説明

画像処理装置および方法

【課題】画像の利便性の低減を抑制しながら、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることができるようにする。
【解決手段】バーチャル顕微鏡101は、1つの検体に対して複数の撮像画像からなるZスタック画像を生成する。3D-DCT符号化装置102は、Zスタック画像に対して3次元の離散コサイン変換を伴う符号化を行い、3D-DCT符号化データを生成し、ストレージ103に記憶させる。トランスコード装置104は、要求された画像を含む3D-DCT符号化データをストレージ103から取得し、必要な情報をJPEG符号化データに変換し、供給する。クライアント端末装置105は、そのJPEG符号化データを復号し、復号画像を観察画像として表示する。本発明は、例えば、画像処理装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および方法に関し、特に、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることができるようにした画像処理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、所謂、細胞診断や組織診断等の病理診断の分野では、バーチャル顕微鏡を用いたデジタル病理診断が行われるようになってきた。
【0003】
バーチャル顕微鏡とは、画像データを取得することが可能な顕微鏡装置と、その画像データを処理するコンピュータとを備えた装置のことである。バーチャル顕微鏡は、標本(検体)が載っているスライドガラス全体を撮影し、標本の顕微鏡像をデジタル画像として保存する装置である。
【0004】
このようにすることにより、例えば標本の顕微鏡像を適宜画像処理してパソコン等のディスプレイ上に表示させる等、通常の顕微鏡を使用して検体を観察する場合よりも高度な顕微鏡観察を行うことができる。例えば、顕微鏡像に対して、検体をより見やすくするように画像処理を施すことができる。また、例えば、顕微鏡像の一部を拡大して表示させることもできる。さらに、インターネットを介した顕微鏡観察も可能となる。
【0005】
細胞診断や組織診断などの病理診断で取り扱う検体は、一般的に、検体自体に厚みを有する。そのため、検体の立体構造を得るために複数のフォーカス面で撮影した画像(Zスタック画像)データが必要になる。
【0006】
ただし、非圧縮の画像データでは容量が増大するので、保存や管理が困難になる。そこで、Digital Imaging and COmmunication in Medicine(DICOM)規格では、このようなデジタル顕微鏡画像データのコーデック形式として、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)が採用されている。
【0007】
しかしながら、この場合も、1つの検体に対して複数のJPEGデータが必要になるので、保存・管理に必要な容量が大きく、さらなるデータ量の低減が求められている。
【0008】
例えば、複数のフォーカス面画像に対して、隣接し合うフレーム間の差分をとるフレーム間符号化を用いた圧縮方法が考えられている。さらに、基準となるフォーカス面を決め、光学パラメータと基準フォーカス面からのZ座標変位で決まるボケ変化を利用したボケ補償予測を用いて圧縮することも考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0009】
ところで、上述したようなバーチャル顕微鏡を用いたシステムにおいては、保存している顕微鏡画像データの一部を観察画像として表示させるが、その際の表示させる部分の位置や縮尺等の指定に対して高速な応答(表示)が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−11977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、復号処理の負荷が大きく、応答の高速性を実現することが困難になる恐れがあった。例えば、符号化データをそのまま、符号化データを保存しているサーバから、画像を表示させる(画像を要求した)端末装置に供給させ、端末装置においてその符号化データを復号させ復号画像を表示させるようにすると、処理能力が低い端末装置の負荷が増大し、応答が遅くなる恐れがあった。また、端末装置が、特許文献1に記載の符号化方式に対応している必要があり、汎用性が低下する恐れがあった。
【0012】
また、例えば、サーバにおいて符号化データを復号してから画像を端末装置に送信するようにすると、伝送させるデータ量が増大し、伝送遅延等により応答が遅くなる恐れがあった。
【0013】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画像の利便性の低減を抑制しながら、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面は、複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換する2次元直交変換手段と、前記2次元直交変換手段により前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換する1次元直交変換手段と、前記1次元直交変換手段により、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する3次元直交変換係数データ符号化手段とを備える画像処理装置である。
【0015】
前記複数の画像は、互いの相関性が高い画像であることができる。
【0016】
前記複数の画像を解析する画像解析手段と、前記画像解析手段による解析の結果に基づいて、前記2次元直交変換手段の処理単位となるブロックのサイズを決定するブロックサイズ決定手段とをさらに備えることができる。
【0017】
前記複数の画像を解析する画像解析手段と、前記画像解析手段による解析の結果に基づいて、前記3次元直交変換係数データを量子化する量子化パラメータを設定する量子化パラメータ設定手段と、前記量子化パラメータ設定手段により設定された前記量子化パラメータを用いて前記3次元直交変換係数データを量子化する量子化手段とをさらに備え、前記3次元直交変換係数データ符号化手段は、前記量子化手段により量子化された前記3次元直交変換係数データを符号化することができる。
【0018】
前記複数の画像間の相関を解析する相関解析手段と、前記相関解析手段による解析の結果に基づいて、前記複数の画像の中の、他の画像との相関が低い低相関画像を削除する低相関画像削除手段とをさらに備えることができる。
【0019】
前記複数の画像のそれぞれについて、合焦しているか否かを判定する焦点判定手段と、前記焦点判定手段による判定の結果に基づいて、前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像が合焦しているか否かを示す焦点フラグを設定する焦点フラグ設定手段とをさらに備えることができる。
【0020】
前記3次元直交変換係数データ符号化手段により前記3次元直交変換係数データが符号化されて得られる3次元直交変換符号化データを記憶する記憶手段をさらに備えることができる。
【0021】
前記記憶手段により記憶されている前記3次元直交変換符号化データを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段により前記記憶手段から読みだされた前記3次元直交変換符号化データを、前記2次元直交変換係数データを符号化して得られる2次元直交変換符号化データに変換する変換手段とをさらに備えることができる。
【0022】
前記変換手段は、前記3次元直交変換係数データ符号化手段の符号化方式に対応する復号方式で、前記3次元直交変換符号化データを復号する復号手段と、前記復号手段により前記3次元直交変換符号化データが復号されて得られる前記3次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に逆直交変換する1次元逆直交変換手段と、前記1次元逆直交変換手段により前記3次元直交変換係数データが逆直交変換されて得られる前記2次元直交変換係数データを符号化する2次元直交変換係数データ符号化手段とを備えることができる。
【0023】
前記変換手段は、前記1次元逆直交変換手段により前記3次元直交変換係数データが逆直交変換されて得られる複数の前記2次元直交変換係数データの中から、所望の画像が含まれる2次元直交変換係数データを抽出する抽出手段をさらに備え、前記2次元直交変換係数データ符号化手段は、前記抽出手段により抽出された前記2次元直交変換係数データを符号化することができる。
【0024】
前記抽出手段により抽出された前記2次元直交変換係数データの、前記2次元直交変換処理の単位となるブロックのサイズを変換するブロックサイズ変換手段をさらに備え、前記2次元直交変換係数データ符号化手段は、前記ブロックサイズ変換手段の処理により得られたブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを符号化することができる。
【0025】
前記ブロックサイズ変換手段は、前記ブロックのサイズを周波数空間上で変換することにより、ブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを得ることができる。
【0026】
前記ブロックサイズ変換手段は、前記2次元直交変換係数データを、2次元逆直交変換してベースバンドの画像データにもどしてから前記ブロックのサイズを変換し、さらに、得られたブロックサイズ変換後のベースバンドの画像データを2次元直交変換することにより、ブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを得ることができる。
【0027】
所望の画像の要求を受け付ける要求受付手段をさらに備え、前記読み出し手段は、前記記憶手段から、前記要求受付手段により受け付けられた前記要求により指定される画像を含む3次元直交変換符号化データを読み出し、前記変換手段は、前記読み出し手段により前記記憶手段から読みだされた前記3次元直交変換符号化データを、前記要求受付手段により受け付けられた前記要求により指定される画像を含む2次元直交変換符号化データに変換し、前記変換手段により変換されて得られる前記2次元直交変換符号化データを前記画像の要求元に供給する供給手段をさらに備えることができる。
【0028】
前記供給手段による前記2次元直交変換符号化データの伝送に関する伝送情報を取得する伝送情報取得手段と、前記伝送情報取得手段により取得された前記伝送情報に基づいて、前記変換手段の符号化パラメータを制御する符号化パラメータ制御手段とをさらに備えることができる。
【0029】
本発明の一側面は、また、画像処理装置の画像処理方法であって、2次元直交変換手段が、複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換し、1次元直交変換手段が、前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換し、3次元直交変換係数データ符号化手段が、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する画像処理方法である。
【0030】
本発明の他の側面は、複数の画像が、それぞれ2次元に直交変換されて符号化された複数の2次元直交変換符号化データを、それぞれ復号する復号手段と、前記復号手段により複数の前記2次元直交変換符号化データが復号されて得られる複数の2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換する1次元直交変換手段と、前記1次元直交変換手段により、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する3次元直交変換係数データ符号化手段とを備える画像処理装置である。
【0031】
前記2次元直交変換符号化データを比較的短期間記憶する短期保存用記憶手段をさらに備え、前記復号手段は、前記短期保存用記憶手段により記憶されている複数の前記2次元直交変換符号化データを読み出して、それぞれ復号し、前記3次元直交変換係数データ符号化手段により前記3次元直交変換係数データが符号化されて得られる3次元直交変換符号化データを、比較的長期間記憶する長期保存用記憶手段をさらに備えることができる。
【0032】
複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換する2次元直交変換手段と、前記2次元直交変換手段により前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた複数の2次元直交変換係数データをそれぞれ符号化する2次元直交変換係数データ符号化手段とをさらに備え、前記短期保存用記憶手段は、前記2次元直交変換係数データ符号化手段により前記2次元直交変換係数データがそれぞれ符号化されて得られる前記2次元直交変換符号化データを比較的短期間記憶することができる。
【0033】
本発明の他の側面は、また、画像処理装置の画像処理方法であって、復号手段が、複数の画像が、それぞれ2次元に直交変換されて符号化された複数の2次元直交変換符号化データを、それぞれ復号し、1次元直交変換手段が、複数の前記2次元直交変換符号化データが復号されて得られる複数の2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換し、3次元直交変換係数データ符号化手段が、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する画像処理方法である。
【0034】
本発明の一側面においては、複数の画像がそれぞれ2次元に直交変換され、複数の画像が2次元に直交変換されて得られた2次元直交変換係数データが、複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換され、2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データが符号化される。
【0035】
本発明の他の側面においては、複数の画像が、それぞれ2次元に直交変換されて符号化された複数の2次元直交変換符号化データが、それぞれ復号され、複数の2次元直交変換符号化データが復号されて得られる複数の2次元直交変換係数データが、複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換され、2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データが符号化される。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、画像を処理することができる。特に、画像の利便性の低減を抑制しながら、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明を適用した画像処理システムの主な構成例を示すブロック図である。
【図2】バーチャル顕微鏡の動作例を説明する図である。
【図3】3D−DCT符号化装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図4】3D−DCTの概要を説明する図である。
【図5】3D−DCTにおけるDCT係数の分布の例を説明する図である。
【図6】z相関の様子の例を説明する図である。
【図7】トランスコード装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図8】保存時のデータの構成例を説明する図である。
【図9】クライアント端末装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図10】3D−DCT符号化処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図11】符号化パラメータ設定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図12】相関処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図13】焦点フラグ設定処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図14】3D−DCT符号化データ記憶処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図15】画像提供表示処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図16】画像処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図17】トランスコード装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図18】ブロックサイズ変換の様子の例を説明する図である。
【図19】画像提供表示処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図20】トランスコード装置の、さらに他の構成例を示すブロック図である。
【図21】画像提供表示処理の流れの、さらに他の例を説明するフローチャートである。
【図22】本発明を適用した画像処理システムの他の構成例を示すブロック図である。
【図23】JPEG符号化装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図24】トランスコード装置の主な構成例を示すブロック図である。
【図25】短期保存処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図26】長期保存処理の流れの例を説明するフローチャートである。
【図27】トランスコード装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図28】長期保存処理の流れの、他の例を説明するフローチャートである。
【図29】本発明を適用したパーソナルコンピュータの主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(画像処理システム)
2.第2の実施の形態(画像処理システム)
3.第3の実施の形態(パーソナルコンピュータ)
【0039】
<1.第1の実施の形態>
[画像処理システムの構成]
図1は、本発明を適用した画像処理システムの主な構成例を示すブロック図である。
【0040】
図1に示される画像処理システム100は、例えば、細胞診断や組織診断に用いられるシステムであり、検体を撮像し、そのデジタル画像データを符号化して保存・管理し、必要に応じて、その一部を復号し、その検体の画像を表示するシステムである。
【0041】
図1に示されるように、画像処理システム100は、バーチャル顕微鏡101、3D-DCT(3 Dimensions - Discrete Cosine Transform)符号化装置102、ストレージ103、トランスコード装置104、およびクライアント端末装置105を有する。
【0042】
細胞診断や組織診断などの病理診断で取り扱う検体は、一般的に検体自体が厚みを有する。
【0043】
バーチャル顕微鏡101は、例えば、図2に示されるように、このような検体を複数のフォーカス位置(焦点位置)で(フォーカス位置のZ軸座標を変えながら)撮像することにより、複数(例えば数十枚程度)の画像(以下において、フォーカス面画像とも称する)を得る。つまり、1つの検体(1組のスライドガラスに挟まれた細胞群等)に対して、複数の撮像画像(フォーカス面画像)が生成される。そして、この複数の撮像画像は、互いに焦点位置が異なる。以下において、このような撮像画像(フォーカス面画像)群をZスタック画像と称する。
【0044】
図1に戻り、バーチャル顕微鏡101は、検体を撮像し、このようなZスタック画像を生成すると、それを3D-DCT符号化装置102に供給する。
【0045】
3D-DCT符号化装置102は、3次元の離散コサイン変換を伴う符号化を行い、3D-DCT符号化データを生成する。3次元の離散コサイン変換については後述する。
【0046】
3D-DCT符号化装置102は、生成した3D-DCT符号化データを、トランスコード装置104を介してストレージ103に供給し、記憶(保存)させる。なお、3D-DCT符号化装置102が、3D-DCT符号化データを、トランスコード装置104を介さずにストレージ103に供給し、記憶(保存)させるようにしてもよい。
【0047】
検体の診断を行うユーザは、クライアント端末装置105を操作し、バーチャル顕微鏡101において撮像された検体の画像を観察画像として表示させる。クライアント端末装置105は、ユーザ操作等に基づいて、トランスコード装置104に対して表示させる画像を要求する。例えば、クライアント端末装置105は、観察画像として表示させる部分の位置、焦点位置、および解像度等を指定する。
【0048】
トランスコード装置104は、クライアント端末装置105により要求された画像を含む3D-DCT符号化データをストレージ103から取得し、変換処理を行って、クライアント端末装置105に要求された画像のJPEG符号化データを生成し、それをクライアント端末装置105に供給する。
【0049】
クライアント端末装置105は、JPEG符号化データを取得すると、それを復号し、復号画像を観察画像として表示する。このように、画像処理システム100は、ストレージ103に保存されているZスタック画像の任意の部分(一部または全部)を観察画像としてックライアント端末装置105のモニタに表示させることができる。
【0050】
以上のように、画像処理システム100は、3D-DCT符号化装置102にZスタック画像を符号化させ、3D-DCT符号化データとしてストレージ103に保存させる。つまり、焦点方向(Z方向)についてもフォーカス面画像間の相関性を利用した圧縮が行われるので、その分、情報量が低減される。つまり、画像処理システム100は、Zスタック画像(3D-DCT符号化データ)をストレージ103に保存する際に必要な容量を低減させることができ、ストレージ103の負荷を低減させることができる。
【0051】
また、3D-DCT符号化データは、全てのデータをベースバンドまで復号しなくても、2次元の離散コサイン変換係数データ(2D-DCT係数データ)を生成することができる。つまり、トランスコード装置104は、ストレージ103に記憶されている3D-DCT符号化データから、容易に、クライアント端末装置105から要求されたJPEG画像データを生成することができる。したがって、画像処理システム100は、変換処理の負荷を低減させることができる。
【0052】
さらに、このような変換処理を画像提供側(サーバ側)のトランスコード装置104において行うことができるので、画像処理システム100は、クライアント端末装置105の負荷を低減させることができる。
【0053】
また、画像処理システム100は、トランスコード装置104からクライアント端末装置105へ、画像をJPEG符号化データとして伝送させる。したがって、画像処理システム100は、伝送するデータ量を低減し、伝送時の負荷を低減させることができる。また、JPEG符号化データを伝送するので、従来のクライアント端末装置105でも、トランスコード装置104からデータを受け取り、画像を表示させることができる。つまり、クライアント端末装置105を特別新規な符号化方式に対応させる必要がなく、汎用性を向上させることができる。
【0054】
以上のように、3D-DCT符号化データはその復号や伝送が容易であるので、このような3D-DCT符号化データをストレージ103に保存させることにより、画像処理システム100は、クライアント端末装置105の要求に対する応答速度を向上させることができる。
【0055】
なお、図1に示される点線110内の各装置は、任意に組み合わせることができる。例えば、3D-DCT符号化装置102乃至トランスコード装置104を、クライアント端末装置105に対応する、画像を提供するサーバ(1つの装置)として構成するようにしてもよいし、それに、さらにバーチャル顕微鏡101を加えてもよい。もちろん、これ以外の組み合わせも可能である。
【0056】
[3D-DCT符号化装置の構成]
図3は、図1の3D-DCT符号化装置102の主な構成例を示すブロック図である。図3に示されるように、3D-DCT符号化装置102は、符号化パラメータ設定部131、相関処理部132、符号化パラメータ設定部133、3D-DCT部134、量子化部135、および符号化部136を有する。
【0057】
符号化パラメータ設定部131は、バーチャル顕微鏡101から供給されるZスタック画像に応じて、例えばブロックサイズや量子化パラメータ等の符号化パラメータの設定を行う。相関処理部132は、バーチャル顕微鏡101から供給されるZスタック画像におけるZ方向の相関(フォーカス面画像間の相関)を調べ、他と相関性の低いフォーカス面画像を削除する。符号化パラメータ設定部133は、バーチャル顕微鏡101から供給されるZスタック画像の各フォーカス面画像に含まれる検体が合焦しているか否かを調べ、合焦しているか否かを示す焦点フラグを生成する。
【0058】
3D-DCT部134は、バーチャル顕微鏡101から供給されるZスタック画像を3次元離散コサイン変換(3D-DCT)する。
【0059】
図4に3次元離散コサイン変換(3D-DCT)の概要を示す。Zスタック画像の各フォーカス面画像をXY平面とし、各フォーカス面画像の焦点位置をZ軸とすると、図4の右側に示されるように、Zスタック画像の各画像がXYZ空間上に配置される。
【0060】
3次元離散コサイン変換の場合も、処理は所定のブロック毎に行われる。ただし、3次元離散コサイン変換の場合、図4に示されるように、3次元画素ブロック毎に行われる。図4において、DCT_SIZE_Xは、この3次元画素ブロックのX軸方向のサイズ(つまり、X軸方向の処理単位)であり、DCT_SIZE_Yは、この3次元画素ブロックのY軸方向のサイズ(つまり、Y軸方向の処理単位)であり、DCT_SIZE_Zは、この3次元画素ブロックのZ軸方向のサイズ(つまり、Z軸方向の処理単位)である。
【0061】
量子化部135は、3D-DCT部134により生成された係数データ(3D-DCT係数データ)を量子化する。例えば、量子化部135は、符号化パラメータ設定部131の量子化パラメータ設定部143により設定された量子化パラメータで、3D-DCT係数データを量子化する。
【0062】
符号化部136は、量子化された3D-DCT係数データを、ランレングス・ハフマン符号化し、3D-DCT符号化データを生成する。符号化部136は、生成した3D-DCT符号化データをトランスコード装置104(図1)に供給する。
【0063】
JPEGのように2次元XY画素ブロック単位ではなく、3次元XYZ画素ブロック単位で集合的な冗長度を取り除くことで、3D-DCT符号化装置102は、符号化効率(圧縮率)を向上させることができる。
【0064】
3次元離散コサイン変換(3D-DCT)は、一般的な動画コーデックにはほとんど用いられていない。一般的な動画の場合、時間的に被写体が動いたり変化したりするため、3軸目にあたる時間方向(今回の場合はZ軸方向)の相関性が低い。このような画像に対して3次元離散コサイン変換を行っても符号化効率(圧縮率)を向上させることは困難である。しかしながら、Zスタック画像の場合、各フォーカス面画像は、同一の観察ポイントからフォーカス面のみを変えて取得されたものであるので、フォーカス面画像間には高い相関性がある。したがって、上述したように3D-DCTを用いてZ方向の冗長度も取り除くことにより、3D‐DCT符号化装置102は、符号化効率(圧縮率)を向上させることができる。
【0065】
図3に戻り、符号化パラメータ設定部131は、画像解析部141、ブロックサイズ決定部142、および量子化パラメータ設定部143を有する。
【0066】
画像解析部141は、バーチャル顕微鏡101から供給されたZスタック画像について、各フォーカス面画像がどのような画像であるかを解析する。ブロックサイズ決定部142は、その解析結果に基づいて3次元画素ブロックサイズ(XYZの各方向のサイズ)を決定し、量子化パラメータ設定部143は、その解析結果に基づいて量子化パラメータを設定する。
【0067】
なお、ブロックサイズ決定部142が3次元画素ブロックのサイズを決定後、各処理はその3次元画素ブロック毎に行われる。つまり、量子化パラメータ設定部143による量子化パラメータの設定もブロック毎に行われる。それより後段の、相関処理部132、符号化パラメータ設定部133、3D−DCT部134、量子化部135、および符号化部136の処理も同様である。ただし、量子化パラメータ設定部143の量子化パラメータ設定の処理単位は、例えば、Zスタック画像毎やシーケンス毎等、ブロックより大きくてもよい。
【0068】
例えば、細胞診断用の画像の場合、一般的に、観察対象の細胞の部分と、それ以外の部分に大きく分けられる。細胞の部分は高周波成分が多いが、それ以外の部分は、何も存在しない場合が多く低周波成分が多い。また、その目的から、観察対象である細胞の部分は重要度が高く、符号量が多くなっても高画質であることが望ましい。これに対して、それ以外の部分は、観察の対象外であり、重要度が低い。したがって、低画質であっても符号量が少ないことが望ましい。
【0069】
そこで、例えば、ブロックサイズ決定部142は、細胞等の観察対象が含まれる領域(注目すべき領域)について、ブロックサイズを小さいサイズに設定し、符号化による画質劣化を低減させるようにする。また、ブロックサイズ決定部142は、処理対象の領域に細胞等の観察対象が含まれない領域(注目すべきでない領域)について、ブロックサイズを大きいサイズに設定し、符号量を低減させ、符号化効率(圧縮率)を向上させるようにする。
【0070】
撮影画像(観察対象)にもよるが、一般的にブロックサイズを大きくしていくと符号化効率が改善する。ただし、ブロックサイズを大きくとり過ぎると、ブロック内にエッジなどの高周波成分が含まれる確率が高くなり、直交変換係数データの直流(DC)成分付近の偏りが小さくなり、その結果、符号化効率が悪化する場合がある。また、量子化において、高周波成分をカットするため、デコードした画像のエッジ周辺において不要なボケが生じる場合がある。
【0071】
圧縮効率や主観的画質評価の観点から、フォーカス面画像平面上のブロックサイズ(DCT_SIZE_X,DCT_SIZE_Y)は、一般的に32画素若しくは64画素程度が望ましい。また、ブロック内に含まれるエッジ情報などに基づいて、フォーカス面内で適応的にブロックサイズを変えることができるようにしてもよい。なお、JPEGに高速にトランスコードする場合、DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8にするのが望ましい。また、フォーカス軸上の直交変換処理単位(DCT_SIZE_Z)は、撮影間隔(ピッチ)と撮影時の被写界深度によって設定されるようにしてもよい。
【0072】
また、一般的に,Z方向(フォーカス軸方向)の相関性が高い場合、3次元離散コサイン変換後のデータ(3D-DCT(DATA))は、図5の左に示されるように、DC(直流)成分(3次元ブロック原点)に大きなDCT係数値が発生し、AC(交流)成分は3次元ブロック原点から離れるに従って係数値は小さくなる分布特性をもつ。このとき、Z軸方向の高周波数領域での係数値は小さく、(X,Y,Z)=(0,0,Z)周辺に偏っている。
【0073】
このような場合、X軸方向およびY軸方向の高周波に加えてZ軸方向の高周波を削除すると、視覚的な劣化を抑制しながら符号化効率(圧縮率)を向上させることができる。したがって、Z方向の相関性が高い場合の3次元量子化マトリクスは、図5の左の大小をひっくり返したような分布特性となり、大きな係数値が出ている3次元ブロック原点周辺には小さな量子化値を割り当て、小さな係数値しかでていない高周波領域には大きな量子化値を割り当てる、すなわち高周波成分をカットするようなマトリクスを適用すると視覚的な劣化を抑制しながら符号化効率(圧縮率)を向上させることができる。
【0074】
これに対して、Z方向の相関性が低い場合は,図5の右に示されるように、DCT係数の3次元ブロック原点周辺への偏りが少なく、Z軸方向の高周波数領域にも比較的大きなDCT係数が発生する。
【0075】
このような場合に、上述したZ軸方向の相関性が高い場合の3次元マトリクスを適用してしまうと、視覚上の劣化が増大する恐れがある。そこでZ方向の相関性が低い場合、上述したZ方向の相関性が高い場合の3次元マトリクスよりも、X,Y,Z方向の高周波成分に小さい量子化値を割り当て、高周波もある程度残すのが望ましい。つまり、図5の右の分布の大小をひっくり返したような分布のマトリクスが望ましい。
【0076】
したがって、量子化パラメータ設定部143は、例えば図6に示されるように、領域に応じてブロック単位で複数種類(例えば2種類)の量子化マトリクスを使い分ける。
【0077】
一般的に、検体(標本)が含まれるブロックでは、テクスチャが複雑でZ方向の相関性が低くなりやすい。また、合焦している部分が多く含まれるブロックでは、検体像の解像感が高く(輪郭がはっきりしており)、相関性が低くなりやすい。このような条件がそろった場合(例えば図6中の領域A)、上述したZ方向の相関性が低い場合の量子化マトリクスを適用するのが望ましい(符号化効率を向上させることができる)。
【0078】
これに対して、検体がほとんど含まれていないような領域(例えば図6中の領域B)の場合、Z方向の相関性が高くなりやすい。また、検体が含まれていても焦点位置から外れてボケている画像を多く含むブロックの場合(例えば、図6A中の領域C)も、検体像の解像感が低い(輪郭がぼやけている)ために相関が高くなりやすい。これらの場合、上述したZ方向の相関性が高い場合の量子化マトリクスを適用するのが望ましい(符号化効率を向上させることができる)。
【0079】
なお、このような2種類の量子化マトリクスを使い分ける単位は任意であり、例えばシーケンス単位であってもよい。
【0080】
つまり、量子化パラメータ設定部143は、画像解析部141の解析結果に基づいて、処理対象(画像)が、上述した場合のいずれであるかを判定し、その判定結果に基づいて適切な量子化パラメータを設定する。
【0081】
なお、画像解析部141がフォーカス面画像間の相関の強さを調べ、その値に応じて、量子化パラメータ設定部143が適切な量子化パラメータを設定するようにしてもよい。
【0082】
図3に戻り、相関処理部132は、Z相関解析部151および低相関画像削除部152を有する。
【0083】
Z相関解析部151は、ブロック毎に、フォーカス面画像間の相関の強さを調べる。低相関画像削除部152は、処理対象ブロックにおいて、他のフォーカス面画像(例えばZ軸方向に並べたときの両隣りのフォーカス面画像)との相関が非常に弱い場合、そのフォーカス面画像をZスタック画像から削除する。
【0084】
例えば、バーチャル顕微鏡101においてZスタック画像を生成するための撮像を繰り返している最中に、検体の位置がずれたり、照明の当たり方(明るさ等)が大きく変化したり、ゴミや埃等が混入したりする等、何らかの理由により、他のフォーカス面画像と、内容が大きく異なるフォーカス面画像が得られる場合がある。
【0085】
上述したように3次元離散コサイン変換処理においては、Z軸方向の相関の強さを利用して符号化効率(圧縮率)を向上させる。したがって、符号化処理対象の3次元画素ブロック内に、Z軸方向の相関が著しく弱いフォーカス面画像が存在する場合、その画像のために符号化効率(圧縮率)が著しく低減する恐れがある。
【0086】
また、例えば、視覚的にも差が分かる程他のフォーカス面画像との相関が弱いフォーカス面画像は、検体の観察時に邪魔になる恐れがある。例えば、ゴミが混入したり、暗すぎる画像等は、診断にとって不要な画像となりうる(重要度が低い可能性が高い)。
【0087】
そこで、低相関画像削除部152は、符号化効率の不要な低減を抑制するために、各ブロックにおいて、このように相関が非常に弱く、重要度の低いフォーカス面画像を削除する。
【0088】
この、相関が弱いか否かの判定基準(閾値)は、任意であるが、例えば、視覚的にも他の画像との差が検知可能な程弱いレベル(例えば、図6に示される領域Aのような正常なフォーカス面画像における相関の弱い部分よりもさらに弱いレベル)とするのが望ましい。
【0089】
なお、この低相関画像削除部152による各ブロックの低相関なフォーカス面画像の「削除」は、Zスタック画像からの削除、すなわち、Zスタック画像からの除去(分離)を意味する。この除去された低相関なフォーカス面画像のデータは、実際に削除(破棄)されてもよいし、低相関なフォーカス面画像が除去(抽出)された後のZスタック画像とは別のデータ(ファイル)として、例えばストレージ103等に保存されるようにしてもよい。この低相関なフォーカス面画像のデータは、任意の方式(JPEG若しくはそれ以外の符号化方式)で符号化されて保存されるようにしてもよい。
【0090】
なお、このように保存された低相関なフォーカス面画像データは、任意の目的で再利用されるようにしてもよい。例えば、クライアント端末装置105のユーザが、より詳細な(正確な)観察を行いたい場合に、この別途保存された低相関なフォーカス面画像データもZスタック画像とともに読み出し、利用することができるようにしてもよい。そのために、この低相関なフォーカス面画像データを、そのデータを抽出したZスタック画像と関連付けてストレージ103に保存させるようにしてもよい。
【0091】
図3において、符号化パラメータ設定部133は、焦点判定部161および焦点フラグ挿入部162を有する。
【0092】
焦点判定部161は、各ブロックにおいて、各フォーカス面画像に含まれる検体が合焦しているか否かを調べる。焦点フラグ挿入部162は、その調査結果に基づいて、各ブロックの各フォーカス面画像について、合焦しているか否かを示す焦点フラグを生成し、画像データ(の例えばヘッダ等)に挿入する。
【0093】
この、合焦しているか否かを示す焦点フラグは、画像データとともにストレージ103に保持され、例えばその画像の再生時の処理に使用される。このようにすることにより、画像再生時に、どこに合焦しているかを容易に把握することができ、例えばフィルタ処理等、合焦しているか否かに応じて適切な画像処理を行うようにすることができる。
【0094】
以上のようにすることにより、3D-DCT符号化装置102は、画像の内容に応じて、より画質を劣化させないように、より効率よく符号化を行うことができる。
【0095】
図3において、3D-DCT部134は、2D-DCT部171および1D-DCT部172を有する。
【0096】
2D-DCT部171は、各ブロックの各フォーカス面画像を、それぞれ(XY平面において)2次元離散コサイン変換し、2D-DCT係数データを生成する。1D-DCT部172は、その各ブロックの2D-DCT係数データ群を、さらにZ軸方向(Zスタック画像を構成する複数の画像が並ぶ方向)に1次元離散コサイン変換する。
【0097】
つまり、1D-DCT部172は、各2D-DCT係数データの、互いに同じ位置の係数データ(互いに同じ位置の画素に対応する係数データ)を離散コサイン変換する。
【0098】
1D-DCT部172は、このように各位置の係数データをZ軸方向に離散コサイン変換して生成した、ブロック毎の3D-DCT係数データを量子化部135に供給する。このブロック毎の3D-DCT係数データは、上述したように、量子化され、符号化され、ストレージ103に保存される。
【0099】
[トランスコード装置の構成]
図7は、図1のトランスコード装置104の主な構成例を示すブロック図である。
【0100】
図7に示されるように、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データ記憶制御部201、伝送情報取得部202、符号化パラメータ制御部203、要求受付部204、データ特定部205、および3D-DCT符号化データ読み出し部206を有する。トランスコード装置104は、さらに、復号部207、逆量子化部208、1D-IDCT部209、抽出部210、量子化部211、符号化部212、および送信部213を有する。
【0101】
3D-DCT符号化データ記憶制御部201は、3D-DCT符号化装置102から供給される3D-DCT符号化データをストレージ103に供給し、記憶させる。
【0102】
図8は、ストレージ103に記憶されるフォーカス面画像のピラミッド構造について説明する図である。図8において、横軸はフォーカス方向軸(Z軸)、縦軸は倍率(解像度)方向軸(M軸)を示す。図8に示されるように、各フォーカス面画像221a乃至221gについて画像ピラミッド構造223a乃至223gが生成される。これら画像ピラミッド構造223a乃至223gは、各フォーカス面画像221a乃至221gについて、異なる複数の解像度により生成された画像群である。
【0103】
画像ピラミッド構造223a乃至223gの最下(M=0)には、最も大きいサイズのフォーカス面画像221a乃至221gが配置され、最上(M=3)には最も小さいサイズのフォーカス面画像222a乃至222gが配置される。最も大きいサイズのフォーカス面画像221a乃至221gの解像度は、例えば50×50(Kpixel:キロピクセル)、あるいは40×60(Kpixel)である。最も小さいサイズのフォーカス面画像222a乃至222gは、例えば256×256(pixel)、あるいは、256×512(pixel)である。
【0104】
M=1,2,3の低倍率のフォーカス面画像は、M=0の高倍率のフォーカス面画像221a乃至221gが、例えばLanczos等のフィルタにより縮小されることで生成される。縮小率としては、例えば1/2、1/4、1/8、あるいは、それ以上の縮小率が選択される。複数の画像ピラミッド構造223a乃至223gにより、光学顕微鏡により得られる像の倍率を変更する操作と同様な操作が実現可能となる。
【0105】
以上のように、各倍率のフォーカス面画像は、互いに異なる複数の画像としてストレージ103に保存される。なお、以下においては、ストレージ103に保存されている符号化データのXY平面のブロックサイズを8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)として説明する。
【0106】
図7に戻り、伝送情報取得部202は、クライアント端末装置105の性能(処理能力)に関する情報や、トランスコード装置104からクライアント端末装置105までの伝送路となるネットワークの使用可能帯域幅等の伝送路に関する情報を伝送情報として収集する。伝送情報取得部202は、クライアント端末装置105やネットワークからこれらの伝送情報を取得すると、それを符号化パラメータ制御部203に供給する。
【0107】
符号化パラメータ制御部203は、供給された伝送情報に基づいて、適切なデータ伝送を行うことができるように、例えば、量子化パラメータ、目標符号化レート、および伝送レート等の符号化パラメータを設定し、その符号化パラメータを用いて、量子化部211、符号化部212、および送信部213を制御する。この符号化パラメータは任意であり、どのようなパラメータであってもよい。
【0108】
要求受付部204は、クライアント端末装置105による画像の要求を受け付ける。クライアント端末装置105が要求する画像は、ストレージ103に保存されている3D-DCT符号化データに含まれる画像である。この要求においては、例えば、Zスタック画像における、要求する画像の、位置、焦点位置、および解像度等が指定される。要求受付部204は、受け付けた要求をデータ特定部205に供給する。
【0109】
データ特定部205は、3D-DCT符号化データ読み出し部206を介してストレージ103に記憶されている3D-DCT符号化データの情報を取得し、その中から、要求された画像(要求において指定される位置、焦点位置、および解像度等により特定される画像)を含む3D-DCT符号化データをブロック単位で特定する。
【0110】
3D-DCT符号化データ読み出し部206は、データ特定部205により特定されたブロック毎の3D-DCT符号化データをストレージ103から読み出し、それを復号部207に供給する。
【0111】
復号部207は、3D-DCT符号化データ読み出し部206から供給されたブロック毎の3D-DCT符号化データを、符号化部136(図3)に対応する方法で復号し、量子化されたブロック毎の3D-DCT係数データを生成し、それを逆量子化部208に供給する。
【0112】
逆量子化部208は、復号部207より供給される、量子化されたブロック毎の3D-DCT係数データを逆量子化してブロック毎の3D-DCT係数データを生成し、それを1D-IDCT部209に供給する。
【0113】
1D-IDCT部209は、逆量子化部208から供給されたブロック毎の3D-DCT係数データを、Z軸方向に1次元に逆離散コサイン変換(IDCT)し、ブロック毎の2D-DCT係数データを生成する。
【0114】
この逆離散コサイン変換処理により、処理対象ブロックの各フォーカス面画像に対応する2D-DCT係数データ(XY平面方向に離散コサイン変換されて得られた係数データ)が生成される。1D-IDCT部209は、生成した各フォーカス面画像のブロック毎の2D-DCT係数データを抽出部210に供給する。
【0115】
抽出部210は、供給された各フォーカス面画像に対応するブロック毎の2D-DCT係数データの中から、クライアント端末装置105からの要求により指定される画像を含むフォーカス面画像に対応するブロック毎の2D-DCT係数データを抽出し、それを量子化部211に供給する。
【0116】
量子化部211は、符号化パラメータ制御部203の制御に従って、供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを量子化し、量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを符号化部212に供給する。符号化部212は、符号化パラメータ制御部203の制御に従って、その量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データをランレングス・ハフマン符号化し、JPEG規格に準拠するJPEG符号化データを生成する。符号化部212は、生成したJPEG符号化データを送信部213に供給する。
【0117】
送信部213は、符号化パラメータ制御部203の制御に従って、供給されたJPEG符号化データを要求元であるクライアント端末装置105に供給する。
【0118】
以上のように、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データの全てをベースバンドまで復号する必要なく、JPEG符号化データに変換することができる。特に、上述した例のように、フォーカス面(XY平面)のブロックサイズが8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)の場合、1D-DCT部209によるZ軸方向の逆離散コサイン変換処理(IDCT)のみにより、3D-DCT係数データから、JPEG符号化データ生成用の2D-DCT係数データを得ることができる。
【0119】
つまり、変換処理の負荷が低減されるので、トランスコード装置104は、より高速に変換処理を行うことができる。したがって、トランスコード装置104は、クライアント端末装置105からの要求に対してより高速に応答することができる(応答速度を向上させることができる)。
【0120】
また、トランスコード装置104は、クライアント端末装置105に要求された画像を含むブロックの、その画像を含むフォーカス面画像のJPEG符号化データのみをクライアント端末装置105に提供することができる。したがって、トランスコード装置104は、伝送するデータ量を低減させることができ、そのデータ伝送による、トランスコード装置104、クライアント端末装置105、および伝送路となるネットワークの負荷を低減させることができる。
【0121】
また、トランスコード装置104が、要求された画像をJPEG符号化データとして提供することにより、クライアント端末装置105は、そのJPEG符号化データを復号するだけで良いので、クライアント端末装置105の負荷を低減させることができるとともに、汎用性を向上させることができる。
【0122】
さらに、トランスコード装置104は、伝送情報として、クライアント端末装置105の能力やネットワークの帯域等の情報を収集し、それに基づいて符号化パラメータを制御するので、クライアント端末装置105に提供する画像の画質や画像データサイズを、状況に応じて適切に制御することができる。
【0123】
[クライアント端末装置の構成]
図9は、図1のクライアント端末装置105の主な構成例を示すブロック図である。
【0124】
図9に示されるように、クライアント端末装置105は、クライアント情報提供部241、入力部242、要求部243、送信部244、受信部245、復号部246、画像処理部247、および表示部248を有する。
【0125】
クライアント情報提供部241は、クライアント端末装置105の処理能力に関する情報であるクライアント情報を、送信部244を介して、画像を提供するトランスコード装置104に対して提供する。
【0126】
入力部242は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の任意の入力デバイスや、外部入力端子等を有し、ユーザがそれらの入力デバイスを操作して入力するユーザ指示や、他の装置から供給される制御情報等を受け付け、それを要求部243に供給する。
【0127】
要求部243は、入力部242から供給される指示に基づいて、表示部248に表示させる画像を要求する要求情報を生成し、それを送信部244を介してトランスコード装置104に供給する。
【0128】
送信部244は、トランスコード装置104と通信を行い、クライアント情報や画像の要求情報をトランスコード装置104に送信する。
【0129】
受信部245は、トランスコード装置104と通信を行い、トランスコード装置104から供給されるJPEG符号化データを受信し、それを復号部246に供給する。
【0130】
復号部246は、受信部245を介して供給されたJPEG符号化データをJPEG方式で復号し、ベースバンドの画像データを生成する。復号部246は、生成した画像データを画像処理部247に供給する。
【0131】
画像処理部247は、供給された画像データに対して、例えば焦点フラグの値に基づいてフィルタ処理等の画像処理を施し、表示用の画像を生成する。表示部248は、CRTディスプレイやLCD等の任意のモニタを有し、その画像をモニタに表示させる。
【0132】
クライアント端末装置105のユーザは、表示部248に表示された画像を観察し、診断を行う。
【0133】
このように、クライアント端末装置105は、要求した画像をJPEG符号化データとして取得する。したがって、クライアント端末装置105は、トランスコード装置104から供給される符号化データを容易に受信して復号し、その復号画像を表示させることができる。
【0134】
また、クライアント端末装置105は、表示させる画像を、位置、焦点位置、および解像度により容易に要求することができる。
【0135】
なお、伝送路の帯域や、クライアント端末装置105の処理能力に余裕がある場合、トランスコード装置104は、要求された画像を含むJPEG符号化データとともに、他の(例えばZ方向に隣接する)JPEG符号化データをクライアント端末装置105に供給するようにしてもよい。
【0136】
例えば、クライアント端末装置105のユーザが、表示部248に表示される検体の観察画像を見ながら診断を行うとする。表示部248には検体の画像の全体を表示させることも可能であるが、例えばユーザがより詳細に画像を観察したいと所望する場合、検体の画像を拡大し、その一部を表示させることもできる。
【0137】
ユーザは、例えば、検体の画像の、表示部248に表示させる部分の位置を移動させたり、焦点位置を変えたり、縮尺を変えたりして、表示部248に様々な画像を表示させ、検体を観察する。
【0138】
例えば、フォーカス面画像の異なる部分を観察する場合、ユーザは、フォーカス面画像の、表示部248に表示させる部分をX方向やY方向に移動させる。また、例えば、焦点位置を変更する場合、ユーザは、表示部248に表示させる画像をZ方向に変更する(フォーカス面画像を変える)。さらに、例えば、拡大や縮小等、表示画像の縮尺を変更する場合、ユーザは、表示部248に表示させる画像の解像度を変更する(他の解像度の画像に変更する)。
【0139】
ユーザは、このような指示をどのような方法で行ってもよいが、例えば、スクロール等のようなGUI操作により行うのが一般的である。したがって、ユーザが上述したように表示部248に表示させる画像を制御する場合、現在表示されている画像に近い位置の画像が次に表示される可能性が高い。
【0140】
例えば、現在表示されている画像と同一のフォーカス面画像の(同一のXY平面上の)、現在表示されている画像に隣接する領域の画像、現在表示されている画像のフォーカス面画像にZ方向に隣接するフォーカス面画像の、現在表示されている画像と同じ位置の領域の画像、および、現在表示されている画像に対応する、現在表示されている画像と異なる解像度の画像等が、次に表示される可能性が高い。
【0141】
トランスコード装置104が、(先回りして、)要求された画像だけでなく、このような、その要求された画像の近隣の(周辺の)画像のJPEG符号化データも、クライアント端末装置105に供給するようにしてもよい。
【0142】
このようにすることにより、クライアント端末装置105は、次に要求する画像を、その要求の前に取得することになり、要求に対する応答を待たずに、画像表示を行うことができる。つまり、要求に対する応答速度(画像表示)を向上させることができる。
【0143】
この場合、抽出部210は、要求された画像を含む2D-DCT係数データだけでなく、その周辺の他の(例えばZ方向に隣接する)2D-DCT係数データも抽出し、量子化部211に供給する。量子化部211乃至送信部213は、供給された全ての2D-DCT係数データを処理し、JPEG符号化データとしてクライアント端末装置105に供給する。
【0144】
[3D-DCT符号化処理の流れ]
次に、画像処理システム100において実行される各種処理について説明する。最初に、図10のフローチャートを参照して、3D-DCT符号化装置102により実行される3D-DCT符号化処理の流れの例を説明する。
【0145】
バーチャル顕微鏡101からZスタック画像が供給されると、3D-DCT符号化装置102は、3D-DCT符号化処理を開始する。3D-DCT符号化処理が開始されると、符号化パラメータ設定部131は、ステップS101において、符号化パラメータの設定を行う。
【0146】
ステップS102において、相関処理部132は、低相関画像を削除する。ステップS103において、符号化パラメータ設定部133は、焦点フラグを設定する。
【0147】
ステップS104において、2D-DCT部171は、各ブロックの各フォーカス面画像に対して2D-DCTを行う。ステップS105において、1D-DCT部172は、ステップS104において生成された各ブロックの2D-DCT係数データに対してZ方向に1D-DCTを行う。
【0148】
ステップS106において、量子化部135は、ステップS105において生成された各ブロックの3D-DCT係数データを量子化する。ステップS107において、符号化部136は、ステップS106において量子化された各ブロックの3D-DCT係数データを符号化する。
【0149】
ステップS108において、符号化部136は、ステップS107において生成された各ブロックの3D-DCT符号化データをトランスコード装置104に出力し、ストレージ103に記憶させる。
【0150】
ステップS108の処理を終了すると、3D-DCT符号化装置102は、3D-DCT符号化処理を終了する。
【0151】
[符号化パラメータ設定処理の流れ]
次に、図11のフローチャートを参照して、図10のステップS101において実行される符号化パラメータ設定処理の流れの例を説明する。
【0152】
符号化パラメータ設定処理が開始されると、画像解析部141は、ステップS121において、バーチャル顕微鏡101から供給されるZスタック画像の処理対象ブロックの画像を解析する。この解析方法は任意であり、解析によりどのような方法を得るようにしてもよい。
【0153】
ステップS122において、ブロックサイズ決定部142は、ステップS121において行われた解析の結果に基づいて、適切なブロックサイズを決定する。
【0154】
ステップS123において、量子化パラメータ設定部143は、ステップS121において行われた解析の結果に基づいて、各ブロックの量子化パラメータを設定する。
【0155】
ステップS123の処理を終了すると、符号化パラメータ設定部131は、符号化パラメータ設定処理を終了し、処理を図10のステップS101に戻し、ステップS102以降の処理を実行させる。
【0156】
[相関処理の流れ]
次に、図12のフローチャートを参照して、図10のステップS102において実行される相関処理の流れの例を説明する。
【0157】
相関処理が開始されると、Z相関解析部151は、ステップS141において、各ブロックのZ方向の相関を解析する。この解析方法は任意である。
【0158】
ステップS142において、低相関画像削除部152は、ステップS141において行われた解析の結果に基づいて、各ブロックの、他のフォーカス面画像とのZ方向の相関が、所定の閾値より弱い(相関が著しく弱い)フォーカス面画像(低相関画像)を削除する。上述したように、この「削除」は、元のZスタック画像からの除去(分離)を意味するものであり、抽出したフォーカス面画像を別途保存する場合もこれに含まれる。
【0159】
ステップS142の処理が終了すると、相関処理部132は、相関処理を終了し、処理を図10のステップS102に戻し、ステップS103以降の処理を実行させる。
【0160】
[焦点フラグ設定処理の流れ]
次に、図13のフローチャートを参照して、図10のステップS103において実行される焦点フラグ設定処理の流れの例を説明する。
【0161】
焦点フラグ設定処理が開始されると、焦点判定部161は、ステップS161において、各ブロックの各フォーカス面画像のボケ具合(輪郭(エッジ成分)の強さ)を解析する。
【0162】
ステップS162において、焦点フラグ挿入部162は、ステップS161において行われた解析の結果に基づいて、各ブロックの各フォーカス面画像について、合焦しているか否かを示す焦点フラグの値を設定し、その焦点フラグを画像データの所定の位置に挿入する。この焦点フラグの挿入位置は任意である。また、焦点フラグを画像データとは別のデータとして画像データに関連付けてストレージ103に保存させ、画像データ(JPEG符号化データ)とともに、それに対応する焦点フラグがクライアント端末装置105に提供されるようにしてもよい。
【0163】
ステップS162の処理を終了すると、符号化パラメータ設定部133は、焦点フラグ設定処理を終了し、処理を図10のステップS103に戻し、ステップS104以降の処理を実行させる。
【0164】
[3D-DCT符号化データ記憶処理の流れ]
次に、図14のフローチャートを参照して、トランスコード装置104により実行される、図10の3D-DCT符号化処理により生成された3D-DCT符号化データをストレージ103に記憶させる3D-DCT符号化データ記憶処理の流れの例を説明する。
【0165】
3D-DCT符号化データ記憶処理が開始されると、トランスコード装置104の3D-DCT符号化データ記憶制御部201(図7)は、ステップS181において、3D-DCT符号化データを3D-DCT符号化装置102から取得する。
【0166】
ステップS182において、3D-DCT符号化データ記憶制御部201は、ステップS181において取得した3D-DCT符号化データをストレージ103に供給し、記憶させる。
【0167】
ステップS183において、3D-DCT符号化データ記憶制御部201は、ストレージ103の管理情報を更新し、ステップS182において新たな3D-DCT符号化データを記憶させたことを管理情報に反映させる。
【0168】
ステップS183の処理を終了すると、3D-DCT符号化データ記憶制御部201は、3D-DCT符号化データ記憶処理を終了する。
【0169】
[画像提供表示処理の流れ]
次に、図15のフローチャートを参照して、トランスコード装置104およびクライアント端末装置105が互いに通信を行いながら実行する、ストレージ103に記憶されている画像をクライアント端末装置105に提供して表示させる画像提供表示処理の流れの例を説明する。
【0170】
画像提供表示処理が開始されると、クライアント端末装置105のクライアント情報提供部241(図9)は、ステップS201において、送信部244を介して、クライアント情報をトランスコード装置104に提供する。
【0171】
この処理に対応して、トランスコード装置104の伝送情報取得部202(図7)は、ステップS221において、そのクライアント情報を含む伝送情報を取得する。
【0172】
ステップS222において、符号化パラメータ制御部203は、ステップS221において取得された伝送情報に基づいて、適切な値になるように、符号化パラメータを制御する。
【0173】
ステップS202において、クライアント端末装置105の入力部242は、ユーザ等からの画像表示に関する指示を受け付ける。指示が入力されると、ステップS203において、要求部243は、その指示に基づいて、要求する画像の位置、階層(焦点位置)、および縮尺(解像度)等を指定し、送信部244を介して、その画像のデータをトランスコード装置104に要求する。
【0174】
トランスコード装置104の要求受付部204は、ステップS223において、その要求を受け付ける。
【0175】
ステップS224において、データ特定部205は、ステップS223において取得された要求に基づいて、クライアント端末装置105に送信するデータをブロック単位で特定する。なお、以下においては、この3D-DCT符号化データのフォーカス面(XY平面)のブロックサイズを8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)として説明する。
【0176】
ステップS225において、3D-DCT符号化データ読み出し部206は、送信するデータを含むブロック毎の3D-DCT符号化データをストレージ103から読み出す。
【0177】
ステップS226において、復号部207は、ステップS225において読み出されたブロック毎の3D-DCT符号化データを復号する。ステップS227において、逆量子化部208は、ステップS226の処理により生成された、量子化されたブロック毎の3D-DCT係数データを逆量子化する。ステップS228において、1D-IDCT部209は、ステップS227の処理により得られたブロック毎の3D-DCT係数データを1D-IDCTする。
【0178】
ステップS229において、抽出部210は、ステップS228の処理により生成された各2D-DCT係数データの中から、送信する2D-DCT係数データを抽出する。
【0179】
ステップS230において、量子化部211は、符号化パラメータ制御部203により設定された量子化パラメータを用いて、ステップS229において抽出したブロック毎の2D-DCT係数データを量子化する。ステップS231において、符号化部212は、符号化パラメータ制御部203により設定された符号化パラメータを用いて、ステップS230の処理において量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを符号化する。ステップS232において、送信部213は、符号化パラメータ制御部203により制御されて、ステップS231において生成されたJPEG符号化データをクライアント端末装置105に送信する。
【0180】
クライアント端末装置105の受信部245は、ステップS204において、このJPEG符号化データを受信する。ステップS205において、復号部246は、ステップS204において受信されたJPEG符号化データを復号し、ベースバンドの画像データを生成する。
【0181】
ステップS206において、画像処理部247は、ステップS205においてJPEG符号化データが復号されて得られた画像データに対して、画像処理を行う。ステップS207において、表示部248は、画像処理後の画像を表示する。
【0182】
[画像処理の流れ]
次に、図16のフローチャートを参照して、図15のステップS206において実行される画像処理の流れの例を説明する。
【0183】
画像処理が開始されると、画像処理部247は、ステップS251において、焦点フラグの値を確認する。ステップS252において、画像処理部247は、復号画像が合焦しているか否かを、フラグの値に基づいて判定し、合焦しているか否かに応じてフィルタ係数を設定する。
【0184】
ステップS253において、画像処理部247は、ステップS252において設定されたフィルタ係数を用いて復号画像にフィルタ処理を行う。
【0185】
ステップS253の処理が終了すると、画像処理部247は、画像処理を終了し、処理を図15のステップS206に戻し、ステップS207以降の処理を実行させる。
【0186】
なお、焦点フラグの値に基づく画像処理は任意であり、フィルタ処理以外であってもよい。
【0187】
以上のように、画像処理システム100は、各装置が上述したような各種処理を行うことにより、画像の利便性の低減を抑制しながら、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることができる。
【0188】
以上においては、3D-DCT符号化データのXY平面のブロックサイズ(XY平面に対する2次元直交変換処理(2D-DCT)の単位のサイズ)が8×8である場合について説明したが、このブロックサイズは任意であり、8×8以外であってもよい。
【0189】
図17は、その場合のトランスコード装置104の主な構成例を示すブロック図である。図17に示される例の場合、トランスコード装置104は、ブロックサイズを任意のサイズからJPEG規格に準拠する8×8に変換することができる。
【0190】
この場合のトランスコード装置104は、図7の例の場合の構成に加え、判定部251、およびDCTブロックサイズ変換部252を有する。抽出部210の出力は、判定部251に供給され、判定部251の出力は、量子化部211若しくはDCTブロックサイズ変換部252に供給される。DCTブロックサイズ変換部252の出力は、量子化部211に供給される。
【0191】
判定部251は、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データについて、ブロックサイズが、JPEG規格に準拠する8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)であるか否かを判定する。
【0192】
ブロックサイズが8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)であると判定された場合、判定部251は、抽出部210から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを量子化部211に供給する。つまり、この場合、以下に説明するブロックサイズの変換が省略され、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データに対して量子化処理が行われる。
【0193】
また、ブロックサイズが8×8でない(DCT_SIZE_XとDCT_SIZE_Yのうち、少なくともいずれか一方が8でない)と判定された場合、判定部251は、抽出部210から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データをDCTブロックサイズ変換部252に供給する。つまり、この場合、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データは、そのブロックサイズが以下に説明するように変換されてから量子化される。
【0194】
DCTブロックサイズ変換部252は、ブロック毎の2D-DCT係数データに、そのブロックサイズに応じた所定の係数行列を乗算することにより、ブロックサイズを8×8に変換する。
【0195】
図18の上段に示されるように、例えば、画素空間において、16画素×16画素の画像(画素行列X)に対して、図18の上段の右側に示されるような係数行列Aを左側から、Bを右側から乗算すると、元の画素行列Xの左上の8画素×8画素の画素行列Y(番号「1」の部分)が抽出される。
【0196】
したがって、図18の下段に示されるように、周波数空間においても同様に演算を行うことにより、16×16の係数行列を8×8の係数行列に変換することができる。つまり、図18上段の16画素×16画素の画素行列Xを2D-DCT変換した16×16の係数行列X’(=DCT16×16<X>)に対して、係数行列Aを2D-DCT変換した係数行列A’(=DCT16×8<A>)を左側から、係数行列Bを2D-DCT変換した係数行列B’(=DCT8×16<B>)を右側から乗算すると、元の画素行列Xの左上の8画素×8画素の画素行列Y(番号「1」の部分)を2D-DCT変換した8×8の係数行列Y’(=DCT8×8<Y>)が得られる。
【0197】
なお、このようなブロックサイズ変換の為にブロック毎の2D-DCT係数データに乗算すべき係数行列は、そのブロックサイズ毎に異なる。DCTブロックサイズ変換部252は、ブロックサイズに応じた係数行列をブロック毎の2D-DCT係数データに乗算することにより、容易に、そのブロックサイズを8×8に変換することができる。
【0198】
DCTブロックサイズ変換部252は、ブロックサイズ変換後の2D-DCT係数データを量子化部211に供給する。
【0199】
量子化部211は、判定部251若しくはブロックサイズ変換部252から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを、符号化パラメータ制御部203の制御に従って量子化し、量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを符号化部212に供給する。
【0200】
その他の各部の処理は、図7を参照して説明した場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0201】
このように、トランスコード装置104は、周波数空間上において、2D-DCT係数データのブロックサイズをJPEG規格に準拠する8×8に変換することができる。つまり、トランスコード装置104は、2D-DCT係数データをベースバンドまで戻すことなくブロックサイズを変換することができる。つまり、トランスコード装置104は、容易かつ高速にブロックサイズを変換することができる。これにより、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、所望のJPEG符号化データを、容易かつ高速にクライアント端末装置105に提供することができる。
【0202】
図19のフローチャートを参照して、この場合の画像提供表示処理の流れの例を説明する。この場合も、画像提供表示処理の各処理は、図15のフローチャートを参照して説明した場合と基本的に同様に行われる。ただし、図19の例の場合、ステップS229の処理が終了すると、ステップS251に処理が進められる。
【0203】
ステップS251において、判定部251は、ステップS229において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データのブロックサイズが8×8であるか否か(すなわち、DCT_SIZE_X=8であり、かつ、DCT_SIZE_Y=8であるか否か)を判定する。DCT_SIZE_X若しくはDCT_SIZE_Y、またはその両方が「8」でないと判定された場合、判定部251は、処理をステップS252に進める。
【0204】
ステップS252において、DCTブロックサイズ変換部252は、ステップS229において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データのブロックサイズを、JPEG規格に準拠する8×8に変換する。ステップS252の処理が終了すると、DCTブロックサイズ変換部252は、処理をステップS230に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0205】
また、ステップS251において、DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8であると判定された場合、ステップS252のブロックサイズの変換処理が省略される。つまり、この場合、判定部251は、処理をステップS230に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0206】
以上のように、この場合のトランスコード装置104は、ストレージ103に保存される3D-DCT係数データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、適宜周波数空間においてブロックサイズを変換し、JPEG規格に準拠したブロックサイズの2D-DCT符号化データを生成し、クライアント端末装置105にそれを提供することができる。つまり、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、所望のJPEG符号化データを、容易かつ高速にクライアント端末装置105に提供することができる。
【0207】
なお、ブロックサイズの変換は周波数空間において行わなくてもよい。例えば、ブロックサイズを変換するために、トランスコード装置104が3D-DCT符号化データをベースバンドまで戻すようにしてもよい。
【0208】
図20は、その場合のトランスコード装置104の主な構成例を示すブロック図である。図20に示される例の場合、トランスコード装置104は、図17の例の場合と同様に、ブロックサイズを任意のサイズからJPEG規格に準拠する8×8に変換することができる。
【0209】
この図20の例の場合のトランスコード装置104は、図7の例の場合の構成に加え、判定部261、2D-IDCT部262、および2D-DCT部263を有する。抽出部210の出力は、判定部261に供給され、判定部261の出力は、量子化部211若しくは2D-IDCT部262に供給される。2D-IDCT部262の出力は、2D-DCT部263に供給される。2D-DCT部263の出力は、量子化部211に供給される。
【0210】
判定部261は、判定部251の場合と同様に、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データについて、ブロックサイズが、JPEG規格に準拠する8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)であるか否かを判定する。
【0211】
ブロックサイズが8×8(DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8)であると判定された場合、判定部261は、抽出部210から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを量子化部211に供給する。つまり、この場合、以下に説明するブロックサイズの変換が省略され、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データに対して量子化処理が行われる。
【0212】
ブロックサイズが8×8でない(DCT_SIZE_XとDCT_SIZE_Yのうち、少なくともいずれか一方が8でない)と判定された場合、判定部261は、抽出部210から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを2D-IDCT部262に供給する。つまり、この場合、抽出部210において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データは、そのブロックサイズが以下に説明するように変換されてから量子化される。
【0213】
2D-IDCT部262は、判定部261から供給されるブロック毎の2D-DCT係数データを2次元逆直交変換(2D-IDCT)し、ベースバンドの画像データに変換する。
【0214】
2D-DCT部263は、2D-IDCT部262から供給されるベースバンドの画像データを、JPEG規格に準拠する8画素×8画素毎に2次元直交変換(2D-DCT)する。なお、ストレージ103に保存される3D-DCT符号化データのX方向若しくはY方向、またはその両方のブロックサイズが8×8より小さい場合、2D-DCT部263は、2D-IDCT部262から供給されるベースバンドの画像データを、JPEG規格に準拠する8画素×8画素分のデータが得られるまで蓄積する。8画素×8画素分のデータが得られると2D-DCT部263は、その8画素×8画素分のデータを2次元直交変換する。
【0215】
2D-DCT部263は、このように直交変換して得られた8×8毎の(JPEG規格に準拠するブロック毎の)2D-DCT係数データを量子化部211に供給する。
【0216】
量子化部211は、判定部261若しくは2D-DCT部263から供給されたブロック毎の2D-DCT係数データを、符号化パラメータ制御部203の制御に従って量子化し、量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを符号化部212に供給する。
【0217】
その他の各部の処理は、図7を参照して説明した場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0218】
このように、トランスコード装置104は、2D-DCT係数データを画素空間まで戻すことにより、ブロックサイズをJPEG規格に準拠する8×8に変換することができる。ただし、この場合もトランスコード装置104は、抽出部210において必要なデータを抽出し、その抽出したデータのみに対してブロックサイズ変換処理を行うことができる。すなわち、クライアント端末装置105に提供されない不要なデータを処理する(ベースバンドまで戻す)必要がない。
【0219】
したがって、トランスコード装置104は、容易かつ高速にブロックサイズを変換することができる。これにより、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、所望のJPEG符号化データを、容易かつ高速にクライアント端末装置105に提供することができる。
【0220】
図21のフローチャートを参照して、この場合の画像提供表示処理の流れの例を説明する。この場合も、画像提供表示処理の各処理は、図15のフローチャートを参照して説明した場合と基本的に同様に行われる。ただし、図21の例の場合、ステップS229の処理が終了すると、ステップS261に処理が進められる。
【0221】
ステップS261において、判定部261は、ステップS229において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データのブロックサイズが8×8であるか否か(すなわち、DCT_SIZE_X=8であり、かつ、DCT_SIZE_Y=8であるか否か)を判定する。DCT_SIZE_X若しくはDCT_SIZE_Y、またはその両方が「8」でないと判定された場合、判定部251は、処理をステップS262に進める。
【0222】
ステップS262において、2D-IDCT部262は、ステップS229において抽出されたブロック毎の2D-DCT係数データを、2次元逆直交変換(2D-IDCT)し、ベースバンドの画像データに変換する。
【0223】
ステップS263において、2D-DCT部263は、ステップS262の処理により得られたベースバンドの画像データを、JPEG規格に準拠する8画素×8画素毎に(ブロックサイズを8×8として)2次元直交変換(2D-DCT)し、ブロック毎の2D-DCT係数データに変換する。つまり、この処理によりブロックサイズ8×8のブロック毎の2D-DCT係数データが得られる。ステップS263の処理が終了すると、2D-DCT部263は、処理をステップS230に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0224】
また、ステップS261において、DCT_SIZE_X=DCT_SIZE_Y=8であると判定された場合、ステップS262およびステップS263のブロックサイズの変換処理が省略される。つまり、この場合、判定部261は、処理をステップS230に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0225】
以上のように、この場合のトランスコード装置104は、ストレージ103に保存される3D-DCT係数データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、必要なデータのみ適宜ブロックサイズを変換し、JPEG規格に準拠したブロックサイズの2D-DCT符号化データを生成し、クライアント端末装置105にそれを提供することができる。つまり、トランスコード装置104は、3D-DCT符号化データのXY平面方向のブロックサイズが8×8以外であっても、所望のJPEG符号化データを、容易かつ高速にクライアント端末装置105に提供することができる。
【0226】
なお、トランスコード装置104が出力する(クライアント端末装置105に提供される)符号化データのブロックサイズは任意としてもよい。つまり、クライアント端末装置105に供給する際の画像データの符号化方式を、JPEG以外の任意の符号化方式としてもよい。例えば、MPEG2(Moving Picture Experts Group 2)、AVC(Advanced Video Coding)、若しくはHEVC(High Efficiency Video Coding)等の符号化方式としてもよい。
【0227】
また、以上においては、画像データに離散コサイン変換処理が行われるように説明したが、これに限らず、例えばウェーブレット変換等、任意の直交変換処理が行われるようにしてもよい。
【0228】
例えば、トランスコード装置104が、画像データをJPEG2000符号化データに変換し、クライアント端末装置105に供給するようにしてもよい。JPEG2000符号化方式の場合ブロックサイズは任意である。したがって、上述したようなブロックサイズの変換処理は不要である。
【0229】
さらに、逆直交変換処理の順序(XYZの各方向の逆直交変換処理をどの順で行うか)は直交変換処理の順序(XYZの各方向の直交変換処理がどの順で行われたか)に依存しない。つまり、3D-DCT符号化装置102の3D-DCT部134が行う直交変換処理が行われる順序(XYZの各方向の直交変換処理をどの順で行うか)は任意である。
【0230】
また、以上においては、フォーカス面をXY平面とし、焦点距離の方向をZ方向とするように説明したが、X方向Y方向およびZ方向は、互いに垂直な方向であれば、どの方向に設定するようにしてもよい。例えば、焦点距離の方向をX方向としてもよいし、Y方向としてもよい。
【0231】
ただし、トランスコード装置104の1D-IDCT部209が行う逆直交変換処理の方向は、所望の(クライアント端末装置105に提供される)平面に垂直な方向である。
【0232】
<2.第2の実施の形態>
[画像処理システムの構成]
図22は、本発明を適用した画像処理システムの主な構成例を示すブロック図である。図22に示される画像処理システム300は、図1の画像処理システム100と同様に、例えば細胞診断や組織診断等に用いられるシステムであり、バーチャル顕微鏡101において検体を撮像し、その画像をクライアント端末装置105において観察するシステムである。
【0233】
ただし、画像処理システム300においては、バーチャル顕微鏡101において得られたZスタック画像は、短期的にJPEG方式で符号化されて保存され、そのJPEG符号化データが適宜読み出されて復号されて観察される。そして、観察が終了し、当面、その画像を参照する必要がなくなると、JPEG符号化データは、3D-DCT符号化方式に変換され、3D-DCT符号化データとして、中・長期的に保存される(アーカイブされる)。
【0234】
つまり、画像処理システム100においては、3D-DCT符号化データからJPEG符号化データへの変換処理が行われたが、画像処理システム300においては、それとは逆に、JPEG符号化データから3D-DCT符号化データへの変換処理が行われる。
【0235】
図22に示されるように、画像処理システム300は、バーチャル顕微鏡101、JPEG符号化装置302、短期保存用ストレージ303、トランスコード装置304、長期保存用ストレージ305、およびクライアント端末装置105を有する。
【0236】
JPEG符号化装置302は、バーチャル顕微鏡101において生成されたZスタック画像の各フォーカス面画像をJPEG符号化し、JPEG符号化データ群を生成する。JPEG符号化装置302は、生成したJPEG符号化データ群を短期保存用ストレージ303に供給し、記憶させる。
【0237】
短期保存用ストレージ303は、任意の記憶媒体を有し、Zスタック画像の各フォーカス面画像がJPEG方式で符号化されたJPEG符号化データを短期的に保存する。短期保存用ストレージ303は、クライアント端末装置105の要求に応じて、要求されたJPEG符号化データをクライアント端末装置105に供給する。
【0238】
検体の観察は、バーチャル顕微鏡101により検体のZスタック画像が生成されてから比較的短期間内に行われることが多い。そして、検体の観察が行われる間、その画像は、クライアント端末装置105から頻繁に要求されることが多い。ただし、同時期に観察が行われる検体の数は、比較的少ない。
【0239】
従って、Zスタック画像は、符号化効率(圧縮率)がさほど良くなくても、クライアント端末装置105に提供し易い(変換処理等が不用で高速に提供可能な)JPEG符号化データとして短期保存用ストレージ303に保持される。
【0240】
なお、短期保存用ストレージ303は、その記憶容量が比較的少なくても、読み出しや書き込みの速度がより高速であることが望ましい。
【0241】
つまり、画像処理システム300の場合、観察が行われる間、より高速に読み出し可能な短期保存用ストレージから、JPEG符号化データが変換処理も行われずに、そのままクライアント端末装置105に提供される。
【0242】
検体の観察が終了すると、その検体の画像は頻繁に参照されなくなるが、画像データは、例えば5年等といった長期的に保存する必要がある。
【0243】
長期的な保存の場合、その検体の画像が読み出される機会は少ないが、多数の検体の画像を保存する必要がある。そこで、読み出しや書き込みの速度よりも、符号化効率(圧縮率)や記憶領域の容量の方が重要になってくる。
【0244】
トランスコード装置304は、符号化効率を向上させるために、長期保存させるJPEG符号化データを短期保存用ストレージから読み出し、それを3D-DCT符号化データに変換する。
【0245】
トランスコード装置304は、生成した3D-DCT符号化データを長期保存用ストレージ305に供給し、記憶させる。
【0246】
長期保存用ストレージ305は、任意の記憶媒体を有し、トランスコード装置304から供給された3D-DCT符号化データを中・長期的に保存する。長期保存用ストレージ305は、読み出しや書き込みの速度が、例えば短期保存用ストレージ303よりも遅くても構わないが、短期保存用ストレージ303よりも記憶容量が大きい方が望ましい。
【0247】
また、3D-DCT符号化データは、それに対応するJPEG符号化データ群よりも符号化効率(圧縮率)が高い。
【0248】
従って、長期保存用ストレージ305は、短期保存用ストレージ303よりも多くの検体の画像を保存することができる。
【0249】
なお、図22に示される点線310内の、バーチャル顕微鏡101、JPEG符号化装置302、短期保存用ストレージ303、トランスコード装置304、および長期保存用ストレージ305は、任意に組み合わせることができる。例えば、点線310内の装置を全て1台の装置(例えばクライアント端末装置105に対して画像を提供するサーバ)とすることもできる。
【0250】
[JPEG符号化装置の構成]
図23は、図22のJPEG符号化装置302の主な構成例を示すブロック図である。図22に示されるように、JPEG符号化装置302は、2D-DCT部321、量子化部322、および符号化部323を有する。
【0251】
2D-DCT部321は、Zスタック画像の各フォーカス面画像に対して、2次元離散コサイン変換処理を行い、ブロック毎の2D-DCT係数データを生成する。量子化部322は、2D-DCT部321により生成されたブロック毎の2D-DCT係数データを量子化する。符号化部323は、量子化部322により量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データをランレングス・ハフマン符号化し、ブロック毎のJPEG符号化データを生成する。符号化部323は、生成したブロック毎のJPEG符号化データを、短期保存用ストレージ303に供給し、保存させる。
【0252】
[トランスコード装置の構成]
図24は、図22のトランスコード装置304の主な構成例を示すブロック図である。
【0253】
図24において、トランスコード装置304は、復号部341、逆量子化部342、1D-DCT部343、量子化部344、および符号化部345を有する。
【0254】
復号部341は、短期保存用ストレージ303からブロック毎のJPEG符号化データを読み出し、ランレングス・ハフマン復号し、得られた、量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを逆量子化部342に供給する。
【0255】
逆量子化部342は、復号部341より供給される、量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データを逆量子化し、得られたブロック毎の2D-DCT係数データを1D-DCT部343に供給する。
【0256】
1D-DCT部343は、逆量子化部342において逆量子化されたブロック毎の2D-DCT係数データに対してZ軸方向に1D-DCTを行い、得られたブロック毎の3D-DCT係数データを量子化部344に供給する。量子化部344は、供給されたブロック毎の3D-DCT係数データを量子化し、それを符号化部345にも供給する。
【0257】
符号化部345は、量子化されたブロック毎の3D-DCT係数データをランレングス・ハフマン符号化し、ブロック毎の3D-DCT符号化データを生成する。符号化部345は、生成したブロック毎の3D-DCT符号化データを長期保存用ストレージ305に供給し、記憶させる。
【0258】
[短期保存処理の流れ]
次に、各部により実行される各処理について説明する。最初に、図25のフローチャートを参照して、図23に記載のJPEG符号化装置302による短期保存処理の流れの例を説明する。
【0259】
JPEG符号化装置302の2D-DCT部321は、ステップS301において、バーチャル顕微鏡101等より供給されたZスタック画像の各フォーカス面画像に対してブロック毎に2D-DCTを行う。ステップS302において、量子化部322は、ステップS302において、各ブロックの各2D-DCT係数データを量子化する。ステップS303において、符号化部323は、量子化された各ブロックの各2D-DCT係数データをランレングス・ハフマン符号化する。ステップS304において、符号化部323は、生成した各ブロックの各2D-DC符号化データを短期保存用ストレージ303に供給し、短期的に保存させる。
【0260】
ステップS304の処理を終了すると、短期保存処理が終了される。
【0261】
[長期保存処理の流れ]
次に図26のフローチャートを参照して、トランスコード装置304により実行される長期保存処理の流れの例を説明する。
【0262】
ステップS321において、復号部341は、各ブロックの各2D-DCT符号化データを短期保存用ストレージ303から読み出す。ステップS322において、復号部341は、各ブロックの各2D-DCT符号化データを復号する。
【0263】
ステップS323において、逆量子化部342は、量子化された各ブロックの各2D-DCT係数データを逆量子化する。
【0264】
ステップS324において、1D-DCT部343は、各ブロックの2D-DCT係数データ群に対してZ方向に1D-DCTを行う。ステップS325において量子化部344は、ブロック毎の3D-DCT係数データを量子化する。ステップS326において符号化部345は、量子化されたブロック毎の3D-DCT係数データを符号化する。
【0265】
ステップS327において、符号化部345は、生成したブロック毎の3D-DCT符号化データを長期保存用ストレージ305に供給し、記憶させる。
【0266】
ステップS327の処理が終了すると、トランスコード装置304は、長期保存処理を終了させる。
【0267】
以上のように各種処理を行うことにより、画像処理システム300は、画像処理システム100の場合と同様に、画像の利便性の低減を抑制しながら、画像を符号化して得られる符号化データの保存に必要な容量を低減させることができる。
【0268】
なお、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態において説明したように、クライアント端末装置105に供給する際の画像データの符号化方式は任意であり、短期保存用ストレージ303に保存する画像データがJPEG以外の符号化方式により符号化されるようにしてもよい。
【0269】
また、第2の実施の形態においても、第1の実施の形態において説明したように、画像データに、例えばウェーブレット変換等、任意の直交変換処理が行われるようにしてもよい。
【0270】
例えば、短期保存用ストレージ303に、JPEG2000方式で符号化された画像データが記憶されるようにしてもよい。
【0271】
以上においては、第1の実施の形態および第2の実施の形態において、細胞診断や組織診断等に用いられる画像を3D-DCT符号化データとして保持したり、JPEG符号化データとして提供したりするように説明したが、画像の内容や用途は任意であり、上述した以外に用いられる画像であっても良い。例えば、地図情報の画像であっても良い。ただし、上述したZスタック画像に対応する、3D-DCTを行う画像群は、互いの相関性が高い画像であることが望ましい。
【0272】
また、画像データがバーチャル顕微鏡101において生成されるように説明したが、画像データの生成方法は任意であり、例えばデジタルカメラ等のように、バーチャル顕微鏡101以外の装置により生成されるようにしてもよい。
【0273】
さらに、上述した各実施の形態において、量子化の必要が無い場合、上述した量子化処理および逆量子化処理は省略することができる。
【0274】
なお、第1の実施の形態において説明したのと同様に、長期保存用ストレージ305に保存する3D-DCT符号化データのXY平面(フォーカス面)方向のブロックサイズは任意であり、8×8以外であってもよい。このブロックサイズを8×8以外とする場合のトランスコード装置304の主な構成例を図27に示す。
【0275】
図27に示されるトランスコード装置304は、図24を参照して説明した場合の構成に加えて、DCTブロックサイズ変換部351を有する。逆量子化部342の出力は、このDCTブロックサイズ変換部351に供給される。また、DCTブロックサイズ変換部351の出力は、1D-DCT部343に供給される。
【0276】
DCTブロックサイズ変換部351は、DCTブロックサイズ変換部252と同様に、周波数空間において、ブロック毎の2D-DCT係数データの、2D-DCTの処理単位となるXY平面方向のブロックサイズを変換する。ただし、DCTブロックサイズ変換部351は、ブロックサイズを8×8から予め定められた所定のサイズに変換する。
【0277】
このブロックサイズの変換の方法は、DCTブロックサイズ変換部252の場合と同様である。つまり、DCTブロックサイズ変換部351は、8×8のブロック毎の2D-DCT係数データに対して、図18を参照して説明したような、変換後のブロックサイズに応じた所定の係数行列を2次元直交変換(2D-DCT)したものを左右から乗算する。
【0278】
DCTブロックサイズ変換部351は、ブロックサイズ変換後の2D-DCT係数データを1D-DCT部343に供給する。1D-DCT部343は、そのブロック毎の2D-DCT係数データに対してZ軸方向に1D-DCTを行い、得られたブロック毎の3D-DCT係数データを量子化部344に供給する。
【0279】
その他の各部の処理は、図24を参照して説明した場合と同様であるので、その説明は省略する。
【0280】
このようにDCTブロックサイズ変換部351は、2D-DCT係数データのブロックサイズを、ベースバンドに戻す必要なく、周波数空間上で変換することができる。つまり、DCTブロックサイズ変換部351は、容易かつ高速に2D-DCT係数データのブロックサイズを変換することができる。したがって、トランスコード装置304は、容易かつ高速に、JPEG符号化データから所望のブロックサイズの3D-DCT符号化データを生成することができる。
【0281】
この場合の長期保存処理の流れの例を図28のフローチャートを参照して説明する。この場合も、長期保存処理の流れは、図226のフローチャートを参照して説明した場合と基本的に同様である。
【0282】
ただし、ステップS323の処理が終了すると、処理はステップS351に進められる。
【0283】
ステップS351において、DCTブロックサイズ変換部351は、ステップS323の処理により逆量子化されて得られたブロック毎の2D-DCT係数データのブロックサイズを、周波数空間上において、8×8から所望のサイズに変換する。ブロックサイズが変換されると、DCTブロックサイズ変換部351は、処理をステップS324に戻し、それ以降の処理を実行させる。
【0284】
このように処理を行うことにより、トランスコード装置304は、容易かつ高速に、JPEG符号化データから所望のブロックサイズの3D-DCT符号化データを生成することができる。
【0285】
もちろん、短期保存用ストレージ303に保持される符号化データのブロックサイズは、8×8以外の任意のサイズであってもよい。つまり、短期保存用ストレージ303に保持される符号化データは、JPEG以外の符号化方式で符号化されていてもよい。例えば、MPEG2、AVC、若しくはHEVC等の符号化方式としてもよい。
【0286】
また、トランスコード装置304のDCTブロックサイズ変換部351が、ブロックサイズを変換するか否かを、任意の条件に応じて適応的に選択することができるようにしてもよい。さらに、DCTブロックサイズ変換部351が、ブロックサイズをいくつにするかを選択する(DCTブロックサイズ変換部351が、変換後のブロックサイズを任意に設定する)ことができるようにしてもよい。
【0287】
例えば、DCTブロックサイズ変換部351が、処理速度の高速化が優先される場合、ブロックサイズを変換せずに(例えば8×8のまま)2D=DCT係数データを1D-DCT部343に供給するようにし、符号化効率の向上が優先される場合、ブロックサイズを(例えば32×32や64×64に)変換するようにしてもよい。
【0288】
<3.第3の実施の形態>
[パーソナルコンピュータ]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。この場合、例えば、図29に示されるようなパーソナルコンピュータとして構成されるようにしてもよい。
【0289】
図29において、パーソナルコンピュータ400のCPU(Central Processing Unit)401は、ROM(Read Only Memory)402に記憶されているプログラム、または記憶部413からRAM(Random Access Memory)403にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM403にはまた、CPU401が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0290】
CPU401、ROM402、およびRAM403は、バス404を介して相互に接続されている。このバス404にはまた、入出力インタフェース410も接続されている。
【0291】
入出力インタフェース410には、キーボード、マウスなどよりなる入力部411、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などよりなるディスプレイ、並びにスピーカなどよりなる出力部412、ハードディスクなどより構成される記憶部413、モデムなどより構成される通信部414が接続されている。通信部414は、インターネットを含むネットワークを介しての通信処理を行う。
【0292】
入出力インタフェース410にはまた、必要に応じてドライブ415が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア421が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部413にインストールされる。
【0293】
上述した一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0294】
この記録媒体は、例えば、図29に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを配信するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc - Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc)を含む)、若しくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア421により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに配信される、プログラムが記録されているROM402や、記憶部413に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0295】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0296】
また、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0297】
また、本明細書において、システムとは、複数のデバイス(装置)により構成される装置全体を表すものである。
【0298】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。つまり、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0299】
100 画像処理システム, 101 バーチャル顕微鏡, 102 3D-DCT符号化装置, 103 ストレージ, 104 トランスコード装置, 105 クライアント端末装置, 131 符号化パラメータ設定部, 132 相関処理部, 133 符号化パラメータ設定部, 134 3D-DCT部, 135 量子化部, 136 符号化部, 300 画像処理システム, 302 JPEG符号化装置, 304 トランスコード装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換する2次元直交変換手段と、
前記2次元直交変換手段により前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換する1次元直交変換手段と、
前記1次元直交変換手段により、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する3次元直交変換係数データ符号化手段と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記複数の画像は、互いの相関性が高い画像である
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記複数の画像を解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段による解析の結果に基づいて、前記2次元直交変換手段の処理単位となるブロックのサイズを決定するブロックサイズ決定手段と
をさらに備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数の画像を解析する画像解析手段と、
前記画像解析手段による解析の結果に基づいて、前記3次元直交変換係数データを量子化する量子化パラメータを設定する量子化パラメータ設定手段と、
前記量子化パラメータ設定手段により設定された前記量子化パラメータを用いて前記3次元直交変換係数データを量子化する量子化手段と
をさらに備え、
前記3次元直交変換係数データ符号化手段は、前記量子化手段により量子化された前記3次元直交変換係数データを符号化する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数の画像間の相関を解析する相関解析手段と、
前記相関解析手段による解析の結果に基づいて、前記複数の画像の中の、他の画像との相関が低い低相関画像を削除する低相関画像削除手段と
をさらに備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数の画像のそれぞれについて、合焦しているか否かを判定する焦点判定手段と、
前記焦点判定手段による判定の結果に基づいて、前記複数の画像のそれぞれについて、前記画像が合焦しているか否かを示す焦点フラグを設定する焦点フラグ設定手段と
をさらに備える請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記3次元直交変換係数データ符号化手段により前記3次元直交変換係数データが符号化されて得られる3次元直交変換符号化データを記憶する記憶手段をさらに備える
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記記憶手段により記憶されている前記3次元直交変換符号化データを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段により前記記憶手段から読みだされた前記3次元直交変換符号化データを、前記2次元直交変換係数データを符号化して得られる2次元直交変換符号化データに変換する変換手段と
をさらに備える
請求項7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記変換手段は、
前記3次元直交変換係数データ符号化手段の符号化方式に対応する復号方式で、前記3次元直交変換符号化データを復号する復号手段と、
前記復号手段により前記3次元直交変換符号化データが復号されて得られる前記3次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に逆直交変換する1次元逆直交変換手段と、
前記1次元逆直交変換手段により前記3次元直交変換係数データが逆直交変換されて得られる前記2次元直交変換係数データを符号化する2次元直交変換係数データ符号化手段と
を備える請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記変換手段は、
前記1次元逆直交変換手段により前記3次元直交変換係数データが逆直交変換されて得られる複数の前記2次元直交変換係数データの中から、所望の画像が含まれる2次元直交変換係数データを抽出する抽出手段をさらに備え、
前記2次元直交変換係数データ符号化手段は、前記抽出手段により抽出された前記2次元直交変換係数データを符号化する
請求項9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記抽出手段により抽出された前記2次元直交変換係数データの、前記2次元直交変換処理の単位となるブロックのサイズを変換するブロックサイズ変換手段をさらに備え、
前記2次元直交変換係数データ符号化手段は、前記ブロックサイズ変換手段の処理により得られたブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを符号化する
請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記ブロックサイズ変換手段は、前記ブロックのサイズを周波数空間上で変換することにより、ブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを得る
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記ブロックサイズ変換手段は、前記2次元直交変換係数データを、2次元逆直交変換してベースバンドの画像データにもどしてから前記ブロックのサイズを変換し、さらに、得られたブロックサイズ変換後のベースバンドの画像データを2次元直交変換することにより、ブロックサイズ変換後の前記2次元直交変換係数データを得る
請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項14】
所望の画像の要求を受け付ける要求受付手段をさらに備え、
前記読み出し手段は、前記記憶手段から、前記要求受付手段により受け付けられた前記要求により指定される画像を含む3次元直交変換符号化データを読み出し、
前記変換手段は、前記読み出し手段により前記記憶手段から読みだされた前記3次元直交変換符号化データを、前記要求受付手段により受け付けられた前記要求により指定される画像を含む2次元直交変換符号化データに変換し、
前記変換手段により変換されて得られる前記2次元直交変換符号化データを前記画像の要求元に供給する供給手段をさらに備える
請求項8に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記供給手段による前記2次元直交変換符号化データの伝送に関する伝送情報を取得する伝送情報取得手段と、
前記伝送情報取得手段により取得された前記伝送情報に基づいて、前記変換手段の符号化パラメータを制御する符号化パラメータ制御手段と
をさらに備える請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
画像処理装置の画像処理方法であって、
2次元直交変換手段が、複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換し、
1次元直交変換手段が、前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換し、
3次元直交変換係数データ符号化手段が、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する
画像処理方法。
【請求項17】
複数の画像が、それぞれ2次元に直交変換されて符号化された複数の2次元直交変換符号化データを、それぞれ復号する復号手段と、
前記復号手段により複数の前記2次元直交変換符号化データが復号されて得られる複数の2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換する1次元直交変換手段と、
前記1次元直交変換手段により、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する3次元直交変換係数データ符号化手段と
を備える画像処理装置。
【請求項18】
前記2次元直交変換符号化データを比較的短期間記憶する短期保存用記憶手段をさらに備え、
前記復号手段は、前記短期保存用記憶手段により記憶されている複数の前記2次元直交変換符号化データを読み出して、それぞれ復号し、
前記3次元直交変換係数データ符号化手段により前記3次元直交変換係数データが符号化されて得られる3次元直交変換符号化データを、比較的長期間記憶する長期保存用記憶手段をさらに備える
請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
複数の画像をそれぞれ2次元に直交変換する2次元直交変換手段と、
前記2次元直交変換手段により前記複数の画像が2次元に直交変換されて得られた複数の2次元直交変換係数データをそれぞれ符号化する2次元直交変換係数データ符号化手段と
をさらに備え、
前記短期保存用記憶手段は、前記2次元直交変換係数データ符号化手段により前記2次元直交変換係数データがそれぞれ符号化されて得られる前記2次元直交変換符号化データを比較的短期間記憶する
請求項18に記載の画像処理装置。
【請求項20】
画像処理装置の画像処理方法であって、
復号手段が、複数の画像が、それぞれ2次元に直交変換されて符号化された複数の2次元直交変換符号化データを、それぞれ復号し、
1次元直交変換手段が、複数の前記2次元直交変換符号化データが復号されて得られる複数の2次元直交変換係数データを、前記複数の画像が並ぶ方向に1次元に直交変換し、
3次元直交変換係数データ符号化手段が、前記2次元直交変換係数データが1次元に直交変換されて得られた3次元直交変換係数データを符号化する
画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−73994(P2012−73994A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14940(P2011−14940)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】