説明

画像処理装置及びプログラム

【課題】ハーフトーン処理されたN値画像に色にじみの補正処理を適用することができる画像処理装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】画像処理装置1は、注目画素を中心として予め設定される処理領域50内に含まれるCMYKの画素値がオフである白画素数と、処理領域50内に含まれるCMYの少なくとも1つの画素値を有する画素が処理領域50内に含まれるK画素と重なる重なり画素数と、ハーフトーン処理された2値画像内の注目画素に対応する画素のCMYの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する色にじみ補正判定部13と、色にじみ補正判定部13が注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、注目画素に対応する画素のCMYの画素値をオフにする注目画素値決定部14とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像の印刷は、複数のプレーン(例えば、CMYKのプレーン)の重ね合わせによって実行される。このとき、重ね合わせの位置が複数のプレーン間でずれると、色にじみが発生することがある。この現象は、一般的にレジずれと呼ばれている。この色にじみを抑制するために、文字などのエッジ部分を検出し、検出したエッジ部分のCMY(シアン、マジェンダ、イエロー)の成分を減量し、K(黒)の成分を増量する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−206756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ハーフトーン処理されたN値画像に色にじみの補正処理を適用することができる画像処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、請求項1の画像処理装置は、ハーフトーン処理されたN値画像に重ねられ、且つ注目画素を中心として予め設定される領域内に含まれるイエロー、マジェンダ、シアン及び黒の画素値がオフである第1の画素数と、前記領域内に含まれるイエロー、マジェンダ及びシアンの少なくとも1つの画素値を有する画素が前記領域内に含まれる黒画素と重なる第2の画素数と、前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値をオフにする変更手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2の画像処理装置は、請求項1に記載の画像処理装置において、前記判定手段は、前記第1の画素数が第1の閾値以上であり、前記第2の画素数が第2の閾値以上であり、且つ前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンのいずれかの画素値がオンである場合に、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定することを特徴とする。
【0007】
請求項3の画像処理装置は、請求項1の画像処理装置において、前記変更手段は、前記イエロー、前記マジェンダ及び前記シアンの画素値をオフにした画素の黒の画素値がオフである場合に、当該黒の画素値をオンにすることを特徴とする。
【0008】
請求項4の画像処理装置は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置において、前記N値画像は、2値画像であることを特徴とする。
【0009】
請求項5のプログラムは、コンピュータを、ハーフトーン処理されたN値画像に重ねられ、且つ注目画素を中心として予め設定される領域内に含まれるイエロー、マジェンダ、シアン及び黒の画素値がオフである第1の画素数と、前記領域内に含まれるイエロー、マジェンダ及びシアンの少なくとも1つの画素値を有する画素が前記領域内に含まれる黒画素と重なる第2の画素数と、前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する判定手段、及び前記判定手段が、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値をオフにする変更手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ハーフトーン処理されたN値画像に色にじみの補正処理を適用することができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、色にじみの補正処理の対象となる画素を簡易な方法で判定することができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、ハーフトーン処理されたN値画像が黒色である場合に、色にじみを抑制することができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、ハーフトーン処理された2値画像に色にじみの補正処理を適用することができる。
【0014】
請求項5の発明によれば、ハーフトーン処理されたN値画像に色にじみの補正処理を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本実施の形態に係る画像処理装置の構成の一例を示すブロック図である。(B)は、プリント制御部3のハードウエア構成の一例を示す図である。
【図2】(A)は、色にじみが発生していない場合のハーフトーン処理された2値画像を示す図である。(B)は、図2(A)の文字の一部分の拡大図である。
【図3】(A)は、色にじみが発生している場合のハーフトーン処理された2値画像を示す図である。(B)は、図3(A)の文字の一部分の拡大図である。
【図4】色にじみ補正処理部9の構成を示すブロック図である。
【図5】(A)は、図2(B)の文字の一部分に対応するC(シアン)プレーンを示す図である。(B)は、図2(B)の文字の一部分に対応するM(マジェンダ)プレーンを示す図である。(C)は、図2(B)の文字の一部分に対応するY(イエロー)プレーンを示す図である。(D)は、図2(B)の文字の一部分に対応するK(黒)プレーンを示す図である。
【図6】(A)は、処理領域50内に含まれるCプレーン及びKプレーンの状態を示す図である。(B)は、処理領域50内に含まれるMプレーン及びKプレーンの状態を示す図である。(C)は、処理領域50内に含まれるYプレーン及びKプレーンの状態を示す図である。
【図7】色にじみ補正処理が必要であると色にじみ補正判定部13によって判定された画素を示す図である。
【図8】(A)は、図2(B)の2値画像の色にじみ補正処理後の状態を示す図である。(B)は、図3(B)の2値画像の色にじみ補正処理後の状態を示す図である。
【図9】(A)は、色にじみ補正処理部9で実行される処理を示すフローチャートである。(B)は、図9(A)の処理の一部の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
図1(A)は、本実施の形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【0018】
図1において、画像処理装置1は、例えば、プリンタ、コピー機又は複合機である。画像処理装置1は、入力部2、プリント制御部3及び出力部4を備えている。入力部2は、画像データを入力するインターフェースである。プリント制御部3は、図1(B)に示すように、CPU31、メモリ32及び通信インターフェース(I/F)33で構成されており、入力した画像データに所定の画像処理を実行する。出力部4は、画像処理が施された画像データを記録紙に出力する。
【0019】
プリント制御部3は、PDL解釈部5、色変換部6、N値化処理部7(N=2以上)、描画部8及び色にじみ補正処理部9を備えている。PDL(Page Description Language)解釈部5は、ページ記述言語を解釈し、画像データを展開する。色変換部6は、画像データのRGBデータ(Red, Green, Blue)をCMYKデータ(Cyan, Magenta, Yellow, Black)に変換する。N値化処理部7は、画像データに対し、N値化処理(例えばハーフトーン処理)を実行する。描画部は、N値化処理されたデータを貯めて、ビットマップ画像を作成する。色にじみ補正処理部9は、色プレーンのレジずれにより生じる色にじみを抑制するための色にじみの補正処理を実行する。
【0020】
図2(A)は、色にじみが発生していない場合のハーフトーン処理された2値画像を示す図であり、図2(B)は、図2(A)の文字の一部分の拡大図である。図3(A)は、色にじみが発生している場合のハーフトーン処理された2値画像を示す図であり、図3(B)は、図3(A)の文字の一部分の拡大図である。
【0021】
図2(A)及び図3(A)に示すように、例えば、ハーフトーン処理された2値画像は、CYMKの成分が混在した黒文字「B」である。2値画像は、ディザマトリクス等のハーフトーン処理で生成されるため、図2(B)及び図3(B)に示すような、網点状の画像となる。このような2値画像において、C(シアン)プレーンが他のプレーンとずれると、色にじみが発生する。図2(A)及び(B)では、Cプレーンが他のプレーンに対してずれていない。一方、図3(A)及び(B)は、Cプレーンが他のプレーンに対して下方向に2画素分ずれている。Cプレーンのズレによって、文字のエッジ部分(即ち、輪郭)がぼやける。尚、KプレーンやCプレーンのような色プレーンは色版とも呼ばれる。
【0022】
以下、Cプレーンが他のプレーンに対して下方向に2画素分ずれているものとし、文字の輪郭に沿って2ドット幅で色ずれ補正処理を行う例を説明する。また、色ずれ補正処理部9に入力される画像データは、ハーフトーン処理された2値画像であるものとする。
【0023】
図4は、色にじみ補正処理部9の構成を示すブロック図である。
【0024】
色にじみ補正処理部9は、処理領域決定部11、領域特徴量算出部12、色にじみ補正判定部13及び注目画素値決定部14を備えている。色にじみ補正判定部13は判定手段として機能する。注目画素値決定部14は変更手段として機能する。
【0025】
処理領域決定部11は、2値画像を取得すると、図2(B)に示すように、中央の画素を注目画素とする5(ドット)x5(ドット)の領域を処理領域50として決定する。処理領域50は、5(ドット)x5(ドット)の領域に限定されるものではなく、3(ドット)x3(ドット)の領域でも7(ドット)x7(ドット)の領域でもよい。
【0026】
図2(B)の文字の一部分に対応するC(シアン)プレーン、M(マジェンダ)プレーン、Y(イエロー)プレーン及びK(黒)プレーンをそれぞれ図5(A)〜図5(D)に示す。また、処理領域50内に含まれるCプレーン及びKプレーンの状態を図6(A)に示し、処理領域50内に含まれるMプレーン及びKプレーンの状態を図6(B)に示し、処理領域50内に含まれるYプレーン及びKプレーンの状態を図6(C)に示す。
【0027】
領域特徴量算出部12は、処理領域50の特徴量を算出する。色にじみ補正判定部13は、処理領域50の特徴量に基づいて、注目画素が色にじみの補正処理されるべき画素であるか否かを判定する。注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値及び色にじみ補正判定部13からの出力値に基づいて、出力される注目画素値を決定する。
【0028】
ここで、処理領域50のサイズの決定方法を説明する。
【0029】
5(ドット)x5(ドット)の処理領域50では、注目画素が文字の内側端の位置に置かれた場合に、2ドット幅以下の色にじみ(レジずれ)がある場合には、使用可能であるが、3ドット幅以上の色にじみがある場合には、使用できない。これは、2ドット幅以下の色にじみがある場合には、シアンの画素が処理領域50に含まれるが、3ドット幅以上の色にじみがある場合には、シアンの画素が処理領域50に含まれないからである。従って、5(ドット)x5(ドット)の処理領域50は、文字の輪郭部に対して2ドット幅以下の色にじみの補正処理を行う場合に使用可能である。
【0030】
同様に、処理領域50が3(ドット)x3(ドット)の領域である場合には、処理領域50は輪郭部に対して1ドット幅の色にじみの補正処理を行う場合に使用可能である。処理領域50が7(ドット)x7(ドット)の領域である場合には、処理領域50は文字の輪郭部に対して3ドット幅以下の色にじみの補正処理を行う場合に使用可能である。
【0031】
このように、色にじみの補正処理を行うドット幅は、処理領域50のサイズによって変更することが可能である。色にじみの補正処理を行う場合には、色にじみの補正処理を行うためのドット幅を決定する必要がある。このドット幅は、出力部4の仕様から想定されるレジずれのサイズで予め設定することができる。従って、処理領域決定部11は、出力部4からその仕様の通知を受けて、処理領域50のサイズを決定する。また、処理領域決定部11は、ユーザからの入力(例えば、5(ドット)x5(ドット)の領域を選択する指示)に基づいて、処理領域50のサイズを決定してもよい。
【0032】
次に、領域特徴量算出部12の動作について説明する。
【0033】
領域特徴算出部12は、処理領域50を参照して、下記に示す処理領域50の特徴量を算出する。
(1)白画素(CMYKの全成分=オフ)の画素数:これを「白画素数」という。
(2)KとCMYのいずれかが重なる画素の係数:これを「重なり画素数」という。
(3)注目画素のCMY(以下「注目CMY」という)のいずれかがオンであるか否かの情報:注目CMYの出力は、注目CMYのいずれかがオンである場合にオンになり、注目CMYの全てがオフである場合にオフになる。
【0034】
例えば、領域特徴算出部12は、図5(A)〜(D)の処理領域の特徴量を算出すると、算出結果は、白画素数=14、重なり画素数=5、注目CMY=オンとなり、この算出結果が色にじみ補正判定部13部へ送られる。
【0035】
次に、色にじみ補正判定部13の動作について説明する。
【0036】
色にじみ補正判定部13は、「白画素数が白画素数閾値以上であり、重なり画素数が重なり画素数閾値以上であり、且つ注目CMYのいずれかがオン」であるか否か判定し、この条件を満たす場合には、注目画素を色にじみ補正処理すべき画素であると判定する。
【0037】
白画素数閾値及び重なり画素数閾値は、2値化のハーフトーン処理の特徴や色にじみ補正処理の条件によって予め決定する。2値化のハーフトーン処理の特徴とは、例えば、2値化時に使用したスクリーンの種類やスクリーンの周期構造などである。色にじみ補正処理の条件とは、例えば、処理領域50のサイズやCMYKの各画素の分布状態などである。つまり、白画素数閾値及び重なり画素数閾値は、2値化時に使用したスクリーンの種類、2値化時に使用したスクリーンの周期構造、処理領域50のサイズ、又はCMYKの各画素の分布状態に応じて、変更される。本実施の形態では、白画素数閾値=8、重なり画素数閾値=3とする。この2つの閾値を使用した場合の図2(B)の全画素の判定結果を図7に示す。図7に示すように、色にじみ補正判定部13は、2値画像の文字と背景の境界に色にじみ補正の対象画素を検出し、検出結果を注目画素値決定部14へ送信する。
【0038】
次に、注目画素値の決定方法について説明する。
【0039】
注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値、及び色にじみ補正判定部13からの出力値に基づいて、出力される注目画素値を決定する。具体的には、注目画素値決定部14は、下記条件(1)及び(2)に従って、注目画素値を決定し、出力する。
【0040】
(1)色にじみ補正判定部13が、注目画素が色にじみ補正処理の対象画素ではないと判定した場合には、注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値をそのまま注目画素値として出力する。
(2)色にじみ補正判定部13が、注目画素が色にじみ補正処理の対象画素であると判定した場合には、注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値のCMY成分をオフに設定し、その画素値のK成分のみを注目画素値として出力する。
【0041】
尚、色にじみ補正処理の対象画素と判定され且つCMY成分がオフに設定された画素のK成分がオフである場合には、注目画素値決定部14は、K成分をオンにしてもよい。この場合、文字の色と同じK成分をオンにするので、色にじみは発生しない。また、CMY成分が一度にオフにされると、文字の濃度が低下する(薄くなる)が、K成分がオンになることで、文字の濃度の低下が抑制される。
【0042】
色にじみ補正処理後の2値画像の状態を図8(A)及び図8(B)に示す。図8(A)は、図2(B)の2値画像(即ち、Cプレーンが他のプレーンに対してずれていない2値画像)の色にじみ補正処理後の状態を示す。図8(B)は、図3(B)の2値画像(即ち、Cプレーンが他のプレーンに対して2画素分下にずれている2値画像)の色にじみ補正処理後の状態を示す。
【0043】
図8(A)に示すように、Cプレーンが他のプレーンに対してずれていない2値画像では、色にじみ補正処理の前でも後でも、色にじみは発生しない。一方、Cプレーンが他のプレーンに対して2画素分右にずれている2値画像では、図8(B)に示すように、色にじみ補正処理後に色にじみが発生しなくなる。
【0044】
図9(A)は、色にじみ補正処理部9で実行される処理を示すフローチャートである。図9(B)は、図9(A)の処理の一部の変形例を示すフローチャートである。
【0045】
図9(A)において、まず、処理領域決定部11が2値画像を取得し(ステップS1)、処理領域50を設定する(ステップS2)。領域特徴量算出部12は、処理領域50内の白画素数、重なり画素数、且つ注目CMYのオン/オフ状態を算出する(ステップS3)。色にじみ補正判定部13は、白画素数が白画素数閾値以上であり、重なり画素数が重なり画素数閾値以上であり、且つ注目CMYのいずれかがオンであるか否か判定する(ステップS4)。ここでは、色にじみ補正判定部13は、注目画素が色にじみ補正処理の対象画素であるか否かを判定している。
【0046】
ステップS4でYESの場合には、注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値のCMY成分をオフに設定し、その画素値のK成分のみを注目画素値として出力し(ステップS5)、本処理を終了する。一方、ステップS4でNOの場合には、注目画素値決定部14は、入力した2値画像内の注目画素に対応する画素値をそのまま注目画素値として出力し(ステップS6)、本処理を終了する。
【0047】
尚、図9(B)に示すように、ステップS5の処理後、注目画素値決定部14は、CMY成分がオフに設定された画素のK成分がオフであるか否かを判定してもよい(ステップS7)。ステップS7でYESの場合には、注目画素値決定部14は、K成分をオンに設定し、K成分のみを注目画素値として出力し(ステップS8)、本処理を終了する。ステップS7でNOの場合には、本処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施の形態によれば、色にじみ補正判定部13が、注目画素を中心として予め設定される処理領域50内に含まれるイエロー、マジェンダ、シアン及び黒の画素値がオフである白画素数と、処理領域50内に含まれるイエロー、マジェンダ及びシアンの少なくとも1つの画素値を有する画素が処理領域50内に含まれる黒画素と重なる重なり画素数と、ハーフトーン処理された2値画像内の注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する。そして、注目画素値決定部14は、色にじみ補正判定部13が注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値をオフにする。よって、ハーフトーン処理された2値画像に色にじみの補正処理を適用することができる。
【0049】
本実施の形態では、入力画像として、ハーフトーン処理された2値画像を用いているが、ハーフトーン処理されたN値画像(N=2以上)を入力画像として用いてもよい。例えば、入力画像が4値画像である場合には、CMYKのいずれの成分も「00」、「01」、「10」及び「11」で表される。「00」は濃度が0の状態を示し、「01」、「10」及び「11」の順番で濃度が上昇する。上述した説明において、例えば、Cがオフであるとは、4値画像のCの成分が「00」であることに対応する。Cがオンであるとは、4値画像のCの成分が「01」、「10」又は「11」であることに対応する。MYKの成分についても、これと同様である。この場合、ハーフトーン処理されたN値画像に色にじみの補正処理を適用することができる。
【0050】
従来の色にじみ補正処理では、8ビットの入力画像を使用することを前提としている。このため、省メモリの対策として、入力画像を2値化し、2値画像を保存する画像処理装置、又はアプリケーションで入力画像に対してN値のハープトーン処理を行い、N値画像を出力部に送る画像処理装置には、従来の色にじみ補正処理を適用できない。従って、上述した実施の形態は、これらの画像処理装置に特に有効である。
【0051】
また、本実施の形態では、色プレーンの画素値の組み合わせ条件(即ち、白画素数及び重なり画素数)の判定を用いて、色にじみ補正処理を実現しているので、パターンマッチング処理のように、大きな領域を使って高精度に色にじみが発生する領域を検出する必要がない。そのため、色にじみ補正処理のために大きなメモリや回路を必要としないので、低コストで実現可能である。
【0052】
画像処理装置1の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムが記録されている記録媒体を、画像処理装置1に供給し、CPU31が記憶媒体に格納されたプログラムを読み出し実行することによっても、上記実施の形態と同様の効果を奏する。プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、CD−ROM、DVD、又はSDカードなどがある。また、CPU31が、画像処理装置1の機能を実現するためのソフトウェアのプログラムを実行することによっても、上記の実施の形態と同様の効果を奏する。
【0053】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 画像処理装置
2 入力部
3 プリント制御部
4 出力部
5 PDL解釈部
6 色変換部
7 N値化処理部
8 描画部
9 色にじみ補正処理部
11 処理領域決定部
12 領域特徴量算出部
13 色にじみ補正判定部
14 注目画素値決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハーフトーン処理されたN値画像に重ねられ、且つ注目画素を中心として予め設定される領域内に含まれるイエロー、マジェンダ、シアン及び黒の画素値がオフである第1の画素数と、前記領域内に含まれるイエロー、マジェンダ及びシアンの少なくとも1つの画素値を有する画素が前記領域内に含まれる黒画素と重なる第2の画素数と、前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値をオフにする変更手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1の画素数が第1の閾値以上であり、前記第2の画素数が第2の閾値以上であり、且つ前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンのいずれかの画素値がオンである場合に、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記変更手段は、前記イエロー、前記マジェンダ及び前記シアンの画素値をオフにした画素の黒の画素値がオフである場合に、当該黒の画素値をオンにすることを特徴とする請求項1の画像処理装置。
【請求項4】
前記N値画像は、2値画像であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
コンピュータを、
ハーフトーン処理されたN値画像に重ねられ、且つ注目画素を中心として予め設定される領域内に含まれるイエロー、マジェンダ、シアン及び黒の画素値がオフである第1の画素数と、前記領域内に含まれるイエロー、マジェンダ及びシアンの少なくとも1つの画素値を有する画素が前記領域内に含まれる黒画素と重なる第2の画素数と、前記ハーフトーン処理されたN値画像内の前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値のオン又はオフの状態とに基づいて、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であるか否かを判定する判定手段、及び
前記判定手段が、前記注目画素が色にじみの補正処理を行うべき画素であると判定した場合に、前記注目画素に対応する画素のイエロー、マジェンダ及びシアンの画素値をオフにする変更手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−244191(P2012−244191A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−108684(P2011−108684)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】