説明

画像出力システム、画像出力装置、及び記憶装置

【課題】利用者に応じて操作を制限することができる画像出力システム、画像出力装置、及び記憶装置の提供。
【解決手段】ICカードとの相互認証、及び利用者認証が完了した後、ICカードからの要求(S62)に応じてデジタル複合機は属性情報をICカードへ送信する(S63)。ICカードは属性情報を受信した場合、属性情報と利用者情報とを基に操作画面表示用のパネルデータを生成し(S65)、デジタル複合機へパネルデータを生成する(S66)。デジタル複合機はICカードから送信されるパネルデータを受信した場合、そのパネルデータに基づいて操作画面の表示を行い(S67)、表示した操作画面を通じてユーザによる操作を受付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に応じて操作を制限することができる画像出力システム、画像出力装置、及び記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複写装置のデジタル化が進むと共に、画像データの蓄積、送信等のデジタル機能を活用した多彩な処理能力を備えたデジタル複合機が市場に投入されている。このデジタル複合機としての基本的な構成は、原稿の画像を電子データとして読取る画像読取部、デジタル化された画像データに対して特定の処理を施す画像処理部、画像データを出力する出力部等から構成されている。ここで出力部としては、画像データを外部の機器へ送信する画像送信部、用紙上に画像形成を行う画像形成部等がある。また、画像データを一時的に記憶するHDD(Hard Disk Drive)のような記憶部も搭載されている。
【0003】
このようなデジタル複合機に搭載される機能としては、コピー機能、プリント機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能、電子メール送信機能、電子ファイリング機能等がある。以下に、各機能における画像データの流れについて簡単に説明する。コピー機能では、画像読取部で読取られた原稿の画像に対し、画像処理部が所定の画像処理を施した後、記憶部に最終画像として一時的に記憶させ、画像形成部において用紙上に画像形成を行う。プリント機能では、ネットワークを介して接続されているクライアント装置からのプリントジョブを受信した場合、画像処理部において画像形成部が処理可能なデータに展開した後、記憶部に最終画像として一時的に記憶させ、画像形成部において用紙上に画像形成を行う。スキャナ機能は、画像読取部で読取った原稿の画像を、画像処理部にて所定の画像処理を施した後、記憶部に最終画像として一時的に記憶させ、ネットワークを介して接続されている任意のクライアント装置へ送信する。ファクシミリ機能では、画像読取部で読取った原稿の画像を、画像処理部において送信先のファクシミリ装置で処理できる画像形式となるように処理を施した後、記憶部に送信画像として一時的に記憶させ、ファクシミリ通信網を介して接続された任意の送信先のファクシミリ装置に送信する。電子メール送信機能では、デジタル複合機の操作パネルを通じて電子メールの案文及び送信先の電子メールアドレスを受付け、インターネット網のような通信回線を通じて外部の通信機器へ電子メールを送信する。
【0004】
このようなデジタル複合機の多機能化に伴い、デジタル複合機自体の使いやすさを求める声が市場から挙がっている。例えば、特許文献1では、操作を行うユーザの識別番号に応じて、ネットワーク上のサーバ装置からアプリケーションをデジタル複合機にダウンロードし、カスタマイズした状態で容易に操作することを可能にした画像形成システムが提案されている。
【特許文献1】特開2000−298561号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成システムでは、アプリケーションプログラムをアップロードしておくためのサーバ装置が必須の要件となっており、デジタル複合機はこのサーバ装置に接続されている必要がある。したがって、スタンドアロンで設置しているデジタル複合機には適用できず、ネットワークへ接続するためのインタフェースの追加、及びサーバ装置の新設が必要となり、導入コストが大きくなるという問題点を有している。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操作画面を表示させるための表示用データを記憶装置から取得し、取得した表示用データに基づいて表示した操作画面を通じて操作を受付ける構成とすることにより、利用者認証に使用されるICカード等を用いる場合であっても認証された利用者に応じた操作画面を表示させることができる画像出力システム、画像出力装置、及び記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像出力システムは、利用者に係る利用者情報を記憶する記憶装置と、該記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、前記記憶装置は、前記画像出力装置に操作画面を表示させるための表示用データを記憶する手段と、該手段に記憶されている表示用データを前記画像出力装置へ送信する手段とを備え、前記画像出力装置は、前記記憶装置から送信された表示用データを受信する手段と、受信した表示用データに基づいて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明にあっては、利用者情報を記憶している記憶装置が操作画面を表示させるための表示用データを記憶しており、画像出力装置は、この記憶装置から表示用データを取得して操作画面を表示し、利用者の操作を受付ける。したがって、サーバ装置を利用しない場合であっても利用者毎の操作画面が表示される。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置が表示用データを持つ必要がなくなる。
【0009】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、操作可能な複数の機能を有しており、該機能に係る情報を前記記憶装置へ送信する手段を備え、前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に応じて表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本発明にあっては、操作可能な機能の情報を記憶装置へ通知し、記憶装置はその通知を基に操作画面表示用のデータを生成して画像出力装置へ送信する。したがって、サーバ装置を利用することなく利用者毎の操作画面が表示される。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置が表示用データを持つ必要がなくなる。
【0011】
本発明に係る画像出力システムは、利用者に係る利用者情報を記憶する記憶装置と、操作可能な複数の機能を有しており、前記記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、前記記憶装置は、利用者情報に基づいて操作を許可する機能を決定する手段と、決定した機能に係る情報を前記画像出力装置へ送信する手段とを備え、前記画像出力装置は、前記記憶装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に応じて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、記憶装置が操作を許可する機能の決定を行い、画像出力装置へ通知する。また、画像出力装置では、記憶装置からの通知に従って操作画面を表示し、利用者による操作を受付ける。したがって、通信ネットワークを介してサーバ装置へ接続することなく利用者毎の操作画面の表示が可能となる。
【0013】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、画像出力装置が画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えるため、プリンタ装置、コピー機、ファクシミリ装置、デジタル複合機への適用が可能となる。
【0015】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、画像形成をしたシートの枚数を計数する手段と、計数した枚数の情報を前記記憶装置へ送信する手段とを備え、前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に基づいて画像形成をしたシートの総計を算出する手段と、算出した総計が所定値以上であるか否かを判断する手段と、所定値以上であると判断した場合、表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、画像形成をしたシートの総数を記憶装置にて算出し、それが所定値を越える場合には表示用データを生成して画像出力装置へ送信する。したがって、各利用者毎に制限枚数を設定することができ、しかもその管理を記憶装置側で行うため、画像出力装置側に各利用者の情報を記憶しておく必要がなくなる。
【0017】
本発明に係る画像出力システムは、前記記憶装置は、現在の日時が所定日時であるか否かを判断する手段と、所定日時であると判断した場合、算出したシートの総計を初期値に設定する手段とを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明にあっては、所定日時となった場合、算出したシートの総計を初期値に設定する。すなわち、所定期間に出力できる枚数が各利用者毎に設定される。
【0019】
本発明に係る画像出力システムは、前記画像出力装置は、操作履歴に係る情報を前記記憶装置へ送信する手段を備え、前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信される操作履歴に係る情報を受信する手段と、受信した操作履歴に係る情報を記憶する手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
本発明にあっては、記憶装置にて操作履歴を管理しているため、特定の画像出力装置だけでなく、他の画像出力装置でも以前に実行したジョブの実行が可能となる。
【0021】
本発明に係る画像出力装置は、利用者に係る利用者情報を記憶した記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置において、前記記憶装置から送信される表示用データを受信する手段と、受信した表示用データに基づいて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明にあっては、利用者情報を記憶している記憶装置が操作画面を表示させるための表示用データを記憶しており、画像出力装置は、この記憶装置から表示用データを取得して操作画面を表示し、利用者の操作を受付ける。したがって、サーバ装置を利用しない場合であっても利用者毎の操作画面が表示される。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置が表示用データを持つ必要がなくなる。
【0023】
本発明に係る画像出力装置は、操作可能な複数の機能を有しており、利用者に係る利用者情報を記憶した記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置において、前記記憶手段により操作が許可された機能に係る情報を受信する手段と、受信した情報に応じて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明にあっては、記憶装置が操作を許可する機能の決定を行い、画像出力装置へ通知する。また、画像出力装置では、記憶装置からの通知に従って操作画面を表示し、利用者による操作を受付ける。したがって、通信ネットワークを介してサーバ装置へ接続することなく利用者毎の操作画面の表示が可能となる。
【0025】
本発明に係る画像出力装置は、画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明にあっては、画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えるため、プリンタ装置、コピー機、ファクシミリ装置、デジタル複合機への適用が可能となる。
【0027】
本発明に係る記憶装置は、利用者情報に基づいて操作の制限を行う画像出力装置が取込むべき利用者情報を記憶する記憶装置において、前記画像出力装置に操作画面を表示させるための表示用データを記憶する手段と、該手段に記憶されている表示用データを前記画像出力装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0028】
本発明にあっては、操作画面を表示させるための表示用データを記憶しており、画像出力装置へ表示用データを送信する。画像出力装置は、この記憶装置から表示用データを取得して操作画面を表示し、利用者の操作を受付ける。したがって、サーバ装置を利用しない場合であっても利用者毎の操作画面を画像出力装置に表示させることができる。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置側に表示用データを持たせる必要がなくなる。
【0029】
本発明に係る記憶装置は、前記画像出力装置から送信される機能に係る情報を受信する手段と、受信した情報に応じて表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする。
【0030】
本発明にあっては、操作可能な機能の情報を画像出力装置から受信し、記憶装置は受信した情報を基に操作画面表示用のデータを生成して画像出力装置へ送信する。したがって、サーバ装置を利用しない場合であっても利用者毎の操作画面を画像出力装置に表示させることができる。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置側に表示用データを持たせる必要がなくなる。
【0031】
本発明に係る記憶装置は、前記画像出力装置から送信される機能に関する情報を受信する手段と、受信した情報及び前記利用者情報に基づいて操作の可否を決定する手段とを備え、決定した操作の可否に情報を前記画像出力装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明にあっては、記憶装置が操作を許可する機能の決定を行い、画像出力装置へ通知する。また、画像出力装置では、記憶装置からの通知に従って操作画面を表示し、利用者による操作を受付ける。したがって、通信ネットワークを介してサーバ装置へ接続することなく利用者毎の操作画面の表示が可能となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明による場合は、利用者情報を記憶している記憶装置が操作画面を表示させるための表示用データを記憶しており、画像出力装置は、この記憶装置から表示用データを取得して操作画面を表示し、利用者の操作を受付けるため、サーバ装置を利用することなく利用者毎の操作画面を表示することができる。したがって、ある特定の機能の利用を利用者に許可しない場合、その機能を利用できないようにした操作画面の表示用データを生成することにより、利用者毎の機能制限を行うことができる。更に、利用者認証で一般に使用されているICカードに表示用データを持たせることにより、画像出力装置側に表示用データを持たせる必要がなくなるため、新たなネットワークの構築、サーバ装置の導入が不要となり、導入コストの上昇を避けることができる。
【0034】
本発明による場合は、操作可能な機能の情報を記憶装置へ通知し、記憶装置はその通知を基に操作画面表示用のデータを生成して画像出力装置へ送信するため、サーバ装置を利用することなく利用者毎の操作画面を表示することができる。これにより、利用者毎の機能制限を行うことができる。また、利用者毎の操作画面を表示するために画像出力装置側に表示用データを持たせる必要がなくなり、新たなネットワークの構築、サーバ装置の導入が不要となる。
【0035】
本発明による場合は、記憶装置が操作を許可する機能の決定を行い、画像出力装置へ通知する。また、画像出力装置では、記憶装置からの通知に従って操作画面を表示し、利用者による操作を受付ける。したがって、通信ネットワークを介してサーバ装置へ接続することなく利用者毎の操作画面の表示が可能となる。
【0036】
本発明による場合は、画像出力装置が画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えるため、プリンタ装置、コピー機、ファクシミリ装置、デジタル複合機への適用が可能となる。
【0037】
本発明による場合は、画像形成をしたシートの総数を記憶装置にて算出し、それが所定値を越える場合には表示用データを生成して画像出力装置へ送信する。したがって、各利用者毎に制限枚数を設定することができ、しかもその管理を記憶装置側で行うため、画像出力装置側に各利用者の情報を記憶しておく必要がなくなり、ICカード等の記憶装置により一元管理が可能となる。
【0038】
本発明による場合は、所定日時となった場合、算出したシートの総計を初期値に設定する。すなわち、所定期間に出力できる枚数を各利用者毎に設定することができる。
【0039】
本発明による場合は、記憶装置にて操作履歴を管理しているため、特定の画像出力装置だけでなく、他の画像出力装置でも以前に実行したジョブの実行が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
実施の形態1.
図1は本実施の形態に係る画像出力システムの全体構成を説明するブロック図である。図中100は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、イメージ送信機能等の複数の機能を有するデジタル複合機である。プリンタ機能は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置300から通信ネットワークN経由で送信されるプリントジョブを受信し、そのプリントジョブに従ってシート上に画像を形成する機能である。スキャナ機能は、原稿の画像を光学的に読取り、デジタル形式の画像データを生成する機能である。コピー機能は、原稿の画像を光学的に読取ることにより取得したデジタル形式の画像データに基づいてシート上に画像を形成する機能である。イメージ送信機能は、スキャナ機能等を利用して取得したデジタル形式の画像データを外部の装置(例えば、情報処理装置300)へ送信する機能である。
【0041】
デジタル複合機100は、各ユーザが利用できる機能をユーザ毎に制限するためにICカード200を用いてユーザ認証を行い、認証されたユーザに対して専用の操作画面を表示する。本発明ではユーザ専用の操作画面を用意する構成であるため、例えば、あるユーザに対してイメージ送信機能を提供しない場合、イメージ送信機能を利用するための操作インタフェースを操作画面上に表示しないことにより機能制限を行うことができる。
【0042】
デジタル複合機100の内部構成について説明する。デジタル複合機100は、CPU101を備えている。このCPU101には、バス102を介して各種ハードウェアが接続されており、ROM103に予め格納されている制御プログラムをRAM104上にロードして実行することにより、バス102を介して接続された各種ハードウェアを制御し、全体として本発明に係る画像出力装置として動作させる。
【0043】
バス102に接続されているハードウェアとしては、操作パネル105、ICカードリーダ106、画像読取部107、画像形成部108、通信部109が挙げられる。
【0044】
操作パネル105は、ユーザに対して通知すべき情報を表示する表示部105aと、ユーザの操作を受付ける操作部105bとからなる。表示部105aは、液晶ディスプレイを備えており、デジタル複合機100の動作状況、各ユーザ専用の操作画面、操作部105bを通じて入力された各種の設定値、各ユーザに通知すべき情報等を表示する。操作部105bは、タッチパネル及び各種ハードウェアキーを備えている。タッチパネルは前述した表示部105aの液晶ディスプレイ上に配置されており、ユーザの指による押下操作により所望の操作を受付ける。ハードウェアキーは、出力枚数の設定、各種設定の解除、出力開始指示等の操作を受付ける。
【0045】
ICカードリーダ106は、ICカード200に記憶されている各種データを取得するための装置であり、ICカード200が挿入されるカードスロット、このカードスロットに挿入されたICカード200を検出する検出回路、検出したICカード200とデータの受け渡しを行う通信IFを備えている。
【0046】
画像読取部107は、読取用の原稿に光を照射する光源、CCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサ、AD変換器等を備えており(不図示)、所定の読取位置にセットされた原稿の画像を当該イメージセンサに結像させてアナログ電気信号に変換し、得られたアナログ電気信号をAD変換器によりAD変換する。そして、AD変換して得られたデジタル信号に対して、原稿読取時の光源の配光特性、イメージセンサの感度ムラ等の補正を施すことによりデジタル形式の画像データを生成する。
【0047】
画像形成部108は、例えば、感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、外部から受付けた画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラム表面に形成された静電潜像にトナーを供給して顕像化する現像器、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙、OHPフィルム等のシート上に転写する転写器等(不図示)を備えており、電子写真方式にてユーザが所望する画像を用紙上に形成することができる。
なお、本実施の形態では、画像形成部108はレーザ書込装置を用いた電子写真方式により画像形成を行う構成としたが、インクジェット方式、熱転写方式、昇華方式により画像形成を行わせる構成であっても良いことは勿論である。
【0048】
通信部109は、ローカルエリアネットワーク、インターネット網等の通信ネットワークNへ接続するための通信インタフェースを備えている。通信部109は、通信ネットワークNを介して接続された情報処理装置300から送信されるプリントジョブを受信するとともに、情報処理装置300へ通知すべき情報を送信する。通信部109はこのような各種データの送受信に関する制御を行う。
【0049】
次に、ICカード200の内部構成について説明する。ICカード200は、CPU201を備えており、このCPU201には、バス202を介してROM203、RAM204、入出力IF205、フラッシュメモリ206を備えている。CPU201は、ROM203に予め格納されている制御プログラムをRAM204上にロードして実行することにより、全体を本発明に係る記憶装置として動作させる。
【0050】
入出力IF205は、前述したICカードリーダ106の通信IFと各種データの受け渡しを行うためのインタフェースである。ICカード200は、RAM204又はフラッシュメモリ206から読み出したデータを入出力IF205を通じてデジタル複合機100へ送信すると共に、デジタル複合機100から送信されたデータを入出力IF205を通じて受信する。
【0051】
フラッシュメモリ206は、不揮発性の記憶媒体であり、その記憶領域の一部は、ユーザに関する情報を記憶するユーザ管理テーブルとして利用されている。ユーザ管理テーブルに登録される情報としては、ユーザの名前、ユーザが使用している暗証番号等が挙げられる。詳細については後に説明することとする。
【0052】
本発明では、デジタル複合機100が接触型のICカードリーダ106を用いてICカード200から情報を取得する構成としたが、無線通信により情報の受け渡しを行う構成としてもよい。この場合、デジタル複合機100及びICカード200の双方に無線通信用の通信インタフェースを搭載すればよい。また、ユーザの情報を記憶した記憶媒体は、必ずしもICカード200である必要はなく、USBメモリ等の可搬型記憶装置、携帯電話機、PDA等のメモリ及び通信機能を搭載した通信装置を採用する構成であってもよい。
【0053】
以下、デジタル複合機100の動作について説明する。図2は操作パネル105の構成を説明する模式図である。前述したように、操作パネル105は、ユーザに対して必要な情報を通知するために液晶ディスプレイ装置を備えた表示部105aと、この液晶ディスプレイ上に配置されたタッチパネル、及び表示部105aの左側に配置されたハードウェアキーにより構成される操作部105bとを備えている。操作部105bに配置されているハードウェアキーとしては、出力枚数等を指示するための数値キー、入力した値をクリアするためのクリアキー、設定した内容を全解除するための全解除キー、動作開始指示を与えるスタートキー等が挙げられる。
【0054】
ICカード200がデジタル複合機100のICカードリーダ106に挿入されていない場合、全ユーザに対して利用制限が行われていることを示すため、デジタル複合機100は、その表示部105aに「ICカードを挿入して下さい。」というメッセージを表示する(図2(a)参照)。そして、ICカード200がICカードリーダ106に挿入された場合、「暗証番号を入力して下さい。」というメッセージを表示部105aに表示し(図2(b)参照)、ユーザ認証を行う。暗証番号は、例えば4桁の数値を採用する。ユーザは、操作部105bに配置されている数値キーにより暗証番号を入力する。
【0055】
暗証番号が入力された場合、デジタル複合機100は、ICカードリーダ106に挿入されているICカード200と通信を行い、ユーザ認証を行う。ユーザが認証された場合、デジタル複合機100は、そのユーザ専用の操作画面を表示部105aに表示する。図3は操作画面の一例を示す模式図である。例えば、あるユーザ(XXXさん)に対して、コピー機能、イメージ送信機能、及びプリンタ機能の利用を許可する場合、図3(a)に示したような操作画面を表示部105aに表示する。この操作画面には、「コピー」のラベルを付したソフトウェアボタン11、「イメージ送信」のラベルを付したソフトウェアボタン12、「プリンタ」のラベルを付したソフトウェアボタン13が配置されており、これらのソフトウェアボタンを押下操作することにより各機能を利用できるように構成されている。また、操作画面の下部には、モノクロ出力、カラー出力に対してユーザ毎に管理されている残り制限枚数が表示される。
【0056】
また、別のユーザ(YYYさん)に対し、コピー機能及びプリンタ機能の利用は許可するが、イメージ送信機能の利用は許可しない場合、図3(b)に示したような操作画面を表示部105aに表示する。この操作画面には、「コピー」のラベルを付したソフトウェアボタン11及び「プリンタ」のラベルを付したソフトウェアボタン13が配置されており、「YYYさん」はコピー機能及びプリンタ機能を利用できるが、「XXXさん」のようにイメージ送信機能は利用できないように構成されている。
【0057】
更に、前述した各機能に搭載されているサブ機能についてもユーザ毎に操作画面を用意してもよい。図4は操作画面の他の例を示す模式図である。例えば、あるユーザ(XXXさん)がコピー機能を利用するために前述の操作画面からソフトウェアボタン11を押下操作した場合、デジタル複合機100は、図4(a)に示したような操作画面を表示部105aに表示する。すなわち、デジタル複合機100は、コピー機能に関して片面コピー機能と両面コピー機能とを有しており、原稿の読取りを片面から行うか、又は両面から行うかを設定するためのソフトウェアボタン21,22、原稿のコピーを片面に行うか、又は両面に行うかを設定するためのソフトウェアボタン23、24を操作画面上に配置する。
【0058】
また、別のユーザ(YYYさん)が前述の操作画面からソフトウェアボタン11を押下操作した場合、デジタル複合機10は、図4(b)に示したような操作画面を表示部105aに表示する。このとき、両面コピーに係る操作ボタン(ソフトウェアボタン24)を非表示とすることにより、「YYYさん」が両面コピーの機能を利用することを制限することができる。
【0059】
本実施の形態では、このような操作画面を表示するための表示用データ(以下、パネルデータと称する)をICカード200側に持たせておき、必要に応じてデジタル複合機100がICカード200からパネルデータを取得して操作パネル105の表示部105aに操作画面を表示する。操作画面をユーザに応じて変更することにより、機能の利用制限を行うことができる。
【0060】
このような機能の利用制限を行うための操作画面は、ICカード200のCPU101が自身のフラッシュメモリ206に格納しているユーザ管理テーブルに従って作成する。図5のユーザ管理テーブルの一例を示す概念図である。ユーザ管理テーブルでは、ICカード200の使用者の名前、暗証番号、モノクロ制限枚数、カラー制限枚数、モノクロ利用枚数、カラー利用枚数、最終利用日時、コピー機能の利用の可否、プリンタ機能の利用の可否、イメージ送信機能の利用の可否、両面コピー機能の利用の可否の情報を互いに関連つけて記憶している。ここで、モノクロ制限枚数は、各ユーザが所定期間内にモノクロ出力できる枚数を示し、カラー制限枚数は、各ユーザが所定期間内にカラー出力できる枚数を示している。また、各機能の利用の可否についてはフラグにより設定されている。「1」のフラグが設定されている場合にはその機能の利用が許可されており、「0」のフラグが設定されている場合にはその機能の利用が許可されていないことを示している。
なお、図5に示した例では、複数のユーザの情報をユーザ管理テーブルに登録する構成としているが、必ずしも複数のユーザの情報を登録する必要はなく、ある特定のユーザの情報のみを登録し、ICカード200をそのユーザの専用とするようにしてもよい。
【0061】
また、ユーザ管理テーブルには、操作履歴がジョブ毎に登録されるようになっており、実行したジョブにおいてユーザが行った操作を記憶するようにしている。
【0062】
以下、本実施の形態に係る画像形成システムの動作について説明する。図6はICカード挿入時のデジタル複合機100の動作を説明するフローチャートである。デジタル複合機100は、電源投入後の初期設定を行い(ステップS10)、ハードウェア各部のウォームアップ、図2(a)に示したような初期画面の表示等を行う。そして、CPU101は、ICカードリーダ106から通知される情報を監視することにより、ICカード200を検出したか否かを判断する(ステップS11)。ICカード200を検出していない場合(S11:NO)、ICカード200を検出するまで待機する。
【0063】
ICカード200を検出した場合(S11:YES)、そのICカード200が読取可能であるか否かを判断する(ステップS12)。具体的には、ICカード200に対してダミーデータの送信を要求し、所定時間内に要求に応じてICカード200からダミーデータが返信されてきたか否かを判断する。ICカード200の読取りが不能であると判断した場合(S12:NO)、すなわち、ダミーデータの送信を要求してから所定時間内に返信がないと判断した場合、CPU101は、処理をステップS11へ戻す。
【0064】
ICカード200の読取りが可能であると判断した場合(S12:YES)、CPU101は、後述するICカード処理を行い(ステップS13)、デジタル複合機100とICカードとの間にて相互認証を行う。CPU101は、ICカード処理の実行結果に基づいてICカード200との相互認証が完了したか否かを判断し(ステップS14)、相互認証が完了していない場合(S14:NO)、CPU101は、処理をステップS11へ戻す。
【0065】
ICカード200との相互認証が完了したと判断した場合(S14:YES)、CPU101は、後述するユーザ認証処理を行う(ステップS15)。ここでは、図2(b)に示したように暗証番号の入力を要求する画面を表示部105aに表示し、操作部105bの数値キーを通じて入力された暗証番号をICカード200へ送信して照合を行い、ICカード200から照合結果を取得する。
【0066】
CPU101は、ユーザ認証処理の実行結果に基づいてユーザが認証されたか否かを判断する(ステップS16)。ユーザが認証されていないと判断した場合(S16:NO)、本フローチャートによる処理を終了する。また、ユーザが認証されたと判断した場合(S16:YES)、ユーザの操作に対する応答処理を実行し(ステップS17)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0067】
次に、ICカード処理(図6のステップS13)について説明する。
図7はICカード処理の処理手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100は、まず、ICカード200に対して乱数の送信を要求する(ステップS20)。具体的には、CPU101は、乱数の送信を要求するコマンドを生成し、生成したコマンドをICカードリーダを通じてICカード200へ送信する。デジタル複合機100から乱数の送信要求を受けたICカード200のCPU201は、所定の演算方式に従って乱数を生成し、生成した乱数をデジタル複合機100へ送信する(ステップS21)。
【0068】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信された乱数を受信した場合、受信した乱数を所定の暗号化方式により暗号化し(ステップS22)、得られた暗号文(この場合、暗号化した乱数)をICカード200へ送信する(ステップS23)。
【0069】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信された暗号文を受信した場合、所定の復号方式に従って暗号文を復号し(ステップS24)、得られた乱数とステップS21で送信した乱数との照合を行う(ステップS25)。すなわち、このステップでICカード200はデジタル複合機100の正当性を確認していることになる。ICカード200は、照合結果をデジタル複合機100へ送信する(ステップS26)。
【0070】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信された照合結果に基づいて自身がICカード200により認証されたか否かを判断する(ステップS27)。認証されていないと判断した場合(S27:NO)、本フローチャートによる処理を終了する。また、認証されたと判断した場合(S27:YES)、CPU101は、所定の演算方式に従って乱数を生成し、生成した乱数をICカード200へ送信する(ステップS28)。
【0071】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信された乱数を受信した場合、受信した乱数を所定の暗号化方式に従って暗号化し(ステップS29)、得られた暗号文(この場合、暗号化した乱数)をデジタル複合機100へ送信する(ステップS30)。
【0072】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信された暗号文を受信した場合、所定の復号方式に従って暗号文を復号し(ステップS31)、得られた乱数とステップS28で送信した乱数との照合を行う(ステップS32)。すなわち、このステップでデジタル複合機100はICカード200の正当性を確認していることになる。照合を終えた後、CPU101は処理を図6に示したメインルーチンへ戻す。
【0073】
次に、ユーザ認証処理(図6のステップS15)について説明する。
図8はユーザ認証処理の処理手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100は、まず、ユーザに対して暗証番号の入力を要求する(ステップS40)。具体的には、図2(b)に示したようなメッセージを操作パネル105の表示部105aに表示することにより、ユーザに対して暗証番号の入力を促す。CPU101は、操作パネル105を通じて入力される情報を監視することにより、暗証番号が入力されたか否かを判断する(ステップS41)。暗証番号が入力されていないと判断した場合(S41:NO)、暗証番号が入力されるまで待機する。暗証番号が入力されたと判断した場合(S41:YES)、デジタル複合機100は、ICカード200に対して暗証番号を送信する(ステップS42)。
【0074】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信される暗証番号を受信した場合、受信した暗証番号をフラッシュメモリ206内のユーザ管理テーブルと照合して(ステップS43)、ユーザを認証できるか否かを判断する(ステップS44)。認証できると判断した場合(S44:YES)、認証する旨をデジタル複合機100へ通知し(ステップS45)、後述する初期設定を行う(ステップS46)。一方、認証できないと判断した場合(S44:NO)、認証しない旨をデジタル複合機100へ通知する(ステップS47)。
【0075】
デジタル複合機100は、ICカード200からの認証結果を受信した場合(ステップS48)、処理を図6に示したメインルーチンへ戻す。
【0076】
次に、初期設定(図8のステップS46)について説明する。
図9は初期設定の実行手順を説明するフローチャートである。ICカード200は、デジタル複合機100カレンダ情報を取得する(ステップS50)。ICカード200のCPU201は、取得したカレンダ情報とユーザ管理テーブルの登録内容と比較し、月替わりの最初の利用であるか否かを判断する(ステップS51)。月替わりの最初の利用であると判断した場合(S51:YES)、利用枚数情報を初期値に戻し(ステップS52)、処理を図8に示したサブルーチンへ戻す。また、月替わりの最初の利用でないと判断した場合(S51:NO)、ICカード200の登録内容を変更することなく、処理を図8に示したサブルーチンへ戻す。
【0077】
次に、ユーザの操作に対する応答処理(図6のステップS17)について説明する。図10及び図11はユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100は、デジタル複合機100及びICカード200間の相互認証、及びユーザ認証が完了した旨をICカード200へ通知する(ステップS61)。
【0078】
ICカード200は、デジタル複合機100からの通知を受信した場合、デジタル複合機100に対して属性情報の送信を要求する(ステップS62)。ここで、属性情報とは、デジタル複合機100に搭載されている機能についての情報、トナー、用紙等の消耗品の残量についての情報等をいう。
【0079】
デジタル複合機100は、ICカード200から属性情報の送信要求を受信した場合、ハードウェア各部と通信を行って属性情報を取得し、取得した属性情報をICカード200へ送信する(ステップS63)。
【0080】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信される属性情報を受信した場合、デジタル複合機100が搭載している機能、及び消耗品の残量を考慮した上で、ユーザ管理テーブルの登録内容に従って使用を許可する機能の特定を行う(ステップS64)。そして、ICカード200のCPU201は、使用を許可する機能の操作を可能にするための操作画面をデジタル複合機100の操作パネル105に表示させるためにパネルデータを生成する(ステップS65)。例えば、前述したソフトウェアボタン11〜13等をそれぞれ表示するためのコンポーネント、及び背景画像をROM203内に格納しておき、必要なコンポーネントを背景画像に配置することでパネルデータを生成する。また、必要な操作画面のパネルデータを予めROM203に格納しておき、機能が特定された段階でパネルデータを選択する構成であってもよい。ICカード200は、ステップS65で生成したパネルデータをデジタル複合機100へ送信する(ステップS66)。
【0081】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信されたパネルデータを受信した場合、そのパネルデータを基に操作パネル105の表示部105aに操作画面を表示する(ステップS67)。次いで、CPU101は、操作パネル105を通じて入力される情報を監視してユーザによるパネル操作を受付けたか否かを判断する(ステップS68)。ユーザによるパネル操作を受付けていないと判断した場合(S68:NO)、ユーザによるパネル操作を受付けるまで待機する。パネル操作を受付けたと判断した場合(S68:YES)、パネル操作情報をICカード200へ送信する(ステップS69)。ここで、パネル操作情報は、操作画面において押下操作されたソフトウェアボタンの情報を含んでいる。
【0082】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信されるパネル操作情報を受信した場合、そのパネル操作情報を解釈し、ユーザがどのような操作を行ったかを解析する(ステップS70)。そして、CPU201は、操作画面の変更が必要であるか否かを判断する(ステップS71)。操作画面の変更が必要であると判断した場合(S71:YES)、CPU201は処理をステップS65へ戻す。
【0083】
操作画面の変更が不要であると判断した場合(S71:NO)、CPU201は、ユーザ管理テーブルを参照し、現時点の利用枚数が制限枚数以下であるか否かを判断する(ステップS72)。現時点で制限枚数を越えていると判断した場合(S72:NO)、CPU201は処理をステップS65へ戻す。このときに生成されるパネルデータは、制限枚数を超過しているため利用できない旨のメッセージを操作パネル105に表示させるためのパネルデータである。制限枚数を越えていないと判断した場合(S72:YES)、ICカード200はデジタル複合機100へ動作指示コマンドを送信する(ステップS73)。
【0084】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信される動作指示コマンドを受信した場合、その動作指示コマンドを解釈し(ステップS74)、要求された処理を実行する(ステップS75)。実行する処理は、ステップS67で表示した操作画面を通じて受付けた操作に対する処理であり、この時点で原稿の読取処理や読取った画像に基づく出力処理等を行う。
【0085】
次いで、デジタル複合機100のCPU101は、ユーザによる操作が完了したか否かを判断し(ステップS76)、操作が完了していないと判断した場合(S76:NO)、処理をステップS68へ戻す。また、ユーザによる操作が完了したと判断した場合(S76:YES)、デジタル複合機100は、操作が完了した日時、利用枚数等の情報を操作結果としてICカード200へ送信する(ステップS77)。
【0086】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信された操作結果を受信した場合、操作結果の解釈を行い(ステップS78)、ユーザ管理テーブルの登録内容を変更することにより、利用枚数情報の更新を行う(ステップS79)。そして、ICカード200は終了通知をデジタル複合機100へ送信する(ステップS80)。
【0087】
デジタル複合機100は、ICカード200から終了通知を受信した場合(ステップS81)、一連の処理を終了する。
【0088】
このように、本実施の形態ではICカード200を用いて操作画面表示用のパネルデータを各ユーザ毎に生成する構成であるため、デジタル複合機100にパネルデータを生成する機能を搭載する必要がなくなる。また、ICカード200を複数のデジタル複合機100,100,…,100で共用することにより一元的に機能制限を行うことが可能となる。
また、機種が異なるデジタル複合機では操作画面が異なるため、ユーザは利用するデジタル複合機が代わる度に異なる画面で操作しなければならず操作性が悪いが、ICカード200を用いることにより、機種が異なるデジタル複合機に対しても同じ操作画面で操作を行うことができる。
【0089】
実施の形態2.
実施の形態1では、ICカード200側でパネルデータを生成する構成としたが、使用を許可する機能の特定のみをICカード200で行い、許可する機能の情報をデジタル複合機100へ通知することにより機能制限を行う構成としてもよい。なお、システムの構成については、実施の形態1と全く同様であるため、その説明については省略することとする。
【0090】
図12及び図13はユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。デジタル複合機100は、デジタル複合機100及びICカード200間の相互認証、及びユーザ認証が完了した旨をICカード200へ通知する(ステップS91)。
【0091】
ICカード200は、デジタル複合機100からの通知を受信した場合、デジタル複合機100に対して属性情報の送信を要求する(ステップS92)。ここで、属性情報とは、デジタル複合機100に搭載されている機能についての情報、トナー、用紙等の消耗品の残量についての情報等をいう。
【0092】
デジタル複合機100は、ICカード200から属性情報の送信要求を受信した場合、ハードウェア各部と通信を行って属性情報を取得し、取得した属性情報をICカード200へ送信する(ステップS93)。
【0093】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信される属性情報を受信した場合、デジタル複合機100が搭載している機能、及び消耗品の残量を考慮した上で、ユーザ管理テーブルの登録内容に従って使用を許可する機能の特定を行う(ステップS94)。そして、使用を許可する機能の情報(機能制限情報)をデジタル複合機100へ送信する(ステップS95)。
【0094】
デジタル複合機100は、ICカード200から送信される機能制限情報を受信した場合、その機能制限情報に基づいてパネルデータの生成を行う(ステップS96)。例えば、前述した操作画面に現れるソフトウェアボタンを表示するためのコンポーネント、及び背景画像をROM103内に格納しておき、必要なコンポーネントを背景画像に配置することでパネルデータを生成する。また、必要な操作画面のパネルデータを予めROM103に格納しておき、機能制限情報を受信した段階で表示すべきパネルデータを選択する構成であってもよい。
【0095】
そして、生成したパネルデータに基づき、図3に示したような操作用の初期画面を操作パネル105の表示部105aに表示する(ステップS97)。次いで、CPU101は、操作パネル105を通じて入力される情報を監視してユーザによるパネル操作を受付けたか否かを判断する(ステップS98)。ユーザによるパネル操作を受付けていないと判断した場合(S98:NO)、ユーザによるパネル操作を受付けるまで待機する。パネル操作を受付けたと判断した場合(S98:YES)、受付けた操作に応じて操作画面を表示する(ステップS99)。
【0096】
次いで、デジタル複合機100はICカード200と通信を行ってユーザに割り当てられている制限枚数の情報、現時点での利用枚数の情報を取得し、現時点での利用枚数が制限枚数以下であるか否かを判断する(ステップS100)。現時点で制限枚数を越えていると判断した場合(S100:NO)、CPU101は表示部105aにエラーメッセージを表示する(ステップS101)。また、制限枚数を越えていないと判断した場合(S100:YES)、CPU101は、パネル操作に対応した動作指示コマンドを生成し(ステップS102)、要求された処理を実行する(ステップS103)。
【0097】
次いで、デジタル複合機100のCPU101は、ユーザによる操作が完了したか否かを判断し(ステップS104)、操作が完了していないと判断した場合(S104:NO)、処理をステップS98へ戻す。また、ユーザによる操作が完了したと判断した場合(S104:YES)、デジタル複合機100は、操作が完了した日時、利用枚数等の情報を操作結果としてICカード200へ送信する(ステップS105)。
【0098】
ICカード200は、デジタル複合機100から送信された操作結果を受信した場合、操作結果の解釈を行い(ステップS106)、ユーザ管理テーブルの登録内容を変更することにより、利用枚数情報の更新を行う(ステップS107)。そして、ICカード200は終了通知をデジタル複合機100へ送信する(ステップS108)。
【0099】
デジタル複合機100は、ICカード200から終了通知を受信した場合(ステップS109)、一連の処理を終了する。
【0100】
本実施の形態では、使用を許可する機能の特定をICカード200側で行い、操作画面表示用のパネルデータをデジタル複合機100で行うため、機能制限をICカード200により一元管理できるという利点を残しつつ、搭載するフラッシュメモリ206の容量を小さくすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本実施の形態に係る画像出力システムの全体構成を説明するブロック図である。
【図2】操作パネルの構成を説明する模式図である。
【図3】操作画面の一例を示す模式図である。
【図4】操作画面の他の例を示す模式図である。
【図5】ユーザ管理テーブルの一例を示す概念図である。
【図6】ICカード挿入時のデジタル複合機の動作を説明するフローチャートである。
【図7】ICカード処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図8】ユーザ認証処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図9】初期設定の実行手順を説明するフローチャートである。
【図10】ユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図11】ユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図12】ユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【図13】ユーザの操作に対する応答処理の処理手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0102】
100 デジタル複合機
101 CPU
103 ROM
104 RAM
105 操作パネル
105a 表示部
105b 操作部
106 ICカードリーダ
107 画像読取部
108 画像形成部
109 通信部
200 ICカード
201 CPU
203 ROM
204 RAM
205 入出力IF
206 フラッシュメモリ
300 情報処理装置
N 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に係る利用者情報を記憶する記憶装置と、該記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、
前記記憶装置は、前記画像出力装置に操作画面を表示させるための表示用データを記憶する手段と、該手段に記憶されている表示用データを前記画像出力装置へ送信する手段とを備え、
前記画像出力装置は、前記記憶装置から送信された表示用データを受信する手段と、受信した表示用データに基づいて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする画像出力システム。
【請求項2】
前記画像出力装置は、操作可能な複数の機能を有しており、該機能に係る情報を前記記憶装置へ送信する手段を備え、
前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に応じて表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像出力システム。
【請求項3】
利用者に係る利用者情報を記憶する記憶装置と、操作可能な複数の機能を有しており、前記記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置とを備える画像出力システムにおいて、
前記記憶装置は、利用者情報に基づいて操作を許可する機能を決定する手段と、決定した機能に係る情報を前記画像出力装置へ送信する手段とを備え、
前記画像出力装置は、前記記憶装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に応じて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする画像出力システム。
【請求項4】
前記画像出力装置は、画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の画像出力システム。
【請求項5】
前記画像出力装置は、画像形成をしたシートの枚数を計数する手段と、計数した枚数の情報を前記記憶装置へ送信する手段とを備え、
前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信された情報を受信する手段と、受信した情報に基づいて画像形成をしたシートの総計を算出する手段と、算出した総計が所定値以上であるか否かを判断する手段と、所定値以上であると判断した場合、表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする請求項4に記載の画像出力システム。
【請求項6】
前記記憶装置は、現在の日時が所定日時であるか否かを判断する手段と、所定日時であると判断した場合、算出したシートの総計を初期値に設定する手段とを備えることを特徴とする請求項5に記載の画像出力システム。
【請求項7】
前記画像出力装置は、操作履歴に係る情報を前記記憶装置へ送信する手段を備え、
前記記憶装置は、前記画像出力装置から送信される操作履歴に係る情報を受信する手段と、受信した操作履歴に係る情報を記憶する手段とを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1つに記載の画像出力システム。
【請求項8】
利用者に係る利用者情報を記憶した記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置において、
前記記憶装置から送信される表示用データを受信する手段と、受信した表示用データに基づいて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項9】
操作可能な複数の機能を有しており、利用者に係る利用者情報を記憶した記憶装置から前記利用者情報を取込み、取込んだ利用者情報に基づいて前記利用者による操作を制限する画像出力装置において、
前記記憶手段により操作が許可された機能に係る情報を受信する手段と、受信した情報に応じて操作画面を表示する手段と、表示した操作画面を通じて利用者による操作を受付ける手段とを備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項10】
画像データを受付ける手段と、受付けた画像データに基づいてシート上に画像形成を行う手段とを備えることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の画像出力装置。
【請求項11】
利用者情報に基づいて操作の制限を行う画像出力装置が取込むべき利用者情報を記憶する記憶装置において、
前記画像出力装置に操作画面を表示させるための表示用データを記憶する手段と、該手段に記憶されている表示用データを前記画像出力装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする記憶装置。
【請求項12】
前記画像出力装置から送信される機能に係る情報を受信する手段と、受信した情報に応じて表示用データを生成する手段とを備え、生成した表示用データを前記画像出力装置へ送信するようにしてあることを特徴とする請求項11に記載の記憶装置。
【請求項13】
前記画像出力装置から送信される機能に関する情報を受信する手段と、受信した情報及び前記利用者情報に基づいて操作の可否を決定する手段とを備え、決定した操作の可否に情報を前記画像出力装置へ送信する手段とを備えることを特徴とする請求項11に記載の記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−195068(P2007−195068A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−13134(P2006−13134)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】