説明

画像印刷装置及び方法

【課題】 失敗画像をプリント前にユーザに通知する。
【解決手段】 メモリカード12を画像印刷装置10のカードインターフェース14に接続すると、処理/制御装置16は、メモリカード12に記憶される画像を順次、読取り、それらのサムネイル画像をモニタ画面上に一覧表示する。失敗画像検知装置18が、各画像が失敗か否かを判定し、検知結果表示装置20が、失敗画像に対してその旨を表示する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像印刷装置及び方法に関し、より具体的には、失敗画像を事前に検知して警告する画像印刷装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディジタルカメラで撮影した画像を印刷出力するプリンタが普及している。例えば、ディジタルカメラの撮影画像を記憶するメモリカードをプリンタのメモリカード挿入口に挿入するか、又は、所定の通信ケーブルを介してディジタルカメラとプリンタとを接続して、所望の撮影画像を印刷することができる。その際、例えば、プリンタに接続した外部モニタに画像を表示し、画像の確認及び選択をしながら、所望の画像を印刷する。または、予め複数の画像をインデックスプリントしておき、その中から必要な画像の番号を指定し、印刷することも可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、モニタ画面上に表示される画像を見ながら選択してプリントしたとしても、モニタ画面上では、表示解像度が低いこともあって、ピンボケ画像、ぶれた画像及び露出不適正の画像等の失敗画像を発見するのは難しい。インデックスプリントの場合も、各画像が小さく印刷されるので、個々の画像が失敗画像であるのを見過ごしやすい。
【0004】本発明は、このような不都合を解消、一定の失敗画像を事前に検知してユーザに通知する画像印刷装置及び方法を提示することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る画像印刷装置は、入力画像が失敗画像か否かを検知する失敗画像検知手段と、当該失敗画像検知手段の検知結果を表示する検知結果表示手段とを具備することを特徴とする。
【0006】本発明に係る画像印刷方法は、印刷すべき画像を事前に解析する解析ステップを具備する画像印刷方法であって、当該解析ステップが、入力画像が失敗画像か否かを検知する失敗画像検知ステップと、当該失敗画像検知ステップの検知結果を表示する検知結果表示ステップとを具備することを特徴とする。
【0007】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0008】図1は、本発明の一実施例の概略構成ブロック図を示す。10は本実施例である画像印刷装置であり、ディジタルカメラで撮影した画像を記憶するメモリカード12を接続するカードインターフェース14を具備する。カードインターフェース14の代わりに又はこれに加えて、ビデオインターフェース、USB、IEEE1394、赤外線通信用インターフェース、パラレル通信ポート及び/又はシリアル通信ポートを具備しても良い。
【0009】16は、画像印刷装置10の各種の処理及び全体的な制御を担当する処理/制御装置、18は、カードインターフェース14から入力する画像が適正に撮影されたものか又は失敗したものかを判別する失敗画像検知装置、20は失敗画像検知装置18の検知結果を表示する検知結果表示装置、22は、失敗画像検知装置18の検知結果を外部の表示装置24に表示させるべく表示装置24に出力する外部出力インターフェース、26は、画像及びその他の情報を記録紙上に印刷する画像記録装置である。
【0010】失敗画像を検知し、検知結果を表示する本実施例の動作を説明する。図2は、そのフローチャートを示す。
【0011】メモリカード12を画像印刷装置10のカードインターフェース14に接続すると(S1)、処理/制御装置16は、メモリカード12に記憶される画像を順次、読取り、それらのサムネイル画像をモニタ画面上に一覧表示する(S2)。各画像が失敗か否かを判定し(S3)、失敗画像に対しては(S4)、その旨をモニタ画面上で表示する(S5)。表示例を図3に示す。図3では、失敗画像のサムネイル表示の下にその理由を文字で表示する。全ての画像に対してS3〜S5を繰り返し(S6)、すべての画像を判定したら(S6)、終了する。
【0012】図2では、サムネイル表示の後に失敗画像を判定したが、サムネイル表示をしながら失敗画像を検知してもよいし、選択した画像についてのみ失敗か否かを判定しても良い。また、例えば、内蔵モニタを具備せず、外部モニタを使用することを想定していない場合には、図3に示すようなレイアウトでインデックスプリントを行うようにしてもよい。
【0013】露出オーバー及び露出アンダーの場合を例に、失敗画像を検知する方法を具体的に説明する。露出オーバーを検知するには、画像の累積ヒストグラムを取り、暗い側から例えば1%のところの階調を見て、それが例えば256階調のうち20階調目よりも大きければ露出オーバーと判断する。ここに挙げた数値は絶対的なものではなく、状況及び装置に応じて設定される。逆に、明るい側から1%の階調が236階調目よりも小さければ、露出アンダーと判断することができる。
【0014】その他に様々な失敗画像があり、それぞれのシステムの目的に応じて失敗画像の検知アルゴリズムを用意し、判定閾値を設定すればよい。
【0015】以上のように、画像と同時に失敗画像か否かの情報を一緒に表示又は印刷することで、ユーザが失敗画像を無駄にプリントすることを防止できる。
【0016】図2に示すのと同様の機能をパーソナルコンピュータ上でも実現できる。図4は、その動作フローチャートを示す。その機能を具備するアプリケーションソフトウエアを起動し(S11)、指定フォルダ内の画像又は登録画像を読み取り、サムネイル画像をモニタ画面上に一覧表示する(S12)。各画像が失敗か否かを判定し(S13)、失敗画像に対しては(S14)、図3に示すように、その旨をモニタ画面上でサムネイル画像に追加して表示する(S15)。全ての画像に対してS13〜S15を繰り返し(S16)、すべての画像を判定したら(S16)、終了する。
【0017】撮影時の情報を参照することで、失敗画像の検知精度を高めることができる。図5は、失敗画像の検知精度を高くした本実施例の動作フローチャートを示す。
【0018】メモリカード12を画像印刷装置10のカードインターフェース14に接続すると(S21)、処理/制御装置16は、メモリカード12に記憶される画像を順次、読取り、それらのサムネイル画像をモニタ画面上に一覧表示する(S22)。各撮影画像に付加されている撮影情報を読み取り(S23)、その撮影情報を元に失敗画像の検知アルゴリズム及び閾値を設定する(S24)。各画像が失敗か否かを判定し(S25)、失敗画像に対しては(S26)、その旨をモニタ画面上で表示する(S27)。全ての画像に対してS25〜S27を繰り返し(S28)、すべての画像を判定したら(S28)、終了する。
【0019】ディジタルカメラは、機種によっては、シャッタ速度及び絞り値などの撮影時の情報が画像ファイルのヘッダに格納する。この撮影情報を利用することで、失敗画像か否かの判定精度を高めることが可能である。
【0020】例えば、撮影情報を使わない場合、次のような方法でブレを検知する。すなわち、ブレ量が小さい場合、ほぼ画像が直線的に流れると考えることができる。従って、或る方向に画像が流れる場合、画像が流れる方向に画像がぼける。これを利用し、或る特定方向とそれに直交する方向との間で周波数成分の差を求め、画像の流れる方向の高周波成分がそれに直交する方向の高周波数成分に比べて極端に少なければ、画像がブレていると判定できる。しかし、被写体自身がそのような特性を持っている場合もあり、一概にブレていると判定できない。
【0021】そこで、このブレ検知に、撮影情報のうちの例えばシャッタ速度を加味する。すなわち、シャッタ速度が遅い場合にはブレ画像の可能性が高いと判定することで、ブレ検知の精度を高めることができる。一般に、焦点距離をミリメートルで表した場合の逆数に相当する秒数よりもシャッタ速度が遅くなると、手ぶれしやすくなると言われる。従って、それよりも遅いシャッタ速度の場合には画像ブレの判定閾値を低くして、画像ブレを検出しやすくする。
【0022】このように、画像のみからはブレと判定できない場合でも、撮影情報のうちのシャッタ速度を利用することで、より確度の高いブレ検知が可能となる。
【0023】撮影情報のうち、感度情報及び露光量を利用することで、画像のノイズを検知できる。撮影情報を利用せずに画像の色ノイズを検知するには、例えば、輝度の変化の少ない領域で色成分の高周波成分を調べ、その成分が多ければ色ノイズがあると判定する。この方法は、誤判定も多く信頼性にかける。しかし、撮影情報のうちの感度情報を利用すると、感度が高く設定されている場合にノイズが多い可能性が強いと判断できる。また、露光量が少ない場合には暗部のノイズが強調されることが多いので、やはりノイズが多い可能性が高いと判断できる。すなわち、撮影情報のうちの感度情報及び露光情報により判定閾値を調節することで、判定結果の信頼性を高めることができる。
【0024】撮影情報のうちの撮影距離情報により画像の非合焦状態(ピンぼけ)を精度良く検知できる。ピンぼけと考えられるケースとして、主被写体にピントが合わず、背景にピントが合ってしまう場合が挙げられる。これを検知する方法として、主被写体の周波数特性を調べてボケ具合を調べる方法、及び、主被写体の周波数特性と背景の周波数特性を調べる方法等があるが、何れも検知精度が低い。撮影情報のうちの撮影距離情報を利用することにより、例えば撮影距離が無限大になっているにもかかわらず主被写体が画像中央部を占めているような場合には、ピントが背景にあっている可能性が強く、撮影失敗と判断できる。このように、ピンぼけについても、撮影情報を利用することで検知精度を高めることができる。
【0025】
【発明の効果】以上の説明から容易に理解できるように、本発明によれば、失敗画像を予め検知し、検知結果をユーザに知らせることができる。その結果、ユーザは、プリントしなくても失敗画像か否かを知ることができ、失敗画像を無駄にプリントするのを避けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例の概略構成ブロック図である。
【図2】 本実施例の動作フローチャートである。
【図3】 失敗画像の検知結果の表示例である。
【図4】 本実施例の別の動作フローチャートである。
【図5】 本実施例の更に別のフローチャートである。
【符号の説明】
10:画像印刷装置
12:メモリカード
14:カードインターフェース
16:処理/制御装置
18:失敗画像検知装置
20:検知結果表示装置
22:外部インターフェース
24:表示装置
26:画像記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】 入力画像が失敗画像か否かを検知する失敗画像検知手段と、当該失敗画像検知手段の検知結果を表示する検知結果表示手段とを具備することを特徴とする画像印刷装置。
【請求項2】 当該検知結果表示手段が当該検知結果を受像紙上に印刷する手段を含む請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項3】 当該検知結果表示手段が、画像とその検知結果をレイアウトして表示する請求項1又は2に記載の画像印刷装置。
【請求項4】 当該失敗画像検知手段は、当該入力画像に付加される撮影情報を読み取る手段を具備し、当該撮影情報を利用して失敗画像を検知する請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像印刷装置。
【請求項5】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報に従って失敗画像の検知アルゴリズムを変更する請求項4に記載の画像印刷装置。
【請求項6】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報の内、露出補正値、フラッシュ発光量、撮影距離、絞り値、シャッタ速度、露光量、撮影カメラ及び光源情報のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像の露出異常を検知する請求項4又は5に記載の画像印刷装置。
【請求項7】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報の内、電子ズーム倍率、感度、撮影カメラ及び光源情報のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のノイズを検知する請求項4又は5に記載の画像印刷装置。
【請求項8】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報の内、撮影距離の情報を用いて、当該入力画像の非合焦状態を検知する請求項4又は5に記載の画像印刷装置。
【請求項9】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報の内、シャッタ速度及び撮影距離のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のブレを検知する請求項4又は5に記載の画像印刷装置。
【請求項10】 当該失敗画像検知手段は、当該撮影情報の内、場所及び日時のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のホワイトバランス異常を検知する請求項4又は5に記載の画像印刷装置。
【請求項11】 当該失敗画像検知手段が、シャッタ速度、絞り値、露光量、露出補正値、感度、撮影距離、光源情報、ホワイトポイント点、日時、場所、撮影カメラ、色温度、電子ズーム倍率及びAF情報を読み取り自在である請求項1乃至10の何れか1項に記載の画像印刷装置。
【請求項12】 当該失敗画像検知手段は、当該入力画像のブレ、ボケ、露光異常、ノイズ及びホワイトバランス異常の少なくとも1つを検知する請求項1に記載の画像印刷装置。
【請求項13】 印刷すべき画像を事前に解析する解析ステップを具備する画像印刷方法であって、当該解析ステップが、入力画像が失敗画像か否かを検知する失敗画像検知ステップと、当該失敗画像検知ステップの検知結果を表示する検知結果表示ステップとを具備することを特徴とする画像印刷方法。
【請求項14】 当該検知結果表示ステップが、モニタ画面上に当該検知結果を表示する請求項13に記載の画像印刷方法。
【請求項15】 当該検知結果表示ステップが、当該検知結果を受像紙上に印刷する請求項13に記載の画像印刷方法。
【請求項16】 当該検知結果表示ステップが、画像とその検知結果をレイアウトして表示する請求項13乃至15の何れか1項に記載の画像印刷方法。
【請求項17】 当該失敗画像検知ステップは、当該入力画像に付加される撮影情報を読み取るステップを具備し、当該撮影情報を利用して失敗画像を検知する請求項13乃至16の何れか1項に記載の画像印刷方法。
【請求項18】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報に従って失敗画像の検知アルゴリズムを変更する請求項17に記載の画像印刷方法。
【請求項19】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報の内、露出補正値、フラッシュ発光量、撮影距離、絞り値、シャッタ速度、露光量、撮影カメラ及び光源情報のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像の露出異常を検知する請求項17又は18に記載の画像印刷方法。
【請求項20】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報の内、電子ズーム倍率、感度、撮影カメラ及び光源情報のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のノイズを検知する請求項17又は18に記載の画像印刷方法。
【請求項21】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報の内、撮影距離の情報を用いて、当該入力画像の非合焦状態を検知する請求項17又は18に記載の画像印刷方法。
【請求項22】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報の内、シャッタ速度及び撮影距離のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のブレを検知する請求項17又は18に記載の画像印刷方法。
【請求項23】 当該失敗画像検知ステップは、当該撮影情報の内、場所及び日時のうちの1以上の情報を用いて、当該入力画像のホワイトバランス異常を検知する請求項17又は18に記載の画像印刷方法。
【請求項24】 当該失敗画像検知ステップは、シャッタ速度、絞り値、露光量、露出補正値、感度、撮影距離、光源情報、ホワイトポイント点、日時、場所、撮影カメラ、色温度、電子ズーム倍率及びAF情報を読み取り自在である請求項13乃至23の何れか1項に記載の画像印刷方法。
【請求項25】 当該失敗画像検知ステップは、当該入力画像のブレ、ボケ、露光異常、ノイズ及びホワイトバランス異常の少なくとも1つを検知する請求項13に記載の画像印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2002−187329(P2002−187329A)
【公開日】平成14年7月2日(2002.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−390794(P2000−390794)
【出願日】平成12年12月22日(2000.12.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】