画像処理装置
【課題】画像データの出力中に、この出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力する画像データを出力中であった画像データ以外からも選択できるようにする。
【解決手段】出力する画像データの選択として、3つのメニューから選択できる。他の画像データを選択したい場合は、メニュー1を選択する。出力中であった画像データを含めて保存されている全ての画像データあるいは指定した1つの画像データのいずれかを選択できる。出力中であった画像データを出力したい場合は、メニュー2、3を選択する。メニュー2では、指定したページから出力を再開できる。メニュー3では、出力中のページを含めるか含めないかを指定できる。
【解決手段】出力する画像データの選択として、3つのメニューから選択できる。他の画像データを選択したい場合は、メニュー1を選択する。出力中であった画像データを含めて保存されている全ての画像データあるいは指定した1つの画像データのいずれかを選択できる。出力中であった画像データを出力したい場合は、メニュー2、3を選択する。メニュー2では、指定したページから出力を再開できる。メニュー3では、出力中のページを含めるか含めないかを指定できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データを処理して印刷、送信等により出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置では、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリといった各モードを実行する。画像データが入力されたとき、所望のモードに応じて画像データが処理され出力される。この出力中に、装置にトラブルが発生したり、停電によって電源が遮断されると、出力が遮断される。
【0003】
例えば、コピーモードやプリントモードの場合、印刷が途中で停止する。トラブルの解消や電源復帰によって、出力可能な状態になると、印刷が再開される。このとき、画像データを最初から印刷すると、同じページが印刷されることになり、無駄な印刷となる。これを防ぐために、特許文献1では、1ページ印刷する毎に印刷済み情報を記憶しておき、出力の遮断後、出力を再開するとき、印刷済み情報に基づいて印刷済みでないページから印刷を行う。
【特許文献1】特開平11−212740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力が遮断される原因として、紙詰まりや停電といったハード的なトラブルだけでなく、画像処理装置に搭載されたCPUのソフト的なトラブルもある。ハード的なトラブルの場合、原因が解消すれば、出力可能な状態に復帰できる。この場合、出力が遮断された画像データの出力を続行すればよい。
【0005】
一方、ソフト的なトラブルとしては、例えば大量の画像データが入力された場合や特定のアプリケーションソフトウェアによって作成された画像データと装置のCPUとの相性が悪い場合に、フリーズ等のハングアップが起こり、出力が遮断される。この場合、電源を再投入してリセットし、出力可能な状態になったとき、同じ画像データを処理しようとすると、再度ハングアップするおそれがある。入力されて保存されている画像データは、待機中のまま、いつまでも出力されない。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力中であった画像データにとらわれず、入力された画像データを出力できるようにした画像処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像データを入力する入力手段と、入力された画像データを保存する保存手段と、保存された画像データを処理して出力する出力手段と、出力手段から出力中にこの出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力する画像データを保存されている画像データの中から選択する選択手段とを備えたものである。
【0008】
保存されている画像データには、出力が遮断されたときに出力中であった画像データも含む。これにより、選択手段は、出力を遮断された画像データおよび待機中の画像データの中から選択する。出力中であった画像データ以外の画像データを選択することができるので、出力再開時の状況に応じて、至急を要するといったような必要な画像データを出力することができる。そのため、出力中であった画像データを出力しないという選択肢が増え、ユーザの要望に応えることができる。
【0009】
選択手段は、複数の画像データを選択可能とされる。複数の画像データが選択されると、待機中の画像データを連続して出力することができ、処理が滞ることを防止できる。このとき、出力中であった画像データを含めることもできる。
【0010】
選択手段は、出力を遮断された画像データを選択したとき、出力を再開するページを指定する。出力中であった画像データの出力を続けるとき、ページを指定すると、必要なページを出力することができ、必要な情報を早く取得できる。
【0011】
選択手段は、出力が遮断されたときに出力中であったページを指定する。これにより、まだ出力されていない残りのページを出力することができる。
【0012】
例えば、出力手段が画像をシート材に印刷して出力する場合、選択手段は、出力が遮断されたときのシート材のジャム状況に応じて出力中であったページを決める。出力中のページがわからない場合、出力中であったページが決められるので、同じページを印刷することがなくなり、無駄な印刷をなくせる。
【0013】
出力が遮断されたとき、出力中の画像データにおける出力状況が保存手段に保存され、選択手段は、出力状況を参照して画像データを選択する。例えば、出力中の画像データが最後まで出力されたときに出力が遮断されたといったことを出力状況によって判断できる。この場合には、待機中の他の画像データを選択すればよいことがわかる。また、出力状況から出力中であったページを特定でき、ページを指定するときの参考となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、保存されている画像データの中から選択できるので、出力中であった画像データだけでなく、待機中の画像データも出力できる。例えば、至急必要な画像データがあれば、優先的に出力することができる。また、出力中であった画像データが必要なくなった場合、他の画像データを出力できる。したがって、出力再開時の状況に応じて必要な画像データを出力でき、処理効率の高い画像処理装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態の画像処理装置を図1に示す。本画像処理装置は、コピーモード、プリントモード、スキャナモードおよびファクシミリモードを有するデジタル複合機であり、原稿を読み取って画像データを入力する画像読み取り部1と、ユーザの入力を受け付ける操作部2と、入力された画像データの印刷を行う画像形成部3と、画像データを保存するハードディスク装置4と、外部機器とのデータ通信を行う通信部5と、ファクシミリ装置6と通信するためのFAXモデム7と、装置全体の制御情報や設定情報等を記憶している管理部8と、装置全体の制御を司るCPUからなる機器制御部9と、各部に規定電圧の電源を供給する電源部10とを備えている。
【0016】
画像読み取り部1は、画像データを入力する入力手段として機能し、CCD11といった撮像素子と、原稿台や自動原稿送り装置(ADF)にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ12とを有する。CCD11によって読み取られた画像の画像データは画像形成部3に出力される。
【0017】
操作部2は、操作パネルを備え、各種入力キーからなる入力部13と、液晶ディスプレイ等の表示部14とを有する。装置全体の操作や各種設定の入力が行われ、入力内容や装置全体の動作状況が表示される。なお、表示部14は、タッチパネルとされ、入力部としても機能する。
【0018】
画像形成部3は、入力された画像データを記憶するローカルメモリ20と、レーザ走査ユニットを有する印字部21と、手差しトレイ、カセットトレイを備えた給紙部22と、排紙トレイを備えた排紙部23とを有する。
【0019】
ローカルメモリ20は、SDRAM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な半導体メモリを用いる。ローカルメモリ20は、入力された画像データを記憶する領域と、出力するための画像データを記憶する領域とに分割されている。なお、1つのローカルメモリ20を分割して使用する代わりに、2つのローカルメモリ20を入力用と出力用として、それぞれ使用してもよい。
【0020】
入力された画像データはローカルメモリ20に記憶される。ローカルメモリ20は、古い画像データに新しい画像データを上書きすることにより、画像データを記憶する。画像データは、画像処理部によって圧縮、伸張、加工等の画像処理が行われ、ローカルメモリ20に記憶される。画像処理された画像データが印字部21、ハードディスク装置4あるいは機器制御部9に出力される。印字部21は、ローカルメモリ20に記憶された画像データに基づいて、給紙部22から供給される記録シートに画像を印刷する。この印字部21は、画像データを出力するための出力手段として機能する。
【0021】
通信部5は、ネットワークインターフェースカード(NIC)を用い、LANケーブルを介してルータ、スイッチングハブ等に接続され、パソコン、サーバ等の情報処理装置30によって形成されたネットワークと接続される。ネットワークは、電話回線網や光ファイバ等の通信回線を介してインターネットに接続される。通信部5は、ネットワーク内の情報処理装置30とデータの送受信を行うとともに、インターネットを通じて外部の情報処理装置30やファクシミリ装置31とデータや電子メールの送受信を行う。
【0022】
FAXモデム7は、電話線を介して電話回線網に接続され、外部のファクシミリ装置6とファクシミリ通信を行う。また、USB等の通信インターフェース32を備え、外部メモリ33が接続される。通信インターフェース32は、外部メモリ33と機器制御部9との間でデータの送受信を行う。これらの通信部5、FAXモデム7、通信インターフェース32は、画像データを入力する入力手段として機能するとともに、画像データを出力するための出力手段として機能する。
【0023】
機器制御部9は、入力された画像データを1つのジョブとし、ジョブを実行する。すなわち、操作部2からの入力や外部機器からのデータ入力に応じて、管理部8に記憶されている情報に基づいて各部を制御して、入力された画像データを処理する。ジョブの実行により、入力された画像データに応じて、コピーモード、プリントモード、スキャナモード、ファクシミリモードのいずれかが実行され、画像が所望の形態で出力される。また、機器制御部9は、電子メールを送受信する機能も有しており、電子メールを通じて画像データの送受信を行える。
【0024】
ハードディスク装置4は、画像データを一時的に保存する保存手段である。画像データを保存するとき、暗号化処理を行ってもよい。ハードディスク装置4から暗号化された画像データを読み出すとき、画像データは復号化される。
【0025】
また、ハードディスク装置4は、画像データ以外のデータとして、データの処理に関する管理情報を記憶する。管理情報としては、ファイリング管理情報、送信先管理情報、履歴管理情報である。ファイリング管理情報は、入力された画像データを保存したファイルのリストである。送信先管理情報は、ファクシミリ通信における送信先のリストである。履歴管理情報は、実行した処理内容のリストである。
【0026】
次に、各モードを実行するときの動作を説明する。まず、コピーモード時には、画像読み取り部1により読み取られた原稿の画像データが、画像形成部3から複写物として出力される。具体的には、読み取り位置にセットされた原稿の画像をCCD11によって読み取る。CCD11から出力された画像データは、画像処理部により、ローカルメモリ20上で画像処理され、出力画像として完成される。一旦ローカルメモリ20からハードディスク装置4に転送されて保存される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、記憶の動作が繰り返される。
【0027】
その後、操作部2から指示された処理内容に基づいて、ハードディスク装置4に保存された画像データが適切なタイミングで順次読み出され、ローカルメモリ20に送られる。そして、印字部21への書き込みタイミングに合わせて、画像データがローカルメモリ20から印字部21へと転送され、給紙部22から供給されたシート材に画像が印刷され、シート材は排紙部23により排出される。
【0028】
また、読み取った画像データを複数枚印刷する場合も同様に、画像データが出力画像としてページ単位でハードディスク装置4へ記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られる。ローカルメモリ20の画像データは、印字部21への書き込みタイミングに合わせて出力枚数の分だけ繰り返し印字部21へ転送される。
【0029】
プリントモード時には、情報処理装置30から出力された画像データが、出力処理される。すなわち、情報処理装置30からの画像データが、通信部5により受信される。機器制御部9は、入力された画像データをローカルメモリ20に送り、出力する画像データとしてページ単位に展開し、一旦ハードディスク装置4に保存する。そして、画像データは、ハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られ、コピーモードの場合と同様にして印字部21へと転送され、画像がシート材に印刷される。
【0030】
スキャナモード時には、画像読み取り部1において読み取られた原稿の画像データが、ネットワークを通じて任意の情報処理装置30にデータ通信される。すなわち、CCD11から出力された画像データは、ローカルメモリ20上で画像処理されて出力画像として完成され、一旦ハードディスク装置4へ保存される。
【0031】
保存されている画像データを送信するとき、機器制御部9は、画像データをハードディスク装置4から読み出して、ローカルメモリ20に送る。そして、操作部2を介して指示されたネットワーク内の送信先との通信を確立させ、通信部5から目的の送信先に画像データを送信する。同様に画像データは、通信部5によりネットワークからインターネットを通じて、外部の情報処理装置30やファクシミリ装置31にも送信される。なお、データ通信では、画像データを直接送信するだけでなく、電子メールに添付して、送信することもできる。
【0032】
また、機器制御部9は、ファクシミリモード時にも同様の動作によって、FAXモデム7から電話回線を通じてファクシミリ装置6に画像データを送信する。なお、入力手段から入力された画像データが処理されて出力が完了したとき、ハードディスク装置4に保存された画像データは消去される。
【0033】
なお、プリントモードでは、画像データは情報処理装置等の外部機器から入力される。この場合、画像データは、通信部5を通じて機器制御部9に入力される。画像データは、PDL(ページ記述言語)により表現されている。機器制御部9は、図2に示すように、PDLデータ(スプールデータ)を解析して、ビットマップデータに展開して、印刷ジョブを生成する機能を有する。
【0034】
画像データを受信した通信部5は、機器制御部9に出力する。機器制御部9のスプールデータ受信部41は、画像データをスプールデータとして一旦ハードディスク装置4に保存する。PDL解析部42は、スプールデータを印刷対象データとしたPDLファイルを生成するとともに、画像データに含まれるヘッダ情報を解析して、ページ情報管理ファイルを作成する。スプールデータは、先頭のヘッダ情報とこれに続く画像データとから構成される。さらに画像データは、ページ毎に分かれており、各ページの画像データの先頭にもヘッダ情報が付加されている。
【0035】
ページ情報管理ファイルは、PDLファイルに貯えられた印刷データをページ単位で印刷できるようにするために、制御コマンド等の制御情報を保存したファイルである。詳しくは、図3に示すように、ページ情報管理ファイルは、ページ毎に生成された制御情報が保存されたページ情報ポインタテーブルと、実際の印刷ジョブに含まれる制御情報が保存されたページ情報データテーブルとから構成される。ページ情報ポインタテーブルには、ページ番号、共通ヘッダ開始位置、共通ヘッダサイズ、固有ヘッダ開始位置、固有ヘッダサイズ、固有フッタ開始位置、固有フッタサイズ、PDFファイル開始位置、PDFファイルサイズ等の各情報が保存される。ページ情報データテーブルにおける先頭の共通ヘッダ情報としては、例えばジョブ開始コマンド、印刷部数、片面/両面印刷指定コマンド、複数ページ印刷指定コマンド、フォントデータ登録コマンド等がある。途中のヘッダ情報としては、例えば用紙サイズ、用紙の向き、余白、座標単位等がある。ページ毎のヘッダ情報としては、例えば塗りつぶし等パターン登録、カラーマップ定義、フォント指定、フォントのサイズ/色等の文字属性、線種/色等の図形属性がある。ページ毎のフッタ情報としては、例えばジョブ終了コマンド、領域開放コマンド、描画モード終了コマンド等がある。
【0036】
印刷ジョブ生成部43は、ページ情報管理ファイルを用いて印刷ジョブを生成する。印刷ジョブとして、減色法による3原色であるシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)および黒(K)の色毎にビットマップデータが作成され、ローカルメモリ20に各色のデータがページ毎に記憶される。プリンタ制御部44は、印刷ジョブを印字部21に出力する。そして、プリント制御のため、印字部21との間で各種の情報を送受信し、印字部21からエラー情報等を受信する。
【0037】
プリントモード、コピーモード、スキャナモードにおいて、入力された画像データは、ページ単位で処理される。機器制御部9は、1ページ分の画像データを処理して出力するたびに、このページは出力済みであるといった出力状況の情報を不揮発性メモリに記憶する。
【0038】
印字部21では、シート材に印刷するために、シート材が搬送される。印字部21に、シート材の通過を検出する搬送検知センサが複数設けられている。そして、搬送検知センサの出力に基づいてジャムを検出する検出部45が設けられ、検出部45は、ジャムが発生したことを検出すると、異常信号を機器制御部9に出力する。
【0039】
電源部10は、図4に示すように、商用電源のAC入力から5V、25V等の規定電圧を発生させて、各部に供給する。すなわち、電源オンによって、入力電圧が所定電圧に達すると、出力電圧は規定電圧となる。このときから所定時間後に、電源部10は、起動信号であるPOFF信号を機器制御部9に出力する。電源オフによって、入力電圧が所定電圧まで低下すると、POFF信号の出力を停止する。機器制御部9は、電源がオフされたと判断し、終了処理を行う。なお、入力電圧が所定電圧になっても、しばらくの間(約100ms)は規定電圧が維持されるので、機器制御部9は動作可能である。
【0040】
また、電源部10は、停電等による電源遮断を検出する機能を有している。機器制御部9は、定着装置のヒータの通電制御を行うために、図5に示すように、常にAC入力の零クロスを検出している。AC入力の周波数に応じたタイミングでAC入力が0Vラインを横切るかを検知し、零クロスを検知すると、零クロス信号を発生させる。
【0041】
機器制御部9は、零クロス信号の有無によって電源遮断を判断する。1サイクルだけ零クロス信号がなかったときは、瞬停と判断し、そのまま動作を続ける。2サイクル以上連続して零クロス信号がなかったときは、停電と判断し、停電処理を行う。停電処理では、各種のデータや情報を不揮発性メモリに記憶する。
【0042】
停電や装置のハード的あるいはソフト的なトラブルによって、画像データの出力中に出力が遮断された後、電源オン等の復帰動作によって出力可能な状態となる。機器制御部9は、出力を再開するとき、ハードディスク装置4に保存されている画像データの中から出力する画像データを選択する手段を有している。選択の対象となる画像データは、待機中の画像データおよび出力を遮断された画像データである。
【0043】
この出力遮断から出力再開するときの動作を図6、7にしたがって説明する。画像データが入力されると、指定されたモードによる処理が行われ、処理後の画像データが印刷されて出力される。指定されたモードとしては、コピーモードあるいはプリントモードである。また、ファクシミリモードでの受信の場合もある。
【0044】
入力された画像データは、ハードディスク装置4に保存される。入力された画像データから印刷ジョブが生成され、印字部21により印刷されて画像として出力される。この出力中、画像データが入力されると、画像データはハードディスク装置4に保存され、待機中となる。
【0045】
ここで、印刷中に、出力が遮断される事態、例えば停電が起こる。機器制御部9は、電源遮断を検出すると、停電処理を実行する。すなわち、実行中のモードの設定情報を不揮発性メモリに記憶するとともに、何ページを印刷したといった印刷状況を出力状況情報として不揮発性メモリに記憶する。
【0046】
停電が解消して、電源復帰となると、機器制御部9は起動し、イニシャル動作を開始する。そして、機器制御部9は、検出部45や原稿検知センサ12からの出力により、シート材や原稿のジャムの有無を確認する。ジャムが発生していたとき、図8に示すように、表示部14に、ジャムの発生を知らせるメッセージを表示し、ジャムの箇所を示した案内画面を表示する。
【0047】
ジャムの原因となったシート材が取り除かれると、機器制御部9は、検出部45等の出力からジャムの解除を確認し、不揮発性メモリから印刷状況に関する情報を読み出す。これによって、画像処理装置は出力可能な状態となる。
【0048】
機器制御部9は、出力を再開するために、出力する画像データを選択する。図9に示すように、出力再開時の選択メニューは3つある。この中から1つの選択メニューを実行するように、予め設定されている。設定された選択メニューの画面が表示部14に表示される。そして、機器制御部9は、選択メニューにしたがって、選択された画像データあるいは特定の画像データのページを出力するように印刷の制御を行う。
【0049】
メニュー1では、保存されている全ての画像データ、1つの画像データのいずれかを選択できる。メニュー2では、出力中であった画像データが自動的に選択され、出力したいページを指定できる。メニュー3では、出力中であった画像データが自動的に選択され、出力が遮断されたときのページから出力か、このページの次のページから出力かを指定できる。
【0050】
メニュー1において、「ジョブを選択」を指定すると、図10に示すような保存されている画像データである印刷ファイルの一覧が表示される。この中から1つの印刷ファイルを指定すると、画面上に「印刷再開」の操作キーが表示される。これを操作すると、指定された印刷ファイルの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。このとき、待機中の印刷ファイルだけでなく、出力中であった印刷ファイルを指定することも可能であり、印刷ファイルの全ページが印刷される。
【0051】
「全てのジョブ」を指定すると、図11に示すような保存されている画像データである印刷ファイルが全て指定された形態で表示される。画面上の「印刷再開」の操作キーを操作すると、全ての印刷ファイルに対する印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。これにより、ハードディスク装置4に保存されていた全ての画像データが処理されて出力される。この場合、出力中であった印刷ファイルも含まれる。
【0052】
メニュー2においては、好きなページを指定できる。指定されたページ以降の印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。出力中であったページがわかっている場合、ページを指定することにより、印刷済みのページを再度印刷することなく、残りのページを印刷できる。
【0053】
メニュー3において、「中断したページ」を指定すると、印刷状況に関する情報から出力中であったページが決められ、このページを含めて以降のページの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。「次のページ」を指定すると、出力中であったページの次のページからの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。したがって、出力中であったページがわからない場合に、自動的に残りのページを印刷することができる。
【0054】
ところで、「中断したページ」と「次のページ」の選択は、出力中であったページが印刷完了しているか否かによって決める。この判断は、印刷状況に関する情報に基づいて行える。機器制御部は、出力遮断となったときのジャムの箇所に基づいて、どのページが印刷されたかを判断する。すなわち、印字部において、ジャムの箇所が定着装置よりも下流側であると、ジャムしたページは印刷完了と判断する。ジャムの箇所が定着装置よりも上流側であると、ジャムしたページは印刷されていないと判断する。出力であったページが前者の場合、「次のページ」を指定する。後者の場合、「中断したページ」を指定する。これによって、出力を再開したとき、同じページが印刷されることがなくなる。
【0055】
なお、出力再開時に実行される選択メニューとして、1つの選択メニューが予め設定されているが、出力再開時に3つの選択メニューを表示して、この中から1つの選択メニューを選択できるようにしてもよい。
【0056】
以上のように、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力中であった画像データだけでなく、待機中であった他の画像データからも任意に出力を再開することができ、選択肢が広がり、ユーザの要望に応えることができる。すなわち、出力中であった画像データの出力が不要になった場合、他の画像データを選択すればよく、待機している画像データを処理することができ、装置として処理効率が向上する。
【0057】
画像データに起因するソフト的なトラブルによってハングアップして、出力が遮断されたような場合、この画像データを選択すれば、再びハングアップするおそれがあるが、この画像データを無視することにより、トラブルを防止できる。この画像データは出力せずに、削除するとよい。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。画像処理装置として、コピーモードおよびファクシミリモードを有する複合機であってもよく、さらにはプリンタ、コピー機、ファクシミリ装置といったように単一のモードだけの専用機であってもよい。
【0059】
出力の遮断は、コピーモードやプリントモードだけでなく、スキャナモードやファクシミリモードの送信時でも、原稿詰まり、通信エラーといった原因で起こる。これらのモードの場合でも、同様に出力する画像データを選択すればよい。このとき、待機中の画像データを選択すれば、処理の効率化を図れる。出力中であった画像データは、再度入力してから出力する。
【0060】
また、上記実施形態では、ユーザの指示によって機器制御部が画像データを選択したが、機器制御部によって自動的に選択するようにしてもよい。機器制御部は、検出部や原稿検知センサの出力の有無から検知して、出力が遮断された原因をハード的なトラブルかソフト的なトラブルかを判断する。そして、ソフト的なトラブルが原因の場合には、待機中の他の画像データを選択する。ハード的なトラブルが原因の場合には、出力中であった画像データを選択する。このとき、出力中であったページを判断し、このページを含めて出力する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像処理装置の概略構成を示す図
【図2】PDLデータ印刷ジョブを生成するための制御ブロック図
【図3】ページ情報管理ファイルの構成を示す図
【図4】電源オンオフによる電圧の変化および起動信号の出力を示す図
【図5】停電の検出を説明するための図
【図6】出力の遮断後、出力再開時における画像データ選択のフローチャート
【図7】画像データを選択するときのフローチャート
【図8】ジャムメッセージの画面を示す図
【図9】3つの選択メニューの画面を示す図
【図10】画像データを選択するときのファイル一覧画面を示す図
【図11】全てのファイルを選択したときのファイル一覧画面を示す図
【符号の説明】
【0062】
1 画像読み取り部
2 操作部
3 画像形成部
4 ハードディスク装置
5 通信部
9 機器制御部
10 電源部
12 入力部
13 表示部
20 ローカルメモリ
21 印字部
45 検出部
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された画像データを処理して印刷、送信等により出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機等の画像処理装置では、コピー、プリント、スキャン、ファクシミリといった各モードを実行する。画像データが入力されたとき、所望のモードに応じて画像データが処理され出力される。この出力中に、装置にトラブルが発生したり、停電によって電源が遮断されると、出力が遮断される。
【0003】
例えば、コピーモードやプリントモードの場合、印刷が途中で停止する。トラブルの解消や電源復帰によって、出力可能な状態になると、印刷が再開される。このとき、画像データを最初から印刷すると、同じページが印刷されることになり、無駄な印刷となる。これを防ぐために、特許文献1では、1ページ印刷する毎に印刷済み情報を記憶しておき、出力の遮断後、出力を再開するとき、印刷済み情報に基づいて印刷済みでないページから印刷を行う。
【特許文献1】特開平11−212740号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
出力が遮断される原因として、紙詰まりや停電といったハード的なトラブルだけでなく、画像処理装置に搭載されたCPUのソフト的なトラブルもある。ハード的なトラブルの場合、原因が解消すれば、出力可能な状態に復帰できる。この場合、出力が遮断された画像データの出力を続行すればよい。
【0005】
一方、ソフト的なトラブルとしては、例えば大量の画像データが入力された場合や特定のアプリケーションソフトウェアによって作成された画像データと装置のCPUとの相性が悪い場合に、フリーズ等のハングアップが起こり、出力が遮断される。この場合、電源を再投入してリセットし、出力可能な状態になったとき、同じ画像データを処理しようとすると、再度ハングアップするおそれがある。入力されて保存されている画像データは、待機中のまま、いつまでも出力されない。
【0006】
本発明は、上記に鑑み、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力中であった画像データにとらわれず、入力された画像データを出力できるようにした画像処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、画像データを入力する入力手段と、入力された画像データを保存する保存手段と、保存された画像データを処理して出力する出力手段と、出力手段から出力中にこの出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力する画像データを保存されている画像データの中から選択する選択手段とを備えたものである。
【0008】
保存されている画像データには、出力が遮断されたときに出力中であった画像データも含む。これにより、選択手段は、出力を遮断された画像データおよび待機中の画像データの中から選択する。出力中であった画像データ以外の画像データを選択することができるので、出力再開時の状況に応じて、至急を要するといったような必要な画像データを出力することができる。そのため、出力中であった画像データを出力しないという選択肢が増え、ユーザの要望に応えることができる。
【0009】
選択手段は、複数の画像データを選択可能とされる。複数の画像データが選択されると、待機中の画像データを連続して出力することができ、処理が滞ることを防止できる。このとき、出力中であった画像データを含めることもできる。
【0010】
選択手段は、出力を遮断された画像データを選択したとき、出力を再開するページを指定する。出力中であった画像データの出力を続けるとき、ページを指定すると、必要なページを出力することができ、必要な情報を早く取得できる。
【0011】
選択手段は、出力が遮断されたときに出力中であったページを指定する。これにより、まだ出力されていない残りのページを出力することができる。
【0012】
例えば、出力手段が画像をシート材に印刷して出力する場合、選択手段は、出力が遮断されたときのシート材のジャム状況に応じて出力中であったページを決める。出力中のページがわからない場合、出力中であったページが決められるので、同じページを印刷することがなくなり、無駄な印刷をなくせる。
【0013】
出力が遮断されたとき、出力中の画像データにおける出力状況が保存手段に保存され、選択手段は、出力状況を参照して画像データを選択する。例えば、出力中の画像データが最後まで出力されたときに出力が遮断されたといったことを出力状況によって判断できる。この場合には、待機中の他の画像データを選択すればよいことがわかる。また、出力状況から出力中であったページを特定でき、ページを指定するときの参考となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、保存されている画像データの中から選択できるので、出力中であった画像データだけでなく、待機中の画像データも出力できる。例えば、至急必要な画像データがあれば、優先的に出力することができる。また、出力中であった画像データが必要なくなった場合、他の画像データを出力できる。したがって、出力再開時の状況に応じて必要な画像データを出力でき、処理効率の高い画像処理装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本実施形態の画像処理装置を図1に示す。本画像処理装置は、コピーモード、プリントモード、スキャナモードおよびファクシミリモードを有するデジタル複合機であり、原稿を読み取って画像データを入力する画像読み取り部1と、ユーザの入力を受け付ける操作部2と、入力された画像データの印刷を行う画像形成部3と、画像データを保存するハードディスク装置4と、外部機器とのデータ通信を行う通信部5と、ファクシミリ装置6と通信するためのFAXモデム7と、装置全体の制御情報や設定情報等を記憶している管理部8と、装置全体の制御を司るCPUからなる機器制御部9と、各部に規定電圧の電源を供給する電源部10とを備えている。
【0016】
画像読み取り部1は、画像データを入力する入力手段として機能し、CCD11といった撮像素子と、原稿台や自動原稿送り装置(ADF)にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ12とを有する。CCD11によって読み取られた画像の画像データは画像形成部3に出力される。
【0017】
操作部2は、操作パネルを備え、各種入力キーからなる入力部13と、液晶ディスプレイ等の表示部14とを有する。装置全体の操作や各種設定の入力が行われ、入力内容や装置全体の動作状況が表示される。なお、表示部14は、タッチパネルとされ、入力部としても機能する。
【0018】
画像形成部3は、入力された画像データを記憶するローカルメモリ20と、レーザ走査ユニットを有する印字部21と、手差しトレイ、カセットトレイを備えた給紙部22と、排紙トレイを備えた排紙部23とを有する。
【0019】
ローカルメモリ20は、SDRAM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な半導体メモリを用いる。ローカルメモリ20は、入力された画像データを記憶する領域と、出力するための画像データを記憶する領域とに分割されている。なお、1つのローカルメモリ20を分割して使用する代わりに、2つのローカルメモリ20を入力用と出力用として、それぞれ使用してもよい。
【0020】
入力された画像データはローカルメモリ20に記憶される。ローカルメモリ20は、古い画像データに新しい画像データを上書きすることにより、画像データを記憶する。画像データは、画像処理部によって圧縮、伸張、加工等の画像処理が行われ、ローカルメモリ20に記憶される。画像処理された画像データが印字部21、ハードディスク装置4あるいは機器制御部9に出力される。印字部21は、ローカルメモリ20に記憶された画像データに基づいて、給紙部22から供給される記録シートに画像を印刷する。この印字部21は、画像データを出力するための出力手段として機能する。
【0021】
通信部5は、ネットワークインターフェースカード(NIC)を用い、LANケーブルを介してルータ、スイッチングハブ等に接続され、パソコン、サーバ等の情報処理装置30によって形成されたネットワークと接続される。ネットワークは、電話回線網や光ファイバ等の通信回線を介してインターネットに接続される。通信部5は、ネットワーク内の情報処理装置30とデータの送受信を行うとともに、インターネットを通じて外部の情報処理装置30やファクシミリ装置31とデータや電子メールの送受信を行う。
【0022】
FAXモデム7は、電話線を介して電話回線網に接続され、外部のファクシミリ装置6とファクシミリ通信を行う。また、USB等の通信インターフェース32を備え、外部メモリ33が接続される。通信インターフェース32は、外部メモリ33と機器制御部9との間でデータの送受信を行う。これらの通信部5、FAXモデム7、通信インターフェース32は、画像データを入力する入力手段として機能するとともに、画像データを出力するための出力手段として機能する。
【0023】
機器制御部9は、入力された画像データを1つのジョブとし、ジョブを実行する。すなわち、操作部2からの入力や外部機器からのデータ入力に応じて、管理部8に記憶されている情報に基づいて各部を制御して、入力された画像データを処理する。ジョブの実行により、入力された画像データに応じて、コピーモード、プリントモード、スキャナモード、ファクシミリモードのいずれかが実行され、画像が所望の形態で出力される。また、機器制御部9は、電子メールを送受信する機能も有しており、電子メールを通じて画像データの送受信を行える。
【0024】
ハードディスク装置4は、画像データを一時的に保存する保存手段である。画像データを保存するとき、暗号化処理を行ってもよい。ハードディスク装置4から暗号化された画像データを読み出すとき、画像データは復号化される。
【0025】
また、ハードディスク装置4は、画像データ以外のデータとして、データの処理に関する管理情報を記憶する。管理情報としては、ファイリング管理情報、送信先管理情報、履歴管理情報である。ファイリング管理情報は、入力された画像データを保存したファイルのリストである。送信先管理情報は、ファクシミリ通信における送信先のリストである。履歴管理情報は、実行した処理内容のリストである。
【0026】
次に、各モードを実行するときの動作を説明する。まず、コピーモード時には、画像読み取り部1により読み取られた原稿の画像データが、画像形成部3から複写物として出力される。具体的には、読み取り位置にセットされた原稿の画像をCCD11によって読み取る。CCD11から出力された画像データは、画像処理部により、ローカルメモリ20上で画像処理され、出力画像として完成される。一旦ローカルメモリ20からハードディスク装置4に転送されて保存される。原稿が複数ある場合は、この読み取り、記憶の動作が繰り返される。
【0027】
その後、操作部2から指示された処理内容に基づいて、ハードディスク装置4に保存された画像データが適切なタイミングで順次読み出され、ローカルメモリ20に送られる。そして、印字部21への書き込みタイミングに合わせて、画像データがローカルメモリ20から印字部21へと転送され、給紙部22から供給されたシート材に画像が印刷され、シート材は排紙部23により排出される。
【0028】
また、読み取った画像データを複数枚印刷する場合も同様に、画像データが出力画像としてページ単位でハードディスク装置4へ記憶され、出力するモードに合わせてハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られる。ローカルメモリ20の画像データは、印字部21への書き込みタイミングに合わせて出力枚数の分だけ繰り返し印字部21へ転送される。
【0029】
プリントモード時には、情報処理装置30から出力された画像データが、出力処理される。すなわち、情報処理装置30からの画像データが、通信部5により受信される。機器制御部9は、入力された画像データをローカルメモリ20に送り、出力する画像データとしてページ単位に展開し、一旦ハードディスク装置4に保存する。そして、画像データは、ハードディスク装置4からローカルメモリ20に送られ、コピーモードの場合と同様にして印字部21へと転送され、画像がシート材に印刷される。
【0030】
スキャナモード時には、画像読み取り部1において読み取られた原稿の画像データが、ネットワークを通じて任意の情報処理装置30にデータ通信される。すなわち、CCD11から出力された画像データは、ローカルメモリ20上で画像処理されて出力画像として完成され、一旦ハードディスク装置4へ保存される。
【0031】
保存されている画像データを送信するとき、機器制御部9は、画像データをハードディスク装置4から読み出して、ローカルメモリ20に送る。そして、操作部2を介して指示されたネットワーク内の送信先との通信を確立させ、通信部5から目的の送信先に画像データを送信する。同様に画像データは、通信部5によりネットワークからインターネットを通じて、外部の情報処理装置30やファクシミリ装置31にも送信される。なお、データ通信では、画像データを直接送信するだけでなく、電子メールに添付して、送信することもできる。
【0032】
また、機器制御部9は、ファクシミリモード時にも同様の動作によって、FAXモデム7から電話回線を通じてファクシミリ装置6に画像データを送信する。なお、入力手段から入力された画像データが処理されて出力が完了したとき、ハードディスク装置4に保存された画像データは消去される。
【0033】
なお、プリントモードでは、画像データは情報処理装置等の外部機器から入力される。この場合、画像データは、通信部5を通じて機器制御部9に入力される。画像データは、PDL(ページ記述言語)により表現されている。機器制御部9は、図2に示すように、PDLデータ(スプールデータ)を解析して、ビットマップデータに展開して、印刷ジョブを生成する機能を有する。
【0034】
画像データを受信した通信部5は、機器制御部9に出力する。機器制御部9のスプールデータ受信部41は、画像データをスプールデータとして一旦ハードディスク装置4に保存する。PDL解析部42は、スプールデータを印刷対象データとしたPDLファイルを生成するとともに、画像データに含まれるヘッダ情報を解析して、ページ情報管理ファイルを作成する。スプールデータは、先頭のヘッダ情報とこれに続く画像データとから構成される。さらに画像データは、ページ毎に分かれており、各ページの画像データの先頭にもヘッダ情報が付加されている。
【0035】
ページ情報管理ファイルは、PDLファイルに貯えられた印刷データをページ単位で印刷できるようにするために、制御コマンド等の制御情報を保存したファイルである。詳しくは、図3に示すように、ページ情報管理ファイルは、ページ毎に生成された制御情報が保存されたページ情報ポインタテーブルと、実際の印刷ジョブに含まれる制御情報が保存されたページ情報データテーブルとから構成される。ページ情報ポインタテーブルには、ページ番号、共通ヘッダ開始位置、共通ヘッダサイズ、固有ヘッダ開始位置、固有ヘッダサイズ、固有フッタ開始位置、固有フッタサイズ、PDFファイル開始位置、PDFファイルサイズ等の各情報が保存される。ページ情報データテーブルにおける先頭の共通ヘッダ情報としては、例えばジョブ開始コマンド、印刷部数、片面/両面印刷指定コマンド、複数ページ印刷指定コマンド、フォントデータ登録コマンド等がある。途中のヘッダ情報としては、例えば用紙サイズ、用紙の向き、余白、座標単位等がある。ページ毎のヘッダ情報としては、例えば塗りつぶし等パターン登録、カラーマップ定義、フォント指定、フォントのサイズ/色等の文字属性、線種/色等の図形属性がある。ページ毎のフッタ情報としては、例えばジョブ終了コマンド、領域開放コマンド、描画モード終了コマンド等がある。
【0036】
印刷ジョブ生成部43は、ページ情報管理ファイルを用いて印刷ジョブを生成する。印刷ジョブとして、減色法による3原色であるシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)および黒(K)の色毎にビットマップデータが作成され、ローカルメモリ20に各色のデータがページ毎に記憶される。プリンタ制御部44は、印刷ジョブを印字部21に出力する。そして、プリント制御のため、印字部21との間で各種の情報を送受信し、印字部21からエラー情報等を受信する。
【0037】
プリントモード、コピーモード、スキャナモードにおいて、入力された画像データは、ページ単位で処理される。機器制御部9は、1ページ分の画像データを処理して出力するたびに、このページは出力済みであるといった出力状況の情報を不揮発性メモリに記憶する。
【0038】
印字部21では、シート材に印刷するために、シート材が搬送される。印字部21に、シート材の通過を検出する搬送検知センサが複数設けられている。そして、搬送検知センサの出力に基づいてジャムを検出する検出部45が設けられ、検出部45は、ジャムが発生したことを検出すると、異常信号を機器制御部9に出力する。
【0039】
電源部10は、図4に示すように、商用電源のAC入力から5V、25V等の規定電圧を発生させて、各部に供給する。すなわち、電源オンによって、入力電圧が所定電圧に達すると、出力電圧は規定電圧となる。このときから所定時間後に、電源部10は、起動信号であるPOFF信号を機器制御部9に出力する。電源オフによって、入力電圧が所定電圧まで低下すると、POFF信号の出力を停止する。機器制御部9は、電源がオフされたと判断し、終了処理を行う。なお、入力電圧が所定電圧になっても、しばらくの間(約100ms)は規定電圧が維持されるので、機器制御部9は動作可能である。
【0040】
また、電源部10は、停電等による電源遮断を検出する機能を有している。機器制御部9は、定着装置のヒータの通電制御を行うために、図5に示すように、常にAC入力の零クロスを検出している。AC入力の周波数に応じたタイミングでAC入力が0Vラインを横切るかを検知し、零クロスを検知すると、零クロス信号を発生させる。
【0041】
機器制御部9は、零クロス信号の有無によって電源遮断を判断する。1サイクルだけ零クロス信号がなかったときは、瞬停と判断し、そのまま動作を続ける。2サイクル以上連続して零クロス信号がなかったときは、停電と判断し、停電処理を行う。停電処理では、各種のデータや情報を不揮発性メモリに記憶する。
【0042】
停電や装置のハード的あるいはソフト的なトラブルによって、画像データの出力中に出力が遮断された後、電源オン等の復帰動作によって出力可能な状態となる。機器制御部9は、出力を再開するとき、ハードディスク装置4に保存されている画像データの中から出力する画像データを選択する手段を有している。選択の対象となる画像データは、待機中の画像データおよび出力を遮断された画像データである。
【0043】
この出力遮断から出力再開するときの動作を図6、7にしたがって説明する。画像データが入力されると、指定されたモードによる処理が行われ、処理後の画像データが印刷されて出力される。指定されたモードとしては、コピーモードあるいはプリントモードである。また、ファクシミリモードでの受信の場合もある。
【0044】
入力された画像データは、ハードディスク装置4に保存される。入力された画像データから印刷ジョブが生成され、印字部21により印刷されて画像として出力される。この出力中、画像データが入力されると、画像データはハードディスク装置4に保存され、待機中となる。
【0045】
ここで、印刷中に、出力が遮断される事態、例えば停電が起こる。機器制御部9は、電源遮断を検出すると、停電処理を実行する。すなわち、実行中のモードの設定情報を不揮発性メモリに記憶するとともに、何ページを印刷したといった印刷状況を出力状況情報として不揮発性メモリに記憶する。
【0046】
停電が解消して、電源復帰となると、機器制御部9は起動し、イニシャル動作を開始する。そして、機器制御部9は、検出部45や原稿検知センサ12からの出力により、シート材や原稿のジャムの有無を確認する。ジャムが発生していたとき、図8に示すように、表示部14に、ジャムの発生を知らせるメッセージを表示し、ジャムの箇所を示した案内画面を表示する。
【0047】
ジャムの原因となったシート材が取り除かれると、機器制御部9は、検出部45等の出力からジャムの解除を確認し、不揮発性メモリから印刷状況に関する情報を読み出す。これによって、画像処理装置は出力可能な状態となる。
【0048】
機器制御部9は、出力を再開するために、出力する画像データを選択する。図9に示すように、出力再開時の選択メニューは3つある。この中から1つの選択メニューを実行するように、予め設定されている。設定された選択メニューの画面が表示部14に表示される。そして、機器制御部9は、選択メニューにしたがって、選択された画像データあるいは特定の画像データのページを出力するように印刷の制御を行う。
【0049】
メニュー1では、保存されている全ての画像データ、1つの画像データのいずれかを選択できる。メニュー2では、出力中であった画像データが自動的に選択され、出力したいページを指定できる。メニュー3では、出力中であった画像データが自動的に選択され、出力が遮断されたときのページから出力か、このページの次のページから出力かを指定できる。
【0050】
メニュー1において、「ジョブを選択」を指定すると、図10に示すような保存されている画像データである印刷ファイルの一覧が表示される。この中から1つの印刷ファイルを指定すると、画面上に「印刷再開」の操作キーが表示される。これを操作すると、指定された印刷ファイルの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。このとき、待機中の印刷ファイルだけでなく、出力中であった印刷ファイルを指定することも可能であり、印刷ファイルの全ページが印刷される。
【0051】
「全てのジョブ」を指定すると、図11に示すような保存されている画像データである印刷ファイルが全て指定された形態で表示される。画面上の「印刷再開」の操作キーを操作すると、全ての印刷ファイルに対する印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。これにより、ハードディスク装置4に保存されていた全ての画像データが処理されて出力される。この場合、出力中であった印刷ファイルも含まれる。
【0052】
メニュー2においては、好きなページを指定できる。指定されたページ以降の印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。出力中であったページがわかっている場合、ページを指定することにより、印刷済みのページを再度印刷することなく、残りのページを印刷できる。
【0053】
メニュー3において、「中断したページ」を指定すると、印刷状況に関する情報から出力中であったページが決められ、このページを含めて以降のページの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。「次のページ」を指定すると、出力中であったページの次のページからの印刷ジョブが生成され、印刷が行われる。したがって、出力中であったページがわからない場合に、自動的に残りのページを印刷することができる。
【0054】
ところで、「中断したページ」と「次のページ」の選択は、出力中であったページが印刷完了しているか否かによって決める。この判断は、印刷状況に関する情報に基づいて行える。機器制御部は、出力遮断となったときのジャムの箇所に基づいて、どのページが印刷されたかを判断する。すなわち、印字部において、ジャムの箇所が定着装置よりも下流側であると、ジャムしたページは印刷完了と判断する。ジャムの箇所が定着装置よりも上流側であると、ジャムしたページは印刷されていないと判断する。出力であったページが前者の場合、「次のページ」を指定する。後者の場合、「中断したページ」を指定する。これによって、出力を再開したとき、同じページが印刷されることがなくなる。
【0055】
なお、出力再開時に実行される選択メニューとして、1つの選択メニューが予め設定されているが、出力再開時に3つの選択メニューを表示して、この中から1つの選択メニューを選択できるようにしてもよい。
【0056】
以上のように、出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力中であった画像データだけでなく、待機中であった他の画像データからも任意に出力を再開することができ、選択肢が広がり、ユーザの要望に応えることができる。すなわち、出力中であった画像データの出力が不要になった場合、他の画像データを選択すればよく、待機している画像データを処理することができ、装置として処理効率が向上する。
【0057】
画像データに起因するソフト的なトラブルによってハングアップして、出力が遮断されたような場合、この画像データを選択すれば、再びハングアップするおそれがあるが、この画像データを無視することにより、トラブルを防止できる。この画像データは出力せずに、削除するとよい。
【0058】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正および変更を加え得ることは勿論である。画像処理装置として、コピーモードおよびファクシミリモードを有する複合機であってもよく、さらにはプリンタ、コピー機、ファクシミリ装置といったように単一のモードだけの専用機であってもよい。
【0059】
出力の遮断は、コピーモードやプリントモードだけでなく、スキャナモードやファクシミリモードの送信時でも、原稿詰まり、通信エラーといった原因で起こる。これらのモードの場合でも、同様に出力する画像データを選択すればよい。このとき、待機中の画像データを選択すれば、処理の効率化を図れる。出力中であった画像データは、再度入力してから出力する。
【0060】
また、上記実施形態では、ユーザの指示によって機器制御部が画像データを選択したが、機器制御部によって自動的に選択するようにしてもよい。機器制御部は、検出部や原稿検知センサの出力の有無から検知して、出力が遮断された原因をハード的なトラブルかソフト的なトラブルかを判断する。そして、ソフト的なトラブルが原因の場合には、待機中の他の画像データを選択する。ハード的なトラブルが原因の場合には、出力中であった画像データを選択する。このとき、出力中であったページを判断し、このページを含めて出力する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の画像処理装置の概略構成を示す図
【図2】PDLデータ印刷ジョブを生成するための制御ブロック図
【図3】ページ情報管理ファイルの構成を示す図
【図4】電源オンオフによる電圧の変化および起動信号の出力を示す図
【図5】停電の検出を説明するための図
【図6】出力の遮断後、出力再開時における画像データ選択のフローチャート
【図7】画像データを選択するときのフローチャート
【図8】ジャムメッセージの画面を示す図
【図9】3つの選択メニューの画面を示す図
【図10】画像データを選択するときのファイル一覧画面を示す図
【図11】全てのファイルを選択したときのファイル一覧画面を示す図
【符号の説明】
【0062】
1 画像読み取り部
2 操作部
3 画像形成部
4 ハードディスク装置
5 通信部
9 機器制御部
10 電源部
12 入力部
13 表示部
20 ローカルメモリ
21 印字部
45 検出部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを入力する入力手段と、入力された画像データを保存する保存手段と、保存された画像データを処理して出力する出力手段と、出力手段から出力中にこの出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力する画像データを保存されている画像データの中から選択する選択手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
選択手段は、出力を遮断された画像データおよび待機中の画像データの中から選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
選択手段は、複数の画像データを選択可能とされたことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
選択手段は、出力を遮断された画像データを選択したとき、出力を再開するページを指定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
選択手段は、出力が遮断されたときに出力中であったページを指定することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
出力手段が画像をシート材に印刷して出力する場合、選択手段は、出力が遮断されたときのシート材のジャム状況に応じて出力中であったページを決めることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
出力が遮断されたとき、出力中の画像データにおける出力状況が保存手段に保存され、選択手段は、出力状況を参照して画像データを選択することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項1】
画像データを入力する入力手段と、入力された画像データを保存する保存手段と、保存された画像データを処理して出力する出力手段と、出力手段から出力中にこの出力が遮断された後、出力可能な状態になったとき、出力する画像データを保存されている画像データの中から選択する選択手段とを備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
選択手段は、出力を遮断された画像データおよび待機中の画像データの中から選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
選択手段は、複数の画像データを選択可能とされたことを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
選択手段は、出力を遮断された画像データを選択したとき、出力を再開するページを指定することを特徴とする請求項2記載の画像処理装置。
【請求項5】
選択手段は、出力が遮断されたときに出力中であったページを指定することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
出力手段が画像をシート材に印刷して出力する場合、選択手段は、出力が遮断されたときのシート材のジャム状況に応じて出力中であったページを決めることを特徴とする請求項5記載の画像処理装置。
【請求項7】
出力が遮断されたとき、出力中の画像データにおける出力状況が保存手段に保存され、選択手段は、出力状況を参照して画像データを選択することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載の画像処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−248966(P2007−248966A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74292(P2006−74292)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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