説明

画像形成装置及びドライバプログラム

【課題】形成する画像の種類に応じて適切な画質での画像形成を簡便にかつ効率よく行うことのできる画像形成装置等を提供する。
【解決手段】トナーにより画像形成を行う画像形成装置が、画像形成の対象である画像の種類毎に、受信した印刷データから画素毎に表現された画像データを生成する生成手段と、生成された画像の種類毎の画像データを格納する格納手段と、並行して印字処理を行うことにより媒体に対する画像形成を実行する複数の印字手段であって、それぞれが、同色のトナーを収容する現像ユニットを備え、格納手段に格納されたいずれかの画像の種類の画像データに基づいて印字処理を行う印字手段と、格納手段に格納された各画像の種類の画像データを、それぞれ、適切な各印字手段に引き渡す制御手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンデム式の画像形成装置等に関し、特に、形成する画像の種類に応じて適切な画質での画像形成を簡便にかつ効率よく行うことのできる画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
ページ単位で印刷処理を実行するいわゆるページプリンタには、画像データに基づいて印刷媒体に印刷を行う印刷処理を色毎に並行して行う、いわゆるタンデム式の装置がある。かかるタンデム式のプリンタでは、蓄積した画像データを読み出して解凍などの各処理を施す回路等が色数分用意され、色毎に独立して処理が実行される。例えば、CMYKの4色による印刷の場合には、4式の回路が各色のデータについて処理を並行して行う。処理後のデータは印刷エンジンに送られるが、印刷エンジン側にも4色分の各印字部が用意され、それらが同期を取りながら、それぞれ、前記データに基づいて一つの印刷媒体や中間媒体への印字処理を行う。従って、通常、上記各印字部には、対応する色のトナーを収容したトナーカートリッジが1つずつ装着されている。かかるタンデム式の画像形成装置については、下記特許文献1などに記載されている。
【0003】
一方、このような画像形成装置が形成する画像には、一般に、テキスト、グラフィック、及びイメージの3種類がある。テキストは、いわゆる文字であり、画像形成を要求するホスト装置等においてテキストデータとして扱われているものを意味する。グラフィックは、いわゆる図形、グラフ等であり、前記ホスト装置等においてグラフィックデータとして扱われているものを意味する。また、イメージは、いわゆる写真等であり、前記ホスト装置等においてイメージデータとして扱われているものを意味する。そして、それら3つの画像の種類に対しては、それぞれ求められる画質が異なっている。すなわち、一般的には、イメージに対して最も精巧で品質の高い画質が要求され、グラフィックに対してはイメージに次いで高品質が要求され、テキストついてはあまり高い品質は要求されない。
【特許文献1】特開平8−192542号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、上記画像の種類に適した画像形成を行うためには、モノクロなど同じ色で画像形成を行う場合にも画像の種類によって使用するトナーやトナーカートリッジを区別することが好ましい。
【0005】
しかしながら、前述した従来のタンデム式画像形成装置においては、一般に、同色のトナーカートリッジを複数装着しないので、このような画像の種類による区別を行うことができなかった。すなわち、画像の種類に応じた適切な画質での画像形成が十分に行われていなかった。例えば、黒のトナーカートリッジとして高品質で高価なものが装着されている場合に、黒のテキストについて画像形成を行うと、高品質なトナーカートリッジが使用されることとなり、必要以上の画質での画像形成を行って高コストを招く結果となった。また、かかる場合に、品質の低いトナーカートリッジを使用することもできるが、人手でトナーカートリッジの交換が必要であり手間がかかるという課題があった。
【0006】
また、タンデム式に限らず画像形成装置において、従来は、上述のような画像の種類によるトナーカートリッジの使い分けは考慮されていなかった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、形成する画像の種類に応じて適切な画質での画像形成を簡便にかつ効率よく行うことのできる画像形成装置等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの側面は、受信した印刷データに基づきトナーにより画像形成を行う画像形成装置が、前記画像形成の対象である画像の種類毎に、前記受信した印刷データから画素毎に表現された画像データを生成する生成手段と、前記生成された画像の種類毎の画像データを格納する格納手段と、並行して印字処理を行うことにより媒体に対する前記画像形成を実行する複数の印字手段であって、それぞれが、同色の前記トナーを収容する現像ユニットを備え、前記格納手段に格納されたいずれかの画像の種類の画像データに基づいて前記印字処理を行う印字手段と、前記格納手段に格納された各画像の種類の画像データを、それぞれ、適切な前記各印字手段に引き渡す制御手段とを有することである。従って、本発明によれば、1色で画像形成をする際にも、画像の種類に応じて適切な現像ユニットが自動的に使い分けられ、画像の種類に適した画質での画像形成を簡便に行うことが可能となる。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の別の側面は、トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置が、前記画像形成の対象である画像の種類毎に分割された画像データを格納する格納手段と、並行して印字処理を行うことにより媒体に対する前記画像形成を実行する複数の印字手段であって、それぞれが、同色の前記トナーを収容する現像ユニットを備え、前記格納手段に格納されたいずれかの画像の種類の画像データに基づいて前記印字処理を行う印字手段と、前記格納手段に格納された各画像の種類の画像データを、それぞれ、適切な前記各印字手段に引き渡す制御手段とを有することである。
【0010】
更に、上記の発明において、一つの態様は、前記制御手段が、前記印字手段に備えられる現像ユニットの種類に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定することを特徴とする。
【0011】
また、上記の発明において、別の態様は、前記制御手段が、前記印字手段に備えられる現像ユニットが収容するトナーの種類に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定することを特徴とする。
【0012】
更にまた、上記の発明において、別の態様は、前記制御手段が、前記印字手段に備えられる現像ユニットが収容するトナーの残量に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定することを特徴とする。
【0013】
更に、上記の発明において、好ましい態様は、前記トナーの残量に基づく印字手段の決定が、前記トナーの残量に関する前記複数の印字手段内での順位に基づいて決定することであることを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の更に別の側面は、画像形成装置に対して画像形成要求を行なうホスト装置に、前記画像形成装置へ送信する画像データの生成処理を実行させるドライバプログラムが、前記画像形成装置が画像形成の対象である画像の種類毎に処理を分割して行う場合に、前記画像の種類毎に前記画像データを生成する処理を、前記ホスト装置に実行させることである。
【0015】
本発明の更なる目的及び、特徴は、以下に説明する発明の実施の形態から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。なお、図において、同一又は類似のものには同一の参照番号又は参照記号を付して説明する。
【0017】
図1は、本発明を適用した画像形成装置であるプリンタの実施の形態例にかかる構成図である。図1に示すプリンタ2が本発明を適用した画像形成装置であり、ホストコンピュータ1からの印刷要求等に基づいて、所定の印刷媒体に対して画像の形成を行なう装置である。かかるプリンタ2は、複数の印字部41を有するいわゆるタンデム式の装置であり、これら複数の印字部41に同色のトナーカートリッジ411を装着し、印字を行う画像の種類に応じて適切なトナーカートリッジ411を装着した印字部を使用することによって、各画像種類に応じた適切な画質での印刷を簡便に行おうとするものである。なお、本実施の形態例では、印字処理を行う対象には、前述したテキスト、グラフィック、及びイメージの3種類があり、これら印字処理を行う画像の種類のことを、以降、印字種類と称することとする。
【0018】
図1に示すホストコンピュータ1は、プリンタ2に対して印刷要求を行なうホスト装置であり、ユーザ操作等に基づいて印刷対象の印刷データをプリンタ2に送信する。なお、ホストコンピュータ1は、所謂パーソナルコンピュータなどで構成することができる。ホストコンピュータ1内のプリンタドライバ11は、ホストコンピュータ1内のアプリケーション(図示せず)などからのデータを受け取って、プリンタ2に送信する上記印刷データを生成する部分である。ここで生成される印刷データは、ページ記述言語(PDL)で表現されたものであり、印刷対象がオブジェクト毎に記述されているので、印刷対象の前記印字種類を識別することが可能である。なお、プリンタドライバ11は、上記機能に関する処理をホストコンピュータ1に実行させるプログラムであり、上記機能は、当該プログラムに従ってホストコンピュータ1の制御装置(図示せず)が処理を実行することによって達成される。
【0019】
プリンタ2は、前記ホストコンピュータ1から送信される印刷データを受信して、ページ単位で印刷を実行するタンデム式ページプリンタであり、図1に示すように、コントローラ3と印刷エンジン4が備えられている。コントローラ3には、I/F31、RAM32、ROM33、バッファメモリ34(格納手段)、CPU35(生成手段、制御手段)、及び4式のエンジンインターフェース36A〜36D(印字手段)が備えられる。I/F31は、ホストコンピュータ1から送信される前記印刷データを受信する部分であり、RAM52は、コントローラ3のメインメモリとして各種情報を一時的に記憶する部分であり、また、ROM33は、プリンタ2を制御するための各種プログラムを記憶する部分である。
【0020】
バッファメモリ34は、前記受信した印刷データ及び当該印刷データを画素毎のデータに展開した画像データ(以降、画素データと称することとする)等を格納するメモリである。ここに格納される画素データは、圧縮された状態で後述するエンジンインターフェース36に引き渡すまで保持されるが、本プリンタ2がページプリンタであることから1ページ単位で管理される。また、本プリンタ2では、後述するように、全ての印字部41に黒のトナーカートリッジ411が装着されモノクロ印刷を行うため、当該画素データは、黒色のデータで構成されるが、この黒色の画素データが、さらに、印字種類毎に分割されて格納されている。従って、上記1ページ分の画素データが、テキスト、グラフィック、及びイメージの3種類に分割されており、この点が本プリンタ2の大きな特徴の一つである。
【0021】
CPU35は、本プリンタ2において行われる各種処理を制御する部分であるが、特に、前記受信した印刷データから印字種類毎に分割された画素データを生成するまでの処理を司る。かかる処理の具体的な内容については後述するが、この処理内容も本プリンタ2における大きな特徴である。なお、CPU35が実行する処理は、主に前記ROM33に記憶されたプログラムに従って行われるものである。
【0022】
次に、エンジンインターフェース36は、印刷エンジン4で印刷を実行する際に、所定のタイミングで前述したバッファメモリ34に格納されている画素データを読み出し、それらに所定の処理を施した後に印刷エンジン4へ引き渡す、コントローラ3と印刷エンジン4とのインターフェースを司る部分である。このエンジンインターフェース36は、図1に示すように、4式設けられ、それらが並行して処理を実行できる構成となっており、各エンジンインターフェース36で処理されたデータは、それぞれ、同期の取れたタイミングで対応する各印字部41へ出力される。
【0023】
そして、本プリンタ2では、印字種類毎にこれら4式のエンジンインターフェース36A〜36Dのいずれかが割り当てられる。すなわち、バッファメモリ34に分割されて格納されるテキスト、グラフィック、及びイメージの各画素データが、それぞれ、異なるエンジンインターフェース36に出力されて処理がなされる。例えば、モノクロで印刷しようとするページにテキストとグラフィックの両方が含まれている場合には、当該ページの印刷処理時に、テキストの画素データはエンジンインターフェース36Aに出力され、グラフィックの画素データはエンジンインターフェース36Bに出力される、というような処理がなされる。
【0024】
なお、この各エンジンインターフェース36には、図示していないが、データを一時的に格納するメモリ、解凍部、スクリーン処理部等が備えられ、バッファメモリ34から読み出した画素データに対して、圧縮されたデータの解凍、ドットのデータへ変換するスクリーン処理などがなされる。また、エンジンインターフェース36は、具体的には、ASICで構成されている。
【0025】
以上説明したコントローラ3の各部は、図1に示すように、相互にデータ授受可能に接続されている。
【0026】
次に、印刷エンジン4は、エンジンインターフェース36から出力されたデータに基づく印字処理を実行し、紙などの印刷媒体に対する画像形成を行う部分である。かかる印刷エンジン4には、前記4式のエンジンインターフェース36A〜36Dに対応する4式の印字部41A〜41D(印字手段)、各印字部41のトナー像を印刷媒体に転写する転写ユニット、印刷媒体の供給、排出を行う搬送ユニット等が備えられる。また、各印字部41は、感光ドラム、帯電ユニット、露光ユニット、現像装置等で構成され、現像装置には、現像材であるトナーを収容するトナーカートリッジ411(現像ユニット)が脱着可能に装着される。なお、転写ユニットを設けずに、各印字部41から直接印刷媒体に転写する構成としてもよい。
【0027】
このように、印刷エンジン4は、概ね従来のタンデム式プリンタにおけるエンジンと同様の構成をしているが、本印刷エンジン4の各印字部41には全て同色の、例えば、黒色のトナーカートリッジ411が装着可能であり、1ページの印字処理を行う際に、各印字部41が色によって使い分けられるのではなく、印字種類によって使い分けられる点が、従来装置とは大きく異なる点である。したがって、モノクロの1ページの印字処理を行う際に、当該ページに複数の印字種類が含まれている場合には、各印字種類に割り当てられた複数の印字部41が並行して動作し、当該ページの印字処理を行うことになる。
【0028】
以上説明したような構成を有する本実施の形態例に係るプリンタ2は、このように、印刷対象のデータを印字種類毎に分割し、分割されたデータに対してタンデム方式の並行処理を行うことに特徴があり、以下、プリンタ2における具体的な処理内容について説明する。
【0029】
図2は、プリンタ2における処理内容を例示したフローチャートである。また、図3は、当該処理内容を説明するためにデータを模式的に示した図である。以降、図2及ぶ図3に基づいて、1ページのモノクロ印刷を行う場合の処理について説明する。まず、ホストコンピュータ1から送信される前述した印刷データ(PDLデータ)をI/F31が受信する(ステップS10)。例えば、図3の(A)に示すような印刷を行うためのPDLデータを受信する。受信した印刷データは、一旦、バッファメモリ34に格納される。
【0030】
次に、CPU35は、当該印刷データを印字種類毎に分割する(ステップS20)。図3に示す例では、受信したデータ(図3の(A))にテキスト、グラフィック、及びイメージの印字種類が含まれるので、図3の(B)に示すように、1ページのデータが3つに分割される。すなわち、テキストである図3の(A)におけるaとcに相当するデータと、グラフィックであるbに相当するデータと、イメージであるdに相当するデータに分割される。
【0031】
このように分割されたデータに基づいて、CPU35は、各印字種類についての画素データを生成する(ステップS30)。すなわち、オブジェクト毎に表現されたデータを各画素の濃度値のデータに変換する。ここではモノクロでの印刷であるので、1画素が黒の濃度値(例えば、0〜255の値)で表現される。図3の例では、(B)に示す分割された3つデータに対して、それぞれ、画素データが生成される。そして、印字処理の対象ページについて、テキストの画素データ、グラフィックの画素データ、及びイメージの画素データができあがる。
【0032】
生成された各画素データは、圧縮処理され(ステップS40)、容量が小さくなった状態でバッファメモリ34の所定箇所に収められる(ステップS50)。例えば、次に印字処理をするページについて印字種類毎に定められた領域にそれぞれ格納される。図3の例では、(C)に、圧縮後の各印字種類の画素データがバッファメモリ34に格納されている状態が例示されている。このように、本プリンタ2では、画素データが印字種類毎に分割されて保持される。
【0033】
以上説明した画素データの格納までの処理が、本プリンタ2における前段の処理であり、以降、後段の処理は、印刷エンジン4の動作に同期した一連の動作として、所定のタイミングで開始される。まず、この後段の処理が開始されると、CPU35は、印字種類毎の各画素データに対して、それらの印字処理を行う印字部41を決定する(ステップS60)。より具体的には、印字種類に適したトナーカートリッジ411を装着する印字部41をその印字種類の画素データを処理する印字部41として決定する。すなわち、この処理によって、各印字種類の画素データが、エンジンインターフェース36と印字部41とからなる4系統の処理ラインのいずれかの処理ラインに振り分けられる。図3の例では、(C)に示す各印字種類の画素データが、例えば、テキストについては印字部41Aに、グラフィックについては印字部41Bに、イメージについては印字部41Cに割り当てられる。
【0034】
かかる印字部41の決定処理については、印字部41に装着されているトナーカートリッジ411及びそれらの状態に基づいて幾つかの手法で行うことができる。図4は、装着されているトナーカートリッジ411について3つの例を示した図である。以下、図4に基づいて、印字部41の決定方法について説明する。
【0035】
図4の(a)に示す例は、各印字種類に適したトナーカートリッジ、すなわち、テキスト用カートリッジ、グラフィック用カートリッジ、及びイメージ用カートリッジが、それぞれ、印字部41A〜41Cに装着されている場合である。このような場合には、当然にして、画素データの印字種類用のトナーカートリッジ411を装着した印字部41が、その画素データを処理する印字部41として決定される。
【0036】
なお、テキスト用カートリッジには、通常、粒径の大きい(例えば、8μm以上)トナーが収容され、また、現像ローラなどカートリッジの機構部分には比較的安価な部品が用いられる。また、グラフィック用カートリッジには、粒径の大きいトナーが収容されるが、上記カートリッジの機構部分には精度の高い高価なものが用いられている。さらに、イメージ用カートリッジには、粒径の小さい(例えば、8μm未満)トナーが収容され、上記カートリッジの機構部分には精度の高い高価なものが用いられる。
【0037】
かかる決定処理方法において、各トナーカートリッジ411がどの印字種類用のものであるかという情報は、各トナーカートリッジ411が備えるメモリや、コントローラ3または印刷エンジン4のメモリに収められており、CPU35はその情報に基づいて処理を行う。あるいは、各印字種類用のトナーカートリッジ411を装着する印字部41を固定にしておいて、例えば、図4の(a)に示す位置に常に決めておいて、それに従って決定処理を行ってもよい。
【0038】
なお、印字種類に適したトナーカートリッジ411のトナーが残っていない場合には、全てが標準的な標準カートリッジが装着される印字部41Dが選択されるか、あるいは、ユーザに対してトナーがない旨の報告がなされる。このように、以下に説明する場合においても同様であるが、適したトナーカートリッジ411にトナーがない場合には、予め定められたルールに基づいて他のトナーカートリッジ411を装着する印字部41が選択されるか、あるいは、ユーザに対する報告がなされる。また、適したトナーカートリッジ411を装着する印字部41が複数ある場合にも、予め定めたルールに基づいて一つの印字部41を決定する。例えば、印字部41A及び41Dにテキスト用カートリッジが装着されている場合には、テキストの画素データに対して、トナー残量の多いトナーカートリッジ411を装着する印字部41Aあるいは41Dが選択される。
【0039】
次に、図4の(b)に示す例は、粒径の異なるトナーを収容するトナーカートリッジ411が各印字部41に装着されている場合である。かかる場合には、前述のように、トナーカートリッジ411の種類が各印字種類用に識別されているものではないので、トナーの粒径によって各印字種類に適した印字部41を決定する。具体的には、例えば、イメージの画素データについては、高画質が要求されるので、粒径が“極小”のトナーで印字が行われる印字部41Cが選ばれ、グラフィックについては、粒径が“小”のトナーで印字が行われる印字部41Dが選ばれ、また、テキストについては、粒径が“大”のトナーで印字が行われる印字部41Aまたは41Bが選ばれる。このように、各トナーカートリッジ411に収容されるトナーの種類によって決定処理を行ってもよい。なお、粒径など各トナーカートリッジ411に収容されるトナー種類の情報は、前述の場合と同様に、各トナーカートリッジ411が備えるメモリや、コントローラ3または印刷エンジン4のメモリに収められている。
【0040】
次に、図4の(c)に示す例は、各印字部41に装着されるトナーカートリッジ411の種類自体に相異がなく、また、収容されるトナーの種類も同じである場合であり、このような場合には、図に示す各トナーカートリッジ411のトナー残量など、各トナーカートリッジ411のその時点での状態に基づいて印字部41の決定処理を行うことができる。通常、トナー残量が多いほどトナー供給が良好に行われ高品質が期待できるので、例えば、印字種類がイメージについては、トナー残量が50%以上のトナーカートリッジ411を使用し、印字種類がグラフィックについては、トナー残量が30%〜50%のトナーカートリッジ411を使用し、印字種類がテキストについては、トナー残量が30%以下のトナーカートリッジ411を使用するというルールに基づいて、それぞれ、適合するトナーカートリッジ411を装着する印字部41を決定するようにすることができる。この場合、図4の(c)に示すようなトナー残量になっている場合には、例えば、イメージについては、トナーカートリッジ411B(トナー残量:95%>50%)を装着する印字部41Bが選択される。
【0041】
また、図4の(c)においてトナー残量の右側に記載された数字は、装着された4つのトナーカートリッジ411内のトナー残量の多さの順位を示しており、この順位に基づいて印字部41の決定を行ってもよい。例えば、イメージ、グラフィック、テキストの順に高い画質が要求されることから、トナー残量が最も多い、トナー残量順位“1”のトナーカートリッジ411をイメージ用とし、トナー残量順位“2”のトナーカートリッジ411をグラフィック用とし、トナー残量順位“3”のトナーカートリッジ411をテキスト用として前記決定を行うことができる。この方法によれば、図4の(c)に示す例では、テキスト用として印字部41Aが、グラフィック用として印字部41Cが、そして、イメージ用として印字部41Bが決定されることになる。
【0042】
以上説明したような方法により、CPU35による印字部41の決定処理が行われる。なお、かかる決定処理は、印刷エンジン4側で行われるようにしてもよい。
【0043】
図2に戻って、上記決定処理により各印字種類の画素データに対して後段の処理を行う系統が決定されたので、各系統毎に並行して処理が進行し、まず、バッファメモリ34から各印字種類の画素データが、それぞれ、決定された印字部41に対応するエンジンインターフェース36に読み出される(ステップS70)。そして、各エンジンインターフェース36において圧縮されていた画素データの解凍処理(ステップS80)及びスクリーン処理(ステップS90)が順次行われる。図3に示したように、例えば、テキストについては印字部41A、グラフィックについては印字部41B、イメージについては印字部41Cが選択された場合には、エンジンインターフェース36A、36B、及び36Cが、それぞれ、テキスト、グラフィック、及びイメージについて、上記解凍処理及びスクリーン処理を並行して実行する。
【0044】
その後、各エンジンインターフェース36から処理後のデータが、印刷エンジン4での印字処理に同期の取れたタイミングで、対応する各印字部41に出力され、各印字部41では、当該出力されたデータに基づいて印字処理を実行する(ステップS100)。かかる印字処理においては、図3の(D)に示すように、1ページの用紙に、あるいは1ページの用紙に相当する転写ユニット(中間媒体)の範囲に、所定のタイミングで各印字部41が印字処理を順次行っていく。従って、図3の(D)に示す矢印の方向に用紙/中間媒体が移動する場合には、印字部41Aを通過し終わった時点で、当該1ページ分の印字処理が終了する。その後、最終的に、印刷を完了した用紙が本プリンタ2から排出されて当該1ページについての処理を終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態例に係るプリンタ2は、タンデム式の装置構成を有し、複数の印字部41には同色のトナーカートリッジ411が備えられる。そして、印字処理対象のデータが印字種類毎に各印字種類に適したトナーカートリッジ411を装着した印字部41に振り分けられて処理される。したがって、同色の画像であっても、その種類毎に、その種類に適したトナーカートリッジ611及びトナーによる印字が自動的に実行されることとなり、印字種類に適した画質での印字を簡便に行うことが可能となる。さらに、このような印字を、1ページの中に複数の印字種類が混在している場合にも行うことができる。また、同色の印字処理を一つの印字部41で行う場合と印字処理の速度は同じであり、このような印字を効率よく行うことが可能である。
【0046】
なお、本実施の形態例においては、プリンタ2において各印字種類の画素データの生成を行ったが、ホストコンピュータ1側でかかる画素データの生成を行うようにしてもよい。いわゆるホストベースの態様とすることもできる。かかる場合には、図2におけるデータの分割(S20)、画素データの生成(S30)、及びデータの圧縮(S40)の処理を、ホストコンピュータ1のプリンタドライバ11が実行し、その後のデータをプリンタ2に送信する。データを受信したプリンタ2は、圧縮後のデータのバッファメモリ34への格納(図2のステップS50)からの処理を同様に実行する。
【0047】
また、本実施の形態例では、4つの印字部41に全て黒のトナーカートリッジ411が装着されたが、タンデム式の従来の装置のようにCMYKそれぞれのトナーカートリッジを装着し、カラーでの従来と同様の印刷も行えるようにしてもよい。
【0048】
本発明の保護範囲は、上記の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の実施の形態例にかかる構成図である。
【図2】プリンタ2における処理内容を例示したフローチャートである。
【図3】プリンタ2における処理を説明するためにデータを模式的に示した図である。
【図4】装着されているトナーカートリッジ411について3つの例を示した図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ホストコンピュータ、 2 プリンタ、 3 コントローラ、 4 印刷エンジン、 11 プリンタドライバ、 31 I/F、 32 RAM、 33 ROM、 3
4 バッファメモリ(格納手段)、 35 CPU(生成手段、制御手段)、 36 エンジンインターフェース(印字手段)、 41 印字部(印字手段)、 411 トナーカートリッジ(現像ユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信した印刷データに基づきトナーにより画像形成を行う画像形成装置であって、
前記画像形成の対象である画像の種類毎に、前記受信した印刷データから画素毎に表現された画像データを生成する生成手段と、
前記生成された画像の種類毎の画像データを格納する格納手段と、
並行して印字処理を行うことにより媒体に対する前記画像形成を実行する複数の印字手段であって、それぞれが、同色の前記トナーを収容する現像ユニットを備え、前記格納手段に格納されたいずれかの画像の種類の画像データに基づいて前記印字処理を行う印字手段と、
前記格納手段に格納された各画像の種類の画像データを、それぞれ、適切な前記各印字手段に引き渡す制御手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナーを用いて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記画像形成の対象である画像の種類毎に分割された画像データを格納する格納手段と、
並行して印字処理を行うことにより媒体に対する前記画像形成を実行する複数の印字手段であって、それぞれが、同色の前記トナーを収容する現像ユニットを備え、前記格納手段に格納されたいずれかの画像の種類の画像データに基づいて前記印字処理を行う印字手段と、
前記格納手段に格納された各画像の種類の画像データを、それぞれ、適切な前記各印字手段に引き渡す制御手段とを有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2において、
前記制御手段は、前記印字手段に備えられる現像ユニットの種類に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1あるいは請求項2において、
前記制御手段は、前記印字手段に備えられる現像ユニットが収容するトナーの種類に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1あるいは請求項2において、
前記制御手段は、前記印字手段に備えられる現像ユニットが収容するトナーの残量に基づいて、前記画像データを引き渡す適切な印字手段を決定する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記トナーの残量に基づく印字手段の決定は、前記トナーの残量に関する前記複数の印字手段内での順位に基づいて決定することである
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
画像形成装置に対して画像形成要求を行なうホスト装置に、前記画像形成装置へ送信する画像データの生成処理を実行させるドライバプログラムであって、
前記画像形成装置が画像形成の対象である画像の種類毎に処理を分割して行う場合に、
前記画像の種類毎に前記画像データを生成する処理を、前記ホスト装置に実行させる
ことを特徴とするドライバプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−7454(P2006−7454A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184472(P2004−184472)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】