説明

画像形成装置、画像形成ユニット及び画像形成ユニットの装着方法

【課題】画像形成装置の大型化を抑制しつつ、介装部材を設けることを可能とする画像形成装置、画像形成ユニット、及び画像形成ユニットの装着方法を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、画像形成装置本体12に着脱自在に設けられた画像形成ユニット48を有し、画像形成ユニット48は、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられた現像ロール74と、現像ロール74が第1の位置に配置された場合に配置されるフィルム90と有する。フィルム90は、現像ロール74を第2の位置へ移動する場合に、画像形成ユニット48から取り外すことが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ装置、プリンタ等の画像形成装置、これらに用いられる画像形成ユニット、及び画像形成ユニットを画像形成装置本体に装着する画像形成ユニットの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形装置及び画像形成ユニットに用いられる技術であって、例えば、現像剤を収容する現像剤収容手段等のプロセス手段を有する画像形成ユニットを、画像形成装置本体に着脱可能に設ける技術が知られている(特許文献1、特許文献2)。このような技術に対して、例えば現像剤収容手段から現像剤が漏れ出すことを防止するシール部材等の介装部材を画像形成ユニットに設け、この介装部材を、画像形成を行う前に取り外す技術を適用することが望ましい。
【0003】
【特許文献1】特開2000−242155
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、スペースを確保できず、介装部材を画像形成ユニット内に設けることができないことがあるとの問題点があった。また、介装部材を設けると、画像形成装置が大型化してしまうとの問題点が生じることがあった。
【0005】
本発明の目的は、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、介装部材を設けることを可能とする画像形成装置、画像形成ユニット、及び画像形成ユニットの装着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の特徴とするところは、画像形成装置本体内に着脱可能に設けられた画像形成ユニットを有し、この画像形成ユニットは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能である画像形成装置にある。
【0007】
好適には、前記プロセス手段は現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記介装部材は、前記現像剤担持体から現像剤が飛散することを防止する飛散防止部材として用いられる。
【0008】
また、好適には、前記プロセス手段は現像剤を担持する現像剤担持体を有し、前記介装部材は、前記現像剤担持体から現像剤が飛散することを防止する飛散防止部材として用いられる。
【0009】
また、好適には、前記プロセス手段は像担持体を有し、前記介装部材は、前記像担持体を覆うカバー部材として用いられる。
【0010】
また、好適には、前記プロセス手段は像担持体に潜像を形成する潜像形成装置を有し、前記介装部材は、前記潜像形成装置を覆うカバー部材として用いられる。
【0011】
また、好適には、前記介装部材は、前記プロセス手段を、前記第1の位置又は前記第2の位置に維持する位置維持手段として用いられる。
【0012】
また、本発明の第2の特徴とするところは、画像形成装置本体内に着脱可能に設けられた画像形成ユニットを有し、この画像形成ユニットは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段と、前記プロセス手段が第1の位置にある場合に配置された介装部材とを有し、前記介装部材は、前記プロセス手段が第2の位置に移動する場合、前記画像形成ユニットから取り外し可能である画像形成装置にある。
【0013】
また、本発明の第3の特徴とするところは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能であることを特徴とする画像形成ユニットにある。
【0014】
また、本発明の第4の特徴とするところは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段と、前記プロセス手段が第1の位置にある場合に配置された介装部材とを有し、前記介装部材は、前記プロセス手段が第2の位置に移動する場合、前記画像形成ユニットから取り外し可能である画像形成ユニットにある。
【0015】
また、本発明の第5の特徴とするところは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能である画像形成ユニットを、前記プロセス手段が前記第1の位置に移動された状態で前記介装部材を除去し、前記プロセス手段を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、前記プロセス手段が前記第2の位置へと移動した状態で、画像形成装置本体に装着する画像形成ユニットの装着方法にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、画像形成装置の大型化を抑制しつつ、介装部材を設けることを可能とする画像形成装置、画像形成ユニット、及び画像形成ユニットの装着方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る画像形成装置10が示されている。この画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内に中間転写ベルト14が配置されている。この中間転写ベルト14に対して例えば4つの像形成手段16が並列配置されており、画像形成装置10はいわゆるタンデム方式となっている。像形成手段16は、それぞれイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各色のトナー像を中間転写ベルト14上に形成する。
【0018】
画像形成装置本体12の下部にはシート供給装置18が設けられている。シート供給装置18は、シートが積載されるシート供給カセット20と、このシート供給カセット20に積載されたシートをピックするピックアップロール22と、シートを捌きながら送り出すフィードロール24及びリタードロール26とを有する。シート供給カセット20は、図中手前方向に引き出すことができるように画像形成装置本体12に対して着脱自在に設けられており、普通紙、OHPシート等の被転写体としてのシートが積載収納されている。
【0019】
画像形成装置本体12の一端付近(図中左端付近)には、シート供給路28が略鉛直方向に沿って設けられている。このシート供給路28には、搬送ロール29、レジストロール30、2次転写ロール32、定着装置34及び排出ロール36が設けられている。レジストロール30は、シート供給路28へ送り出されたシートを一時停止させ、タイミングをとって2次転写ロール32へ送る。定着装置34は、加熱ロール34aと加圧ロール34bとからなり、加熱ロール34aと加圧ロール34bとの間を通過するシートに熱と圧力を加えることによりシートにトナー像を定着するようになっている。
【0020】
画像形成装置本体12の上部には、排出トレー部38が設けられている。前述した排出ロール36により排出トレー部38へトナー像が定着されたシートが排出され、この排出トレー部38に積層される。したがって、シート供給カセット20のシートは、順次C字状のパスを通って排出トレー部38に排出される。
【0021】
画像形成装置本体12の他端側(図中右端側)には、例えば4つのトナーボトル40が設けられている。該トナーボトル40は、イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各トナーが収容され、図示しないトナー供給路を介して像形成手段16にトナーを供給するようになっている。
【0022】
中間転写ベルト14は、複数の搬送ロール42に支持され、前述した像形成手段16が設けられているベルト面は、水平方向に対して斜めになっている。搬送ロール42の一つが2次転写ロール32のバックアップロールを構成している。また、中間転写ベルト14の上端近傍には、中間転写ベルト用クリーニング装置44が配置され、搬送ロール42の他の一つが該クリーニング装置44のバックアップロールを構成している。さらに中間転写ベルト14の上部には、テンションロール46が配置され、このテンションロール46により中間転写ベルト14に対して適度なテンションを与えている。
【0023】
像形成手段16は、中間転写ベルト14の一面に設けられた画像形成ユニット48と、中間転写ベルト14の裏面に設けられた1次転写ロール50とから構成されている。画像形成ユニット48は、画像形成装置本体12に対して着脱可能であり、例えば、一度下方に移動させた後、図中手前方向に引き出すことができるようになっている。
【0024】
シート供給装置18のシート供給カセット20に積層されたシートは、ピックアップロール22、フィードロール24、リタードロール26等により一枚ずつシート供給路28へ送り出される。このシート供給路28に送り出されたシートはレジストロール30に当接し、一時停止され、タイミングをとって2次転写ロール32へ送る。そして、この2次転写ロール32により中間転写ベルト14のトナー像がシートに転写される。トナー像が転写されたシートはさらに定着装置34に送られ、熱と圧力によりシートにトナー像が定着される。この定着装置34によりトナー像が定着されたシートは、排出ロール36により排出トレー部38に排出される。
【0025】
図2には、第1の実施形態に係る画像形成ユニット48の構成が示されている。画像形成ユニット48は、中間転写ベルト14に対峙し、像担持体として用いられる感光体52と、この感光体52を帯電させる、例えば帯電ロールを有する帯電装置54と、例えばLED(light emitting diode:発光ダイオード)から構成され、露光により感光体52の表面に潜像を形成する潜像形成装置56と、この潜像形成装置56により形成された感光体52上の潜像をトナーにより現像する現像装置58と、転写後に感光体52上に残ったトナーを清掃するクリーニング装置60とを有する。感光体52、帯電装置54、潜像形成装置56、現像装置58、及びクリーニング装置60は、いずれも画像形成プロセスを実現するプロセス手段として用いられる。
【0026】
現像装置58は現像剤収容手段として用いられ、例えば2成分方式であり、トナーとキャリアからなる現像剤が用いられる。現像装置58は、例えば水平方向に平行に配置された2本のオーガ70、72と、排出側オーガ72の斜め上部に配置され、現像剤担持体として用いられる現像ロール74と有し、現像剤をオーガ70、72により攪拌して現像ロール74に供給する。現像ロール74では、キャリアによる磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシによりキャリアに付着したトナーを搬送し、感光体52上の潜像をトナーにより現像する。この実施形態のように、2成分方式の現像装置58にあって、オーガ70、72より上方に現像ロール74が配置されているので、現像剤が溜まるのを防止し、現像剤を均一に攪拌することができ、現像性能を維持することができる。
【0027】
クリーニング装置60は、例えばブレードからなるトナー掻き落とし部76と、このトナー掻き落とし部76で掻き落とされたトナーを回収する回収部78とから構成されている。
【0028】
以上のように構成された画像形成装置10においては、中間転写ベルト14と感光体52とが同期して互いに反対方向に回転し、帯電装置54により感光体52の表面が帯電され、潜像形成装置56により潜像が形成される。この潜像形成装置56により形成された感光体52上の潜像は現像装置58により現像される。この現像装置58により現像されたトナー像は1次転写ロール50により中間転写ベルト14に転写される。各像形成手段16で形成された各色のトナー像は中間転写ベルト14が移動するのに伴って重ねられる。中間転写ベルト上で重ねられたトナー像は、2次転写ロールによりシートに転写され、シートに転写されたトナー像は定着装置34によりシートに定着される。そして、トナー像が定着されたシートが排出ロール36により排出トレー部38に排出される。
【0029】
画像形成ユニット48は、先述のように画像形成装置本体12に対して着脱可能であり、例えば感光体52が磨耗した場合等、必要に応じて新しいものと交換される。このため、画像形成ユニット48は、画像形成装置本体12から取り外された状態で独立して運搬される。そして、例えば出荷前に品質テストを行った等の理由で、現像装置58内に現像剤が収納され、また現像ロール74に現像剤が付着した状態で画像形成ユニット48が出荷され、運搬されることがある。この場合、例えば現像装置58に収納された現像剤が漏れ出したり、現像ロール74に付着した現像剤が飛散したりすると、画像形成ユニット48が現像剤で汚れてしまう。また、潜像形成装置56の光発射部分に飛散したり漏れ出したりした現像剤が付着すると、形成される画像品質の低下をもたらす。よって、現像装置58から現像剤が漏れ出すことを防止するシール部材や、現像ロール74から現像剤が飛散することを防止する飛散防止部材等の介装部材を、画像形成ユニット48内に設けることが望ましい。しかしながら、画像形成ユニット48内に介装部材を設けるにはスペースが必要である。また、介装部材は、画像形成ユニット48を使用する前に除去するものであるので、除去作業のためのスペースも確保する必要がある。このため、従来の技術では、これらのスペースを確保することができず、介装部材を画像形成ユニット48に取り付けることができないことがあった。そこで、この実施形態では、画像形成ユニット48の構成を工夫することにより、介装部材を取り付けることを可能としている。
【0030】
図3には、画像形成ユニット48の詳細が示されている。画像形成ユニット48の筺体は、現像ロールユニット80と、感光体ユニット82との2つの筺体から構成され、現像ロールユニット80には、先述の現像ロール74が装着されている。そして、感光体ユニット82には、感光体52、帯電装置54、潜像形成装置56、オーガ70、オーガ72、及びクリーニング装置60が装着されている。現像ロールユニット80と感光体ユニット82とは、連結軸84で互いに回動自在に連結されていて、感光体ユニット82が固定された状態で、現像ロールユニット80が図3に実線で示される位置と図3に2点鎖線で示される位置と間で移動可能となっている。
【0031】
現像ロールユニット80が図3の実線で示される位置に配置された状態において、現像装置58の開放部86近傍には、この開放部86を塞ぐように介装部材として用いられるフィルム90が取り付けられている。フィルム90は、例えば可撓性を有する樹脂等からなり、一方の辺が現像ロールユニット80の開放部86近傍に、他方の辺が感光体ユニット82側に貼り付けられている。フィルム90は、現像ロール74の表面に付着した現像剤が現像装置58の外へと飛散することが防止する飛散防止部材として用いられ、また、現像剤が現像装置58から漏れ出すことを防止するシール部材として用いられる。フィルム90は、画像形成ユニット48が画像形成に用いられる前に除去される。よって、例えば、運搬中においては画像形成ユニット48に付着された状態を保ちつつ、ユーザーが容易に除去できる程度の強さで画像形成ユニットに貼り付けられている。また、例えば、フィルム90の現像ロールユニット80に附着される側の辺の長手方向における一部又は全部を伸ばして摘み用の突出部90aを形成すれば、突出部90aを用いてフィルム90を容易に除去することができる。
【0032】
現像ロールユニット80が図3の実線で示される位置に配置された状態において、現像ロール74は感光体52から離間した第1の位置に配置された状態にある。また、現像ロールユニット80が図4の2点鎖線で示された位置に配置された状態において、現像ロール74は、感光体52に近接又は接触した第2の位置に配置された状態にある。このように、連結軸84は、第1の位置と第2の位置との間で現像ロール74を移動可能に支持する支持手段として用いられる。
【0033】
以上のように、プロセス手段として用いられる現像ロール74が第1の位置に移動し、第1の位置に配置された状態においては、介装部材として用いられるフィルム90を画像形成ユニット48に装着することが可能である。そして、フィルム90を取り外すことで、現像ロール74は第1の位置から第2の位置へ移動可能となる。また、画像形成ユニット48は、現像ロール74が第1の位置にある場合に配置されるフィルム90を有していて、このフィルム90は、現像ロール74が第2の位置に移動する場合、画像形成ユニット48から取り外し可能である。
【0034】
画像形成ユニット48は、現像ロールユニット80が図3の実線で示された位置に配置され、開放部86にフィルム90が貼り付けられた状態で出荷される。この画像形成ユニット48を画像形成装置本体12に装着するには、まず、現像ロール74が第1の位置に配置された状態でフィルム90を除去する。次に、現像ロールユニット80を連結軸84を中心に図3に示す矢印方向に回転させることで、現像ロール74を図3に実線で示す第1の位置から、図3に2点鎖線で示す第2の位置へと移動させる。そして、この現像ロール74が第2の位置に配置された状態で、画像形成ユニット48を画像形成装置本体12内へ装着する。一方、画像形成ユニット48は、現像ロール74が第2の位置に配置された状態で画像形成装置本体12から引き出される。
【0035】
以上のように、この実施形態においては、現像ロール74を第1の位置へと移動させることができるので、フィルム90を画像形成ユニット48に取り付けるためのスペースを確保することができる。また、現像ロール74を第2の位置へ移動させることができるので、フィルム90を用いつつも、画像形成装置本体12に装着された状態における画像形成ユニット48が大型化することが防止され、また、画像形成装置10を小型化することが可能となる。
【0036】
第1の実施形態では、現像ロールユニット80は、連結軸84で回動自在に感光体ユニット82に連結されているが、現像ロール74を第1の位置と第2の位置との間で移動可能とする構成であれは、他の構成を採用して良い。例えば、感光体ユニット82の両側面(図3における手前側の側面と奥側の側面)に、現像ロールユニット80を摺動可能に支持する支持手段として用いられるレールを取付け、このレールに現像ロールユニット80を取り付けるとの構成を採用しても良い。
【0037】
図4には、第2の実施形態に係る画像形成ユニット48が示されている。先述の第1の実施形態と比較すると、第1の実施形態においては、画像形成ユニット48の筺体は、現像ロールユニット80及び感光体ユニット82の2個の筺体が連結されて構成されていた。これに対して、この第2の実施形態においては、画像形成ユニット48の筺体は、現像ロールユニット80、感光体ユニット82、及び潜像形成ユニット94との3個の筺体が連結されて構成されている。
【0038】
感光体ユニット82内に、先述の第1の実施形態では、感光体52、帯電装置54、潜像形成装置56、オーガ70、オーガ72、及びクリーニング装置60が装着されていたのに対して、この第2の実施形態では、感光体52、帯電装置54、及びクリーニング装置60が装着されている。また、感光体ユニット82の側壁内側には、現像ロールユニット80を摺動自在に支持する切欠き82a、82aと、潜像形成ユニット94を摺動可能に支持する切欠き82b、82bが形成されている。
【0039】
現像ロールユニット80内に、先述の第1の実施形態では現像ロール74が装着されていたのに対して、この第2の実施形態では、現像ロール74に加えてオーガ70、72も装着されている。また、現像ロールユニット80内に現像剤が収納され、現像ロールユニット80は現像剤収容手段として用いられる。現像ロールユニット80は、切欠き82a、82aによって感光体ユニット82に対して摺動可能に支持されていて、図4に示される位置と、画像形成に用いられる位置(図2参照)との間で移動可能となっている。
【0040】
第1の実施形態では、開放部86を塞ぐようにフィルム90が取り付けられていたのに対して、この第2の実施形態では、開放部86を塞ぐようにキャップ部材92が取り付けられている。キャップ部材92は剛性を有しつつ弾性変形可能な樹脂により構成される。また、第1の実施形態のフィルム90は、専ら現像装置58の開放部86をシールするために用いられた。これに対して、キャップ部材92は、像担持体として用いられる感光体52の表面をカバーするカバー部材としても兼用される。キャップ部材92によって、感光体52の感光体ユニット82から露出した部分がカバーされるので、例えば運搬中等に感光体52の表面に傷がつくことや、感光体52の表面にほこり等の異物が付着することが防止される。
【0041】
キャップ部材92は、現像ロール74を、図4に示される第1の位置に維持する位置維持手段としても兼用される。キャップ部材92は、図4における左端部92bが感光体ユニット82により重力方向下側から支持されるとともに、感光体52をカバーする円弧形状部分92cが感光体52の長手方向両端部に設けられた突き当てコロ(不図示)に重力方向下側から支持されている。そして、上端部92dと下端部92eとの間の部分で開放部86を覆いつつ、キャップ部材92は、下端部92eで現像ロールユニット80を重力方向下方から支持している。よって、現像ロールユニット80は、切欠き82a、82aにより下方向に摺動可能に支持されつつ、キャップ部材92の下端部92eにより重力方向下側から支えられ図4に示される位置に維持される。そして、現像ロールユニット80の位置が維持されることで、現像ロール74が図4に示される第1の位置に維持される。
【0042】
キャップ部材92は弾性を有しているため、下端部92eが現像ロールユニット80の下側に回り込むような形状しているものの、図4に矢印で示す略上方に引き抜くことで下端部92eが弾性変形して、画像形成ユニット48から取り外すことができるようになっている。
【0043】
以上のように、この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、プロセス手段として用いられる現像ロール74が第1の位置に移動し、第1の位置に配置された状態においては、介装部材として用いられるキャップ部材92を画像形成ユニット48に装着することが可能である。そして、キャップ部材92を取り外すことで、現像ロール74は第1の位置から第2の位置へ移動可能となる。また、画像形成ユニット48は、現像ロール74が第1の位置にある場合に配置されるキャップ部材92を有していて、このキャップ部材92は、現像ロール74が第2の位置に移動する場合、画像形成ユニット48から取り外し可能である。
【0044】
潜像形成ユニット94には潜像形成装置56が装着されている。そして、この潜像形成装置56の発光部分を覆うように、潜像形成ユニット94には、介装部材として用いられるカバー部材96が設けられている。カバー部材96は、例えば樹脂からなり潜像形成ユニット94の感光体52側の端部に着脱自在に装着されている。カバー部材96を設けることにより、例えば運送中等に潜像形成装置56の発光部に傷がつきにくくなる。また、たとえ運搬中に現像装置58から現像剤が漏れ出してしまったとしても、この現像剤が潜像形成装置56の発光部に付着することが防止される。カバー部材96は、潜像形成ユニットが図4に示される位置に配置された際に形成される感光体52と潜像形成ユニット94との間に形成される空間を介して、潜像形成ユニット94から取り外すことができる。キャップ部材92が潜像ロール72を第1の位置に維持するのと同様に、カバー部材96を用いて、潜像形成装置56を第1の位置に維持させるようにしても良い。
【0045】
潜像形成ユニット94は、切欠き82b、82bにより感光体ユニット82に対して摺動可能に支持され、図4に示される位置と、感光体52に潜像を形成する位置(図2参照)との間で移動可能となっている。潜像形成ユニット94が図4に示される位置に配置された状態において、潜像形成装置56は第1の位置に配置される。潜像形成装置56が第1の位置に配置された状態においては、先述のようにキャップ部材92が画像形成ユニット48に装着可能となる。そして、キャップ部材92を取り外すと、潜像形成装置56は、図4に示された状態から上方に摺動した位置(図2参照)である第2の位置へ移動可能な状態となる。また、画像形成ユニット48は、線像形成装置56が第1の位置ある場合に配置されるカバー部材96を有していて、このカバー部材96は、潜像形成装置56が第2の位置に移動する場合、画像形成ユニット48から取り外し可能である。
【0046】
この第2の実施形態に係る画像形成ユニット48は、現像ロール74及び潜像形成装置56が図4に示された第1の位置に配置され、キャップ部材92及びカバー部材96が装着された状態で出荷される。この画像形成ユニット48を、画像形成装置本体12に装着するには、まず、現像ロール74及び潜像形成装置56が第1の位置に配置された状態で、キャップ部材92及びカバー部材96を除去する。次に、現像ロールユニット80を切欠き82a、82aに沿って下方に摺動させ、現像ロール74を第2の位置へ移動させるとともに、潜像形成ユニット94を切欠き82b、82bに沿って上方に摺動させることで、潜像形成装置56を第2の位置へ移動させる。そして、現像ロール74及び潜像形成装置56が第2の位置に配置された状態で、画像形成ユニット48を画像形成装置本体12に装着する。一方、画像形成ユニット48は、現像ロール74及び潜像形成装置56が第2の位置に配置された状態で画像形成装置本体12から引き出される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上述べたように、本発明は画像形成装置本体に内に着脱される像形成ユニットを有する画像形成装置、画像形装置本体内に着脱される画像形成ユニット、及び画像形成ユニットを画像形成装置本体に装着する画像形成ユニットの装着方法に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像形成ユニットの構成を示す側面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像形成ユニットの、感光体と現像ロールとがフィルムの除去に用いられる位置関係に配置された状態を説明する説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る画像形成ユニットの、感光体、現像ロール、及び露光装置が、キャップ部材及びカバー部材の除去に用いられる位置関係に配置された状態を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0049】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
48 画像形成ユニット
52 感光体
54 帯電装置
56 潜像形成装置
58 現像装置
60 クリーニング装置
74 現像ロール
80 現像ロールユニット
82 感光体ユニット
84 連結軸
86 開放部
90 フィルム
92 キャップ部材
94 潜像形成ユニット
96 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体内に着脱可能に設けられた画像形成ユニットを有し、この画像形成ユニットは、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、
前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記プロセス手段は現像剤を担持する現像剤担持体を有し、
前記介装部材は、前記現像剤担持体から現像剤が飛散することを防止する飛散防止部材として用いられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセス手段は現像剤を収容する現像剤収容手段を有し、
前記介装部材は、前記現像剤収容手段の開口部をシールするシール部材として用いられることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記プロセス手段は像担持体を有し、
前記介装部材は、前記像担持体を覆うカバー部材として用いられることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセス手段は像担持体に潜像を形成する潜像形成装置を有し、
前記介装部材は、前記潜像形成装置を覆うカバー部材として用いられることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記介装部材は、前記プロセス手段を、前記第1の位置又は前記第2の位置に維持する位置維持手段として用いられることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置本体内に着脱可能に設けられた画像形成ユニットを有し、
この画像形成ユニットは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段と、前記プロセス手段が第1の位置にある場合に配置された介装部材とを有し、
前記介装部材は、前記プロセス手段が第2の位置に移動する場合、前記画像形成ユニットから取り外し可能であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、
前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項9】
第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段と、前記プロセス手段が第1の位置にある場合に配置された介装部材とを有し、
前記介装部材は、前記プロセス手段が第2の位置に移動する場合、前記画像形成ユニットから取り外し可能であることを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項10】
第1の位置と第2の位置との間で移動可能に設けられたプロセス手段を有し、前記プロセス手段は、第1の位置に移動された状態では介装部材を配置可能とし、前記介装部材を取り外した場合は、第1の位置から第2の位置へ移動可能である画像形成ユニットを、
前記プロセス手段が前記第1の位置に移動された状態で前記介装部材を除去し、
前記プロセス手段を前記第1の位置から前記第2の位置へ移動させ、
前記プロセス手段が前記第2の位置へと移動した状態で、画像形成装置本体に装着することを特徴とする画像形成ユニットの装着方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−298654(P2007−298654A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125368(P2006−125368)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】