説明

画像形成装置、光プリントヘッド、およびプロセスカートリッジ

【課題】幅狭の光プリントヘッドであっても、倒れることなく安定して位置決めし、画像品質を良好に保つ。
【解決手段】少なくとも感光体1および現像器4を二方向から挟んで位置決めする面板30を備えた画像形成装置であって、面板30は、光プリントヘッド3のピント方向および副走査方向のそれぞれの位置決め基準面32,33を有し、該位置決め基準面32,33に光プリントヘッド3を当接させて位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、光プリントヘッド、およびプロセスカートリッジに関する。詳しくは、像担持体に静電潜像を書き込む光プリントヘッド、およびこれを備えたプロセスカートリッジ、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、それらの複合機等の画像形成装置として、電子写真方式を利用した画像形成装置が種々考案されており公知技術となっている。その画像形成プロセスは、像担持体である感光体ドラムの表面に静電潜像を形成し、感光体ドラム上の静電潜像を現像剤であるトナー等によって現像して可視像化し、現像された画像を転写装置により記録紙(用紙、記録材、記録媒体ともいう)に転写して画像を担持させ、圧力や熱等を用いる定着装置によって記録紙上のトナー画像を定着する過程により成立している。
【0003】
このような電子写真方式の画像形成装置において、像担持体に静電潜像を書き込む露光手段として、アレイ状に配列された多数の発光部から選択的に光を発光させる微小発光セグメントアレイを備えた自己走査型の光プリントヘッドを用いることが知られている。
【0004】
この光プリントヘッドが備える微小発光セグメントアレイは、LEDなどからなる発光素子アレイや液晶シャッタを有しており、発光素子アレイを有する場合は微小で多数のLEDなどの発光素子が発光部として機能し、液晶シャッタを有する場合は液晶セルが発光部として機能する。いずれの場合においても発光部は画素単位でアレイ状に配列されている。
【0005】
このような発光素子は、所定の点、あるいは所定の面から拡散光を放射するものであるために、像担持体上に潜像を形成するためには発光素子から発せられた拡散光を各々微少なスポットに結像する必要がある。
【0006】
そこで、光プリントヘッドは、ロッドレンズアレイやルーフプリズムレンズアレイ等の結像素子アレイを設けることによって、良好な光スポットを形成するようにしており、このために発光素子と結像素子及び結像素子と像担持体との相対位置関係を高い位置精度になるように調整している。つまり、結像素子の焦点深度は数十μmであり、従来の走査光学系などに用いられるレンズの焦点深度と比較して極度に小さく、またレンズの開口数も低い等の理由から、結像素子との相対位置関係を高い位置精度に調整し維持する必要がある。
【0007】
この結像素子と像担持体との相対位置関係を高い位置精度とし、これを維持することを目的とする技術として、例えば、特許文献1(図8参照)には、感光体ドラム81を支持する支持台82に対し、LEDアレイヘッド83のホルダ84の位置を変化させ、ロッドレンズアレイ85の共役長中心を、発光素子の発光面と感光体照射面間で移動させるための調整手段86を設けたLEDアレイヘッドが開示されている。
【0008】
また、図9に示すように、光プリントヘッド91の長手方向前後に設けられた3点の偏心カム92,93,94により、ピント調整を行い、かつ、光プリントヘッドの倒れを防止する光プリントヘッドが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年、画像形成装置の小型化に伴い、光プリントヘッドの幅狭化が求められており、狭い幅の光プリントヘッドでは、感光体を支持する支持台に対する受けの幅も狭くなり、光プリントヘッドの倒れが発生しやすくなるという問題が生じている。
【0010】
光プリントヘッドの倒れが発生すると書込み位置ずれや、ピントずれによるビームプロファイルの劣化が発生し、画像品質が悪化するという問題がある。
【0011】
また、カラー画像形成装置においては、各色の光プリントヘッドの副走査方向傾きを高精度で合わせ、色ずれを防止する必要がある。また、同様に、主走査方向の位置も合わせる必要がある。
【0012】
上記特許文献1に記載の技術は、支持台82を利用して、光プリントヘッドのピント方向位置決めを行っているが、光プリントヘッドの幅が狭くなると安定性に欠け、光プリントヘッドの倒れが発生することで書込み位置ずれや、ピントずれによるビームプロファイルの劣化が発生するという問題がある。また、副走査方向のラインの傾き調整をすることができないという問題がある。
【0013】
また、図9に示すような3点支持による光プリントヘッド91においても、光プリントヘッドの幅が狭くなると、安定性に欠け、光プリントヘッドの倒れが発生しやすくなるという問題があった。
【0014】
そこで本発明は、幅狭の光プリントヘッドであっても、倒れることなく安定して位置決めすることができ、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる画像形成装置、光プリントヘッド、およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
かかる目的を達成するため、請求項1に記載の画像形成装置は、少なくとも感光体および現像装置を二方向から挟んで位置決めする面板を備えた画像形成装置であって、面板は、光プリントヘッドのピント方向および副走査方向のそれぞれの位置決め基準面を有し、該位置決め基準面に光プリントヘッドを当接させて位置決めするものである。
【0016】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、面板の位置決め基準面に対して、光プリントヘッドを付勢する付勢手段を有するものである。
【0017】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置において、面板は、光プリントヘッドの主走査方向位置を決める主走査方向位置決め手段を有するものである。
【0018】
また、請求項4に記載の光プリントヘッドは、少なくとも感光体および現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置の面板に、長手方向の両端部側が担持される光プリントヘッドであって、面板が有する当該光プリントヘッドのピント方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドを変位させるピント調整手段を有するものである。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の光プリントヘッドにおいて、面板が有する当該光プリントヘッドの副走査方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドを変位させる副走査方向調整手段を、長手方向の片端部側に有するものである。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の光プリントヘッドにおいて、副走査方向調整手段と反対側の端部に、副走査方向の位置決め基準面と少なくとも2点以上、または面で当接する副走査方向基準部を有するものである。
【0021】
また、請求項7に記載の発明は、請求項4から6までのいずれかに記載の光プリントヘッドにおいて、長手方向における一方の端部側に、当該光プリントヘッドの主走査方向位置を決める主走査方向位置決め手段を有するものである。
【0022】
また、請求項8に記載のプロセスカートリッジは、請求項4から7までのいずれかに記載の光プリントヘッドを有するものである。
【0023】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置において、請求項4から7までのいずれかに記載の光プリントヘッド、または請求項8に記載のプロセスカートリッジを有するものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、幅狭の光プリントヘッドであっても、倒れることなく安定して位置決めすることができ、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】光プリントヘッドおよび感光体を示す模式図である。
【図3】光プリントヘッドの斜視図である。
【図4】(A)光プリントヘッドの後端部側の上方向斜視図、(B)は後端部側の下方向斜視図である。
【図5】(A)は光プリントヘッドの前端部側の上方向斜視図、(B)は前端部側の下方向斜視図である。
【図6】光プリントヘッドを画像形成装置の面板へ取り付けた状態を示す模式図であり、(A)は後面板側からの斜視図(B)は前面板側からの斜視図である。
【図7】(A)光プリントヘッドを面板へ取り付けた状態での画像形成装置の正面図、(B)光プリントヘッドの周辺拡大図である。
【図8】従来の光プリントヘッドの構成例(1)である。
【図9】従来の光プリントヘッドの構成例(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る構成を図1から図7に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0027】
(画像形成装置)
図1に、本発明に係る光プリントヘッドを備えた画像形成装置の一実施形態であるカラー画像形成装置100の要部の概略構成を示す。なお、以下、Y,M,C,Kの各符号は、Y(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応する部分として区別する。
【0028】
本実施形態に係る画像形成装置100は、複数の感光体1Y,1M,1C,1Kを並列に配置したタンデム型のカラー画像形成装置であり、中間転写ベルト101に対して各色に対応した感光体1Y,1M,1C,1Kが並列順に等間隔で配設されている。なお、感光体1Y,1M,1C,1Kは同一径に形成され、その周囲には電子写真プロセスに従い各部材が順に配設されている。
【0029】
感光体1Yを例に説明する。感光体1Yの周囲には、帯電器(帯電装置)2Y、画像データに基づく出射光LYを出射する露光装置としての光プリントヘッド3Y、現像器(現像装置)4Y、転写ローラ5Y、クリーニング手段(クリーニング装置)6Yが順に配設されている。なお、7Y,7M,7C,7Kは、各色の感光体周りを一体化したプロセスカートリッジを示している。
【0030】
他の感光体1M,1C,1Kに対しても同様である。即ち、本実施形態では、感光体1Y,1M,1C,1Kを各色に設定された被露光面とするものであり、各々に対して光プリントヘッド3から出射光LY、LM,LC、LKが各々に対応するように設けられている。
【0031】
帯電器2Yにより表面を均一に帯電された感光体1Yは、矢印方向に回転することによって出射光LYを副走査し、感光体1Y上に静電潜像が形成される。なお、図1に示す例では、帯電器2Yとして帯電ローラを用いているが、これに限られるものではない。
【0032】
また、光プリントヘッド3Yによる出射光LYの照射位置よりも感光体1Yの回転方向下流側には、感光体1Yにトナーを供給する現像器4Yが配設され、現像器4Yからイエローのトナーが供給される。
【0033】
現像器4Yから供給されたトナーは、静電潜像が形成された部分に付着し、トナー像が形成される。同様に感光体1M,1C,1Kには、それぞれマゼンタ、シアン、ブラックの単色トナー像が形成される。
【0034】
各感光体1の現像器4の配設位置よりもさらに回転方向下流側には、中間転写ベルト101が配置されている。中間転写ベルト101は、両端にある複数の搬送ローラ105に巻付けられ、図示しないモータの駆動により矢印方向に移動搬送されるようになっている。
【0035】
転写ローラ5Y,5M,5C,5Kは、各感光体1で現像された各々単色画像を順次重ねあわせて中間転写ベルト101に転写し、中間転写ベルト101上にカラー画像を形成する。
【0036】
さらに、2次転写ローラ103にバイアスを印加して、搬送ベルト102により搬送された被記録媒体(用紙)に4色のトナー像を一括して転写する。カラー画像が形成された用紙は、定着器104により定着処理が行われた後、カラー画像として排紙される。
【0037】
(光プリントヘッド)
図2は、本実施形態に係る光プリントヘッド3および感光体1を示す模式図である。光プリントヘッド3の基板11には、光源としての複数のLED素子12aが配列され、LEDアレイチップ12として感光体1の長手方向に沿うようにライン状に実装される。また、LED素子12aを駆動するための駆動IC13も複数実装されている。なお、駆動ICは全てのLEDで1つとしても、別基板としても良い。
【0038】
基板11上には、LEDアレイチップ12が書込幅に対応して数十〜数百個程度実装される。また、各LEDアレイチップ12内には、LED素子12aが数十〜数百個程度配列され、隣り合うLEDアレイチップ12は、その端部に位置するLED素子12aの隣接間隔が、所定間隔になるように基板11上に実装される。
【0039】
例えば、600dpi、A4幅(210mm)では、LED素子12aが全数で42.3μm間隔で4960個配列する必要があり、LED素子12aが100個からなるLEDアレイチップ12であれば、50個実装されることとなる。同様に、1200dpi、A3幅(297mm)ではLED素子12aが全数14000個程度配列する必要があり、LED素子12aが100個からなるLEDアレイチップ12の場合、140個実装されることになる。
【0040】
なお、LED素子12aは、所定の点または所定の面から拡散光を放射するものであるため、感光体面上に潜像を形成するためにはLED素子12aから発せられた拡散光を各々微少なスポットに結像する必要がある。このための結像光学素子としては、例えばマイクロレンズアレイや、屈折率分布型ロッドレンズアレイ等を用いることができる。
【0041】
本実施形態では、屈折率分布を有するロッドレンズ14aを束ねたロッドレンズアレイ14を用い、拡散光を感光体表面に結像させている。図2中の拡大図に示すように、ロッドレンズアレイ14は、半径方向に2次曲線分布状の屈折率分布を有する円柱状の屈折率分布型ロッドレンズ14aを2列千鳥配列状に束ねたものである。また、各ロッドレンズ14aの隙間には、不透明樹脂(黒色樹脂)が充填、硬化されており、ロッドレンズ14a間を漏れるフレア光を抑えている。また、ロッドレンズ14a両側からレンズと同等の線膨張係数をもつガラスを分散させた樹脂製の部材によりロッドレンズ14aを保持している。
【0042】
(光プリントヘッドの取り付け)
以下、光プリントヘッドの画像形成装置への取り付け機構について、図3〜図7を参照して、詳細に説明する。なお、図3は光プリントヘッド3の斜視図、図4(A)は光プリントヘッド3の後端部側の上方向斜視図、図4(B)は後端部側の下方向斜視図、図5(A)は光プリントヘッド3の前端部側の上方向斜視図、図5(B)は前端部側の下方向斜視図をそれぞれ示している。なお、図3に示すように、光プリントヘッドの長手方向の長さを主走査方向(図中、Z方向)、光プリントヘッドの短手方向の長さを副走査方向(図中、X方向)、レーザ光の出射方向をピント方向(図中、−Y方向)と呼ぶ。
【0043】
光プリントヘッド3は、図3に示すように、LEDアレイチップ12や駆動IC13が内蔵された光プリントヘッドの本体フレーム20の下面にはレンズアレイ14が固定されている。なお、本体フレーム20は、十分な剛性を確保できる部材からなり、例えば、金属からなる。
【0044】
光プリンヘッド3の長手方向の後側端部には、図4に示すように、フレーム20の下面側に主走査方向位置決め穴(主走査方向位置決め手段)21、およびピント調整ねじ(ピント調整手段)22bが設けられている。また、フレーム20の側面に副走査方向調整ねじ(副走査方向調整手段)23、および当該副走査方向調整ねじ23に対するフレーム20の対向面に副走査方向調整ねじ操作用ドライバー穴(以下、ドライバー穴)24が設けられている。
【0045】
また、光プリンヘッド3の長手方向の前側端部には、図5に示すように、フレーム20の下面側にピント調整ねじ(ピント調整手段)22aが設けられている。また、フレーム20の側面に副走査方向基準面(副走査方向基準部)25が設けられている。
【0046】
このように構成される光プリントヘッド3は、主走査方向位置決め穴21、および副走査方向調整ねじ23により主走査および副走査方向への位置決めが可能であり、また、ピント調整ねじ22a,bによりピント調整が可能となっている。
【0047】
具体的には、ピント調整ねじ22a,22bの先端(下側)は、後述する画像形成装置100側の面板30(前面板30a,後面板30b)のピント方向基準面32a,32bと当接するように加圧されており、前後のピント調整ねじ22a,22bを調整することで、主走査方向全域に渡って、ピントを合わせることができる。なお、ピントの調整は、実際に画像を出力しながら調整しても良いし、基準となる治具上で空中像を観察しながら調整するようにしても良い。また、ピント調整ねじ22a,22bは、ピント調整後に変位しないよう、不図示のねじロック等を用いて、ピント調整ねじ22a,22bを固定することが好ましい。
【0048】
このように、ピント調整手段を光プリントヘッド3の長手方向両端近傍に設けたことで、ピント位置に主走査方向の傾きがあっても、主走査方向全域に渡ってピント調整を行うことを可能とすることができる。よって、ピントずれを全域に亘って無くして、画像品質を良好に保つことができる。
【0049】
また、副走査方向調整ねじ23は、後述する後面板30bの副走査方向基準面33bと当接するように加圧されている。なお、副走査方向調整ねじ23は、ドライバー穴24を介してドライバー等を用いて回転させることができ、ねじを締結、緩めることができる。また、副走査方向基準面25は、後述する前面板30aの副走査方向基準面33aと当接するように加圧されている。なお、副走査方向基準面25は、少なくとも2点以上、または面で、副走査方向基準面33aと当接するもので有れば良い。
【0050】
したがって、副走査方向調整ねじ23を調整することにより、光プリントヘッド3の副走査方向基準面25を支点として、主操作方向の走査線傾きを変化させることができる。
【0051】
このように、副走査方向調整手段を光プリントヘッドの少なくとも長手方向片端近傍に設けることにより、副走査方向の傾き調整を行うことができる。よって、カラー画像形成装置において、色ずれを生じさせず、画像品質を良好に保つことができる。
【0052】
また、副走査方向調整手段の長手方向の反対端近傍を、面もしくは2点受けの固定基準(副走査方向基準部)とすることにより、副走査方向調整手段が点調整であっても、反対端側を面もしくは2点受けとして、光プリントヘッドの倒れの発生を防止することができる。よって、倒れが無いことで書込み位置ずれや、ピントずれによるビームプロファイルの劣化が発生せずし、画像品質を良好に保つことができる。
【0053】
なお、ピントは前後とも調整し、最適な位置にする必要があるため、ピント調整ねじ22は、光プリントヘッド3の長手方向両端側に設けることが必要となる。一方で、副走査方向における絶対位置の多少のずれについては、書き込みタイミングにより補正することが可能であり、各色のラインの傾きが一致していれば、色ずれは発生しない。すなわち、一端側を基準面とし、他端側で傾きを調整すればよいので、図3〜図5に示すように、副走査方向調整ねじ23は、少なくとも片端側にのみ有していればよい。なお、副走査方向調整ねじ23を両端側に設けても良いのは勿論である。
【0054】
また、主走査方向位置決め穴21は、後面板30bの主走査方向位置決めピン31と嵌合して、光プリントヘッド3の主走査方向位置が決まるようになっている。このように、主走査方向の一方の端部近傍のみに、主走査方向位置決め手段を設ける事で、主走査方向の位置決めがなされると共に、線膨張による変形を防止できる。よって、線膨張による主走査方向の位置ずれや、線膨張による走査線曲がりを発生せず、画像品質を良好に保つことができる。
【0055】
以下、図3〜図5に示した光プリントヘッド3の画像形成装置100への取り付けについて、図6および図7を参照して説明する。なお、図6は光プリントヘッド3を画像形成装置100の面板30へ取り付けた状態を示す模式図であり、図6(A)は後面板30b側からの斜視図、図6(B)は前面板30a側からの斜視図である。また、図7(A)は光プリントヘッド3を面板30へ取り付けた状態での画像形成装置100(プロセスカートリッジ7)の正面図、図7(B)は、図7(A)における光プリントヘッド3の周辺拡大図を示している。
【0056】
面板30a,30bは、例えば、図7に示すように、画像形成装置100の前後に設けられ、感光体1と現像器4等を高精度に位置決めするための部材である。面板30a,30bは感光体1の回転中心軸40、現像ローラの回転中心軸41、主基準ピン42、現像副基準ピン43を位置決めしているため、この面板30a,30bに光プリントヘッド3が当接するピント方向と副走査方向の基準面(ピント方向基準面32a,32bおよび副走査方向基準面33a,33b)を設けることにより、幅狭の光プリントヘッド3であっても、倒れることなく感光体1に対して正確に位置決め、および位置調整ができる。よって、光プリントヘッド3の倒れを防いで、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【0057】
図6(A)に示すように、画像形成装置100の後面板30bに設けられた主走査方向位置決めピン(主走査方向位置決め手段)31と、光プリントヘッド3の主走査方向位置決め穴21とが嵌合し、光プリントヘッド3の主走査方向位置が決められる。なお、光プリントヘッド3の主走査方向における嵌合は、片側のみ行うものとし、本実施形態では、後側だけであり前側にはないものとしている。これは、主走査位置決めを両側で行うと、温度変化時に自由膨張が妨げられ光プリントヘッド3が変形するおそれがあるからである。
【0058】
このように、後面板30bに光プリントヘッド3の主走査方向の位置決め手段を設けることとすることにより、光プリントヘッド側の位置決め手段との組み合わせにより、光プリントヘッド3の主走査方向の位置決めを行なうことができる。よって、線膨張による主走査方向の位置ずれや、線膨張による走査線曲がりを発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【0059】
また、後面板30bはピント方向にピント方向基準面32b、副走査方向に副走査方向基準面33bを有しており、ピント方向基準面32bに対し光プリントヘッド3のピント調整ねじ22bが当接し、副走査方向基準面33bに対し光プリントヘッド3の副走査方向調整ねじ23が当接する。
【0060】
さらに、光プリントヘッド3は、画像形成装置100のステー36に固定されたコイルばねであるピント方向加圧ばね34bにより、後面板30bのピント方向基準面32bに向けて付勢されている。また、同様に、ステー36に固定された板ばねである副走査方向加圧ばね35bにより、面板30bの副走査方向基準面33bに向けて付勢されている。このように構成されることにより、ピント調整ねじ22bと副走査方向調整ねじ23とを回転させることにより、光プリントヘッド3の位置の微調整を可能としている。なお、本実施形態では、付勢手段として、コイルばねと、板ばねとを用いているがこれに限られるものではない。
【0061】
また、図6(B)に示すように、前側も後側と同様に、光プリントヘッド3は、画像形成装置100のステー36に固定されたばね(ピント方向加圧ばね34a、副走査方向加圧ばね35a)により、前面板30aのピント方向基準面32aと副走査方向基準面33aに向けて付勢されている。
【0062】
このように、ばねなどの付勢手段により、光プリントヘッド3を各基準面32,33に密着させることができるので、光プリントヘッド3の倒れを防いで、書込み位置ずれやピントずれによるビームプロファイルの劣化を発生させず、画像品質を良好に保つことができる。
【0063】
以上説明した光プリントヘッド3およびこれを備えた画像形成装置100によれば、光プリントヘッドの幅が狭くなっても、光プリントヘッドの倒れを側面で防止することができ、かつピントを下面で調整することができる。また、側面の受けを調整可能としているので、副走査方向のラインの傾き調整することができる。また、以上説明した構成による光プリントヘッド3を備えたプロセスカートリッジ7とすることにより、同様の効果を備えたプロセスカートリッジを提供することができる。
【0064】
尚、上述の実施形態は本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0065】
1,1Y,1M,1C,1K 感光体
2,2Y,2M,2C,2K 帯電器
3,3Y,3M,3C,3K 光プリントヘッド
4,4Y,4M,4C,4K 現像器
5,5Y,5M,5C,5K 転写ローラ
6,6Y,6M,6C,6K クリーニング手段
7,7Y,7M,7C,7K プロセスカートリッジ
11 基板
12 LEDアレイ
12a LED素子
13 駆動IC
14 ロッドレンズアレイ
14a ロッドレンズ
20 本体フレーム(光プリントヘッド)
21 主走査方向位置決め穴
22a ピント調整ねじ(前側)
22b ピント調整ねじ(後側)
23 副走査方向調整ねじ
24 ドライバー穴
25 副走査方向基準面
30a 面板(前側)
30b 面板(後側)
31 主走査方向位置決めピン
32a ピント方向基準面(前側)
32b ピント方向基準面(後側)
33a 副走査方向基準面(前側)
33b 副走査方向基準面(後側)
34a ピント方向加圧ばね(前側)
34b ピント方向加圧ばね(後側)
35a 副走査方向加圧ばね(前側)
35b 副走査方向加圧ばね(後側)
36 ステー
40 感光体回転中心軸
41 現像ローラ回転中心軸
42 主基準ピン
43 現像副基準ピン
100 画像形成装置
101 中間転写ベルト
102 搬送ベルト
103 2次転写ローラ
104 定着器
105 搬送ローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0066】
【特許文献1】特開平6−8516号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも感光体および現像装置を二方向から挟んで位置決めする面板を備えた画像形成装置であって、
前記面板は、光プリントヘッドのピント方向および副走査方向のそれぞれの位置決め基準面を有し、該位置決め基準面に前記光プリントヘッドを当接させて位置決めすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記面板の位置決め基準面に対して、前記光プリントヘッドを付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記面板は、前記光プリントヘッドの主走査方向位置を決める主走査方向位置決め手段を有することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
少なくとも感光体および現像装置を二方向から挟んで位置決めする画像形成装置の面板に、長手方向の両端部側が担持される光プリントヘッドであって、
前記面板が有する当該光プリントヘッドのピント方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドを変位させるピント調整手段を有することを特徴とする光プリントヘッド。
【請求項5】
前記面板が有する当該光プリントヘッドの副走査方向の位置決め基準面に対して、当該光プリントヘッドを変位させる副走査方向調整手段を、長手方向の片端部側に有することを特徴とする請求項4に記載の光プリントヘッド。
【請求項6】
前記副走査方向調整手段と反対側の端部に、前記副走査方向の位置決め基準面と少なくとも2点以上、または面で当接する副走査方向基準部を有することを特徴とする請求項5に記載の光プリントヘッド。
【請求項7】
長手方向における一方の端部側に、当該光プリントヘッドの主走査方向位置を決める主走査方向位置決め手段を有することを特徴とする請求項4から6までのいずれかに記載の光プリントヘッド。
【請求項8】
請求項4から7までのいずれかに記載の光プリントヘッドを有することを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
【請求項9】
請求項4から7までのいずれかに記載の光プリントヘッド、または請求項8に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−123314(P2012−123314A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275886(P2010−275886)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】