説明

画像形成方法及び画像形成装置

【課題】本発明は、短波長レーザー光に対し、高感度で、且つ高密度の静電潜像を形成でき、高画質のトナー画像を得ることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【解決手段】有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した層構造を有し、前記レーザー光の波長(Eλ)での電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)が、電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短波長光源を用いて像露光を行い高画質化を実現した電子写真画像を得ることができる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、印刷分野やカラー印刷の分野において、電子写真方式の複写機やプリンターを使用される機会が増加している。該印刷分野やカラー印刷の分野においては、高画質のデジタルのモノクロ画像或いはカラー画像を求める傾向が強い。このような要求に対し、露光光源として短波長のレーザー光を用い、高精細のデジタル画像を形成することが提案されている(特許文献1)。しかしながら、該短波長レーザー光を用い、露光のドット径を絞り、電子写真感光体上に細密の静電潜像を形成しても、最終的に得られる電子写真画像は、十分な高画質を達成し得ていないのが現状である。その原因の1つは、従来の長波長用に開発された電子写真感光体を用いた場合は、短波長レーザー光では、感度等の電子写真特性が十分に満たされないことが挙げられる。
【0003】
一方、このような観点から、短波長レーザー光に対応した電子写真感光体の開発技術が提案され、そのような技術の中で、導電性支持体上に下引き層と電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した有機感光体において、電荷発生層の電荷発生物質として、縮合多環系顔料を電荷発生物質として使用する有機感光体が提案されている(特許文献2)。
【0004】
しかし、短波長光レーザーを用いて、所望の感度や電位特性を満たしただけでは、尚、高画質のデジタル画像を得る為の条件は整っていないのが実情である。
【0005】
その原因の1つとしては、中間層に酸化チタン等を含有した有機感光体への露光に対し、有機感光体の最大感度が得られる波長で像露光を行うと、有機感光体の支持体と感光層の間に存在する中間層の露光波長の散乱が大きくなり、この散乱光の影響で、デジタルの静電潜像がクリアに形成されにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−250239号公報
【特許文献2】特開2000−47408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされた。即ち、短波長レーザー光に対し、高感度で、且つ高密度の静電潜像を形成でき、高画質のトナー画像を得ることが可能な画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記のような課題を達成するためには、有機感光体への潜像形成の為の像露光光源の波長が、有機感光体の電荷発生層の分光吸収スペクトルと特定の関係を有することにより、酸化チタン等の散乱性微粒子を含有した有機感光体でも、静電潜像がクリアに形成でき、その結果として、高画質のトナー画像を得ることができることを見出し、本願発明を達成した。
【0009】
即ち、本願発明は、以下のような構成を有する画像形成方法を用いることにより達成される。
【0010】
1.有機感光体に帯電電位を付与し、該帯電電位を付与された有機感光体に、波長が350〜500nmの範囲にあるレーザー光を用いて像露光を行い、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成方法において、前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した層構造を有し、前記レーザー光の波長(Eλ)での該電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)が、該電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍であることを特徴とする画像形成方法。
【0011】
2.前記中間層が酸化チタンを含有していることを特徴とする前記1に記載の画像形成方法。
【0012】
3.前記最大分光吸収強度(Amax)が極大分光吸収強度であることを特徴とする前記1又は2に記載の画像形成方法。
【0013】
4.前記1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の画像形成方法を用いることにより、短波長レーザー光による像露光に対し、ドット画像や細線の再現性が高い高画質の電子写真画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の画像形成装置の機能が組み込まれた概略図である。
【図2】本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【図3】本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置の構成断面図である。
【図4】感光体1の電荷発生層の分光吸収スペクトルの図である。
【図5】感光体2の電荷発生層の分光吸収スペクトルの図である。
【図6】感光体3の電荷発生層の分光吸収スペクトルの図である。
【図7】感光体4の電荷発生層の分光吸収スペクトルの図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願発明の画像形成方法は、有機感光体に帯電電位を付与し、該帯電電位を付与された有機感光体に、波長が350〜500nmの範囲にあるレーザー光を用いて像露光を行い、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成方法において、前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した層構造を有し、前記レーザー光の波長(Eλ)での電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)が、電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍であることを特徴とする。
【0017】
上記画像形成方法を用いることにより、短波長レーザー光による像露光に対し、ドット画像や細線の再現性が高い高画質の電子写真画像を提供することができる。
【0018】
本願発明は、発振波長が350〜500nmの範囲にあるレーザー光を露光光として用い、有機感光体上に、高密度の静電潜像を形成し、該静電潜像をトナー像に顕像化して、電子写真画像を得る画像形成方法に関するものである。
【0019】
本願発明のレーザー光の波長は350〜500nmの範囲に発振波長を有するものであり、このような従来よりも波長の短いレーザー光は、照射スポットをより小さく絞ることが可能であるために、本発明の波長範囲のレーザー光を用いて、有機感光体に像露光することにより、高密度のドットを書き込むことができる。
【0020】
しかしながら、高密度のドットを書き込んだとしても有機感光体の表面に形成される潜像が照射スポットの形状、大きさを忠実に再現しなければ、目的とする高画質な画像を得ることは出来ない。当然、その後の現像プロセス、転写プロセス、定着プロセスでも画質の劣化は存在するが、初期の段階である潜像形成は、高画質化を達成するための重要な因子である。
【0021】
そのため、発明者等は鋭意検討した結果、ドット画像や細線の再現性が高い高画質の画像を得るためには、感光体の構成を中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した有機感光体とし、前記レーザー光の波長(Eλ)での電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)が、電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍にすることで達成できることを見出した。
【0022】
上記の構成が、高画質を得るために効果的であることの理由は、以下のような理由によるものと推定される。
【0023】
感光体の分光感度が最大の波長とレーザー光の波長を合致させると、レーザー露光によるドット潜像は、容易に形成されるが、感光体の中間層等から散乱反射されるレーザーの散乱光に対しても影響を受けやすく、これら散乱光により、ドット潜像がぼけやすい。その結果、トナー像としてのドット画像のクリアさが劣化する。このような現象を防ぐためには、レーザー光に対する感光体の感度を十分に保持した上で、散乱光の影響を小さくするため、レーザー光の波長に対応する感光体の分光吸収強度を本願発明の構成にすることが必要になったと推定される。
【0024】
電荷発生層の分光吸収スペクトル分布において、350〜600nmの波長範囲の最大分光吸収強度(Amax)を基準にとることにより、本願発明の露光波長を用いる場合の感光体の感度を十分確保することができる。
【0025】
また、レーザー光の波長(Eλ)での電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)を、電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍にすることで、感度を十分確保した上で、散乱光によるドット潜像の拡大を防ぎ、露光パターンに忠実な潜像を形成することができる。特に好ましくは、0.35〜0.65である。0.20より小さいと感度が不足して画像濃度やコントラストが低く問題となる場合がある。0.65より大きいとドット潜像がぼけやすく目標とする画質を得ることが出来ない場合がある。
【0026】
ここで、電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトルについて、その測定方法等について記載する。
【0027】
電荷発生層の分光吸収スペクトルの測定試料は、後記する電荷発生層を各感光体の電荷発生層と同じ膜厚で、石英板上に塗布乾燥し作製する。
【0028】
上記で作製した測定試料を、紫外可視分光光度計V−530(日本分光(株)製)にて測定し(走査速度1000nm/min)、該測定結果の分光吸収スペクトル分布のチャートから、最大分光吸収強度(Amax)(最大吸収強度の値のこと)、やレーザー光の波長(Eλ)に対応する分光吸収強度(Eλに対応する吸収強度の値)等を読みとる。
【0029】
前記電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布で、最大分光吸収強度(Amax)とは、図4〜図7では、図中、*印の位置の吸収値である。
【0030】
また、極大分光吸収強度とは、前記波長範囲に存在するピークの強度を意味する。
【0031】
次に、本願発明に係わる有機感光体の構成について記載する。
【0032】
本発明において、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能を有機化合物に持たせて構成された電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能を高分子錯体で構成した感光体等公知の有機感光体を全て含有する。
【0033】
本発明の有機感光体の感光層の構成は、導電性支持体上に、少なくとも中間層、電荷発生層と電荷輸送層を順次積層した構成を有する。
【0034】
導電性支持体
感光体に用いられる導電性支持体としてはシート状、円筒状のどちらを用いても良いが、画像形成装置をコンパクトに設計するためには円筒状導電性支持体の方が好ましい。
【0035】
円筒状導電性支持体とは回転することによりエンドレスに画像を形成できるに必要な円筒状の支持体を意味し、真直度で0.1mm以下、振れ0.1mm以下の範囲にある導電性の支持体が好ましい。この真直度及び振れの範囲を超えると、良好な画像形成が困難になる。
【0036】
導電性の材料としてはアルミニウム、ニッケルなどの金属ドラム、又はアルミニウム、酸化錫、酸化インジュウムなどを蒸着したプラスチックドラム、又は導電性物質を塗布した紙・プラスチックドラムを使用することができる。導電性支持体としては常温で比抵抗10Ωcm以下が好ましい。本発明の導電性支持体としては、アルミニウム支持体が最も好ましい。該アルミニウム支持体は、主成分のアルミニウム以外にマンガン、亜鉛、マグネシウム等の成分が混合したものも用いられる。
【0037】
中間層
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、中間層を設ける。
【0038】
本発明に用いられる中間層にはN型半導性粒子を含有することが好ましい。該N型半導性粒子とは、主たる電荷キャリアが電子である粒子を意味する。すなわち、主たる電荷キャリアが電子であることから、該N型半導性粒子を絶縁性バインダーに含有させた中間層は、基体からのホール注入を効率的にブロックし、また、感光層からの電子に対してはブロッキング性が少ない性質を有する。
【0039】
N型半導性粒子としては、酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)が好ましく、特に酸化チタンが特に好ましく用いられる。
【0040】
N型半導性粒子は数平均一次粒径が3.0〜200nmの範囲の微粒子を用いる。特に、5nm〜100nmが好ましい。数平均一次粒径とは、微粒子を透過型電子顕微鏡観察によって10000倍に拡大し、ランダムに100個の粒子を一次粒子として観察し、画像解析によってフェレ方向平均径としての測定値である。数平均一次粒径が3.0nm未満のN型半導性粒子は中間層バインダー中での均一な分散ができにくく、凝集粒子を形成しやすく、該凝集粒子が電荷トラップとなって残電上昇が発生しやすい。一方、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は中間層の表面に大きな凹凸を作りやすく、これらの大きな凹凸を通してドット画像が劣化しやすい。又、数平均一次粒径が200nmより大きいN型半導性粒子は分散液中で沈澱しやすく、凝集物が発生しやすく、その結果、ドット画像が劣化しやすい。
【0041】
前記酸化チタン粒子は、結晶型としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型及びアモルファス型等があるが、中でもルチル型酸化チタン顔料又はアナターゼ型酸化チタン顔料は、中間層を通過する電荷の整流性を高め、即ち、電子の移動性を高め、帯電電位を安定させ、残留電位の増大を防止すると共に、ドット画像の劣化を防止することができ、本発明のN型半導性粒子として最も好ましい。
【0042】
N型半導性粒子はシランカップリング剤や下式で表される反応性有機ケイ素化合物で表面処理したものが好ましい。
【0043】
(R)−Si−(X)4−n
(上式中、Siはケイ素原子、Rは該ケイ素原子に炭素が直接結合した形の有機基を表し、Xは加水分解性基を表し、nは0〜3の整数を表す。)
上式で表される有機ケイ素化合物において、Rで示されるケイ素に炭素が直接結合した形の有機基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ドデシル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチル、ビフェニル等のアリール基、γ−グリシドキシプロピル、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル等の含エポキシ基、γ−アクリロキシプロピル、γ−メタアクリロキシプロピルの含(メタ)アクリロイル基、γ−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピルオキシプロピル等の含水酸基、ビニル、プロペニル等の含ビニル基、γ−メルカプトプロピル等の含メルカプト基、γ−アミノプロピル、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピル等の含アミノ基、γ−クロロプロピル、1,1,1−トリフルオロプロピル、ノナフルオロヘキシル、パーフルオロオクチルエチル等の含ハロゲン基、その他ニトロ、シアノ置換アルキル基を挙げられる。また、Xの加水分解性基としてはメトキシ、エトキシ等のアルコキシ基、ハロゲン基、アシルオキシ基が挙げられる。
【0044】
また、上式で表される有機ケイ素化合物は、単独でも良いし、2種以上組み合わせて使用しても良い。
【0045】
また、上式で表される有機ケイ素化合物の具体的化合物で、nが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていても良い。同様に、nが2以下の場合、複数のXは同一でも異なっていても良い。又、上式で表される有機ケイ素化合物を2種以上を用いるとき、R及びXはそれぞれの化合物間で同一でも良く、異なっていても良い。
【0046】
本発明に用いられる中間層を形成するために作製する中間層塗布液は前記表面処理酸化チタン等のN型半導性粒子の他にバインダー樹脂、分散溶媒等から構成される。
【0047】
N型半導性粒子の中間層中での比率は、中間層のバインダー樹脂との体積比(バインダー樹脂の体積を1とすると)で0.5〜2.0倍が好ましい。中間層中でこのような高密度で本発明のN型半導性粒子を用いることにより、中間層の整流性が高まり、膜厚を厚くしても残留電位の上昇やドット画像の劣化を効果的に防止でき、良好な有機感光体を形成することができる。又、このような中間層はバインダー樹脂100体積部に対し、N型半導性粒子を100〜200体積部を用いることが好ましい。
【0048】
一方、これらの粒子を分散し、中間層の層構造を形成するバインダー樹脂としては、粒子の良好な分散性を得る為にポリアミド樹脂が好ましいが、特に以下に示すポリアミド樹脂が好ましい。
【0049】
中間層のバインダー樹脂としてはアルコール可溶性ポリアミド樹脂が好ましい。有機感光体の中間層のバインダー樹脂としては、中間層を均一な膜厚で形成するために、溶媒溶解性の優れた樹脂が必要とされている。このようなアルコール可溶性のポリアミド樹脂としては、前記した6−ナイロン等のアミド結合間の炭素鎖の少ない化学構造から構成される共重合ポリアミド樹脂やメトキシメチル化ポリアミド樹脂が知られているが、これ以外にも下記のようなポリアミドも好ましく用いることができる。
【0050】
【化1】

【0051】
又、上記ポリアミド樹脂の分子量は数平均分子量で5,000〜80,000が好ましく、10,000〜60,000がより好ましい。数平均分子量が5,000以下だと中間層の膜厚の均一性が劣化し、本発明の効果が十分に発揮されにくい。一方、80,000より大きいと、樹脂の溶媒溶解性が低下しやすく、中間層中に凝集樹脂が発生しやすく、黒ポチの発生やドット画像の劣化を起こしやすい。
【0052】
上記ポリアミド樹脂はその一部が既に市販されており、例えばダイセル・デグサ(株)製のベスタメルトX1010、X4685等の商品名で販売されて、一般的なポリアミドの合成法で作製することができる。
【0053】
本発明の中間層の膜厚は0.3〜10μmが好ましい。中間層の膜厚が0.5μm未満では、黒ポチ等が発生しやすく、ドット画像の劣化を起こしやすい。10μmを超えると、残留電位の上昇が発生しやすく、ドット画像が劣化しやすい。中間層の膜厚は0.5〜5μmがより好ましい。
【0054】
感光層
本発明の感光体の感光層構成は前記中間層上に電荷発生層(CGL)と電荷輸送層(CTL)に分離した構成をとるのがよい。機能を分離した構成を取ることにより繰り返し使用に伴う残留電位増加を小さく制御でき、その他の電子写真特性を目的に合わせて制御しやすい。負帯電用の感光体では中間層の上に電荷発生層(CGL)、その上に電荷輸送層(CTL)の構成を取ることが好ましい。
【0055】
以下に機能分離負帯電感光体の感光層構成について説明する。
【0056】
電荷発生層
本発明に用いられる電荷発生層は、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有し、電荷発生物質をバインダー樹脂溶液中に分散、塗布して形成したものが好ましい。
【0057】
本願発明に用いられる電荷発生物質には、340〜600nm範囲のいずれかの波長で分光吸収強度が高い、即ち、感度が高い電荷輸送物質を用いることが好ましい。このような電荷発生物質としては、縮合多環系化合物が挙げられるが、中でもピランスロン顔料や縮合多環キノン系顔料等の中から選択することができる。
【0058】
電荷発生層のバインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合体樹脂)及びポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
電荷発生層の形成は、バインダー樹脂を溶剤で溶解した溶液中に分散機を用いて電荷発生物質を分散して塗布液を調製し、塗布液を塗布機で一定の膜厚に塗布し、塗布膜を乾燥して作製することが好ましい。
【0060】
電荷発生物質の分散手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドグラインダー及びホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
バインダー樹脂に対する電荷発生物質の混合割合は、バインダー樹脂100質量部に対して電荷発生物質1〜600質量部が好ましく、さらに好ましくは50〜500部である。電荷発生層の膜厚は、電荷発生物質の特性、バインダー樹脂の特性及び混合割合等により異なるが好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜3μmである。なお、電荷発生層用の塗布液は塗布前に異物や凝集物を濾過することで画像欠陥の発生を防ぐことができる。前記顔料を真空蒸着することによって形成すこともできる。
【0062】
電荷輸送層
電荷輸送層には電荷輸送物質(CTM)及びCTMを分散し製膜するバインダー樹脂を含有する。その他の物質としては必要により無機微粒子や酸化防止剤等の添加剤を含有しても良い。
【0063】
電荷輸送物質(CTM)としては、公知の電荷発生物質を用いることができるが、本願発明では、短波長のレーザー光等に対し、透過性のよい電荷輸送物質を用いることが好ましい。短波長のレーザー光等に対し、透過性のよい電荷輸送物質が好ましく、下記化合物の様な電荷輸送物質を用いることが好ましい。該電荷輸送物質は、350〜500nmの波長領域に吸収を有しないので、350〜500nmの波長領域の像露光の露光光を遮ることなく電荷発生層に到達させ、又、電荷輸送層中で、光露光による電荷トラップの発生もなく、電荷発生層からの正孔キャリアを効率よく感光体の表面まで輸送することができる。
【0064】
【化2】

【0065】
【化3】

【0066】
【化4】

【0067】
これら電荷輸送物質は通常、適当なバインダー樹脂中に溶解して層形成が行われる。
【0068】
電荷輸送層(CTL)に用いられるバインダー樹脂としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂かを問わない。例えばポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂並びに、これらの樹脂の繰り返し単位構造のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂。又これらの絶縁性樹脂の他、ポリ−N−ビニルカルバゾール等の高分子有機半導体が挙げられる。これらの中で吸水率が小さく、CTMの分散性、電子写真特性が良好なポリカーボネート樹脂が最も好ましい。
【0069】
バインダー樹脂と電荷輸送物質との割合は、バインダー樹脂100質量部に対し50〜200質量部が好ましい。
【0070】
電荷輸送層の合計膜厚は、10〜35μmが好ましい。該合計膜厚が10μm未満では、現像時の潜像電位を十分に獲得しにくく、画像濃度の低下やドット再現性の劣化が発生しやすく、又、35μmを超えると、電荷キャリアの拡散(電荷発生層で発生した電荷キャリアの拡散)が大きくなり、ドット再現性が劣化しやすい。また、電荷輸送層を複層で形成した場合、表面層となる電荷輸送層の膜厚は1.0〜8.0μmが好ましい。
【0071】
中間層、電荷発生層、電荷輸送層等の層形成に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン等の地球環境に優しい溶媒が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0072】
次に有機感光体を製造するための塗布加工方法としては、スライドホッパー型塗布装置の他に、浸漬塗布、スプレー塗布等の塗布加工法が用いられる。
【0073】
上記塗布液供給型の塗布装置の中でもスライドホッパー型塗布装置を用いた塗布加方法は、前記した低沸点溶媒を用いた分散液を塗布液として用いる場合に最も適しており、円筒状の感光体の場合は特開昭58−189061号公報等に詳細に記載されている円形スライドホッパー型塗布装置等を用いて塗布することが好ましい。
【0074】
又、本発明に係わる感光体の表面層には酸化防止剤を含有させることが好ましい。表面層は感光体の帯電時の活性ガス、例えばNOxやオゾン等で酸化されやすく、画像ボケが発生しやすいが、酸化防止剤を共存させることにより、画像ボケの発生を防止することが出来る。該酸化防止剤とは、その代表的なものは有機感光体中ないしは有機感光体表面に存在する自動酸化性物質に対して、光、熱、放電等の条件下で酸素の作用を防止ないし、抑制する性質を有する物質である。
【0075】
次に、本発明に係わる有機感光体を用いた画像形成装置について説明する。
【0076】
図1に示す画像形成装置1は、デジタル方式による画像形成装置であって、画像読取り部A、画像処理部B、画像形成部C、転写材搬送手段としての転写材搬送部Dから構成されている。
【0077】
画像読取り部Aの上部には原稿を自動搬送する自動原稿送り手段が設けられていて、原稿載置台11上に載置された原稿は原稿搬送ローラ12によって1枚宛分離搬送され読み取り位置13aにて画像の読み取りが行われる。原稿読み取りが終了した原稿は原稿搬送ローラ12によって原稿排紙皿14上に排出される。
【0078】
一方、プラテンガラス13上に置かれた場合の原稿の画像は走査光学系を構成する照明ランプ及び第1ミラーから成る第1ミラーユニット15の速度vによる読み取り動作と、V字状に位置した第2ミラー及び第3ミラーから成る第2ミラーユニット16の同方向への速度v/2による移動によって読み取られる。
【0079】
読み取られた画像は、投影レンズ17を通してラインセンサである撮像素子CCDの受光面に結像される。撮像素子CCD上に結像されたライン状の光学像は順次電気信号(輝度信号)に光電変換されたのちA/D変換を行い、画像処理部Bにおいて濃度変換、フィルタ処理などの処理が施された後、画像データは一旦メモリに記憶される。
【0080】
画像形成部Cでは、画像形成ユニットとして、像担持体であるドラム状の感光体21と、その外周に、該感光体21を帯電させる帯電手段(帯電工程)22、帯電した感光体の表面電位を検出する電位検出手段220、現像手段(現像工程)23、転写手段(転写工程)である転写搬送ベルト装置45、前記感光体21のクリーニング装置(クリーニング工程)26及び光除電手段(光除電工程)としてのPCL(プレチャージランプ)27が各々動作順に配置されている。また、現像手段23の下流側には感光体21上に現像されたパッチ像の反射濃度を測定する反射濃度検出手段222が設けられている。感光体21には、本発明に係わる有機感光体を使用し、図示の時計方向に駆動回転される。
【0081】
回転する感光体21へは帯電手段22による一様帯電がなされた後、像露光手段(像露光工程)30としての露光光学系により画像処理部Bのメモリから呼び出された画像信号に基づいた像露光が行われる。書き込み手段である像露光手段30としての露光光学系は図示しないレーザダイオードを発光光源とし、回転するポリゴンミラー31、fθレンズ34、シリンドリカルレンズ35を経て反射ミラー32により光路が曲げられ主走査がなされるもので、感光体21に対してAoの位置において像露光が行われ、感光体21の回転(副走査)によって静電潜像が形成される。本実施の形態の一例では文字部に対して露光を行い静電潜像を形成する。
【0082】
本発明の画像形成装置においては、感光体上に静電潜像を形成するに際し、発振波長が350〜500nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを像露光光源として用いる。これらの像露光光源を用いて、書込みの主査方向の露光ドット径を10〜50μmに絞り込み、有機感光体上にデジタル露光を行うことにより、600dpi(dpi:2.54cm当たりのドット数)以上から2500dpiの高解像度の電子写真画像をうることができる。
【0083】
前記露光ドット径とは該露光ビームの強度がピーク強度の1/e以上の領域の主走査方向にそった露光ビームの長さ(Ld:長さが最大位置で測定する)を云う。
【0084】
用いられる光ビームとしては半導体レーザーを用いた走査光学系及びLEDの固体スキャナー等があり、光強度分布についてもガウス分布及びローレンツ分布等があるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を本発明に係わる露光ドット径とする。
【0085】
感光体21上の静電潜像は現像手段23によって反転現像が行われ、感光体21の表面に可視像のトナー像が形成される。本発明の画像形成方法では、該現像手段に用いられる現像剤には重合トナーを用いることが好ましい。形状や粒度分布が均一な重合トナーを本発明に係わる有機感光体と併用することにより、より鮮鋭性が良好な電子写真画像を得ることができる。
【0086】
〈トナー〉
本発明の有機感光体上に形成された静電潜像は現像によりトナー像として顕像化される。現像に用いられるトナーは、粉砕トナーでも、重合トナーでもよいが、本発明に係わるトナーとしては、安定した粒度分布を得られる観点から、重合法で作製できる重合トナーが好ましい。
【0087】
重合トナーとはトナー用バインダーの樹脂の生成とトナー形状がバインダー樹脂の原料モノマーの重合と、必要によりその後の化学的処理により形成されるトナーを意味する。より具体的には懸濁重合、乳化重合等の重合反応と、必要によりその後に行われる粒子同士の融着工程を経て形成されるトナーを意味する。
【0088】
なお、トナーの体積平均粒径、即ち、上記50%体積粒径(Dv50)は2〜9μm、より好ましくは3〜7μmであることが望ましい。この範囲とすることにより、解像度を高くすることができる。さらに上記の範囲と組み合わせることにより、小粒径トナーでありながら、微細な粒径のトナーの存在量を少なくすることができ、長期に亘ってドット画像の再現性が改善され、鮮鋭性の良好な、安定した画像を形成することができる。
【0089】
〈現像剤〉
本発明に係わるトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0090】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0091】
又、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0092】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0093】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0094】
転写材搬送部Dでは、画像形成ユニットの下方に異なるサイズの転写材Pが収納された転写材収納手段としての給紙ユニット41(A)、41(B)、41(C)が設けられ、また側方には手差し給紙を行う手差し給紙ユニット42が設けられていて、それらの何れかから選択された転写材Pは案内ローラ43によって搬送路40に沿って給紙され、給紙される転写材Pの傾きと偏りの修正を行う対の給紙レジストローラ44によって転写材Pは一時停止を行ったのち再給紙が行われ、搬送路40、転写前ローラ43a、給紙経路46及び進入ガイド板47に案内され、感光体21上のトナー画像が転写位置Boにおいて転写極24及び分離極25、爪分離手段250等によって、転写材P上に転写され、該転写材Pも感光体から分離され、その後、転写材Pは転写搬送ベルト装置45の転写搬送ベルト454に載置搬送され、転写搬送ベルト装置45により定着手段50に搬送される。
【0095】
定着手段50は定着ローラ51と加圧ローラ52とを有しており、転写材Pを定着ローラ51と加圧ローラ52との間を通過させることにより、加熱、加圧によってトナーを定着させる。トナー画像の定着を終えた転写材Pは排紙トレイ64上に排出される。
【0096】
以上は転写材の片側への画像形成を行う状態を説明したものであるが、両面複写の場合は排紙切換部材170が切り替わり、転写材案内部177が開放され、転写材Pは破線矢印の方向に搬送される。
【0097】
更に、搬送機構178により転写材Pは下方に搬送され、転写材反転部179によりスイッチバックさせられ、転写材Pの後端部は先端部となって両面複写用給紙ユニット130内に搬送される。
【0098】
転写材Pは両面複写用給紙ユニット130に設けられた搬送ガイド131を給紙方向に移動し、給紙ローラ132で転写材Pを再給紙し、転写材Pを搬送路40に案内する。
【0099】
再び、上述したように感光体21方向に転写材Pを搬送し、転写材Pの裏面にトナー画像を転写し、定着手段50で定着した後、排紙トレイ64に排紙する。
【0100】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0101】
図2は、本発明の一実施の形態を示すカラー画像形成装置の断面構成図である。
【0102】
このカラー画像形成装置は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成部(画像形成ユニット)10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7と、給紙搬送手段21及び定着手段24とから成る。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
【0103】
イエロー色の画像を形成する画像形成部10Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Yの周囲に配置された帯電手段(帯電工程)2Y、露光手段(露光工程)3Y、現像手段(現像工程)4Y、一次転写手段(一次転写工程)としての一次転写ローラ5Y、クリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成部10Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写手段としての一次転写ローラ5M、クリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成部10Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写手段としての一次転写ローラ5C、クリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成部10Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体1Bk、帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写手段としての一次転写ローラ5Bk、クリーニング手段6Bkを有する。
【0104】
前記4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkを中心に、回転する帯電手段2Y、2M、2C、2Bkと、像露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、回転する現像手段4Y、4M、4C、4Bk、及び、感光体ドラム1Y、1M、1C、1Bkをクリーニングするクリーニング手段5Y、5M、5C、5Bkより構成されている。
【0105】
前記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bkにそれぞれ形成するトナー画像の色が異なるだけで、同じ構成であり、画像形成ユニット10Yを例にして詳細に説明する。
【0106】
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体ドラム1Yの周囲に、帯電手段2Y(以下、単に帯電手段2Y、あるいは、帯電器2Yという)、露光手段3Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Y(以下、単にクリーニング手段5Y、あるいは、クリーニングブレード5Yという)を配置し、感光体ドラム1Y上にイエロー(Y)のトナー画像を形成するものである。また、本実施の形態においては、この画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体ドラム1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y、クリーニング手段5Yを一体化するように設けている。
【0107】
帯電手段2Yは、感光体ドラム1Yに対して一様な電位を与える手段であって、本実施の形態においては、感光体ドラム1Yにコロナ放電型の帯電器2Yが用いられている。
【0108】
像露光手段3Yは、帯電器2Yによって一様な電位を与えられた感光体ドラム1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段であって、この露光手段3Yとしては、感光体ドラム1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子(商品名;セルフォックレンズ)とから構成されるもの、あるいは、レーザー光学系などが用いられる。
【0109】
本発明の画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)として一体に結合して構成し、この画像形成ユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジ(画像形成ユニット)を形成し、装置本体に着脱自在の単一画像形成ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0110】
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体70を有する。
【0111】
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkより形成された各色の画像は、一次転写手段としての一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体70上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット20内に収容された転写材(定着された最終画像を担持する支持体:例えば普通紙、透明シート等)としての転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラ22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写手段としての二次転写ローラ5bに搬送され、転写材P上に二次転写してカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された転写材Pは、定着手段24により定着処理され、排紙ローラ25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。ここで、中間転写体や転写材等の感光体上に形成されたトナー画像の転写支持体を総称して転写媒体と云う。
【0112】
一方、二次転写手段としての二次転写ローラ5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
【0113】
画像形成処理中、一次転写ローラ5Bkは常時、感光体1Bkに当接している。他の一次転写ローラ5Y、5M、5Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接する。
【0114】
二次転写ローラ5bは、ここを転写材Pが通過して二次転写が行われる時にのみ、無端ベルト状中間転写体70に当接する。
【0115】
また、装置本体Aから筐体8を支持レール82L、82Rを介して引き出し可能にしてある。
【0116】
筐体8は、画像形成部10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とから成る。
【0117】
画像形成部10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット7が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット7は、ローラ71、72、73、74を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体70、一次転写ローラ5Y、5M、5C、5Bk、及びクリーニング手段6bとから成る。
【0118】
次に図3は本発明の有機感光体を用いたカラー画像形成装置(少なくとも有機感光体の周辺に帯電手段、露光手段、複数の現像手段、転写手段、クリーニング手段及び中間転写体を有する複写機あるいはレーザービームプリンター)の構成断面図である。ベルト状の中間転写体70は中程度の抵抗の弾性体を使用している。
【0119】
1は像形成体として繰り返し使用される回転ドラム型の感光体であり、矢示の反時計方向に所定の周速度をもって回転駆動される。
【0120】
感光体1は回転過程で、帯電手段(帯電工程)2により所定の極性・電位に一様に帯電処理され、次いで不図示の像露光手段(像露光工程)3により画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザービームによる走査露光光等による画像露光を受けることにより目的のカラー画像のイエロー(Y)の色成分像(色情報)に対応した静電潜像が形成される。
【0121】
次いで、その静電潜像がイエロー(Y)の現像手段:現像工程(イエロー色現像器)4Yにより第1色であるイエロートナーにより現像される。この時第2〜第4の現像手段(マゼンタ色現像器、シアン色現像器、ブラック色現像器)4M、4C、4Bkの各現像器は作動オフになっていて感光体1には作用せず、上記第1色目のイエロートナー画像は上記第2〜第4の現像器により影響を受けない。
【0122】
中間転写体70はローラ79a、79b、79c、79d、79eで張架されて時計方向に感光体1と同じ周速度をもって回転駆動されている。
【0123】
感光体1上に形成担持された上記第1色目のイエロートナー画像が、感光体1と中間転写体70とのニップ部を通過する過程で、1次転写ローラ5aから中間転写体70に印加される1次転写バイアスにより形成される電界により、中間転写体70の外周面に順次中間転写(1次転写)されていく。
【0124】
中間転写体70に対応する第1色のイエロートナー画像の転写を終えた感光体1の表面は、クリーニング装置6aにより清掃される。
【0125】
以下、同様に第2色のマゼンタトナー画像、第3色のシアントナー画像、第4色のクロ(ブラック)トナー画像が順次中間転写体70上に重ね合わせて転写され、目的のカラー画像に対応した重ね合わせカラートナー画像が形成される。
【0126】
2次転写ローラ5bで、2次転写対向ローラ79bに対応し平行に軸受させて中間転写体70の下面部に離間可能な状態に配設してある。
【0127】
感光体1から中間転写体70への第1〜第4色のトナー画像の順次重畳転写のための1次転写バイアスはトナーとは逆極性で、バイアス電源から印加される。その印加電圧は、例えば+100V〜+2kVの範囲である。
【0128】
感光体1から中間転写体70への第1〜第3色のトナー画像の1次転写工程において、2次転写ローラ5b及び中間転写体クリーニング手段6bは中間転写体70から離間することも可能である。
【0129】
ベルト状の中間転写体70上に転写された重ね合わせカラートナー画像の第2の画像担持体である転写材Pへの転写は、2次転写ローラ5bが中間転写体70のベルトに当接されると共に、対の給紙レジストローラ23から転写材ガイドを通って、中間転写体70のベルトに2次転写ローラ5bとの当接ニップに所定のタイミングで転写材Pが給送される。2次転写バイアスがバイアス電源から2次転写ローラ5bに印加される。この2次転写バイアスにより中間転写体70から第2の画像担持体である転写材Pへ重ね合わせカラートナー画像が転写(2次転写)される。トナー画像の転写を受けた転写材Pは定着手段24へ導入され加熱定着される。
【0130】
本発明の画像形成装置は電子写真複写機、レーザープリンター、LEDプリンター及び液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適応するが、更に、電子写真技術を応用したディスプレー、記録、軽印刷、製版及びファクシミリ等の装置にも幅広く適用することができる。
【実施例】
【0131】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではない。なお、文中の「部」は質量部を表す。
【0132】
感光体1の作製
下記手順により、感光体1を作製した。
【0133】
先ず、円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、十点平均表面粗さRz=0.6(μm)の導電性支持体を用意した。
【0134】
(1)中間層の作製
ポリアミド樹脂:CM8000(東レ社製) 10部
酸化チタン:SMT500SAS(テイカ社製) 30部
メタノール 100部
上記組成をサンドミルを用いて12時間分散を行って分散液を作製した。本分散液を上記組成の分散液と同じ溶媒であるメタノールにより2倍に希釈し、一夜静置後に日本ポール社製リジメッシュ5μmフィルタを用いてろ過処理を行い中間層塗布液を作製した。
【0135】
上記塗布液を前記支持体上に乾燥膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布して中間層を形成した。
【0136】
(2)電荷発生層の作製
電荷発生物質(CGM):下記構造のCGM−1の化合物 3部
バインダー樹脂:塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコール共重合樹脂(n1:n2:n3(モル%)=93:2:5) 1部
2−ブタノン/シクロヘキサノン(体積比4/1)混合液 70部
上記組成物を混合し、電荷発生物質の平均粒子径が100nmから300nmとなるようにサンドミルを用いて15時間分散処理を行い、電荷発生層塗布液を作製した。この塗布液を前記中間層上に乾燥膜厚0.5μmとなる様に浸漬塗布法で塗布して電荷発生層を形成した。
【0137】
(3)電荷輸送層の作製
電荷輸送物質(例示化合物(CTM−1)) 2部
バインダー:ポリカーボネート(Z300:三菱ガス化学社製) 2.7部
紫外線吸収剤(TinuvinP(チバ・ジャパン社製)) 0.1部
酸化防止剤(Irganox1010(チバ・ジャパン社製)) 0.1部
テトラヒドロフラン/トルエン(体積比4/1)混合液 30部
シリコーンオイル(KF−96(信越シリコーン(株)製)) 0.005部
上記組成物を混合、撹拌して電荷輸送層塗布液を作製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に乾燥膜厚23μmとなる様に浸漬塗布法で塗布後、120℃で70分間の乾燥処理を行って電荷輸送層を形成した。この様にして、感光体1を作製した。
【0138】
感光体2〜4の作製
感光体1の作製において、電荷発生層の電荷発生物質(CGM)を下記のCGM−2、CGM−3、CGM−4変更した以外は同様にして感光体2〜4を作製した。
【0139】
【化5】

【0140】
上記CGM−4のオキソチタニルフタロシアニンは、Y型結晶(X線回折スペクトルで、27.3°に最大回折ピークを示す)の顔料を用いた。
【0141】
これらCGM−1、CGM−2、CGM−3、CGM−4を用いた電荷発生層の分光吸収スペクトルのチャートは図4〜図7に示した(図中、*印が最大分光吸収強度(Amax)を示す)。
【0142】
又、感光体1〜4の作製に用いた電荷発生層の塗布液を石英板の上に、乾燥膜厚0.5μmで塗布し、分光吸収スペクトル測定用の試料1〜4を作製した。
【0143】
該分光吸収スペクトル測定用の試料1〜4を用いて測定した分光吸収スペクトルのチャート図を図4〜図7に示す。
【0144】
これら感光体1〜4と短波レーザー光の組み合わせを下記表1のように作製した。
【0145】
【表1】

【0146】
(評価1)
以上のようにして得た感光体を基本的に、図2の構成を有する市販のフルカラー複合機bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)の書き込みドット径可変改造機に搭載し、像露光光源として405nmの短波長レーザー光源を用い、書き込み光源の主査方向の露光径を30μmで、1200dpiとし、該露光径のスポット露光が感光体面上で0.5mWになるように設定した。尚、上記フルカラー複合機は画像形成ユニットを4組有しているので、それぞれの画像形成ユニットの感光体を同一種類の感光体(例えば、感光体1の場合は、4本の感光体1を用意して)で統一して、評価を行った。各評価は、30℃80%RHの条件で、画素率7%の画像をA4紙に5万枚の画出し耐刷試験後に、20℃60%RHの環境下で評価した。
【0147】
評価項目と評価基準
ドット画像の再現性(白黒画像で評価)
評価基準
1ドットラインの評価
白地のA4紙に1ドットラインと黒ベタ画像を作製し、下記の基準で評価した。
【0148】
◎:1ドットラインが連続して再現されており、黒ベタの画像濃度が1.2以上
(良好)
○:1ドットラインは連続して再現されているが、黒ベタの画像濃度が1.2未満〜
1.0以上(実用性に問題なし)
×:1ドットラインが切断されて再現されているか、又は1ドットラインが連続して
再現されていても、黒ベタの画像濃度が1.0未満(実用性に問題有り)
2ドットラインの評価
ベタ黒の画像の中に、2ドットラインの白線を作製し、下記の基準で評価した。
【0149】
◎:2ドットラインの白線が連続して再現されており、黒ベタの画像濃度が1.2以
上(良好)
○:2ドットラインの白線は連続して再現されているが、黒ベタの画像濃度が1.2
未満〜1.0以上(実用性に問題なし)
×:2ドットラインの白線が切断されて再現されているか、又は2ドットラインの白
線は連続して再現されていても、黒ベタの画像濃度が1.0未満(実用性に問題
有り)
上記のべた画像濃度は、マクベス社製RD−918を使用して測定。紙の反射濃度を「0」とした相対反射濃度で測定した。
【0150】
<カラー画像の評価>
前記フルカラー複合機bizhub PRO C6500ドット径可変改造機の4組の画像形成ユニットを作動させ、人物顔写真を含むハーフトーン画像をA4紙に印刷し、下記の基準で評価した。
【0151】
◎:ハーフトーンのカラー画像がなめらかに再現され、目立つ画像ボケ等の乱れが見あたらない(良好)
○:画像ボケが部分的に発生しているが、ハーフトーンのカラー画像がなめらかに再現されている(実用上問題なし)
×:ハーフトーンのカラー画像に、画像ボケが全面に発生している(実用上問題有り)
【0152】
【表2】

【0153】
表2より、本願発明内の画像形成方法の組み合わせNo.1、2、4、6、9、10はいずれの評価項目でも、良好な評価結果を示しているが、本願発明外の画像形成方法の組み合わせNo.3、5、7、8はいずれかの評価項目で、実用性が十分でない評価を示している。
【符号の説明】
【0154】
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機感光体に帯電電位を付与し、該帯電電位を付与された有機感光体に、波長が350〜500nmの範囲にあるレーザー光を用いて像露光を行い、静電潜像を形成し、該静電潜像を現像してトナー像を形成する画像形成方法において、前記有機感光体が導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層した層構造を有し、前記レーザー光の波長(Eλ)での該電荷発生層の分光吸収強度(Aeλ)が、該電荷発生層の350〜600nmの分光吸収スペクトル分布の最大分光吸収強度(Amax)に対し、0.20倍〜0.65倍であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記中間層が酸化チタンを含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記最大分光吸収強度(Amax)が極大分光吸収強度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成方法を用いたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−256435(P2010−256435A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103635(P2009−103635)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】