説明

画像形成装置及びそれに用いるトナー補給容器

【課題】コロナ帯電器の放電電極に付着する不純物の付着を抑え、帯電ムラの発生のない画像形成装置およびそれに用いるトナー補給容器を提供する。
【解決手段】トナー補給容器10において、送風機構12は、送風ファン12bと、送風管12aと、吸気口連結部材18とを備える。吸気口連結部材18は、吸気口16周辺のトナー収容器11の側壁と密着し、送風管12aと吸気口16の接合部を覆う弾性を有するシリコーンゴムの素材からなるスカート18aを備える。排気機構13は、排気口連結部材19と、排気管13aと、空気浄化フィルター13bとを備える。排気口連結部材19は排気口17周辺のトナー収容器11の上壁と密着し、排気管13aと排気口17の接合部を覆う弾性を有するシリコーンゴムの素材からなるスカート19aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタおよびファクシミリ機等の電子写真方式による印刷機能を有する画像形成装置及びそれに用いるトナー補給容器に関する。
【背景技術】
【0002】
静電電子写真方式を利用した画像形成装置は、一般に帯電、露光、現像、転写、剥離、クリーニング、除電、及び定着の各工程からなる。画像を形成する工程は、例えば、回転駆動される感光体ドラムの表面を帯電装置により均一に帯電し、次に帯電された感光体ドラム表面にレーザ光を当てて静電潜像を形成する。続いて、この感光体ドラム上の静電潜像にトナーを静電的に付着させて現像し、感光体ドラム表面上にトナー像を形成する。そして転写装置により感光体ドラム上のトナー像を転写材上に転写し、この転写材上のトナー像は加熱定着装置により定着される。また、感光体ドラム表面上に残った転写残留トナーは、クリーニング装置により除去され所定の回収部に回収されると共に、クリーニングされた後の感光体ドラム表面は、除電装置により残留電荷が除去され、次の画像形成に備える。
【0003】
感光体ドラムとしては、有機光半導体(OPC)を光導電層として塗布された感光体ドラムが一般に使用され、感光体ドラム表面に電荷を付与する帯電装置としては、コロナ帯電器が良く利用されている。
【0004】
コロナ帯電器としては、非常に細い導電性のタングステンワイヤーを、導電性のシールドケースにて感光体ドラムと対向する部分以外の周囲を覆い、タングステンワイヤー自身に高電圧を印加することで、コロナ放電を生じさせ、感光体ドラムを帯電させるものである。この他に、コロナ放電用のタングステンワイヤーに代え、列状に多数の先鋭突起を有するノコ歯状の放電電極を設け、該先鋭突起からのコロナ放電により感光体ドラムの帯電を行うものがある。コロナ帯電器は、感光体ドラムの帯電以外に除電装置や転写装置等にも用いられる。
【0005】
コロナ帯電器においては、タングステンワイヤーやノコ歯状の放電電極等に汚物が付着すると、その部分だけ放電機能が低下し、感光体ドラムを均一に帯電させることができなくなる。このような帯電ムラが発生すると、得られる画像に黒筋が入るなどの画像欠陥が発生する。
【0006】
さらに前述のような針状電極の汚れの問題を解決する先行技術が、たとえば特許文献1などに開示されている。特許文献1の開示技術によれば、回転可能に支持される一対のローラからなる清掃部材で針状電極を両側から挟みこみ、清掃部材を針状電極に対して相対的に移動させることによって針状電極に付着した汚れを取除くものである。
【特許文献1】特開平7−43990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記対策は帯電ムラが発生した針状電極をリフレッシュさせる方法として非常に有効ではあるが、コロナ帯電器の放電電極に付着する汚れを防ぐものではなく、常に良好な画像品質を得るためには、コロナ帯電器を頻繁に清掃する必要があった。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み、コロナ帯電器の放電電極に付着する不純物の付着を抑え、帯電ムラの発生のない画像形成装置およびそれに用いるトナー補給容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、外部から空気を取り入れる吸気口と内部の空気を外部へ排出する排気口とを備える脱着可能なトナー補給容器と、前記吸気口に空気を送る送風機構と、前記排気口から空気を排出する排気機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明にあっては、トナー補給容器内に含まれる揮発性ガスが、トナー補給容器から画像形成装置内部に拡散し、コロナ帯電器の放電電極に付着する不純物によって発生する帯電ムラを防止できる。
【0011】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記排気口が、トナーを通さないフィルターを備えることを特徴とする。
【0012】
この発明にあっては、トナー補給容器から排出される空気に混ざって、トナーが外部に飛散し、画像形成装置内部もしくは画像形成装置の周囲を汚すことを防止できる。
【0013】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記吸気口が、トナー補給容器内部から外部へのトナー流出を抑える空気弁、もしくはトナーを通さないフィルターを備えることを特徴とする。
【0014】
この発明にあっては、吸気口からトナーが外部に飛散し、画像形成装置内部もしくは画像形成装置の周囲を汚すことを防止できる。
【0015】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記送風機構が、外部の空気を送り込む送風ファンと、該送風ファンにより送り込まれた空気を前記吸気口まで導く送風管と、該送風管を前記吸気口に連結する連結部材とを備えることを特徴とする。
【0016】
この発明にあっては、吸気口連結部材が吸気口と連結するので、空気の漏れが少なく、トナー補給容器内部に空気を効果的に送風できる。
【0017】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記吸気口連結部材が、トナー補給容器の吸気口周辺を密閉するスカートを備え、該スカートが弾性を有することを特徴とする。
【0018】
この発明にあっては、吸気口連結部材が弾性を有するスカートを備えるので、トナー補給容器などに寸法精度のバラツキが生じても、気密性が確保できるので空気の漏れを抑えることができる。
【0019】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記排気機構が、前記排気口から排出される空気を浄化する空気浄化フィルターと、排気空気を外部へ導く排気管と、前記排気口と排気管を連結する排気口連結部材とを備えることを特徴とする。
【0020】
この発明にあっては、空気浄化フィルターによって、トナー補給容器から排出される空気に混ざって排気される揮発性ガスによる周辺環境の汚染を防止できる。また、排気口連結部材が排気口と連結するので、揮発性ガスが漏れることなく、空気浄化フィルターに送ることができる。
【0021】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、空気浄化フィルターが、活性炭フィルターであることを特徴とする。
【0022】
この発明にあっては、活性炭フィルターは揮発性ガスを吸着する能力が高いことから、長期間使用でき、交換回数を減らすことができる。
【0023】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記排気口連結部材が、トナー補給容器の排気口周辺を密閉するスカートを備え、該スカートが弾性を有することを特徴とする。
【0024】
この発明にあっては、排気口連結部材が弾性を有するスカートを備えるので、トナー補給容器などに寸法精度のバラツキが生じても、気密性が確保でき、空気ともに排出される揮発性ガスの漏れを抑えることができる。
【0025】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記送風機構が、湿度除去フィルターを備えることを特徴とする。
【0026】
この発明にあっては、乾燥した空気をトナー補給容器内部に送ることができるので、画像形成装置の設置環境が高湿である場合であっても、トナー補給容器内部を乾燥状態に保つことができる。
【0027】
また、前記課題を解決するための本発明の画像形成装置は、前記湿度除去フィルターが、シリカゲルもしくは塩化カルシウムを含むことを特徴とする。
【0028】
この発明にあっては、湿度除去フィルターの吸湿能力が高いことから、長期間使用でき、交換回数を減らすことができる。
【0029】
また、前記課題を解決するための本発明のトナー補給容器は、トナー補給容器を収容し、該トナー補給容器内に空気を送る送風機構と、該トナー補給容器内の空気を排出する排気機構とを備える画像形成装置に使用されるトナー補給容器であって、前記送風機構により送られる空気を取り入れる吸気口と、前記排気機構に空気を排出する排気口とを備えることを特徴とする。
【0030】
この発明にあっては、コロナ放電電極に付着することによって帯電ムラを生じさせる揮発性ガスを発生するトナーを収容する場合であっても、画像形成装置設置後に、揮発性ガスをトナー補給容器から排出させることができ、帯電ムラを防止できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、トナー補給容器内に含まれる揮発性ガスを、取り除くことができることから、揮発性ガスがトナー補給容器から画像形成装置内部に拡散し、コロナ帯電器の放電電極に付着する不純物によって発生する帯電ムラを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、脱着可能なトナー補給容器を収容できる画像形成装置において、外部から空気を取り入れる吸気口と内部空気を外部へ排出する排気口とを備える脱着可能なトナー補給容器と、前記吸気口に空気を送る送風機構と、前記排気口から空気を排出する排気機構とを備えることによって、トナー補給容器内部の揮発性ガスを空気とともに追い出して取り除くことにより、揮発性ガスがトナー補給容器から画像形成装置内部に拡散し、コロナ帯電器の放電電極に不純物が付着するのを防ぐことによって、帯電ムラを防止するものである。
【0033】
トナー補給容器に収容される一般的なトナーにおいては、トナー粒子の流動性を高めるために酸化チタンシリカ微粒子や酸化チタン微粒子などの無機微粒子が添加される。これら無機微粒子には、高湿環境下において抵抗が下がらないように、シランカップリング剤等で疏水化処理が行われる。帯電ムラの原因となるコロナ帯電器の放電電極に不純物(珪素化合物)が、これらシランカップリング剤に由来する珪素化合物に起因することを見つけ、その対策手段として本発明の構成に至った。
【0034】
シランカップリング剤は無機微粒子の表面にある酸素と結合し強固な皮膜を形成するが、一部は無機微粒子とは結合しない状態(未反応)で付着している。これらシランカップリング剤およびシランカップリング剤に由来する未反応の珪素化合物の大部分は、無機微粒子の疏水化処理工程における加熱処理によって、揮発することによって、無機微粒子表面から離脱するが、一部の未反応珪素化合物は無機微粒子表面に残ると考えられる。
【0035】
また、下記化学式に示されるように、HMDSなどのシランカップリング剤は空気中の水分と反応し、揮発性の高い珪素化合物(トリメチルシラノール)へと加水分解するため、トナー補給容器内部の珪素化合物からなる揮発ガス濃度は徐々に高まっていくと考えられる。
【0036】
【化1】

【0037】
本発明の画像形成装置においては、トナー補給容器内部の珪素化合物からなる揮発ガス濃度を、トナー補給容器内部に空気を送ることによって下げることができるため、珪素化合物からなる揮発ガスが画像形成装置内部に拡散し、コロナ帯電器の放電電極に不純物として蓄積するのを防ぎ、帯電ムラ防止効果が得られると考えられる。
【0038】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0039】
図1〜図6は発明を実施する形態の一例であって、図1は、本発明に係る画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。図2は、現像装置とトナー補給容器の構成を示す断面図である。図3は、図1におけるトナー補給容器10と、送風機構12と、排気機構13の拡大図である。図4は、図3におけるトナー補給容器10と、送風機構12と、排気機構13の分解斜視図である。図5は、ノコ歯型帯電器の構造を示す展開斜視図である。図6は、コロナ帯電器に電圧供給を行う高圧回路を含めた電源供給回路の一例を示すブロック図である。また、図7は、実施例におけるプリントテスト後の先端に付着物のないノコ歯型帯電器のSEM写真である。図8は、比較例における先端に付着物のあるノコ歯型帯電器のSEM写真である。
【0040】
図1に示すように、画像形成装置100は、複写モードと印刷モードとを有し、複写モードでは後記するスキャナ部29において読み取られる原稿の画像情報に応じて原稿の複写物を印刷し、印刷モードでは画像形成装置100にネットワークを介して接続される外部機器からの画像情報に応じてそれに対応する画像を印刷する、デジタル複写機である。画像形成装置100は、現像装置1と、トナー補給容器10と、送風機構12と、排気機構13と、感光体ドラム20と、コロナ帯電器21と、露光装置22と、転写装置23と、定着装置25と、クリーニング装置24と、給紙トレイ28と、スキャナ部29と、排紙トレイ30とを含む。
【0041】
図2は、現像装置とトナー補給容器の構成を示す断面図である。現像装置1は、現像槽2と、現像ローラ3と、第1撹拌部材4と、第2撹拌部材5と、搬送部材6と、規制部材7と、トナー濃度検知センサ8と、流し板9とを含む。
【0042】
現像槽2は内部空間を有するほぼ角柱状の容器部材であり、現像ローラ3、第1撹拌部材4、第2撹拌部材5および搬送部材6を回転自在に支持し、規制部材7、流し板9などを直接的または間接的に支持し、現像剤を収容する。現像剤はトナーと磁性体粉であるキャリアとを含む二成分現像剤である。また、現像槽2には、現像装置1を電子写真方式の画像形成装置100に装着する場合に、該画像形成装置100が備える感光体ドラム20を臨む側面に開口2aが形成される。また、現像槽2の鉛直方向上面には、トナー補給口2bが形成される。
【0043】
現像ローラ3は少なくとも一部が現像槽2に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動するローラ状部材である。また、現像ローラ3は、現像槽2の開口2aを介して感光体ドラム20に対向する。現像ローラ3は、感光体ドラム20に対して間隙を有して離隔するように設けられ、最近接部分が現像ニップ部である。現像ニップ部において、現像ローラ3表面の図示しない現像剤層から感光体ドラム20表面の静電潜像にトナーが供給される。現像ニップ部では、現像ローラ3に接続される図示しない電源から現像ローラ3に対して現像バイアス電圧が印加され、現像ローラ3の表面の現像剤層から感光体ドラム20の表面の静電潜像へのトナー移行が円滑に進行する。本実施の形態では、スリーブ14は反時計回りに回転し、感光体ドラム20は時計回りに回転する。
【0044】
第1撹拌部材4および第2撹拌部材5は、いずれも、現像槽2によって回転自在に支持されかつ図示しない駆動手段によって軸心回りに回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。本実施の形態では、第1撹拌部材4は反時計回りに回転し、第2撹拌部材4は時計回りに回転する。第1撹拌部材4は、現像ローラ3を介して感光体ドラム20に対向しかつ現像ローラ3よりも鉛直方向下方になる位置に設けられる。本実施の形態では、第1撹拌部材4の軸心から現像ローラ3側へ水平に伸びる直線と、現像ローラ3の軸心と第1撹拌部材4の軸心とを結ぶ直線とが成す角の角度である第1撹拌部材4の設置角度θは、54°である。第2撹拌部材5は、第1撹拌部材4を介して現像ローラ3に対向しかつ現像ローラ3よりも鉛直方向下方になる位置に設けられる。第1撹拌部材4および第2撹拌部材5は、現像槽2内に貯留される現像剤を撹拌してトナーに均一な電荷を付与するとともに、帯電状態にある現像剤を汲み上げて現像ローラ3の周囲に送給する。
【0045】
搬送部材6は、現像槽2によって回転自在に支持されかつ図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられるローラ状部材である。搬送部材6は、第2撹拌部材5を介して第1撹拌部材4に対向し、かつトナー補給口2bの鉛直方向下方に設けられる。搬送部材6は、トナー補給口2bを介して現像槽2内に補給されるトナーを、第2撹拌部材5の周囲に搬送する。
【0046】
トナー補給容器10は、その内部空間にトナー収容器11と、トナー補給ローラ14と、トナー汲み上げローラ15とを含み、図1に示す画像形成装置100の本体に対して着脱可能に設けられる。
【0047】
トナー収容器11は、トナーを収容する容器部材であり、トナー補給ローラ14およびトナー汲み上げローラ15を回転自在に支持する。また、トナー収容器11には、トナー補給容器10を図1の画像形成装置100に装着する場合に、現像槽2の鉛直方向上面に形成される開口であるトナー補給口2bと鉛直方向に連通するようにトナー排出口11bが設けられ、その鉛直方向上方には、トナー補給ローラ14が設けられる。
【0048】
トナー補給ローラ14は、図示しない駆動手段によって回転駆動する。トナー補給ローラ14の回転駆動は、トナー濃度検知センサ8による現像槽2内のトナー濃度の検知結果に応じて、画像形成装置100に設けられる図示しない制御手段により制御される。トナー補給ローラ14の回転駆動によって、トナー排出口11bおよびトナー補給口2bを介して、現像槽2内にトナーが補給される。
【0049】
また、トナー収容器11の側壁上部および鉛直方向上面には吸気口16および排気口17が形成される。吸気口16および排気口17には、それぞれトナーを通さないトナーフィルターが設けられる。吸気口16に設けられるトナーフィルターの代わりに、トナー補給容器10の内部から外部へのトナー流出を抑える空気弁を設けてもよい。吸気口16からトナーが外部に飛散し、画像形成装置100の内部もしくは画像形成装置100の周囲を汚すことを防止できる。
【0050】
図3は、図1におけるトナー補給容器10と、送風機構12と、排気機構13の拡大図であり、図4は、図3におけるトナー補給容器10と、送風機構12と、排気機構13の分解斜視図である。
【0051】
送風機構12は、送風ファン12bと、送風管12aと、吸気口連結部材18とを備える。吸気口連結部材18は吸気口16周辺のトナー収容器11の側壁と密着し、送風管12aと吸気口16の接合部を覆う弾性を有するシリコーンゴムの素材からなるスカート18aを備え、吸気口16を密閉し、空気の漏れを防ぐ構造となっている。この弾性を有するスカート18aは、トナー補給容器10を画像形成装置100から脱着する際の緩衝材として作用し、トナー補給容器10の脱着を容易にするとともに、トナー補給容器10などに寸法精度のバラツキが生じても、気密性が確保できるので、空気漏れがなく、トナー補給容器10内部に空気を効果的に送風できる。また、送風管12aの途中に、湿度除去フィルターを設けることもできる。これによって、乾燥した空気をトナー補給容器10の内部に送ることができるので、画像形成装置100の設置環境が高湿である場合であっても、トナー補給容器10の内部を乾燥状態に保つことができ、トナーの帯電特性を安定化させることや、未反応の珪素化合物の加水分解を抑えることができる。湿度除去フィルターに使用する除湿剤としては、シリカゲルや塩化カルシウムが使用できる。これらは吸湿能力が高いことから、長期間使用でき、交換回数を少なくすることができる。
【0052】
排気機構13は、排気口連結部材19と、排気管13aと、空気浄化フィルター13bとを備える。空気浄化フィルター13bはトナー補給容器から排出される空気に混ざって排気される揮発性ガスを捕捉し、周辺環境の汚染を防止できる。空気浄化フィルターとしては活性炭フィルターが好ましく、揮発性ガスを吸着する能力が高いことから、長期間使用でき、交換回数を減らすことができる。
【0053】
排気口連結部材19は排気口17周辺のトナー収容器11の上壁と密着し、排気管13aと排気口17の接合部を覆う弾性を有するシリコーンゴムの素材からなるスカート19aを備え、排気口17を密閉し、空気の漏れを防ぐ構造となっている。この弾性を有するスカート19aは、トナー補給容器10を画像形成装置100から脱着する際の緩衝材として作用し、トナー補給容器10の脱着を容易にするとともに、トナー補給容器10などに寸法精度のバラツキが生じても、気密性が確保できるので、空気漏れがなく、トナー補給容器10から排出される空気に混ざって揮発性ガスが漏れることなく、画像形成装置100の内部もしくは画像形成装置100の周囲に拡散することを防止できる。
【0054】
具体的なトナー補給容器10への送風手法としては、トナー補給容器10を画像形成装置100に装着後、トナー補給容器10の容量が1リットルの場合に、1分間に5リットルの割合で、送風処理を行う。さらに、1週間ごとに定期的に上記送風処理を行うことによって、画像形成装置100内での珪素化合物の拡散を大幅に低減させ、帯電ムラの発生を抑えることができる。
【0055】
感光体ドラム20は、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に支持され、その表面に静電潜像ひいてはトナー像が形成される感光膜を有するローラ状部材である。感光体ドラム20には、たとえば、図示しない導電性基体と、導電性基体表面に形成される図示しない感光膜とを含むローラ状部材を使用できる。導電性基体には、円筒状、円柱状、シート状などの導電性基体を使用でき、その中でも円筒状導電性基体が好ましい。感光膜としては、有機感光膜、無機感光膜などが挙げられる。
【0056】
有機感光膜としては、電荷発生物質を含む樹脂層である電荷発生層と、電荷輸送物質を含む樹脂層である電荷輸送層との積層感光体ドラム、1つの樹脂層中に電荷発生物質と電荷輸送物質とを含む単層感光体ドラムなどが挙げられる。無機感光膜としては、酸化亜鉛、セレン、アモルファスシリコンなどから選ばれる1種または2種以上を含む膜が挙げられる。導電性基体と感光膜との間には、下地膜を介在させてもよく、感光膜の表面には主に感光膜を保護するための表面膜(保護膜)を設けてもよい。
【0057】
コロナ帯電器21は、コロナ放電により、感光体ドラム20の表面を所定の極性および電位に帯電させる。コロナ帯電器21としては、ノコ歯状の放電電極を備えるノコ歯型帯電器やタングステンワイヤーを備えるスコロトロン帯電器などが使用できる。
【0058】
図5は、コロナ帯電器21の構造を示す展開斜視図である。
【0059】
コロナ帯電器21は、導電性のシールドケース31、ノコ歯状電極32、グリッド電極33、各種電極を保持する絶縁性の電極保持部材34とから構成されている。シールドケース31は、感光体ドラム20の幅方向(ドラムの回転軸方向)に、ほぼ一致した長さの導電性シールド板であって、感光体ドラム20表面と対向する側が開口されている。ノコ歯状電極32は所定の間隔(2mm)でもって列状に複数の放電用の先鋭突起を有しており、ステンレス(鉄・クロム・ニッケルの合金であって、例えばJIS規格のSUS304などがある)の短冊状の薄板からなる。このようなノコ歯状電極32については、エッチング加工により形成する。
【0060】
このノコ歯状電極32は、複数個の固定用の開口が形成されている。これらの各開口は、絶縁部材にて一体的に形成された電極保持部材34の平面形状部34aに形成された突起部34bに嵌入される。これにより、ノコ歯状電極32が電極保持部材34の平面形状部34aにシールドケース31より電気的に絶縁された状態で位置決め保持(固定)される。
【0061】
コロナ帯電器としては、上記に示すノコ歯状電極を用いるノコ歯型帯電器以外に、チャージャーワイヤーを放電電極として用いる帯電器などが使用できる。
【0062】
また、電極保持部材34には、グリッド電極33をシールドケース31及びノコ歯状電極32に対し電気的に絶縁して保持するためのグリッド電極保持部35が、一体的に形成されている。このグリッド電極保持部35は、グリッド電極33の両端に形成された開口部33aに対応して形成された係止用の返しを有する係止部35aがそれぞれ形成されている。このグリッド電極保持部35を弾性変形させることで、グリッド電極33の開口部33aに係止部35aを挿通させ、弾性変形を解除することで弾性力によりグリッド電極33を所定の張力でもって保持することになる。
【0063】
上記グリッド電極33は、上述したノコ歯状電極32のようにステンレスの短冊状の薄板をエッチング加工により、メッシュ状の開口を均一に形成している。そして電極保持部材34に一体成型されているグリッド電極保持部35を弾性変形させることで、グリッド電極33に形成された開口に挿入して係合させ、弾性力により張架される。
【0064】
なお、位置決め部材36は、シールドケース31の両端縁に対応し位置され、電極保持部材34をシールドケース31内に位置決めするために、電極保持部材34に一体成型されている。
【0065】
以上の構造のコロナ帯電器21の組み立てにおいては、まず電極保持部材34の平面形状部34aの突起にノコ歯状電極32に形成された開口を嵌入させて保持し、ノコ歯状電極32を保持した状態で上記シールドケース31内の所定の位置に位置決め部材36がシールドケース31の端縁にて位置決めされて収容される。そしてグリッド電極保持部35の係止部35aにグリッド電極33の開口部33aを挿入して係合させる。また、バネ端子37は、シールドケースより突出した電極保持部材34に位置するノコ歯状電極32端部に電気的に弾性接触することによって電源を供給するためのバネ端子である。
【0066】
図6は、コロナ帯電器21に電圧供給を行う高圧発生回路を含めた電源供給回路の一例を示すブロック図である。図6に示すようにコロナ帯電器21の電極及びシールドケース31には電源供給回路40より所定の電圧が供給される。図6において、電源供給回路40には、所定の電圧+24Vが供給されている。この供給される電圧+24Vを所定の電圧に変換し出力する高圧発生回路41が電源供給回路40内に設けられている。この高圧発生回路41は、本発明におけるコロナ帯電器21のシールドケース31、ノコ歯状電極32及びグリッド電極33に供給する電圧を発生する。その発生電圧は、各出力端子より所定の電圧が出力される。また、電源供給回路40には、更にコロナ帯電器21のシールドケース31及びノコ歯状電極32に電圧供給する場合には、後に説明するが高圧発生回路41から発生する電圧を調整する電圧調整回路42が設けられている。
【0067】
コロナ帯電器21におけるノコ歯状電極32は、電源供給回路40の出力端子MCに接続され、高電圧Vが供給される。またシールドケース31は、電源供給回路40の出力端子CASEに接続され、高電圧Vcが供給される。さらに、グリッド電極33は、電圧調整回路42の出力端子GRIDに接続され高電圧Vgが供給されている。上記電圧調整回路42は、シールドケース31に供給するための出力端子CASEからの出力電圧を調整するための可変抵抗器VR1、グリッド電極33に供給するための出力端子GRIDからの出力電圧を調整する可変抵抗器VR2を有する。
【0068】
以上の構成の電源供給回路40にてコロナ帯電器21に各種の電圧が供給されることで、ノコ歯状電極32の先鋭突起部よりコロナ放電が生じ、このコロナ放電による全体の電流(トータル電流It)がノコ歯状電極32に流れる。この場合、グリッド電極33に流れるグリッド電流Igは、出力端子GRIDより出力される電圧を電圧調整回路42の可変抵抗器VR2を適宜設定することで調整できる。また同様に、コロナ放電によりシールドケース31にも放電にかかるケース電流Icが流れる。このケース電流Icにおいても供給される電圧を、可変抵抗器VR1を調整することで制御できる。
【0069】
ノコ歯状電極21に高電圧を供給しコロナ放電が生じることで流れる電流Itは、上述したシールドケース31及びグリッド電極33にそれぞれ流れるケース電流Ic及びグリッド電流Igの和に等しくなる。つまり、コロナ放電によりノコ歯状電極21に流れる電流(トータル電流)Itは、シールドケース31及びグリッド電極33へと分配して流れる。トータル電流Itは、ケース電流Icと、グリッド電流Igとに分配され、以下の式(1)で表される。
【0070】
It=Ic+Ig … 式(1)
【0071】
従って、トータル電流Itを一定にすることで、ノコ歯状電極21に流れる電流を一定に制御できるため、電源供給回路40の高圧発生回路41においては、定電流制御部を備えた定電流制御を行っている。
【0072】
露光装置22には、光源を含むレーザスキャニング装置が用いられる。レーザスキャニング装置は、たとえば、光源、ポリゴンミラー、fθレンズ、反射ミラーなどを組合せた装置である。光源としては、たとえば、半導体レーザ、LEDアレイ、エレクトロルミネッセンス(EL)素子などを使用できる。
【0073】
露光装置22は、スキャナ部29において読み取られる原稿の画像情報または外部機器からの画像情報が入力され、画像情報に応じた信号光を、帯電状態にある感光体ドラム20表面に照射する。これによって、感光体ドラム20表面に、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0074】
転写装置23は、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、かつ図示しない駆動手段によって回転可能に設けられ、かつ感光体ドラム20に圧接するように設けられるローラ状部材である。転写装置23には、たとえば、直径8〜10mmの金属製芯金と、金属製芯金の表面に形成される導電性弾性層とを含むローラ状部材が用いられる。金属製芯金を形成する金属としては、ステンレス鋼、アルミニウムなどを使用できる。導電性弾性層としては、エチレン−プロピレンゴム(EPDM)、発泡EPDM、発泡ウレタンなどのゴム材料にカーボンブラックなどの導電材を配合したゴム材料を使用できる。感光体ドラム20と転写装置23との圧接部(転写ニップ部)に、感光体ドラム20の回転によってトナー像が搬送されるのに同期して、給紙トレイ28から図示しないピックアップローラおよびレジストローラを介して記録媒体が1枚ずつ供給される。
【0075】
記録媒体が転写ニップ部を通過することによって、感光体ドラム20表面のトナー像が記録媒体に転写される。転写装置23には図示しない電源が接続され、トナー像を記録媒体に転写する際に、トナー像を構成するトナーの帯電極性とは逆極性の電圧を転写装置23に印加する。これによって、トナー像が記録媒体に円滑に転写される。転写装置23によれば、感光体ドラム20表面のトナー像を記録媒体に転写する。
【0076】
クリーニング装置24は、図示しないクリーニングブレードと、図示しないトナー貯留槽とを含む。クリーニングブレードは、感光体ドラム20の長手方向に平行に延び設けられ、かつその短手方向の一端が感光体ドラム20表面に当接するように設けられる板状部材である。クリーニングブレードは、記録媒体にトナー像を転写した後に感光体ドラム20表面に残留するトナー、紙粉などを感光体ドラム20表面から取り除く。トナー貯留槽は内部空間を有する容器状部材であり、クリーニングブレードによって除去されるトナーを一時的に貯留する。クリーニング装置24によって、トナー像を転写した後の感光体ドラム20表面が清浄化される。
【0077】
定着装置25は、定着ローラ26と、加圧ローラ27とを含む。定着ローラ26は、図示しない支持部材によって回転自在に支持され、かつ図示しない駆動手段によって軸線回りに回転可能に設けられるローラ状部材である。定着ローラ26は、その内部に図示しない加熱部材を有し、転写ニップ部から搬送される記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱し、溶融させて記録媒体に定着させる。定着ローラ26としては、たとえば、芯金と、弾性層とを含むローラ状部材を使用する。芯金は、鉄、ステンレス、アルミニウムなどの金属によって形成される。弾性層は、たとえば、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの弾性材料で形成される。加熱部材は図示しない電源から電圧印加を受けて発熱する。加熱部材にはハロゲンランプ、赤外線ランプなどを使用できる。
【0078】
加圧ローラ27は、回転自在に支持され、かつ図示しない加圧部材によって定着ローラ26に対して圧接するように設けられるローラ状部材である。加圧ローラ27は定着ローラ26の回転に従動回転する。定着ローラ26と加圧ローラ27との圧接部が定着ニップ部である。加圧ローラ27は、定着ローラ26によるトナー像の記録媒体への加熱定着に際し、溶融状態にあるトナーを記録媒体に対して押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を促進する。加圧ローラ27には、定着ローラ26と同じ構成のローラ状部材を使用できる。加圧ローラ27の内部にも加熱部材を設けてもよい。加熱部材には定着ローラ26内部の加熱部材と同様のものを使用できる。
【0079】
定着装置25によれば、トナー像が転写された記録媒体を定着ニップ部に通過させ、トナー像を構成するトナーを溶融させるとともに、記録媒体に押圧することによって、トナー像を記録媒体に定着させ、画像を印刷する。画像が印刷された記録媒体は、図示しない搬送手段によって、画像形成装置100の鉛直方向側面に設けられる排紙トレイ30に排出され、積載される。
【0080】
給紙トレイ28は、普通紙、被覆紙、カラーコピー用紙、OHPフィルムなどの記録媒体を収容するトレイである。給紙トレイ28は複数設けられ、それぞれの給紙トレイ28にサイズの異なる記録媒体が収容される。記録媒体のサイズには、A3、A4、B5、B4などがある。また、複数の給紙トレイ28に同じサイズの記録媒体を収容してもよい。図示しないピックアップローラと、搬送ローラと、レジストローラとによって、感光体ドラム20表面のトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、記録媒体が1枚ずつ送給される。
【0081】
スキャナ部29には図示しない原稿セットトレイ、自動反転原稿搬送装置(RADF:Reversing Automatic Document Feeder)などが設けられるとともに、図示しない原稿読み取り装置が設けられる。
【0082】
自動原稿搬送装置は、原稿セットトレイに載置される原稿を、原稿読み取り装置の原稿載置台に搬送する。原稿読み取り装置は、原稿載置台と、原稿走査装置と、反射部材と、光電変換素子(CCD:Charge Coupled Device)ラインセンサなどを含み、原稿載置台に載置される原稿の画像情報を複数ライン毎、たとえば10ライン毎に読み取る。原稿載置台は、画像情報を読み取る原稿を載置するためのガラス製板状部材である。原稿走査装置は図示しない光源と第1の反射ミラーとを含み、原稿載置台の鉛直方向下面に沿って平行に一定速度Vで往復移動し、原稿載置台に載置される原稿の画像形成面に光を照射する。
【0083】
光の照射によって反射光像が得られる。光源は原稿載置台に載置される原稿に照射する光の光源である。第1の反射ミラーは反射光像を反射部材に向けて反射する。反射部材は、図示しない第2の反射ミラーと第3の反射ミラーと光学レンズとを含み、原稿走査装置で得られる反射光像を光電変換素子ラインセンサ上で結像させる。反射部材は原稿走査装置の往復移動に追随してV/2の速度で往復移動する。第2,第3の反射ミラーは反射光像が光学レンズに向うように反射光像を反射させる。光学レンズは反射光像を光電変換素子ラインセンサ上に結像させる。CCDラインセンサは、光学レンズによって結像される反射光像を電気信号に光電変換する図示しないCCD回路を含み、画像情報である電気信号を制御手段の中の画像処理部に出力する。画像処理部は、原稿読み取り装置またはパーソナルコンピュータなどの外部装置から入力される画像情報を電気信号に変換し、露光装置22に出力する。
【0084】
以上、本発明の画像形成装置にあっては、コロナ帯電器の放電電極に汚染物が付着し、均一な放電を妨げられることがないので、放電を帯電ムラが起こりにくく、黒筋のない安定した画像が長期にわたって得られる。また、オゾン発生量が少なく良好な環境を与えることができるノコ歯帯電器は、放電電極が針状となっていることから、不純物の付着が先端部に集中し、帯電無ムラが生じやすいが、本発明の画像形成装置にあっては、オゾン発生量が少なく、黒筋のない安定した画像が長期にわたって得られる。
【実施例】
【0085】
画像形成装置100を用いて、トナー補給容器10への送風操作を行った後、50K枚のエージングテストを行った。尚、実施例および比較例に使用したトナーは以下に示す方法で作製した。
【0086】
<トナー>
バインダー樹脂(ビスフェノールAプロピレンオキサイド、テレフタル酸および無水トリメリット酸を単量体として重縮合して得られるポリエステル樹脂:ガラス転移温度60℃、軟化温度130℃)100重量部、カーボンブラック(三菱化学製:MA−100)6重量部、帯電制御剤(日本カーリット社製:LR−147)2重量部、及びポリプロピレンワックス(三洋化成製:ビスコール550P)2重量部の材料を、気流混合機(三井鉱山社製:ヘンシェルミキサ)にて10分間混合した。混合物を混練分散処理装置(三井鉱山株式会社製:ニーディックスMOS140−800)で溶融混練し、その混練物を冷却させた後、カッティングミルで粗粉砕した。粗粉砕物は、微粉砕機(三井鉱山社製:CGS)によって微粉砕し、風力分級機(ホソカワミクロン社製:TSPセパレータ)を用いて分級を行うことによって体積平均粒径が6.5μm、BET比表面積が1.8m/gの着色樹脂粒子を作製した。尚、体積平均粒径はコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター株式会社製)で測定した。
【0087】
上記着色樹脂粒子100重量部にヘキサメチルジシラザンで疏水化処理された疎水性シリカ微粒子(アエロジル社製R8200、個数平均粒径が12nm)2重量部を、気流混合機(三井鉱山社製:ヘンシェルミキサ)に投入し、攪拌羽根の先端速度を15m/秒に設定し、2分間混合した。
【0088】
<キャリア>
実施例および比較例で用いたキャリアは、次に示す方法により作製した。まず、フェライト原料をボールミルにて混合した後、ロータリーキルンにて900℃で仮焼し、得られた仮焼粉を、湿式粉砕機により粉砕媒体としてスチールボールを用いて平均粒径2μm以下にまで微粉砕した。得られたフェライト微粉末をスプレードライ方式により造粒し、造粒物を1300℃で焼成した。焼成後、クラッシャを用いて解砕し、体積平均粒子径が約50μm、体積抵抗率が1×10Ω・cmのフェライト成分からなるコア粒子を得た。
【0089】
次にコア粒子を被覆するための被覆用塗液として、シリコーン樹脂(商品名:TSR115、信越化学社製)をトルエンに溶解および分散し、被覆用塗液を調製した。スプレー被覆装置により、コア粒子100重量部に対して、前記被覆用塗液5重量部(シリコーン樹脂換算)をスプレーし、前記コア粒子を被覆した。トルエンを完全に蒸発除去し、体積平均粒子径が50μm、シリコーン樹脂の膜厚が1μm、飽和磁化65emu/g、のキャリアを作製した。
【0090】
<二成分現像剤>
トナーは、キャリアと混合することによって二成分現像剤を作製した。二成分現像剤の混合方法については、トナー6重量部とキャリア94重量部とをナウターミキサー(商品名:VL−0、ホソカワミクロン社製)に投入し、20分間攪拌混合することによって作製した。
【0091】
<画像評価>
作製したトナー300gを、25℃65%の環境条件下で1週間保管した後、容量が1リットルのトナー補給容器10に詰め込み、画像形成装置100に装着後、1分間に5リットルの割合で、送風処理を行い、50K枚の連続プリントテストを行った。画像形成装置100の現像条件として、感光体の周速を200mm/秒、現像ローラの周速280mm/秒、感光体と現像ローラのギャップを0.42mm、現像ローラと規制ブレードのギャップを0.5mmとなるように設定し、ベタ画像(100%濃度)における紙上のトナー付着量が0.5mg/cm、非画像部におけるトナー付着量が最も少なくなる条件に、感光体の表面電位および現像バイアスをそれぞれ調整した。プリント試験紙として、A4サイズの電子写真用紙(マルチレシーバー:シャープドキュメントシステム社製)を使用し、プリントする画像として、紙の上に記録されるプリント画像のカバレージが6%となるテキスト画像を使用した。
【0092】
50K枚連続プリントテストにおいては、50K枚全ての画像において黒筋の発生は全く見られなかった。50K枚後のコロナ帯電器(ノコ歯帯電器)の放電電極をSEMで観察すると、先端部分に付着物は確認できなかった(図7参照)。
【0093】
<比較例>
画像形成装置100とは送風機構および排気機構のない点を除いて、全く同じ構成の画像形成装置を用いて、トナー補給容器の送風処理を行わない以外は、実施例と同じ方法で50K枚連続プリントテストを行った結果、50K枚全ての画像において黒筋の発生がられた。50K枚後のコロナ帯電器(ノコ歯帯電器)の放電電極をSEMで観察すると、先端部分に放射状の付着物が観察された(図8参照)。尚、先端に付着していた不純物については、SEM−EDXで分析した結果、Si元素とO元素が明確なピークで検出された。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】現像装置とトナー補給容器の構成を示す断面図である。
【図3】図1におけるトナー補給容器と、送風機構と、排気機構の拡大図である。
【図4】図3におけるトナー補給容器と、送風機構と、排気機構の分解斜視図である。
【図5】コロナ帯電器の構造を示す展開斜視図である。
【図6】コロナ帯電器に電圧供給を行う高圧回路を含めた電源供給回路の一例を示すブロック図である。
【図7】実施例におけるプリントテスト後の先端に付着物のないノコ歯型帯電器のSEM写真である。
【図8】比較例におけるプリントテスト後の先端に付着物のあるノコ歯型帯電器のSEM写真である。
【符号の説明】
【0095】
1 現像装置
2 現像槽
3 現像ローラ
4 第1撹拌部材
5 第2撹拌部材
6 搬送部材
7 規制部材
8 トナー濃度検知センサ
9 流し板
10 トナー補給容器
11 トナー収容器
12 送風機構
13 排気機構
14 トナー補給ローラ
15 トナー汲み上げローラ
16 吸気口
17 排気口
18 吸気口連結部材
18a スカート
19 排気口連結部材
19a スカート
20 感光体ドラム
21 コロナ帯電器
22 露光装置
23 転写装置
24 クリーニング装置
25 定着装置
28 給紙トレイ
29 スキャナ部
30 排紙トレイ
31 シールドケース
32 ノコ歯状電極
33 グリッド電極
33a 開口部
34 電極保持部材
34a 平面形状部
35 グリッド電極保持部
35a 係止部
40 電源供給回路
41 高圧発生回路
42 電圧調整回路
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から空気を取り入れる吸気口と内部の空気を外部へ排出する排気口とを備える脱着可能なトナー補給容器と、
前記吸気口に空気を送る送風機構と、
前記排気口から空気を排出する排気機構と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記排気口が、トナーを通さないフィルターを備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記吸気口が、トナー補給容器内部から外部へのトナー流出を抑える空気弁、もしくはトナーを通さないフィルターを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記送風機構が、外部の空気を送り込む送風ファンと、該送風ファンにより送り込まれた空気を前記吸気口まで導く送風管と、該送風管を前記吸気口に連結する連結部材とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記吸気口連結部材が、トナー補給容器の吸気口周辺を密閉するスカートを備え、該スカートが弾性を有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排気機構が、前記排気口から排出される空気を浄化する空気浄化フィルターと、排気空気を外部へ導く排気管と、前記排気口と排気管を連結する排気口連結部材とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記空気浄化フィルターが、活性炭フィルターであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記排気口連結部材が、トナー補給容器の排気口周辺を密閉するスカートを備え、該スカートが弾性を有することを特徴とする請求項6または7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記送風機構が、外部空気の湿気を除去する湿度除去フィルターを備えることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記湿度除去フィルターが、シリカゲルもしくは塩化カルシウムを含むことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー補給容器を収容し、該トナー補給容器内に空気を送る送風機構と、該トナー補給容器内の空気を排出する排気機構とを備える画像形成装置に使用されるトナー補給容器であって、
前記送風機構により送られる空気を取り入れる吸気口と、前記排気機構に空気を排出する排気口とを備えることを特徴とするトナー補給容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−116046(P2009−116046A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−289115(P2007−289115)
【出願日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】