説明

画像形成装置、制御方法、制御プログラム、記録媒体

【課題】 ノコ歯の放電むら防止および感光体表面の帯電電位の安定化と併せてオゾンや窒素酸化物の発生を抑制し、長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる画像形成装置およびその制御方法、制御プログラムならびに記録媒体を提供する。
【解決手段】 画像形成装置は、像担持体と、電位検出手段と、針電極と、クリーニング部材と、制御手段とを含む。針電極をクリーニング部材でクリーニングし、その後、帯電させた像担持体の帯電電位を電位検出手段で検出する。制御手段は、その帯電電位と設定値とを比較し、その結果に基づいて、第1制御動作、第2制御動作、第3制御動作、第4制御動作、のいずれか1つの制御動作を選択し実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる感光体表面を均一に帯電させる帯電装置において、ノコ歯に付着した汚染物質をクリーニング部材で清掃するクリーニング機構を有する画像形成装置およびその制御方法、制御プログラム、ならびに記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置には、感光体の表面を均一に帯電させる帯電装置が搭載される。帯電装置として、たとえば感光体の表面に接触しない非接触帯電装置があり、非接触の帯電装置は、高圧電源が印加された電極からの放電により感光体表面を帯電させる。
【0003】
非接触帯電装置としては、たとえばノコ歯電極、グリッド電極およびシールドケースで構成されるスコロトロン帯電装置がある。この帯電装置で感光体表面を帯電させる方式において、感光体のライフを通じて所定の電位を得るため、ノコ歯に対して高めの帯電電流を印加し、感光体に含まれる感光層の膜減り量に応じてグリッド電極に印加するグリッドバイアスを上げることによって、感光体表面の帯電電位を一定となるように制御している。オゾンおよび窒素酸化物はノコ歯に印加する帯電電流値が大きいほど多く発生するので、ノコ歯に対して高めの帯電電流を印加する前記の制御方法では、オゾンおよび窒素酸化物の発生が多くなり、感光体およびグリッド電極にダメージを与え、ノコ歯電極の劣化を加速させていた。
【0004】
またノコ歯電極を用いる場合の課題として、高圧電界が発生しているノコ歯先端部において画像形成装置内に浮遊しているトナー、シリカ、塵が吸着し易い。これらが吸着したまま放置すると適正な放電が行われず、いわゆる放電不良が発生する。この放電不良によって、感光体が均一に帯電されないので画像不良が生じる。近年では特にトナーの外添剤であるシリカに添加されている疎水化処理剤であるHMDS(ヘキサメチルジシラン)が定着工程で加熱されてTMS(トリメチルシラノール)の揮発ガスが発生し、これがノコ歯の先端に付着して堆積することによって放電不良が顕著化することが大きな問題となっている。
【0005】
しかしながら、HMDSはトナーの高温高湿環境における帯電性低下を防ぐ目的で使用されており、容易に使用を中止することはできないため、たとえばノコ歯先端を定期的にクリーニングゴムローラでクリーニングすることで対応している。
【0006】
特許文献1には、清掃部による帯電部の清掃が終了した後であって、画像を形成するための帯電処理を行う前に、画像を形成する時の電流よりも大きな電流をワイヤに供給する画像形成装置が開示されている。特許文献1によれば、帯電部の清掃直後に生じる放電ムラを防止することができる。
【0007】
また、特許文献2には、帯電器の清掃作業が完了した後、帯電電流値を検出して帯電器の汚れをチェックし、帯電電流値が所定値以下である場合に再度帯電器の清掃作業をユーザーに促す画像形成装置が開示されている。特許文献2によれば、帯電器を構成するコロナワイヤの清掃作業を行った直後に帯電異常が再発することを未然に防止し、画像品質を良好に維持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004-170474号公報(平成16年6月17日公開)
【特許文献2】特開2006-184826号公報(平成18年7月13日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示の画像形成装置は、清掃による放電ムラは解消できても、感光体のライフを通じて感光体表面の帯電電位を所定の電位に維持し、またノコ歯に電流を印加することによって発生するオゾンおよび窒素酸化物の問題を解消する有効な手段にはなっていない。
【0010】
本発明の目的は、ノコ歯の放電むら防止および感光体表面の帯電電位の安定化と併せてオゾンや窒素酸化物の発生を抑制し、長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる画像形成装置およびその制御方法、制御プログラムならびに記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電させる電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯に対して垂直にノコ歯を保持するベース面を有するベース部分、およびノコ歯に対して平行にノコ歯を保持する保持部分で針電極を保持するノコ歯保持部材と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段と、
クリーニング部材で針電極をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その結果に基づいて、
(1)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、
(2)電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、
(3)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、
(4)電圧値および電流値を変更しない第4制御動作、
のいずれか1つの制御動作を選択し、実行する制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
また本発明は、前記制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より低い場合、第1制御動作または第2制御動作を選択し、実行することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、第2制御動作は、電圧印加手段によってグリッド電極に印加する電圧値を増加させた後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ、電流印加手段によってノコ歯に印加する電流値を調整することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より高い場合、第3制御動作を選択し、実行することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電させる電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯に対して垂直にノコ歯を保持するベース面を有するベース部分、およびノコ歯に対して平行にノコ歯を保持する保持部分で針電極を保持するノコ歯保持部材と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段と、
クリーニング部材で針電極をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その結果に基づいて、
電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
また本発明は、電流印加手段によってノコ歯に印加される前記クリーニング前の電流値は、その時の像担持体に含まれる感光層の厚さに応じて設定されることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記クリーニング部材保持体は、クリーニング部材をクリーニング部材保持体の一端に圧接する圧接片を含み、前記移動部材によるノコ歯の配列方向に沿った移動に伴い、ベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動し、
ベース部分は、ベース面に平行な方向に湾曲していることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸の回転によって、ねじ軸に沿って前記クリーニング部材保持体を移動させ、この移動に伴い、クリーニング部材保持体はベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動し、
ベース部分は一定の幅を有し、
複数のノコ歯は、ねじ軸に対して平行に、かつベース面の長手方向における中心軸に対して非平行に配列されることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸を含み、その回転によってねじ軸に沿ってクリーニング部材保持体を移動させ、
ねじ軸とベース面の長手方向における中心軸とは平行であり、
複数のノコ歯は、前記中心軸およびねじ軸に対して非平行に配列されることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電する電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段とを含む画像形成装置において、
クリーニング部材でノコ歯先端をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その比較の結果に基づいて、
(1)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、
(2)電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、
(3)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、
(4)電圧値および電流値を変更しない、
のいずれか1つの制御動作を選択し、実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法である。
【0021】
また本発明は、前記画像形成装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを前記制御手段として機能させるための制御プログラムである。
【0022】
また本発明は、前記制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、針電極をクリーニング部材でクリーニングし、その後、帯電させた像担持体の帯電電位を電位検出手段で検出する。制御手段は、その帯電電位と設定値とを比較し、その結果に基づいて、(1)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、(2)電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、(3)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、(4)電圧値および電流値を変更しない第4制御動作、のいずれか1つの制御動作を選択し実行する。これによって、ノコ歯先端に付着している汚染物質、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物をクリーニングでき、かつノコ歯に汚染物質および放電生成物の影響がない状態で像担持体表面の帯電電位が設定値となるように制御することができるので、放電むらがなく安定したノコ歯の像担持体帯電付与性能を実現できる。したがって、長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。
【0024】
また本発明によれば、制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より低い場合、第1制御動作または第2制御動作を選択し実行するので、ノコ歯に印加する電流を最小限に留め、放電生成物の発生を抑制できるので、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。したがって、クリーニングの頻度を少なくすることができ、かつ長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。
【0025】
また本発明によれば、第2制御動作は、電圧印加手段によってグリッド電極に印加する電圧値を増加させた後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ、電流印加手段によってノコ歯に印加する電流値を調整するので、電圧値を増加させた後の像担持体表面の帯電電位と、設定値との差が比較的大きい場合でも、ノコ歯に印加する電流を最小限に留め、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。
【0026】
また本発明によれば、制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より高い場合、第3制御動作を選択し実行するので、ノコ歯に印加する電流を下げることができ、放電生成物の発生を低減できるので、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。したがって、クリーニングの頻度を少なくすることができ、かつ長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。
【0027】
また本発明によれば、針電極をクリーニング部材でクリーニングし、その後、帯電させた像担持体の帯電電位を電位検出手段で検出する。制御手段は、その帯電電位と設定値とを比較し、その結果に基づいて電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する。これによって、ノコ歯先端に付着している汚染物質、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物をクリーニングでき、かつノコ歯に汚染物質および放電生成物の影響がない状態でノコ歯に印加する電流を最小限に留めながら像担持体表面の帯電電位が設定値となるように制御することができるので、安定したノコ歯の感光体帯電付与性能を実現できる。したがって、長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。
【0028】
また本発明によれば、電流印加手段によってノコ歯に印加される前記クリーニング前の電流値は、その時の像担持体に含まれる感光層の厚さに応じて設定される。同じ電流値をノコ歯に印加した場合でも感光層の厚さによって像担持体表面の帯電電位が変わるので、感光層の厚さに応じて印加する電流値が設定されることによって、ノコ歯に印加される電流を確実に最小限に留めることができ、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を一層抑制できる。
【0029】
また本発明によれば、クリーニング部材保持体は、クリーニング部材をクリーニング部材保持体の一端に圧接する圧接片を含む。クリーニング部材保持体は、移動手段によるノコ歯の配列方向に沿った移動に伴い、ベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動する。ベース部分は、ベース面に平行な方向に湾曲している。これによって、移動手段によるクリーニング部材保持体の移動に伴い、クリーニング部材保持体は、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に確実に移動するので、クリーニング部材の外周面全域をノコ歯と接触させることができる。したがって、クリーニング部材の外周面全域を用いて確実にノコ歯をクリーニングできるので、針電極の安定したクリーニング性を維持でき、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能となるので、高品位の画像をより一層安定して得ることができる。また、クリーニングの際にクリーニング部材の一部分のみがノコ歯と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニング部材およびノコ歯の長寿命化を図ることができる。
【0030】
また本発明によれば、クリーニング部材保持体は、クリーニング部材をクリーニング部材保持体の一端に圧接する圧接片を含む。クリーニング部材保持体は、移動手段によるノコ歯の配列方向に沿った移動に伴い、ベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動する。移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸の回転によって、ねじ軸に沿ってクリーニング部材保持体を移動させ、ベース部分は一定の幅を有し、複数のノコ歯は、ねじ軸に対して平行に、かつベース面の長手方向における中心軸に対して非平行に配列される。これによって、クリーニング部材の外周面全域を用いて確実にノコ歯をクリーニングできる。したがって、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能となるので、高品位の画像をより一層安定して得ることができる。また、クリーニングの際にクリーニング部材の一部分のみがノコ歯と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニング部材およびノコ歯の長寿命化を図ることができる。
【0031】
また本発明によれば、移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸を含み、その回転によってねじ軸に沿ってクリーニング部材保持体を移動させ、ねじ軸とベース面の長手方向における中心軸とは平行である。複数のノコ歯は前記中心軸およびねじ軸に対して非平行に配列されるので、クリーニング部材保持体をねじ軸に沿って移動させると、クリーニング部材の外周面全域を針電極と接触させることができる。したがって、クリーニング部材の外周面全域を用いて確実にノコ歯をクリーニングできるので、針電極の安定したクリーニング性を維持でき、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能な帯電装置とすることができる。また、クリーニングの際にクリーニング部材の一部分のみがノコ歯と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニング部材およびノコ歯の長寿命化を図ることができる。
【0032】
また本発明によれば、画像形成装置の制御方法は、針電極をクリーニング部材でクリーニングし、その後、帯電させた像担持体の帯電電位を電位検出手段で検出する。その比較の結果に基づいて、制御手段は、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、電圧値および電流値を変更しない、のいずれか1つの制御動作を選択し実行する。これによって、ノコ歯先端に付着している汚染物質、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物をクリーニングでき、かつノコ歯に汚染物質および放電生成物の影響がない状態で像担持体表面の帯電電位が設定値となるように制御することができるので、安定したノコ歯の感光体帯電付与性能を実現できる。したがって、長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。
【0033】
また本発明によれば、制御プログラムは、本発明の画像形成装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを前記制御手段として機能させるので、電位検出手段によって検出される像担持体表面の電位と設定値とを比較してグリッド電極に印加する電圧、およびノコ歯に印加する電流によって像担持体表面の帯電電位を制御する方法を制御手段が読み取り、実行することができ、この制御方法を汎用的なものにすることができる。
【0034】
また本発明によれば、記録媒体は前記制御プログラムが記録され、コンピュータで読み取り可能であるので、電位検出手段によって検出される像担持体表面の電位と設定値とを比較してグリッド電極に印加する電圧、およびノコ歯に印加する電流によって像担持体表面の帯電電位を制御するプログラムを容易にコンピュータに供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1の実施形態である画像形成装置100の構成を模式的に示す図である。
【図2】図1に示す感光体11の周辺の構造を示す説明図である。
【図3】第1帯電装置301の構成を模式的に示す側面図である。
【図4】第1帯電装置301の構成を模式的に示す底面図である。
【図5】図4に示す第1帯電装置301を切断面線S357−S357から見た断面図である。
【図6】図5に示すクリーニングゴムローラ66周辺の拡大図である。
【図7】図6に示す帯電装置301を切断面線S309−S309から見た断面図である。
【図8】図7に示すクリーニング部材保持体394周辺の拡大図である。
【図9】第2帯電装置1の構成を模式的に示す底面図である。
【図10】図9に示す第2帯電装置1を切断面線S5−S5から見た断面図である。
【図11】図10に示すクリーニングゴムローラ66周辺の拡大図である。
【図12】図11に示す帯電装置1を切断面線S50−S50から見た断面図である。
【図13】クリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62における長手方向の中心まで移動した状態を示す底面図である。
【図14】図13に示す帯電装置1を切断面線S55−S55から見た断面図である。
【図15】クリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62の端まで移動した状態を示す底面図である。
【図16】図15に示す帯電装置1を切断面線S57−S57から見た断面図である。
【図17】第3帯電装置93の構成を模式的に示す底面図である。
【図18】第4帯電装置95に含まれるクリーニングゴムローラ66および案内手段の構成を模式的に示す底面図である。
【図19】第5帯電装置101の構成を模式的に示す底面図である。
【図20】図19に示す第5帯電装置101を切断面線S105−S105から見た断面図である。
【0036】
【図21】図20に示す第5帯電装置101を切断面線S150−S150から見た断面図である。
【図22】クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162における長手方向の中心まで移動した状態を示す底面図である。
【図23】図22に示す帯電装置101を切断面線S155−S155から見た断面図である。
【図24】クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162の端まで移動した状態を示す底面図である。
【図25】図24に示す帯電装置101を切断面線S157−S157から見た断面図である。
【図26】ノコ歯のクリーニング後において、感光体表面の帯電電位を調整するための制御方法を示すフローチャートである。
【図27】グリッドバイアスVgを−620Vに固定した場合において、感光層の厚さの違いによるノコ歯の帯電電流と感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。
【図28】ノコ歯の帯電電流値を−700μAに固定した場合におけるグリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。
【図29】ノコ歯の帯電電流値を−350μAに固定した場合において、感光層の厚さの違いによるグリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。
【図30】感光体膜厚およびノコ歯に印加する帯電電流値に応じた、グリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
1、画像形成装置
(1)画像形成装置の構成
図1は、本発明の第1の実施形態である画像形成装置100の構成を模式的に示す図である。本実施形態の画像形成装置100は、電子写真方式のフルカラー画像形成装置であり、たとえばネットワークを介して外部から送信されてくる画像データや読取部206によって読み取った画像データに基づいて、記録紙(転写媒体)に対し多色または単色の画像を形成する。
【0038】
図1に示すように、画像形成装置100は、可視像形成ユニット10、供給トレイ20、記録紙搬送手段30および定着装置40を備える。ここでは、可視像形成ユニット10にて現像した像(トナー像)は、記録紙Pに直接転写するものとするが、中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写するようになっていてもよい。
【0039】
可視像形成ユニット10には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色に対応して、4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが並設される。つまり、可視像形成ユニット10は4つの可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bからなり、可視像形成ユニット10Yはイエロー(Y)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Mはマゼンダ(M)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Cはシアン(C)のトナーを用いて画像形成を行い、可視像形成ユニット10Bはブラック(B)のトナーを用いて画像形成を行う。具体的な配置としては、供給トレイ20から定着装置40へ記録紙Pを搬送する搬送路に沿って、4組の可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bが配設されており、搬送される記録紙Pに各色のトナーを多重転写する。図2に示すように、可視像形成ユニット10Y,10M,10C,10Bは、それぞれ実質的に同一の構成を有する。すなわち、それぞれに、感光体11、表面電位計313、第1帯電装置301、レーザ光照射手段13、現像装置14、転写ローラ15、クリーナユニット16および除電装置17が設けられる。
【0040】
図2は、図1に示す感光体11の周辺の構造を示す説明図である。第1帯電装置301、表面電位計313、レーザ光照射手段13、現像装置14、転写ローラ15、クリーナユニット16および除電装置17がこの順で像担持体である感光体11表面を臨むように配置される。
【0041】
感光体11は、図示しない円柱状の感光体支持基体と、感光体支持基体の表面に形成される感光層とを含んで構成される。感光体支持基体は導電性材料によって形成される。本実施形態の感光体支持基体は、導電性材料としてアルミニウムを使用したアルミニウム素管が用いられる。感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することによって形成される。電荷発生物質としては、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料などが挙げられる。電荷輸送物質としてはたとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などが挙げられる。
【0042】
第1帯電装置301は、感光体11の表面を所定の電位に均一に帯電させるものであり、感光体11の表面から非接触で近接させてコロナ放電とグリッドバイアス制御によって帯電させる非接触帯電方式のコロナ帯電方式の帯電装置を用いている。
【0043】
電位検出手段である表面電位計313は、感光体11表面の帯電電位を測定する装置である。
【0044】
レーザ光照射手段13は、第1帯電装置301によって帯電された感光体11の表面を画像データに応じて露光し、感光体11の表面に静電潜像を形成する。
【0045】
現像装置14は、感光体11表面に形成される静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する。感光体11の表面へのトナーの供給に際しては、現像装置14にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧として印加される。これによって、トナーが静電潜像に円滑に供給される。
【0046】
転写ローラ15は、トナーとは逆極性のバイアス電圧を印加されており、感光体11に形成されたトナー像を、記録紙搬送手段30によって搬送される記録紙Pに転写させる。
【0047】
クリーナユニット16は、転写ローラ15による転写処理の後に、感光体11の表面に残留したトナーを除去および回収する。クリーナユニット16は、ケース54およびクリーニングブレード51を備えている。クリーニングブレード51は、感光体11の表面に残留するトナーを回収するためのものであり、感光体11の軸方向を長手方向とする長尺状のゴム部材によって形成されている。
除電装置18は、感光体11表面を除電する装置である。
【0048】
上記の構成の各可視像形成ユニットにおいて、感光体11は除電装置17で除電された後、第1帯電装置301によって表面が帯電され、帯電した感光体11の表面をレーザ光照射手段13で露光して静電潜像を形成し、静電潜像を現像装置14によって現像し、現像したトナー像を転写ローラ15によって記録紙Pに転写する。転写工程後に感光体11の表面に残ったトナー像は、クリーナユニット16によって除去回収される。そして、このような、記録紙Pに対するトナー像の転写を、各色の可視像形成ユニット10において順次行うことで、記録紙Pに各色のトナー像を多重転写する。
【0049】
図1に戻って、記録紙搬送手段30は、駆動ローラ31、アイドリングローラ32および搬送ベルト33を含み、各可視像形成ユニット10によって記録紙Pにトナー像が転写されるように、記録紙Pを搬送する。駆動ローラ31およびアイドリングローラ32は、無端状の搬送ベルト33を張架するものであり、駆動ローラ31が所定の周速度で回転駆動されることで、搬送ベルト33が回転する。また、搬送ベルト33は、外側表面は所定の電位に帯電しており、記録紙Pを静電吸着しながら搬送する。
【0050】
記録紙搬送手段30によって搬送されて各可視像形成ユニット10を通過し、トナー像(未定着トナー像)を転写された記録紙は、駆動ローラ31の曲率によって搬送ベルト33から剥離され、定着装置40に搬送される。
【0051】
定着装置40は、記録紙Pに適度な熱と圧力とを与えて、記録紙P上に転写されたトナーを溶解させて記録紙Pに定着させ、記録紙を排紙トレイ(図示せず)に排出する。定着装置40の構成は特に限定されるものではなく、たとえば加熱ローラ41と加圧ローラ42とを備え、これら両ローラによって記録紙Pを挟持しながら搬送する構成のものを用いることができる。これらの動作によって、記録紙Pに画像が形成される。
【0052】
画像形成装置100に備えられる上記各部材の動作は、制御手段である主制御部(図示しない制御用集積回路基板または図示しないコンピュータ)によって制御される。
【0053】
(2)帯電装置
以下、第1帯電装置301の構成について詳しく説明する。
【0054】
(第1帯電装置301)
図3は、第1帯電装置301の構成を模式的に示す側面図である。図4は、第1帯電装置301の構成を模式的に示す底面図である。図5は、図4に示す第1帯電装置301を切断面線S357−S357から見た断面図である。
【0055】
図3,4では省略しているが、第1帯電装置301(以下「帯電装置301」と記載する)は、図5に示すように帯電ケース300に囲まれており、針電極363と、ノコ歯保持部材362と、クリーニングゴムローラ66と、クリーニング部材保持体394と、移動手段303と、スクリーングリッド64と、端子部350とを含む。
【0056】
針電極363は、薄い帯状の金属材料からなり、その全長に渡って一定の間隔で複数のノコ歯53が下向きに延出している。複数のノコ歯53は、針電極363の長さ方向に平行な矢符B1,B2に沿って一方向に配列している。針電極363からの放電によって後述する感光体11の表面が一様の電位に帯電する。複数のノコ歯53は、感光体11の長手方向に渡って配列しており、ノコ歯53の先端部と感光体11との間には、一定の距離がある。針電極363の長さは、感光体11における周面の軸方向の長さより長い。ノコ歯53には、定電流電源が接続されている。スクリーングリッド64には、定電圧電源が接続されている。
【0057】
複数のノコ歯を保持するノコ歯保持部材362は、ノコ歯53に対して垂直にノコ歯53を保持するベース面308を有するベース部分306、およびノコ歯53に対して平行にノコ歯53を保持する保持部分307で針電極363を保持する。ノコ歯保持部材362の長さは、針電極363の長さより長い。ベース部分306は、ノコ歯53が存在する存在部362aの両端部にノコ歯53が存在しない非存在部362bが一体的に形成されてなる。本実施形態において、存在部362aの長手方向の長さ383は(328)mmであり、短手方向の長さ384は10mmである。ノコ歯保持部材362は、その長手方向の両端部で帯電装置301の帯電ケース300に固定される。ノコ歯保持部材362は、合成樹脂などの絶縁性材料によって構成される。
【0058】
クリーニング部材であるクリーニングゴムローラ66は、シャフト65の外周において、2つの回転コロ(第1回転コロ67a、第2回転コロ67b)の間に形成される。クリーニングゴムローラ66は、ノコ歯53の先端部と感光体11との間において、ノコ歯53の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯53の先端部に順に外周面が接することで針電極363をクリーニングする。
【0059】
図6は、図4に示すクリーニングゴムローラ66周辺の拡大図である。図7は、図6に示す帯電装置301を切断面線S309−S309から見た断面図である。クリーニングゴムローラ66は、その内側から順に円柱状のシャフト65、円筒状の芯金67、弾性層96が形成される3層構造のロール状部材である。シャフト65の材料としては、ポリカーボネートおよびSUS(Stainless Used Steel)材が挙げられる。芯金67の材料としては、ポリカーボネートおよびSUS材が挙げられる。弾性層96の材料としては、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が挙げられる。クリーニングゴムローラ66の直径は、スクリーングリッド64の周面に接触しない範囲でできるだけ大きくすることができ、たとえば直径が6mmであり、軸線方向の長さが4mmである。クリーニングゴムローラ66は、材料をポリカーボネートとするシャフト65を用い、外径が2mmであり、材料をポリカーボネートとする芯金67を用い、厚さが1.5mm、軸線方向の長さが4mmであり、材料をエチレンプロピレンジエンゴムとする弾性層96を用いて構成される。なお、シャフト65と芯金67とは共に材料をポリカーボネートとする一体成型のものを用いてもよい。
【0060】
図7に示すように、ノコ歯53の先端部がクリーニングゴムローラ66に埋没するようにして順に接することで、コロナ放電に伴う静電気力の集塵作用によりノコ歯53先端部に付着した、浮遊トナー、揮発したTMSおよび塵がクリーニングされる。クリーニングゴムローラ66は、複数のノコ歯53から周面に作用する抵抗によって回転しつつ矢符B1,B2に沿って移動する。後述するクリーニング部材保持体394は、クリーニングゴムローラ66の周面にノコ歯53の先端が0.5mm程度の長さで埋没するようにクリーニングゴムローラ66を保持する。
【0061】
図3,4,5に戻って、クリーニング部材保持体394は、ゴムローラ保持体302と、シャフト65と、2つの回転コロ67a,67bと、突起片302a,302bとを含む。クリーニング部材保持体394は、ゴムローラ保持体2にシャフト65の両端部を回転自在に固定することで、クリーニングゴムローラ66を回動自在に支持する。突起片302a,302bは、クリーニング部材保持体394の内面側に形成される。クリーニング部材保持体394は、該内面における上面302cと、突起片302a,302bとでノコ歯保持部材362を上下方向に挟み、該内面における側面302d,302eでノコ歯保持部材362を左右方向に挟む。このためクリーニング部材保持体394は、ベース面308に平行で矢符B1,B2に直交する方向において、回転を含む移動を規制される。針電極363のクリーニング後、クリーニング部材保持体394は、印字の妨げとならないノコ歯53の無い位置、すなわち2つの非存在部362bのいずれか一方まで移動手段によって移動する。
【0062】
図8は、図4に示す帯電装置301を切断面線S350−S350から見た断面図である。図8に示すように、移動手段303はスクリューネジ70と移動部材371とを含む。移動部材371には、ねじ軸であるスクリューネジ70から螺合されるねじ穴82が貫通している。スクリューネジ70は、ベース部分306の長手方向に渡って設けられ、その回転によって、スクリューネジ70に沿ってクリーニング部材保持体394を移動させる。スクリューネジ70は、図示しないモータによって回転する。モータは正逆回転が可能である。スクリューネジ70が矢符A1の方向に回転すると、その回転によってクリーニング部材保持体394は矢符B1の方向に移動し、スクリューネジ70が矢符A2の方向に回転すると、その回転によってクリーニング部材保持体394は矢符B2の方向に移動する。スクリューネジ70は、ノコ歯53の配列方向および感光体11の軸線方向と平行に構成される。
【0063】
端子部350は、図示しない端子を収納する。端子は、高圧電源と針電極363とを接続する。端子を介して針電極363に高圧電源が印加されると、ノコ歯53の先端部に印加電界が集中し、この部分が放電しやすくなる。これによって、複数のノコ歯53から感光体11の表面に放電され、この放電によって感光体11表面が所定の電位に帯電される。
【0064】
以下、第1帯電装置301以外に本実施形態の画像形成装置100に用いることができる帯電装置の構成例を複数挙げる。
【0065】
(第2帯電装置1)
図9は、第2帯電装置1の構成を模式的に示す底面図である。図10は、図9に示す第2帯電装置1を切断面線S5−S5から見た断面図である。図9,10に示すように、第2帯電装置1(以下「帯電装置1」と記載する)は、針電極63と、ノコ歯保持部材62と、クリーニングゴムローラ66と、クリーニング部材保持体94と、移動手段3と、案内手段と、図示しないスクリーングリッドと、図示しない端子部とを含む。スクリーングリッドおよび端子部については、帯電装置301と同一の構成のため記載を省略する。
【0066】
針電極63は、複数のノコ歯53が一方向に配列したものである。針電極63からの放電によって後述する感光体11の表面が一様の電位に帯電する。複数のノコ歯53は、感光体の長手方向に渡って配列しており、ノコ歯53の先端部と感光体11との間には、一定の距離がある。
【0067】
複数のノコ歯を保持するノコ歯保持部材62は、ノコ歯53に対して垂直にノコ歯53を保持するベース面8を有するベース部分6、およびノコ歯53に対して平行にノコ歯53を保持する保持部分7で針電極63を保持する。図9に示すように、ノコ歯保持部材62は一定の幅を有し、ベース面8に平行な方向、すなわち矢符A3の方向に湾曲している。ノコ歯保持部材62は、ノコ歯53が存在する存在部62aの両端部にノコ歯53が存在しない非存在部62bが一体的に形成されてなる。本実施形態において、存在部62aの長手方向の長さ83は328mmであり、短手方向の長さ84は10mmである。ノコ歯保持部材62の曲率は、1.481×10−1(1/m)である。曲率とは、曲線または曲面上の各点における、その曲線または曲面のまがりの程度を示す値である。曲率は、曲率半径の逆数で示す。たとえば曲率半径rの曲率円の曲率は1/rであり、まがりの程度が大きいほど曲率の値は大きくなる。本実施形態において、ノコ歯保持部材62の曲率は、存在部62aにおける中心軸99と、中心軸99の両端部B,Cとからなる円弧BCによって設定される。円弧BCの長さは329.8mmであり、円弧BCの弦の長さは前記存在部62aの長手方向の長さ83と等しく、円弧BCを含む曲率円の曲率半径は6752mmである。中心軸99の両端部B,Cと曲率中心とから成る角度は2.8°である。ノコ歯保持部材62は、その長手方向の両端部で帯電装置1の図示しない帯電ケースに固定される。
【0068】
クリーニング部材であるクリーニングゴムローラ66は、シャフト65の外周において、2つの回転コロ(第1回転コロ67a、第2回転コロ67b)の間に形成される。クリーニングゴムローラ66は、ノコ歯53の先端部と感光体11との間において、ノコ歯53の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯53の先端部に順に外周面が接することで針電極63をクリーニングする。
【0069】
図11は、図9に示すクリーニングゴムローラ66周辺の拡大図である。クリーニングゴムローラ66の構成は、帯電装置301におけるクリーニングゴムローラ66の構成と同様である。
【0070】
図9,10に戻って、クリーニング部材保持体94は、ゴムローラ保持体2と、シャフト65と、2つの回転コロ67a,67bとを含む。クリーニング部材保持体94は、ゴムローラ保持体2にシャフト65の両端部を回転自在に固定することで、クリーニングゴムローラ66を回動自在に支持する。針電極63のクリーニング後、クリーニング部材保持体は、印字の妨げとならないノコ歯53の無い位置、すなわち2つの非存在部62bのいずれか一方まで移動手段によって移動する。図11に示すようにゴムローラ保持体2がノコ歯保持部材62の一端に存在する時点において、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66外周面の第1回転コロ67a側の端に接している。
【0071】
図12は、図9に示す帯電装置1を切断面線S50−S50から見た断面図である。図14に示すように、移動手段3はスクリューネジ70と移動部材71とを含む。移動部材71は、基部80と、基部80の下面の逆T字状の案内レール81とが一体的に形成される。基部80には、ねじ軸であるスクリューネジ70から螺合されるねじ穴82が貫通している。スクリューネジ70は、ベース部分6の長手方向に渡って設けられ、その回転によって、スクリューネジ70に沿ってクリーニング部材保持体94を移動させる。スクリューネジ70は、図示しないモータによって回転する。モータは正逆回転が可能である。スクリューネジ70が矢符A1の方向に回転すると、その回転によってクリーニング部材保持体94は矢符B1の方向に移動し、スクリューネジ70が矢符A2の方向に回転すると、その回転によってクリーニング部材保持体94は矢符B2の方向に移動する。スクリューネジ70は、ノコ歯53の配列方向および感光体11の軸線方向と平行に構成される。
【0072】
クリーニング部材保持体94を構成するゴムローラ保持体2は、案内溝部89と、案内溝部89の下面の一対の保持部88とが一体的に形成される。一対の保持部88は、ノコ歯保持部材62が収まるよう、C1,C2の方向に間隔を空けて一体的に形成される。案内溝部89は、断面が逆T字状であり、案内溝90を形成する。案内溝90は、断面が逆T字状で、案内レール81がはまり込んでおり、案内レール81がC1,C2の方向に移動できるよう案内する。各保持部には、シャフト65が回転自在に固定される。案内溝部89のC方向における両端部には、図示しない端壁が存在する。そのため、案内レール81は各端壁の間においてCの方向に移動する。なお、図11に示す帯電装置1を側面から見た場合、案内溝90は見えず、ゴムローラ保持体2と移動部材71とは一体的に形成されているように見える。ゴムローラ保持体2および移動手段3が上記のような構成であることによってクリーニング部材保持体94が、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向、すなわちCの方向に移動可能となる。クリーニング部材保持体94および移動手段3の構造は、Cの方向に移動可能であれば、前記の構造に限定されない。
【0073】
案内手段は、移動手段3によるクリーニング部材保持体94の移動に伴い、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向、すなわちCの方向にクリーニング部材保持体94を移動させる。本実施形態では、ベース部分6が案内手段に相当する。
【0074】
図10に戻って、一対の保持部88が相互に対面する内面のいずれか一方には、その保持部88と一体的に固定され、各保持部間に挿入されたノコ歯保持部材62の一側面に弾発的に当接する圧接片4を有する。圧接片4はノコ歯保持部材62を樹脂弾性で圧接する。前述のように、ベース部分6はベース面8に対して平行な方向に湾曲しており、クリーニング部材保持体94が湾曲したベース部分6を含むノコ歯保持部材62に沿って円滑に移動するためには、ノコ歯保持部材62とゴムローラ保持体2との間においてベース面8に平行な方向にある程度の隙間52が必要となる。しかしながら、隙間52があるとクリーニング部材保持体94は、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列する方向に直交する方向に自由に移動することができる。圧接片4を設けてクリーニングゴムローラ66がゴムローラ保持体2の一端に常に接する構造とすることによって、クリーニング部材保持体94が湾曲した形状のノコ歯保持部材62に沿って円滑に移動でき、かつクリーニング部材保持体94を矢符A4,A5の所望の方向に確実に移動させることができる。本実施形態において、隙間52の幅は2mmである。圧接片4の材料はある程度の弾性を有するものであれば特に限定されないが、本実施形態ではポリカーボネート樹脂である。また、圧接片4の形状は、ノコ歯保持部材62をゴムローラ保持体2の一端に圧接することができれば図2に示す形状に限定されないが、ノコ歯保持部材62との摩擦係数が小さく、クリーニング部材保持体94の移動を妨げないような形状が好ましい。
【0075】
図13は、クリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62における長手方向の中心まで移動した状態を示す底面図である。図14は、図13に示す帯電装置1を切断面線S55−S55から見た断面図である。図14に示すようにゴムローラ保持体2がノコ歯保持部材62の中心に存在する時点では、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66の第2回転コロ67b側に接している。これは、ノコ歯53の配列方向に沿ったゴムローラ保持体2の移動に伴い、ベース部分6の形状に応じて、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向にクリーニング部材保持体94が移動したためである。クリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62の中心に移動するまでの間、クリーニングゴムローラ66の外周面において、第1回転コロ67a側の端から第2回転コロ67b側の端へとノコ歯53の先端部と接する位置が移動する。
【0076】
図15は、クリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62の端まで移動した状態を示す底面図である。図16は、図15に示す帯電装置1を切断面線S57−S57から見た断面図である。図15に示すようにクリーニング部材保持体94がノコ歯保持部材62の一端に存在する時点では、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66の外周面において、第1回転コロ67a側に接している。これは、ノコ歯53の配列方向に沿ったクリーニング部材保持体94の移動に伴い、ベース部分6の形状に応じて、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向にクリーニング部材保持体94が移動したためである。ゴムローラ保持体2がノコ歯保持部材62の端に移動するまでの間、クリーニングゴムローラ66の外周面において、第2回転コロ67b側の端から第1回転コロ67a側の端へとノコ歯53の先端部と接する位置が移動する。すなわち、クリーニングゴムローラ66の外周面全域が確実にノコ歯53の先端部と接する。
【0077】
このように本実施形態では、移動手段によるクリーニング部材保持体94の移動に伴い、クリーニング部材保持体94は、ベース部分6の形状に応じて、ベース面8に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向に移動するので、クリーニングゴムローラ66の外周面全域をノコ歯53と接触させることができる。したがって、クリーニングゴムローラ66の外周面全域を用いて確実にノコ歯53をクリーニングできるので、針電極63の安定したクリーニング性を維持でき、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能な帯電装置1とすることができる。また、クリーニングの際にクリーニングゴムローラ66の一部分のみがノコ歯53と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニングゴムローラ66およびノコ歯53の長寿命化を図ることができる。
【0078】
(第3帯電装置93)
図17は、第3帯電装置93の構成を模式的に示す底面図である。第3帯電装置93(以下「帯電装置93」と記載する)は、ノコ歯保持部材92の形状が異なる以外は帯電装置1の構成と同じである。図17に示すように、本実施形態ではノコ歯保持部材92は一定の幅を有し、複数のノコ歯53の配列方向とベース面の長手方向における中心軸91とは非平行である。このような形状のノコ歯保持部材92を用いても、クリーニングゴムローラ66の外周面全域で確実にノコ歯53のクリーニングを行うことができるので、安定したクリーニング性と画質を維持することができる。また、クリーニングゴムローラ66およびノコ歯53の長寿命化を図ることができる。
【0079】
(第4帯電装置95)
図18は、第4帯電装置95に含まれるクリーニングゴムローラ66および案内手段の構成を模式的に示す底面図である。第4帯電装置95(以下「帯電装置95」と記載する)では、案内手段がガイド68である点が帯電装置1および帯電装置93と異なる。また、ノコ歯保持部材の形状が帯電装置1および帯電装置93と異なり、一定の幅を有するベース面の長手方向における中心軸が、スクリューネジ70およびノコ歯53の配列方向と平行である。それ以外の構成は帯電装置1および帯電装置93と同じであるため、記載を省略する。
【0080】
ガイド68は、第1ガイド部材68aと第2ガイド部材68bとから構成される。第1回転コロ67aは、第1ガイド部材68aに沿って移動し、第2回転コロ67bは第2ガイド部材68bに沿って移動する。一対のガイド部材は、ベース面に平行であり、かつノコ歯53の配列方向と直交する方向に湾曲しており、これによって移動手段によるクリーニング部材保持体の移動に伴い、クリーニング部材保持体は、ベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯53の配列方向に直交する方向に移動するので、クリーニングゴムローラ66の外周面全域をノコ歯53と接触させることができる。したがって、クリーニングゴムローラ66の外周面全域を用いて確実にノコ歯53をクリーニングできるので、針電極の安定したクリーニング性を維持でき、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能な帯電装置1とすることができる。また、クリーニングの際にクリーニングゴムローラ66の一部分のみがノコ歯53と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニングゴムローラ66およびノコ歯53の長寿命化を図ることができる。
【0081】
(第5帯電装置101)
図19は、第5帯電装置101の構成を模式的に示す底面図である。図20は、図19に示す第5帯電装置101を切断面線S105−S105から見た断面図である。図21は、図19に示す第5帯電装置101を切断面線S150−S150から見た断面図である。図19,20に示すように、第5帯電装置101(以下「帯電装置101」と記載する)は、針電極163と、ノコ歯保持部材162と、クリーニングゴムローラ66と、クリーニング部材保持体194と、移動手段103とを含む。帯電装置101では、案内手段を含まない点が帯電装置93と異なる。また、ノコ歯保持部材162、クリーニング部材保持体194に含まれるゴムローラ保持部材102および移動部材171の構造も異なる。その他の構成は帯電装置93と同じであるため記載を省略し、図面において同一の参照符号を用いる。
【0082】
ノコ歯保持部材162は、ノコ歯53に対して垂直にノコ歯53を保持するベース面108を有するベース部分106、およびノコ歯53に対して平行にノコ歯53を保持する保持部分107で針電極163を保持する。移動手段103は、ベース部分106の長手方向に渡って設けられる、ねじ軸であるスクリューネジ70を含み、その回転によってスクリューネジ70に沿ってクリーニング部材保持体194を移動させる。クリーニング部材保持体194は、クリーニング部材であるクリーニングゴムローラ66を回動自在に支持する。図21に示すように、移動部材171は、図12にて示される断面が逆T字状の案内レール81を含まず、クリーニング部材保持体194は、案内溝部89を含まず、移動部材171の下面にゴムローラ保持部材102が一体的に形成される。そのため、本実施形態ではゴムローラ保持部材102がCの方向に移動することはなく、ゴムローラ保持部材102をノコ歯保持部材162の一側面に圧接させる圧接片4を含まない。
【0083】
帯電装置93では、複数のノコ歯53は、スクリューネジ70に対して平行に、かつベース面の長手方向における中心軸に対して非平行に配列されていたが、帯電装置101では、スクリューネジ70とベース面108の長手方向における中心軸191とは平行であり、複数のノコ歯53は、前記中心軸191およびスクリューネジ70に対して非平行に配列される。具体的には、ノコ歯53の配列方向と、中心軸191との成す角度は、0.5°であり、ノコ歯53はノコ歯保持部材162における矩形の存在部162aの対角線上に配列される。クリーニングゴムローラ66の外周面全域でクリーニングを行う目的で、ノコ歯53の配列方向と中心軸191との角度に調整するので、前記角度は、クリーニングゴムローラ66の軸線方向の長さ、および存在部162aの長手方向の長さによって決まる。
【0084】
図20に示されるように、クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162の一端に存在する時点では、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66の外周面において第1回転コロ67a側の端と接している。
【0085】
図22は、クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162における長手方向の中心まで移動した状態を示す底面図である。図23は、図22に示す帯電装置101を切断面線S155−S155から見た断面図である。図23に示すようにゴムローラ保持体がノコ歯保持部材162の中心に存在する時点では、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66の外周面において、クリーニングゴムローラ66軸の中心と接している。これは、ゴムローラ保持部材102はノコ歯53の配列方向に沿って移動するが、中心軸191とノコ歯53の配列方向とが非平行なためである。クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162における長手方向の中心まで移動する間、クリーニングゴムローラ66外周面において、クリーニングゴムローラ66における第1回転コロ67a側の端からクリーニングゴムローラ66軸の中心へとノコ歯53の先端部と接する位置が移動する。
【0086】
図24は、クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162の端まで移動した状態を示す底面図である。図25は、図24に示す帯電装置101を切断面線S157−S157から見た断面図である。図25に示すようにクリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162の一端に存在する時点では、ノコ歯53の先端部はクリーニングゴムローラ66の第2回転コロ67b側の端に接している。これは、クリーニング部材保持体194はノコ歯53の配列方向に沿って移動するが、中心軸191とノコ歯53の配列方向とが非平行なためである。クリーニング部材保持体194がノコ歯保持部材162の端まで移動する間、クリーニングゴムローラ66外周面において、クリーニングゴムローラ66軸の中心からクリーニングゴムローラ66における第2回転コロ67b側の端へとノコ歯53の先端部と接する位置が移動する。すなわち、クリーニングゴムローラ66の外周面全域が確実にノコ歯53の先端部と接する。したがって、針電極163の安定したクリーニング性を維持でき、長期間に渡って放電むらのない均一な帯電付与が可能な帯電装置101とすることができる。また、クリーニングの際にクリーニングゴムローラ66の一部分のみがノコ歯53と接触し続けることを防ぐことができるので、クリーニングゴムローラ66およびノコ歯53の長寿命化を図ることができる。
【0087】
(3)制御手段による制御
これまでに述べてきたような本発明の画像形成装置を用いた制御方法を図26に基づいて説明する。図26は、ノコ歯のクリーニング後において、感光体表面の帯電電位を調整するための制御方法を示すフローチャートである。
【0088】
本フローチャートにて示す制御は、たとえば画像の印刷途中にノコ歯の汚れを検出した場合や印刷終了直後に行われる。本制御を行う前の印刷動作においてノコ歯に印加されていたノコ歯の帯電電流を初期帯電電流と呼び、グリッド電極に印加されていた電圧を初期グリッドバイアスと呼ぶ。また本制御を行う前の印刷動作において、感光体表面の帯電電位は、所定の帯電電位になるように調整されている。所定の帯電電位(以下「所定の電位」とも記載する)とは、感光体表面の予め定められた帯電電位である設定値からある程度の幅を有して設定される値である。設定値および所定の電位は高品位の画像を形成できる値であれば特に限定されないが、本実施形態において設定値は−620Vであり、所定の電位は−615V以上−625V以下である。
【0089】
ステップS1で針電極のクリーニングを行う。ノコ歯が汚染されていると、ノコ歯からの放電がばらつき、それによって感光体表面に帯電むらができるので印字不良が発生するが、定期的にクリーニングを行うことでノコ歯に付着した汚染物質、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物を取り除くことができる。しかしながらクリーニングを行うと、汚染物質および放電生成物の影響が無くなったことでノコ歯からの放電が変化し、感光体表面の帯電電位が変化する。そのため以下のステップで制御手段は感光体表面の帯電電位を所定の電位に調整する。
【0090】
針電極のクリーニング後、ステップS2で感光体表面を帯電させ、ステップS3で感光体表面の帯電電位を測定する。
【0091】
ステップS4で、測定した帯電電位が所定の電位であるかどうか判断する。測定した帯電電位が所定の電位であれば、本制御の終了となり、たとえば印刷を途中で中断して本制御を開始した場合には感光体表面を露光して印刷を再開し、印刷終了直後に本制御を開始した場合であれば画像形成装置を停止させる。測定した帯電電位が所定の電位ではない場合、ステップS4aに進む。
【0092】
ステップS4aで、前記測定した帯電電位が所定の電位よりも低いかどうか判断する。所定の電位より低ければステップS5に進む。所定の電位より低くない、すなわち所定の電位よりも高ければステップS13に進む。
【0093】
ステップS5において、電圧印加手段によって印加されるグリッドバイアスを初期グリッドバイアスよりも上げる。本実施形態においてグリッドバイアスは1回だけ上げているが、1回で上げる場合と同じ上げ幅を複数回に分けて上げてもよい。その後、ステップS6で感光体表面を帯電させ、ステップS7で感光体表面の帯電電位を測定する。この時の帯電電位はステップS4で測定した帯電電位より上昇している。
【0094】
ステップS8において、ステップS7で測定した帯電電位が所定の電位であるか判断する。所定の電位であれば、本制御の終了となる。以降の画像形成動作は、補正したグリッドバイアス値で行う。所定の電位でなければ、ステップS9に進む。
【0095】
ステップS9で、ノコ歯に印加する電流を初期帯電電流よりも上げる。ステップS10で感光体表面を帯電させ、ステップS11で感光体表面の帯電電位を測定する。
【0096】
ステップS12で、測定された帯電電位が所定の電位であるか判断する。所定の電位であれば、本制御の終了となる。以降の画像形成動作は補正したグリッドバイアスおよび帯電電流値を用いて行う。所定の電位でなければステップS9に戻り、ノコ歯に印加する電流を現在の電流値よりもさらに上げる。ステップS12で帯電電位が所定の電位であると判断されるまでステップS9〜S12の動作を繰り返し、帯電電位が所定の電位となれば本制御の終了となる。
【0097】
ステップS4aで、測定された帯電電位が所定の電位より低い状態ではない、すなわち所定の電位よりも高い場合にはステップS13に進み、ノコ歯に印加する電流を初期帯電電流よりも下げる。その後、ステップS14で感光体表面を帯電させ、ステップS15で感光体表面の帯電電位を測定する。
【0098】
ステップS16で、測定された帯電電位が所定の電位であるか判断する。所定の電位であれば、本制御を終了する。以降の画像形成動作は補正した帯電電流値を用いて行う。所定の電位でなければステップS13に戻り、ステップS16で帯電電位が所定の電位であると判断されるまでステップS13〜S16の動作を繰り返し、帯電電位が所定の電位となれば本制御の終了となる。
【0099】
このように本発明の画像形成装置の制御動作としては、クリーニング部材で針電極をクリーニングした後、クリーニングを行った針電極を用いて感光体表面を帯電させ電位検出手段で帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた感光体表面の帯電電位である設定値とを比較し、制御手段はその結果に基づいて以下の第1〜4の制御動作を選択し、実行する。ステップS4〜8を経る第1制御動作では、感光体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する。ステップS4〜12を経る第2制御動作では、電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、感光体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する。ステップS4〜16を経る第3制御動作では、感光体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する。ステップS4を経る第4制御動作では、電圧値および電流値を変更しない。
【0100】
これらの制御動作を選択し実行することによって、ノコ歯先端に付着している汚染物質、ならびにオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物をクリーニングでき、かつノコ歯に汚染物質および放電生成物の影響がない状態で像担持体表面の帯電電位が設定値となるように制御することができるので、放電むらがなく安定したノコ歯の感光体帯電付与性能を実現できる。また、ノコ歯に印加する電流を最小限に留め、放電生成物の発生を抑制できるので、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。したがって、クリーニングの頻度を少なくすることができ、かつ長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。また、放電量の増加に伴うノコ歯の劣化、ならびに画像形成装置内に浮遊しているトナーおよびゴミ、特にトナーの外添剤であるシリカに添加された揮発成分の付着を抑制することによって、帯電装置の長寿命化を実現することができる。
【0101】
(ステップS5〜12について)
ステップS4aで、感光体表面の帯電電位Voが所定の電位より低くなる場合としては、たとえば放電に伴ってノコ歯が劣化した場合、ステップS1のクリーニングを行ってもノコ歯に付着した汚染物質を完全に除去できない場合、ならびにライフにおいてクリーナユニット16に含まれるクリーニングブレード51との摩擦で感光体の感光層に膜減りが発生し、感光層が薄くなった場合などが挙げられる。
【0102】
図27は、グリッドバイアスVgを−620Vに固定した場合において、感光層の厚さの違いによるノコ歯の帯電電流と感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。このグラフでは、感光層の厚さ(以下「感光体膜厚」または「膜厚」とも記載する)が25μmの場合と、21μmの場合と、18μmの場合とを示す。感光体膜厚25μmは、感光体が画像形成に使用される初期の段階での厚さであり、感光体膜厚18μmは、150K枚印字後の感光体のライフでの感光層の厚さである。感光層の厚さは、感光体の回転数から算出している。感光体の回転数およびその回転数での感光層膜厚のデータを事前に多数蓄積してそこから両者の関係を見出し、その見出された関係を基に作成したデータを事前に補正テーブルとしてプログラムに登録し、感光体の回転数を実機でカウントすることで、ある印字枚数での感光層の厚さを算出している。感光層は、感光体が回転するたびにクリーニングブレードによって少しずつ削られるので、感光体の初期からライフにかけて厚さが薄くなる。グリッドバイアスVgは−620Vに固定してノコ歯の帯電電流を変化させ、その時の感光体表面の帯電電位Voを測定した。
【0103】
図27から、膜厚が厚いほど、ノコ歯の帯電電流値が同じ場合に感光体表面の帯電電位Voが大きい傾向にあることがわかる。また膜厚が厚いほど、ノコ歯の帯電電流値低下に対して感光体表面の帯電電位Voの低下量が小さくなることがわかる。具体的には、膜厚が25μmであると、ノコ歯の帯電電流が−350〜−700μAの間は感光体表面の帯電電位Voが−620Vに保たれており、帯電電位Voを−620Vにするために必要な帯電電流の最小値(以下、「最小必要値」と記載する)は−350μAであるが、膜厚が21μmまで薄くなると、−460μA程度以上の帯電電流をノコ歯に印加しなければ帯電電位Voが−620Vとはならない。さらに膜厚が18μmまで薄くなると、ノコ歯の帯電電流を−700μAにしても帯電電位Voを−620Vにすることはできない。
【0104】
このグラフおよび以下の図28〜30に示すグラフの作成には、商品名がフルカラー機MX4501の画像形成装置(シャープ株式会社製)を用いた。初期からライフにかけては、5枚マルチでの実写エージングを行い、印字枚数1000枚毎に針電極のクリーニングを実施している。クリーニングゴムローラにはEPDM(硬度:JISA90)を使用し、その外径は6mmであり、軸線方向の長さは4mmであり、弾性層の内径は3mmである。なお、この画像形成装置以外の画像形成装置を用いた場合でも図27〜30と同様の傾向を示す。
【0105】
ここで、従来の制御方法について述べる。従来では、表面電位計を有さない画像形成装置において感光体の回転数を記録し、そのデータに基づいてグリッドバイアスVgを補正して感光体表面の帯電電位Voを一定にするという方法がある。この方法では、グリッドバイアスVg補正量、および所定の電位と実際の帯電電位Voとの差を出来るだけ小さくするため、膜厚が25μmである感光体の初期においては、ノコ歯の帯電電流値を最小必要値である−350μAに設定し、感光体のライフを通じて−700μAまで上げている。
【0106】
図28は、ノコ歯の帯電電流値を−700μAに固定した場合におけるグリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。膜厚が18μmまで薄くなった感光体のライフにおいて帯電電流を−700μAに固定すると、グリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位Voとの関係は図28のようになり、膜厚が薄くなるとグリッドバイアス値が同じでも感光体表面の帯電電位Voが低下することがわかる。この傾向は特にグリッドバイアス値が上がるほど顕著になる。
【0107】
図28に示されるように、ノコ歯の帯電電流値を−700μAに固定し、グリッドバイアス値を−620Vから−645Vまで上げることによって、所定の電位である−620Vが得られる。このような方法によって帯電電位Voを所定の電位に保つことができるが、ノコ歯に印加する電流値が高いほどオゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物の発生量が増加するので、従来のこの制御方法ではライフにおいてノコ歯への放電生成物の付着が加速する。
【0108】
図28を用いて、前述の制御方法とは別の従来の制御方法について説明する。本制御では、ノコ歯の帯電電流を初期からライフに渡って−700μAに固定する。感光体の回転数を記録し、感光層の膜減りに応じた補正テーブルとプロセスコントロールとの結果に基づき、グリッドバイアスVgの印加電圧の補正を行う。具体的には、膜厚が25μmである初期にはグリッドバイアスVgを−620Vに設定し、ライフにかけて徐々に上げていき、膜厚が18μmまで薄くなるライフでは、グリッドバイアスVgを−645Vにすることによって感光体表面の帯電電位Voを−620Vに保つ。しかしながら、この制御方法では初期からノコ歯に印加する電流が高く、オゾンおよび窒素酸化物などの放電生成物の発生量が多いので、ノコ歯への放電生成物の付着を抑えることができない。
【0109】
以下、本発明の制御方法についての説明に戻る。図29は、ノコ歯の帯電電流値を−350μAに固定した場合において、感光層の厚さの違いによるグリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位Voとの関係を示すグラフである。膜厚が25μmである初期においては、図29に示すように、初期帯電電流を−350μAとし、初期グリッドバイアスVgを−620Vに設定することによって感光体表面の帯電電位Voとして−620Vが得られる。
【0110】
本実施形態では、感光体の初期において本制御を初めて行う前の前記初期帯電電流は、像担持体に含まれる感光層のその時点での厚さに応じて設定される。図27から分かるように、同じ電流値をノコ歯に印加した場合でも感光層の厚さによって像担持体表面の帯電電位が変わる。ノコ歯に印加する電流が少ないほど放電生成物の発生量が少なくなるので、初期感光体膜厚が25μmであり、所定の電位を−620Vに設定した本実施形態においては、初期帯電電流を−350μAに設定することによってノコ歯に印加される電流を確実に最小限に留めることができる。
【0111】
図29に戻って、膜厚が21μmまで薄くなった85K枚印字時点において、クリーニング後の感光体表面の帯電電位Voを電位検出手段である表面電位計でモニタすると−605Vである。この場合の表面電位Voの不足分は、グリッドバイアスVgを−640Vまで上げることによって、初期と同じ−620Vの表面電位Voに調整できる。このように、ライフにおける表面電位Voと所定値との差が比較的小さい場合には、図26のステップS1〜8で示されるグリッドバイアスVgの制御のみで所望の帯電電位Voを得ることができる。この制御方法は、前記第1制御動作に相当する。
【0112】
図26のステップS5〜12で示されるように、グリッドバイアスVgを上げる補正を行い、なお所定の電位とならない場合には、感光体表面の帯電電位Voと所定の帯電電位との差分のみノコ歯に印加する帯電電流を上げる。
【0113】
図30は、感光体膜厚およびノコ歯に印加する帯電電流値に応じた、グリッドバイアスVgと感光体表面の帯電電位との関係を示すグラフである。膜厚が25μmの初期において、グリッドバイスVgを−620Vとし、ノコ歯の帯電電流を−350μAに設定することによって、感光体表面の帯電電位Voとして−620Vが得られている。
【0114】
150K枚印字後のライフにおいて膜厚が18μmまで薄くなると、ノコ歯の帯電電流が−350μAでは、グリッドバイアスVg−620Vにおいて帯電電位Voは約−580Vまで低下する。このとき、グリッドバイアスVgを−700Vまで上げたとしても帯電電位Voは−600Vで、所定の電位である−620Vまで達せず、グリッドバイアス値の補正のみでは対応できない。そこで膜厚が18μmであり、グリッドバイアスVgを−700Vまで上げたライフにおいて、ノコ歯の帯電電流を−450μAまで上げることによって、帯電電位Voを−620Vに調整することができる。本実施形態では、ステップS9〜12の動作を4回繰り返し、1回につき帯電電流を−25μAずつ上げた。1回につき−25μA以内で帯電電流を上げることによって、グリッド電極への流れ込み電流(ロス電流)を少なくし、所定の帯電電位を得ることができる。なお、ステップS9〜12でのグリッドバイアスVgが−700Vと高すぎる値ではないので、もし1回に上げる帯電電流の値を−25μAよりずっと高い値に設定したとしても、その分グリッド電極へのロス電流が増えるだけであり、感光体表面の帯電電位Voが所定の帯電電位である−615V以上−625V以下の範囲を超えることはない。この制御方法は第2制御動作に相当し、これによって電圧値を増加させた後の像担持体表面の帯電電位と設定値との差が比較的大きい場合でも、ノコ歯に印加する電流を最小限に留め、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。
【0115】
このような制御方法によって、ライフを通じて最小限の帯電電流で所定の電位Vo−620Vが得られる。この制御では放電不良による画像への影響もなく、初期から帯電電流値を−700μAに固定した場合よりもオゾンの発生量を、初期で50%減少させることができ、ライフを通じて35%減少させることができる。なお、オゾンの発生量は帯電電流値に比例するので、これらの割合は、−700μAに対する初期の帯電電流値である−350μAの比率、および−700μAに対するライフでの帯電電流値である−450μAの比率から算出した。オゾンの発生が抑制されることで、感光体およびグリッド電極、更にはクリーニングブレードなど他の部品へのダメージを抑制することができるので、部材の長寿命化が可能となる。
【0116】
(ステップS13〜16について)
ステップS4aで、感光体表面の帯電電位Voが所定の電位より高くなる要因としては、たとえば湿度変化が挙げられる。具体的には、長期間に渡って画像形成装置を使用することなく放置した場合、放置した期間が夏から秋にかけてであれば、画像形成装置の帯電電位制御補正における環境が高温高湿下(気温30℃、湿度85%)から、常温常湿下(気温22℃、湿度55%)に変化する。このような場合には、湿度の影響が少なくなって感光体表面の抵抗がアップし、感光体支持基体であるアルミニウム素管へ電荷が流れ込むことによる感光体表面の電荷の損失が少なくなるので、感光体の帯電性が良くなり、クリーニング後に測定される帯電電位Voが高くなる。
【0117】
本実施形態では、ステップS9〜12の動作1回につき帯電電流値を−25μA以内の範囲で下げていく。1回の帯電電流変化量が−25μA以内であれば、感光体表面の帯電電位Voが所定の帯電電位である−615V以上−625V以下の範囲より小さくなることはない。
【0118】
制御手段が前記検出された帯電電位が設定値より高い場合、第3制御動作を選択し実行することによって、ノコ歯に印加する電流を下げることができ、放電生成物の発生を低減できるので、ノコ歯の劣化およびノコ歯先端における放電生成物の付着を抑制できる。したがって、クリーニングの頻度を少なくすることができ、かつ長期間に渡って高品位の画像を安定して形成することができる。本制御方法は、前記第3制御動作に相当する。
【0119】
なお、クリーニングゴムローラの稼動頻度や材質、設定値などは画像形成装置毎に任意の設定が可能である。
【0120】
これまでに述べてきたように、感光体表面の帯電電位Voを上げる場合、まずグリッドバイアスを上げる。グリッドバイアスを上げても感光体表面の帯電電位Voが所定の帯電電位まで達しない場合にノコ歯の帯電電流を上げる。感光体表面の帯電電位Voを下げる場合には、グリッドバイアスの値は変更せず、ノコ歯の帯電電流を下げる。このようにノコ歯の帯電電流をできるだけ下げるような制御を行うことによって放電生成物の発生を低減することができる。
【0121】
2、プログラムおよび記録媒体
本発明の第1の実施形態である画像形成装置100の前記制御手段は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。CPUを用いてソフトウェアによって前記制御手段を実現する場合、制御手段は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(Central Processing
Unit)、前記プログラムを格納したROM(Read Only Memory)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリなどの記憶装置(記録媒体)などを備える。
【0122】
上述した機能を実現するソフトウェアである定着装置の定着制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記定着装置の制御部に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによって、定着ローラ表面の傷の発生を防止できる定着装置を実現することが可能である。
【0123】
前記記録媒体としては、たとえば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0124】
また、画像形成装置を通信ネットワークと接続可能に構成し、通信ネットワークを介して上記プログラムコードを供給してもよい。通信ネットワークとしては、特に限定されず、たとえば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(Virtual Private Network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。
【0125】
また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、たとえば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0126】
このように、制御プログラムは、本発明の画像形成装置100を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを制御手段として機能させるので、電位検出手段によって検出される像担持体表面の電位と設定値とを比較してグリッド電極に印加する電圧、およびノコ歯に印加する電流によって像担持体表面の帯電電位を制御する方法を制御手段が読み取り、実行することができ、この制御方法を汎用的なものにすることができる。
【0127】
また、記録媒体は前記制御プログラムが記録され、コンピュータで読み取り可能であるので、電位検出手段によって検出される像担持体表面の電位と設定値とを比較してグリッド電極に印加する電圧、およびノコ歯に印加する電流によって像担持体表面の帯電電位を制御するプログラムを容易にコンピュータに供給することができる。
【符号の説明】
【0128】
3 移動手段
53 ノコ歯
66 クリーニングゴムローラ
301 第1帯電装置
302 ゴムローラ保持体
306 ベース部分
307 保持部分
308 ベース面
362 ノコ歯保持部材
362a 存在部
362b 非存在部
363 針電極
394 クリーニング部材保持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電させる電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯に対して垂直にノコ歯を保持するベース面を有するベース部分、およびノコ歯に対して平行にノコ歯を保持する保持部分で針電極を保持するノコ歯保持部材と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段と、
クリーニング部材で針電極をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その結果に基づいて、
(1)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、
(2)電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、
(3)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、
(4)電圧値および電流値を変更しない第4制御動作、
のいずれか1つの制御動作を選択し、実行する制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より低い場合、第1制御動作または第2制御動作を選択し、実行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
第2制御動作は、電圧印加手段によってグリッド電極に印加する電圧値を増加させた後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ、電流印加手段によってノコ歯に印加する電流値を調整することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出された帯電電位が設定値より高い場合、第3制御動作を選択し、実行することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電させる電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯に対して垂直にノコ歯を保持するベース面を有するベース部分、およびノコ歯に対して平行にノコ歯を保持する保持部分で針電極を保持するノコ歯保持部材と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段と、
クリーニング部材で針電極をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その結果に基づいて、
電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面を帯電させ、この時の像担持体表面の帯電電位が設定値より低ければ、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する制御手段とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
電流印加手段によってノコ歯に印加される前記クリーニング前の電流値は、その時の像担持体に含まれる感光層の厚さに応じて設定されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記クリーニング部材保持体は、クリーニング部材をクリーニング部材保持体の一端に圧接する圧接片を含み、前記移動部材によるノコ歯の配列方向に沿った移動に伴い、ベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動し、
ベース部分は、ベース面に平行な方向に湾曲していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸の回転によって、ねじ軸に沿って前記クリーニング部材保持体を移動させ、この移動に伴い、クリーニング部材保持体はベース部分の形状に応じて、ベース面に平行であり、かつノコ歯の配列方向に直交する方向に移動し、
ベース部分は一定の幅を有し、
複数のノコ歯は、ねじ軸に対して平行に、かつベース面の長手方向における中心軸に対して非平行に配列されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記移動手段は、ベース部分の長手方向に渡って設けられるねじ軸を含み、その回転によってねじ軸に沿ってクリーニング部材保持体を移動させ、
ねじ軸とベース面の長手方向における中心軸とは平行であり、
複数のノコ歯は、前記中心軸およびねじ軸に対して非平行に配列されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
円柱状の基体とその基体表面に形成される感光層とを含む像担持体と、
像担持体表面の帯電電位を検出する電位検出手段と、
複数のノコ歯が一方向に配列した針電極と、
ノコ歯に電流を印加し、像担持体に対して放電する電流印加手段と、
針電極と像担持体との間に設けられて像担持体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、
グリッド電極に電圧を印加する電圧印加手段と、
ノコ歯の配列方向に沿って移動するように配置され、その移動時に複数のノコ歯の先端部に順に接することで針電極をクリーニングするクリーニング部材と、
クリーニング部材を支持するクリーニング部材保持体と、
ノコ歯の配列方向に沿ってクリーニング部材保持体を移動させる移動手段とを含む画像形成装置において、
クリーニング部材でノコ歯先端をクリーニングした後、電位検出手段で像担持体表面の帯電電位を検出し、その検出された帯電電位と予め定められた像担持体表面の帯電電位である設定値とを比較し、その比較の結果に基づいて、
(1)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を調整する第1制御動作、
(2)電圧印加手段によってグリッド電極に印加される電圧値を変更した後、像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第2制御動作、
(3)像担持体表面の帯電電位が前記設定値となるように電流印加手段によってノコ歯に印加される電流値を調整する第3制御動作、
(4)電圧値および電流値を変更しない、
のいずれか1つの制御動作を選択し、実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像形成装置を動作させるためのプログラムであって、コンピュータを前記制御手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2010−160291(P2010−160291A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2071(P2009−2071)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】