説明

画像形成装置、画像形成装置のデータ制御方法及びプログラム

【課題】低消費電力を維持した上で、外部からのデータ要求に応えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10は、第1の節電モードに移行すると、読取モジュール28等、一部のモジュールへの電源供給を停止する。その後、画像形成装置10は、第2の節電モードに移行する場合、画像形成装置10は、ハードディスクドライブにより実現される第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部を、RAM等のメモリにより実現される第1の記憶部214に保存する。画像形成装置10は、第2の節電モードにおいて、外部からジョブ要求を受け付けると、第1の記憶部214及び第2の記憶部216の少なくともいずれかに記憶されているデータに基づいて、ジョブ要求に応答する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の節電モードを有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置は、それぞれの節電モードに基づいて、電源がオフにされる構成部分を切り替える。例えば、画像形成装置が節電モードである場合、画像形成装置は、スキャナ等の画像入力装置、プリントエンジン等を含む画像出力装置、及びデータを保存するハードディスクドライブ(以下、HDDともいう)への電源供給をオフにする。この場合、外部のコンピュータ等が、HDDに保存されているデータにアクセスする場合、画像形成装置が、HDDへの電源供給のみをオンにすることにより、当該データ要求に応えることは公知である。
【0003】
特許文献1では、エンジン電源、コントローラ電源及びHDD電源を独立して制御し、HDDアクセスの際には、必要最低限の電源のみに電源供給を行う手法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−152190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された手法では、HDDアクセスが頻発する環境では、HDDの電源オンオフが繰り返されるので、十分な省エネ効果が期待できない。また、HDDの寿命が短くなってしまうこともある。
【0006】
本発明は、上述した背景からなされたものであり、低消費電力を維持した上で、外部からのデータ要求に応えることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る割込み画像形成装置は、第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置と、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御するデータ制御手段とを有する。
【0008】
好適には、前記第2の記憶装置に記憶されているデータであって前記第1の記憶装置に保存されるデータの容量と、前記第1の記憶装置の空き容量とを比較する比較手段をさらに有する。
好適には、前記データ制御手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータを前記第1の記憶装置に保存する。
【0009】
好適には、第2の節電モードにおいてデータが要求された場合、前記第2の記憶装置に対するデータアクセスが発生するか否かを判定する判定手段をさらに有する。
好適には、前記判定手段は、前記第2の記憶装置に対するデータアクセスが発生すると判定した場合、要求されたデータが前記第1の記憶装置に記憶されているか否かをさらに判定する。
【0010】
好適には、前記判定手段が、要求されたデータが前記第1の記憶装置に記憶されていないと判定した場合、前記第2の記憶装置へ電源を供給するように制御する電源制御手段をさらに有する。
好適には、前記データ制御手段は、前記電源制御手段により、前記第2の記憶装置へ電源を供給するように制御された場合、前記第2の記憶装置から前記第1の記憶装置に保存されたデータを、前記第1の記憶装置から削除する。
【0011】
好適には、前記第1の記憶装置は、不揮発性のメモリである。
好適には、前記第1の記憶装置には、印刷データを記憶するバッファが設けられ、前記データ制御手段は、前記バッファに、前記第2の記憶装置に記憶されているデータを保存する。
好適には、前記第2の記憶装置は、ハードディスクドライブである。
【0012】
また、本発明に係る画像形成装置のデータ制御方法は、第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置とを有する画像形成装置において、前記第2の記憶装置にデータを記憶し、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御する。
【0013】
また、本発明に係るプログラムは、第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、コンピュータと、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置とを有する画像形成装置において、前記第2の記憶装置にデータを記憶する記憶ステップと、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御するデータ制御ステップとを前記画像形成装置のコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の画像形成装置によれば、低消費電力を維持した上で、外部からのデータ要求に応えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10を含む画像形成システム1を示す図である。
図1に示すように、画像形成システム1は、ネットワーク3を介して接続された画像形成装置10並びに端末装置4を含む。端末装置4は、画像を印刷する印刷ジョブを生成し、印刷ジョブを含む印刷データを画像形成装置10に対して送信する。端末装置4は、画像形成装置10に記憶されているジョブ履歴を要求し、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示する。また、端末装置4は、画像形成装置10のスキャナにより読み取られた画像データであって画像形成装置10に記憶されている画像データを、ネットワーク3を介して取得する。
【0016】
画像形成装置10は、端末装置4から送信された印刷データを受け付けて、印刷データに基づいて画像を用紙上に出力する。また、画像形成装置10は、端末装置4からのジョブ履歴あるいは読取画像データの要求に応答し、記憶しているジョブ履歴あるいは読取画像データを端末装置4に対して送信する。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成を示す図である。
図2に示すように、画像形成装置10は、CPU12と、プログラム等を記憶するROM14と、データを読み書き可能に記憶するRAM16と、データを読み書き可能に記憶するハードディスクドライブ(HDD)18と、後述するモジュールを制御するモジュール制御部22と、通信インタフェース(IF)34を制御するインタフェース制御部24とがバス26を介して互いに接続されてなる制御装置20、読取モジュール、印刷モジュール30、操作パネルモジュール32、通信インタフェース34及び電源供給部36を有する。RAM16は、例えばSDRAM等の不揮発性のメモリである。
【0018】
読取モジュール28は、例えばスキャナであり、画像を読み取り、読取画像データを制御装置20に対して出力する。
印刷モジュール30は、プリントエンジン等を含み、通信IF34又は読取モジュール28を介して入力された画像を記録用紙上に印刷する。
操作パネルモジュール32は、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含み、ユーザからの入力を制御装置20に対して出力し、制御装置20からのデータをタッチパネル等に表示する。
通信IF34は、ネットワーク3を介して端末装置4など外部のコンピュータとデータの送信及び受信を行う。
【0019】
電源供給部36は、制御装置20の制御により、これらの構成要素に対して電源を供給し又は停止する。また、電源供給部36は、各節電モードに基づいて、各構成要素に対して電源を供給し又は停止する。例えば、画像形成装置10は、第1の節電モード、第2の節電モード及び第3の節電モードで動作する。なお、これらの節電モードについては、後で詳述する。
【0020】
端末装置4は、制御装置20、操作パネルモジュール32及び通信インタフェース34を有する、例えば汎用のコンピュータである。
【0021】
図3は、本発明のデータ制御方法を実現する制御プログラム2の機能構成を示す図である。
図3に示すように、制御プログラム2は、制御部200、送信部210、受信部212、第1の記憶部214及び第2の記憶部216を有し、制御部200は、データ制御部202、電源制御部204、比較部206及び判定部208を有する。制御プログラム2は、これらの構成要素により、第2の記憶部216にデータを記憶し、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部を第1の記憶部214に保存するか否かを制御する。制御プログラム2は、画像形成装置10のRAM16にロードされ、CPU12により実行される。なお、制御プログラム2の全部又は一部の機能は、画像形成装置10に設けられた例えばASICなどのハードウェアにより実現されてもよい。
【0022】
制御プログラム2において、第1の記憶部214は、ジョブ履歴データ、画像データ等の一部と、後述する情報テーブルとを記憶する。また、第1の記憶部214は、印刷データを記憶するバッファを有する。第1の記憶部214は、RAM16により実現される。
第2の記憶部216は、ジョブ履歴データ、通信インタフェース34又は読取モジュール28を介して入力された画像データ等を記憶する。第2の記憶部216は、HDD18により実現される。
【0023】
受信部212は、端末装置4からネットワーク3を介して送信された印刷ジョブ、ジョブ履歴の閲覧要求、読取画像データの送信要求、画像データ等を受け付けて、制御部200に対して出力する。
送信部210は、第1の記憶部214及び第2の記憶部216の少なくともいずれかに記憶されているジョブ履歴データ、画像データ等を、制御部200から受け付けて、ジョブ要求元である端末装置4など外部のコンピュータに対して送信する。
【0024】
制御部200は、受信部212から受け付けたジョブに対応する処理を行って、ジョブ履歴を第2の記憶部216に格納する。例えば、制御部200は、印刷モジュール30を制御して、記憶されている画像データ又は送信された画像データの印刷処理を行う。また、例えば、制御部200は、記憶されているジョブ履歴を、ジョブ送信元である端末装置4などに送信する。
【0025】
また、制御部200は、画像形成装置10の動作するモード(通常モード、第1の節電モード乃至第3の節電モード)を制御する。さらに、制御部200は、第1の記憶部214及び第2の記憶部216に記憶されているデータを制御する。なお、制御部200において、具体的な処理は、後述するデータ制御部202等により実行される。
【0026】
制御部200において、データ制御部202は、記憶されているデータの管理を行う。より具体的には、データ制御部202は、端末装置4から送信されて受信部により受け付けられたデータ及び読取モジュール28から読み取られたデータを、第2の記憶部216に保存する。また、データ制御部202は、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部を第1の記憶部214に保存するか否かを制御する。好適には、データ制御部202は、後述する比較部206による比較結果に基づいて当該制御を行い、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部を、第1の記憶部214に設けられたバッファに保存する。また、データ制御部202は、通常モード又は第3の節電モードに移行する条件が成立した際、第2の記憶部216から第1の記憶部214に保存されたデータを第1の記憶部214から削除する。
【0027】
データ制御部202は、送信されたジョブに対応する処理を実行する。より具体的には、データ制御部202は、送信されたジョブに基づいて、第1の記憶部214及び第2の記憶部216の少なくともいずれかに記憶されているデータを読み出して、送信部210を介して、ジョブの送信元に対してデータを送信する。さらに、データ制御部202は、第1の記憶部214に記憶されている情報テーブルを管理する。
【0028】
電源制御部204は、所定の節電モード移行条件を判定し、電源供給部36を制御して節電モードを移行させる。節電モードの移行条件は、後で詳述する。
【0029】
比較部206は、データ制御部202が第2の記憶部216に記憶されているデータを第1の記憶部214に保存する際に、データ容量の比較処理を行う。より具体的には、比較部206は、第2の記憶部216に記憶されているデータであってデータ制御部202により第1の記憶部214に保存されるデータの容量と、第1の記憶部216の空き容量とを比較する。
【0030】
判定部208は、制御部200が端末装置4等からのジョブ要求を受け付けた場合、当該ジョブ要求を判定する判定処理を行う。より具体的には、判定部208は、後述する第2の節電モードにおいて端末装置4等からデータを要求された場合、第2の記憶部216に対するデータアクセスが発生するか否かを判定する。また、判定部208は、第2の記憶部216に対するデータアクセスが発生すると判定した場合、情報テーブルを参照することにより、要求されたデータが第1の記憶部214に記憶されているか否かをさらに判定する。
【0031】
次に、画像形成装置10の節電モードについて説明する。
図4は、画像形成装置10の節電モードと各構成要素に対する電源供給との関係を示す図である。
図4に示すように、本発明の実施形態に係る画像形成装置10は、通常モード、第1の節電モード、第2の節電モード及び第3の節電モードのいずれかのモードで動作する。これらのモードでは、図2に示されるRAM16、HDD18等の各構成要素に対して電源が供給されるか停止されるかが規定されている。
【0032】
通常モードでは、全ての構成要素に対して電源が供給されている。
第1の節電モードでは、読取モジュール28、操作パネルモジュール32、及びこれらのモジュールに関する一部のモジュール制御部22への電源供給が停止されている。したがって、第1の節電モードでは、RAM16及びHDD18の両方に、電源が供給されている。
【0033】
第2の節電モードでは、第1の節電モードにおいて電源供給が停止される構成要素に加えて、HDD18、印刷モジュール30、及びモジュール制御部22への電源供給がさらに停止される。したがって、第2の節電モードでは、RAM16に対しては電源が供給されている一方、HDD18に対しては電源が供給されていない。このため、第2の節電モードにおいては、制御プログラム2は、HDD18に対するデータ格納処理及びHDD18からのデータ読出し処理を行わない。
【0034】
第3の節電モードでは、読取モジュール28、印刷モジュール30、操作パネルモジュール32、及びモジュール制御部22への電源供給が停止されている。即ち、第3の節電モードは、第2の節電モードの状態においてHDD18に対してさらに電源を供給するものである。
【0035】
また、いずれの節電モードにおいても、RAM16、インタフェース制御部24及び通信インタフェース34に対して、電源が供給されている。このため、いずれの節電モードにおいても、制御プログラム2は、外部のコンピュータ等とデータの送受信をすることができ、RAM16に対してデータを格納したりRAM16からデータを読み出したりすることができる。
【0036】
画像形成装置10は、通常モードにおいて、例えば操作パネルモジュール32に対する操作及び印刷ジョブに対応する処理が終了してから所定期間が経過する等、所定の期間が経過した場合、第1の節電モードに移行する。画像形成装置10は、第1の節電モードにおいて、同様に所定の期間が経過した場合、第2の節電モードに移行する。画像形成装置10は、第1の節電モードにおいて、操作パネルモジュール32を用いた操作又は通信インタフェース34を介した印刷ジョブ受信などの復帰要求を受け付けた場合、通常モードに移行する。
【0037】
また、画像形成装置10は、第2の節電モードにおいて、所定の条件が満たされた場合、第3の節電モード又は通常モードに移行する。さらに、画像形成装置10は、第3の節電モードにおいて、所定の条件が満たされた場合、第2の節電モード又は通常モードに移行する。なお、第2の節電モードから他のモードへの移行条件、及び第3の節電モードから他のモードへの移行条件については後述する。
【0038】
次に、制御プログラム2のデータ制御部202が管理する情報テーブルについて説明する。
図5は、第1の記憶部214に記憶されている情報テーブルを例示する図である。
図5に例示するように、情報テーブルには、複数のデータが含まれ、当該複数のデータのそれぞれには、ジョブ種別、ファイル識別子(ID)、ユーザ識別子(ID)、日付、サイズ、格納先情報及び識別子が含まれる。ここで、ジョブ種別は、保存されているデータに関するジョブの種別を示し、例えば、ジョブ履歴、スキャナ等による読取処理のジョブであるスキャン親展ジョブ、イメージログ等である。
【0039】
ファイルIDは、当該データを一意に識別する例えば英数字からなる識別子である。ユーザIDは、当該データを格納するジョブに関連づけられたユーザを一意に識別する識別子である。日付は、当該データが格納された日を示す。サイズは、当該データのデータサイズ(例えば、単位はKB)を示す。格納先情報は、第1の記憶部214を実現するRAM16のアドレス情報を示す。識別子は、予め設定されている複数の識別情報のうち、当該データに付与された識別情報である。
【0040】
データ制御部202は、ジョブ要求を受け付けると、情報テーブルを参照して、要求に対応するデータが第1の記憶部214に存在するか否かを確認する。なお、データ制御部202は、ジョブ種別、ユーザID、識別子及びその他の項目の少なくともいずれかの項目に基づいてデータを検索し、ジョブ要求を判定する。
【0041】
次に、本発明の実施形態に係る画像形成装置10における節電モードの移行動作、及びジョブ要求に対する応答処理について説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る画像形成装置10における第1の節電モード及び第2の節電モードへの移行処理(S10)のフローチャートを示す図である。
図6に示すように、画像形成装置10が通常モードで動作している際に、ステップ100(S100)において、制御プログラム2(図3)の電源制御部204は、第1の節電モードへの移行条件が成立するか否かを判定する。電源制御部204は、例えば通常モードにおいて最後の操作がなされてから、所定の期間が経過したか否かを判定する。制御プログラム2は、当該条件が成立した場合にはS102の処理に進み、そうでない場合にはS100の処理に戻る。
【0042】
ステップ102(S102)において、電源制御部204は、通常モードから第1の節電モードに移行させる。電源制御部204は、電源供給部36(図2)を制御して、読取モジュール28、操作パネルモジュール32、及びこれらのモジュールに関する一部のモジュール制御部22への電源供給を停止する。
【0043】
ステップ104(S104)において、画像形成装置10がジョブ要求を受け付けた場合、制御プログラム2の判定部208は、当該ジョブ要求が通常モードへの復帰要求であるか否かを判定する。制御プログラム2は、当該ジョブ要求が通常モードへの復帰要求である場合にはS106の処理に進み、そうでない場合にはS108の処理に進む。
【0044】
ステップ106(S106)において、電源制御部204は、第1の節電モードから通常モードに移行させる。電源制御部204は、電源供給部36を制御して、全ての構成要素に対して電源を供給する。その後、制御プログラム2は、S100の処理に戻る。
【0045】
ステップ108(S108)において、電源制御部204は、第2の節電モードへの移行条件が成立するか否かを判定する。電源制御部204は、例えば所定の期間が経過したか否かを判定する。制御プログラム2は、当該条件が成立した場合にはS110の処理に進み、そうでない場合にはS104の処理に戻る。
【0046】
ステップ110(S110)において、比較部206及び判定部208は、データ退避条件が成立するか否かを判定する。より具体的には、判定部208は、ジョブ種別が保存対象のジョブ種別(例えばジョブ履歴)であるデータが、第2の記憶部216に記憶されているか否かを判定する。なお、保存対象データは、ジョブ種別ではなく、他の任意の項目により判定されてもよい。また、保存対象データは、ジョブ種別が、予め設定された複数のジョブ種別のうちのいずれかに該当するものであってもよい。
【0047】
比較部206は、判定部208により保存対象と判定されたデータの容量と、第1の記憶部214の空き容量とを比較し、当該空き容量が保存対象データの容量より大きいか否かを判定する。制御プログラム2は、データ退避条件が成立した場合(即ち、当該空き容量が保存対象データの容量より大きい場合)にはS112の処理に進み、そうでない場合にはS114の処理に進む。
【0048】
ステップ112(S112)において、データ制御部202は、フラグをチェックし(例えば、フラグを「1」にする)、第2の記憶部216に記憶されている該当データを第1の記憶部214に保存する。ここで、フラグは、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部が第1の記憶部214に記憶されている旨を示す。
【0049】
ステップ114(S114)において、電源制御部204は、第1の節電モードから第2の節電モードに移行させる。電源制御部204は、電源供給部36を制御して、HDD18、印刷モジュール30、及びモジュール制御部22への電源供給をさらに停止する。
このようにして、制御プログラム2は、画像形成装置10において、第2の記憶部216にデータを記憶し、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部を第1の記憶部214に保存するか否かを制御する。
【0050】
図7は、ジョブ要求に対する応答処理(S20)のフローチャートを示す図である。なお、図7に示される各処理のうち、図6に示される処理と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。
図7に示すように、画像形成装置10が第2の節電モードで動作している際に、ステップ200(S200)において、制御プログラム2の判定部208は、ジョブ要求を受け付けたか否か、即ちジョブ要求による復帰要求があったか否かを判定する。制御プログラム2は、ジョブ要求を受け付けた場合にはS202の処理に進み、そうでない場合にはS200の処理に戻る。
【0051】
ステップ202(S202)において、判定部208は、受け付けたジョブ要求に基づいて、第2の記憶部216(HDD18)に対するデータアクセスが発生するか否かを判定する。制御プログラム2は、第2の記憶部216に対するデータアクセスが発生する場合にはS204の処理に進み、そうでない場合にはS220の処理に進む。
【0052】
ステップ204(S204)において、判定部208は、フラグがセットされているか否かを判定する。即ち、判定部208は、第2の記憶部216に記憶されているデータの少なくとも一部が第1の記憶部214(RAM16)に記憶されているか否かを確認する。制御プログラム2は、フラグがセットされている場合にはS206の処理に進み、そうでない場合にはS210の処理に進む。
【0053】
ステップ206(S206)において、判定部208は、第1の記憶部214に記憶されている情報テーブル(図5)を参照し、当該ジョブ要求に対応するデータが、第1の記憶部214に記憶されているか否かを判定する。当該データが、第1の記憶部214に記憶されている場合、制御プログラム2のデータ制御部200が、第1の記憶部214から当該データを読み出して、送信部210に対して出力する。このようにして、制御プログラム2は、第2の節電モードにおいて、ジョブ要求に対して応答する。その後、制御プログラム2は、S200の処理に戻る。
【0054】
一方、当該データが、第1の記憶部214に記憶されていない場合、制御プログラム2は、S208の処理に進む。
ステップ208(S208)において、データ制御部202は、フラグをクリアし(例えば、フラグを「0」にする)、第2の記憶部216から第1の記憶部214に保存されたデータを、第1の記憶部214から削除する。
ステップ210(S210)において、電源制御部204は、第2の節電モードから第3の節電モードに移行させる。電源制御部204は、電源供給部36を制御して、HDD18に対して電源を供給する。このため、データ制御部202は、HDD18により実現される第2の記憶部216に記憶されているデータの読み書きをすることができるようになる。したがって、データ制御部202は、第2の記憶部216から当該ジョブ要求に対応するデータを読み出して、送信部210に対して出力する。このようにして、制御プログラム2は、第2の節電モードから第3の節電モードに移行して、ジョブ要求に対して応答する。
【0055】
画像形成装置10が第3の節電モードで動作している際に、S104の処理で、復帰要求があるか否かが判定され、S108の処理で、第2の節電モードへの移行条件が成立するか否かが判定される。例えば所定の期間が経過したか否かが判定される。当該条件が成立した場合、S110〜S114の処理で、第2の記憶部216に記憶されているデータが第1の記憶部214に保存される。
【0056】
画像形成装置10が通常モードに移行する場合、ステップ220(S220)において、判定部208は、フラグがセットされているか否かを判定する。制御プログラム2は、フラグがセットされている場合にはS222の処理に進み、そうでない場合にはS224の処理に進む。
【0057】
ステップ222(S222)において、データ制御部202は、フラグをクリアし(例えば、フラグを「0」にする)、第2の記憶部216から第1の記憶部214に保存されたデータを、第1の記憶部214から削除する。
ステップ224(S224)において、電源制御部204は、第2の節電モード又は第3の節電モードから通常モードに移行させる。電源制御部204は、電源供給部36を制御して、全ての構成要素に対して電源を供給する。
【0058】
このようにして、制御プログラム2は、第2の節電モードにおいて、外部からのデータ要求に応えることができる。第2の節電モードにおいては、HDD18への電源供給が停止されているので、データ要求に対する応答は、画像形成装置10が低消費電力を維持した状態で実行されることができる。
【0059】
図8は、本発明のデータ制御方法を実現する制御プログラム2の変形例を示す図である。なお、図8に示される各構成のうち、図3に示される構成と実質的に同一のものには同一の符号が付されている。また、図3に示される送信部210及び受信部212は、図8において省略されている。
図8(A)に示すように、制御プログラム2の変形例は、ファイルシステム218をさらに有する。ファイルシステム218は、HDD18により実現される第2の記憶部216に記憶されているデータをファイル及びフォルダ(ディレクトリともいう)などにより管理する。制御部200は、ファイルシステム218に対してファイル等の参照、更新、削除等を行うことにより、第2の記憶部216に記憶されているデータを操作する。
【0060】
図8(B)に示すように、制御プログラム2の変形例は、ファイルシステム218に、データ制御部202、電源制御部204、比較部206及び判定部208を含んでもよい。この場合、ファイルシステム218が、制御部200からの要求を判定し、電源制御を行ってから第2の記憶部216にアクセスするか、又は電源制御を行うことなく第1の記憶部214にアクセスするかを決定する。これにより、制御部200は、アクセスすべきデータが、第1の記憶部214に記憶されているか又は第2の記憶部216に記憶されているかを意識することなく、当該データにアクセスすることができる。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置と、第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御する制御手段とを有する。
【0062】
これにより、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、ジョブに応じてHDDをオンにする必要がないので、低消費電力を維持した上で、外部からのデータ要求に応えることができる。さらに、本発明の実施形態に係る画像形成装置は、HDDの電源オンオフの回数を低減するので、HDDの寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置10を含む画像形成システム1を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置10のハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明のデータ制御方法を実現する制御プログラム2の機能構成を示す図である。
【図4】画像形成装置10の節電モードと各構成要素に対する電源供給との関係を示す図である。
【図5】第1の記憶部214に記憶されている情報テーブルを例示する図である。
【図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置10における第1の節電モード及び第2の節電モードへの移行処理(S10)のフローチャートを示す図である。
【図7】ジョブ要求に対する応答処理(S20)のフローチャートを示す図である。
【図8】本発明のデータ制御方法を実現する制御プログラム2の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
1 画像形成システム
2 制御プログラム
3 ネットワーク
4 端末装置
10 画像形成装置
12 CPU
14 ROM
16 RAM
18 HDD
20 制御装置
22 モジュール制御部
24 インタフェース制御部
26 バス
28 読取モジュール
30 印刷モジュール
32 操作パネルモジュール
34 通信インタフェース
36 電源供給部
200 制御部
202 データ制御部
204 電源制御部
206 比較部
208 判定部
210 送信部
212 受信部
214 第1の記憶部
216 第2の記憶部
218 ファイルシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、
データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、
データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置と、
第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御するデータ制御手段と
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記第2の記憶装置に記憶されているデータであって前記第1の記憶装置に保存されるデータの容量と、前記第1の記憶装置の空き容量とを比較する比較手段をさらに有する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記データ制御手段は、前記比較手段による比較結果に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータを前記第1の記憶装置に保存する
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
第2の節電モードにおいてデータが要求された場合、前記第2の記憶装置に対するデータアクセスが発生するか否かを判定する判定手段をさらに有する
請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第2の記憶装置に対するデータアクセスが発生すると判定した場合、要求されたデータが前記第1の記憶装置に記憶されているか否かをさらに判定する
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段が、要求されたデータが前記第1の記憶装置に記憶されていないと判定した場合、前記第2の記憶装置へ電源を供給するように制御する電源制御手段をさらに有する
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記データ制御手段は、前記電源制御手段により、前記第2の記憶装置へ電源を供給するように制御された場合、前記第2の記憶装置から前記第1の記憶装置に保存されたデータを、前記第1の記憶装置から削除する
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の記憶装置は、不揮発性のメモリである
請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の記憶装置には、印刷データを記憶するバッファが設けられ、
前記データ制御手段は、前記バッファに、前記第2の記憶装置に記憶されているデータを保存する
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2の記憶装置は、ハードディスクドライブである
請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置とを有する画像形成装置において、
前記第2の記憶装置にデータを記憶し、
第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御する
画像形成装置のデータ制御方法。
【請求項12】
第1の節電モードと、より低消費電力の第2の節電モードとを含む複数の節電モードのいずれかを取る画像形成装置であって、コンピュータと、データを読み書き可能に記憶する第1の記憶装置と、データを読み書き可能に記憶し、第2の節電モードにおいて電源供給を停止される第2の記憶装置とを有する画像形成装置において、
前記第2の記憶装置にデータを記憶する記憶ステップと、
第1の節電モードから第2の節電モードへの移行に基づいて、前記第2の記憶装置に記憶されているデータの少なくとも一部を前記第1の記憶装置に保存するか否かを制御する制御ステップと
を前記画像形成装置のコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−307745(P2007−307745A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−137342(P2006−137342)
【出願日】平成18年5月17日(2006.5.17)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】