説明

画像形成装置、画像処理システム、プリントデータ出力方法およびプリントデータ出力プログラム

【課題】 機密が漏洩するのを防止する。
【解決手段】 MFPは、プリントデータを受信する通信I/Fと、プリントデータを画像形成する画像形成部115と、プリントデータが画像形成部により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき(S26でYES)、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき(S27でYES)、画像形成部がプリントデータを画像形成するのを禁止させ、プリントデータを記憶装置に格納する禁止手段(S33)と、ログイン指示を受け付けることに応じて、プリントデータを画像形成部に画像形成させる出力手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、画像処理システム、プリントデータ出力方法およびプリントデータ出力プログラムに関し、特に、プリントデータを画像形成する画像形成装置、複数の画像形成装置を含む画像処理システム、その画像形成装置に実行されるプリントデータ出力方法およびプリントデータ出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリンタなどの画像形成装置をネットワークに接続して使用する形態が一般的となっている。この使用形態において、画像形成装置は、複数のユーザにより共有される。このため、あるユーザがネットワークに接続されたコンピュータにプリントデータを画像形成装置に送信させた場合、画像形成装置がコンピュータから離れた場所に設置されていると、そのユーザより先に別のユーザが画像形成装置により画像形成された用紙を手にすることができてしまう。この問題に対応するために、画像形成装置は、コンピュータからプリントデータとともにパスワードを受信すると、そのパスワードが入力されるまでプリントデータを画像形成しない機密プリント機能を備えている(例えば、特許文献1)。この機密プリント機能によれば、コンピュータにプリントデータを送信させたユーザが画像形成装置の近くにいる状態で画像形成装置に画像形成させることができるので、画像形成された用紙が他人に見られるのを防止することができる。この機密プリント機能を有効にして画像形成装置にプリントさせるためには、プリントデータとともにパスワードを送信するようにコンピュータに指示を入力する必要があり、この指示の入力を忘れてしまった場合には、ユーザが画像形成装置の近くにいなくてもプリントデータが画像形成されてしまい、機密を保つことができない。
【0003】
特開平6−124177号公報(特許文献2)には、第1の記憶手段に記憶させた送信印刷データの出力属性と、ユーザ単位毎に予め設定入力した守秘条件データとを対比し、守秘条件データに一致しない出力属性を有する印刷データを印刷手段に出力させ、守秘条件データに一致する出力属性を有する印刷データを守秘印刷データと判別して印刷手段への出力を抑制し、表示入力手段へのユーザ暗証データの入力により、守秘印刷データの出力属性と、守秘条件データとを対比し、守秘条件データと一致する守秘印刷データを印刷手段に出力させる守秘印刷データの出力保護方式が記載されている。しかしながら、特開平6−123177号公報に記載の出力保護方式は、ユーザ単位毎に守秘条件データを予め設定しておかなければならない。また、守秘条件データに一致しない印刷データは保護されないといった問題がある。
【0004】
一方、特開2001−47700号公報(特許文献3)には、画像入出力装置に致命的な故障が発生した際に、制御部が既に受け付けられている処理すべき未処理のジョブおよび処理途中のジョブを着脱可能な記憶媒体に記憶させ、ユーザにより記憶媒体が装着された他の画像入出力装置の制御部が記憶媒体に記憶されるジョブを読み取って実行させる構成を特徴とする画像処理装置が記載されている。特開2001−47700号公報に記載の画像形成装置は、致命的な故障が発生しなければジョブが実行されてユーザが画像入出力装置の近くにいなくても用紙が出力されてしまうので、機密を保つことができないといった問題がある。
【特許文献1】特開2004−98413号公報
【特許文献2】特開平6−124177号公報
【特許文献3】特開2001−47700号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は上述した問題点を解決するためになされたもので、この発明の目的の一つは、機密が漏洩するのを防止した画像形成装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、機密が漏洩するのを防止した画像形成システムを提供することである。
【0007】
この発明のさらに他の目的は、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力方法を提供することである。
【0008】
この発明のさらに他の目的は、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するためにこの発明のある局面によれば、画像形成装置は、プリントデータを受信するプリントデータ受信手段と、プリントデータを画像形成する画像形成手段と、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させ、受信されたプリントデータを記憶装置に格納する禁止手段と、プリント指示の入力を受け付けるプリント指示受付手段と、プリント指示の入力を受け付けることに応じて、記憶されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させる出力手段と、を備える。
【0010】
この局面に従えば、受信されたプリントデータが画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、プリントデータを画像形成するのが禁止され、プリントデータが記憶装置に格納される。このため、プリントデータの送信を指示したユーザが、プリントデータが画像形成されたと思って画像形成装置に移動した際に未だ出力されてない場合、その後画像形成装置を離れたとしてもプリントデータが画像形成されないので、プリントデータを画像形成した用紙が他人に見られるのを防ぐことができる。さらに、プリント指示の入力が受け付けられると、プリントデータが画像形成されるので、プリントデータの送信を指示したユーザが、後に画像形成装置の設置場所に移動した際に、プリントデータを画像形成させて用紙を手にすることができる。その結果、機密が漏洩するのを防止した画像形成装置を提供することができる。
【0011】
好ましくは、パスワードを取得するパスワード取得手段をさらに備え、禁止手段は、プリントデータと取得されたパスワードとを関連付ける保護手段をさらに含み、プリント指示受付手段は、パスワードの入力を受け付けるパスワード受付手段を含み、出力手段は、保護手段によりプリントデータと関連付けられたパスワードがパスワード受付手段により受け付けられることを条件に、プリントデータを画像形成手段に画像形成させる。
【0012】
好ましくは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報とパスワードとを関連付けたユーザデータを記憶するユーザデータ記憶手段をさらに備え、パスワード取得手段は、プリントデータとともにユーザ識別情報が受信された場合、該ユーザ識別情報に関連付けられたパスワードを取得する。
【0013】
好ましくは、パスワード取得手段は、プリントデータとともにユーザ識別情報が受信されない場合、パスワードを生成するパスワード生成手段と、プリントデータを送信してきた装置に生成したパスワードとプリントデータを識別するためのプリントデータ識別情報とを送信する通知手段と、をさらに含む。
【0014】
好ましくは、プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータと同一のプリントデータが記憶装置に記憶されているか否かを判断する判断手段と、判断手段による判断結果に基づいて、記憶装置に記憶されているプリントデータを削除する削除手段と、をさらに備える。
【0015】
好ましくは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を認証するためのユーザ認証手段と、プリントデータとともにユーザ識別情報を受信するユーザ識別情報受信手段とをさらに備え、禁止手段は、プリントデータを受信されたユーザ識別情報と関連付ける関連付手段をさらに含み、プリント指示受付手段は、ユーザの操作の入力を受け付ける操作受付手段を含み、出力手段は、操作受付手段により受け付けられたユーザ識別情報が認証手段により認証された場合、認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するプリントデータ取得手段を含み、取得されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させる。
【0016】
好ましくは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を認証するためのユーザ認証手段をさらに備え、記憶装置は、複数のユーザ識別情報各々に関連し、ユーザ認証手段により認証されることを条件にアクセスが許可される個人記憶領域を含み、禁止手段は、プリントデータとともにユーザ識別情報が受信された場合に、プリントデータを受信されたユーザ識別情報に関連する個人記憶領域に格納する第1格納手段を含み、プリント指示受付手段は、ユーザ識別情報の入力を受け付けるユーザ識別情報受付手段を含み、出力手段は、受け付けられたユーザ識別情報がユーザ認証手段により認証された場合、受け付けられたユーザ識別情報に関連する個人記憶領域にプリントデータが記憶されているか否かを判断する判断手段を含み、判断手段による判断結果に基づいて、プリントデータを画像形成手段に画像形成させる。
【0017】
好ましくは、記憶装置は、ユーザ認証手段により認証されることなくアクセスが許可される共有記憶領域をさらに含み、禁止手段は、ユーザ識別情報が受信されない場合に、パスワードを生成し、プリントデータを生成したパスワードと関連付け、プリントデータを共有記憶領域に格納する第2格納手段と、パスワードを生成した場合、プリントデータを送信してきた装置に生成したパスワードとプリントデータを識別するためのプリントデータ識別情報とを送信する通知手段とをさらに含み、プリント指示受付手段は、パスワードの入力を受け付けるパスワード受付手段をさらに含み、出力手段は、受け付けられたユーザ識別情報がユーザ認証手段により認証されない場合、共有記憶領域に記憶されたプリントデータと関連付けられたパスワードがパスワード受付手段により入力されることを条件に、プリントデータを画像形成手段に画像形成させる。
【0018】
好ましくは、プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータとともにユーザ識別情報が受信された場合、プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータと同一のプリントデータがユーザ識別情報に関連する個人記憶領域に記憶されているか否かを判断する判断手段と、判断手段による判断結果に基づいて、個人記憶領域に記憶されているプリントデータを削除する削除手段をさらに備える。
【0019】
好ましくは、遠隔操作を受け付けるための通信手段をさらに備え、禁止手段は、プリントデータを該プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報と関連付ける関連付手段をさらに含み、プリント指示受付手段は、通信手段によりユーザ識別情報が受信された場合、該通信手段により受信されたユーザ識別情報を認証する認証手段と、認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを識別するためのデータ識別情報を、ユーザ識別情報を送信してきた装置に送信するプリントデータ識別情報送信手段と、通信手段を介してユーザ識別情報を送信してきた装置からプリント指示を受信するプリント指示受信手段と、を含み、出力手段は、プリント指示が受信されることを条件に、通信手段により受信されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを画像形成手段に画像形成させる。
【0020】
この発明のさらに他の局面によれば、画像処理システムは、それぞれがネットワークに接続された複数の画像形成装置を含む画像処理システムであって、複数の画像形成装置のそれぞれは、プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するプリントデータ受信手段と、プリントデータを画像形成する画像形成手段と、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させ、プリントデータとそのプリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、受信されたプリントデータを記憶装置に格納する禁止手段と、ユーザの操作の入力を受け付ける操作受付手段と、操作受付手段により受け付けられたユーザ識別情報を認証する認証手段と、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、プリントデータ取得手段により取得されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させる出力手段とを備える。
【0021】
この局面に従えば、機密が漏洩するのを防止した画像処理システムを提供することができる。
【0022】
好ましくは、記憶装置は、複数のユーザ識別情報各々に関連し、ユーザ認証手段により認証されることを条件にアクセスが許可される個人記憶領域を含み、禁止手段は、プリントデータをプリントデータとともに受信されたユーザ識別情報に関連する個人記憶領域に格納する関連付手段を含む。
【0023】
この発明のさらに他の局面によれば、プリントデータ出力方法は、記憶装置とプリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置で実行されるプリントデータ出力方法であって、プリントデータを受信するステップと、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、受信されたプリントデータを記憶装置に格納するステップと、プリント指示の入力を受け付けるステップと、プリント指示の入力を受け付けることに応じて、記憶されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させるステップと、を含む。
【0024】
この局面に従えば、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力方法を提供することができる。
【0025】
この発明のさらに他の局面によれば、プリントデータ出力方法は、ネットワークに接続された複数の画像形成装置各々で実行されるプリントデータ出力方法であって、複数の画像形成装置各々は、記憶装置と、プリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えており、プリントデータの入力時において、プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するステップと、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、プリントデータとそのプリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、受信されたプリントデータを記憶するステップとを画像形成装置に実行させ、プリントデータの出力時において、ユーザ識別情報の入力を受け付けるステップと、受け付けられたユーザ識別情報を認証するステップと、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するステップと、取得されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させるステップとを画像形成装置に実行させる。
【0026】
この局面に従えば、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力方法を提供することができる。
【0027】
この発明のさらに他の局面によれば、プリントデータ出力プログラムは、記憶装置とプリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置で実行されるプリントデータ出力プログラムであって、プリントデータを受信するステップと、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、受信されたプリントデータを記憶装置に格納するステップと、プリント指示の入力を受け付けるステップと、プリント指示の入力を受け付けることに応じて、記憶されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させるステップと、を画像形成装置に実行させる。
【0028】
この局面に従えば、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力プログラムを提供することができる。
【0029】
この発明のさらに他の局面によれば、プリントデータ出力プログラムは、ネットワークに接続された複数の画像形成装置各々で実行されるプリントデータ出力プログラムであって、複数の画像形成装置各々は、記憶装置と、プリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えており、プリントデータの入力時において、プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するステップと、受信されたプリントデータが画像形成手段により画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、画像形成手段が受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、プリントデータとそのプリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、受信されたプリントデータを記憶するステップとを画像形成装置に実行させ、プリントデータの出力時において、ユーザ識別情報の入力を受け付けるステップと、受け付けられたユーザ識別情報を認証するステップと、ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するステップと、取得されたプリントデータを画像形成手段に画像形成させるステップとを画像形成装置に実行させる。
【0030】
この局面に従えば、機密が漏洩するのを防止したプリントデータ出力プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態の一つにおける画像処理システムの全体概要を示す図である。図1を参照して、画像処理システム1は、ネットワーク2にそれぞれ接続された複合機(以下、「MFP」という)100,100A,100B,100Cとパーソナルコンピュータ(以下「PC」という)200とを含む。MFP100,100A,100B,100Cは、その構成および機能は同じなので、ここでは特に言及しない限りMFP100を例に説明する。
【0033】
MFP(Multi Function Peripheral)100は、原稿を読取るためのスキャナ、画像データに基づいて紙などの記録媒体に画像を形成するための画像形成部、ファクシミリを含み、画像読取機能、複写機能、ファクシミリ送受信機能を備えている。なお、本実施の形態においてはMFP100を例に説明するが、MFP100に代えて、たとえば、画像形成機能を備えたプリンタ、ファクシミリ等であってもよい。
【0034】
ネットワーク2は、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。またネットワーク2は、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット等であってもよい。MFP100,100A,100B,100Cは、ネットワーク2を介して互いに通信可能であり、またMFP100,100A,100B,100C各々は、ネットワーク2を介して接続されたPC200と通信が可能である。
【0035】
PC200は、一般的なコンピュータであり、PC200のハード構成およびその機能は周知なので、ここでは説明を繰り返さないが、PC200は、少なくともMFP100,100A,100B,100C各々を制御するためのプリンタドライバプログラムがインストールされている。プリンタドライバプログラムには、PC200のユーザを識別するためのユーザ識別情報が少なくとも登録されている。プリンタドライバプログラムがPC200で実行されると、PC200は、プリンタドライバプログラムとは別のアプリケーションプログラムが実行されることにより生成されたデータを含むプリントジョブをMFP100,100A,100B,100Cのいずれかに送信する。プリントジョブは、プリントデータとジョブ情報とを含む。
【0036】
プリントデータは、アプリケーションプログラムが実行されることにより生成されたデータを例えばPCL(Printer Control Language)等のPDL(Page Description Language)で記述されたプリントデータに変換したデータである。ジョブ情報は、プリンタドライバプログラムに登録されたユーザ識別情報とプリント枚数などの画像形成条件等を、例えばPJL(Printer Job Language)で記述したデータである。たとえば、PC200が、プリントジョブをMFP100に送信すれば、MFP100は、プリントジョブのジョブ情報に従って、プリントデータを画像形成する。
【0037】
なお、以下の説明では、特に言及しない限り、PC200がMFP100にプリントジョブを送信する場合を例に説明する。この場合、MFP100は、PC200からプリントジョブを受信すると、そのプリントジョブに含まれるプリントデータをジョブ情報に従って画像形成する。
【0038】
なお、図1においては1台のPC200を示しているが、台数を限定するものではなく、1台以上がネットワーク2に接続されてもよい。
【0039】
図2は、本実施の形態におけるMFP100のハード構成の一例を示すブロック図である。図2を参照して、MFP100は、それぞれがバス120に接続された中央演算装置(CPU)101と、CPU101が実行するためのプログラムなどを記録したROM(Read Only Memory)103と、実行されるプログラムをロードするための、およびプログラム実行中のデータを記憶するためのRAM(Random Access Memory)105と、データを不揮発的に記憶するためのハードディスクドライブ(HDD)107と、フラッシュメモリ108が装着されるカードインターフェース(I/F)109と、MFP100をネットワーク2に接続するための通信I/F111と、スキャナ113と、画像形成部115と、ファクシミリ(FAX)117と、ユーザとのインターフェイスとなるオペレーションパネル119とを含む。
【0040】
CPU101は、カードI/F109に装着されたフラッシュメモリ108に記憶されたプリントデータ出力プログラムをRAM105にロードして実行する。なお、CPU101で実行するプログラムは、フラッシュメモリ108に記憶されたプリントデータ出力プログラムに限られず、CPU101に別に接続されたEEPROM(Electrically Erasable/Programable Read Only Memory)に記憶されたプログラムをRAM105にロードして実行するようにしてもよい。EEPROMを用いれば、プリントデータ出力プログラムを書き換えるまたは追加して書き込みすることが可能となる。このため、ネットワーク2に接続された他のコンピュータが、MFP100のEEPROMに記憶されたプリントデータ出力プログラムを書換える、または、新たなプリントデータ出力プログラムを追加して書き込むようにしてもよい。さらに、MFP100が、ネットワーク2に接続された他のコンピュータからプリントデータ出力プログラムをダウンロードして、そのプリントデータ出力プログラムをEEPROMに記憶するようにしてもよい。
【0041】
また、これらのプログラムはフラッシュメモリ108から読み出されて実行される例に限らず、ROM103に記憶されるプログラムが読み出されても構わない。また、フラッシュメモリに記憶されたプリントデータ出力プログラムを一旦HDD107に保存することにより、HDD107からRAM105にプログラムをロードして実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU101により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0042】
画像形成部115は、レーザプリンタ、または、インクジェットプリンタ等であり、紙などの記録媒体に画像データを可視化する。スキャナ113は、CCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子を含み、原稿を光学的に読取って画像データとしての電子データを出力する。FAX117は、画像データをファクシミリ規格に従って公衆交換電話網(PSTN)を介して送受信する。
【0043】
オペレーションパネル119は、入力部119Aと表示部119Bとを含む。入力部119Aは、MFP100のユーザによる操作の入力を受け付けるためのタッチパネル、キーボードまたはマウス等の入力装置である。表示部119Bは、液晶表示装置または有機EL(Electro−Luminescence)ディスプレイパネルである。入力部119Aに透明な部材からなるタッチパネルを用いる場合には、表示部119B上にタッチパネルを重ねて設置することで、表示部119Bに表示されたボタンの指示を検出することができる。これにより、種々の操作の入力を受け付けることが可能となる。
【0044】
通信I/F111は、MFP100をネットワーク2と接続するための通信インターフェイスである。これにより、MFP100は、PC200および他のMFP100A,100B,100Cとの間で通信することが可能となる。MFP100は、他のMFP100A,100B,100Cと、ネットワーク2を介して接続されるが、シリアルインターフェイスまたはパラレルインターフェイスを用いて直接接続されてもよい。通信I/F111は、MFP100が他のMFP100A,100B,100Cと接続される形態に応じたインターフェイスが用いられる。
【0045】
MFP100へのデータの入力は、(1)スキャナ113で原稿を読み取って、画像データが入力される場合、(2)通信I/Fを介してネットワーク2に接続された他のコンピュータ、または他のMFP100A,100B,100Cから画像データを受信する場合、(3)フラッシュメモリ108に記憶された画像データをカードI/Fを介して読み出す場合、(4)FAX117で、ファクシミリデータを受信する場合である。
【0046】
MFP100からのデータの出力は、(1)画像形成部115により紙などの記録媒体に可視化する場合、(2)通信I/F111を介してネットワークに接続された他のコンピュータ、または他のMFP100A,100B,100Cに送信する場合、(3)フラッシュメモリ108に記憶する場合、(4)FAX117によりファクシミリデータとして出力する場合、(5)表示部119Bに表示する場合がある。
【0047】
なお、プリントデータ出力プログラムを記憶する記録媒体としては、フラッシュメモリ108に限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc−ROM)/MO(Magnetic Optical Disc/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード(メモリカードを含む)、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electronically Erasable and
Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。
【0048】
本実施の形態における画像処理システム1においては、MFP100、100A,100B,100C各々は、それを主に使用するユーザが固定される。このため、MFP100、100A,100B,100Cそれぞれは、主に使用するユーザを登録するために登録ユーザ情報を記憶している。登録ユーザ情報については後述するが、少なくともユーザを識別するためのユーザ識別情報と認証情報としてのパスワードとを含む。ユーザ識別情報は、ユーザの名前を用いてもよい。ここでは、ユーザを基準にして、MFP100、100A,100B,100Cのうちでそのユーザの登録ユーザ情報が記憶されたものを「ホーム端末」という。たとえば、ユーザ「デービッド」の登録ユーザ情報が、MFP100に記憶されていれば、ユーザ「デービッド」のホーム端末はMFP100である。なお、MFP100、100A,100B,100C各々に、登録ユーザ情報を記憶させるのは、主に使用するユーザを定めるものであって、登録ユーザ情報が記憶されていないユーザの使用を禁止するものではない。
【0049】
また、ホーム端末に登録ユーザ情報が記憶されているユーザが、ホーム端末以外の端末にログインすることができるように、MFP100,100A,100B,100C各々は、他の全てのMFPに記憶されている登録ユーザ情報を含むユーザデータを記憶している。ユーザデータは、ユーザ識別情報とホーム端末の装置識別情報とを関連付ける。
【0050】
ここで、ユーザデータを生成する処理について説明する。MFP100A,100B,100Cがネットワーク2に既に接続されている状態で、MFP100をネットワーク2に新たに接続する場合を想定する。MFP100には、MFP100を識別するための装置識別情報と、上述した登録ユーザ情報とが設定される必要がある。そして、MFP100に、装置識別情報と登録ユーザ情報とが設定されると、MFP100により装置識別情報と登録ユーザ情報とが他のMFP100A,100B,100Cに送信される。これにより、MFP100,100A,100B,100Cで構成される画像処理システム1が形成される。
【0051】
図3(A)は、初期設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。初期設定処理は、MFP100をネットワーク2に新たに接続する際にMFP100で実行される処理である。図3(B)は、接続処理の流れの一例を示すフローチャートである。接続処理は、MFP100をネットワーク2に新たに接続する際に、ネットワーク2に既に接続されているMFP100A,100B,100Cそれぞれで実行される処理である。初期設定処理および接続処理は、フラッシュメモリ108に記憶された初期設定プログラムおよび接続プログラムが、MFP100,100A,100B,100CのRAM105にロードされてCPU101により実行されることにより実現される。初期設定プログラムおよび接続プログラムは、プリントデータ出力プログラムの一部である。
【0052】
図3(A)を参照して、MFP100は、端末情報が登録される(ステップS01)。表示部119Bに表示された端末登録画面にしたがって、ユーザがオペレーションパネル119に端末情報を入力することにより、端末情報がMFP100により受け付けられて登録される。端末情報は、MFP100を識別するための装置識別情報を少なくとも含む。装置識別情報は、MFP100に割り当てられたネットワーク2における位置情報が好ましく、ここではIP(Internet Protocol)アドレスとしている。端末情報は、MFP100が載置される場所を示す情報を含んでもよい。
【0053】
次に、MFP100にMFP100をホーム端末として使用するユーザの登録ユーザ情報が入力される(ステップS02)。表示部119Bに表示された登録ユーザ情報入力画面にしたがって、ユーザがオペレーションパネル119に登録ユーザ情報を入力することにより、登録ユーザ情報がMFP100により受け付けられる。複数のユーザがMFP100をホーム端末とする場合には、複数のユーザそれぞれの登録ユーザ情報が入力される。登録ユーザ情報は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報を少なくとも含む。ユーザ識別情報には、文字または記号からなるユーザID、ユーザの名前などユニークな情報であればよい。ここでは、ユーザ識別情報にユーザの名前を用いている。登録ユーザ情報は、ユーザ識別情報の他に、付随情報と、認証情報とを含んでもよい。
【0054】
ユーザが端末情報を入力し、ユーザ登録処理が完了した時点で、ユーザが表示部119Bに表示された完了ボタンを入力部119Aに指示することにより、初期設定が完了したことがMFP100において検出される。なお、ステップS01における端末情報の登録と、ステップS02における登録ユーザ情報の入力とは、通常は端末の管理者が行う。
【0055】
そして初期設定が完了したか否かを判断する(ステップS03)。初期設定が完了した場合には処理をステップS04に進め、完了していない場合には処理をステップS01に戻す。ステップS04では、同一グループの端末に、初期設定された端末情報と登録ユーザ情報とを送信する。同一グループとは、画像処理システム1を構成する端末の集合をいう。ここでは、ネットワーク2に接続されているMFP100,100A,100B,100Cが同一グループとされる。このため、MFP100では、ネットワーク2にブロードキャストで問い合わせを送信して、その問い合わせに応じて同じグループのMFP100A,100B,100Cそれぞれが返信する端末のIPアドレスを受信する。このようにして同一グループを構成する端末のIPアドレスを取得する。また、グループ化することにより、ネットワーク2に接続されている複数の端末を異なるグループに分けることができる。たとえば、MFP100,100Aで1つのグループを構成し、MFP100B,100Cで別のグループを構成する。このグループ化は、ユーザが設定するものである。具体的には、上述したように、MFP100が、ネットワーク2に接続されているMFP100A,100B,100CそれぞれのIPアドレスを受信してMFP100A,100B,100Cを検出し、MFP100A,100B,100CのうちからMFP100と同じグループとなるものをユーザが指定することにより、グループに含める装置が特定される。
【0056】
MFP100は、同一グループとされたMFP100A,100B,100Cのうちから選ばれた1つの端末に、端末情報と登録ユーザ情報とを送信する。ここでは、MFP100Aを選択し、MFP100からMFP100の端末情報と登録ユーザ情報とをMFP100Aに送信する場合について説明する。
【0057】
ここで、図3(B)を参照して、MFP100Aは、MFP100が送信したMFP100の端末情報と登録ユーザ情報とを受信する(ステップS11)。この受信に応じて、MFP100Aは、MFP100AのHDD107に記憶されている登録ユーザ情報と端末情報とをMFP100に送信する(ステップS12)。すなわち、接続処理は、初期設定処理を実行するMFP100から要求を受信することを条件に実行される処理である。次のステップS13では、ステップS11で受信したMFP100の端末情報と登録ユーザ情報とからユーザデータを生成して、生成したユーザデータを、HDD107に既に記憶されているユーザデータに追加する。
【0058】
図3(A)に戻って、MFP100では、MFP100Aが送信したMFP100Aの端末情報と登録ユーザ情報とを受信する(ステップS05)。そして、同一グループの端末であって、端末情報と登録ユーザ情報を未だ送信していない端末が存在するか否かを判断する(ステップS06)。そのような端末が存在する場合には、その端末を選択して処理をステップS04に戻し、そうでなければ処理をステップS07に進める。ここでは、MFP100B,100Cに対して端末情報と登録ユーザ情報とを未だ送信していないので、これらのうちいずれかを選択して処理をステップS04に戻す。このように、MFP100は、同一グループの端末に対して、MFP100の端末情報と登録ユーザ情報とを順に送信し(ステップS04)、その端末からその端末の端末情報と登録ユーザ情報とを受信する(ステップS05)。なお、ここでは、同一グループの端末を順に選択して端末情報と登録ユーザ情報とを送信するようにしたが、端末情報と登録ユーザ情報とをブロードキャストで送信して、MFP100A,100B,100CそれぞれからMFP100A,100B,100C各々が記憶する端末情報と登録ユーザ情報とを受信するようにしてもよい。
【0059】
ステップS07では、自装置の登録ユーザ情報をユーザデータ生成のために使用するか否かを判断する。この判断は、ユーザによる選択に基づくものであってもよいし、予め定めてあってもよい。自装置の登録ユーザ情報を使用すると判断した場合には処理をステップS08に進め、使用しないと判断した場合にはステップS08をスキップして処理をステップS09に進める。ステップS08では、MFP100に記憶されている登録ユーザ情報を読み出す。そして、ステップS09では、端末情報および登録ユーザ情報からユーザデータを生成する。ステップS08をスキップした場合には、端末MFP100A,100B,100Cから受信した登録ユーザ情報と端末情報とからユーザデータをそれぞれ生成する。ステップS08を実行する場合には、端末MFP100A,100B,100Cから受信した登録ユーザ情報およびMFP100が記憶する登録ユーザ情報とMFP100,100A,100B,100Cの端末情報とからユーザデータをそれぞれ生成する。ユーザデータは、端末情報と登録ユーザ情報とを含む。なお、本実施の形態においては、ユーザデータは、端末情報と登録ユーザ情報とを含んでいるが、ユーザデータは、少なくとも登録ユーザ情報を含んでいればよい。ここでは、MFP100が、ステップS07において自装置の登録ユーザ情報を使用すると判断した場合に生成するユーザデータを第1のユーザデータといい、MFP100がステップS07において自装置の登録ユーザ情報を使用しないと判断した場合に生成するユーザデータを第2のユーザデータという。そして、生成したユーザデータをHDD107に記憶する。
【0060】
MFP100,100A,100B,100Cのすべてで第1のユーザデータが生成されると、MFP100,100A,100B,100Cすべてが同一のユーザデータを記憶する。一方、MFP100Aが第2のユーザデータを生成する場合、その第2のユーザデータはMFP100,100B,100Cの端末情報とMFP100,100B,100Cが記憶する登録ユーザ情報とをそれぞれ関連付けたユーザデータを含み、MFP100Bが第2のユーザデータを生成する場合には、その第2のユーザデータはMFP100,100A,100Cの端末情報とMFP100,100A,100Cが記憶する登録ユーザ情報とをそれぞれ関連付けたユーザデータを含み、MFP100Cが第2のユーザデータを生成する場合には、その第2のユーザデータはMFP100,100A,100Bの端末情報とMFP100,100A,100Bが記憶する登録ユーザ情報とをそれぞれ関連付けたユーザデータを含む。
【0061】
なお、ここではMFP100で実行される初期設定処理で、端末情報の登録処理と、登録ユーザ情報の入力処理とを実行するようにしたが、MFP100が既にネットワーク2に接続されており、ユーザを追加する場合にもこの初期設定処理と同様の処理が実行される。しかしながらその場合には、ステップS01の端末情報の登録処理は不要である。
【0062】
また、初期設定処理を、MFP100,100A,100B,100C各々をネットワーク2に接続する場合に実行するのに限らず、MFP100,100A,100B,100C各々に電源が投入された後に実行する、または、所定の時間間隔で実行するようにしてもよい。たとえば、MFP100に新たにユーザが登録された場合に、新たに登録されたユーザの登録ユーザ情報を他のMFP100A,100B,100Cに送信して、他のMFP100A,100B,100Cに最新のユーザデータを記憶させるためである。この場合、MFP100は、図3(A)に示した初期設定処理のステップS01およびステップS03を実行することなく、ステップS02の登録ユーザ情報の入力処理を実行する。逆に、MFP100が、他のMFP100A,100B,100Cのいずれかに新たに登録されたユーザの登録ユーザ情報を取得して、MFP100において最新のユーザデータを記憶するためである。この場合、MFP100は、図3(A)に示した初期設定処理のステップS01〜ステップS03の処理を実行することなく、他のMFP100A,100B,100Cに対して登録ユーザ情報の送信を要求する処理を実行する。この登録ユーザ情報の送信要求は装置識別情報を少なくとも含む。この送信要求に応じて、他のMFP100A,100B,100C各々は、図3(B)に示した接続処理を実行し、ステップS11で、受信した送信要求に応じて、自身のHDD107に記憶されている登録ユーザ情報を、送信要求を送信してきたMFP100に送信する。これにより、他のMFP100A,100B,100CのHDD107に記憶された登録ユーザ情報が変更されたとしても、変更後の登録ユーザ情報からユーザデータが生成されてHDD107に記憶される。この場合、MFP100A,100B,100C各々は接続処理においてステップS13を実行する必要はない。
【0063】
図4は、登録ユーザ情報と第1および第2のユーザデータとを説明するための図である。図4(A)は、MFP100に記憶される登録ユーザ情報の一例を示す図であり、図4(B)は、MFP100Aに記憶される登録ユーザ情報の一例を示す図であり、図4(C)は、MFP100Bに記憶される登録ユーザ情報の一例を示す図であり、図4(D)は、MFP100Cに記憶される登録ユーザ情報の一例を示す図である。登録ユーザ情報は、ユーザ識別情報と、付随情報と、認証情報とを含む。付随情報は、ユーザが所属する部署名、そのユーザに割り当てられた電子メールアドレス、そのユーザの顔を撮影して得られる顔画像データなど、そのユーザに関連する情報である。認証情報は、ログイン時のユーザの認証に用いられる情報であり、ここでは、パスワードを用いている。顔画像データを認証情報に用いることも可能である。認証情報は、生体認証が用いられる場合には、指紋、声紋、虹彩、静脈パターンなどが用いられる。
【0064】
また、図4(E)は、第1のユーザデータの一例を示す図であり、図4(F)は、MFP100Aに記憶される第2のユーザデータの一例を示す図である。第1のユーザデータまたは第2のユーザデータは、図3(A)に示した初期設定処理がMFP100で実行され、図3(B)に示した接続処理がMFP100A,100B,100Cそれぞれで実行されることにより、MFP100,100A,100B,100C各々で生成されて記憶される。第1および第2のユーザデータは、番号と、登録ユーザ情報と、ホーム端末の装置識別情報およびホーム端末の載置場所とを含む。なお、ユーザデータは、ユーザ識別情報と、ホーム端末の装置識別情報とを少なくとも含んでいればよい。
【0065】
このように、MFP100において初期設定処理が実行されると、同一グループのMFP100,100A,100B,100Cにおいて、同一の第1のユーザデータが生成されて記憶される、または、同一グループの他の端末の登録ユーザ情報のすべてを含む第2のユーザデータが生成される。これにより、MFP100,100A,100B,100Cで構成される画像処理システム1が形成される。画像処理システム1が形成されると、ユーザデータに基づいてMFP100,100A,100B,100Cのいずれかをホーム端末とするユーザを特定することができる。このため、MFP100,100A,100B,100Cのいずれかをホーム端末とするユーザが、MFP100,100A,100B,100Cのいずれかにユーザ識別情報とパスワードとを入力すれば、そのMFPは、ユーザデータを用いて認証し、ログインを許可する。
【0066】
図5は、MFPのCPUの機能の概要を示す機能ブロック図である。図5を参照して、CPU101は、プリントジョブを受け付けるプリントジョブ受付部151と、プリントジョブに含まれるジョブ情報からプリント設定情報を解釈するプリント設定情報解釈部152と、プリントジョブに含まれるプリントデータをプリント設定情報にしたがって、画像形成部115に画像形成させる印刷実行部153と、画像形成部115がプリントデータを画像形成するのを禁止する禁止部154と、プリントジョブに含まれるジョブ情報からユーザ種別を判定するユーザ種別判定部155と、プリントジョブを一時的に記憶するジョブ記憶部156と、パスワードを生成するパスワード生成部158と、パスワードをプリントジョブを送信してきた装置に送信するためのパスワード通知部159と、HDD107に形成されたボックスを管理するためのボックス管理部157と、オペレーションパネル119を制御するためのパネル制御部160とを含む。
【0067】
プリントジョブ受付部151は、通信I/FがPC200からプリントデータとジョブ情報とを受信すると、通信I/Fからプリントデータとジョブ情報とを受け付ける。プリントジョブ受付部151は、受け付けたプリントデータとジョブ情報とをプリント設定情報解釈部152に出力し、ジョブ情報に含まれるユーザ識別情報をユーザ種別判定部155に出力する。ジョブ情報にユーザ識別情報が含まれない場合には、ユーザ種別判定部155にユーザ識別情報を出力しない。
【0068】
プリント設定情報解釈部152は、プリントデータと、ジョブ情報とを解釈して、プリントデータとプリント条件とを含むプリントジョブを生成し、それをジョブ記憶部156に格納する。ここでは、ジョブ記憶部156に記憶されたプリントジョブを待機ジョブという。印刷実行部153は、ジョブ記憶部156に記憶された待機ジョブを読出し、実行する。具体的には、画像形成部115を制御してプリントデータをプリント条件に従って画像形成する。印刷実行部153は、画像形成部115が、トラブルが発生して駆動できない間、エラーが発生して駆動できない間、または前のプリントジョブを実行している間は、待機ジョブを読み出さない。このため、画像形成部115が、トラブルが発生して駆動できない間、エラーが発生して駆動できない間、または前のプリントジョブを実行している間に、プリント設定情報解釈部152により新たにプリントジョブが生成されると、それがジョブ記憶部156に追加して記憶される。トラブルとは、MFP100のユーザが回復させることが不可能な故障であり、例えば、感光ドラムの損傷、搬送ローラの損傷などである。エラーとは、例えば、用紙切れ、トナー切れ等の消耗品が不足した場合、紙詰まり等のMFP100のユーザが回復させることが可能な事象を含む。印刷実行部153は、ジョブ記憶部156に複数の待機ジョブが記憶されている場合には、先に記憶された待機ジョブから順に読み出して実行する。
【0069】
禁止部154は、トラブル検出部161と、経過時間管理部162と、保護指示受付部163とを含む。トラブル検出部161は、MFP1に発生するトラブルを検出する。トラブル検出部161は、MFP100に発生するトラブルを検出すると、ジョブ記憶部156に対して、そこに記憶されている待機ジョブの全てを実行するのを禁止させる信号を出力する。トラブルが発生した場合、印刷実行部153がジョブを実行して画像形成することができないからである。
【0070】
経過時間管理部162は、プリントデータを受け付けてから経過した時間を、そのプリントデータに対応する待機ジョブごとに計時する。経過時間管理部162は、経過時間が予め定められたしきい値を超えた場合には、ジョブ記憶部156に対して、経過時間がしきい値を超えた待機ジョブを識別するためのジョブ識別情報と、その待機ジョブを実行するのを禁止させる信号を出力する。プリントデータを受け付けてから所定の時間が経過しても実行されない待機ジョブを画像形成しないようにして、プリントデータを画像形成した用紙が他人に見られないようにするためである。しきい値は、MFP100に管理者により設定される。なお、ジョブ情報にしきい値を含めるようにし、待機ジョブごとにしきい値を異ならせるようにしてもよい。この場合には、プリントデータの送信を指示したPC200のユーザがしきい値を定めることができる。
【0071】
保護指示受付部163は、パネル制御部160または通信I/F111からジョブ識別情報と保護指示とが受け付けられると、ジョブ記憶部156に対して、そのジョブ識別情報と、待機ジョブを実行するのを禁止させる信号を出力する。パネル制御部160は、入力部119Aに待機ジョブを一覧表示する指示が入力されると、ジョブ記憶部156に記憶されている全ての待機ジョブそれぞれを識別するためのジョブ識別情報を表示部119Bに表示する。ジョブ識別情報は、ジョブ番号、ジョブを送信したユーザのユーザ識別情報、ジョブを受け付けた時刻などを含む。入力部119Aに、ジョブ識別情報の指定と、保護指示とが入力されると、保護指示受付部163は指定されたジョブ識別情報と保護指示とを入力部119Aから受け付ける。MFP100がPC200から遠隔操作される場合、パネル制御部160は、表示部119Bに表示するのと同じ画面を通信I/F111を介してPC200に送信し、入力部119Aに入力されるのと同様にジョブ識別情報の指定と保護指示とを通信I/F111を介してPC200から受信する。通信I/F111により、ジョブ識別情報と保護指示とが受信されると、保護指示受付部163はジョブ識別情報と保護指示とを通信I/F111から受け付ける。
【0072】
ユーザ種別判定部155は、プリントジョブ受付部151からユーザ識別情報を受け付けた場合は、そのユーザ識別情報をジョブ記憶部156に出力するが、ユーザ識別情報を受け付けない場合は、ゲストユーザを示すユーザ識別情報をジョブ記憶部156に出力する。
【0073】
ジョブ記憶部156は、プリント設定情報解釈部152が出力するプリントジョブを、ユーザ種別判定部155から入力されるユーザ識別情報と関連付け、待機ジョブとして記憶する。ジョブ記憶部156は、禁止部154から待機ジョブを実行するのを禁止する信号が入力されると、記憶している待機ジョブとユーザ識別情報との組をボックス管理部157に出力する。ジョブ記憶部156は、禁止部154から全ての待機ジョブを実行するのを禁止する信号が入力される場合には、待機ジョブおよびユーザ識別情報の組全てをボックス管理部157に出力する。ジョブ記憶部156は、禁止部154からジョブ識別情報と、待機ジョブを実行するのを禁止する信号が入力される場合には、そのジョブ識別情報で特定される待機ジョブとユーザ識別情報との組をボックス管理部157に出力する。ジョブ記憶部156は、ボックス管理部157に待機ジョブを出力する際、その待機ジョブがゲストユーザのユーザ識別情報に関連付けられている場合は、待機ジョブとユーザ識別情報とにパスワードを加えた組をボックス管理部157に出力する。ジョブ記憶部156は、パスワード生成部158にパスワードの生成を依頼して、パスワードを取得する。
【0074】
パスワード生成部158は、ジョブ記憶部156からパスワードの生成を依頼されると、パスワードを生成し、生成したパスワードをジョブ記憶部156およびパスワード通知部159に出力する。
【0075】
パスワード通知部159は、パスワード生成部158からパスワードが入力されると、待機ジョブに含まれるプリントデータを送信してきた装置に、待機ジョブを識別するためのジョブ識別情報とパスワードとの組を送信する。待機ジョブは、ジョブ記憶部156が記憶している待機ジョブのうちボックス管理部157に送信しようとしている待機ジョブである。プリントジョブ受付部151が、プリントジョブを受信した時点で、通信相手を識別するための装置識別情報、たとえばIPアドレスを取得し、ジョブ記憶部156が、IPアドレスと待機ジョブを関連付けて記憶するようにし、パスワード通知部159は、待機ジョブを送信してきた装置の装置識別情報をジョブ記憶部156から取得する。
【0076】
ユーザ認証部173は、受け付けたユーザ識別情報が、ゲストユーザの場合には、ユーザ識別情報を認証しない。ユーザ認証部173によりユーザ識別情報が認証されなかった場合には、ボックス管理部157は、ゲストユーザとして取り扱う。ここでは、認証されたユーザ識別情報を認証ユーザという。また、認証ユーザのうちユーザ識別情報を含む登録ユーザ情報がHDD107に記憶されていれるユーザ識別情報を特に登録ユーザという。
【0077】
HDD107は、ユーザ毎に割当てられた個人記憶領域と、ゲストユーザに割当てられた共有記憶領域とを含む。以下、個人記憶領域を個人ボックスといい、共有記憶領域を親展ボックスという。ここでは、MFP100には、登録ユーザ情報に、ユーザ識別情報デービッドが登録されているので、HDD107には、ユーザ識別情報デービッドに割当てられた個人ボックスが設けられているものとして説明する。ボックス管理部157は、ユーザ識別情報デービッドがユーザ認証部173により認証されることを条件に、ユーザ識別情報デービッドに割当てられた個人ボックスへのアクセスを許可する。個人ボックスへのアクセスは、オペレーションパネル119に入力される操作による場合と、通信I/F111を介してPC200からの遠隔操作による場合とがある。従って、個人ボックスは、ユーザ認証部173により認証された認証ユーザによる操作に基づいてアクセス可能である。
【0078】
ボックス管理部157は、ジョブ記憶部156から待機ジョブとユーザ識別情報との組が入力されると、HDD107にユーザ識別情報を含む登録ユーザ情報が記憶されていれば、HDD107においてそのユーザ識別情報に割当てられた個人ボックスに、待機ジョブを記憶する。HDD107にユーザ識別情報を含む登録ユーザ情報が記憶されていない場合、ユーザ識別情報を含むユーザデータからホーム端末を特定し、そのホーム端末に待機ジョブとユーザ識別情報とを送信する。待機ジョブとユーザ識別情報を受信したホーム端末では、受信したユーザ識別情報に関連付けられた個人ボックスに待機ジョブを記憶する。なお、ユーザ識別情報を含む登録ユーザ情報が記憶されていない場合、ホーム端末に待機ジョブとユーザ識別情報とを送信することなく、次に説明するゲストユーザの場合と同様に処理してもよい。
【0079】
ボックス管理部157は、ジョブ記憶部156から待機ジョブと、ゲストユーザのユーザ識別情報と、パスワードとの組が入力されると、待機ジョブとパスワードとを関連付け、HDD107に設けられた親展ボックスに待機ジョブを記憶する。ボックス管理部157は、HDD107の親展ボックスへのアクセスを、ユーザ認証していないゲストユーザに対して許可するが、親展ボックスに記憶された待機ジョブがパスワードと関連付けられている場合には、パスワード受付部172にそのパスワードと同一のパスワードが入力されることを条件に、その待機ジョブへのアクセスを許可する。
【0080】
また、ボックス管理部157は、個人ボックスに記憶されている待機ジョブと同一の待機ジョブが印刷実行部153により実行された場合、個人ボックスに記憶されていた待機ジョブを削除する。これにより、同じジョブが何度も実行されるのを防止することができる。
【0081】
図6は、印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。印刷処理は、MFP100のCPU101が、プリントデータ出力プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図6を参照して、CPU101は、プリントデータを受信したか否かを判断する(ステップS21)。プリントデータを受信するまで待機状態となり(ステップS21でNO)、プリントデータブを受信したならば処理をステップS22に進める(ステップS22でYES)。すなわち、印刷処理は、プリントデータを受信することを条件に実行される処理である。ステップS22においては、受信したプリントデータと、それと共に受信されるジョブ情報とからプリントジョブを生成し、そのプリントジョブを待機ジョブに追加する。具体的には、プリントジョブを待機ジョブとしてジョブ記憶部156に記憶する。
【0082】
そして、タイマーをスタートさせる(ステップS23)。このタイマーは、プリントデータを受信してからの経過時間を計時する。タイマーは、待機ジョブごとに設けられ、待機ジョブが複数存在する場合は、複数のタイマーによりプリントジョブを受信してからの経過時間が計時される。そして、タイマーで計時した経過時間を表示部119Bに表示する(ステップS24)。これにより、MFP100のユーザに、待機ジョブごとに待機中の経過時間を知らせることができる。なお、経過時間をPC200に送信するようにして、PC200に経過時間を表示させるようにしてもよい。
【0083】
ステップS25においては、トラブルが発生したか否かを検出する。トラブルの発生を検出したならば処理をステップS33に進め、検出しなければ処理をステップS26に進める。ステップS26においては、タイマーにより計時された経過時間が所定時間を越えたか否かを判断する。経過時間を越えたならば処理をステップS33に進め、超えていなければ処理をステップS27に進める。ステップS27においては、保護指示を受け付けたか否かを判断する。ユーザがオペレーションパネル119を操作して、待機ジョブの指定と保護指示とを入力したならば、保護指示を受け付ける。保護指示を受け付けたならば処理をステップS33に進め、そうでなければ処理をステップS28に進める。
【0084】
ステップS28においては、待機ジョブの実行が終了したか否かを判断する。待機ジョブが終了したならば処理をステップS29に進め、終了していなければ処理をステップS25に戻す。
【0085】
ステップS29においては、プリントデータを送信してきたユーザが登録ユーザか否かを判断する。プリントデータとともに受信されるジョブ情報に含まれるユーザ識別情報を含む登録ユーザ情報がHDD107に記憶されていれば、登録ユーザと判断し、そうでなければ登録ユーザでないと判断する。プリントジョブを送信してきたユーザが登録ユーザであれば処理をステップS30に進め、そうでなければ処理をステップS32に進める。ステップS30においては、プリントジョブを送信してきたユーザに割当てられた個人ボックスに即時実行ジョブが記憶されているか否かを判断し、即時実行ジョブが記憶されていれば処理をステップS31に進め、そうでなければステップS31をスキップして処理をステップS32に進める。即時実行ジョブについては後述するが、後述するジョブ保護処理が実行されることにより個人ボックスに記憶される待機ジョブである。ステップS32においては、ステップS24において開始した経過時間の表示を終了し、処理を終了する。
【0086】
一方、ステップS33においては、ジョブ保護処理を実行し、処理をステップS34に進める。ステップS34においては、ジョブ記憶部156に記憶していた待機ジョブを削除する。これにより、待機ジョブが画像形成されるのが禁止される。待機ジョブがユーザの知らないうちに画像形成されるのを防止するためである。
【0087】
処理をステップS33に進める場合は、プリントデータが画像形成される前に、トラブルが発生した場合、プリントデータを受信してからの所定時間が経過した場合、ユーザがオペレーションパネル119を操作して保護指示を入力した場合のいずれかである。プリントデータを送信してからそのプリントデータから生成されるジョブが実行されるまでに時間が必要とされる場合があり、そのような場合は、プリントデータを画像形成する指示をしたユーザが、出力された用紙を取りにMFP100の設置場所に移動しても、出力された用紙を手にすることができない。プリントデータをプリントする指示を既にしているので、その指示を変更することができないが、ステップS33において、ジョブが保護されるので、プリントデータが画像形成された用紙を他人に見られるのを防止することができる。
【0088】
図7は、ジョブ保護処理の流れの一例を示すフローチャートである。ジョブ保護処理は、図6のステップS33において実行される処理である。図7を参照して、プリントジョブを送信してきたユーザが登録ユーザか否かを判断する(ステップS41)。プリントジョブを送信してきたユーザが登録ユーザであれば処理をステップS42に進め、そうでなければ処理をステップS43に進める。ステップS42においては、待機ジョブを即時実行ジョブとして、個人ボックスに格納し、処理を印刷処理に戻す。
【0089】
プリントデータを通常のジョブとしてではなく、即時実行ジョブとして格納するのは次の理由による。すなわち、今回のプリントジョブはプリントする指示が既に出されてはいるが、機密性の確保が保障されない状況下で保護するものである。そして、次に当該ユーザが装置を操作した時、具体的にはオペレーションパネルを操作してユーザ識別情報を入力し、認証され、ログインした時には機密性が確保されるとして、あえてプリント指示操作をしなくても前回のプリント指示を有効とすることにより、ユーザの操作手順を簡素化し、利便性を高めることができるからである。即時実行ジョブとして通常ジョブと区別するためには、ジョブ情報にその情報を記述しておく、フラグを立てておく、即時実行ジョブとしてマークを不可しておく等、種々の方法を採用すればよい。
【0090】
図8は、個人ボックスに記憶されたジョブの管理テーブルの一例を示す図である。図8を参照して、ジョブ番号に対応してプリントデータが記憶され、そのジョブ管理情報としてユーザ識別情報/パスワードなどの所有者情報、個人ボックスに記憶された受付日時、ジョブ条件を示すジョブ情報、そして即時実行ジョブか否かを示す情報が管理されている。ここでは、即時実行ジョブとして記憶された場合には、そのジョブ管理情報の即時実行ジョブの項目に*マークが付与され、ユーザが次に装置にオペレーションパネルを操作してログインを行った時、この*マークが付与されている待機ジョブを検索し、該当するものがあった場合にはこれを読み出して自動でプリントを実行するようになっている。
【0091】
図7に戻って、ステップS42において、即時実行ジョブを格納する個人ボックスは、プリントデータを送信してきたユーザに対してHDD107に割当てられた個人ボックスである。すなわち、プリントデータとともに受信されるジョブ情報に含まれるユーザ識別情報に対して予め割り当てられた個人ボックスである。待機ジョブが個人ボックスに記憶されるので、プリントデータがプリントを指示したユーザの知らないうちに画像形成されるのを防止し、プリントデータをユーザの所望する時に画像形成可能な状態にすることができる。また、個人ボックスに記憶された待機ジョブへのアクセスに、パスワードの入力が必要なので、プリントデータが他人に見られるのを防止することができる。
【0092】
ステップS43においては、プリントジョブを送信してきたユーザが認証ユーザか否かを判断する。プリントデータを送信してきたユーザが認証ユーザであれば処理をステップS44に進め、そうでなければ処理をステップS45に進める。具体的には、プリントデータともに受信したジョブ情報に含まれるユーザ識別情報を含むユーザデータが存在すれば、認証ユーザと判断し、そうでなければ認証ユーザでないと判断する。ここで認証ユーザと判断されるのは、登録ユーザが除かれる。すなわち、プリントデータを送信してきたユーザが登録ユーザを除く認証ユーザの場合に、処理をステップS44に進め、そうでなくゲストユーザの場合に処理をステップS45に進める。
【0093】
ステップS44においては、待機ジョブとユーザ識別情報とをホーム端末に送信する。プリントデータとともに受信されるジョブ情報に含まれるユーザ識別情報を含むユーザデータからホーム端末を特定し、そのホーム端末に待機ジョブとユーザ識別情報とを送信する。待機ジョブとユーザ識別情報とを受信したホーム端末では、その待機ジョブを即時実行ジョブとして、受信したユーザ識別情報に対してHDD107に割当てられた個人ボックスに格納する。これにより、プリントデータがプリントを指示したユーザの知らないうちに画像形成されるのを防止し、プリントデータをユーザの所望する時に画像形成可能な状態にすることができる。
【0094】
ステップS45においては、パスワードを生成する。パスワードは、例えば、英数文字から任意に抽出した複数の文字列とすればよい。そして、待機ジョブと生成したパスワードとを関連付け(ステップS46)、親展ボックスに待機ジョブを親展ジョブとして格納する(ステップS47)。これにより、プリントデータがプリントを指示したユーザの知らないうちに画像形成されるのを防止し、プリントデータをユーザの所望する時にプリント可能な状態にすることができる。親展ボックスにアクセスするためにユーザ認証は必要ないが、待機ジョブをパスワードと関連付けて記憶するため、待機ジョブにアクセスするためにパスワードの入力が必要とされる。したがって、待機ジョブにアクセスすることができるユーザを、パスワードを知る者に制限することができる。
【0095】
このため、生成したパスワードを、プリントデータを送信してきた装置に送信し(ステップS48)、処理を印刷処理に戻す。プリントデータを受信した時点で、それを送信してきた装置のIP(Internet Protocol)アドレスを受信するので、そのIPアドレスに、送信するようにすればよい。これにより、プリントデータの送信を指示したユーザに、親展ジョブを実行させるためのパスワードを通知することができる。
【0096】
図9は、ログイン処理の流れの一例を示すフローチャートである。ログイン処理は、MFP100のCPU101がプリントデータ出力プログラムを実行することにより、CPU101により実行される処理である。図9を参照して、CPU101は、ログイン指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS51)。表示部119Bにユーザ識別情報とパスワードとの入力を受け付けるためのログイン画面を表示し、入力部119Aによりユーザ識別情報とパスワードとが入力されると、ログイン指示を受け付けたと判断する。また、PC200からの遠隔操作により、ユーザ識別情報とパスワードとが受信されると、ログイン指示を受け付けたと判断する。そして、ユーザ識別情報がゲストユーザを示すか否かを判断し(ステップS52)、ゲストユーザであれば処理をステップS64に進め、ゲストユーザでなければ処理をステップS53に進める。ステップS53においては、ユーザ識別情報を認証し、認証が成功したか否かを判断する。認証に成功したならば処理をステップS54に進め、認証に失敗したならば処理をステップS51に戻す。ステップS54においては、ログインしたユーザがホーム端末にログインしたか否かを判断する。具体的には、ユーザ識別情報を含む登録ユーザデータがHDD107に記憶されていれば、ログインしたユーザがホーム端末にログインした登録ユーザであると判断し、処理をステップS55に進め、そうでなければログインしたユーザがホーム端末以外の端末にログインした認証ユーザであると判断し、処理をステップS60に進める。
【0097】
ステップS55においては、即時実行ジョブが存在するか否かを判断する。具体的には、ステップS51において受け付けられたユーザ識別情報に割当てられた個人ボックスに、即時実行ジョブが記憶されているか否かを判断する。即時実行ジョブが記憶されていれば処理をステップS56に進め、記憶されていなければ処理を終了する。
【0098】
ステップS56においては、ログイン指示が遠隔操作によってなされたか否かを判断する。ログイン指示をPC200から受信した場合は処理をステップS57に進め、入力部119Aから入力された場合は処理をステップS59に進める。ステップS57においては、ステップS51において受け付けたユーザ識別情報に割当てられた個人ボックスに記憶されている即時実行ジョブを識別するためのジョブ識別情報を、ログイン指示を送信してきたPC200に送信する。PC200では、ジョブ識別情報を受信すると、それを一覧表示する。PC200は、ユーザによるジョブの選択と実行指示とを受け付けると、選択されたジョブ識別情報と実行を指示するコマンドをMFP100に送信する。
【0099】
ステップS58において、PC200からジョブ識別情報と実行を指示するコマンドとを受信したか否かを判断し、受信したならば処理をステップS59に進め、受信しなければ処理を終了する。このため、PC200から遠隔操作でMFP100にログインした場合は、ホーム端末に記憶されている即時実行ジョブを選択して実行させることができる。
【0100】
ステップS59においては、即時実行ジョブを実行する。即時実行ジョブが実行されるので、先に送信して画像形成されなかったプリントデータが画像形成される。ホーム端末にログインすると、即時実行ジョブが実行されるので、即時実行ジョブを実行させるための操作を入力する必要がなく、操作を簡略にすることができる。即時実行ジョブが複数ある場合には、複数の即時実行ジョブを順に実行する。
【0101】
次のステップS34においては、実行した即時実行ジョブを個人ボックスから削除する。このため、いつまでも即時実行ジョブが個人ボックスに記憶されたままになるのを防止し、ホーム端末へのログインする毎に即時実行ジョブが実行されるのを防止することができる。
【0102】
処理をステップS61に進める場合、ログインしたユーザは、認証ユーザである。上述したジョブ保護処理においては、即時実行ジョブはホーム端末の個人ボックスに記憶するようにしたので、認証ユーザに対応する即時実行ジョブは、ログイン端末に記憶されていない。このため、ステップS61においては、ネットワーク2を介して接続された他の装置であるホーム端末に記憶されている即時実行ジョブを検索するか否かを判断する。ホーム端末を検索するか否かは、MFP100に予め設定しておくようにしてもよいし、ステップS61においてユーザに選択させるようにしてもよい。ホーム端末を検索すると判断された場合には処理をステップS62に進め、そうでない場合には処理を終了する。ホーム端末以外の端末で即時実行ジョブを実行させたくないユーザの意思を尊重することができる。
【0103】
ステップS62においては、ネットワーク2を介して接続された他の装置であるホーム端末に即時実行ジョブを問い合わせる。具体的には、ログインユーザのホーム端末にユーザ識別情報を含む即時実行ジョブの送信要求を送信する。ホーム端末では、即時実行ジョブの送信要求を受信すると、その送信要求に含まれるユーザ識別情報に割当てられた個人ボックスを検索し、即時実行ジョブが記憶されていればその即時実行ジョブを返信し、即時実行ジョブが記憶されていなければ即時実行ジョブが存在しないことを示す信号を返信する。即時実行ジョブを送信した場合には、その即時実行ジョブをHDD107から削除する。
【0104】
ステップS63においては、即時実行ジョブを受信したか否かを判断し、受信したならば処理をステップS59に進め、受信しなければ処理を終了する。処理をステップS59に進める場合には、ホーム端末から受信した即時実行ジョブが実行されるので、先に送信して画像形成されなかったプリントデータが画像形成される。このため、ホーム端末以外の他の端末にログインした場合に、即時実行ジョブが実行されるので、MFP100,100A,100B,100Cいずれかにログインすれば、即時実行ジョブを実行させることができる。また、即時実行ジョブを実行させるための特別な操作を必要としないので、操作の入力を簡便にすることができる。
【0105】
一方、ステップS64においては、親展ボックスに記憶されている親展ジョブを一覧表示する。具体的には、親展ジョブのジョブ識別情報を表示部119Bに並べて表示する。そして、表示されたジョブ識別情報のうちから1つが選択されたか否かを判断し(ステップS65)、選択されたならば処理をステップS66に進め、選択されなければ処理を終了する。ステップS66においては、パスワードが入力されるまで待機状態となり(ステップS66でNO)、パスワードが入力されたならば処理をステップS67に進める。表示部119Bにパスワードの入力を受け付けるためのパスワード入力画面を表示し、入力部119Aにパスワードが入力されると、そのパスワードを受け付ける。
【0106】
そして、入力されたパスワードがステップS65において選択された親展ジョブに関連付けられたパスワードと一致するか否かを判断し(ステップS67)、両者が一致すれば処理をステップS68に進め、一致しなければ処理を終了する。ステップS68においては、ステップS65において選択された親展ジョブを実行する。親展ジョブをパスワードと関連付けて記憶し、そのパスワードが入力されることを条件に親展ジョブを実行するので、他人が親展ジョブを実行させてプリントデータを画像形成した用紙を手にするのを防止することができる。このため、プリントデータに含まれる機密情報が漏れるのを防止することができる。
【0107】
次のステップS69においては、実行した親展ジョブを親展ボックスから削除する(ステップS69)。これにより、親展ジョブがいつまでも親展ボックスに記憶されたままにされるのを防止することができる。
【0108】
以上説明したように本実施の形態におけるMFPは、受信したプリントデータが画像形成される前に、プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、プリントデータを画像形成するのを禁止して、プリントデータを個人ボックスに格納する、または、プリントデータをパスワードと関連付けて親展ボックスに記憶する。このため、プリントデータの送信を指示したユーザが、プリントデータが画像形成されたと思って画像形成装置に移動した際に未だ出力されてない場合、その後画像形成装置を離れたとしてもプリントデータが画像形成されないので、プリントデータを画像形成した用紙が他人に見られるのを防止し、機密が漏洩するのを防止することができる。特に、ユーザ識別情報と関連付けられたプリントデータが保護された場合、次に当該ユーザがオペレーションパネルを操作してログインした場合に、そのログインした装置において自動でプリントが開始される即時実行ジョブとして保護されるので、ユーザは改めてプリント指示を行わせるためのジョブの選択操作や、ジョブの実行指示操作を行う必要がなく、ユーザの操作手順を簡素化して利便性を向上させることができる。
【0109】
さらに、ユーザがMFP100,100A,100B,100Cのいずれかにログインすると、個人ボックスに記憶されたプリントデータが画像形成されるので、プリントデータの送信を指示したユーザが、後でプリントデータを画像形成させて用紙を手にすることができる。
【0110】
また、プリントデータを親展ボックスに記憶する際には、パスワードと関連付けて記憶するので、プリントデータが他人に見られるのを防止することができる。また、プリントデータと関連付けたパスワードを、プリントデータを送信してきた装置に送信するので、プリントデータの送信を指示したユーザがパスワードを知ることができる。プリントデータの送信を指示したユーザは、パスワードを入力して、親展ボックスに記憶されたプリントデータを画像形成させることができる。
【0111】
なお、本実施の形態においては、即時実行ジョブはホーム端末の個人ボックスに記憶するようにしているが、これに限らない。例えば、同一のネットワークグループを構成する装置であれば、いずれかの装置にユーザ識別情報に関連付けて即時実行ジョブを格納しておき、他の装置にユーザがユーザ識別情報を入力して認証した時、その装置から同一ネットワークグループ内の各装置に当該ユーザ識別情報に関連付けられた即時実行ジョブをブロードキャストして問い合わせることにより、検索して即時実行ジョブを受信することもできる。
【0112】
また、上述した実施の形態においては、MFP100,100A,100B,100Cおよび画像処理システム1について説明したが、MFP100,100A,100B,100Cそれぞれが実行するプリントデータ出力方法およびプリントデータ出力プログラムとして発明を捉ええることができるのはいうまでもない。
【0113】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】、本発明の実施の形態の一つにおける画像処理システムの全体概要を示す図である。
【図2】本実施の形態におけるMFPのハード構成の一例を示すブロック図である。
【図3】(A)は、初期設定処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(B)は、接続処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】登録ユーザ情報と第1および第2のユーザデータとを説明するための図である。
【図5】MFPのCPUの機能の概要を示す機能ブロック図である。
【図6】印刷処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】ジョブ保護処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】ジョブの管理テーブルの一例を示す図である。
【図9】ログイン処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 画像処理システム、2 ネットワーク、100,100A,100B,100C MFP、101 CPU、103 ROM、105 RAM、107 HDD、109 カードI/F、111 通信I/F、113 スキャナ、115 画像形成部、117 FAX、119 オペレーションパネル、119A 入力部、119B 表示部、120 バス、151 プリントジョブ受付部、152 プリント設定情報解釈部、153 印刷実行部、154 禁止部、155 ユーザ種別判定部、156 ジョブ記憶部、157 ボックス管理部、158 パスワード生成部、159 パスワード通知部、160 パネル制御部、161 トラブル検出部、162 経過時間管理部、163 保護指示受付部、171 ユーザ識別情報受付部、172 パスワード受付部、173 ユーザ認証部、200 PC。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントデータを受信するプリントデータ受信手段と、
プリントデータを画像形成する画像形成手段と、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させ、前記受信されたプリントデータを記憶装置に格納する禁止手段と、
プリント指示の入力を受け付けるプリント指示受付手段と、
前記プリント指示の入力を受け付けることに応じて、前記記憶されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる出力手段と、を備えた画像形成装置。
【請求項2】
パスワードを取得するパスワード取得手段をさらに備え、
前記禁止手段は、前記プリントデータと前記取得されたパスワードとを関連付ける保護手段をさらに含み、
前記プリント指示受付手段は、パスワードの入力を受け付けるパスワード受付手段を含み、
前記出力手段は、前記保護手段により前記プリントデータと関連付けられたパスワードが前記パスワード受付手段により受け付けられることを条件に、前記プリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報とパスワードとを関連付けたユーザデータを記憶するユーザデータ記憶手段をさらに備え、
前記パスワード取得手段は、前記プリントデータとともにユーザ識別情報が受信された場合、該ユーザ識別情報に関連付けられたパスワードを取得する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記パスワード取得手段は、前記プリントデータとともにユーザ識別情報が受信されない場合、パスワードを生成するパスワード生成手段と、
前記プリントデータを送信してきた装置に前記生成したパスワードと前記プリントデータを識別するためのプリントデータ識別情報とを送信する通知手段と、をさらに含む請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータと同一のプリントデータが前記記憶装置に記憶されているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記記憶装置に記憶されている前記プリントデータを削除する削除手段と、をさらに備えた、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報を認証するためのユーザ認証手段と、
前記プリントデータとともにユーザ識別情報を受信するユーザ識別情報受信手段とをさらに備え、
前記禁止手段は、前記プリントデータを前記受信されたユーザ識別情報と関連付ける関連付手段をさらに含み、
前記プリント指示受付手段は、ユーザの操作の入力を受け付ける操作受付手段を含み、
前記出力手段は、前記操作受付手段により受け付けられたユーザ識別情報が前記認証手段により認証された場合、前記認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するプリントデータ取得手段を含み、前記取得されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報を認証するためのユーザ認証手段をさらに備え、
前記記憶装置は、複数のユーザ識別情報各々に関連し、前記ユーザ認証手段により認証されることを条件にアクセスが許可される個人記憶領域を含み、
前記禁止手段は、前記プリントデータとともに前記ユーザ識別情報が受信された場合に、前記プリントデータを前記受信されたユーザ識別情報に関連する前記個人記憶領域に格納する第1格納手段を含み、
前記プリント指示受付手段は、ユーザ識別情報の入力を受け付けるユーザ識別情報受付手段を含み、
前記出力手段は、前記受け付けられたユーザ識別情報が前記ユーザ認証手段により認証された場合、前記受け付けられたユーザ識別情報に関連する前記個人記憶領域に前記プリントデータが記憶されているか否かを判断する判断手段を含み、前記判断手段による判断結果に基づいて、前記プリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記記憶装置は、前記ユーザ認証手段により認証されることなくアクセスが許可される共有記憶領域をさらに含み、
前記禁止手段は、前記ユーザ識別情報が受信されない場合に、パスワードを生成し、前記プリントデータを前記生成したパスワードと関連付け、前記プリントデータを前記共有記憶領域に格納する第2格納手段と、
パスワードを生成した場合、前記プリントデータを送信してきた装置に前記生成したパスワードと前記プリントデータを識別するためのプリントデータ識別情報とを送信する通知手段とをさらに含み、
前記プリント指示受付手段は、パスワードの入力を受け付けるパスワード受付手段をさらに含み、
前記出力手段は、前記受け付けられたユーザ識別情報が前記ユーザ認証手段により認証されない場合、前記共有記憶領域に記憶された前記プリントデータと関連付けられたパスワードが前記パスワード受付手段により入力されることを条件に、前記プリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータとともに前記ユーザ識別情報が受信された場合、前記プリントデータ受信手段により受信されたプリントデータと同一のプリントデータが前記ユーザ識別情報に関連する前記個人記憶領域に記憶されているか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段による判断結果に基づいて、前記個人記憶領域に記憶されている前記プリントデータを削除する削除手段をさらに備えた、請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項10】
遠隔操作を受け付けるための通信手段をさらに備え、
前記禁止手段は、前記プリントデータを該プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報と関連付ける関連付手段をさらに含み、
前記プリント指示受付手段は、前記通信手段によりユーザ識別情報が受信された場合、該通信手段により受信されたユーザ識別情報を認証する認証手段と、
前記認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを識別するためのデータ識別情報を、前記ユーザ識別情報を送信してきた装置に送信するプリントデータ識別情報送信手段と、
前記通信手段を介して前記ユーザ識別情報を送信してきた装置からプリント指示を受信するプリント指示受信手段と、を含み、
前記出力手段は、前記プリント指示が受信されることを条件に、前記通信手段により受信されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
それぞれがネットワークに接続された複数の画像形成装置を含む画像処理システムであって、
前記複数の画像形成装置のそれぞれは、
プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するプリントデータ受信手段と、
プリントデータを画像形成する画像形成手段と、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させ、前記プリントデータと前記プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、前記受信されたプリントデータを記憶装置に格納する禁止手段と、
ユーザの操作の入力を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段により受け付けられたユーザ識別情報を認証する認証手段と、
前記ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から前記認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するプリントデータ取得手段と、
プリントデータ取得手段により取得された前記プリントデータを前記画像形成手段に画像形成させる出力手段とを備える、画像処理システム。
【請求項12】
前記記憶装置は、複数のユーザ識別情報各々に関連し、前記ユーザ認証手段により認証されることを条件にアクセスが許可される個人記憶領域を含み、
前記禁止手段は、前記プリントデータを前記プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報に関連する前記個人記憶領域に格納する関連付手段を含む、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
記憶装置とプリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置で実行されるプリントデータ出力方法であって、
プリントデータを受信するステップと、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、
前記受信されたプリントデータを記憶装置に格納するステップと、
プリント指示の入力を受け付けるステップと、
前記プリント指示の入力を受け付けることに応じて、前記記憶されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させるステップと、を含むプリントデータ出力方法。
【請求項14】
ネットワークに接続された複数の画像形成装置各々で実行されるプリントデータ出力方法であって、
前記複数の画像形成装置各々は、記憶装置と、
プリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えており、
プリントデータの入力時において、
プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するステップと、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、
前記プリントデータと前記プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、前記受信されたプリントデータを記憶するステップとを前記画像形成装置に実行させ、
プリントデータの出力時において、
ユーザ識別情報の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けられたユーザ識別情報を認証するステップと、
前記ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から前記認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するステップと、
前記取得されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させるステップとを前記画像形成装置に実行させる、プリントデータ出力方法。
【請求項15】
記憶装置とプリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置で実行されるプリントデータ出力プログラムであって、
プリントデータを受信するステップと、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、
前記受信されたプリントデータを記憶装置に格納するステップと、
プリント指示の入力を受け付けるステップと、
前記プリント指示の入力を受け付けることに応じて、前記記憶されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させるステップと、を画像形成装置に実行させるプリントデータ出力プログラム。
【請求項16】
ネットワークに接続された複数の画像形成装置各々で実行されるプリントデータ出力プログラムであって、
前記複数の画像形成装置各々は、記憶装置と、
プリントデータを画像形成する画像形成手段とを備えており、
プリントデータの入力時において、
プリントデータとユーザを識別するためのユーザ識別情報とを受信するステップと、
前記受信されたプリントデータが前記画像形成手段により画像形成される前に、前記プリントデータが受信されてから所定時間を超えたとき、または、前記プリントデータを保護する指示の入力が受け付けられたとき、前記画像形成手段が前記受信されたプリントデータを画像形成するのを禁止させるステップと、
前記プリントデータと前記プリントデータとともに受信されたユーザ識別情報とを関連付け、前記受信されたプリントデータを記憶するステップとを前記画像形成装置に実行させ、
プリントデータの出力時において、
ユーザ識別情報の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けられたユーザ識別情報を認証するステップと、
前記ネットワークを介して接続された他の画像形成装置から前記認証されたユーザ識別情報に関連付けられたプリントデータを取得するステップと、
前記取得されたプリントデータを前記画像形成手段に画像形成させるステップとを前記画像形成装置に実行させる、プリントデータ出力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−300441(P2007−300441A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−127135(P2006−127135)
【出願日】平成18年4月29日(2006.4.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】