説明

画像形成システム

【課題】スペースを必要とするハードウエアを用いることなくセキュリティーに考慮した
画像形成システムを提供する。
【解決手段】本発明の画像形成システムは、印刷出力を行う各ユーザーを登録するユーザ
ー登録手段と、前記ユーザー登録手段に登録された各ユーザーの位置情報を管理するユー
ザー位置情報管理手段と、印刷出力された印刷物を載置する印刷物載置手段と、前記印刷
物載置手段上の印刷物の状況を管理する印刷物管理手段と、前記ユーザー位置情報管理手
段と前記印刷物管理手段とに基づいて、印刷出力を行ったユーザーが前記印刷物載置手段
から印刷物を取得したか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置や、コピー装置やファクシミリ装置などを一体として含んだデ
ジタル複合機などの画像形成装置と、この画像形成装置と連携しこれをより有効に活用す
る各構成とからなる画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ及びプリンタを備えたデジタル複合機(以下、単に複合機という)と呼ばれる
画像形成装置がある。この複合機では、スキャナが原稿画像を読み取るスキャナ機能、プ
リンタが印刷を行う印刷機能、及びスキャナが読み取った原稿画像をプリンタが印刷する
コピー機能などを備える。
【0003】
近年、ネットワークの普及に伴い、このような複合機はネットワークで接続されて、多
人数のユーザーによって共用利用される形態が増えてきている。ところで、このようにネ
ットワークで共用利用される複合機などの画像形成装置においては、通常ユーザーは画像
形成装置から離れているため、画像形成装置から排出された印刷物が他人に持ち去られる
おそれなどがあり、機密性などの観点から問題となっていた。
【0004】
そこで、機密性を保持して保管する方法として、例えば、特許文献1(特開2005−
298159号公報)などに、画像形成装置から排出されるシートを保管するトレイが複
数設けられ、前記画像形成装置から排出されるシートを所定のトレイに保管するシート保
管装置であって、前記画像形成装置から排出される機密性を有するシートを保管する機密
用トレイが複数設けられた機密用トレイ部を有し、前記機密用トレイ部は、前記機密用ト
レイのシート取り出し口を遮蔽する移動可能な遮蔽手段と、前記遮蔽手段の移動を制御す
る制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記遮蔽手段を移動させて、所定の機密用トレ
イのシート取り出し口に対応した位置に、当該機密用トレイに保管されたシートを取り出
し可能な開口部を形成する、ことを特徴とするシート保管装置が開示されている。
【特許文献1】特開2005−298159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、セキュリティーの観点からは望ましい構成
であるけれども、機密用トレイのシート取り出し口を遮蔽する移動可能な遮蔽手段など非
常に容積を必要とするハードウエアを必要とするものであり、オフィスの省スペース化の
流れに逆行する、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような問題に対処するために、本発明に係る画像形成システムは、印刷出力を行
う各ユーザーを登録するユーザー登録手段と、前記ユーザー登録手段に登録された各ユー
ザーの位置情報を管理するユーザー位置情報管理手段と、印刷出力された印刷物を載置す
る印刷物載置手段と、前記印刷物載置手段上の印刷物の状況を管理する印刷物管理手段と
、前記ユーザー位置情報管理手段と前記印刷物管理手段とに基づいて、印刷出力を行った
ユーザーが前記印刷物載置手段から印刷物を取得したか否かを判定する判定手段と、を有
することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る画像形成システムは、各ユーザーに配信するメールを作成し送信す
るメール作成送信部を有し、前記判定手段によって、印刷出力を行ったユーザーが前記印
刷物載置手段から印刷物を取得していないと判定されると、前記メール作成送信部が印刷
物を取得したユーザーに対してメールを送信することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像形成システムは、各ユーザーに配信するメールを作成し送信す
るメール作成送信部を有し、前記判定手段によって、印刷出力を行ったユーザーが前記印
刷物載置手段から印刷物を取得していないと判定されると、前記メール作成送信部が印刷
出力を行ったユーザーに対してメールを送信することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記印刷物管理手段に基づいて、前記印刷物
載置手段上の印刷物が所定時間放置された状況であることを判定する放置判定手段を有し

前記放置判定手段によって、印刷物が所定時間放置された状況であると判定されると、前
記メール作成送信部が印刷出力を行ったユーザーに対してメールを送信することを特徴と
する。
【0010】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記判定手段で、印刷出力を行ったユーザー
以外のユーザーが前記印刷物載置手段から印刷物を取得したと判断した場合には所定の警
告をおこなうことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記ユーザー位置情報管理手段は各ユーザー
の位置情報をRFIDタグ、PHSシステム、GPSシステムのいずれかによって認識す
ることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像形成システムは、前記印刷物管理手段は前記印刷物載置手段の
撮像画像の解析を行うことによって印刷物の管理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像形成システムによれば、スペースを必要とするハードウエアを用いる
ことなくセキュリティーに考慮したシステムを構築することが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る画像形成システムによれば、他人の印刷物を持ち去ったユーザー、
自分の印刷物を持ち去られたユーザーの双方にメールを送信するので、よりセキュリティ
ー的な配慮がなされたシステムとなっている。
【0015】
また、本発明に係る画像形成システムによれば、印刷物載置手段(排紙トレイ)上に放
置された印刷物に対しては、印刷を行ったユーザーにメールによって知らせるものである
ので、印刷物の取り忘れなどを防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施の形態に
係る画像形成システムの運用形態の一例を示す図であり、図2は本発明の実施の形態に係
る画像形成システムの運用形態例のブロック構成を示す図であり、図3は本発明の実施の
形態に係る画像形成システム及びその周辺のシステム構成を示す図である。
【0017】
なお、以下、本実施形態においては画像形成システムの画像形成部として複合機を例に
とり説明するが、本発明はこのような複合機に限らず単体としての、プリンタ専用機など
の画像形成部を用いることも可能である。
【0018】
図1は例えばオフィスなどにおいて画像形成部である1台の複合機100を複数のユー
ザーによって共用する様子を示している。それぞれのユーザーに対しては1台のパーソナ
ルコンピュータ(PC)が割り当てられており、さらにそれぞれのユーザーによってRF
IDなどのタグの所持が想定されている。例えば、複合機100は、PC1乃至PC4が
属するグループA、PC5乃至PC8が属するグループB、PC9乃至PC12が属する
グループC、PC13乃至PC16が属するグループDによってネットワーク10を介し
て共用されるようになっており、これらのPCからの印刷処理ジョブを受け付けて、印刷
を実行し、印刷物を共用の排紙トレイ上に載置するようになっている。
【0019】
400、400’、400’’はユーザーが所持するRFIDなどのタグからの電波を
受信するタグリーダであり、タグリーダ400、400’、400’’からの情報に基づ
いてシステムは、各ユーザーの位置情報を得ることができるようになっている。なお、本
実施形態においては、RFIDタグとタグリーダを用いることによって各ユーザーの位置
情報を得るようにしているが、PHSシステムやGPSシステムによって各ユーザーの位
置情報を得るようにしてもよい。なお、PHSシステムを用いる場合にはPHS端末を、
それぞれのユーザーが所持することを想定する。また、GPSシステムを用いる場合には
、GPS信号を受信して自らの位置を計算するGPS測位部を有する端末を、それぞれの
ユーザーが所持することを想定する。
【0020】
図3は本発明の実施の形態に係る画像形成システムの画像形成部である複合機100の
システム構成を中心として示す図である。図3において、10はLAN、WANなどのネ
ットワーク、20は電話回線、100は複合機、110は複合機の主制御を行う制御部、
115は記憶部、120はファクシミリ文書の送受信を行うファクシミリ部、130は記
録媒体への印刷を行うプリンタ部、140は原稿の読み取りを行うスキャナ部、150は
ユーザーとのインターフェイスとなる操作パネル部、151は同じくユーザーインターフ
ェイスとしての発音部、160はネットワークI/F、170はUSB I/F、180
はタグ位置情報管理部、185はメール作成送信部、190は排紙トレイ管理部、191
は撮像部、200、200’、200’’はパーソナルコンピュータ、300は外部機器
、400、400’、400’’はタグリーダをそれぞれ示している。
【0021】
図3に示される画像出力装置(複合機)周辺のシステムでは、クライアントなどのパー
ソナルコンピュータ200、200’、200’’と複合機100とが、ネットワーク1
0を介して接続される構成となっている。また、複合機100のファクシミリ部120が
電話回線20と、USB I/F170が、携帯電話やデジタルカメラなどの外部機器3
00と接続されるような構成とされている。
【0022】
複合機100は、情報処理装置からなる複合機本体の主制御を行う制御部110と、ユ
ーザーの入力操作を受け付ける入出力装置である操作パネル部150と、原稿・画像をス
キャンしてカラーで読み込むスキャナ部140と、印刷用紙等に印刷を行うプリンタ部1
30と、ファクシミリ送受信を行うファクシミリ部120とを備える。つまり、複合機1
00は、スキャナ機能、印刷機能、スキャナ機能と印刷機能を組み合わせたコピー機能及
びファクシミリ送受信機能を備えるものである。
【0023】
複合機100の情報処理機構は、いずれも例えば汎用的なコンピュータシステムにより
構成され、個々の構成要素または機能は、例えば、記憶手段に書き込まれたコンピュータ
プログラムを実行することにより実現される。
【0024】
記憶部115は、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリーなどの不揮発性
であり、所定以上の記憶容量を有する記憶部であり、ユーザー登録リストや印刷物管理テ
ーブルを記憶する。
【0025】
ユーザー登録リストは、複合機100を共用するユーザーに係る情報(タグID、使用
PCなど)が登録されているリストである。
【0026】
また、印刷物管理テーブルは、排紙トレイ(印刷物載置手段)195の上に、どのユー
ザーによる印刷出力(印刷物)が存在するのかを管理するテーブルである。
【0027】
スキャナ部140は、原稿を載置可能な不図示の原稿台とこれを読み取る光学系からな
る。スキャナ部140の原稿台には、原稿台に載置した原稿のサイズを検知することがで
きる原稿サイズ検知センサが設けられている。また、複合機に100には、スキャナ部1
40に自動的に連続的に原稿を送致する構成である自動原稿搬送装置(ADF:Auto
matic Document Feeder)が設けられている。
【0028】
スキャナ部140によって読み取られた制御部110の不図示の記憶手段に一度取り込
まれる。操作パネル部150などからの指定によって制御部110は、スキャナ部140
で読み取られた原稿画像データを、そのまま、或いは設定された倍率でプリンタ部130
から紙出力したり(複合機100のコピー機能)、ファクシミリ部120から電話回線を
通じて送信したり(複合機100のファクシミリ機能)、ネットワークI/F160、ネ
ットワーク10を介して、パーソナルコンピュータ200、200’、200’’に向け
て送信したり(複合機100のスキャナ機能)する。
【0029】
操作パネル部150が視覚的なユーザーインターフェイスを構成するのに対して、発音
部151はスピーカであり、聴覚的なユーザーインターフェイスを構成する。この発音部
151によって、ユーザーに対して音声による案内、警告などの報知を行うものである。
【0030】
プリンタ部130は、記録用紙上に画像を形成するものであり、レーザーやLEDライ
ンヘッドによって感光体上に潜像を形成する方式を採用した電子写真方式や、記録用紙上
に直接インクを射出する方式を採用したインクジェット方式などの周知のハードウエア構
成を用いることができる。制御部110は、操作パネル部150やパーソナルコンピュー
タ200、200’、200’’或いは、携帯電話、デジタルカメラなどの外部機器30
0からの指示に基づいて、プリンタ部130に所定の紙出力を行わせるものである。すな
わち、プリンタ部130は、スキャナ部140によって読み取られた画像データやファク
シミリ部210で受信されたファクシミリデータや、パーソナルコンピュータ200、2
00’、200’’のアプリケーションソフトウエアからのデータや外部機器300から
の画像データなどを紙出力するものである。
【0031】
ファクシミリ部120は、電話回線20と接続されていて、ファクシミリの送受信を行
うファクシミリ送受信部(不図示)と、ファクシミリ送受信部が送信するための送信デー
タを一時記憶する送信バッファ及びファクシミリ送受信部が受信した受信データを一時記
憶する受信バッファを構成するためのファクシミリ部用のメモリを備えている。
【0032】
また、ファクシミリ部120は、電話回線20からファクシミリ送信されてきたデータ
を受信すると、その受信データを一旦格納する。そして、格納された受信データは、制御
部110へ送られて、プリンタ部130で印刷される。ファクシミリ部120は、複合機
100内の他の構成とは独立にファクシミリ送受信を行う。つまり、ファクシミリ部12
0は、複合機100から送信データを受け付けると、複合機100とは独立にファクシミ
リ送信を行うし、電話回線20からファクシミリデータが送信されてくれば、それを受信
する。
【0033】
複合機100のコピー機能は、ユーザーの操作パネル部150の操作によって制御部1
10に設定される。操作パネル部150からは、コピー機能の実行、コピー機能に係るコ
ピー倍率の設定、原稿画像サイズの設定、出力用紙のサイズの設定を行うことができ、制
御部110はこれらの設定に基づいて、複合機100のコピー各機能を実行する。複合機
100のコピー機能は、スキャナ部140にて読み取った原稿の原稿画像データに、コピ
ー倍率処理を施し、これをプリンタ部130で指定されたサイズの用紙に紙出力する。
【0034】
操作パネル部150のハードウエアは、操作に係わる表示を行うLCDからなる表示部
と、指などによる押圧で入力が行えるタッチパネル部とから概略構成される。これらの表
示部とタッチパネル部とは重ねて構成されており、ユーザーは表示部の表示を参照しつつ
、指でタッチパネル部を操作することで複合機100の各種設定を行うことができるよう
になっている。タッチパネル部による入力機構、表示部による表示機構の具体的な構成に
ついては、周知の技術を用いることができる。この操作パネル部150で行うことができ
るのは、複合機100のファクシミリ機能、プリンタ機能、コピー機能といった各種機能
の選択、画像のプレビュー表示などである。
【0035】
タグリーダ400、400’、400’’は、各ユーザーが所持するRFIDなどのタ
グからの電波を受信するものである。RFIDなどのタグは、唯一無二の固有のIDに係
る信号を発するものであり、タグリーダ400、400’、400’’側はそれを受信す
ることによって、それぞれのタグの所在位置を把握することが可能となる。タグ位置情報
管理部180は、このような各タグの位置情報を把握することによって、各ユーザーの所
在位置に係る情報を管理する。また、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、こ
のような位置情報に基づいて、どのタグ(ユーザー)が複合機100から、印刷物を持ち
去ったのかを把握する。
【0036】
なお、本実施形態に係る画像形成システムにおいては、タグリーダが3台用いられる構
成について説明しているが、タグリーダの台数については1台以上であれば、何台でもよ
い。ただ、タグリーダのうち少なくとも1台については、複合機100の近傍に位置させ
ることが望ましい。
【0037】
図4は各ユーザーのパーソナルコンピュータと各ユーザーのタグとの割り当て関係を示
す概念図である。それぞれのユーザーに対しては1台のパーソナルコンピュータ(PC)
が割り当てられており、さらにそれぞれのユーザーによってタグが割り当てられている。
図4において、RFIDタグ500、500’、500’’・・・は唯一無二の固有のI
Dに係る信号を発することができ、タグリーダはタグからの信号を受信し、その信号強度
などから、どのRFIDタグがどの位置に存在するのかに係る情報を得る。
【0038】
メール作成送信部185は、複合機100に関連する報知メッセージを作成し、さらに
各ユーザーのメールアドレス(或いは、各ユーザーに割り当てられたパーソナルコンピュ
ータ)に送信することを可能とするものである。
【0039】
排紙トレイ管理部190は、排紙トレイ195(特許請求の範囲では、「印刷物載置手
段」と上位概念的に示される)上に載置された印刷出力(印刷物)の状況を管理するもの
であり、排紙トレイ195上を撮影することが可能な撮像部191を有している。図5は
本発明の実施の形態に係る画像形成システムの画像形成部である複合機100の外観斜視
図である。
【0040】
本実施形態の画像形成部として用いる複合機100は、印刷物を排紙口196から排出
する際に、ジョブ毎にオフセットさせることが可能なものである。このような排紙トレイ
上へのオフセット排紙に係る技術については従来周知のものを用いることができる。この
ように排紙トレイ195上に、ジョブ毎にオフセット排紙された様子を、撮像部191は
撮影し、これを画像解析することで、どのジョブの印刷物が持ち去られたものであるのか
を認識することができるようになっている。
【0041】
図6は本発明の実施の形態に係る画像形成システムの撮像部で取得した画像例を示す図
である。図6に示すように、それぞれの印刷物は、ジョブ毎に複合機100で適切に割り
当てられたオフセット位置(P1、P2、P3など)に端部を揃えられて出力される。こ
れによって、排紙トレイ195上を一目目視するだけで、ユーザーはひとまとまりのジョ
ブを把握することが可能となる。また、複合機100側においても、このようなオフセッ
ト位置毎に出力された印刷物の撮影画像を画像解析することで、どのジョブの印刷物が取
り去られ、どのジョブの印刷物が排紙トレイ195上に残っているのかを画像認識し易い
ものとなっている。
【0042】
次に、記憶部115に記憶されるユーザー登録リストについて説明する。図7は本発明
の実施の形態に係る画像形成システムのユーザー登録リストの一例を示す図である。ユー
ザー登録リストは、複合機100を共用するユーザーに係る情報を登録するリストである
。ユーザー登録リストには、図7に示すように、例えば「ユーザー名(タグ所有者名)」
、それぞれ固有の「タグID」、同じくそれぞれ固有の「使用PCのID」、ユーザー毎
の「メールアドレス」の各項目について記憶されている。制御部110はこのようなユー
ザー登録リストを参照することによって、各処理を実行することが可能となる。
【0043】
次に、記憶部115に記憶される印刷物管理テーブルについて説明する。図8は本発明
の実施の形態に係る画像形成システムの印刷物管理テーブルの一例を示す図である。印刷
物管理テーブルは、排紙トレイ(印刷物載置手段)195の上に、どのユーザーによる印
刷出力(印刷物)が存在するのかなどを管理するテーブルであり、例えば図8に示すよう
に印刷ジョブ毎に割り当てられる「印刷管理番号」、印刷ジョブの「印刷ファイル名」、
また印刷ジョブの「オフセット位置」、印刷ジョブを発出したユーザーの「印刷者タグI
D」、排紙トレイ管理部190で把握された印刷物を持ち去ったユーザーの「取得者タグ
ID」、「ステータス」、「メール送信」、印刷ジョブの「出力後経過時間」の各項目が
管理されている。
【0044】
また、図8において、「ウオッチング中ポインタ」は現時点でまだ排紙トレイ195上
に残っている印刷物を示すポインタである。このポインタが付されていない印刷ジョブは
、既に排紙トレイ195上から持ち去られているものである。
【0045】
以上のように本発明の画像形成システムは、天井裏などにも収納することができるタグ
リーダ400、400’、400’’や、それぞれのユーザーが所持するRFIDタグ5
00、500’、500’’などの簡単なハードウエアによって実現することが可能とな
る。すなわち、本発明の画像形成システムによれば、スペースを必要とするハードウエア
を用いることなくセキュリティーに考慮したシステムを構築することが可能となる。
【0046】
以上のように構成される画像形成システムにおける排紙トレイ195上に出力された印
刷物の管理を行うための処理について説明する。図9は本発明の実施の形態に係る画像形
成システムにおける印刷物管理処理のフローチャートを示す図である。このようなフロー
チャートの処理は、例えば、システムの電源オン時に開始され、オフ時に終了されるよう
に設定することができる。
【0047】
図9において、ステップS100で印刷物管理処理が開始されると、続いてステップS
101に進み、撮像部191によって排紙トレイ195上の撮像処理が行われる。次のス
テップS102では、現在撮像部191によって撮像した画像と、前に撮影した画像との
間に変化があるかが検出される。変化があるものと検出されると続いてステップS103
に進み、変化がないと検出されるとステップS113に進む。
【0048】
ステップS103では、当該変化が、ユーザーによって印刷物が持ち去られたことに伴
う変化の検出であるか否かが判定される。ステップS103における判定の結果がNOで
るときには、新たな印刷物が排紙トレイ195上に排出される場合であって、その場合に
はステップS101に戻る。ステップS103における判定の結果がYESでるときには
、続いてステップS104に進む。
【0049】
ステップS104では、撮像部191によって撮像した画像を解析することによって、
排紙トレイ195上から取得された(持ち去られた)印刷物の特定が行われる。
【0050】
ステップS105では、タグリーダ400、400’、400’’から得られる情報に
よって、取得ユーザー(印刷物を持ち去ったユーザー)の特定が行われる。
【0051】
ステップS106では、印刷物管理テーブルとの対比を行い、続くステップS107で
は、印刷物−取得者の組み合わせが正しいか、すなわち印刷ジョブを出したユーザーが、
印刷物を持ち去ったユーザーであるのか判定される。
【0052】
ステップS107における判定の結果がYESである場合には、すなわち、正しい組み
合わせである場合には、ステップS112に進み、印刷物管理テーブルの更新を行い、再
びステップS101に戻る。
【0053】
ステップS107における判定の結果がNOである場合には所定の対策をとるべくステ
ップS108に進む。
【0054】
ステップS108では、印刷物を排紙トレイ195上から取得した者がそもそもタグ所
持者であるのかが判定される。ステップS108における判定の結果がNOである場合に
は、全くの部外者が印刷物を持ち去った可能性などもあり、セキュリティー的に問題であ
る。この場合、ステップS111に進み発音部151によって警告音などの報知を行う。
そして、ステップS112に進み、ユーザー管理テーブルの更新を行う。
【0055】
ステップS108における判定の結果がYESである場合には、ステップS109で、
誤って取得したユーザーのPCにメールを送出する。このような送出にはユーザー登録リ
ストが参照される。ステップS108で送出処理されるメールの文面例を図10に示す。
【0056】
次のステップS110では、持ち去られたユーザーのPCにメールを送出する。ここで
も、ユーザー登録リストが参照される。ステップS109で送出処理されるメールの文面
例を図11に示す。
【0057】
このように本実施形態によれば、他人の印刷物を持ち去ったユーザー、自分の印刷物を
持ち去られたユーザーの双方にメールを送信するので、よりセキュリティー的な配慮がな
されたシステムとなっている。
【0058】
ステップS102でNOでるときに進むステップS113について説明する。ステップ
S113では、例えば30分などの所定期間にわたって放置された印刷物があるか否かが
判定される。このような判定は、印刷物管理テーブルの「出力後経過時間」の項目を参照
することで実行できる。
【0059】
ステップS113の判定がNOであるときにはステップS101に戻る。ステップS1
1の判定がYESであるときには、ステップS114に進み、放置印刷物を印刷したユー
ザーのPCにメールを送信する。但し、既にこのようなメールを既に送信してしまってい
る場合にはこの限りではない。なお、1回メールを送信してもなお放置状態が維持された
場合には、再度、再々度メールを送信するような処理を行っても良い。ステップS114
で送出処理されるメールの文面例を図12に示す。このようなステップによれば、排紙ト
レイ195上に放置された印刷物に対しては、印刷を行ったユーザーにメールによって知
らせるものであるので、印刷物の取り忘れなどを防止することが可能となる。
【0060】
以上、種々の実施形態について説明したが、それぞれの実施形態の個々を任意に組み合
わせて作り上がられる実施形態についても本発明の範疇に入るものである。
【0061】
以上、本発明に係る画像形成システムによれば、スペースを必要とするハードウエアを
用いることなくセキュリティーに考慮したシステムを構築することが可能となる。
【0062】
また、本発明に係る画像形成システムによれば、他人の印刷物を持ち去ったユーザー、
自分の印刷物を持ち去られたユーザーの双方にメールを送信するので、よりセキュリティ
ー的な配慮がなされたシステムとなっている。
【0063】
また、本発明に係る画像形成システムによれば、印刷物載置手段(排紙トレイ)上に放
置された印刷物に対しては、印刷を行ったユーザーにメールによって知らせるものである
ので、印刷物の取り忘れなどを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの運用形態の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの運用形態例のブロック構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの画像形成部である複合機100のシステム構成を示す図である。
【図4】各ユーザーのパーソナルコンピュータと各ユーザーのタグとの割り当て関係を示す概念図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの画像形成部である複合機100の外観斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの撮像部で取得した画像例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像形成システムのユーザー登録リストの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの印刷物管理テーブルの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る画像形成システムにおける印刷物管理処理のフローチャートを示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る画像形成システムでユーザーに送信されるメールの文面例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る画像形成システムでユーザーに送信されるメールの文面例を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る画像形成システムでユーザーに送信されるメールの文面例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10・・・ネットワーク、20・・・電話回線、100・・・複合機、110・・・制御
部、115・・・記憶部、120・・・ファクシミリ部、130・・・プリンタ部、14
0・・・スキャナ部、150・・・操作パネル部、151・・・発音部、160・・・ネ
ットワークI/F、170はUSB I/F、180・・・タグ位置情報管理部、185
・・・メール作成送信部、190・・・排紙トレイ管理部、191・・・撮像部、195
・・・排紙トレイ(印刷物載置手段)、196・・・排紙口、200、200’、200
’’ ・・・パーソナルコンピュータ、300・・・外部機器、400、400’、40
0’’・・・タグリーダ、500、500’、500’’・・・RFIDタグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷出力を行う各ユーザーを登録するユーザー登録手段と、
前記ユーザー登録手段に登録された各ユーザーの位置情報を管理するユーザー位置情報管
理手段と、
印刷出力された印刷物を載置する印刷物載置手段と、
前記印刷物載置手段上の印刷物の状況を管理する印刷物管理手段と、
前記ユーザー位置情報管理手段と前記印刷物管理手段とに基づいて、印刷出力を行ったユ
ーザーが前記印刷物載置手段から印刷物を取得したか否かを判定する判定手段と、を有す
ることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
各ユーザーに配信するメールを作成し送信するメール作成送信部を有し、
前記判定手段によって、印刷出力を行ったユーザーが前記印刷物載置手段から印刷物を取
得していないと判定されると、前記メール作成送信部が印刷物を取得したユーザーに対し
てメールを送信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
各ユーザーに配信するメールを作成し送信するメール作成送信部を有し、
前記判定手段によって、印刷出力を行ったユーザーが前記印刷物載置手段から印刷物を取
得していないと判定されると、前記メール作成送信部が印刷出力を行ったユーザーに対し
てメールを送信することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記印刷物管理手段に基づいて、前記印刷物載置手段上の印刷物が所定時間放置された状
況であることを判定する放置判定手段を有し、
前記放置判定手段によって、印刷物が所定時間放置された状況であると判定されると、前
記メール作成送信部が印刷出力を行ったユーザーに対してメールを送信することを特徴と
する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記判定手段で、印刷出力を行ったユーザー以外のユーザーが前記印刷物載置手段から印
刷物を取得したと判断した場合には所定の警告をおこなうことを特徴とする請求項1記載
の画像形成システム。
【請求項6】
前記ユーザー位置情報管理手段は各ユーザーの位置情報をRFIDタグ、PHSシステム
、GPSシステムのいずれかによって認識することを特徴とする請求項1乃至請求項4の
いずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記印刷物管理手段は前記印刷物載置手段の撮像画像の解析を行うことによって印刷物の
管理を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成シス
テム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−34736(P2010−34736A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−193184(P2008−193184)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】