画像形成システム及び画像形成装置
【課題】ジョブ実行中にUI装置がプリンタと接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供する。
【解決手段】UI装置とプリンタとの間の通信の切断を検知すると、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」の中の予めメモリに格納されたいずれか一の処理内容が、システム制御部により読み出され(S201)、その内容を実行する(S202)。そして、UI装置の復帰後に、UI装置とプリンタとの間の通信を再確立する(S203)。停止されたジョブがあるか否かが判断され(S204)、あれば、停止ジョブについての処理を進め(S205)、UI装置にジョブの履歴が表示される(S206)。
【解決手段】UI装置とプリンタとの間の通信の切断を検知すると、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」の中の予めメモリに格納されたいずれか一の処理内容が、システム制御部により読み出され(S201)、その内容を実行する(S202)。そして、UI装置の復帰後に、UI装置とプリンタとの間の通信を再確立する(S203)。停止されたジョブがあるか否かが判断され(S204)、あれば、停止ジョブについての処理を進め(S205)、UI装置にジョブの履歴が表示される(S206)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワープロ、パソコン等で作成した文書、画像等は、内蔵あるいは外付けの画像形成装置に対し、データ送信でデータを転送することにより画像形成が行われる。そして、データ送信における回線異常時の処理に関する技術は、従来から種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1には、例えばIEEE1394でデータ転送を行う印字処理に関する技術が開示されている。そして、その技術は、他の機器とのデータ転送している際に、下位層が切断された場合、一定時間セッションを保持し、一定時間内にコネクションが回復した場合、継続してデータ転送を行うように上位層を制御することを特徴とするものである。これにより、データ転送中のユーザーの不注意による回線断に対してリカバリを可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−36824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、高画質かつ高生産性の画像形成装置では、トレイに格納する用紙の様々な属性設定や各種サービスをGUI装置を通して行うなど、柔軟で高機能なUI装置が要求されてきている。そして、コストパフォーマンスや開発の短期化、GUIのデザイン自由度といった面から、汎用のパーソナルコンピュータ(以下、PCという)や場合によってはワークステーション(以下、WSという)をUI装置として構成する画像形成装置が現れる可能性がある。PCをUI装置として構成した画像形成装置では、PCの起動・終了に一定時間を要するため、UI装置と画像形成装置との電源供給が分離されているケースが少なくない。このような画像形成装置では、画像形成装置本体またはUI装置のどちらかが電源オフ状態であっても、それぞれが独立して動作可能とすることができる。また、電源オフではなくともPCやWSのハングアップなど、画像形成装置本体とPC等のUI装置との間の通信が切断される場合がある。
【0006】
このようなUI装置と画像形成装置との電源供給を分離して構成されている場合には、ジョブ実行中に通信の切断が生じたときの対応として、UI装置と画像形成装置との電源供給が同じ構成の場合とは異なる、より適切な処理の仕方も考えられる。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ジョブ実行中にUI装置がプリンタと接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成システムは、外部からの印刷指示を受け付けて印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置に通信可能に接続され、ユーザーからの入力を受け付けて画像形成装置に出力し、かつ、画像形成装置から入力されるデータに基づいて情報を表示するユーザーインターフェース装置と、を含み、画像形成装置とユーザーインターフェース装置は、互いに別に電源の制御及び供給が行われ、画像形成装置は、画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信の切断を検知する検知手段と、検知手段により通信の切断が検知されたときに受け付け済みの印刷指示について行うべき処理の情報を保持する保持手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
保持手段は、予め定められた複数の処理のうちユーザーにより選択された処理の情報を保持するものであることを特徴とすることができる。
また、画像形成装置は、切断された画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信を再確立する再確立手段を更に含むことを特徴とすることができる。また、再確立手段により画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信が再確立された後に、画像形成装置は、停止処理がなされた印刷指示を再開し、又は取り消すことを特徴とすることができる。
画像形成装置は、停止された実行中の印刷指示の情報を取得して保存する保存手段を更に含み、保存手段は、保存している印刷指示の情報を復帰後のユーザーインターフェース装置に送信することを特徴とすることができる。
また、画像形成装置は、検知手段により通信の切断が検知された後に新たな印刷指示を受け付けるか否かについての情報を格納する格納手段を更に含むことを特徴とすることができる。
画像形成装置は、デバイスコントローラと、デバイスコントローラを節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、検知手段により通信の切断が検知された後に電源制御手段がデバイスコントローラを節電状態及び/又は電源オフにする経過時間を情報として保有する保有手段と、を更に含むことを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、外部のユーザーインターフェース装置に接続可能に構成され、ユーザーインターフェース装置とは電源の制御及び供給が別に行われ、外部から印刷指示を受け付けて印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置本体と、画像形成装置本体とユーザーインターフェース装置との間で接続されていた通信が切断したことを検知する検知手段と、検知手段により通信の切断が検知された場合に受け付け済みの印刷指示について行うべき、継続実施を含む処理の情報を保持し、かつ、継続実施の際に発生した停止要因に対して画像形成装置本体が行うべき処理の情報を保持する保持手段と、を含むものである。
【0011】
保持手段が保持する停止要因に対する処理の情報に、停止要因に影響を受けない実行可能な印刷指示を実行することが含まれることを特徴とすることができる。
また、画像形成装置本体を節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、検知手段により通信の切断が検知されてから画像形成装置本体を節電状態及び/又は電源オフにするまでの経過時間を情報として保有する保有手段と、を更に含み、保有手段が保有する経過時間をすぎた場合に画像形成装置本体が印刷指示を実行しているときには、電源制御手段は、実行の終了後に節電状態及び/又は電源オフにすることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1によれば、印刷指示の実行中にユーザーインターフェース装置が画像形成装置と接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することが可能になる。
請求項2によれば、ユーザーの使い勝手を向上させることが可能になる。
請求項3によれば、ユーザーによる文字入力等の手間を省略することが可能になる。
請求項4によれば、ユーザー自身で再確立する手間を省略することが可能になる。
請求項5によれば、実行中止の印刷指示をユーザーに通知することが可能になる。
請求項6によれば、通信切断後の印刷指示の受け付けについての制御が可能になる。
請求項7によれば、画像形成装置の省電力化に寄与することができる。
請求項8によれば、印刷指示の実行中にユーザーインターフェース装置が画像形成装置本体と接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することが可能になる。
請求項9によれば、実行可能な印刷指示の実行を進めることが可能になる。
請求項10によれば、画像形成装置の省電力化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
この画像形成システムは、複数のクライアント100(具体的には100a、100b、100c)、ネットワーク200、外部コントローラ300、プリンタ1、およびUI(User Interface)装置10を備える。
【0014】
クライアント100は、ネットワーク200に対し、例えばPDL(Page Description Language:ページ記述言語)にて記述された印刷用データや画像形成動作の実行指示等を含むジョブデータを送信する。
変換装置としての外部コントローラ300は、ネットワーク200を介して受信した画像データとしてのジョブデータを解釈して、得られた作像用データ(ビットマップデータ)を送信する。
画像形成装置としてのプリンタ1は、外部コントローラ300から受信した作像用データに基づき、対象となる用紙上に画像を形成する。
ユーザーインターフェース装置としてのUI装置10は、プリンタ1とは別筐体の装置からなり、例えばPC(Personal Computer)等のコンピュータ装置にて構成されている。UI装置10は、プリンタ1における各種画像形成条件の設定を受け付け、得られた設定データをプリンタ1に送信する。
なお、プリンタ1は、受信した設定データに基づき、制御部ないしはデバイスコントローラ14が各種画像形成条件の設定を行う。また、プリンタ1は例えば用紙切れ等のエラーが発生した場合に、得られたエラー情報をUI装置10に送信する。この場合に、UI装置10は受信したエラー情報をディスプレイ等に表示する。プリンタ1は、後述するデバイスコントローラ14を備えている。
【0015】
ここで、UI装置10は、コンピュータ装置を構成するCPU(Central Processing Unit)、メモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置、液晶ディスプレイ等の表示装置等の全体に給電を行うことで直ちに動作可能な機能を維持する待受状態(非節電状態)に設定することができる。また、このUI装置10は、これらCPU、メモリ、記憶装置、表示装置等の一部に対する給電を停止または減少させることで、待機時におけるUI装置10の消費電力を低減する節電状態に設定することもできる。更に説明すると、UI装置10は、上述したようにPC等にて構成され、上記設定データの入力プログラム等は、例えばウィンドウズ(登録商標)等のOS上で動作する。このため、UI装置10では、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)等の電力管理規格に基づいて、給電状態の制御が行われる。
【0016】
図2は、本実施の形態に係る画像形成システムを説明するための概略構成図である。
図2に示すように、このプリンタ1は、ネットワークを介して外部の機器に接続されている。このため、プリンタ1は、例えば外部の機器から送られる画像データをネットワーク経由で取り込むことができる。
【0017】
このプリンタ1は、ユーザーの操作画面10a(図5参照)を有するUI装置10と、原稿から画像を光学的に読み取る画像入力部(スキャナ)11と、画像情報を用紙に印刷する画像出力部12と、を備えている。なお、本実施の形態では、外部コントローラ300をプリンタ1の外に配置しているが、プリンタ1の内部に配置して構成することも考えられる。その場合の外部コントローラ300は、外部の機器との間で通信を行ってプリントジョブ(印刷指示)およびスキャンジョブを実行するものである。
また、プリンタ1は、UI装置10、画像入力部11、画像出力部12および外部コントローラ300の制御を行うとともに、コピージョブを実行するデバイスコントローラ14を備えている。また、プリンタ1は、外部コントローラ300にケーブル(ローカルネット)によって接続され、画像出力部12、外部コントローラ300およびデバイスコントローラ14間の信号の切り替えを行うスイッチ回路15を備えている。
【0018】
ここで、UI装置10は、プリンタ1とは別に電源の制御や供給が行われる構成となっている。更に説明すると、UI装置10は、プリンタ1のUI装置として構成される場合のほか、例えばコンピュータ装置等の外部デバイスとして構成される場合もある。
【0019】
プリンタ1は、ネットワーク経由で取り込んだ画像データを画像出力部(プリンタ)12で印刷する処理(プリントジョブ)や、プリンタ1の画像入力部(スキャナ)11で取り込んだ画像データをネットワーク経由で外部の機器に転送する処理(スキャンジョブ)を実行するものである。また、プリンタ1は、内部の画像入力部11で取り込んだ画像データを処理して内部の画像出力部12で印刷する処理(コピージョブ)も実行することができるように構成されている。
【0020】
外部コントローラ300は、例えば外部の機器からネットワークを介して送信されたジョブ(印刷指示)に基づいて画像データを作成し、外部コントローラ制御IF(インターフェース)でデバイスコントローラ14との排他制御により、プリントサービスを提供するものである。また、外部コントローラ300は、ネットワークIFによりスキャンジョブを制御し、スキャンサービスを提供するものである。
【0021】
画像出力部12は、プリントジョブが指示されると、画像データを受け取り、制御コマンドを逐次解析処理して画像出力動作を行い、用紙上に画像を印字出力するものである。
【0022】
図3は、デバイスコントローラ14の内部構成を説明するブロック図を示す。
図3に示すように、このデバイスコントローラ14は、メモリ(NMV)140と、HDD(ハードディスクドライブ)141と、ネットワーク制御部142と、ユーザーインターフェース制御部143と、外部コントローラ制御部(通信制御部)144と、画像出力制御部145と、スキャナ制御部146と、システム制御部147と、を備えている。なお、各制御部142〜147は、制御プログラムによって実現されている。
【0023】
ユーザーインターフェース制御部143は、システムの状態やジョブの処理に必要な情報をUI装置10の操作画面10a(図5参照)上に表示し、ユーザーにガイドするものである。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10とプリンタ1との間の通信状況を監視し、通信の切断を検知するとシステム制御部147にその信号を送るものである。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、通信の切断を検知する通信切断検知手段としての機能を有する。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、切断されたデバイスコントローラ14とUI装置10との間の通信を再確立するものである。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に通信を再確立する通信再接続手段(再確立手段)としての機能を有する。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10との接続が切断、または復帰したことを、外部の機器又は外部コントローラ300、クライアント100(図1参照)、ネットワークUIなどに通知する。また、通信が復帰したときにジョブの履歴を送信する。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、通信制御部としての機能を有する。
【0024】
外部コントローラ制御部144は、プリントジョブの実行時に外部コントローラ300からのIFコマンド受けて、画像出力部12に対する画像入力・出力シーケンスに従ってプリントジョブを実行する。また、外部コントローラ制御部144は、外部コントローラ300からのシステムデータ要求時に、デバイスコントローラ14内部のシステムデータまたは画像入力部11や画像出力部12内部のシステムデータを通信により取得し、フォーマット変換する処理を行う。また、外部コントローラ制御部144は、電源スイッチ(図2参照)の電源オフ操作時に、デバイスコントローラ14内部のシャットダウン処理要求に伴う処理も行う。
【0025】
画像出力制御部145は、主にコピージョブの実行時に画像出力部12とのIF制御を行い、画像出力部12に対する画像入力・出力シーケンスに従ってコピージョブを実行するものである。
スキャナ制御部146は、主にスキャンジョブの実行時に画像入力部11とのIF制御を行い、画像入力部11に対する画像入力・出力シーケンスに従ってスキャンジョブを実行するものである。
【0026】
システム制御部147は、システムの中核としてプリントジョブやコピージョブ等の複数ジョブの調停を行い、システムの資源を活用するためのものである。システム制御部147は、ジョブ実行中に、ソフトウエアの不具合(ハングアップや停止(終了))やUI装置10の電源オフ等により、UI装置10とプリンタ1との間に通信切断が生じた場合に、ジョブの停止方法やジョブの継続方法を決定するジョブ制御を行う。すなわち、システム制御部147は、ジョブ制御手段としての機能を有する。
【0027】
〔第1の実施の形態〕
図4は、第1の実施の形態に係るプリンタ1の処理を説明するためのフローチャートである。
まず、UI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断された場合の処理内容(対応)がUI装置10を通じて設定される(ステップ101)。すなわち、実行中のジョブの停止方法や継続方法を、ユーザーがUI装置10で設定する。
【0028】
図5は、通信切断時の処理内容を設定する場合のUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザーは、ジョブの実行中にUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断したことがユーザーインターフェース制御部143(図3参照)により検知された場合の処理内容として、4つのいずれか一を選択することができる。その選択肢としては、具体的には、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」である。4つの中のいずれか一が選択された後に「決定」ボタンが押されると、選択した事項が確定する。なお、図5に示す例では、デフォルトとして、「ジョブの即停止」が設定されている。
【0029】
ここで、「ジョブの即停止」とは、切断が検知されると、直ちに実行中のジョブが停止されることをいう。また、「ジョブのセット単位で停止」とは、ジョブにおけるセットを単位とし、例えば実行中のセットが完了するまでプリントを継続し、そのセットが完了したら停止することをいう。具体的に説明すると、4枚の原稿を2部ずつプリントするプリントジョブにおいて2枚目の原稿を1部プリントした途中で通信切断が検知される場合に、ソータなしでは、2枚目を2部プリントしてジョブが停止する。また、ソータありでは、2枚目、3枚目及び4枚目を1部ずつプリントしてジョブが停止する。
【0030】
また、「実行中のジョブ終了後に停止」とは、実行中のジョブをすべて完了するまでジョブを継続し、ジョブが完了した後に停止させることをいう。すなわち、4枚の原稿を2部ずつプリントするプリントジョブにおいて2枚目の原稿をプリントしている途中で通信切断が検知される場合には、2部ずつのプリントが完了するまでジョブを継続する。更に説明すると、この場合には、ジョブを単位としてジョブの継続が行われる。したがって、複数のジョブを受け付けている場合には、実行されないジョブがそのまま残る。
また、「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」とは、既に受け付けられているジョブのすべてが完了するまで継続し、全ジョブの完了後に停止させることをいう。
【0031】
図4に戻って説明を続ける。UI装置10の操作画面10a(図5参照)で処理内容を設定すると、設定された処理内容が、デバイスコントローラ14のシステム制御部147(図3参照)によって、保持手段としてのメモリ140(図3参照)に情報として格納される(ステップ102)。
【0032】
そして、例えば外部の機器からネットワークを介して送信されたプリントジョブがあれば、外部コントローラ300(図2参照)がそのプリントジョブを受け付け(ステップ103)、デバイスコントローラ14(図2又は図3参照)等の制御によってジョブが開始される(ステップ104)。
【0033】
ジョブが開始された後には、ユーザーインターフェース制御部143(図3参照)により、UI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断されていないか否かが監視される(ステップ105)。そして、通信切断が検知されたときには、ステップ102において格納された処理内容に基づいて「通信切断時の処理」が開始される(ステップ200)。また、通信切断が検知されないままそのジョブが終了すると(ステップ106)、受け付けられているジョブのうち未だ実行されていないジョブがあるか否かが判断され(ステップ107)、未実行ジョブがあればそのジョブを開始し、なければ終了する。
【0034】
図6は、通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態における通信切断時の処理は、次のように行われる。まず、ステップ102(図4参照)においてメモリ140(図3参照)に格納された処理内容が、システム制御部147(図3参照)により読み出される(ステップ201)。なお、ここにいう処理内容とは、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」のいずれかである。
【0035】
システム制御部147は、読み出された処理内容を実行する(ステップ202)。すなわち、読み出された処理内容が「ジョブの即停止」であれば、実行中のジョブを直ちに停止するように制御する。また、「ジョブのセット単位で停止」であれば、該当するセットが終了した後に停止するように制御する。「実行中のジョブ終了後に停止」であれば、実行中のジョブが完了した後に停止するように制御し、「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」であれば、受け付け済みの全ジョブが完了した後に停止するように制御する。
ステップ202において停止されたジョブは、ジョブ情報管理手段としてのシステム制御部147により管理され、停止理由がメモリ140に保存される。すなわち、システム制御部147及びメモリ140は、停止された実行中のジョブの情報を取得して保存する保存手段の一部を構成するものである。
【0036】
ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に、切断されたUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信を再確立する(ステップ203)。
【0037】
その後、ジョブ情報管理手段としてのシステム制御部147により、停止されたジョブがあるか否かが判断される(ステップ204)。すなわち、ステップ201において読み出された処理内容が、「ジョブの即停止」又は「ジョブのセット単位で停止」の場合には、ジョブの途中で停止されている。また、その停止理由は、メモリ140に保存されている。そのような停止されたジョブをどのように処理するかの指示をユーザーから受ける。
【0038】
図7は、停止されたジョブの対応を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図7に示すように、ユーザーは、「該当するジョブを再開する」又は「該当するジョブをキャンセルする」を選択することができる。システム制御部147は、ユーザーからの指示に従って、停止されたジョブの処理を進める(図6のステップ205参照)。
【0039】
図6に戻って説明を続けると、デバイスコントローラ14は、ジョブの履歴をUI装置10に送信する。UI装置10は、デバイスコントローラ14から受け取ったジョブの履歴を表示する(ステップ206)。
【0040】
このように、UI装置10をプリンタ1の外部デバイスとして構成する場合には、それぞれを同期させて制御させることが困難な状況も考えられる。しかし、本実施の形態では、UI装置10と画像形成装置本体のどちらか一方が動作不能な状況であっても、正常な他方は動作させることが可能になる。
【0041】
ここで、ジョブを実行している最中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて、ユーザーは、図4に示すステップ101において、予め設定することができる。そして、予め設定すると、設定内容は、格納手段としてのメモリ140(図3参照)に格納され、また、図6に示すステップ201でメモリ140から読み出される。かかるジョブの受け付けについて更に説明を続ける。
【0042】
図8は、ジョブの実行中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて設定するUI装置10の操作画面の一例を示す図である。
図8に示すUI装置10の操作画面10aにおいて、ユーザーは、「ジョブの新規受け付けをしない」又は「ジョブの新規受け付けを行うが、その実行は行わない」を選択することができる。「ジョブの新規受け付けをしない」が選択されると、外部コントローラ300(図2参照)は、通信切断後には新規なジョブをまったく受け付けない。その一方で、「ジョブの新規受け付けを行うが、その実行は行わない」が選択されると、外部コントローラ300(図2参照)は、通信切断後でも新規なジョブを受け付けるものの、受け付けた新規なジョブを実行しない。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
本実施の形態では、図4に示す第1の実施の形態に係るフローチャートとほぼ同じであり、その説明を省略する。相違する事項としては、図4に示すステップ101では、図5に示すUI装置10の操作画面10aのほかに、図9に示すUI装置10の操作画面10aも表示されることになる。また、図4に示すステップ200における処理内容が異なる。
【0044】
図9は、通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図9に示すように、ユーザーは、通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が生じた場合の選択肢として、「ジョブ停止要因が解除されるまでジョブを停止」又は「実行可能なジョブを実行」を選択することができる。
【0045】
更に説明すると、図5に示すUI装置10の操作画面10aにおいて、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」又は「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」が選択されると、通信切断後にもジョブの実行が継続される。本実施の形態では、継続するジョブの実行中に、何らかのジョブ停止要因が発生した場合の処理を予め決めておく。
したがって、図4に示すステップ101において、図5に示す「ジョブの即停止」以外の処理内容すなわち、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」又は「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」が選択されたときに、図9に示すUI装置10の操作画面10aが表示される。
【0046】
ここにいう「ジョブ停止要因」としては、例えば、用紙詰まり(ジャム)や用紙切れ等の事態が発生した状態をあげることができる。
ここで、画像出力部12(図2参照)にて印刷する用紙を収容する図示しない給紙トレイが複数ある場合には、給紙トレイごとに異なるサイズの用紙を収容しておくことができる。したがって、ジョブ停止要因が、例えばA4用紙の用紙切れである場合には、A4用紙に印刷するジョブであれば、ジョブを継続ないしは実行することができない。しかしながら、A4用紙以外のサイズの用紙、例えばB5用紙に印刷するジョブであれば、問題なく実行することができる。したがって、ジョブ停止要因が発生したときには、受け付け済みのジョブの中に実行可能なジョブがある場合が想定できる。本実施の形態では、このように、ジョブ停止要因が発生しても、実行可能なジョブがあるときに、そのジョブを実行するかどうかを設定することができるように構成されている。
【0047】
ここにいう「ジョブ停止要因が解除されるまでジョブを停止」とは、通信切断後にジョブを実行している場合にジョブ停止要因が発生したときには、ジョブ停止要因が解除されるまですべてのジョブを停止させ、実行しないことをいう。
また、「実行可能なジョブを実行」とは、通信切断後にジョブを実行している場合にジョブ停止要因が発生したときには、既に受け付けている他のジョブの中に実行可能なジョブがあれば、そのジョブを実行することをいう。具体例で説明すると、例えばA4用紙に印刷するジョブを実行中に、A4用紙の用紙切れが発生したものの、他のサイズの用紙は用紙切れではない場合には、受け付け済みのジョブの中に、例えばB5用紙の用紙に印刷するジョブがあれば、そのジョブを実行するものである。
【0048】
図10は、第2の実施の形態における通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。すなわち、図10は、図4に示すステップ200の内容を示している。
本実施の形態では、まず、メモリ140(図3参照)に格納された処理内容が、システム制御部147(図3参照)により読み出される(ステップ211)。本実施の形態において、メモリ140から読み出される処理内容としては、通信切断後の処理内容に加えて、上述したように、通信切断後にジョブを実行している最中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容も含まれる。
【0049】
システム制御部147は、読み出された処理内容を開始する(ステップ212)。そして、処理内容が終了するまでの間に、システム制御部147は、ジョブ停止要因が発生したか否かを判断する(ステップ213)。ジョブ停止要因が発生することなく、設定した処理内容を終了すると(ステップ214)、図6に示す第1の実施の形態の場合と同様に、ユーザーインターフェース制御部143は、切断された通信を再確立し(ステップ215)、UI装置10は、ジョブの履歴を表示する(ステップ216)。
【0050】
ステップ213においてジョブ停止要因が発生したときには、システム制御部147は、そのジョブ停止要因(エラー原因)をメモリ140に保存した後に、ジョブ停止要因発生時の処理内容を実行する(ステップ217)。すなわち、読み出された処理内容が「復帰するまでジョブを停止」であれば、他の実行可能なジョブがあっても実行しない。また、「実行可能なジョブを実行」であれば、システム制御部147は、ジョブ停止要因の発生にもかかわらず実行が可能なジョブを実行するように制御する。
【0051】
ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に、切断されたUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信を再確立する(ステップ218)。
【0052】
そして、デバイスコントローラ14のシステム制御部147は、メモリ140に保存したジョブ停止要因を読み出して、ユーザーインターフェース制御部143を介してUI装置10に送信する。UI装置10は、デバイスコントローラ14から受け取ったジョブ停止要因を表示する(ステップ219)。
【0053】
その後、システム制御部147は、受け付けたジョブの中で実行していない未実行ジョブがあるか否かを判定し(ステップ220)、未実行ジョブがあれば、その未実行ジョブをUI装置10に表示させる(ステップ221)。ユーザーが、UI装置10に表示された未実行ジョブの実行を指示すると(ステップ222)、システム制御部147は、指示された未実行ジョブを実行し(ステップ223)、終了する。なお、図7に示す操作画面10aにより、実行途中の停止されたジョブの対応について、ユーザーが入力できるように構成することも考えられる。
【0054】
〔第3の実施の形態〕
本実施の形態では、図4に示す第1の実施の形態に係るフローチャートとほぼ同じであり、その説明を省略する。相違する事項としては、図4に示すステップ101において、図5に示すUI装置10の操作画面10aのほかに、図11及び図12に示すUI装置10の操作画面10aも表示されることになる。
【0055】
図11は、プリンタ1について節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図11に示すように、ユーザーは、プリンタ1についての時間の設定を予め行うことができる。すなわち、ユーザーは、プリンタ1について、節電状態に移行するまでの経過時間と、電源がオフになるまでの経過時間を別々に設定することができる。設定された各時間情報は、保有手段としてのメモリ140(図3参照)にて保有される。
【0056】
このように、本実施の形態は、UI装置10が何らかの原因で、ジョブ実行(実施)中に動作不能となり復帰不能となった場合、あるいは長時間UI装置10との接続が切断した状態の場合には、電源制御手段としてのプリンタ1のデバイスコントローラ14は、図11に示す操作画面10aにより予め設定された時間の経過を待ち、電源をオフまたは節電状態に移行する。そして、節電と電源オフの設定時間は別々に設定可能としている。節電と電源オフの設定時間が同じ場合は電源をオフとする。また、設定された時間の経過時に、図6に示す通信切断時の処理が行われている場合には、一連の処理が終了するまで実行し、電源をオフまたは節電状態へ移行する。
【0057】
図12は、UI装置10についてスクリーンセーブ、節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図12に示すように、ユーザーは、UI装置10についての時間の設定を予め行うことができる。すなわち、ユーザーは、UI装置10について、スクリーンセーブに移行するまでの経過時間、節電状態に移行するまでの経過時間と、電源がオフになるまでの経過時間を別々に設定することができる。設定された各時間情報は、メモリ140(図3参照)に保存される。
【0058】
このように、本実施の形態では、UI装置10とプリンタ1の節電及び電源オフの設定時間を別々に設定可とし、メモリ140に記憶される。また、UI装置10は、スクリーンセーブの設定時間も別に設定可とし、メモリ140に記憶される。UI装置10をプリンタ1から独立して制御できるので、PCやWSを使ったUI装置10でなくとも、省エネの観点から好ましい。
そして、UI装置10は、ジョブ中であっても、操作されない状態が設定された時間だけ続いた場合に、スクリーンセーブ、節電、電源オフのいずれかへ移行する。なお、移行時には、UI装置10は、その事実をプリンタ1に通知する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成システムを説明するための概略構成図である。
【図3】デバイスコントローラの内部構成を説明するブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係るプリンタの処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】通信切断時の処理内容を設定する場合のユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図6】通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】停止されたジョブの対応を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図8】ジョブの実行中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図9】通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態における通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるプリンタについて節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態におけるユーザーインターフェースについてスクリーンセーブ、節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…プリンタ、1a…本体、10…UI装置、10a…操作画面、12…画像出力部、14…デバイスコントローラ、140…メモリ、147…システム制御部、300…外部コントローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ワープロ、パソコン等で作成した文書、画像等は、内蔵あるいは外付けの画像形成装置に対し、データ送信でデータを転送することにより画像形成が行われる。そして、データ送信における回線異常時の処理に関する技術は、従来から種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1には、例えばIEEE1394でデータ転送を行う印字処理に関する技術が開示されている。そして、その技術は、他の機器とのデータ転送している際に、下位層が切断された場合、一定時間セッションを保持し、一定時間内にコネクションが回復した場合、継続してデータ転送を行うように上位層を制御することを特徴とするものである。これにより、データ転送中のユーザーの不注意による回線断に対してリカバリを可能にしている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−36824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、高画質かつ高生産性の画像形成装置では、トレイに格納する用紙の様々な属性設定や各種サービスをGUI装置を通して行うなど、柔軟で高機能なUI装置が要求されてきている。そして、コストパフォーマンスや開発の短期化、GUIのデザイン自由度といった面から、汎用のパーソナルコンピュータ(以下、PCという)や場合によってはワークステーション(以下、WSという)をUI装置として構成する画像形成装置が現れる可能性がある。PCをUI装置として構成した画像形成装置では、PCの起動・終了に一定時間を要するため、UI装置と画像形成装置との電源供給が分離されているケースが少なくない。このような画像形成装置では、画像形成装置本体またはUI装置のどちらかが電源オフ状態であっても、それぞれが独立して動作可能とすることができる。また、電源オフではなくともPCやWSのハングアップなど、画像形成装置本体とPC等のUI装置との間の通信が切断される場合がある。
【0006】
このようなUI装置と画像形成装置との電源供給を分離して構成されている場合には、ジョブ実行中に通信の切断が生じたときの対応として、UI装置と画像形成装置との電源供給が同じ構成の場合とは異なる、より適切な処理の仕方も考えられる。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ジョブ実行中にUI装置がプリンタと接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される画像形成システムは、外部からの印刷指示を受け付けて印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置に通信可能に接続され、ユーザーからの入力を受け付けて画像形成装置に出力し、かつ、画像形成装置から入力されるデータに基づいて情報を表示するユーザーインターフェース装置と、を含み、画像形成装置とユーザーインターフェース装置は、互いに別に電源の制御及び供給が行われ、画像形成装置は、画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信の切断を検知する検知手段と、検知手段により通信の切断が検知されたときに受け付け済みの印刷指示について行うべき処理の情報を保持する保持手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0009】
保持手段は、予め定められた複数の処理のうちユーザーにより選択された処理の情報を保持するものであることを特徴とすることができる。
また、画像形成装置は、切断された画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信を再確立する再確立手段を更に含むことを特徴とすることができる。また、再確立手段により画像形成装置とユーザーインターフェース装置との間の通信が再確立された後に、画像形成装置は、停止処理がなされた印刷指示を再開し、又は取り消すことを特徴とすることができる。
画像形成装置は、停止された実行中の印刷指示の情報を取得して保存する保存手段を更に含み、保存手段は、保存している印刷指示の情報を復帰後のユーザーインターフェース装置に送信することを特徴とすることができる。
また、画像形成装置は、検知手段により通信の切断が検知された後に新たな印刷指示を受け付けるか否かについての情報を格納する格納手段を更に含むことを特徴とすることができる。
画像形成装置は、デバイスコントローラと、デバイスコントローラを節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、検知手段により通信の切断が検知された後に電源制御手段がデバイスコントローラを節電状態及び/又は電源オフにする経過時間を情報として保有する保有手段と、を更に含むことを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される画像形成装置は、外部のユーザーインターフェース装置に接続可能に構成され、ユーザーインターフェース装置とは電源の制御及び供給が別に行われ、外部から印刷指示を受け付けて印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置本体と、画像形成装置本体とユーザーインターフェース装置との間で接続されていた通信が切断したことを検知する検知手段と、検知手段により通信の切断が検知された場合に受け付け済みの印刷指示について行うべき、継続実施を含む処理の情報を保持し、かつ、継続実施の際に発生した停止要因に対して画像形成装置本体が行うべき処理の情報を保持する保持手段と、を含むものである。
【0011】
保持手段が保持する停止要因に対する処理の情報に、停止要因に影響を受けない実行可能な印刷指示を実行することが含まれることを特徴とすることができる。
また、画像形成装置本体を節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、検知手段により通信の切断が検知されてから画像形成装置本体を節電状態及び/又は電源オフにするまでの経過時間を情報として保有する保有手段と、を更に含み、保有手段が保有する経過時間をすぎた場合に画像形成装置本体が印刷指示を実行しているときには、電源制御手段は、実行の終了後に節電状態及び/又は電源オフにすることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1によれば、印刷指示の実行中にユーザーインターフェース装置が画像形成装置と接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することが可能になる。
請求項2によれば、ユーザーの使い勝手を向上させることが可能になる。
請求項3によれば、ユーザーによる文字入力等の手間を省略することが可能になる。
請求項4によれば、ユーザー自身で再確立する手間を省略することが可能になる。
請求項5によれば、実行中止の印刷指示をユーザーに通知することが可能になる。
請求項6によれば、通信切断後の印刷指示の受け付けについての制御が可能になる。
請求項7によれば、画像形成装置の省電力化に寄与することができる。
請求項8によれば、印刷指示の実行中にユーザーインターフェース装置が画像形成装置本体と接続不能な状況に陥った場合の適切な制御を提供することが可能になる。
請求項9によれば、実行可能な印刷指示の実行を進めることが可能になる。
請求項10によれば、画像形成装置の省電力化に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
この画像形成システムは、複数のクライアント100(具体的には100a、100b、100c)、ネットワーク200、外部コントローラ300、プリンタ1、およびUI(User Interface)装置10を備える。
【0014】
クライアント100は、ネットワーク200に対し、例えばPDL(Page Description Language:ページ記述言語)にて記述された印刷用データや画像形成動作の実行指示等を含むジョブデータを送信する。
変換装置としての外部コントローラ300は、ネットワーク200を介して受信した画像データとしてのジョブデータを解釈して、得られた作像用データ(ビットマップデータ)を送信する。
画像形成装置としてのプリンタ1は、外部コントローラ300から受信した作像用データに基づき、対象となる用紙上に画像を形成する。
ユーザーインターフェース装置としてのUI装置10は、プリンタ1とは別筐体の装置からなり、例えばPC(Personal Computer)等のコンピュータ装置にて構成されている。UI装置10は、プリンタ1における各種画像形成条件の設定を受け付け、得られた設定データをプリンタ1に送信する。
なお、プリンタ1は、受信した設定データに基づき、制御部ないしはデバイスコントローラ14が各種画像形成条件の設定を行う。また、プリンタ1は例えば用紙切れ等のエラーが発生した場合に、得られたエラー情報をUI装置10に送信する。この場合に、UI装置10は受信したエラー情報をディスプレイ等に表示する。プリンタ1は、後述するデバイスコントローラ14を備えている。
【0015】
ここで、UI装置10は、コンピュータ装置を構成するCPU(Central Processing Unit)、メモリ、ハードディスクドライブ等の記憶装置、液晶ディスプレイ等の表示装置等の全体に給電を行うことで直ちに動作可能な機能を維持する待受状態(非節電状態)に設定することができる。また、このUI装置10は、これらCPU、メモリ、記憶装置、表示装置等の一部に対する給電を停止または減少させることで、待機時におけるUI装置10の消費電力を低減する節電状態に設定することもできる。更に説明すると、UI装置10は、上述したようにPC等にて構成され、上記設定データの入力プログラム等は、例えばウィンドウズ(登録商標)等のOS上で動作する。このため、UI装置10では、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)等の電力管理規格に基づいて、給電状態の制御が行われる。
【0016】
図2は、本実施の形態に係る画像形成システムを説明するための概略構成図である。
図2に示すように、このプリンタ1は、ネットワークを介して外部の機器に接続されている。このため、プリンタ1は、例えば外部の機器から送られる画像データをネットワーク経由で取り込むことができる。
【0017】
このプリンタ1は、ユーザーの操作画面10a(図5参照)を有するUI装置10と、原稿から画像を光学的に読み取る画像入力部(スキャナ)11と、画像情報を用紙に印刷する画像出力部12と、を備えている。なお、本実施の形態では、外部コントローラ300をプリンタ1の外に配置しているが、プリンタ1の内部に配置して構成することも考えられる。その場合の外部コントローラ300は、外部の機器との間で通信を行ってプリントジョブ(印刷指示)およびスキャンジョブを実行するものである。
また、プリンタ1は、UI装置10、画像入力部11、画像出力部12および外部コントローラ300の制御を行うとともに、コピージョブを実行するデバイスコントローラ14を備えている。また、プリンタ1は、外部コントローラ300にケーブル(ローカルネット)によって接続され、画像出力部12、外部コントローラ300およびデバイスコントローラ14間の信号の切り替えを行うスイッチ回路15を備えている。
【0018】
ここで、UI装置10は、プリンタ1とは別に電源の制御や供給が行われる構成となっている。更に説明すると、UI装置10は、プリンタ1のUI装置として構成される場合のほか、例えばコンピュータ装置等の外部デバイスとして構成される場合もある。
【0019】
プリンタ1は、ネットワーク経由で取り込んだ画像データを画像出力部(プリンタ)12で印刷する処理(プリントジョブ)や、プリンタ1の画像入力部(スキャナ)11で取り込んだ画像データをネットワーク経由で外部の機器に転送する処理(スキャンジョブ)を実行するものである。また、プリンタ1は、内部の画像入力部11で取り込んだ画像データを処理して内部の画像出力部12で印刷する処理(コピージョブ)も実行することができるように構成されている。
【0020】
外部コントローラ300は、例えば外部の機器からネットワークを介して送信されたジョブ(印刷指示)に基づいて画像データを作成し、外部コントローラ制御IF(インターフェース)でデバイスコントローラ14との排他制御により、プリントサービスを提供するものである。また、外部コントローラ300は、ネットワークIFによりスキャンジョブを制御し、スキャンサービスを提供するものである。
【0021】
画像出力部12は、プリントジョブが指示されると、画像データを受け取り、制御コマンドを逐次解析処理して画像出力動作を行い、用紙上に画像を印字出力するものである。
【0022】
図3は、デバイスコントローラ14の内部構成を説明するブロック図を示す。
図3に示すように、このデバイスコントローラ14は、メモリ(NMV)140と、HDD(ハードディスクドライブ)141と、ネットワーク制御部142と、ユーザーインターフェース制御部143と、外部コントローラ制御部(通信制御部)144と、画像出力制御部145と、スキャナ制御部146と、システム制御部147と、を備えている。なお、各制御部142〜147は、制御プログラムによって実現されている。
【0023】
ユーザーインターフェース制御部143は、システムの状態やジョブの処理に必要な情報をUI装置10の操作画面10a(図5参照)上に表示し、ユーザーにガイドするものである。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10とプリンタ1との間の通信状況を監視し、通信の切断を検知するとシステム制御部147にその信号を送るものである。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、通信の切断を検知する通信切断検知手段としての機能を有する。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、切断されたデバイスコントローラ14とUI装置10との間の通信を再確立するものである。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に通信を再確立する通信再接続手段(再確立手段)としての機能を有する。
また、ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10との接続が切断、または復帰したことを、外部の機器又は外部コントローラ300、クライアント100(図1参照)、ネットワークUIなどに通知する。また、通信が復帰したときにジョブの履歴を送信する。すなわち、ユーザーインターフェース制御部143は、通信制御部としての機能を有する。
【0024】
外部コントローラ制御部144は、プリントジョブの実行時に外部コントローラ300からのIFコマンド受けて、画像出力部12に対する画像入力・出力シーケンスに従ってプリントジョブを実行する。また、外部コントローラ制御部144は、外部コントローラ300からのシステムデータ要求時に、デバイスコントローラ14内部のシステムデータまたは画像入力部11や画像出力部12内部のシステムデータを通信により取得し、フォーマット変換する処理を行う。また、外部コントローラ制御部144は、電源スイッチ(図2参照)の電源オフ操作時に、デバイスコントローラ14内部のシャットダウン処理要求に伴う処理も行う。
【0025】
画像出力制御部145は、主にコピージョブの実行時に画像出力部12とのIF制御を行い、画像出力部12に対する画像入力・出力シーケンスに従ってコピージョブを実行するものである。
スキャナ制御部146は、主にスキャンジョブの実行時に画像入力部11とのIF制御を行い、画像入力部11に対する画像入力・出力シーケンスに従ってスキャンジョブを実行するものである。
【0026】
システム制御部147は、システムの中核としてプリントジョブやコピージョブ等の複数ジョブの調停を行い、システムの資源を活用するためのものである。システム制御部147は、ジョブ実行中に、ソフトウエアの不具合(ハングアップや停止(終了))やUI装置10の電源オフ等により、UI装置10とプリンタ1との間に通信切断が生じた場合に、ジョブの停止方法やジョブの継続方法を決定するジョブ制御を行う。すなわち、システム制御部147は、ジョブ制御手段としての機能を有する。
【0027】
〔第1の実施の形態〕
図4は、第1の実施の形態に係るプリンタ1の処理を説明するためのフローチャートである。
まず、UI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断された場合の処理内容(対応)がUI装置10を通じて設定される(ステップ101)。すなわち、実行中のジョブの停止方法や継続方法を、ユーザーがUI装置10で設定する。
【0028】
図5は、通信切断時の処理内容を設定する場合のUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図5に示すように、ユーザーは、ジョブの実行中にUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断したことがユーザーインターフェース制御部143(図3参照)により検知された場合の処理内容として、4つのいずれか一を選択することができる。その選択肢としては、具体的には、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」である。4つの中のいずれか一が選択された後に「決定」ボタンが押されると、選択した事項が確定する。なお、図5に示す例では、デフォルトとして、「ジョブの即停止」が設定されている。
【0029】
ここで、「ジョブの即停止」とは、切断が検知されると、直ちに実行中のジョブが停止されることをいう。また、「ジョブのセット単位で停止」とは、ジョブにおけるセットを単位とし、例えば実行中のセットが完了するまでプリントを継続し、そのセットが完了したら停止することをいう。具体的に説明すると、4枚の原稿を2部ずつプリントするプリントジョブにおいて2枚目の原稿を1部プリントした途中で通信切断が検知される場合に、ソータなしでは、2枚目を2部プリントしてジョブが停止する。また、ソータありでは、2枚目、3枚目及び4枚目を1部ずつプリントしてジョブが停止する。
【0030】
また、「実行中のジョブ終了後に停止」とは、実行中のジョブをすべて完了するまでジョブを継続し、ジョブが完了した後に停止させることをいう。すなわち、4枚の原稿を2部ずつプリントするプリントジョブにおいて2枚目の原稿をプリントしている途中で通信切断が検知される場合には、2部ずつのプリントが完了するまでジョブを継続する。更に説明すると、この場合には、ジョブを単位としてジョブの継続が行われる。したがって、複数のジョブを受け付けている場合には、実行されないジョブがそのまま残る。
また、「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」とは、既に受け付けられているジョブのすべてが完了するまで継続し、全ジョブの完了後に停止させることをいう。
【0031】
図4に戻って説明を続ける。UI装置10の操作画面10a(図5参照)で処理内容を設定すると、設定された処理内容が、デバイスコントローラ14のシステム制御部147(図3参照)によって、保持手段としてのメモリ140(図3参照)に情報として格納される(ステップ102)。
【0032】
そして、例えば外部の機器からネットワークを介して送信されたプリントジョブがあれば、外部コントローラ300(図2参照)がそのプリントジョブを受け付け(ステップ103)、デバイスコントローラ14(図2又は図3参照)等の制御によってジョブが開始される(ステップ104)。
【0033】
ジョブが開始された後には、ユーザーインターフェース制御部143(図3参照)により、UI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信が切断されていないか否かが監視される(ステップ105)。そして、通信切断が検知されたときには、ステップ102において格納された処理内容に基づいて「通信切断時の処理」が開始される(ステップ200)。また、通信切断が検知されないままそのジョブが終了すると(ステップ106)、受け付けられているジョブのうち未だ実行されていないジョブがあるか否かが判断され(ステップ107)、未実行ジョブがあればそのジョブを開始し、なければ終了する。
【0034】
図6は、通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
本実施の形態における通信切断時の処理は、次のように行われる。まず、ステップ102(図4参照)においてメモリ140(図3参照)に格納された処理内容が、システム制御部147(図3参照)により読み出される(ステップ201)。なお、ここにいう処理内容とは、「ジョブの即停止」、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」及び「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」のいずれかである。
【0035】
システム制御部147は、読み出された処理内容を実行する(ステップ202)。すなわち、読み出された処理内容が「ジョブの即停止」であれば、実行中のジョブを直ちに停止するように制御する。また、「ジョブのセット単位で停止」であれば、該当するセットが終了した後に停止するように制御する。「実行中のジョブ終了後に停止」であれば、実行中のジョブが完了した後に停止するように制御し、「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」であれば、受け付け済みの全ジョブが完了した後に停止するように制御する。
ステップ202において停止されたジョブは、ジョブ情報管理手段としてのシステム制御部147により管理され、停止理由がメモリ140に保存される。すなわち、システム制御部147及びメモリ140は、停止された実行中のジョブの情報を取得して保存する保存手段の一部を構成するものである。
【0036】
ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に、切断されたUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信を再確立する(ステップ203)。
【0037】
その後、ジョブ情報管理手段としてのシステム制御部147により、停止されたジョブがあるか否かが判断される(ステップ204)。すなわち、ステップ201において読み出された処理内容が、「ジョブの即停止」又は「ジョブのセット単位で停止」の場合には、ジョブの途中で停止されている。また、その停止理由は、メモリ140に保存されている。そのような停止されたジョブをどのように処理するかの指示をユーザーから受ける。
【0038】
図7は、停止されたジョブの対応を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図7に示すように、ユーザーは、「該当するジョブを再開する」又は「該当するジョブをキャンセルする」を選択することができる。システム制御部147は、ユーザーからの指示に従って、停止されたジョブの処理を進める(図6のステップ205参照)。
【0039】
図6に戻って説明を続けると、デバイスコントローラ14は、ジョブの履歴をUI装置10に送信する。UI装置10は、デバイスコントローラ14から受け取ったジョブの履歴を表示する(ステップ206)。
【0040】
このように、UI装置10をプリンタ1の外部デバイスとして構成する場合には、それぞれを同期させて制御させることが困難な状況も考えられる。しかし、本実施の形態では、UI装置10と画像形成装置本体のどちらか一方が動作不能な状況であっても、正常な他方は動作させることが可能になる。
【0041】
ここで、ジョブを実行している最中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて、ユーザーは、図4に示すステップ101において、予め設定することができる。そして、予め設定すると、設定内容は、格納手段としてのメモリ140(図3参照)に格納され、また、図6に示すステップ201でメモリ140から読み出される。かかるジョブの受け付けについて更に説明を続ける。
【0042】
図8は、ジョブの実行中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて設定するUI装置10の操作画面の一例を示す図である。
図8に示すUI装置10の操作画面10aにおいて、ユーザーは、「ジョブの新規受け付けをしない」又は「ジョブの新規受け付けを行うが、その実行は行わない」を選択することができる。「ジョブの新規受け付けをしない」が選択されると、外部コントローラ300(図2参照)は、通信切断後には新規なジョブをまったく受け付けない。その一方で、「ジョブの新規受け付けを行うが、その実行は行わない」が選択されると、外部コントローラ300(図2参照)は、通信切断後でも新規なジョブを受け付けるものの、受け付けた新規なジョブを実行しない。
【0043】
〔第2の実施の形態〕
本実施の形態では、図4に示す第1の実施の形態に係るフローチャートとほぼ同じであり、その説明を省略する。相違する事項としては、図4に示すステップ101では、図5に示すUI装置10の操作画面10aのほかに、図9に示すUI装置10の操作画面10aも表示されることになる。また、図4に示すステップ200における処理内容が異なる。
【0044】
図9は、通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図9に示すように、ユーザーは、通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が生じた場合の選択肢として、「ジョブ停止要因が解除されるまでジョブを停止」又は「実行可能なジョブを実行」を選択することができる。
【0045】
更に説明すると、図5に示すUI装置10の操作画面10aにおいて、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」又は「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」が選択されると、通信切断後にもジョブの実行が継続される。本実施の形態では、継続するジョブの実行中に、何らかのジョブ停止要因が発生した場合の処理を予め決めておく。
したがって、図4に示すステップ101において、図5に示す「ジョブの即停止」以外の処理内容すなわち、「ジョブのセット単位で停止」、「実行中のジョブ終了後に停止」又は「受け付け済みの全ジョブ終了後に停止」が選択されたときに、図9に示すUI装置10の操作画面10aが表示される。
【0046】
ここにいう「ジョブ停止要因」としては、例えば、用紙詰まり(ジャム)や用紙切れ等の事態が発生した状態をあげることができる。
ここで、画像出力部12(図2参照)にて印刷する用紙を収容する図示しない給紙トレイが複数ある場合には、給紙トレイごとに異なるサイズの用紙を収容しておくことができる。したがって、ジョブ停止要因が、例えばA4用紙の用紙切れである場合には、A4用紙に印刷するジョブであれば、ジョブを継続ないしは実行することができない。しかしながら、A4用紙以外のサイズの用紙、例えばB5用紙に印刷するジョブであれば、問題なく実行することができる。したがって、ジョブ停止要因が発生したときには、受け付け済みのジョブの中に実行可能なジョブがある場合が想定できる。本実施の形態では、このように、ジョブ停止要因が発生しても、実行可能なジョブがあるときに、そのジョブを実行するかどうかを設定することができるように構成されている。
【0047】
ここにいう「ジョブ停止要因が解除されるまでジョブを停止」とは、通信切断後にジョブを実行している場合にジョブ停止要因が発生したときには、ジョブ停止要因が解除されるまですべてのジョブを停止させ、実行しないことをいう。
また、「実行可能なジョブを実行」とは、通信切断後にジョブを実行している場合にジョブ停止要因が発生したときには、既に受け付けている他のジョブの中に実行可能なジョブがあれば、そのジョブを実行することをいう。具体例で説明すると、例えばA4用紙に印刷するジョブを実行中に、A4用紙の用紙切れが発生したものの、他のサイズの用紙は用紙切れではない場合には、受け付け済みのジョブの中に、例えばB5用紙の用紙に印刷するジョブがあれば、そのジョブを実行するものである。
【0048】
図10は、第2の実施の形態における通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。すなわち、図10は、図4に示すステップ200の内容を示している。
本実施の形態では、まず、メモリ140(図3参照)に格納された処理内容が、システム制御部147(図3参照)により読み出される(ステップ211)。本実施の形態において、メモリ140から読み出される処理内容としては、通信切断後の処理内容に加えて、上述したように、通信切断後にジョブを実行している最中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容も含まれる。
【0049】
システム制御部147は、読み出された処理内容を開始する(ステップ212)。そして、処理内容が終了するまでの間に、システム制御部147は、ジョブ停止要因が発生したか否かを判断する(ステップ213)。ジョブ停止要因が発生することなく、設定した処理内容を終了すると(ステップ214)、図6に示す第1の実施の形態の場合と同様に、ユーザーインターフェース制御部143は、切断された通信を再確立し(ステップ215)、UI装置10は、ジョブの履歴を表示する(ステップ216)。
【0050】
ステップ213においてジョブ停止要因が発生したときには、システム制御部147は、そのジョブ停止要因(エラー原因)をメモリ140に保存した後に、ジョブ停止要因発生時の処理内容を実行する(ステップ217)。すなわち、読み出された処理内容が「復帰するまでジョブを停止」であれば、他の実行可能なジョブがあっても実行しない。また、「実行可能なジョブを実行」であれば、システム制御部147は、ジョブ停止要因の発生にもかかわらず実行が可能なジョブを実行するように制御する。
【0051】
ユーザーインターフェース制御部143は、UI装置10が復帰後に、切断されたUI装置10とデバイスコントローラ14との間の通信を再確立する(ステップ218)。
【0052】
そして、デバイスコントローラ14のシステム制御部147は、メモリ140に保存したジョブ停止要因を読み出して、ユーザーインターフェース制御部143を介してUI装置10に送信する。UI装置10は、デバイスコントローラ14から受け取ったジョブ停止要因を表示する(ステップ219)。
【0053】
その後、システム制御部147は、受け付けたジョブの中で実行していない未実行ジョブがあるか否かを判定し(ステップ220)、未実行ジョブがあれば、その未実行ジョブをUI装置10に表示させる(ステップ221)。ユーザーが、UI装置10に表示された未実行ジョブの実行を指示すると(ステップ222)、システム制御部147は、指示された未実行ジョブを実行し(ステップ223)、終了する。なお、図7に示す操作画面10aにより、実行途中の停止されたジョブの対応について、ユーザーが入力できるように構成することも考えられる。
【0054】
〔第3の実施の形態〕
本実施の形態では、図4に示す第1の実施の形態に係るフローチャートとほぼ同じであり、その説明を省略する。相違する事項としては、図4に示すステップ101において、図5に示すUI装置10の操作画面10aのほかに、図11及び図12に示すUI装置10の操作画面10aも表示されることになる。
【0055】
図11は、プリンタ1について節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図11に示すように、ユーザーは、プリンタ1についての時間の設定を予め行うことができる。すなわち、ユーザーは、プリンタ1について、節電状態に移行するまでの経過時間と、電源がオフになるまでの経過時間を別々に設定することができる。設定された各時間情報は、保有手段としてのメモリ140(図3参照)にて保有される。
【0056】
このように、本実施の形態は、UI装置10が何らかの原因で、ジョブ実行(実施)中に動作不能となり復帰不能となった場合、あるいは長時間UI装置10との接続が切断した状態の場合には、電源制御手段としてのプリンタ1のデバイスコントローラ14は、図11に示す操作画面10aにより予め設定された時間の経過を待ち、電源をオフまたは節電状態に移行する。そして、節電と電源オフの設定時間は別々に設定可能としている。節電と電源オフの設定時間が同じ場合は電源をオフとする。また、設定された時間の経過時に、図6に示す通信切断時の処理が行われている場合には、一連の処理が終了するまで実行し、電源をオフまたは節電状態へ移行する。
【0057】
図12は、UI装置10についてスクリーンセーブ、節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するUI装置10の操作画面10aの一例を示す図である。
図12に示すように、ユーザーは、UI装置10についての時間の設定を予め行うことができる。すなわち、ユーザーは、UI装置10について、スクリーンセーブに移行するまでの経過時間、節電状態に移行するまでの経過時間と、電源がオフになるまでの経過時間を別々に設定することができる。設定された各時間情報は、メモリ140(図3参照)に保存される。
【0058】
このように、本実施の形態では、UI装置10とプリンタ1の節電及び電源オフの設定時間を別々に設定可とし、メモリ140に記憶される。また、UI装置10は、スクリーンセーブの設定時間も別に設定可とし、メモリ140に記憶される。UI装置10をプリンタ1から独立して制御できるので、PCやWSを使ったUI装置10でなくとも、省エネの観点から好ましい。
そして、UI装置10は、ジョブ中であっても、操作されない状態が設定された時間だけ続いた場合に、スクリーンセーブ、節電、電源オフのいずれかへ移行する。なお、移行時には、UI装置10は、その事実をプリンタ1に通知する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施の形態に係る画像形成システムの構成例を示す図である。
【図2】本実施の形態に係る画像形成システムを説明するための概略構成図である。
【図3】デバイスコントローラの内部構成を説明するブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係るプリンタの処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】通信切断時の処理内容を設定する場合のユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図6】通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】停止されたジョブの対応を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図8】ジョブの実行中に通信切断が生じた後のジョブの受け付けについて設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図9】通信切断後のジョブ実行中にジョブ停止要因が発生した場合の処理内容を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態における通信切断時の処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態におけるプリンタについて節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【図12】第3の実施の形態におけるユーザーインターフェースについてスクリーンセーブ、節電状態及び電源オフに移行する条件を設定するユーザーインターフェースの操作画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
1…プリンタ、1a…本体、10…UI装置、10a…操作画面、12…画像出力部、14…デバイスコントローラ、140…メモリ、147…システム制御部、300…外部コントローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの印刷指示を受け付けて当該印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に通信可能に接続され、ユーザからの入力を受け付けて当該画像形成装置に出力し、かつ、当該画像形成装置から入力されるデータに基づいて情報を表示するユーザーインターフェース装置と、
を含み、
前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置は、互いに別に電源の制御及び供給が行われ、
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信の切断を検知する検知手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知されたときに受け付け済みの印刷指示について行うべき処理の情報を保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記保持手段は、予め定められた複数の処理のうちユーザにより選択された処理の情報を保持するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、切断された前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信を再確立する再確立手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記再確立手段により前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信が再確立された後に、当該画像形成装置は、停止処理がなされた印刷指示を再開し、又は取り消すことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、停止された実行中の印刷指示の情報を取得して保存する保存手段を更に含み、
前記保存手段は、保存している印刷指示の情報を復帰後の前記ユーザーインターフェース装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、
前記検知手段により通信の切断が検知された後に新たな印刷指示を受け付けるか否かについての情報を格納する格納手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、
デバイスコントローラと、
前記デバイスコントローラを節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知された後に前記電源制御手段が前記デバイスコントローラを節電状態及び/又は電源オフにする経過時間を情報として保有する保有手段と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
外部のユーザーインターフェース装置に接続可能に構成され、当該ユーザーインターフェース装置とは電源の制御及び供給が別に行われ、外部から印刷指示を受け付けて当該印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体と前記ユーザーインターフェース装置との間で接続されていた通信が切断したことを検知する検知手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知された場合に受け付け済みの印刷指示について行うべき、継続実施を含む処理の情報を保持し、かつ、当該継続実施の際に発生した停止要因に対して前記画像形成装置本体が行うべき処理の情報を保持する保持手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項9】
前記保持手段が保持する停止要因に対する処理の情報に、当該停止要因に影響を受けない実行可能な印刷指示を実行することが含まれることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置本体を節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知されてから前記画像形成装置本体を節電状態及び/又は電源オフにするまでの経過時間を情報として保有する保有手段と、
を更に含み、
前記保有手段が保有する経過時間をすぎた場合に前記画像形成装置本体が印刷指示を実行しているときには、前記電源制御手段は、当該実行の終了後に節電状態及び/又は電源オフにすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項1】
外部からの印刷指示を受け付けて当該印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に通信可能に接続され、ユーザからの入力を受け付けて当該画像形成装置に出力し、かつ、当該画像形成装置から入力されるデータに基づいて情報を表示するユーザーインターフェース装置と、
を含み、
前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置は、互いに別に電源の制御及び供給が行われ、
前記画像形成装置は、
前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信の切断を検知する検知手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知されたときに受け付け済みの印刷指示について行うべき処理の情報を保持する保持手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記保持手段は、予め定められた複数の処理のうちユーザにより選択された処理の情報を保持するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置は、切断された前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信を再確立する再確立手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記再確立手段により前記画像形成装置と前記ユーザーインターフェース装置との間の通信が再確立された後に、当該画像形成装置は、停止処理がなされた印刷指示を再開し、又は取り消すことを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像形成装置は、停止された実行中の印刷指示の情報を取得して保存する保存手段を更に含み、
前記保存手段は、保存している印刷指示の情報を復帰後の前記ユーザーインターフェース装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記画像形成装置は、
前記検知手段により通信の切断が検知された後に新たな印刷指示を受け付けるか否かについての情報を格納する格納手段を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記画像形成装置は、
デバイスコントローラと、
前記デバイスコントローラを節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知された後に前記電源制御手段が前記デバイスコントローラを節電状態及び/又は電源オフにする経過時間を情報として保有する保有手段と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
外部のユーザーインターフェース装置に接続可能に構成され、当該ユーザーインターフェース装置とは電源の制御及び供給が別に行われ、外部から印刷指示を受け付けて当該印刷指示により記録材に画像を形成する画像形成装置本体と、
前記画像形成装置本体と前記ユーザーインターフェース装置との間で接続されていた通信が切断したことを検知する検知手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知された場合に受け付け済みの印刷指示について行うべき、継続実施を含む処理の情報を保持し、かつ、当該継続実施の際に発生した停止要因に対して前記画像形成装置本体が行うべき処理の情報を保持する保持手段と、
を含む画像形成装置。
【請求項9】
前記保持手段が保持する停止要因に対する処理の情報に、当該停止要因に影響を受けない実行可能な印刷指示を実行することが含まれることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像形成装置本体を節電状態及び電源オフ状態に制御する電源制御手段と、
前記検知手段により通信の切断が検知されてから前記画像形成装置本体を節電状態及び/又は電源オフにするまでの経過時間を情報として保有する保有手段と、
を更に含み、
前記保有手段が保有する経過時間をすぎた場合に前記画像形成装置本体が印刷指示を実行しているときには、前記電源制御手段は、当該実行の終了後に節電状態及び/又は電源オフにすることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−323465(P2007−323465A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154411(P2006−154411)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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