保存しておいても情報漏洩が起こりにくくセキュリティが確保される。
【0059】
画像データの出力先がプリンタや表示装置のときは、復号化処理が許可されずに暗号化されたままの画像データを出力すると乱れた画像が出力されてしまう。そこで、日時情報に基づいて復号化処理が許可されない場合は、たとえば、ユーザに対して許可コードの入力を求め、許可コードが入力されたときは、許可コードの入力に応じて画像データに対して復号化処理を行なって画像データを出力し、許可コードが入力されない場合は出力を中止するように構成してもよい。ユーザによる許可コードの入力は、画像処理装置10の操作表示部20から行なわれてもよいし、外部PC30などの外部端末から行なわれてもよい。
【0060】
次に、画像処理装置10での画像読み取り動作および画像出力動作が、日時情報の有無や、日時情報が示す暗号化期間と現在日時との関係でどのように変化するかを各種の例で説明する。
【0061】
図5は、画像データに日時情報が設定されていない場合の動作を示している。横軸は時間の流れを、縦軸は処理の流れ(上段部Aは画像読み込み時の動作を、下段部Bは画像出力時の動作)を示している。日時情報が設定されていない場合は、現在日時にかかわらず常に以下の動作となる。画像読み込み時(図5上段部A参照)は、画像入力部11から入力された画像データを暗号化処理せずに記憶部14へ保存もしくは通信部15から外部PC30へ送信する(a1)。画像出力時(図5下段部B参照)は、画像データを復号化処理せずに画像出力部19から出力する(b1)。
【0062】
図6は、2006年4月1日までを暗号化期間とする日時情報が画像データに設定されている場合の動作を示している。図5と同様に横軸は時間の流れを、縦軸は処理の流れ(上段部Aは画像読み込み時の動作を、下段部Bは画像出力時の動作)を示している。
【0063】
画像データ入力時(例えば、画像読み込み時)(図6上段部A参照)は、日時情報があれば、その日時情報が示す暗号化期間にかかわらず画像入力部11から入力された画像データを常に暗号化処理して記憶部14へ保存もしくは通信部15から外部PC30へ送信する(a2、a3)。
【0064】
画像出力時(図6下段部B参照)は、出力時の日時が2006年4月1日以前(たとえば2006年1月1日)であれば暗号化期間内なので復号化処理せずに画像出力部19から出力する(b2)。出力時の日時が2006年4月2日以降(たとえば2007年1月1日)であれば暗号化期間外なので復号化処理して画像出力部19から出力する(b3)。
【0065】
図7は、2005年4月1日から2006年4月1日までを暗号化期間外とする日時情報が画像データに設定されている場合の動作を示している。図5と同様に横軸は時間の流れを、縦軸は処理の流れ(上段部Aは画像読み込み時の動作を、下段部Bは画像出力時の動作)を示している。
【0066】
画像データ入力時(例えば、画像読み込み時)(図7上段部A参照)は、日時情報があれば、その日時情報が示す暗号化期間にかかわらず画像入力部11から入力された画像データを常に暗号化処理して記憶部14へ保存もしくは通信部15から外部PC30へ送信する(a4、a5、a6)。
【0067】
画像出力時(図7下段部B参照)は、出力時の日時が2005年4月1日より前(たとえば2005年1月1日)であれば暗号化期間内なので復号化処理せずに画像出力部19から出力する(b4)。出力時の日時が2005年4月1日以降で2006年4月1日より前(たとえば2006年1月1日)であれば暗号化期間外なので復号化処理して画像出力部19から出力する(b5)。また、出力時の日時が2006年4月1日以降(たとえば2007年1月1日)であれば暗号化期間内なので復号化処理せずに画像出力部19から出力する(b6)。
【0068】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0069】
実施の形態では、画像データの入力動作と出力動作の双方が可能な画像処理装置10を例示したが、入力動作用の装置と、出力動作用の装置とを別体に設けてもよい。この際、画像データの保存場所は入力動作用の装置内でもよいし、外部サーバや出力動作用の装置であってもよい。
【0070】
実施の形態では画像処理装置10を例に説明したが、データの入力機能、保存機能、出力機能、暗号化機能、復号化機能を備えた装置あるいはこれらの機能を複数の装置に分散して備えるシステムであってもよい。また、取り扱うデータは画像データに限定されず、文書データやその他のデータを扱うデータ処理装置やデータ処理システムとして構成してもよい。
【0071】
また、日時情報は、2以上の期間を示すものでもよい。たとえば、2005年12月1日から2005年12月31日までの期間と、2006年2月1日から2006年3月31日までの期間とを暗号化期間として指定するものなどでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】日時情報の設定された原稿の一例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置における画像読み込み時の動作を示す流れ図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる画像処理装置における画像出力時の動作を示す流れ図である。
【図5】画像データに日時情報が設定されていない場合における画像読み取り動作と画像出力動作と操作日時との関係を示す説明図である。
【図6】2006年4月1日までを暗号化期間とする日時情報が画像データに設定されている場合における画像読み取り動作と画像出力動作と操作日時との関係を示す説明図である。
【図7】2005年4月1日から2006年4月1日までを暗号化期間外とする日時情報が画像データに設定されている場合における画像読み取り動作と画像出力動作と操作日時との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0073】
2…ネットワーク
10…画像処理装置
11…画像入力部
12…日時情報検出部
13…暗号化処理部
14…記憶部
15…通信部
16…内部時計
17…日時情報比較部
18…復号化処理部
19…画像出力部
20…操作表示部
30…外部PC
40…原稿
41…日時情報マーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する画像データ入力手段と、
前記画像データ入力手段で入力した前記画像データに対して暗号化期間を規定する日時情報が設定されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定の結果、日時情報が設定されている場合は、前記画像データを暗号化する暗号化手段と
を有する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記暗号化手段で暗号化された画像データに対して、復号化処理を許可する許可コードを付与する付与手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記許可コードの入力を受ける入力手段と、
前記許可コードの入力に応じて、前記暗号化手段で暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記暗号化手段で暗号化された画像データに設定されている前記日時情報と該画像データに基づく画像出力時の日時とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて、前記暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果に基づいて、前記暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記暗号化手段で暗号化された画像データに基づく画像出力時の日時が、該画像データに設定されている前記日時情報に合致するか否かを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に応じて、前記暗号化された画像データに対して復号化処理を行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定結果に基づいて、前記暗号化された前記画像データに対して復号化処理を行なう復号化手段と
を有する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記決定手段により前記復号化処理を行なう決定がなされた場合は、前記暗号化された前記画像データを前記復号化手段で復号化処理して出力し、前記復号化処理を行なわない決定がなされた場合は、前記暗号化された前記画像データを復号化処理せずに出力する出力手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項4または5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
暗号データの復号化処理を行う復号化手段と、
暗号化期間を規定する日時情報が設定されて保存されている暗号データの出力要求を受ける受付手段と、
前記受付手段で出力要求を受けたとき、前記出力要求が対象とする前記暗号データに設定されている前記日時情報に基づいて、前記暗号データの復号化処理を許可するか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段による判別の結果、復号化が許可された場合は、前記暗号データを前記復号化手段で復号化処理して出力し、復号化が許可されない場合は、前記暗号データを復号化処理せずに出力する出力手段と
を有する
ことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項8】
前記復号化処理の許可コードの入力を受ける入力手段をさらに有し、
前記許可コードの入力に応じて、前記暗号データを前記復号化手段で復号化処理して出力する
ことを特徴とする請求項7に記載のデータ処理手段。
【請求項9】
前記暗号データが暗号化された画像データである
ことを特徴とする請求項7または8に記載のデータ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−116529(P2007−116529A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307333(P2005−307333)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】