説明

画像形成システム

【課題】 製造コストを抑えることができるとともに、印刷に関する制御の対象物を従来より適切に制御することができる画像形成システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム10は、MFP20と、MFP20に接続されてMFP20に記録媒体91を供給するサイドマルチトレイ50とを備えており、サイドマルチトレイ50は、記録媒体91を収納する複数のトレイ51aと、記録媒体91の特性の検知を実行する媒体特性センサー53とを備えており、MFP20は、媒体特性センサー53の検知結果に基づいて定着ローラー35、加圧ローラー36および搬送部39、73の制御を実行する制御実行手段を備えており、媒体特性センサー53は、複数のトレイ51aに対して共通であって、記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入る前に検知を実行する位置に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を供給する供給装置を備えている画像形成装置と、画像形成装置に接続されて画像形成装置に記録媒体を供給する補助供給装置とを備えている画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、転写部と定着部との間に配置されて用紙の厚みを検知する赤外線反射型距離センサを備えており、赤外線反射型距離センサによって検知された用紙の厚みに応じて、定着ローラを通過するときの用紙の搬送速度を調整する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、レジストローラ対の位置に配置されて用紙の厚みを検知する紙厚読み取りセンサを備えており、紙厚読み取りセンサによって検知された用紙の厚みに応じて、定着ローラを通過するときの用紙の搬送速度と、定着ローラに対して加圧ローラを加圧する荷重とを調整する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、レジストローラの用紙搬送方向手前に配置されて用紙の厚さを検知する用紙厚さセンサを備えており、用紙厚さセンサによって検知された用紙の厚さに応じて、2次転写ローラによって中間転写ベルト上のトナー画像を用紙に転写するための転写バイアス値と、定着部を通過するときの用紙の搬送速度と、定着部の定着温度とを調整する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。また、レジストローラの直後に配置されて用紙の厚さを検知する紙厚センサーを備えており、紙厚センサーによって検知された用紙の厚さに応じて、定着ローラの温度を調整する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0003】
また、例えば給紙トレイに配置されて用紙の厚さ、光沢度などの特性を検知するメディアセンサを備えており、メディアセンサによって検知された用紙の特性に応じて、定着温度、PID制御パラメータ、定着圧力などの定着処理における制御パラメータと、搬送速度、レジストローラへの突き当て量などの用紙搬送処理における制御パラメータと、転写バイアス、現像バイアスなどの作像処理における制御パラメータとを調整する画像形成装置が知られている(例えば、特許文献5参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−134120号公報
【特許文献2】特開2010−181728号公報
【特許文献3】特開2010−191301号公報
【特許文献4】特開2008−129239号公報
【特許文献5】特開2010−217742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜4に記載された画像形成装置においては、用紙の搬送路上においてレジストローラーの周辺または下流にセンサーが配置されているので、センサーの検知結果に基づいた印刷に関する制御の対象物(以下「制御対象物」という。)と、センサーとの間の用紙の搬送距離が短い。その結果、用紙がセンサーに検知されてから制御対象物に達するまでの時間が短い。したがって、特許文献1〜4に記載された画像形成装置においては、制御対象物の制御を十分に実行することができない可能性がある。
【0006】
また、特許文献5に記載された画像形成装置においては、給紙トレイにセンサーが配置されているので、複数の給紙トレイを備えている場合に給紙トレイの数に応じてセンサーが複数個必要となる。したがって、特許文献5に記載された画像形成装置においては、製造コストが高いという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、製造コストを抑えることができるとともに、印刷に関する制御の対象物を従来より適切に制御することができる画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像形成システムは、記録媒体に印刷を実行する印刷部と、前記記録媒体を供給する供給装置とを備えている画像形成装置と、前記画像形成装置に接続されて前記画像形成装置に前記記録媒体を供給する補助供給装置とを備えており、前記補助供給装置は、前記記録媒体を収納する複数の媒体収納部と、前記記録媒体の特性の検知を実行する媒体特性センサーとを備えており、前記画像形成装置は、印刷に関する制御の対象物である制御対象物と、前記媒体特性センサーの検知結果に基づいて前記制御対象物の制御を実行する制御実行手段とを備えており、前記媒体特性センサーは、複数の前記媒体収納部に対して共通であって、前記記録媒体が前記補助供給装置から前記画像形成装置に入る前に前記検知を実行する位置に配置されていることを特徴とする。
【0009】
この構成により、本発明の画像形成システムは、記録媒体が補助供給装置から画像形成装置に入る前に媒体特性センサーが検知を実行するので、制御対象物を従来より適切に制御することができる。また、本発明の画像形成システムは、媒体特性センサーが複数の媒体収納部に対して共通であるので、複数の媒体収納部のそれぞれに対して媒体特性センサーを設ける構成と比較して、製造コストを抑えることができる。
【0010】
また、本発明の画像形成システムの前記補助供給装置は、前記媒体収納部に収納されている前記記録媒体の前記画像形成装置側とは反対側の端を先端として前記記録媒体を前記画像形成装置に搬送する補助側媒体搬送部を備えていても良い。
【0011】
この構成により、本発明の画像形成システムは、補助供給装置の媒体収納部に収納されている記録媒体の画像形成装置側の端を先端として記録媒体を補助供給装置から画像形成装置に搬送する構成と比較して、補助供給装置の媒体収納部に収納されている記録媒体が画像形成装置に入るまでの距離が長いので、制御対象物を適切に制御するために搬送路上において制御対象物から遠い位置に媒体特性センサーを配置することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成システムの前記補助供給装置は、前記媒体収納部から前記画像形成装置までの前記記録媒体の搬送路が形成されており、前記媒体特性センサーは、全ての前記媒体収納部に対する前記搬送路が合流している部分の最上流の位置に配置されていても良い。
【0013】
この構成により、本発明の画像形成システムは、全ての媒体収納部に対する搬送路が合流している部分において最上流の位置以外の位置に媒体特性センサーが配置されている構成と比較して、制御対象物を適切に制御するために搬送路上において制御対象物から遠い位置に媒体特性センサーを配置することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成システムの前記制御対象物は、前記記録媒体を搬送する本体側媒体搬送部であり、前記制御実行手段は、前記本体側媒体搬送部による前記記録媒体の搬送の速度を制御しても良い。
【0015】
この構成により、本発明の画像形成システムは、媒体特性センサーの検知結果に基づいて画像形成装置内における記録媒体の搬送の速度を制御するので、画像形成装置内における記録媒体の詰まりの発生を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の画像形成システムの前記制御対象物は、トナーによって形成された画像であるトナー画像を前記記録媒体に定着させるトナー定着部であり、前記制御実行手段は、前記トナー定着部による前記トナー画像の定着の温度を制御しても良い。
【0017】
この構成により、本発明の画像形成システムは、媒体特性センサーの検知結果に基づいてトナー画像の定着の温度を制御するので、記録媒体に定着されたトナー画像の画質を向上することができる。
【0018】
また、本発明の画像形成システムは、前記記録媒体を排出するための複数の媒体排出部を備えており、前記制御対象物は、前記記録媒体を搬送する本体側媒体搬送部であり、前記制御実行手段は、前記本体側媒体搬送部によって前記複数の媒体排出部の何れに前記記録媒体を排出するかを制御しても良い。
【0019】
この構成により、本発明の画像形成システムは、媒体特性センサーの検知結果に基づいて画像形成装置内からの記録媒体の排出先を制御するので、記録媒体の特性に対応していない搬送路を経由する排出先に記録媒体を搬送することによる画像形成装置内における記録媒体の詰まりの発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の画像形成システムは、製造コストを抑えることができるとともに、印刷に関する制御の対象物を従来より適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成図である。
【図2】図1に示す画像形成システムのブロック図である。
【図3】図2に示す制御実行手段による各種情報の設定のフローチャートである。
【図4】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成図であって、図1に示す構成とは異なる構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る画像形成システムの構成図であって、図1および図4に示す構成とは異なる構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0023】
まず、本実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10の構成図である。
【0025】
図1に示すように、画像形成システム10は、MFP(Multifunction Peripheral)20と、MFP20に接続されてMFP20に用紙などの記録媒体91を供給する補助供給装置としてのサイドマルチトレイ(Side multi tray)50と、MFP20に接続されてMFP20によって印刷された記録媒体91の仕分け、ステープルなどの後処理を実行するフィニッシャー(Finisher)70とを備えている。本実施の形態において、本発明の画像形成装置は、MFP20およびフィニッシャー70によって構成されている。
【0026】
図2は、画像形成システム10のブロック図である。
【0027】
図2に示すように、MFP20は、MFP20全体を制御する制御部21と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部22と、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部23と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部24と、記録媒体91に印刷を実行する印刷デバイスである印刷部としてのプリンター25と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー26と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部27と、LAN(Local Area Network)などのネットワーク経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部28とを備えている。
【0028】
制御部21は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部22に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0029】
記憶部22は、MFP20用のプログラムである画像形成装置用プログラム22aと、MFP20およびフィニッシャー70における記録媒体91の搬送速度のうち定着時以外の搬送速度を示す非定着時搬送速度情報22bと、MFP20およびフィニッシャー70における記録媒体91の搬送速度のうち定着時の搬送速度を示す定着時搬送速度情報22cと、後述の定着ローラー35による定着時の温度を示す定着温度情報22dと、後述の加圧ローラー36による定着時の圧力を示す定着圧力情報22eと、MFP20およびフィニッシャー70による記録媒体91の排出先を示す排出先情報22fとを記憶している。
【0030】
なお、画像形成装置用プログラム22aは、MFP20の製造段階でMFP20にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク上からMFP20に追加でインストールされても良い。
【0031】
制御部21は、記憶部22に記憶されている画像形成装置用プログラム22aを実行することによって、後述するように、印刷に関する制御の対象物である制御対象物としての定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73の制御を、媒体特性センサー53の検知結果に基づいて実行する制御実行手段21aとして機能する。
【0032】
図1に示すように、プリンター25は、記録媒体91を収納する複数のトレイ31aを備えていて記録媒体91を供給する供給装置31と、トナーによって形成された画像であって最終的に記録媒体91に定着させられる予定のトナー画像が現像される感光体としてのシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の感光体ドラム32a〜32dと、感光体ドラム32a〜32dに現像されたトナー画像が一時的に転写される中間転写体としての中間転写ベルト33と、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像を記録媒体91に転写する転写ローラー34と、記録媒体91に転写されたトナー画像を熱によって記録媒体91に定着させるトナー定着部としての定着ローラー35と、定着ローラー35に記録媒体91を押し付ける加圧ローラー36と、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像に記録媒体91の搬送のタイミングを合わせるためのレジストローラー37と、印刷された記録媒体91が排出される媒体排出部としての排出トレイ38と、複数の搬送ローラー39aを備えていて記録媒体91を搬送する本体側媒体搬送部としての搬送部39とを備えている。
【0033】
サイドマルチトレイ50は、記録媒体91を収納する複数の媒体収納部としての複数のトレイ51aと、トレイ51aから記録媒体91が供給されたことを検知する媒体供給センサー52と、記録媒体91の特性として厚みの検知を実行する媒体特性センサー53と、複数の搬送ローラー54aを備えていて記録媒体91を搬送する補助側媒体搬送部としての媒体搬送部54とを備えている。サイドマルチトレイ50は、複数のトレイ51aからMFP20までの記録媒体91の搬送路55が形成されている。
【0034】
媒体特性センサー53は、複数のトレイ51aに対して共通であって、記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入る前に記録媒体91の特性の検知を実行する位置に配置されている。媒体特性センサー53としては、接触式の紙厚センサー、非接触式の紙厚センサーなど、公知の任意の紙厚センサーが採用されることが可能である。
【0035】
媒体搬送部54は、トレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側とは反対側の端を先端として記録媒体91をMFP20に搬送するようになっている。
【0036】
フィニッシャー70は、MFP20によって印刷された記録媒体91が排出される媒体排出部としての排出トレイ71、72と、複数の搬送ローラー73aを備えていて記録媒体91を搬送する本体側媒体搬送部としての搬送部73とを備えている。
【0037】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0038】
<一連の印刷動作>
まず、画像形成システム10のMFP20の制御部21が印刷データを受信してからの一連の印刷動作について説明する。
【0039】
制御部21は、例えば、コピーのためにスキャナー26によって読み取られた画像データに基づいた印刷データ、ファックス通信部27を介して受信したファックスデータに基づいた印刷データ、ネットワーク通信部28を介して受信した印刷データなどの各種の印刷データに基づいてプリンター25によって印刷を実行する。ここで、制御部21は、印刷データ内の情報に従って、プリンター25による印刷のための記録媒体91をトレイ31aからではなく、サイドマルチトレイ50内のトレイ51aから搬送することができる。
【0040】
制御部21は、印刷データに基づいて印刷を開始すると、サイドマルチトレイ50の媒体搬送部54に記録媒体91の搬送を開始させる。ここで、媒体搬送部54は、複数のトレイ51aのうち、印刷データにおいて指示されているトレイ51aから記録媒体91を搬送する。
【0041】
媒体搬送部54によってトレイ51aから記録媒体91が搬送されると、制御部21は、媒体搬送部54によって搬送されている記録媒体91を媒体供給センサー52によって検知する。
【0042】
媒体搬送部54によって更に記録媒体91が搬送されると、制御部21は、媒体搬送部54によって搬送されている記録媒体91を媒体特性センサー53によって検知する。したがって、制御部21は、媒体搬送部54によって搬送されている記録媒体91の厚みを媒体特性センサー53の検知結果に基づいて判断し、判断した厚みに基づいて制御対象物である定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73の制御を実行する。
【0043】
そして、制御部21は、図示していないレジストセンサーの検知結果に基づいて記録媒体91をレジストローラー37の位置で一旦停止させる。
【0044】
ここで、制御部21は、上述したように媒体供給センサー52によって記録媒体91を検知した時の所定の時間後に、感光体ドラム32a〜32dへのトナー画像の現像を開始している。そして、感光体ドラム32a〜32dに現像されたトナー画像は、中間転写ベルト33に転写されている。
【0045】
その後、制御部21は、中間転写ベルト33に転写されたトナー画像にタイミングを合わせて記録媒体91をレジストローラー37によって搬送する。
【0046】
したがって、記録媒体91は、中間転写ベルト33に転写されているトナー画像が転写された後、転写されたトナー画像が定着ローラー35および加圧ローラー36によって定着させられる。
【0047】
次いで、制御部21は、トナー画像が定着させられた記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する。なお、記録媒体91が排出トレイ38、71および72の何れに排出されるかは、印刷データにおいて指定されている。
【0048】
<制御部21の制御実行手段21aによる各種情報の設定>
次に、制御実行手段21aによる各種情報の設定について説明する。
【0049】
なお、制御実行手段21aは、印刷データに基づいて印刷を開始する場合、非定着時搬送速度情報22b、定着時搬送速度情報22c、定着温度情報22dおよび定着圧力情報22eをデフォルトの値に設定するとともに、印刷データにおいて設定されている記録媒体91の排出先の内容で排出先情報22fを設定する。
【0050】
図3は、制御実行手段21aによる各種情報の設定のフローチャートである。
【0051】
図3に示すように、制御実行手段21aは、媒体特性センサー53の検知結果に基づいて判断した記録媒体91の厚みが所定の厚み以上であるか否かを判断する(S101)。
【0052】
制御実行手段21aは、記録媒体91の厚みが所定の厚み以上であるとS101において判断すると、定着時以外の記録媒体91の搬送速度をデフォルトの速度より上げるように非定着時搬送速度情報22bを設定する(S102)。したがって、制御実行手段21aは、記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入った後、定着時以外の記録媒体91の搬送速度をデフォルトの速度より上げるように非定着時搬送速度情報22bに基づいて搬送部39および搬送部73を制御する。この処理によって、制御実行手段21aは、一連の印刷動作に必要な時間を短縮することができる。なお、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する度に、非定着時搬送速度情報22bをデフォルトの値に設定し直す。
【0053】
次いで、制御実行手段21aは、定着時の記録媒体91の搬送速度をデフォルトの速度より下げるように定着時搬送速度情報22cを設定する(S103)。したがって、制御実行手段21aは、記録媒体91にトナー画像を定着させるとき、定着時の記録媒体91の搬送速度をデフォルトの速度より下げるように定着時搬送速度情報22cに基づいて定着ローラー35および加圧ローラー36を制御する。この処理によって、制御実行手段21aは、厚みが所定の厚み以上である記録媒体91にトナー画像を適切に定着させることができる。なお、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する度に、定着時搬送速度情報22cをデフォルトの値に設定し直す。
【0054】
次いで、制御実行手段21aは、定着時の温度をデフォルトの温度より上げるように定着温度情報22dを設定する(S104)。したがって、制御実行手段21aは、記録媒体91にトナー画像を定着させるとき、定着時の温度をデフォルトの温度より上げるように定着温度情報22dに基づいて定着ローラー35を制御する。この処理によって、制御実行手段21aは、厚みが所定の厚み以上である記録媒体91にトナー画像を適切に定着させることができる。なお、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する度に、定着温度情報22dをデフォルトの値に設定し直す。
【0055】
次いで、制御実行手段21aは、定着時の圧力をデフォルトの圧力より上げるように定着圧力情報22eを設定する(S105)。したがって、制御実行手段21aは、記録媒体91にトナー画像を定着させるとき、定着時の圧力をデフォルトの圧力より上げるように定着圧力情報22eに基づいて加圧ローラー36を制御する。この処理によって、制御実行手段21aは、厚みが所定の厚み以上である記録媒体91にトナー画像を適切に定着させることができる。なお、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する度に、定着圧力情報22eをデフォルトの値に設定し直す。
【0056】
次いで、制御実行手段21aは、印刷データにおいて設定されている記録媒体91の排出先が記録媒体91の厚みに対応しているか否かを判断する(S106)。
【0057】
制御実行手段21aは、印刷データにおいて設定されている記録媒体91の排出先が記録媒体91の厚みに対応していないとS106において判断すると、排出トレイ38、71または72のうち、記録媒体91の厚みに対応している排出トレイを排出先に変更するように排出先情報22fを設定する(S107)。したがって、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出先に排出するとき、排出トレイ38、71または72のうち、記録媒体91の厚みに対応している排出トレイを排出先に変更するように排出先情報22fに基づいて搬送部39および搬送部73を制御する。この処理によって、制御実行手段21aは、厚みが所定の厚み以上である記録媒体91がMFP20およびフィニッシャー70内で詰まることを防止することができる。なお、制御実行手段21aは、記録媒体91を排出トレイ38、71または72に排出する度に、印刷データにおいて設定されている記録媒体91の排出先の内容で排出先情報22fを設定し直す。
【0058】
制御実行手段21aは、S107の処理の後、図3に示す処理を終了する。
【0059】
制御実行手段21aは、印刷データにおいて設定されている記録媒体91の排出先が記録媒体91の厚みに対応しているとS106において判断すると、S107の処理を実行せずに図3に示す処理を終了する。すなわち、制御実行手段21aは、印刷データにおいて設定されている排出先に記録媒体91を排出するように、搬送部39および搬送部73を制御する。
【0060】
制御実行手段21aは、記録媒体91の厚みが所定の厚み以上ではないとS101において判断すると、S102〜S107の処理を実行せずに図3に示す処理を終了する。すなわち、制御実行手段21aは、記録媒体91に対して通常通りの印刷動作を実行する。
【0061】
以上に説明したように、画像形成システム10は、記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入る前に媒体特性センサー53が検知を実行する位置に媒体特性センサー53が配置されているので、記録媒体91がサイドマルチトレイ50からMFP20に入る前に媒体特性センサー53が検知を実行する。したがって、画像形成システム10は、定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73を従来より適切に制御することができる。
【0062】
また、画像形成システム10は、媒体特性センサー53が複数のトレイ51aに対して共通であるので、複数のトレイ51aのそれぞれに対して媒体特性センサー53を設ける構成と比較して、製造コストを抑えることができる。
【0063】
画像形成システム10は、媒体特性センサー53の検知結果に基づいてMFP20およびフィニッシャー70内における記録媒体91の搬送の速度を制御するので、MFP20およびフィニッシャー70内における記録媒体91の詰まりの発生を抑えることができる。したがって、画像形成システム10は、印刷のやり直しによる不必要なトナーおよび時間の消費を抑えることができる。
【0064】
画像形成システム10は、媒体特性センサー53の検知結果に基づいてトナー画像の定着の温度を制御するので、記録媒体91に定着されたトナー画像の画質を向上することができる。したがって、画像形成システム10は、印刷のやり直しによる不必要なトナーおよび時間の消費を抑えることができる。
【0065】
画像形成システム10は、媒体特性センサー53の検知結果に基づいてMFP20およびフィニッシャー70内からの記録媒体91の排出先を制御するので、記録媒体91の特性に対応していない搬送路を経由する排出先に記録媒体91を搬送することによるMFP20およびフィニッシャー70内における記録媒体91の詰まりの発生を抑えることができる。したがって、画像形成システム10は、印刷のやり直しによる不必要なトナーおよび時間の消費を抑えることができる。
【0066】
画像形成システム10は、図1に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側とは反対側の端を先端として記録媒体91をMFP20に搬送するようになっているので、図4に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側の端を先端として記録媒体91をサイドマルチトレイ50からMFP20に搬送する構成と比較して、サイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91がMFP20に入るまでの距離が長い。したがって、画像形成システム10は、定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73を適切に制御するために搬送路55上において定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73から遠い位置に媒体特性センサー53を配置することができる。
【0067】
なお、画像形成システム10は、図4に示すようにサイドマルチトレイ50のトレイ51aに収納されている記録媒体91のMFP20側の端を先端として記録媒体91をサイドマルチトレイ50からMFP20に搬送するようになっていても良い。
【0068】
また、媒体特性センサー53は、図5に示すように全てのトレイ51aに対する搬送路55が合流している部分の最上流の位置に配置されていても良い。画像形成システム10は、図5に示すように全てのトレイ51aに対する搬送路55が合流している部分において最上流の位置に媒体特性センサー53が配置されている構成である場合、全てのトレイ51aに対する搬送路55が合流している部分において最上流の位置以外の位置に媒体特性センサー53が配置されている構成と比較して、定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73を適切に制御するために搬送路55上において定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73から遠い位置に媒体特性センサー53を配置することができる。
【0069】
なお、画像形成システム10は、記録媒体91の厚みに基づいて図3に示す処理を実行しているが、記録媒体91の厚みに基づいて図3に示す処理以外の処理を実行するようになっていても良い。例えば、画像形成システム10は、記録媒体91の厚みが標準的な厚みより薄い場合、記録媒体91の搬送速度を通常より下げることによって、MFP20およびフィニッシャー70内における記録媒体91の詰まりの発生を抑えることができる。
【0070】
媒体特性センサー53は、本実施の形態において記録媒体91の特性として記録媒体91の厚みを検知するようになっているが、記録媒体91のサイズ、平滑度、白色度など、厚み以外の特性を検知するようになっていても良い。また、媒体特性センサー53は、複数種類の特性を検知するようになっていても良い。
【0071】
例えば、画像形成システム10は、媒体特性センサー53によって検知された記録媒体91の平滑度が所定の値より大きい場合、記録媒体91の搬送速度を通常より下げることによって、MFP20およびフィニッシャー70内における記録媒体91の詰まりの発生を抑えることができる。なお、記録媒体91の平滑度を検知する方法としては、例えば、記録媒体91の表面に光を照射するとともに、記録媒体91の表面に照射された光のうち記録媒体91の表面によって反射された光を検知することによって、記録媒体91の表面の凹凸を検知する方法など、公知の任意の方法が採用されることができる。
【0072】
画像形成システム10は、利用者が印刷データにおいて設定している記録媒体91の種類が実際の記録媒体91の種類と異なる場合、特に有益である。例えば、印刷データにおいて記録媒体91がOHP(Overhead projector)用紙であると設定されていて、制御実行手段21aがOHP用紙に対して搬送速度を通常の速度より下げるように搬送部39および搬送部73を制御する場合、画像形成システム10は、媒体特性センサー53の検知結果に基づいて記録媒体91がOHP用紙ではないことを判断したとき、記録媒体91の搬送速度を通常の速度とすることができる。
【0073】
本発明の制御対象物は、本実施の形態において定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73であるが、記録媒体91の特性に基づいて制御される物であれば、定着ローラー35、加圧ローラー36、搬送部39および搬送部73以外の物であっても良い。例えば、制御実行手段21aは、媒体特性センサー53の検知結果に基づいて転写ローラー34の転写バイアス値を変更するようになっていても良い。
【0074】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPだけでなく、フィニッシャーも含んでいるが、MFPだけであっても良い。
【0075】
本発明の画像形成装置は、本実施の形態においてMFPであるが、プリンター専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0076】
10 画像形成システム
20 MFP(画像形成装置)
21a 制御実行手段
25 プリンター(印刷部)
31 供給装置
35 定着ローラー(制御対象物、トナー定着部)
36 加圧ローラー(制御対象物)
38 排出トレイ(媒体排出部)
39 搬送部(制御対象物、本体側媒体搬送部)
50 サイドマルチトレイ(補助供給装置)
51a トレイ(媒体収納部)
53 媒体特性センサー
54 媒体搬送部(補助側媒体搬送部)
55 搬送路
70 フィニッシャー(画像形成装置)
71、72 排出トレイ(媒体排出部)
73 搬送部(制御対象物、本体側媒体搬送部)
91 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷を実行する印刷部と、前記記録媒体を供給する供給装置とを備えている画像形成装置と、前記画像形成装置に接続されて前記画像形成装置に前記記録媒体を供給する補助供給装置とを備えており、
前記補助供給装置は、前記記録媒体を収納する複数の媒体収納部と、前記記録媒体の特性の検知を実行する媒体特性センサーとを備えており、
前記画像形成装置は、印刷に関する制御の対象物である制御対象物と、前記媒体特性センサーの検知結果に基づいて前記制御対象物の制御を実行する制御実行手段とを備えており、
前記媒体特性センサーは、複数の前記媒体収納部に対して共通であって、前記記録媒体が前記補助供給装置から前記画像形成装置に入る前に前記検知を実行する位置に配置されていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記補助供給装置は、前記媒体収納部に収納されている前記記録媒体の前記画像形成装置側とは反対側の端を先端として前記記録媒体を前記画像形成装置に搬送する補助側媒体搬送部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記補助供給装置は、前記媒体収納部から前記画像形成装置までの前記記録媒体の搬送路が形成されており、
前記媒体特性センサーは、全ての前記媒体収納部に対する前記搬送路が合流している部分の最上流の位置に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記制御対象物は、前記記録媒体を搬送する本体側媒体搬送部であり、
前記制御実行手段は、前記本体側媒体搬送部による前記記録媒体の搬送の速度を制御することを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御対象物は、トナーによって形成された画像であるトナー画像を前記記録媒体に定着させるトナー定着部であり、
前記制御実行手段は、前記トナー定着部による前記トナー画像の定着の温度を制御することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記記録媒体を排出するための複数の媒体排出部を備えており、
前記制御対象物は、前記記録媒体を搬送する本体側媒体搬送部であり、
前記制御実行手段は、前記本体側媒体搬送部によって前記複数の媒体排出部の何れに前記記録媒体を排出するかを制御することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−29735(P2013−29735A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166798(P2011−166798)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】