説明

画像形成方法および画像形成装置

【課題】偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ラインずつの並行した露光を行う。
【解決手段】Lを偶数として主走査・副走査方向にL×L画素単位でパッキングされた単位画像データとして記憶部に画像データを記憶し、回転多面鏡の回転により発光素子からの3以上の奇数Nの並行した露光で画像形成する際に、前記回転多面鏡のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出し、この読み出された複数の単位画像データをアンパッキングし、前記L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配し、前記Nラインずつの露光用の画像データにより前記発光素子を発光させる際において、画像形成の副走査方向の先端位置を変更する場合には前記単位画像データの読み出しタイミングをL×Nライン単位で制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成方法および画像形成装置に関し、特に、感光体への露光を奇数ラインの露光を並行して行う場合の効率的なデータ処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、大容量のハードディスクドライブ(以下、HDD)などの記憶部を備えて画像データを蓄積しておき、このように蓄積された画像データを所望のタイミングで記憶部から読み出して画像形成するといった使用方法がある。
【0003】
なお、近年の画像形成装置は、高速に高精細な画像形成を行うため、発光素子から感光体に対して、副走査方向に複数の露光を並行して行うものがある。
【0004】
ところで、図7(a)に示すように、発光素子から偶数4ライン分の発光を行い、ポリゴンミラー1面の走査で4ライン(1−1〜1−4)の走査を行う画像形成装置が存在しているとする。
【0005】
この画像形成装置の場合、4ラインずつの並行した走査によって画像形成を高速に行うことが可能である。この場合、感光体を副走査方向に駆動することで、ポリゴンミラーの次の面では、図7(b)に示すように、先ほどの1−4のラインの次に更に4ライン(2−1〜2−4)の画像形成を行うようにする。以下、これを繰り返して、1面分の画像形成を行う。
【0006】
ところで、ポリゴンミラーの回転数(主走査速度)を2倍にして、この画像形成装置の発光素子の4ライン分のうちの3ライン分(1−1〜1−3)の発光を行い(図7(c))、1−2と1−3のラインの間にポリゴンミラーの次の面の走査の1ライン目(2−1)がくるように露光が重なるように補間した状態で、発光素子の4ライン分のうちの3ライン分(2−1〜2−3)の発光を行う(図7(d))。
【0007】
同様に、ポリゴンミラーの次の面の2−2と2−3のラインの間にポリゴンミラーの更に次の走査の1ライン目(3−1)がくるように露光が重なるように補間した状態で、発光素子の4ライン分のうちの3ライン分(3−1〜3−3)の発光を行う(図7(e))。
【0008】
これをくり返すことで、単純の4ラインの露光による画像形成と比べて2倍の画像形成密度とすることができる。
【0009】
なお、これは、nを正の整数とした場合、2nの発光が可能な画像形成装置において、2n−1の奇数ラインの発光を行い、このうちのnとn+1ラインの間に次のタイミングの1ライン目の露光が重なるように重ねつつ画像形成を行うことを意味している。なお、以下の特許文献1−3などにも、このような補間した状態の画像形成について提案がなされている。
【0010】
また、厚紙など記録紙の定着性を向上させるため、画像形成速度を3/4にする場合には、感光体の副走査速度を3/4にすると共に、図7(a)〜(b)のような露光を3ライン分ずつ繰り返すことで実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−69063号公報
【特許文献2】特開2003−266756号公報
【特許文献3】特開2009−160812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
なお、以上の図7のような複数ラインの露光を行う画像形成装置の場合、画像データをそのままの状態でHDDに記憶させるのではなく、所定の画素数毎にまとめてパッキングすることが行われる。このようなパッキングをすることで、画像データの取り扱いが容易になり、また、高速に扱えるというメリットがある。たとえば、主走査方向と副走査方向に2×2画素といった偶数画素単位でパッキングされた単位画像データとして画像データを記憶する。
【0013】
たとえば、以上の図7(a)(b)のような画像形成装置の場合、4ライン分の並行した画像形成を行うには、2×2画素でパッキングされた単位画像データを2つずつHDDから読み出すことで、効率的に4ライン分の画像形成用データを生成することができる。
【0014】
ところが、図7(c)以降の奇数3ライン分の並行した画像形成を行う場合には、図8(a)に示すように、まず、2×2画素の単位画像データを2つ読み出して、4ライン分の画像形成用データを生成し、3ライン分の画像形成用データで画像形成を行うと共に、1ライン分は別途ラインメモリを用意して保持しておく。次の3ライン分の並行した画像形成を行う場合には、2×2画素の単位画像データを1つ読み出して、2ライン分の画像形成用データを生成し、先ほどラインメモリに保持しておいた1ライン分の画像形成用データと合わせて3ライン分の画像形成用データを生成する。以下、このような動作を繰り返す。
【0015】
すなわち、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ライン分の並行した画像形成を行うためには、以上のような不均等な単位画像データの読み出し、余り分の画像形成用データの保持と付加、といった複雑で非効率的な処理が必要になる。また、以上の不均等な単位画像データの読み出しを行うには、単位画像データの読み出し個数の変更と、読み出しタイミングの変更とが必要となる。
【0016】
さらに、画像形成の露光先端位置を3ライン分下げる制御を行う場合、各タイミングを3ライン分遅らせる必要があるため、図8(b)に示すように、図8(a)と異なるタイミングで制御をする必要がある。
【0017】
この場合、図8(a)と図8(b)とを比較すると、単位データの読み出し個数、ラインメモリへの保持、ラインメモリからの読み出し加算、の各処理の状態が反転した状態になっている。すなわち、複雑な処理を更に変更するように制御しなければならない。
【0018】
なお、特開平8−76043号公報に先端位置制御についての開示がなされているものの、このような奇数露光時におけるタイミング制御については何ら対策が記載されていない。
【0019】
本発明は、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ラインずつの並行した露光を行う際の先端位置を変更する場合にも複雑なタイミング変更を必要とせずに画像形成を効率よく実行することが可能な画像形成方法および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述した課題を解決する本願発明は、以下に述べる通りである。
【0021】
この発明は、主走査方向と副走査方向にL×L画素(ここでLは、正の整数であり偶数)単位でパッキングされた単位画像データとして記憶部に画像データを記憶しており、発光素子からの3以上の奇数Nの並行した露光を回転多面鏡の回転により感光体上に走査してNラインずつ画像を形成する際に、前記回転多面鏡のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出し、この読み出された複数の単位画像データをアンパッキングし、前記L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配し、前記Nラインずつの露光用の画像データにより前記発光素子を発光させ、前記発光素子からのNラインの露光を回転多面鏡各面で走査するよう制御する際において、画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には前記単位画像データの読み出しタイミングを変更することにより該先端位置をL×Nライン単位で制御する、ことを特徴とする。
【0022】
ここで、前記回転多面鏡のL面の走査周期毎に、均等に単位画像データを前記記憶部から読み出す、ことを特徴とする。
【0023】
なお、前記回転多面鏡の各面の走査周期毎のインデックス信号を生成し、該インデックス信号から前記回転多面鏡のL面の走査周期毎の疑似インデックス信号を生成し、前記疑似インデックス信号の周期において、L×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出す、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
この発明では、正の偶数をLとした場合、主走査方向と副走査方向にL×L画素単位でパッキングされた単位画像データとして記憶部に画像データを記憶しており、発光素子からの3以上の奇数Nの並行した露光を回転多面鏡の回転により感光体上に走査してNラインずつ画像を形成する際に、前記回転多面鏡のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出してアンパッキングし、前記L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配し、前記Nラインずつの露光用の画像データにより前記発光素子を発光させてNラインの露光を行う際において、画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には前記単位画像データの読み出しタイミングを変更することにより該先端位置をL×Nライン単位で制御することで、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ラインずつの並行した露光による画像形成とその副走査方向先端位置制御において、不均等な単位画像データの読み出しや余り分の画像形成用データの保持と付加といった複雑で非効率的な処理を必要とせずに効率よく実行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図4】本発明の実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図5】本発明の実施形態の動作を示すタイムチャートである。
【図6】本発明の画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図7】奇数ラインずつの画像形成の様子を示す説明図である。
【図8】奇数ラインずつの画像形成における先端位置制御の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の画像形成方法および画像形成装置を実施するための形態(実施形態)を詳細に説明する。
【0027】
〔画像形成装置の構成〕
第一実施形態の電子写真方式の画像形成装置100の構成を、図1に基づいて詳細に説明する。なお、画像形成装置100として既知であって、本実施形態の特徴的な動作や制御に直接に関係しない一般的な部分についての説明は省略してある。
【0028】
図1に示す画像形成装置100は、各部を制御する全体制御部101、操作者が各種操作入力を行うと共に各種表示を行う操作表示部105、外部からの画像データの供給を受けるプリンタコントローラ110、原稿を読み取って画像データを生成するスキャナ120、入力画像データに対して入力画像処理を施す入力画像処理部130、画像データや各種データを記憶する記憶部140、記憶部140で記憶された画像データに対して出力画像処理を施す出力画像処理部150、画像データに基づいて記録紙上に画像を形成するプリントエンジン160、を備えて構成されている。なお、プリンタコントローラ110やスキャナ120については、画像形成装置100の外部に存在していても良い。
【0029】
ここで、全体制御部101は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。ここで、CPUは、RAMの所定領域をワークエリアとし、ROMに記憶されている各種プログラムを実行して、画像形成装置100の各部を統括的に制御する。
【0030】
ここで、操作表示部105は、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスを備え、入力される各種指示信号を全体制御部101に送信する。また、操作表示部105は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等の表示手段を備え、全体制御部101から入力される各種画像データを表示する。なお、この操作表示部は操作部と表示部が別であってもよいが、表示されたアイコンあるいはキー(以下、「キー」と呼ぶ)を押下するタッチパネルであってもよい。
【0031】
入力画像処理部130は、スキャナ120で得られた入力画像データに対して、シェーディング補正、変倍処理、傾き補正処理、色変換(RGB→YMCK)などの入力画像処理を施す。なお、入力画像処理部130は、プリンタコントローラ110経由で得られた入力画像データに対しても、必要に応じて入力画像処理を施す。
【0032】
出力画像処理部150は、記憶部140で記憶された画像データに対して、画像形成に必要なプリンタガンマ変換、誤差拡散処理、微小変倍処理などの出力画像処理を施す。
【0033】
プリントエンジン160は、電子写真方式や各種方式の画像形成部や印刷装置であり、複写機やプリンタやファクシミリ装置などにおいて所定の記録紙上に画像を形成して出力するものである。なお、このプリントエンジン160は、レーザダイオードなどの発光素子からの光ビームをポリゴンミラーなどの回転多面鏡(以下、ポリゴンミラー)によって走査光にして、感光体上に露光を行うものである。
【0034】
さらに、この実施形態のプリントエンジン160では、発光素子からの3以上の奇数Nの並行した露光をポリゴンミラーの回転により感光体上に走査してNラインずつ画像を形成することが可能に構成されている。なお、この実施形態のプリントエンジン160では、発光素子からの偶数N+1の並行した露光をポリゴンミラーの回転により感光体上に走査してN+1ラインずつ画像を形成することも可能に構成されている。
【0035】
また、記憶部140は、記憶に関する各種制御を実行する記憶制御部141、バースト転送が可能なDDR SDRAM(Double-Data-Rate Synchronous Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリを使用して一度に転送できるメモリ量を増大させた状態で画像データを記憶する画像メモリ142、画像データなどを不揮発性記憶するHDD(Hard Disc Drive)143、を備えて構成される。
【0036】
ここで、HDD143は、画像形成の際の主走査方向(ポリゴンミラーによる露光の走査方向)と副走査方向(走査光に対する感光体の相対移動方向)にL×L画素(ここで、Lは正の整数であり偶数)単位でパッキングされた単位画像データとして画像データを記憶している。ここで、この実施形態において、パッキングとは、複数のデータを所定の処理によりまとめた状態にすることを意味する。なお、ここでは、大容量の記憶装置としてHDDを具体例にしているが、半導体記憶装置などに置き換えることも可能である。
【0037】
そして、記憶制御部141は、ポリゴンミラーのL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを記憶部としてのHDD143から読み出し、読み出された複数の単位画像データを画像メモリ142上でアンパッキングし、L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配するよう制御する。なお、この実施形態において、アンパッキングとは、パッキングされた複数のデータを分解して元の状態に戻すことを意味する。
【0038】
なお、全体制御部101と記憶制御部141とで、後述するように本実施形態の特徴的な動作を実現しており、請求項における制御部を構成している。
【0039】
なお、以上のように複数ラインを並行して画像形成するプリントエンジン160について、図6に構成を示す。なお、この図6では、紙面の都合により、2ラインの露光を行う状態を示している。
【0040】
プリントエンジン160内では、露光用の画像データに応じて、発光素子1601が複数の光ビームを発生する。そして、発光素子1601からの光ビームは、ポリゴンミラー1610の回転により主走査方向に走査される。ポリゴンミラー1610で走査された光ビームは、fθレンズ1620により等速で走査するように調整される。さらに、シリンドリカルレンズ1630を通過して感光体1650に書き込まれる。
【0041】
そして、この主走査方向の露光を行いつつ、感光体1650を回転させることで副走査を行う。すなわち、主走査方向の露光を副走査方向に繰り返すことで、1頁分の画像形成を実行している。また、主走査方向の露光については、Nラインずつ並行して行う。
【0042】
なお、ポリゴンミラー1610で走査された光ビームの一部はインデックスセンサ1640に導かれて、主走査の基準位置の露光タイミング示すインデックス信号が生成される。
【0043】
〔画像形成装置の動作〕
ここで、第一実施形態の画像形成装置100の動作である画像形成方法について、図2のフローチャート、図3−4のタイムチャートを参照して説明する。
【0044】
ここで、この実施形態のプリントエンジン160では、発光素子から偶数4ライン分の発光(図7(a)参照)を順次繰り返し行って画像形成を実行することと、発光素子から奇数3ライン分の発光(図7(c))を繰り返し行うこと、の切り替えが可能であるとする。
【0045】
また、HDD143は、画像形成の際の主走査方向(ポリゴンミラーによる露光の走査方向)と副走査方向(走査光に対する感光体の相対移動方向)に、L×L画素単位でパッキングされた単位画像データとして画像データを記憶しているものとする。なお、以下の具体例では、L=2として説明する。
【0046】
すなわち、以上の図7(a)のような場合、4ライン分の並行した画像形成を行うには、2×2画素でパッキングされた単位画像データを2つずつHDD143から読み出すことで、効率的に4ライン分の画像形成用データを生成することができる。
【0047】
そして、以上の図7(c)のような場合、すなわち請求項におけるNを3として、奇数3ライン分の並行した画像形成を行う際に、請求項におけるL=2として2×2画素でパッキングされた単位画像データを、どのように読み出し制御するか、さらに、奇数3ラインずつの並行した露光を行う際の先端位置を変更する場合にも複雑なタイミング変更を必要とせずに画像形成を効率よく実行すること、について、以下に説明する。
【0048】
まず、全体制御部101は、発光素子の4ライン分のうちの3ライン分の発光を行う場合に、ポリゴンミラー1610の回転数、感光体1650の副走査方向駆動速度、記憶部140での画像処理など各部を制御する(図2中のステップS101)。すなわち、厚紙など記録紙の定着性を向上させる場合に画像形成速度を3/4にする場合には、感光体の副走査速度を3/4にすると共に、露光を3ライン分ずつ繰り返すよう、全体制御部101が各部を制御する。また、ポリゴンミラー1610の回転数(主走査速度)を通常状態の画像形成の2倍にして、発光素子の4ライン分のうちの3ライン分の発光を行うことで、図7(c)〜(e)のように露光が重なるように、全体制御部101が各部を制御する。
【0049】
また、プリントエンジン160内のインデックスセンサ1640によりポリゴンミラー1610の回転に応じた露光を検知してマスターインデックス信号(図3(a))を生成しているが、ポリゴンミラー1610のL面(ここでは、L=2)の走査周期毎にL×N(ここでは、2×3)ラインの露光に必要な複数の単位画像データをHDD143から読み出すため、マスターインデックス信号(図3(a))のパルスを1/L(ここでは、1/2)に間引いて周期をL倍(ここでは2倍)にした疑似インデックス信号を全体制御部101が生成する(図3(a’)参照)。なお、図3(a’)で破線で囲んだ部分が、マスターインデックス信号から削除された部分である。
【0050】
さらに、全体制御部101は、この疑似インデックス信号の周期、すなわち、ポリゴンミラー1610のL面の走査周期毎に、L×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データをHDD143から読み出すために、この疑似インデックス信号の周期内をN(ここでは、3)分割したタイミング信号である処理インデックス信号#1を生成する(図3(b))。
【0051】
ここで、全体制御部101は、画像の余白の設定などを参照し、画像形成の副走査方向における先端位置を変更する必要があるか否かを判断する(図2中のステップS102)。
【0052】
画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には(図2中のステップS102でYES)、該先端位置をL×Nライン単位で、以下の単位画像データの読み出しタイミングを変更するように全体制御部101が制御する。この実施形態の場合には、L×N=2×3=6ライン毎に、以下の単位画像データの読み出しタイミングを変更する(図2中のステップS103)。なお、L×Nライン未満で先端位置を変更する場合には、先端位置に達するまでの期間におけるポリゴンミラー1610の回転位相を変更することで対処することができる。
【0053】
図3のタイムチャートにおいて先端位置を変更しない場合における単位画像データの読み出しタイミングがt_a'1である場合に、先端位置を6ライン分遅らせる場合における単位画像データの読み出しタイミングはt_a'2(図4参照)、先端位置を12ライン分遅らせる場合における単位画像データの読み出しタイミングはt_a'3になる。
【0054】
そして、以上の読み出しタイミングと処理インデックス信号#1とに従い、記憶制御部141は、L面の走査周期毎においてL×Nラインの露光に必要な6ライン分の単位画像データを、HDD143から読み出す(図2中のステップS104,図3(c))。ここで、単位画像データはL×L画素単位でパッキングされているため、Nセット分をHDD143から均等なタイミングで読み出す。図3(c)では、先端位置を変更しない場合における単位画像データの読み出しタイミングがt_a'1である場合に、(1−2),(3−4),(5−6)のように、L面の走査周期毎に3セット分を均等なタイミングにより読み出している。
【0055】
さらに、全体制御部101は、この疑似インデックス信号の周期、すなわち、ポリゴンミラー1610のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な画像データをアンパッキングして処理するために、処理インデックス信号#1をL分割したタイミング信号である処理インデックス信号#2を生成する(図3(d)参照)。ここでは、処理インデックス信号#1を2分割した処理インデックス信号#2を生成する(図3(d)参照)。そして、記憶制御部141は、処理インデックス信号#2(図3(d))のタイミングに従って、読み出された6ライン分の単位画像データを画像メモリ142上でアンパッキングする。
【0056】
そして、プリントエンジン160内のインデックスセンサ1640によりポリゴンミラー1610の回転に応じて生成されるポリゴンインデックス信号(図3(f))に応じて、記憶制御部141は、L面(ここでは2面)のそれぞれについて、合計L×Nライン(ここでは6ライン)の画像データを各面毎Nライン(ここでは3ライン)ずつの露光用の画像データとして分配する((図2中のステップS105)、図3(e),(g))。
【0057】
そして、全体制御部101は、以上のように分配されたNライン(3ライン)ずつの露光用の画像データに応じて、出力画像処理部150とプリントエンジン160で所定の処理を実行させ、ポリゴンミラー1610の各面毎にNライン(3ライン)ずつの露光用の画像データにより発光素子を発光させて画像形成を実行する(図2中のステップS106、図3(g))。
【0058】
そして、全体制御部101と記憶制御部141との制御により、以上のポリゴンミラー1610のL面(ここでは2面)毎にまとめた処理を、画像形成が完了するまで繰り返す(図2中のステップS107)。すなわち、同じタイミングの処理を繰り返す。
【0059】
なお、以上の図3のタイムチャートでは先端位置を変更しない場合における単位画像データの読み出しタイミングがt_a'1である場合を示しており、図4のタイムチャートでは先端位置を6ライン分遅らせる場合における単位画像データの読み出しタイミングt_a'2の場合を示している。
【0060】
ここで図3と図4とを比較すると、単位画像データの読み出しタイミングを6ライン単位で変更した場合、該6ライン分の遅れが発生しているのみであって図8のようなタイミング変更(不均等タイミングの反転)は発生せず、処理インデックス信号#1,処理インデックス信号#2,その他の制御に変更が生じていないことが明らかである。
【0061】
すなわち、先端位置を6ライン分遅らせる場合における単位画像データの読み出しタイミングt_a'2、先端位置を12ライン分遅らせる場合における単位画像データの読み出しタイミングt_a'3のいずれであっても、また、図示されないその他の読み出しタイミングであっても、本実施形態によれば、処理インデックス信号#1,処理インデックス信号#2,その他の制御が複雑に変化することはない。
【0062】
なお、本実施形態の画像形成装置では、図5に示すように、主走査方向と副走査方向に2×2画素単位でパッキングされた単位画像データを用いて、発光素子からの偶数4ラインの並行した露光により画像形成することも可能である。この偶数ラインの露光の場合には、単位画像データと露光数とが整数比になっているため、図3や図4の疑似インデックス信号のような特別なタイミング信号は必要ない。
【0063】
以上のように、この実施形態では、主走査方向と副走査方向に2×2画素単位でパッキングされた単位画像データとしてHDD143に画像データを記憶しており、発光素子からの奇数3ラインの並行した露光をポリゴンミラー1610の回転により感光体1650上に走査して3ラインずつ画像を形成する際に、ポリゴンミラーの2面の走査周期毎に2×3ラインの露光に必要な複数の単位画像データをHDD143から読み出してアンパッキングし、2面のそれぞれについて3ラインずつの露光用の画像データを分配し、3ラインずつの露光を行うようにしている。このため、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において、奇数ラインずつの並行した露光による画像形成を、不均等な単位画像データの読み出しや余り分の画像形成用データの保持と付加といった複雑で非効率的な処理を必要とせずに、効率よく実行することが可能になる。すなわち、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ライン分の並行した画像形成を行うためには、従来では4,2,4,2,…といった不均等な単位画像データの読み出し、余り1ライン分の画像形成用データの保持と付加、といった複雑で非効率的な処理、これらを実現する調停回路といったものが必要になっていた。しかし、本実施形態では均等な処理で済むため、このような複雑なタイミングの処理が不要になり、効率のよい処理が可能になる。
【0064】
また、この実施形態では、主走査方向と副走査方向に2×2画素単位でパッキングされた単位画像データとしてHDD143に画像データを記憶しており、発光素子からの奇数3ラインの並行した露光をポリゴンミラー1610の回転により感光体1650上に走査して3ラインずつ画像を形成する際に、ポリゴンミラーの2面の走査周期毎に2×3ラインの露光に必要な複数の単位画像データをHDD143から読み出してアンパッキングし、2面のそれぞれについて3ラインずつの露光用の画像データを分配し、3ラインずつの露光を行う際において、画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には単位画像データの読み出しタイミングを変更することにより該先端位置を2×3=6ライン単位で制御することで、偶数ライン分の並行した画像形成を行うことを前提として偶数の単位画像データを記憶している画像形成装置において奇数ラインずつの並行した露光による画像形成とその副走査方向先端位置制御において、不均等な単位画像データの読み出しや余り分の画像形成用データの保持と付加といった複雑で非効率的な処理を必要とせずに効率よく実行することが可能になる。
【0065】
なお、以上の実施形態では、L=2、N=3の場合を具体例にしてきたが、これらに限定されるものではなく、各種の数値において同様な処理が可能になる。
【0066】
また、以上の実施形態は、モノクロ画像形成だけでなく、カラー画像形成において各色の画像形成に適用することが可能である。すなわち、モノクロ画像形成における先端位置だけでなく、カラー画像形成における先端位置の調整および各色の先端位置合わせに、本実施形態を適用することが可能である。
【符号の説明】
【0067】
100 画像形成装置
101 全体制御部
105 操作部
110 プリントコントローラ
120 スキャナ
130 入力画像処理部
140 記憶部
141 記憶制御部
142 画像メモリ
143 HDD
150 出力画像処理部
160 プリントエンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Lを偶数とした場合に主走査方向と副走査方向にL×L画素単位でパッキングされた単位画像データとして記憶部に画像データを記憶しており、
発光素子からの3以上の奇数Nの並行した露光を回転多面鏡の回転により感光体上に走査してNラインずつ画像を形成する画像形成方法であって、
前記回転多面鏡のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出し、
この読み出された複数の単位画像データをアンパッキングし、前記L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配し、
前記Nラインずつの露光用の画像データにより前記発光素子を発光させ、
前記発光素子からのNラインの露光を回転多面鏡各面で走査するよう制御する際において、
画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には前記単位画像データの読み出しタイミングを変更することにより該先端位置をL×Nライン単位で制御する、
ことを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記回転多面鏡のL面の走査周期毎に、均等に単位画像データを前記記憶部から読み出す、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記回転多面鏡の各面の走査周期毎のインデックス信号を生成し、
該インデックス信号から前記回転多面鏡のL面の走査周期毎の疑似インデックス信号を生成し、
前記疑似インデックス信号の周期において、L×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出す、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項4】
Lを偶数とした場合に主走査方向と副走査方向にL×L画素単位でパッキングされた単位画像データとして画像データを記憶する記憶部と、
少なくとも奇数Nの並行した画像データに応じた発光が可能な発光素子と、
前記発光素子からの奇数Nの並行した発光を感光体上に走査する回転多面鏡と、
前記回転多面鏡による露光の走査と直交する方向に相対的に移動することでNラインずつ画像が形成される感光体と、
前記回転多面鏡のL面の走査周期毎にL×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出し、この読み出された複数の単位画像データをアンパッキングし、前記L面のそれぞれの面についてNラインずつの露光用の画像データを分配し、前記Nラインずつの露光用の画像データにより前記発光素子を発光させ、前記発光素子からのNラインの露光を回転多面鏡各面で走査するよう制御する際において、画像形成の副走査方向における先端位置を変更する場合には前記単位画像データの読み出しタイミングを変更することにより該先端位置をL×Nライン単位で制御する制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記回転多面鏡のL面の走査周期毎に、均等に単位画像データを前記記憶部から読み出すよう制御する、
ことを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記回転多面鏡の各面の走査周期毎のインデックス信号を生成し、
該インデックス信号から前記回転多面鏡のL面の走査周期毎の疑似インデックス信号を生成し、
前記疑似インデックス信号の周期において、L×Nラインの露光に必要な複数の単位画像データを前記記憶部から読み出す、
よう制御することを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−161984(P2012−161984A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23820(P2011−23820)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】