説明

画像形成装置、画面表示方法及びプログラム

【課題】画像形成装置を実際に使用するユーザに対して、TCOやCO排出量の削減効果を具体的に提示することで、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようにし、これらの削減を促す。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置は、スプールされた印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第1サムネイル画像を生成し、第2印刷条件への変更を受付け、スプールされた印刷ジョブから第2印刷条件に従って該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第2サムネイル画像を生成し、リソースコスト情報に基づいて第1印刷条件に従ってスプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第1リソースコスト情報を取得し、また第2印刷条件に従って第2リソースコスト情報を取得し、リソースコストの増減情報を算出し、少なくとも第1及び第2サムネイル画像、増減情報を表示部に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画面表示方法及びプログラムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ファックス、プリンタ、コピーおよびスキャナなどの各装置の機能を1つの筐体内に収納した画像形成装置(以下、MFP:Multi-Function Peripheralともいう)が知られるようになった。このMFPは、1つの筐体内に表示部、印刷部および撮像部などを設けると共に、ファックス、プリンタ、コピーおよびスキャナにそれぞれ対応する4種類のアプリケーションを設け、そのアプリケーションを切り替えることより、ファックス、プリンタ、コピーおよびスキャナとして動作させるものである。
【0003】
ここで、多くのMFPを抱えるユーザ(事業主や管理者等)は、TCO(Total Cost Ownership)を抑えるために用紙やトナーの使用量を削減したいと考えている。また、用紙やトナーの削減によるコスト削減のみならず、昨今地球温暖化の原因とされる二酸化炭素(CO)の排出量をも削減することが企業等には求められている。
【0004】
具体的に例えば、印刷においては、カラー印刷単価はモノクロ印刷単価より安価であり、利用者にとって印刷文書がモノクロで間に合うのであれば、モノクロで印刷することがコストの面では好ましい。また、「両面」、「集約」などで印刷を行えば、少なくとも消費される用紙を減らせるため、コストの削減につながることになる(なおトナーや用紙の使用量削減に伴いCOの排出量削減にもつながる)。
【0005】
これに関する技術として、特許文献1には、印刷装置のLCD(液晶ディスプレイ)上に印刷ジョブのリストを表示し、印刷ジョブがカラーであるのか、モノクロなのか、またもしくは2色印刷なのかを表示し、ユーザがLCD上で「モノクロ印刷」を選択することにより、ジョブデータをモノクロに変換して出力を行う技術が記載されている。一旦カラーで印刷を行おうとしていた場合でも印刷直前にあらためてモノクロ印刷に変更することができるので、利用者にコスト削減を促すことができる。
【0006】
なおこの特許文献1記載の技術を補足すると、印刷ジョブが一旦蓄積(スプール)される利用形態において有効な技術であるといえる。例えば、MFPで印刷データが既に蓄積されており、ユーザがLCD上を操作しその蓄積されている印刷データを印刷するという利用形態や、ユーザ端末からネットワークを介しMFPにカラー印刷命令を行うものの、印刷データは一旦MFPで蓄積され、ユーザがMFPの前に移動し、印刷実行を許可(ICカードをかざしたりパスワードを入力)することにより印刷が実行される利用形態である。
【0007】
逆に、ユーザがMFP前でカラー・コピー操作する利用形態や、ユーザ端末からMFPにカラー印刷命令を行い、この印刷命令をもってそのまま印刷が実行される利用形態では、LCD上で「モノクロ印刷」を選択する間もなくすぐにカラー印刷が実行されてしまうため、必ずしも有効ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1記載の技術においては、あくまでユーザがLCD上で「モノクロ印刷」を選択、操作することによりモノクロ印刷への変更がなされるものである。つまり言うならば、単にLCD上で印刷直前に「カラー印刷」から「モノクロ印刷」に変更できるようにしたに過ぎず、最終的に「モノクロ印刷」に変更するかどうかは、ユーザの判断次第、コスト削減の自助努力次第である。
【0009】
従って、TCOやCO排出量の削減効果をより向上させようとするならば、MFP上においてむしろ、ユーザが「モノクロ印刷」に変更してもよい、変更しようとなるようにその判断を促し、コスト削減の自助努力を促すような仕組みや工夫が望まれる。
【0010】
本発明は上記のような問題に鑑み提案されたものであり、その目的とするところは、画像形成装置を実際に使用するユーザに対して、TCOやCO排出量の削減効果を具体的に提示することで、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようにし、これらの削減を促すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、印刷データ及び印刷条件を含む印刷ジョブをスプールし、印刷実行命令を受けてスプールされた印刷ジョブを実行する画像形成装置であって、スプールされた印刷ジョブから、該印刷ジョブに含まれる第1印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第1サムネイル画像を生成する第1サムネイル画像生成手段と、前記第1印刷条件から前記第1印刷条件とは異なる第2印刷条件への変更を受付ける印刷条件変更受付手段と、前記スプールされた印刷ジョブから、前記第2印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第2サムネイル画像を生成する第2サムネイル画像生成手段と、前記印刷ジョブを実行したときに必要とされるリソースコスト情報を印刷条件毎に記憶した記憶手段と、前記記憶手段の前記リソースコスト情報に基づいて、前記第1印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第1リソースコスト情報を取得し、また前記第2印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第2リソースコスト情報を取得し、前記第1リソースコスト情報と前記第2リソースコスト情報との差分量から、リソースコストの増減情報を算出する算出手段と、少なくとも前記第1サムネイル画像、前記第2サムネイル画像、及び前記増減情報を表示部に表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また上記画像形成装置は、前記リソースコスト情報は、少なくとも印刷ジョブを実行したときに必要とされるコスト、CO2排出量のいずれかを含むことを特徴とする。
【0013】
また上記画像形成装置は、前記第1印刷条件はカラー印刷であり、変更された前記第2印刷条件は2色印刷又はモノクロ印刷であることを特徴とする。
【0014】
また上記画像形成装置は、前記第1印刷条件は片面印刷であり、変更された前記第2印刷条件は両面印刷であることを特徴とする。
【0015】
また上記画像形成装置は、前記第1印刷条件は通常印刷であり、変更された前記第2印刷条件は集約印刷であることを特徴とする。
【0016】
また上記画像形成装置は、印刷データを印刷するユーザを識別するユーザ識別手段と、前記スプールされた印刷データを前記第2印刷条件に従って印刷したとき、ユーザ毎に前記増減情報をログ記録するログ記録手段と、前記増減情報に基づいて、ユーザ毎の前記リソースコストの削減量を提示する提示手段とを有することを特徴とする。
【0017】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、その目的とするところは、画像形成装置を実際に使用するユーザに対して、TCOやCO排出量の削減効果を具体的に提示することで、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようにし、これらの削減を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係るシステム構成図である。
【図2】本実施形態に係るシステム構成図(変形例)である。
【図3】LCD上の表示画面例(その1)を示す。
【図4】LCD上の表示画面例(その2)を示す。
【図5】LCD上の表示画面例(その3)を示す。
【図6】LCD上のポップアップ画面例を示す。
【図7】LCD上の表示画面例(その4)を示す。
【図8】本発明の実施形態に係るMFP1のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図9】MFP1の操作パネル11の外観の一例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るMFP1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
【図11】リソースコスト情報例を示す。
【図12】本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その1)である。
【図13】本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その2)である。
【図14】本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。
【0021】
[システム概要]
(全体構成)
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、本発明を実施するにあたっての全体構成について説明する。図1は、本実施形態に係るシステム構成図である。図に示されるように、MFP(画像形成装置)1、クライアントPC2、ログ管理サーバ3が、ネットワーク4を介して接続されている。
【0022】
MFP1は、コピー、スキャナ、プリンタ、ファックスなどの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置である。またクライアントPC2は、ユーザ(利用者)が一般的に使用するユーザ端末である。またログ管理サーバ3は、MFP1内のログを収集し管理する(ログに関しては詳細後述)。
【0023】
本実施形態において印刷を行う場合、まずユーザはクライアントPC2から印刷ジョブをMFP1に送信する。送信された印刷ジョブは、MFP1においてジョブキューに一旦蓄積される。クライアントPC2にはプリンタドライバを有しており、印刷指示された印刷データから印刷データ(PDL)と印刷条件(PJL)を含む印刷ジョブを作成し、これをMFP1に送信する。
【0024】
次にユーザはMFP1の前に移動し、MFP1の備えるIC読取装置にICカードをかざすと、LCD(液晶ディスプレイ)上において自身が送信した印刷ジョブの情報の確認や、カラーからモノクロ印刷等への印刷条件の変更を行えるようになっている(詳細後述)。そしてユーザがMFP1に対し、最終的な印刷実行を命令すると(LCD上で印刷実行ボタンを押下したり再度ICカードをかざす等)、実際に印刷ジョブが実行され、MFP1から印刷データが印刷・出力される。なお、ユーザがMFP1の前に移動しユーザからの印刷実行操作によりはじめて印刷が実行されるというこのMFPの仕組みは企業等でよく導入されており、ユーザは自らの手で印刷された文書をMFP1の排出トレイから印刷後すぐに回収できるため、他人の目に触れたくないような重要文書を印刷する場合などに活用されている。
【0025】
以上本システム構成はあくまで一実施形態であり、言うまでもなくMFPやクライアントPCはこれ以上複数台あってもよく、またネットワーク4上相互に接続される限り、如何様に構成され配置されてもよい。また、本システム構成では、MFP1はクライアントPC2から送信された印刷データをMFP1内部に印刷ジョブとして一旦蓄積する構成として説明を行うものとする。しかし例えば、図2に示されるように、別途スプールサーバ5を設け、クライアントPC2は印刷データをスプールサーバ5に送信し、スプールサーバ5がこの印刷データを印刷ジョブとして一旦蓄積するようにも構成できる。そしてこの場合、MFP1は印刷実行にあたりスプールサーバ5から印刷ジョブを受信し、実際の印刷を実行する。このようにMFP1の機能の一部を外部装置によって実現するようシステムを構成することも可能である。
【0026】
(システム利用例)
さて、本発明の理解を容易にするため、まずは本実施形態に係るMFP1の具体的な利用例を説明する。ユーザは本MFP1を以下の手順で利用するものとする。
(1)MFP1にて印刷を行うため、ユーザはクライアントPC2から印刷ジョブ(印刷データ及びその印刷条件)をMFP1に送信する。送信された印刷ジョブはMFP1で一旦蓄積される。なおこの印刷条件においてカラー印刷が指定されているものとする。
(2)ユーザはMFP1の前に移動し、MFP1のIC読取装置にICカードをかざしてログインを行なう。ICカードに代えて、操作パネルのLCD上からID、パスワードを入力してもよい。
(3)操作パネルのLCD上において、自身が送信した印刷ジョブの印刷データのサムネイル画像が表示されるので、ユーザは印刷時の印刷画像の仕上がり具合を確認できる。
(4)またここで、印刷条件(印刷パラメータ)の変更操作を行うと、LCD上において印刷条件変更後のサムネイル画像が表示されるので、変更後の印刷画像についても仕上がり具合を確認できる。またこのとき、印刷条件変更によるTCOの削減効果、COの削減効果なども併せて表示される。
(5)ユーザは最終的にこれでよいと思う印刷条件でもって、印刷実行の操作を行う(例えば、「印刷実行」ボタンや「スタート」キー押下)。MFP1から先の印刷データが印刷されるので、排出トレイから出力された印刷用紙を回収する。
【0027】
図3は、LCD上の表示画面例(その1)を示す。上述の通り、ユーザがMFP1のIC読取装置にICカードをかざしログインを行なと、操作パネルのLCD上において図に示される表示画面が表示される。表示画面300a1には、そのユーザ自身が送信しスプール中の印刷ジョブの一覧がリスト表示される。本図では、ジョブ301を含め当ユーザの送信した複数のジョブが表示されており、このうちLCD上をタッチすることにより1のジョブを選択し「印刷」303を押下すると、そのジョブが印刷出力される。同様の要領で1のジョブを選択し、「印刷条件詳細変更」302を行ったり、カラー印刷から「2色印刷」304、「モノクロ印刷」305への色変更を行うことができる。印刷のジョブを取消す場合は「キャンセル」306も可能である。
【0028】
また「サムネイル表示切替」309aを押下すると、表示画面300a2へ遷移する。この表示画面300a2ではリストの各ジョブに対応するサムネイル画像308が表示される。表示画面300a1ではあくまで印刷ジョブがリスト表示されるに過ぎないため具体的な印刷結果を把握にしくいが、表示画面300a2においては印刷データのサムネイル画像が表示されるのでユーザは視覚的に具体的なその印刷結果を把握しやすくなっている。なお「リスト表示切替」309bを押下すると、表示画面300a1へ再び遷移できる。
【0029】
次に表示画面300a1又は表示画面300a2において「PV(プレビュー)」307を押下すると、そのジョブのプレビュー画面へ遷移する。図4は、LCD上の表示画面例(その2)を示す。図に示されるように、表示画面300b1ではサムネイル画像がより拡大されたプレビュー画像312が表示される。また印刷情報310には、プレビュー画像312に対し現在設定されている印刷条件、その印刷条件において印刷出力したときの金額(コスト)、CO排出量が表示される。なおこの印刷条件はユーザによりクライアントPC2上で指定された初期印刷条件である。
【0030】
さて、表示画面300a1、表示画面300a2、表示画面300b1のいずれにおいても、上述したようにジョブに対し、「印刷条件詳細変更」302を行ったり、カラー印刷から「2色印刷」304、「モノクロ印刷」305への色変更(仮)を行うことができるところ、例えば「モノクロ印刷」305を押下すると、表示画面300b2へ遷移する。
【0031】
図5は、LCD上の表示画面例(その3)を示す。表示画面300b2では、モノクロ印刷へ変更後の印刷ジョブから生成されたプレビュー画像321(つまりモノクロ画像)が表示される。また印刷情報310には、このプレビュー画像312に対し仮に変更された印刷条件、その印刷条件において印刷出力したときの金額(コスト)、CO排出量、及びその差分値(削減金額、削減CO)が、変更前と変更後とに対比させて表示される。変更前と変更後とを比較して見てみると、印刷条件がフルカラーからモノクロへ、金額が¥40から¥10へ、COが7から2へ変化していることが分かる。また削減金額は¥−30、削減COは−5であることが分かる。
【0032】
ユーザは変更後のプレビュー画像312、金額及びCO、及びその差分値など参照して、これだけの削減に貢献できるのであればこの画像で印刷出力してもよいと思う場合には、「印刷」303を押下することによりそのジョブ印刷出力できる。
【0033】
図6は、LCD上のポップアップ画面例を示す。印刷条件が初期印刷条件から仮変更されている場合、印刷出力に際しては、図に示されるようなポップアップ画面が表示される。あらためて印刷条件、金額(コスト)及びCO排出量、それら差分値など表示し、最終的なユーザの判断を確認する。そして「この印刷条件で印刷」601押下により変更後の印刷条件で印刷出力が実行される。一方、「変更前の印刷条件で印刷」602押下により変更前の印刷条件で印刷出力が実行されることになる。
【0034】
このように本実施形態に係るMFP1では、LCD上で仮に印刷条件の変更を行え、例えばカラーからモノクロへと印刷の品質を落とすことによって、どの程度の画像になるのかなどその印刷画像の仕上がり具合を印刷前、視覚的に確認できるとともに、その場合の具体的な削減効果も併せて確認できるので、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようになり、TCOやCO排出量の削減をいっそう促すことができる。
【0035】
また、表示画面300a1、表示画面300a2、表示画面300b1のいずれにおいても、「印刷条件詳細変更」302を行えるので、印刷条件のうち印刷色の変更だけではなく、例えば片面印刷を両面印刷や集約にしたり、用紙サイズを小さくしたり、倍率を小さくしたりと、各種印刷条件を工夫すればTCOやCO排出量の削減をよりいっそう促すことができる。
【0036】
図7は、LCD上の表示画面例(その4)を示す。「印刷条件詳細変更」302を押下すると、表示画面300cへ遷移する。表示画面300cは、初期印刷条件に対して印刷条件の変更を行うための画面の一例である。ここから各種印刷条件を変更すると、図5に示される印刷情報310には、上述と同様にそのプレビュー画像312に対し仮に変更された各種印刷条件、その各種印刷条件において印刷出力したときの金額、CO排出量、及びその差分値が、変更前と変更後とに対比させて表示されるようになっている。
【0037】
(ハードウェア)
ここで、本実施形態に係るMFP1のハードウェア構成について簡単に説明しておく。図8は、本発明の実施形態に係るMFP1のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係るMFP1は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
【0038】
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、MFP1に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、LCD(液晶ディスプレイ)などで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、MFP1をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェースである。HDD17は、MFP1で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データなどの各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
【0039】
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
【0040】
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、MFP1が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
【0041】
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
【0042】
図9は、MFP1の操作パネル11の外観の一例を示す図である。上述したように、操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを含んで構成される。近年、MFP1の多機能化に伴い、画像形成装置の操作パネル11上におけるLCD(液晶ディスプレイ)18も大型化してきており、その表示内容も充実している。例えば、アイコン等を用いた多彩な表示画面をソフトウェアの制御に基づいて表示させることにより、ユーザフレンドリなユーザインタフェースを提供している。より具体的に、操作パネル11は、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示するLCD18と、ユーザが操作指示を行うための物理的なボタンのようなハードキー19で構成される。なお本実施形態のLCD18は、触覚センサによるタッチパネル式液晶ディスプレイであるので、液晶ディスプレイ上の接触操作により画像形成動作に係る操作指示を行うことが可能となっている。
【0043】
このように、本実施形態に係るMFP1では、上記ハードウェア構成により、コピー、プリンタ、ファクシミリ、スキャナなどの複数の機能を実現している。
【0044】
(機能)
図10は、本実施形態に係るMFP1の主要機能構成を示す機能ブロック図である。MFP1は、記憶部100、第1サムネイル画像生成部101、印刷条件変更受付部102、第2サムネイル画像生成部103、記憶部104、算出部105、及び表示部106を含み構成される。
【0045】
記憶部100は、印刷ジョブ(印刷データと印刷条件)をスプール(蓄積)する。本実施形態においては、ユーザがクライアントPC2から印刷データと印刷条件を含む印刷ジョブをMFP1に送信するとこの記憶部100に一旦蓄積される。この意味では記憶部100はジョブキューともいえる。
【0046】
第1サムネイル画像生成部101は、記憶部100にスプールされた印刷ジョブを取得し、当該印刷条件(第1印刷条件)に従って、印刷データからサムネイル画像(第1サムネイル画像)を生成する。このサムネイル画像は操作パネル11のLCD18に表示されるので、ユーザは印刷画像の仕上がり具合を印刷前に確認できる。なおここで、第1印刷条件は、ユーザがクライアントPC2上で設定した印刷条件であるので、初期印刷条件ともいえる。そして例えば、初期印刷条件が「カラー印刷」である場合にはカラーのサムネイル画像が生成される。
【0047】
印刷条件変更受付部102は、第1印刷条件から第1印刷条件とは異なる第2印刷条件への変更(要求)を受付ける。ユーザが操作パネル11を操作して、印刷データの印刷条件(第1印刷条件)を、その初期印刷条件とは異なる印刷条件に変更操作を行うと、この印刷条件(第2印刷条件)を仮に一旦受付ける。但しこの変更後の印刷条件で印刷実行するかは未確定である。一例として、ユーザにより操作パネル11のLCD18上から「モノクロ印刷」などといったボタン操作がされると、印刷条件のうち初期値「カラー印刷」から変更値「モノクロ印刷」への変更を一旦受付ける。
【0048】
第2サムネイル画像生成部103は、第1印刷条件から第2印刷条件への変更が受付けられたとき、スプールされた印刷ジョブから、第2印刷条件に従って、第2サムネイル画像を生成する。このサムネイル画像は操作パネル11のLCD18に表示されるので、印刷条件を変更したときに、ユーザはその印刷画像の仕上がり具合を印刷前に確認できる。例えば、印刷条件が「カラー印刷」から「モノクロ印刷」に変更されていた場合、モノクロのサムネイル画像が生成される。
【0049】
記憶部104は、印刷データを印刷したときに必要とされるリソースコスト情報を印刷条件毎に記憶している。このリソースコスト情報は、印刷ジョブを実行したときに発生する印刷条件毎の費用金額(コスト)やCO排出量についての情報であるが、この詳細は具体例を挙げて後述する。
【0050】
算出部105は、記憶部104のリソースコスト情報に基づいて、第1印刷条件(初期印刷条件)に従ってスプールされた印刷データを印刷したときに必要とされる第1リソースコスト情報を取得し、また第2印刷条件(仮変更後の印刷条件)に従ってスプールされた印刷データを印刷したときに必要とされる第2リソースコスト情報を取得し、第1リソースコスト情報と第2リソースコスト情報との差分量から、リソースコストの増減情報(例えばTCOやCO排出量の差分値、つまり削減分)を算出する。この点もまた後述する。
【0051】
表示部106は、少なくとも第1サムネイル画像、第2サムネイル画像及び増減情報を表示部に表示する。併せて第1リソースコスト情報や第2リソースコスト情報も表示できる。これらサムネイル画像は操作パネル11のLCD18に表示されるので、印刷条件を変更したときに、ユーザは変更前と変更後の両印刷画像の仕上がり具合を印刷前に確認できる。またその変更に伴う増減情報を併せて確認できる。
【0052】
なお、記憶部100及び記憶部104は、説明の便宜上分けているが、これら記憶部を一の記憶部に纏めることもできる。同様に第1サムネイル画像生成部101及び第2サムネイル画像生成部103についても一のサムネイル画像生成部に纏めることもできる。
【0053】
なおまた、本図の機能構成は、本発明を説明するにあたっての主要機能構成を示したものであり、そもそもMFP1は画像形成装置であるので、例えばスキャン機能、プリント機能(印刷機能)等の画像形成基本機能を当然に有していることは言うまでもない。
【0054】
以上これらの機能は、実際には装置のCPU13cが実行するプログラムによりコンピュータ(例えばMFP1)に実現させるものである。
【0055】
(リソースコスト情報例)
図11は、リソースコスト情報例を示す。上述したように、リソースコスト情報は記憶部104に予め記憶されており、印刷データを印刷したときに必要とされる費用金額(コスト)やCO排出量が規定されたテーブルである。
【0056】
(a)は、印刷1枚あたりの費用金額を規定したテーブルである。ここでは印刷を1枚行ったときの費用(課金金額)を印刷条件毎に規定されるものであるが、用紙代、インク代をも含むと考えてよい。よって例えば、A4用紙3枚にモノクロ印刷を行うと¥30の費用が課金される。またここにステープル(1箇所)を行うと¥1追加され、¥31円が課金されるといった具合である。
【0057】
(b)は、印刷1枚あたりのCO排出量を規定したテーブルである。CO排出量の算出方法については多様でありかつ非常に難しい。例えば、インク使用に関するCO排出量、用紙の使用に関するCO排出量、機器本体の使用電力に関するCO排出量等々、考慮すべきパラメータは多く、一体どの程度までのCO排出量を対象の範疇にするべきかの問題がある上、そもそもこれら個々パラメータのCO排出量算出自体も単純ではないからである。よって本例では詳細には踏み込まず、ある一定の観点から算出され規定された本テーブルをもってCO排出量であるものとする。
【0058】
さて印刷条件毎にCO排出量は変化するため、テーブル上、横軸に色印刷、縦軸にその他各種印刷条件が取られており、それぞれの組み合わせ毎にCO排出量が規定される。具体的に例えばA4用紙3枚にモノクロ印刷・片面印刷、濃度:標準、ステープル1箇所の印刷条件で印刷を行うとすると、印刷1枚あたりのCO排出量は「1」(モノクロ印刷・片面印刷)+「1」(濃度:標準)の「2」となり、3枚分であるのでCO排出量は「6」、ステープル1箇所「1」を加算して「7」となる。なお用紙サイズによってもCO排出量は変化すると考えられるが(サイズが大きい方がCO排出量大)、本例では単純化のため用紙サイズ一律とする。
【0059】
また例えば、A4用紙3枚にカラー印刷・集約印刷/両面印刷、濃度:薄い、ステープル2箇所の印刷条件で印刷を行うとすると、印刷1枚あたりのCO排出量は「6」(カラー印刷・集約印刷/両面印刷)+「2.4」(濃度:薄い)の「8.4」となり、3枚分であるのでCO排出量は「25.2」となり、3枚分であるのでCO排出量は「75.6」、ステープル2箇所「2」を加算して「77.6」となる。なお両面印刷は片面印刷と比べ印刷面が両面であるため、インクは多く消費する一方、用紙は半分に抑制できるため、その分でのCO排出量削減が見込まれる。
【0060】
[情報処理]
本実施形態に係るMFP1の情報処理動作について説明する。ここでは、あるストーリーを設定し、その際のMFP1の情報処理動作を説明していくものとする。
【0061】
(ステップS100)
まずユーザはMFP1のIC読取装置にICカードをかざしてログインを行なうと、操作パネル11に、ジョブ一覧表示画面(リスト表示)である表示画面300a1を表示する(図3)。次に「サムネイル表示切替」309aが押下され、ジョブ一覧表示画面(サムネイル表示)である表示画面300a2へ遷移する。1のジョブが選択され、「PV」307押下により、プレビュー画面である表示画面300b1へ遷移する(図4)。
【0062】
図12は、本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その1)である。
【0063】
S101:ユーザがログインを行うと、記憶部100にスプールされた印刷ジョブのうち、ログインユーザに対応するものを取得する。ユーザ名はログインにより補足でき1のユーザを特定できる。
【0064】
S102:ジョブ一覧表示画面表示(ジョブのリスト表示)を表示する。即ち記憶部100にスプールされた印刷ジョブのうち、ログインユーザがMFP1へ送信した印刷ジョブがリスト表示される。
【0065】
S103:キー操作が行われると、キー操作信号に基づき処理を分岐する。ここではジョブ一覧表示画面(リスト表示)である表示画面300a1(図3)において「サムネイル表示切替」309aが押下され、ジョブ一覧表示画面(サムネイル表示)である表示画面300a2へ遷移することになる。
【0066】
S104:リスト中の印刷ジョブ毎に、第1サムネイル画像生成部101が当該印刷ジョブの印刷条件と印刷データに基づきサムネイル画像を生成する。
【0067】
S105:ジョブ一覧表示画面表示(ジョブのサムネイル表示)を表示する。そしてここでは、ジョブ一覧表示画面(サムネイル表示)である表示画面300a2において1のジョブが選択され「PV」307押下によりプレビュー画面である表示画面300b1へ遷移することになる。
【0068】
S106:算出部105は、印刷ジョブに含まれる印刷条件で印刷ジョブを実行したときの「金額」、「CO」(排出量)のリソースコスト情報を記憶部104のテーブルより取得する。
【0069】
S107:当該印刷ジョブの印刷条件と印刷データに基づき、プレビュー画像を生成する。なおプレビュー画像はサムネイル画像をそのまま代用したものでもよく、S104のサムネイル画像をここで代用してもよい。
【0070】
S108:表示部106は、プレビュー画像と印刷情報を含むプレビュー画面を表示する(図4)。なお印刷情報には、印刷条件や、S106で取得した「金額」、「CO」の情報が表示される。
【0071】
(ステップS200)
次に表示画面300b1(図4)において、ユーザは「モノクロ印刷」305を押下し、色の印刷条件を仮変更すると、変更後のプレビュー画面である表示画面300b2へ遷移する(図5)。
【0072】
図13は、本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その2)である。
【0073】
S201:例えば「モノクロ印刷」305を押下など、1の印刷ジョブ(1のサムネイル画像)に対し印刷条件変更の変更指示を受けると、印刷条件変更受付部102は指示された印刷条件を受け付ける。なお印刷条件は仮に受け付けたものであり、この時点では未だこの印刷条件を最終的に印刷出力すべき印刷条件とするものではない。
【0074】
S202:第2サムネイル画像生成部103は、仮変更された印刷条件と当該印刷ジョブの印刷データに基づき、プレビュー画像(≒サムネイル画像)を生成する。ここでは印刷データに基づきモノクロのプレビュー画像が生成される。
【0075】
S203:算出部105は、仮変更された印刷条件で印刷ジョブを実行したときの「金額」、「CO」のリソースコスト情報を記憶部104のテーブルより取得する。ここでは当該印刷データをモノクロで印刷出力したときに想定される「金額」、「CO」排出量の情報が取得される。また算出部105は、変更前と、ここで取得した変更前の「金額」、「CO」排出量の情報との差分値を算出し、削減分を算出する。
【0076】
S204:S203で新たに生成されたプレビュー画像と、更新された印刷情報を含むプレビュー画面表示を表示する(図5)。なお印刷情報には、印刷条件の変更前及び変更後における印刷条件や、「金額」、「CO」、及びその差分値の情報が表示される。
【0077】
なお、図13のS201の印刷条件変更には、図7の印刷条件の変更を行うための表示画面300cからの各種印刷条件の変更も含まれる。即ち印刷色の他にも印刷方法(片面、両面等)や、ステープルの有無、用紙サイズ、部数、倍率、濃度などの各種印刷条件も変更できる。よってS202では、第2サムネイル画像生成部103は、これら各種印刷条件変更を含めて仮変更された印刷条件と当該印刷ジョブの印刷データに基づき、プレビュー画像を生成する。またS203では、算出部105は、これら各種印刷条件変更を含めて仮変更された印刷条件で印刷ジョブを実行したときの「金額」、「CO」のリソースコスト情報を記憶部104のテーブルより取得する。またS204では、S203で新たに生成されたプレビュー画像と、これら各種印刷条件変更を含めて更新された印刷情報を含むプレビュー画面表示を表示することになる。
【0078】
(ステップS300)
ユーザは変更後のプレビュー画像312、印刷条件の変更前及び変更後における印刷条件や金額及びCOを参照して、「印刷」303を押下することによりそのジョブ印刷出力できる(図5)。印刷条件が初期印刷条件から仮変更されている場合、印刷出力に際しては、ポップアップ画面が表示される(図6)。あらためて印刷条件、金額(コスト)及びCO排出量、それら差分値など表示しを、最終的なユーザの判断を確認する。
【0079】
図14は、本実施形態に係るMFP1の情報処理動作を示すフローチャート(その3)である。
【0080】
S301:例えば「印刷」303(操作パネル11上のスタートハードキーでもよい)を押下など、1の印刷ジョブ(1のサムネイル画像)に対し印刷指示を受ける。
【0081】
S302:表示部106は、LCD18上にポップアップ画面を表示する(図6)。上述したように印刷条件が初期印刷条件から仮変更されている場合、印刷出力に際してはポップアップ画面が表示される。あらためて印刷条件、金額(コスト)及びCO排出量、それら差分値など表示しを、最終的なユーザの判断を確認するためである。
【0082】
S303、S304:「この印刷条件で印刷」601の押下により、変更後の印刷条件で印刷ジョブを実行する。例えばユーザによりカラーからモノクロに印刷条件が変更されている場合、モノクロでもって印刷出力を実行する。
【0083】
S305、S306:一方、「変更前の印刷条件で印刷」602の押下により、変更前の印刷条件で印刷ジョブを実行する。例えば初期印刷条件のカラーでもって印刷出力を実行する。
【0084】
S307:「戻る」が押下されている場合には、全画面に戻ればよい。
【0085】
なお変更後の印刷条件で印刷ジョブを実行するに際し、例えばユーザによりカラーからモノクロに印刷条件が変更されている場合には、印刷ジョブを変更修正する必要がある。印刷ジョブは、印刷条件が記述されたジョブヘッダ(PJL)と、印刷データを含むデータ部(PDJ)とから構成されているため、印刷条件を変更するには、印刷ジョブ内のジョブヘッダ(PJL)内のパラメータを変更修正すればよい。即ちここではカラーを示すパラメータをモノクロに変更すればよい。コントローラ13は、印刷ジョブを変更修正すると、変更した印刷ジョブを解釈してビットマップイメージを生成する。このとき、初期印刷条件でカラーが指定されているので印刷データはカラーデータであるが、ビットマップイメージを生成時、印刷データに対しカラーからモノクロ変換処理が行われる。その後ビットマップイメージはプロッタ16に渡され、例えば電子写真プロセス方式によってビットマップイメージは記録紙に印刷される。そしてこの場合最終的にモノクロでもって印刷出力が行われる。
【0086】
[補足]
さて再び図1を参照する。図1は、本実施形態に係るシステム構成図であるが、図に示されるように、MFP(画像形成装置)1、クライアントPC2、ログ管理サーバ3が、ネットワーク4を介して接続されている。このうちログ管理サーバ3は、MFP1内のログを収集し管理するものである。
【0087】
従来より、MFP使用量を管理することを目的として、ユーザ毎にMFP使用量(使用回数、使用した用紙枚数等々)はMFP内部にログとして蓄積されており、また蓄積されたログはログ管理サーバに転送し、ログ管理サーバにおいて全MFPにおけるユーザ毎(又はその所属部門毎)のMFP使用量をトータル的に管理するようにしている。
【0088】
そこでこのMFP使用量管理の仕組みを利用し、上述の実施形態においてユーザ毎(又はその所属部門毎)の金額(コスト)及びCO排出量の差分値である削減効果(削減貢献度)をも管理できるようにする。具体的には、従来より印刷出力される度にユーザに対応させてMFP使用量をログとして記録しているので、このログに金額(コスト)及びCO排出量の差分値である削減効果の情報を含めて記録するようにすればよい。つまりこれまで説明してきたように、MFP1のLCD18上において印刷条件が変更され、変更前と変更後に削減効果が見込まれ、ユーザが変更後の印刷条件で印刷出力を実行した場合、ログに併せてこの金額(コスト)及びCO排出量の差分値である削減効果の情報を含めて記録する。
【0089】
このようにすることにより、MFP1内のログはログ管理サーバ3により収集され、管理者は一元的に全MFPにおけるユーザ毎(又はその所属部門毎)の月毎、年毎などの金額(コスト)及びCO排出量の削減効果を容易に把握できるため、例えば削減貢献度に応じてユーザや部門にフィードバックするようにすることで、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようになり、TCOやCO排出量の削減をいっそう促すことができる。
【0090】
[総括]
以上本実施形態に係るMFP1は、スプールされた印刷ジョブに対しLCD18上から印刷条件の変更を行え、例えばカラーからモノクロへと印刷の品質を落とすことによって、どの程度の画像になるのかなどその印刷画像の仕上がり具合を印刷前に視覚的に確認できるとともに、その場合の具体的なコスト及びCO削減効果についても併せて確認できるので、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようになり、TCOやCO排出量の削減をいっそう促すことができる。即ち以上本発明によれば、画像形成装置を実際に使用するユーザに対して、TCOやCO排出量の削減効果を具体的に提示することで、ユーザ自らTCOやCOの削減に対して興味を持つようにし、これらの削減を促す画像形成装置を提供することが可能となる。
【0091】
本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば本実施形態においては情報処理装置の一例として、画像形成装置に対して本発明を適用したものであり、その他のシステムや装置においても広く適用され得る。
【符号の説明】
【0092】
1 MFP
11 操作部(操作パネル)
11a 入力装置
11b 表示装置
12 記憶メディアI/F
12a ドライブ装置
12b 記録媒体
13 コントローラ(部)
13a ROM
13b RAM
13c CPU
14 データ通信I/F
14a インターフェース装置
15 スキャナ
15a 画像読取装置
16 プロッタ
16a 印刷装置
17 HDD
100 記憶部
101 第1サムネイル画像生成部
102 印刷条件変更受付部
103 第2サムネイル画像生成部
104 記憶部
105 算出部
106 表示部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2003−32413号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データ及び印刷条件を含む印刷ジョブをスプールし、印刷実行命令を受けてスプールされた印刷ジョブを実行する画像形成装置であって、
スプールされた印刷ジョブから、該印刷ジョブに含まれる第1印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第1サムネイル画像を生成する第1サムネイル画像生成手段と、
前記第1印刷条件から前記第1印刷条件とは異なる第2印刷条件への変更を受付ける印刷条件変更受付手段と、
前記スプールされた印刷ジョブから、前記第2印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第2サムネイル画像を生成する第2サムネイル画像生成手段と、
前記印刷ジョブを実行したときに必要とされるリソースコスト情報を印刷条件毎に記憶した記憶手段と、
前記記憶手段の前記リソースコスト情報に基づいて、前記第1印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第1リソースコスト情報を取得し、また前記第2印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第2リソースコスト情報を取得し、前記第1リソースコスト情報と前記第2リソースコスト情報との差分量から、リソースコストの増減情報を算出する算出手段と、
少なくとも前記第1サムネイル画像、前記第2サムネイル画像、及び前記増減情報を表示部に表示する表示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記リソースコスト情報は、少なくとも印刷ジョブを実行したときに必要とされるコスト、CO2排出量のいずれかを含むことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1印刷条件はカラー印刷であり、変更された前記第2印刷条件は2色印刷又はモノクロ印刷であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1印刷条件は片面印刷であり、変更された前記第2印刷条件は両面印刷であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1印刷条件は通常印刷であり、変更された前記第2印刷条件は集約印刷であることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項6】
印刷データを印刷するユーザを識別するユーザ識別手段と、
前記スプールされた印刷データを前記第2印刷条件に従って印刷したとき、ユーザ毎に前記増減情報をログ記録するログ記録手段と、
前記増減情報に基づいて、ユーザ毎の前記リソースコストの削減量を提示する提示手段と、
を有することを特徴とする請求項1ないし5何れか一項記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷データ及び印刷条件を含む印刷ジョブをスプールし、印刷実行命令を受けてスプールされた印刷ジョブを実行する画像形成装置における画面表示方法であって、
前記画像形成装置は、前記印刷ジョブを実行したときに必要とされるリソースコスト情報を印刷条件毎に記憶した記憶手段を有し、
スプールされた印刷ジョブから、該印刷ジョブに含まれる第1印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第1サムネイル画像を生成する第1サムネイル画像生成手順と、
前記第1印刷条件から前記第1印刷条件とは異なる第2印刷条件への変更を受付ける印刷条件変更受付手順と、
前記スプールされた印刷ジョブから、前記第2印刷条件に従って、該印刷ジョブに含まれる印刷データに基づく第2サムネイル画像を生成する第2サムネイル画像生成手順と、
前記記憶手段の前記リソースコスト情報に基づいて、前記第1印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第1リソースコスト情報を取得し、また前記第2印刷条件に従って前記スプールされた印刷ジョブを実行したときに必要とされる第2リソースコスト情報を取得し、前記第1リソースコスト情報と前記第2リソースコスト情報との差分量から、リソースコストの増減情報を算出する算出手順と、
少なくとも前記第1サムネイル画像、前記第2サムネイル画像、及び前記増減情報を表示部に表示する表示手順と、
を有することを特徴とする画面表示方法。
【請求項8】
請求項7記載の印刷方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−61767(P2012−61767A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208584(P2010−208584)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】