説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法

【課題】通常モードの動作状態において、ユーザの操作を必要としないで、画像形成動作の終了後にできるだけ早く節電モードへ移行することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】ウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブのうち少なくとも1つを受信したときに通常モードへ移行する節電解除部と、ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間を示すウエイクアップ経過時間を計測する計時部と、画像形成動作が終了した後に装置状態に基づいて節電モードへ移行することが可能か否かを判断する装置判断部と、通常モードから節電モードへ移行する節電移行部とを備え、節電移行部は、計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は装置判断部によって節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに節電モードへ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力化を企図した節電モードを有する、プリンタのような画像形成装置、及び当該画像形成装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置では、電力消費を低減するために、通常モードの動作状態において画像形成動作を実行しない状態が一定時間経過したときに、定着ヒータ等への通電を遮断する節電モードへ移行するように制御している。また、例えば、以下の特許文献1に記載されている画像形成装置では、画像形成装置に接続されているコンピュータのディスプレイ画面に節電ボタンを表示し、この節電ボタンをユーザが操作することによって、画像形成装置の動作状態を通常モードから節電モードへ移行させたり、逆に節電モードから通常モードへ移行させたりしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−127314号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した一定時間経過したときに節電モードへ移行する従来の画像形成装置の場合、例えば個人ユーザや小規模オフィスのように、コンピュータ及び画像形成装置の電源を投入し、その後、コンピュータは頻繁に使用しても画像形成装置を使用することが少ないユーザには節電効果の面で適していない。こういったユーザにとっては、一定時間経過したときに節電モードへ移行するのではなく、画像形成動作の終了後、できるだけ早く節電モードへ移行する方が、より高い節電効果を得ることができる。また、上記した特許文献1に記載されている画像形成装置では、一定時間経過するのを待つのではなく、必要に応じてコンピュータから節電ボタンを操作することによって、節電モードや通常モードへ移行することができるが、ユーザは、移行の都度、節電ボタンを操作しなければならず、作業上の負荷が生じ操作性の面で問題がある。
【0005】
本発明の目的は、通常モードの動作状態において、ユーザの操作を必要としないで、画像形成動作の終了後にできるだけ早く節電モードへ移行することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る画像形成装置は、通常モードと当該通常モードより少ない電力を消費する節電モードとで動作する画像形成装置であって、前記節電モードから前記通常モードへの移行を指示するウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブのうち少なくとも1つを受信したときに前記節電モードを解除して前記通常モードへ移行する節電解除部と、前記ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間を示すウエイクアップ経過時間を計測する計時部と、前記画像形成装置における画像形成動作が終了した後に、前記画像形成装置の装置状態に基づいて前記節電モードへ移行することが可能か否かを判断する装置判断部と、前記通常モードから前記節電モードへ移行する節電移行部とを備え、前記節電移行部は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る画像形成装置によれば、節電解除部は、ウエイクアップ命令や画像形成ジョブを受信したときに節電モードを解除し、計時部は、ウエイクアップ命令の取得に基づいてウエイクアップ経過時間を計測し、装置判断部は、画像形成動作が終了した後の装置状態に基づいて節電モードへ移行することが可能か否かを判断し、節電移行部は、計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は装置判断部によって節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに、通常モードから節電モードへ移行する。
通常モードの動作状態において、画像形成動作が終了した後の装置状態に基づいて節電モードへ移行することが可能か否かを判断し、可能であるならば節電モードへ移行することから、画像形成動作が終了した後、装置状態が節電モードへ移行可能になりさえすれば直ちに節電モードへ移行することができる。これにより、通常モードの動作状態において、ユーザの操作を必要としないで、画像形成動作の終了後にできるだけ早く節電モードへ移行することができる。また、計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときに節電モードへ移行することから、ウエイクアップ命令を取得して実際に画像形成動作を行わない場合でも、効率的に節電モードへ移行することができる。
【0008】
上記した本発明に係る画像形成装置では、前記節電移行部は、前記ウエイクアップ命令を受信しなかった場合、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行し、前記画像形成ジョブを受信しなかった場合、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときに前記通常モードから前記節電モードへ移行し、前記ウエイクアップ命令及び前記画像形成ジョブの両方を受信した場合、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときと、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときとのうち、いずれか時間的に後の時点で前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする。
【0009】
上記した本発明に係る画像形成装置では、前記計時部は、前記ウエイクアップ経過時間を計測中にウエイクアップ命令を取得したときに、当該計測中に取得したウエイクアップ命令に基づいて前記ウエイクアップ経過時間を計測し直すことを特徴とする。
【0010】
上記した本発明に係る画像形成装置では、前記画像形成装置はホスト装置に接続されており、前記ホスト装置は、前記ウエイクアップ命令、及びアプリケーションプログラムから出力されたデータに基づいて生成した前記画像形成ジョブを前記画像形成装置に送信するプリンタドライバを有し、前記プリンタドライバは、ユーザが画像形成条件を設定するための設定画面を表示して当該画像形成条件の設定を受け付ける設定部を備え、前記ウエイクアップ命令は、前記アプリケーションプログラムが起動されるときと、前記設定部によって前記設定画面が表示されるときとのうち、いずれかの時点で前記プリンタドライバから前記画像形成装置に送信されることを特徴とする。
【0011】
上記した本発明に係る画像形成装置では、前記計時部は、前記受信した画像形成ジョブに次の画像形成ジョブが後続することを示す後続情報を含むときに、前記後続情報を含む画像形成ジョブの受信に基づいた経過時間を示すジョブ経過時間を計測し、前記節電移行部は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときと、前記計測中のジョブ経過時間が所定の時間に達したときと、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときとのうち、時間的に最も後の時点で前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る画像形成装置の制御方法は、前記節電モードから前記通常モードへの移行を指示するウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブのうち少なくとも1つを受信したときに前記節電モードを解除して前記通常モードへ移行する節電解除工程と、前記ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間を示すウエイクアップ経過時間を計測する計時工程と、前記画像形成装置における画像形成動作が終了した後に、前記画像形成装置の装置状態に基づいて前記節電モードへ移行することが可能か否かを判断する装置判断工程と、前記通常モードから前記節電モードへ移行する節電移行工程とを備え、前記節電移行工程は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
<画像形成装置の構成>
最初に、ホスト装置に接続される画像形成装置の構成について説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図である。図2は、図1の画像形成装置及びホスト装置の電気的構成を示すブロック図である。画像形成装置1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてフルカラー画像を形成したり、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成したりする。また、画像形成装置1では、図2に示すように、コンピュータなどのホスト装置200から画像形成ジョブとなる画像信号がメインコントローラ11に与えられると、このメインコントローラ11からの指令に応じてメカコントローラ13がエンジン部EGの装置各部の動作を制御して所定の画像形成動作を実行し、シートSに対して画像信号により規定される画像を形成する。
【0015】
エンジン部EGでは、図1に示すように、感光体22が矢印方向D1に回転自在に設けられている。また、感光体22の周りに回転方向D1に沿って、帯電ユニット23、現像ユニット4及びクリーニング部25がそれぞれ配置されている。帯電ユニット23は、所定の帯電バイアスを印加されており、感光体22の外周面を所定の表面電位に均一に帯電させる。クリーニング部25は、一次転写後に感光体22の表面に残留付着したトナーを除去し、内部に設けられた廃トナータンクに回収する。これらの感光体22、帯電ユニット23及びクリーニング部25は、一体的に感光体カートリッジ2を構成しており、この感光体カートリッジ2は、一体として画像形成装置1の本体に対し着脱自在となっている。
【0016】
また、露光ユニット6は、帯電ユニット23によって帯電された感光体22の外周面に向けて光ビームLを照射する。この露光ユニット6は、ホスト装置200から与えられた画像信号に応じて光ビームLを感光体22上に露光し、画像信号に対応する静電潜像を形成する。
【0017】
こうして形成された静電潜像は、現像ユニット4によってトナー現像される。現像ユニット4は、図1の紙面に直交する回転軸を中心に回転自在に設けられた支持フレーム40に対して着脱自在のトナーカートリッジとして構成され、それぞれの色のトナーを内蔵するイエロー用のトナーカートリッジ4Y、シアン用のトナーカートリッジ4C、マゼンタ用のトナーカートリッジ4M、ブラック用のトナーカートリッジ4K、及びこれらを一体的に回転させるためのロータリー駆動部を備えている。また、現像ユニット4は、図2に示すメカコントローラ13により制御されている。メカコントローラ13からの制御指令に基づいて、現像ユニット4が回転駆動されるとともに、これらのトナーカートリッジ4Y,4C,4M及び4Kが選択的に感光体22と当接し、所定のギャップを隔てて対向する所定の現像位置に位置決めされると、当該トナーカートリッジに設けられて選択された色のトナーを担持する現像ローラ44から、感光体22の表面にトナーを付与する。これによって、感光体22上の静電潜像が選択トナー色で顕像化される。
【0018】
上記のようにして現像ユニット4で現像されたトナー像は、一次転写領域TR1で転写ユニット7の中間転写ベルト71上に一次転写される。転写ユニット7は、複数のローラ72〜75に掛け渡された中間転写ベルト71と、ローラ73を回転駆動することで中間転写ベルト71を所定の回転方向D2に回転させる駆動部とを備えている。カラー画像をシートSに転写する場合には、感光体22上に形成される各色のトナー像を中間転写ベルト71上に重ね合わせてカラー画像を形成するとともに、カセット8から1枚ずつ取り出され搬送経路Fに沿って二次転写領域TR2まで搬送されてくるシートS上に、カラー画像を二次転写する。
【0019】
このとき、中間転写ベルト71上の画像をシートS上の所定位置に正しく転写するため、二次転写領域TR2にシートSを送り込むタイミングが管理されている。具体的には、搬送経路F上において二次転写領域TR2の手前側にゲートローラ81が設けられており、中間転写ベルト71の周回移動のタイミングに合わせてゲートローラ81が回転することにより、シートSが所定のタイミングで二次転写領域TR2に送り込まれる。
【0020】
こうしてカラー画像が形成されたシートSは、定着ユニット9、排出前ローラ82及び排出ローラ83を経由して画像形成装置1の本体の上面部に設けられた排出トレイ部89に搬送される。
【0021】
ここで、定着ユニット9には、互いに圧接しつつ回転する定着ローラ91と加圧ローラ92とが配設され、駆動部により定着ローラ91を回転駆動することで加圧ローラ92が従動回転する。定着ローラ91及び加圧ローラ92の内部には図2に示す定着ヒータ9Aが挿入されており、定着ユニット9は、トナー像によってカラー画像が形成されたシートSを加熱するとともに加圧し、トナー像をシートSに融着させることで定着させる。
【0022】
また、シートSの両面に画像を形成する場合には、上記のようにして片面に画像を形成されたシートSの後端部が排出前ローラ82を経由して反転位置PRまで搬送されてきたタイミングで排出ローラ83の回転方向を反転し、これによりシートSは反転搬送経路FRに沿って矢印D3方向に搬送される。そして、ゲートローラ81の手前で再び搬送経路Fに乗せられるが、このとき、二次転写領域TR2において中間転写ベルト71と当接し画像を転写されるシートSの面は、先に画像が転写された面とは反対の面である。このようにして、シートSの両面に画像を形成することができる。
【0023】
<画像形成装置及びホスト装置の電気的構成>
次に、画像形成装置1及びホスト装置200の電気的構成について説明する。
図2に示すように、メインコントローラ11は、CPU111、インタフェース112、USBインタフェース113、ROM114、RAM115、メモリ116及び計時部としてのタイマ117を備えている。また、USBメモリ120がUSBインタフェース113を介して挿脱可能となっており、メインコントローラ11には、表示パネル121Pを設けた操作ユニット121が接続されている。
【0024】
メインコントローラ11に備えたインタフェース112は、ホスト装置200から、節電モードから通常モードへの移行を指示するウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブなどを受信する。ROM114は、CPU111が実行する演算プログラム、メカコントローラ13を制御するための制御データなどを記憶する。RAM115は、CPU111における演算結果、インタフェース112やUSBインタフェース113を介して受信した画像形成ジョブに関するデータを一時的に記憶する。メモリ116は、操作ユニット121からユーザによって入力された設定情報などを記憶する。タイマ117は、ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間となるウエイクアップ経過時間117W及び画像形成ジョブの受信に基づいた経過時間となるジョブ経過時間117Jなどを計測する。
【0025】
ここで、メインコントローラ11に設けられたメモリ116には、ユーザが入力した設定内容などを保存するため、非通電状態においても情報が保持される不揮発性メモリを使用する。このような素子として、例えばフラッシュメモリ、強誘電体メモリなどを使用することができる。
【0026】
また、メカコントローラ13は、CPU131、ROM132、RAM133、モータ駆動回路134及びヒータ駆動回路135を備えている。ROM132は、CPU131が実行する演算プログラム、及びエンジン部EGを制御するための制御データなどを記憶する。RAM133は、CPU131による演算結果などを一時的に記憶する。モータ駆動回路134は、CPU131から制御信号を受信して感光体カートリッジ2、現像ユニット4、露光ユニット6、転写ユニット7、定着ユニット9及び冷却ファン10などのユニットに対して行う各駆動部の駆動を制御する。ヒータ駆動回路135は、CPU131から制御信号を受信して、定着ユニット9に備えられた定着ヒータ9Aの温度を制御する。また、エンジン部EGには、画像濃度測定用、定着部材の温湿度測定用、消耗品監視用及びカバー開閉監視用などの目的のために種々のセンサで構成される各種センサ19が備えられている。
【0027】
次に、ホスト装置200は、アプリケーション210、オペレーティングシステム211及びプリンタドライバ212を有している。アプリケーション210は、例えば、ワープロソフト、表計算ソフトや業務ソフトなどのようなソフトウェアである。オペレーティングシステム211は、ホスト装置200全体を制御する基本ソフトウェアであり、アプリケーション210及びプリンタドライバ212を利用できるようにする。プリンタドライバ212は、オペレーティングシステム211上で動作し、ウエイクアップ命令、及びアプリケーション210から出力されたデータに基づいて生成した画像形成ジョブなどを画像形成装置1へ送信する。また、プリンタドライバ212は、設定部212Sを有しており、設定部212Sは、印刷ページや印刷部数などの画像形成条件についての設定画面をCRTや液晶ディスプレイ等の表示ユニット221に表示し、ユーザから、キーボードやマウス等の操作ユニット220を介して画像形成条件の設定を受け付ける。
【0028】
<画像形成装置の給電経路>
次に、画像形成装置1の給電経路について説明する。
図3は、画像形成装置の給電経路を示すブロック図である。図3に示すように、画像形成装置1は電源部14を有し、電源部14は、交流電源電圧をそれぞれ5V、24V及び100Vの直流電圧に変換する直流電源141、直流電源142及び直流電源143を備えている。
【0029】
直流電源141(5V)の出力電圧は、メインコントローラ11に備えられたCPU111及びメカコントローラ13に備えられたCPU131などを始めとする制御回路に供給される。また、直流電源142(24V)の出力電圧は、エンジン部EGに備えられた感光体カートリッジ2、現像ユニット4、露光ユニット6、転写ユニット7、定着ユニット9及び冷却ファン10などのユニットの各駆動部を駆動させるモータ等ならびに各種センサ19などに供給される。また、直流電源143(100V)の出力電圧は、定着ユニット9に備えられた定着ヒータ9Aなどに供給される。
【0030】
図2にも示すように、画像形成装置1は、ホスト装置200のプリンタドライバ212から、メインコントローラ11に備えられたインタフェース112を介して画像形成ジョブを受信した後に画像形成動作を実行する。この画像形成動作を実行中であるか、又は準備時間を掛けずにすぐに実行できる状態が通常モードの動作状態である。一方、消費電力の低減を図るために、上記した所定の電源の供給を抑制する状態が節電モードの動作状態である。この節電モードの動作状態では、メインコントローラ11及びメカコントローラ13に常時5Vの出力電圧が供給されるため、節電モードの動作状態においても相互に通信が可能である。
【0031】
<通常モードへ移行して再び節電モードに戻る動作>
次に、節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る動作について説明する。
図4は、節電モードから通常モードに移行し、再び節電モードに戻る動作を示すフローチャートである。図5は、節電モードへの移行のチェック処理の詳細動作を示すフローチャートである。図4及び図5に示す各ステップにおける動作は、全てメインコントローラ11に備えられたCPU111の制御により実行される。
【0032】
先ず、図4に示すステップS510及びS511では、上記した節電モードの動作状態において、ホスト装置200のプリンタドライバ212から、ウエイクアップ命令又は画像形成ジョブを受信するまで待機する。
ステップS510において、ウエイクアップ命令を受信した場合は、ステップS512へ進み、メインコントローラ11に備えられたタイマ117によってウエイクアップ経過時間117Wの計測を開始し、ステップS513へ進む。
一方、ステップS511において、画像形成ジョブを受信した場合は、ステップS513へ進む。
【0033】
ステップS513では、節電モードの動作状態を解除するために、メカコントローラ13に備えられたCPU131へ通常モードへの移行を指示する信号を送信する。CPU131は、この信号を受信し、これまで遮断していた出力電圧を再び通電する制御を行う。これにより、画像形成装置1は、通常モードの動作状態へ移行する。
【0034】
ステップS514では、通常モードの動作状態において、節電モードへ移行することが可能であるか否かのチェック処理を行い、当該チェック処理の結果をメインコントローラ11に備えられたRAM115にセットする。なお、この節電モードへの移行のチェック処理の詳細は後述する。
【0035】
ステップS515では、ステップS514においてセットされた節電モードへの移行のチェック処理の結果を判定し、節電モードへ移行することが可能な場合は、次のステップS516へ進む。
他方、節電モードへ移行することが不可能な場合は、可能になるまでステップS514における節電モードへの移行のチェック処理を繰り返して待機する。
【0036】
ステップS516では、通常モードから節電モードへの移行処理を行う。このために、メカコントローラ13に備えられたCPU131へ、節電モードへの移行を指示する信号を送信する。CPU131は、この信号を受信し、定着ヒータ9A等に供給される100Vの出力電圧を遮断する制御を行う。これにより、画像形成装置1は、再び節電モードの動作状態に戻る。なお、ここで、定着ヒータ9A等に供給される100Vの出力電圧に加えて、各駆動部を駆動させるモータ等に供給される24Vの出力電圧を遮断しても良い。
【0037】
<節電モードへの移行のチェック処理の詳細>
次に、節電モードへの移行のチェック処理の詳細について説明する。
上記した図4のステップS514の節電モードへの移行のチェック処理へ進むと、図5に示すステップS520の処理を開始する。
【0038】
ステップS520では、節電モードの動作状態において、ホスト装置200のプリンタドライバ212からウエイクアップ命令を受信したか否かを判定する。
ウエイクアップ命令を受信した場合は、ステップS521へ進み、メインコントローラ11に備えられたタイマ117によってウエイクアップ経過時間117Wの計測を開始し、ステップS522へ進む。ここで、既にウエイクアップ経過時間117Wを計測中の場合は、この計測中のウエイクアップ経過時間117Wを一旦クリアして、最初からウエイクアップ経過時間117Wを計測し直す。
他方、ウエイクアップ命令を受信していない場合は、ステップS522へ進む。
【0039】
ステップS522では、タイマ117によってウエイクアップ経過時間117Wを計測中であるか否かを判定する。
ウエイクアップ経過時間117Wを計測中の場合は、次のステップS523へ進み、計測中のウエイクアップ経過時間117Wが、節電モードへ移行する条件となる移行時間twに達したか否かを判定する。移行時間twに達した場合は、次のステップS524へ進む。他方、移行時間twに達していない場合は、ステップS526へ進み、節電モードへの移行が「不可」である旨を、メインコントローラ11に備えられたRAM115にセットする。
一方、ステップS522においてウエイクアップ経過時間117Wを計測中でない場合、即ち、ウエイクアップ命令を一度も受信していない場合は、次のステップS524へ進む。
【0040】
ここで、上記の移行時間twは、ユーザによって画像形成装置1の操作ユニット121から設定された時間であり、メインコントローラ11に備えられたメモリ116に記憶されている。また、ユーザが移行時間twを設定していない場合は、メモリ116に初期値として記憶されている移行時間twが有効となる。
【0041】
ステップS524では、画像形成装置1の装置状態に基づいて、節電モードへ移行することが可能であるか否かを判定する。
節電モードへ移行することが可能な場合、ステップS525へ進み、節電モードへの移行が「可」である旨を、RAM115にセットする。
他方、節電モードへ移行することが不可能な場合、ステップS526へ進み、節電モードへの移行が「不可」である旨を、RAM115にセットする。
【0042】
ここで、画像形成装置1の装置状態に基づく判定は、モータ駆動回路134による駆動が停止しているか否かによって判断する。具体的には、感光体カートリッジ2、現像ユニット4、露光ユニット6、転写ユニット7、定着ユニット9及び冷却ファン10などの各駆動部の駆動が停止していない場合は、節電モードへ移行することができない。即ち、画像形成動作の準備中、動作中及び動作完了直後の場合は、節電モードへ移行することができない。
【0043】
以上の処理が終了したら、図4に示すフローチャートの処理に戻る。
【0044】
なお、本発明の節電解除部及び節電解除工程は、図4に示すステップS513に相当する。また、本発明の計時工程は、図4に示すステップS512及び図5に示すステップS521に相当する。また、本発明の装置判断部及び装置判断工程は、図5に示すステップS524に相当する。また、本発明の節電移行部及び節電移行工程は、図4に示すステップS516に相当する。
【0045】
<通常モードへ移行して再び節電モードに戻る例>
次に、節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る例についてタイムチャートを用いて説明する。
図6は、節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る例を示すタイムチャートであり、(a)は、ウエイクアップ命令を受信しない例を示すタイムチャートであり、(b)は、ウエイクアップ命令を受信する例を示すタイムチャートであり、(c)は、ウエイクアップ命令を受信した後に印刷ジョブを受信しなかった例を示すタイムチャートである。なお、同図(a)〜(c)において、横軸tは、タイムチャートに向かって左から右への時間の経過を示す。
【0046】
先ず、同図(a)に示すタイムチャートの場合、節電モードの動作状態において画像形成ジョブを受信することにより、節電モードを解除して通常モードへ移行する。その後、通常モードの動作状態において画像形成動作を開始して画像形成動作が終了し、装置状態が節電モードへ移行可能となった時点で再び節電モードに戻る。
【0047】
次に、同図(b)に示すタイムチャートの場合、節電モードの動作状態においてウエイクアップ命令を受信することにより、節電モードを解除して通常モードへ移行する。その後、通常モードの動作状態において画像形成ジョブを受信し、画像形成動作を開始する。その後、画像形成動作中に2回目のウエイクアップ命令を受信し、画像形成動作が終了し、ウエイクアップ経過時間が移行時間twに達した時点で、再び節電モードに戻る。ここでは、同図(a)とは異なり、装置状態が節電モードへ移行可能となった時点では節電モードに戻らない。
【0048】
同図(b)において、最初のウエイクアップ命令を受信したことによりウエイクアップ経過時間の計測を開始しているが、画像形成動作中に2回目のウエイクアップ命令を受信したために、これまで計測中のウエイクアップ経過時間を一旦クリアし、ウエイクアップ経過時間を計測し直している。図中の移行時間twは、画像形成動作中に受信したウエイクアップ命令に基づいたウエイクアップ経過時間を示す。
【0049】
次に、同図(c)に示すタイムチャートの場合、同図(b)と同様に、ウエイクアップ命令を受信することにより、節電モードを解除して通常モードへ移行するが、同図(b)と異なり画像形成ジョブを受信していない。つまり、通常モードに移行しているが画像形成動作は実行していない。この場合、ウエイクアップ命令を受信したことにより計測中のウエイクアップ経過時間が、移行時間twに達した時点で再び節電モードに戻ることになる。
【0050】
上述した本実施形態の画像形成装置1では、図6(a)のタイムチャートの例に示すように、通常モードの動作状態において、画像形成動作の終了後に、装置状態が節電モードへ移行することが可能であるか否かを判定し、節電モードへ移行可能となった時点で節電モードへ移行する。このため、従来の画像形成装置のように、画像形成動作を実行しない状態が一定時間経過するのを待って節電モードへ移行するのと比べて、より短時間に節電モードへ移行できることから、更に節電効果を高めることが可能になる。
【0051】
また、図6(b)のタイムチャートの例に示すように、ウエイクアップ命令の受信に基づいてウエイクアップ経過時間117Wの計測を開始し、2回目に計測中のウエイクアップ経過時間117Wが移行時間twに達した時点で節電モードへ移行する。ここで、ウエイクアップ経過時間が移行時間twに達する前に装置状態が節電モードへ移行可能となっても、節電モードへは移行しないで通常モードの動作状態を継続する。
これにより、画像形成動作が終了後、直ちに節電モードへ移行するのではなく、しばらくは通常モードの動作状態を継続したい場合、ユーザは、ホスト装置200からウエイクアップ命令を画像形成装置1へ送信することで対処できる。即ち、ウエイクアップ命令を送信することで、画像形成装置1がウエイクアップ命令を受信してから移行時間twが経過する迄、通常モードの動作状態を確保することができる。ユーザは、移行時間twが経過する迄の間に、例えば次の画像形成ジョブを準備等することが可能になる。
【0052】
また、図6(c)のタイムチャートの例に示すように、ウエイクアップ命令を受信して通常モードに移行したが実際には画像形成ジョブを受信しなかった場合、ウエイクアップ経過時間117Wが移行時間twに達した時点で節電モードへ移行する。これにより、ユーザがウエイクアップ命令を送信して通常モードに移行したが、実際にはユーザが画像形成ジョブを送信しなかった場合、通常モードの動作状態をそのまま継続するのではなく、ウエイクアップ命令を受信してから移行時間twが経過した後に、自動的に節電モードへ移行することが可能になる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して説明する。 なお、第2実施形態の画像形成装置の構成は、図1〜図3に示す第1実施形態の画像形成装置の構成と同様である。
【0054】
<通常モードへ移行して再び節電モードに戻る動作>
第2実施形態に係る、節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る動作について説明する。
図7は、第2実施形態に係る、節電モードから通常モードに移行し、再び節電モードに戻る動作を示すフローチャートである。図8は、第2実施形態に係る、節電モードへの移行のチェック処理の詳細動作を示すフローチャートである。図7及び図8に示す各ステップにおける動作は、全てメインコントローラ11に備えられたCPU111の制御により実行される。
【0055】
先ず、図7に示すステップS610及びS611では、節電モードの動作状態において、ホスト装置200のプリンタドライバ212から、ウエイクアップ命令又は画像形成ジョブを受信するまで待機する。
ステップS610において、ウエイクアップ命令を受信した場合は、ステップS612へ進み、メインコントローラ11に備えられたタイマ117によってウエイクアップ経過時間117Wの計測を開始し、ステップS615へ進む。
【0056】
一方、ステップS611において、画像形成ジョブを受信した場合は、ステップS613へ進み、受信した画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含むときに、ステップS614においてタイマ117によりジョブ経過時間117Jの計測を開始し、ステップS615へ進む。他方、画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含まないときは、ステップS615へ進む。
ここで、後続ジョブ「あり」指定は、受信した画像形成ジョブに次の画像形成ジョブが後続することを示す後続情報となる。
【0057】
ステップS615〜S618では、図4に示す第1実施形態に係るフローチャートのステップS513〜S516と同様に、節電モードの動作状態を解除、節電モードへの移行のチェック処理、節電モードへの移行のチェック処理の結果の判定、及び節電モードへの移行処理を行う。なお、ステップS616における節電モードへの移行のチェック処理の詳細は後述する。
【0058】
<節電モードへの移行のチェック処理の詳細>
次に、節電モードへの移行のチェック処理の詳細について説明する。
上記した図7のステップS616の節電モードへの移行のチェック処理へ進むと、図8に示すステップS620の処理を開始する。
【0059】
ステップS620及びS621では、図5に示す第1実施形態に係るフローチャートのステップS520及びS521と同様に、ウエイクアップ命令を受信したか否かを判定し、ウエイクアップ命令を受信した場合は、ウエイクアップ経過時間117Wの計測を開始する。
【0060】
ステップS622及びS623では、図5に示すステップS522及びS523と同様に、ウエイクアップ経過時間117Wを計測中であるか否かを判定し、ウエイクアップ経過時間117Wを計測中の場合は、ウエイクアップ経過時間117Wが移行時間twに達したか否かを判定する。移行時間twに達した場合は、次のステップS624へ進む。他方、移行時間twに達していない場合は、ステップS631へ進み、節電モードへの移行が「不可」である旨を、メインコントローラ11に備えられたRAM115にセットする。
一方、ステップS622においてウエイクアップ経過時間117Wを計測中でない場合は、ステップS624へ進む。
【0061】
ステップS624では、ホスト装置200のプリンタドライバ212から、画像形成ジョブを受信したか否かを判定する。
画像形成ジョブを受信した場合は、ステップS625へ進み、受信した画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含むときに、ステップS626においてタイマ117によりジョブ経過時間117Jの計測を開始し、ステップS627へ進む。ステップS626において計測を開始する際に、既にジョブ経過時間117Jを計測中の場合、この計測中のジョブ経過時間117Jを一旦クリアして、最初からジョブ経過時間117Jを計測し直す。
一方、ステップS624において画像形成ジョブを受信していない場合、及び画像形成ジョブを受信してステップS625において当該画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含まない場合は、ステップS627へ進む。
【0062】
ステップS627では、タイマ117によってジョブ経過時間117Jを計測中であるか否かを判定する。
ジョブ経過時間117Jを計測中の場合は、次のステップS628へ進み、計測中のジョブ経過時間117Jが、節電モードへ移行する条件となる移行時間tjに達したか否かを判定する。移行時間tjに達した場合は、次のステップS629へ進む。他方、移行時間tjに達していない場合は、ステップS631へ進み、節電モードへの移行が「不可」である旨を、メインコントローラ11に備えられたRAM115にセットする。
一方、ステップS627においてジョブ経過時間117Jを計測中でない場合、即ち、後続ジョブ「あり」指定を含む画像形成ジョブを一度も受信していない場合は、ステップS629へ進む。
【0063】
ここで、上記の移行時間tjは、ユーザによって画像形成装置1の操作ユニット121から設定された時間であり、メインコントローラ11に備えられたメモリ116に記憶されている。また、ユーザが移行時間tjを設定していない場合は、メモリ116に初期値として記憶されている移行時間tjが有効となる。
【0064】
ステップS629では、図5に示すステップS524と同様に画像形成装置1の装置状態に基づいて、節電モードへ移行することが可能であるか否かを判定する。
節電モードへ移行することが可能な場合、ステップS630へ進み、節電モードへの移行が「可」である旨を、RAM115にセットする。
他方、節電モードへ移行することが不可能な場合、ステップS631へ進み、節電モードへの移行が「不可」である旨を、RAM115にセットする。
【0065】
以上の処理が終了したら、図7に示すフローチャートの処理に戻る。
【0066】
<通常モードへ移行して再び節電モードに戻る例>
次に、節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る例についてタイムチャートを用いて説明する。
図9は、第2実施形態に係る、後続ジョブ「あり」指定の例を示すタイムチャートであり、(a)は、ウエイクアップ命令を受信しない例を示すタイムチャートであり、(b)は、ウエイクアップ命令を受信する例を示すタイムチャートである。なお、同図(a)及び(b)において、横軸tは、タイムチャートに向かって左から右への時間の経過を示す。
【0067】
先ず、同図(a)に示すタイムチャートの場合、節電モードの動作状態において画像形成ジョブを受信することにより、節電モードを解除して通常モードへ移行する。このとき、受信した画像形成ジョブは、後続ジョブ「あり」指定を含んでいる。その後、通常モードの動作状態において画像形成動作を開始して画像形成動作が終了する。その後、次の画像形成ジョブを受信して画像形成動作が終了し、装置状態が節電モードへ移行可能となった時点で再び節電モードに戻る。ここでは、最初に装置状態が節電モードへ移行可能となった時点では、節電モードに戻っていない。これは、画像形成ジョブを受信したことにより計測中のジョブ経過時間117Jが、移行時間tjに達していないためである。
【0068】
次に、同図(b)に示すタイムチャートの場合、節電モードの動作状態においてウエイクアップ命令を受信することにより、節電モードを解除して通常モードへ移行する。その後、通常モードの動作状態において画像形成ジョブを受信して画像形成動作を開始する。このとき、受信した画像形成ジョブは、後続ジョブ「あり」指定を含んでいる。その後、画像形成動作中に2回目のウエイクアップ命令を受信した後に最初の画像形成動作が終了する。その後、次の画像形成ジョブを受信して画像形成動作が終了し、装置状態が節電モードへ移行可能となった時点で再び節電モードに戻る。
【0069】
ここで、ジョブ経過時間117Jが移行時間tjに達したとき、最初に装置状態が節電モードへ移行可能となったとき、及び2回目のウエイクアップ経過時間が移行時間twに達したときのいずれの場合も節電モードに戻らずに通常モードの動作状態を継続し、2回目に装置状態が節電モードへ移行可能となったときに節電モードに戻っている。これは、ジョブ経過時間117Jが移行時間tjに達したときは装置状態が移行不可能であり、最初に装置状態が節電モードへ移行可能となったときは2回目のウエイクアップ経過時間の計測中であり、2回目のウエイクアップ経過時間が移行時間twに達したときは装置状態が移行不可能であることによる。即ち、2回目に装置状態が節電モードへ移行可能となったときが、他の時点に比して時間的に最も後であることから、節電モードに戻ることができる。
【0070】
上述した本実施形態の画像形成装置1では、図9(a)のタイムチャートの例に示すように、受信した画像形成ジョブに後続ジョブ「あり」指定を含む場合、装置状態が節電モードへ移行可能となっても、計測中のジョブ経過時間117Jが移行時間tjに達していない場合は、節電モードに移行しないで通常モードの動作状態を継続する。
これにより、画像形成動作の終了後、続けて次の画像形成ジョブの画像形成動作を行いたい場合、ユーザは、最初の画像形成ジョブを送信する際に、例えばホスト装置200の操作ユニット220から後続ジョブ「あり」指定を入力することで対処できる。即ち、画像形成装置1が後続ジョブ「あり」指定を含んだ画像形成ジョブを受信してから、移行時間tjが経過する迄、通常モードの動作状態を確保することができる。ユーザは、移行時間tjが経過する迄の間に、次の画像形成ジョブを準備して送信し、続けて画像形成動作を進めることが可能になる。
【0071】
また、図9(b)のタイムチャートの例に示すように、受信した画像形成ジョブに後続ジョブ「あり」指定を含む場合に、計測中のウエイクアップ経過時間117Wが移行時間twに達したとき、計測中のジョブ経過時間117Jが移行時間tjに達したとき、及び装置状態が節電モードへ移行可能となったときのうち、時間的に最も後の時点で前記通常モードから前記節電モードへ移行する。
これにより、ユーザは、ウエイクアップ命令と後続ジョブ「あり」指定とを状況に応じて指定することができる。例えば、ユーザが後続ジョブ「あり」指定をして画像形成動作を実行したが、このときの画像形成動作に掛かる時間が長過ぎるために、計測中のジョブ経過時間117Jが移行時間tjをオーバーしても画像形成動作が終了しないことがある。この場合、ユーザは、画像形成動作中にウエイクアップ命令を送信することによって、装置状態が節電モードへ移行可能となっても通常モードの動作状態を継続することが可能になる。
【0072】
(変形例1)上記した実施形態では、ホスト装置200から、ウエイクアップ命令及び画像形成ジョブなどを受信する例について説明したが、これらのウエイクアップ命令及び画像形成ジョブなどは、ホスト装置200からの取得に限定されない。例えば、画像形成装置1に接続されている操作ユニット121から、ユーザがウエイクアップ命令を指示する操作を実行することによって、ウエイクアップ命令を取得しても良い。また、画像形成装置1に挿入されたUSBメモリ120から、メインコントローラ11がUSBインタフェース113を介して、画像形成可能なデータを検知することによってウエイクアップ命令を取得しても良い。更に、USBメモリ120から、当該画像形成可能なデータの画像形成動作を行うための画像形成ジョブを取得しても良い。なお、画像形成可能なデータは、USBメモリ120に限定されず、例えばメモリカード等の他の記録媒体に記録されて画像形成装置1に接続されていても良い。
【0073】
(変形例2)上記した実施形態では、画像形成ジョブを受信し、その画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含むと判定されたときにジョブ経過時間117Jの計測を開始しているが、ジョブ経過時間117Jの計測を開始する時点はこれに限定されない。受信した画像形成ジョブが後続ジョブ「あり」指定を含むときに、例えば、当該画像形成ジョブの画像形成動作が終了等する時点でジョブ経過時間117Jの計測を開始しても良い。
これにより、ユーザは、画像形成動作の所要時間に関わらず、後続ジョブ「あり」指定の画像形成動作が終了等する時点から、移行時間tjが経過する迄の間、通常モードの動作状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】画像形成装置及びホスト装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】画像形成装置の給電経路を示すブロック図。
【図4】節電モードから通常モードに移行し、再び節電モードに戻る動作を示すフローチャート。
【図5】節電モードへの移行のチェック処理の詳細動作を示すフローチャート。
【図6】節電モードから通常モードへ移行し、再び節電モードに戻る例を示すタイムチャート、(a)は、ウエイクアップ命令を受信しない例を示すタイムチャート、(b)は、ウエイクアップ命令を受信する例を示すタイムチャート、(c)は、ウエイクアップ命令を受信した後に印刷ジョブを受信しなかった例を示すタイムチャート。
【図7】第2実施形態に係る、節電モードから通常モードに移行し、再び節電モードに戻る動作を示すフローチャート。
【図8】第2実施形態に係る、節電モードへの移行のチェック処理の詳細動作を示すフローチャート。
【図9】第2実施形態に係る、後続ジョブ「あり」指定の例を示すタイムチャート、(a)は、ウエイクアップ命令を受信しない例を示すタイムチャート、(b)は、ウエイクアップ命令を受信する例を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0075】
1…画像形成装置、11…メインコントローラ、13…メカコントローラ、14…電源部、111…CPU、112…インタフェース、113…USBインタフェース、114…ROM、115…RAM、116…メモリ、117…タイマ、117W…ウエイクアップ経過時間、117J…ジョブ経過時間、120…USBメモリ、121…操作ユニット、121P…表示パネル、131…CPU、132…ROM、133…RAM、134…モータ駆動回路、135…ヒータ駆動回路、200…ホスト装置、210…アプリケーション、211…オペレーティングシステム、212…プリンタドライバ、212S…設定部、220…操作ユニット、221…表示ユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モードと当該通常モードより少ない電力を消費する節電モードとで動作する画像形成装置であって、
前記節電モードから前記通常モードへの移行を指示するウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブのうち少なくとも1つを受信したときに前記節電モードを解除して前記通常モードへ移行する節電解除部と、
前記ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間を示すウエイクアップ経過時間を計測する計時部と、
前記画像形成装置における画像形成動作が終了した後に、前記画像形成装置の装置状態に基づいて前記節電モードへ移行することが可能か否かを判断する装置判断部と、
前記通常モードから前記節電モードへ移行する節電移行部とを備え、
前記節電移行部は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記節電移行部は、前記ウエイクアップ命令を受信しなかった場合、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行し、
前記画像形成ジョブを受信しなかった場合、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときに前記通常モードから前記節電モードへ移行し、
前記ウエイクアップ命令及び前記画像形成ジョブの両方を受信した場合、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときと、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときとのうち、いずれか時間的に後の時点で前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記計時部は、前記ウエイクアップ経過時間を計測中にウエイクアップ命令を取得したときに、当該計測中に取得したウエイクアップ命令に基づいて前記ウエイクアップ経過時間を計測し直すことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置はホスト装置に接続されており、前記ホスト装置は、前記ウエイクアップ命令、及びアプリケーションプログラムから出力されたデータに基づいて生成した前記画像形成ジョブを前記画像形成装置に送信するプリンタドライバを有し、
前記プリンタドライバは、ユーザが画像形成条件を設定するための設定画面を表示して当該画像形成条件の設定を受け付ける設定部を備え、
前記ウエイクアップ命令は、前記アプリケーションプログラムが起動されるときと、前記設定部によって前記設定画面が表示されるときとのうち、いずれかの時点で前記プリンタドライバから前記画像形成装置に送信されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記計時部は、前記受信した画像形成ジョブに次の画像形成ジョブが後続することを示す後続情報を含むときに、前記後続情報を含む画像形成ジョブの受信に基づいた経過時間を示すジョブ経過時間を計測し、
前記節電移行部は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したときと、前記計測中のジョブ経過時間が所定の時間に達したときと、前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときとのうち、時間的に最も後の時点で前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記節電モードから前記通常モードへの移行を指示するウエイクアップ命令、及び画像形成ジョブのうち少なくとも1つを受信したときに前記節電モードを解除して前記通常モードへ移行する節電解除工程と、
前記ウエイクアップ命令の受信に基づいた経過時間を示すウエイクアップ経過時間を計測する計時工程と、
前記画像形成装置における画像形成動作が終了した後に、前記画像形成装置の装置状態に基づいて前記節電モードへ移行することが可能か否かを判断する装置判断工程と、
前記通常モードから前記節電モードへ移行する節電移行工程とを備え、
前記節電移行工程は、前記計測中のウエイクアップ経過時間が所定の時間に達したとき、又は前記装置判断部によって前記節電モードへ移行することが可能であると判断されたときに前記通常モードから前記節電モードへ移行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−40127(P2008−40127A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214191(P2006−214191)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】