説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】使用中の記録媒体収容手段が空になったことを検知してから記録媒体の供給元を別の記録媒体収容手段に切り換えた場合の記録媒体供給の遅れを短くする。
【解決手段】ユーザから指定された給紙部#1内の用紙の残量があらかじめ警戒閾値以下になったことを検知すると、給紙制御部は、次のページについての給紙元等のスケジューリングを行う際(時刻T2)、給紙部#1内の用紙と同紙種同サイズの用紙を保持する別の給紙部#2を給紙元に選ぶ。そして、以降は、給紙元を給紙部#1と給紙部#2との間で交互に切り換える。この切換を繰り返す間に、給紙部#1の用紙の残量が0になると、給紙制御部は、給紙部#2のみから給紙するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機(プリンタ、スキャナ、複写機等の機能を併せ持つ装置)などの画像形成措置の中には、従来、複数の給紙部(例えば給紙トレイ)に同種、同サイズの用紙をセットすることが可能な装置が存在する。そして、この種の装置の中には、使用中の給紙部が空になった場合に、同種、同サイズの用紙がセットされた別の給紙部から給紙が行われるように切り換える機能を持つものが存在する。
【0003】
特許文献1には、使用中の給紙部の用紙残量が少なくなると、同じサイズ・紙種の用紙が設定されている他の給紙部の情報を表示してユーザに切り換え先の給紙部を指定させる画像形成装置が開示されている。この装置は、使用中の給紙部が空になったことを検知すると、指定された給紙部から給紙するための切換を行う(特に請求項2及び段落0008)。また、特許文献1には、同じサイズ・紙種の給紙部が複数存在する場合において、使用中の給紙部の用紙が少なくなったときに、使用中の給紙部の用紙が少なくなったときに、完全に用紙が無くなっていなくても他の給紙部へ切り替える画像形成装置が開示されている(特に請求項3及び段落0009)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−306573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
供給元の記録媒体供給手段が空になったことを検知してから別の手段に供給元を切り換えたのでは、記録媒体の供給が遅れてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、記録媒体収容手段が空になったことを検知してから記録媒体の供給元を別の記録媒体収容手段に切り換えた場合の記録媒体供給の遅れを、本発明を用いない場合よりも短くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、記録媒体を収容する複数の記録媒体収容手段と、記録媒体の供給元として指定された記録媒体収容手段と同種且つ同サイズの記録媒体を収容した他の記録媒体収容手段を特定する特定手段と、前記特定手段により1以上の他の記録媒体収容手段が特定された場合に、特定された記録媒体収容手段のうちの1以上と、前記指定された記録媒体収容手段と、からなる一群の記録媒体収容手段の中で、各記録媒体収容手段が2枚以上連続して給紙することがないよう、記録媒体の供給元とする記録媒体収容手段を順次切り換える切換制御を行う切換制御手段と、を備える画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記切換制御手段は、前記指定された記録媒体収容手段の記録媒体の残量があらかじめ定められた閾値以下となった場合に前記切換制御を行う、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記切換制御を行っている際に、前記一群の記録媒体収容手段のうちのいずれかの記録媒体の残量が0になった場合に、当該残量が0になった記録媒体収容手段に対する記録媒体の補給を促す表示画面を表示する表示手段、を更に備える。
【0010】
請求項4に係る発明は、記録媒体を収容する複数の記録媒体収容手段を備えた画像形成装置を制御するコンピュータを、記録媒体の供給元として指定された記録媒体収容手段と同種且つ同サイズの記録媒体を収容した他の記録媒体収容手段を特定する特定手段、前記特定手段により1以上の他の記録媒体収容手段が特定された場合に、特定された記録媒体収容手段のうちの1以上と、前記指定された記録媒体収容手段と、からなる一群の記録媒体収容手段の中で、各記録媒体収容手段が2枚以上連続して給紙することがないよう、記録媒体の供給元とする記録媒体収容手段を順次切り換える切換制御を行う切換制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又は4に係る発明によれば、記録媒体収容手段が空になったことを検知してから記録媒体の供給元を別の記録媒体収容手段に切り換えた場合の記録媒体供給の遅れを、本発明を用いない場合よりも短くすることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、指定された記録媒体収容手段から集中的に給紙されることになり、その記録媒体収容手段と、同種且つ同サイズの記録媒体を収容した他の記録媒体収容手段と、の記録媒体の残量が同時期に0になる可能性を低減できる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、給紙を長く続行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1には、本実施形態の制御が適用可能な画像形成装置の一例として、電子写真方式の画像形成装置の一例の概略構成が示される。また、図2には、この画像形成装置のうち、給紙に関する部分が示される。例示する画像形成装置は、ネットワークを介して他の装置(例えばホストコンピュータ)から受け取った印刷データやCD−R等の可搬型の記憶媒体から読み取った印刷データを印刷する印刷機能を備える。また、この画像形成装置は、紙等の原稿を光学的に読み取ってその読取結果の画像を紙に印刷する複写機能を備えていてもよい。
【0015】
図1に例示する装置は、フルカラー印刷が可能な装置であり、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナー用の現像部10を備える。各現像部10は、画像形成装置の動作制御を司る制御部30(図2参照)から画像信号の供給を受け、その画像信号に従って露光装置を駆動することにより感光体上に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーにより現像する。この例では、現像により形成されたトナー像は、中間転写体ベルト12上に転写(一次転写)される。4色の現像部10で現像されたトナー像が、中間転写体ベルト12上の同じ位置に対し、順に重ねて転写されることで、中間転写体ベルト12上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0016】
また、画像形成装置は、画像を記録する用紙や透明シートなどの記録媒体(以下、煩雑さを避けるために「用紙」と総称)を収容して用紙搬送路16へと供給(以下「給紙」と呼ぶ)する給紙部14、を複数備えている。
【0017】
制御部30は、給紙部14からの給紙を制御するための給紙制御部32を備える。給紙制御部32は、例えばページごと等のあらかじめ定められた単位ごとに、その単位に含まれるページの画像信号を各現像部10の露光装置に供給するタイミングと、その単位に含まれるページを印刷する用紙の給紙タイミングとをスケジューリング(すなわちあらかじめ決定)する。そして、各現像部10に対しそれぞれスケジューリングされた画像信号供給タイミングで画像信号を供給すると共に、ユーザの指定等によりあらかじめ選択された給紙部14に対し、スケジューリングされたタイミングで給紙を指示する。一般に、画像信号供給タイミングの方が給紙タイミングより早い場合が多く、特に中間転写体ベルト12を用いる装置の場合は、画像信号供給タイミングが給紙タイミングよりはるかに早くなる。
【0018】
選択された給紙部14は、この給紙指示に応じて用紙を用紙搬送路16へと給紙する。給紙された用紙には、二次転写部18にて中間転写体ベルト12上のトナー像が用紙に転写(二次転写)される。トナー像が転写された用紙は定着部20まで搬送される。定着部20は、用紙上のトナー像を用紙に定着させる。画像が定着された用紙は、図示しない排紙部に排紙されるか、或いは両面印刷の裏面印刷のために反転経路22にて裏返された後、戻し経路24を経由して用紙搬送路16に戻される。
【0019】
図2に示すように、各給紙部14には、それぞれ、当該給紙部14内の用紙残量を検知する残量検知部15が設けられている。残量検知部15は、給紙部14内の用紙の有無を検知する機能を備える。また、残量検知部15は、給紙部14内の用紙の残量があらかじめ設定された警戒閾値以下となったことを検知する機能を更に備えていてもよい。このような残量検知部15としては、従来の画像形成装置で用いられているものを用いればよい。警戒閾値は、給紙部14に設定可能としてもよい。
【0020】
給紙制御部32は、基本的には、ジョブの条件設定の際にユーザが給紙元として指定した給紙部14から用紙を給紙するように制御する。また、ユーザから給紙部14の自動選択が指定された場合は、印刷すべき画像のサイズを、例えば、紙原稿のサイズを読み取ったり印刷データ中に記述されたサイズ属性を読み取ったりすることにより検知し、検知したサイズの用紙を収容した給紙部14から用紙を給紙するように制御する。各給紙部14に収容された用紙のサイズは、給紙部14に設けられた用紙サイズセンサにより検知されており、給紙部14の設定情報の一項目として設定情報記憶部34に記憶されている。また、各給紙部14に収容した用紙の紙種(紙の種類:例えば紙の材質や厚みなどにより規定される種類)は、用紙を給紙部14に補給したユーザ等が操作部26(例えば液晶ディスプレイ等の表示装置と、キーパッドやタッチパネル機構などの入力装置を備える)から設定入力しており、その設定の情報が給紙部14の設定情報の一項目として設定情報記憶部34に記憶されている。給紙制御部32は、設定情報記憶部34に記憶されたそれら給紙部14の設定情報を参照して、ユーザに対して給紙元を指定するための指定画面を提供したり、給紙元の自動選択を行ったりする。なお、以下では、煩雑さを避けるために、ユーザが給紙元として明示的に指定した給紙部、又はユーザからの自動選択の依頼に応じて給紙制御部32が自動選択した給紙部のことを、「指定された給紙部」と総称することとする。
【0021】
なお、この明細書においてジョブとは、ユーザの指示に応じたひとかたまりの印刷処理のことである。例えば、入力された印刷データ中に示される印刷指示(例えば印刷部数の指示など)や、操作部26から入力された印刷指示により指定された処理内容を実行する処理のことである。
【0022】
さて、例えばジョブを実行中に、現在給紙元として使用している給紙部14の用紙残量が0になった場合、その給紙部14と同種の用紙(すなわち紙種及びサイズが同一の用紙)を収容した給紙部14が別にあれば、給紙元をこの給紙部14に切り換えることで、ジョブを継続させることができる。ところが、ここで検知部15が給紙部14の用紙残量が0になったことを検知できるのは、その給紙部14内の最後の用紙を給紙し終わった時点以降であり、画像形成装置の多くの機種では、その検知の時点で、既に次の用紙をその給紙部14から給紙することをスケジューリング済みである。このため、給紙元を別の給紙部14に切り換えるには、元のスケジュールをクリアして、当該別の給紙部14を給紙元として給紙タイミング等の再スケジューリングを行うこととなる。この再スケジューリングのための一連の処理には、ある程度の時間を要するため、現在使用している給紙部14の用紙残量が0となったことを検知した時点で給紙元を別の給紙部14に切り換えたのでは、再スケジュール等に要する期間は印刷することができず、生産性(印刷処理速度等)が低下してしまう。また、例えば、用紙残量0を検知した時点で、既に各現像部10で次の用紙に印刷すべき画像の露光、現像又は一次転写が始まっていると、感光体や中間転写体ベルト12に着いたトナーをいったんクリーニング(清掃)してから、スケジューリングし直す必要があり、再スケジューリング後の給紙は、そのクリーニングに要する時間遅れてしまい、印刷出力もそれに応じて遅れてしまう。
【0023】
以上に説明した給紙元の切換による印刷出力の遅れを、図3により図解説明する。図3に例示するように、あるページ(「ページ1」と呼ぶ)についての画像信号供給及び給紙等のタイミングが時刻t1でスケジューリングされたあと、そのスケジュールに従って第1の給紙部(「給紙部#1」と呼ぶ)から給紙が行われるのは時刻t3である。次のページ(「ページ2」と呼ぶ)についてのスケジューリングは、時刻t3の前の時刻t2に既に行われている。ここで、給紙部#1からの給紙が終わった後の時刻t4で、その給紙部#1の用紙残量が0になったことが検知されたとする。この時刻t4では、時刻t2でのスケジューリング結果に基づき、ページ2のための用紙を同じ給紙部#1から給紙すべく準備が進められているが、給紙部#1から給紙できないことが判明したので、そのスケジューリング結果は廃棄される。その後、給紙部#1と同紙種同サイズの用紙を収容した別の給紙部#2を給紙元として再スケジューリングが行われる。この再スケジューリングにより給紙部#2から給紙が行われる時刻t6は、仮に時刻t2のスケジューリング結果通りに給紙部#1から給紙できたとした場合の給紙タイミングt5より後になる。時刻t6の時刻t5に対する遅れは、例えば、時刻t2とt4との間隔(スケジューリングしてから、そのスケジューリング通りの給紙部から給紙できないことが判明するまでの時間)以上となる。また、時刻t4で既にページ2についての現像や転写等が開始されていると、時刻t6の時刻t5に対する遅れは、感光体等のクリーニングに要する時間に応じて更に大きくなることもあり得る。
【0024】
このような給紙元切換による印刷出力の遅れを低減するために、この実施形態の給紙制御部32は、例えば、現在給紙元としている給紙部14の用紙残量が、あらかじめ設定した警戒閾値(>0。例えば当該給紙部の容量の5%等)まで減った段階で、給紙元を、当該給紙部14と、当該給紙部14と同紙種同サイズの用紙を収容する別の給紙部14と、の間で交互に切り換える制御を行う。
【0025】
例えば、図4に例示するように、時刻T1でページ1について給紙部#1から給紙する旨のスケジューリングを行った後、ページ2についてのスケジューリングのタイミング(時刻T2)が到来する前に給紙部#1の用紙残量が警戒閾値以下になったことが残量検知部15により検知されたとする。この場合、給紙制御部32は、時刻T2でのスケジューリングにおいて、ページ2についての給紙元として、給紙部#1と同紙種同サイズの用紙を収容した給紙部#2を選択し、給紙部#2から給紙するとしてスケジューリングを行う。そして、次のページ3についてのスケジューリングのタイミング(時刻T3)では、再び給紙部#1を給紙元としてスケジューリングを行う。以降、給紙部#1又は#2のいずれかが用紙残量0となるまで、給紙元をそれら両者の間で交互に切り換える。以下、このような制御を「交互給紙」と呼ぶことにする。
【0026】
なお、図4の例において、給紙部#1の用紙残量が0になったことを検知するタイミングが、ページ2についてのスケジューリングのタイミングT2より後になった場合には、ページ2のための用紙はそのスケジューリングに従って給紙部#1から給紙し、次のページ3以降についてのスケジューリングから、給紙部#2と#1を交互に給紙元とするように制御すればよい。
【0027】
さて、このように交互給紙を開始した後、指定された給紙部#1の用紙残量が0になると、給紙制御部32は、交互給紙を取りやめ、これ以降は給紙部#2からのみ給紙するように制御する。このときの給紙制御の流れの例を、図5を参照して図解説明する。
【0028】
すなわち、図5に例示するように、時刻T11でのスケジューリングに応じて給紙部#1から給紙が行われ、時刻T13でその給紙が完了し、給紙部#1の用紙残量が0になったことが検知されたとする。ところが、時刻T13より前の時刻T12にて、次のページ(k+1)については既に給紙部#2から給紙する旨のスケジューリングが行われており、給紙部#1が空(残量0)になっても給紙部#2からの給紙は実行できる(この時点での給紙部#2の用紙残量は0でないものとする)。すなわち、ページ(k+1)のための用紙は、時刻T12でのスケジューリング通りに、遅れなく給紙される。更に次のページ(k+2)についてのスケジューリングの時刻T14がT13より後であれば、ページ(k+2)のための用紙は、交互給紙の場合に予定される給紙部#1ではなく、用紙残量のある給紙部#2から給紙するようにその時刻T14にてスケジューリングすることができる。すなわち、時刻T14でのスケジューリングの際に、給紙制御部32は、交互給紙を取りやめ、時刻T14以降は、用紙が残っている方の給紙部#2を唯一の給紙元としてスケジューリングを行う。この場合、ページ(k+2)についてのスケジューリングは、当初予定されていたスケジューリングのタイミングである時刻T14に遅滞なく行われるので、給紙(ひいては印刷出力)の遅れは生じない。ページ(k+3)以降の各ページについても、同様に、給紙や印刷出力の遅れは生じない。
【0029】
以上の例では、交互給紙制御に移行した後、指定された給紙部#1の方が給紙部#2より先に空になったが、仮に給紙部#2の方が先に空になった場合は、給紙部#2からの給紙を取りやめ、給紙部#1を唯一の給紙元としてスケジューリングを行うようにすればよい。
【0030】
さて、仮に、図6に示すように、給紙部#1の用紙残量0を検知したタイミングT13よりも、ページ(k+2)についてのスケジューリングのタイミングT14aが早かったとする。この場合、時刻T14aの時点では、給紙制御部32は、給紙部#1に用紙が残っているものと認識しており、ページ(k+2)についての用紙は給紙部#1から給紙するようにスケジューリングする。その後時刻T13で給紙部#1の用紙残量が0になったことが検知されると、給紙制御部32は、そのスケジューリングをクリアし、ページ(k+2)について給紙元を給紙部#2として再スケジューリングを行う。この再スケジューリングは、時刻T13以降のこととなるため、この再スケジューリングにより給紙部#2から給紙が行われる時刻T16は、仮に時刻T14aでのスケジューリング通りに給紙部#1から給紙できたとした場合の給紙タイミングT15より後になる。しかし、その遅れ(T15とT16の差)は、この実施例の交互給紙制御を用いない場合の遅れ(すなわち図3に例示した時刻t5とt6の差)よりも短い。給紙部#1の用紙残量0を検知するタイミングのスケジューリングに対する遅れが、給紙部#2から給紙を行う時間の分だけ実質的に打ち消されるからである。
【0031】
また以上の例では、指定された給紙部#1と同紙種同サイズの用紙を収容した給紙部(以下「(指定された給紙部に対する)同種給紙部」と呼ぶ)が1つ(給紙部#2)存在する場合を説明した。しかし、画像形成装置の使用状況によっては、給紙部#1に対する同種給紙部が2以上存在する場合もあり得る。このような場合には、1つの例として、給紙制御部32が、それら複数の同種給紙部のうちの中から1つを選択し、指定された給紙部と、選択した同種給紙部との間で交互給紙を行うようにしてもよい。
【0032】
また、第2の例では、指定された給紙部と、それら複数の同種給紙部のうちの2以上と、を合わせた集合を1つの給紙グループとし、その給紙グループに属する給紙部の間で給紙元を順番に切り換えていってもよい。この場合、例えば、指定された給紙部#1と同種給紙部#2及び#3とから給紙グループを構成した場合、給紙部#1の用紙残量が警戒閾値以下まで減った場合、次のスケジューリングでは給紙部#2を給紙元にし、更にその次は給紙部#3を給紙元とする。そして、更にその次は、元に戻って給紙部#1を給紙元とし、以降#2,#3,#1,#2,#3,…と順に給紙元を切り換えていけばよい。
【0033】
第2の例では、給紙グループ内の各給紙部を順番に給紙元に選んでいったが、これは必須のことではない。同じ給紙部から連続して給紙しないという条件の下で給紙グループ内から順次給紙元を選んでいくようにすれば、交互給紙の場合と同様、ある給紙部の用紙残量が0になった時の給紙元の再スケジューリングによる給紙の遅れは、この給紙制御を用いない場合よりも短縮される。このような処理を、グループ給紙処理と呼ぶことにする。給紙グループ内の各給紙部を順番に給紙元とする制御は、このグループ給紙処理の一具体例である。また、上述の交互給紙は、グループ給紙処理において、指定された給紙部と1つの同種給紙部との合計2つの給紙部により給紙グループを構成した場合の具体例といえる。
【0034】
このグループ給紙処理を含む給紙制御部32の処理手順の例を、図7及び図8を参照して説明する。
【0035】
この手順では、まず、給紙制御部32は、ジョブ開始時に、ユーザからの指定等に基づき、最初に給紙元とする給紙部14(すなわち上述の「指定された給紙部」)を判定する(S10)。次に、給紙元である指定された給紙部14の用紙残量が警戒閾値以下であるかどうかを判定する(S12)。残量検知部15は、指定された給紙部14内の用紙残量が警戒閾値以下になるとその旨を表す信号を発するので、給紙制御部32はその信号の有無により、指定された給紙部14の用紙残量が警戒閾値以下であるかどうかを判定すればよい。そして、指定された給紙部の用紙残量が警戒閾値より多ければ、従来と同様の給紙制御(通常給紙処理と呼ぶ)を行えばよい。すなわち、スケジューリングのタイミングが到来する都度、指定された給紙部から給紙するという条件でスケジューリングを行い(S14)、スケジューリングされた給紙タイミングになったらその給紙部から給紙すればよい(S16)。このとき、給紙制御部32は、一枚給紙する毎に、指定された給紙部の用紙残量が警戒閾値以下になったかをチェック(S12)すればよい。そして、給紙を繰り返すうちに、指定された給紙部の用紙残量が警戒閾値以下になったことが検知された場合(S12の判定結果がYes)、給紙制御部32は図8の処理に進む。
【0036】
すなわち、給紙制御部32は、指定された給紙部に対する同種給紙部を、設定情報記憶部34に記憶された各給紙部の紙種、用紙サイズの設定情報に基づき判定する。そして、それら同種給紙部の中から1以上を選択し、指定された給紙部と選択した同種給紙部とからなる給紙グループを形成する(S20)。なお、この給紙グループの形成は、指定された給紙部の用紙残量が警戒域値以下になる前(例えばステップS10の直後など)に行っておいてもよい。
【0037】
そして、給紙制御部32は、その給紙グループに属する給紙部の中で、前回給紙した給紙部以外の給紙部を1つ選択し(S22)、選択した給紙部から給紙するようにスケジューリングする(S24)。このような制御により、同じ給紙部から2枚以上連続して給紙されることがなくなる。なお、ステップS22では、給紙グループ内の各給紙部をあらかじめ定められた順番に選んでいくなどといった規則に従って、給紙元とする給紙部を選択してもよい。そして、給紙制御部32は、そのスケジューリングの結果に従って、ステップS22で選択した給紙部に給紙を実行させる(S26)。このとき、その給紙に伴ってその給紙部が空になったかどうかを残量検知部15からの信号に基づき判定する(S28)。空になっていなければ、ステップS22に戻り、次のページについての給紙元を選択する。
【0038】
給紙制御部32は、以上のステップS22〜S26の処理を、ジョブの最後のページまで繰り返す。その繰り返しの中で、ステップS28でいずれかの給紙部が空になったことが検知された場合には、その給紙部を給紙グループから外し(S29)、ステップS22に戻ればよい。
【0039】
なお、ジョブが完了する前に給紙グループに属する給紙部が無くなった場合には、ジョブを中断することとなる。しかし、このような事態を防止するために、給紙グループ内のいずれかの給紙部が空になった場合に、その給紙部への用紙補給を促すようにしてもよい。このような処理の一例を図9に示す。
【0040】
図9の手順では、給紙制御部32は、ステップS28(図8参照)である給紙部14が空になったことを検知すると、操作部26の表示装置に、その給紙部14への用紙補給を促す表示画面を表示させる(S30)。その後、その給紙部14へ用紙が補給されるのを待つ(S32)。用紙が補給されたかどうかは、その給紙部14の残量検知部15からの信号から判別すればよい。そして、用紙が補給された場合には、グループ給紙処理を続行中か否かを判定する(S34)。グループ給紙処理が既に完了していれば、何もせずに処理を終了する。一方、まだグループ給紙処理を続行中であれば、当該給紙部14に補給された用紙の紙種及びサイズを設定情報記憶部34から求め、その紙種及びサイズが給紙グループの紙種及びサイズと一致するかどうかを判定する(S36)。一致すれば、その給紙部14を給紙グループに追加し(S38)、一致しなければそのまま処理を終える。
【0041】
以上の例では、指定された給紙部14の用紙残量が警戒閾値以下になったときに、交互給紙又はグループ給紙(以下、「グループ給紙等」と呼ぶ)を開始したが、グループ給紙等の開始条件はこの例に限らない。例えば、ジョブの開始時にユーザ指定又は自動選択で給紙元を選択した時点で、同種給紙部を特定してグループ給紙等を開始してもよい。ただし、複数の給紙部に同紙種同サイズの用紙を同量ずつセットすると、ジョブ開始時点からグループ給紙を行ったのでは、それら複数の給紙部がほぼ同じタイミングで残量0になってしまう可能性がある。これに対し、通常はあらかじめ定めた給紙部が「指定された給紙部」として使われるようにしておき、その給紙部の残量が警戒閾値以下になって初めて同種給紙部も使用するようにすれば、そのような不都合なタイミングの一致はおきにくい。また、指定された給紙部は、警戒閾値以下になった後も、残量が0になるまで使用されるので、給紙部の容量が全て活用されることとなる。
【0042】
また、図1には電子写真方式の画像形成装置を例示したが、この実施形態の給紙制御が他の方式の画像形成装置にも適用可能であることは、当業者なら了解するところであろう。
【0043】
以上に説明した画像形成装置の給紙制御部32は、一つの例では、汎用のコンピュータに上述の処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、CPU等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびリードオンリメモリ(ROM)等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)、各種I/O(入出力)インタフェース等が、たとえばバスを介して接続された回路構成を有する。バスには、ローカルエリアネットワーク等のネットワークに接続するためのネットワークインタフェースが接続されていてもよい。また、そのバスに対し、例えばI/Oインタフェース経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタなどが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAMに読み出されCPU等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】電子写真方式の画像形成装置の一例の概略構成を示す図である。
【図2】例示した画像形成装置のうち給紙に関する部分を概略的に示す図である。
【図3】給紙部の用紙残量が0になった時点で別の給紙部からの給紙に切り換えると印刷出力に遅れが出ること、を説明するための図である。
【図4】給紙元の切換による印刷出力の遅れを低減するための処理のうち、給紙部の用紙残量が警戒域に達した場合の処理を説明するための図である。
【図5】給紙元の切換による印刷出力の遅れを低減するための処理のうち、給紙部の用紙残量が0になった場合の処理を説明するための図である。
【図6】給紙元の切換による印刷出力の遅れを低減するための処理のうち、給紙部の用紙残量が0になった場合の処理の別の例を説明するための図である。
【図7】給紙制御部の処理手順の例の一部を示すフローチャートである。
【図8】給紙制御部の処理手順の例の残りの部分を示すフローチャートである。
【図9】残量が0となった給紙部に用紙が補給された場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
10 現像部、12 中間転写体ベルト、14 給紙部、15 残量検知部、16 用紙搬送路、18 二次転写部、20 定着部、22 反転経路、24 戻し経路、30 制御部、32 給紙制御部、34 設定情報記憶部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を収容する複数の記録媒体収容手段と、
記録媒体の供給元として指定された記録媒体収容手段と同種且つ同サイズの記録媒体を収容した他の記録媒体収容手段を特定する特定手段と、
前記特定手段により1以上の他の記録媒体収容手段が特定された場合に、特定された記録媒体収容手段のうちの1以上と、前記指定された記録媒体収容手段と、からなる一群の記録媒体収容手段の中で、各記録媒体収容手段が2枚以上連続して給紙することがないよう、記録媒体の供給元とする記録媒体収容手段を順次切り換える切換制御を行う切換制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記切換制御手段は、前記指定された記録媒体収容手段の記録媒体の残量があらかじめ定められた閾値以下となった場合に前記切換制御を行う、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記切換制御を行っている際に、前記一群の記録媒体収容手段のうちのいずれかの記録媒体の残量が0になった場合に、当該残量が0になった記録媒体収容手段に対する記録媒体の補給を促す表示画面を表示する表示手段、を更に備える請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体を収容する複数の記録媒体収容手段を備えた画像形成装置を制御するコンピュータを、
記録媒体の供給元として指定された記録媒体収容手段と同種且つ同サイズの記録媒体を収容した他の記録媒体収容手段を特定する特定手段、
前記特定手段により1以上の他の記録媒体収容手段が特定された場合に、特定された記録媒体収容手段のうちの1以上と、前記指定された記録媒体収容手段と、からなる一群の記録媒体収容手段の中で、各記録媒体収容手段が2枚以上連続して給紙することがないよう、記録媒体の供給元とする記録媒体収容手段を順次切り換える切換制御を行う切換制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−173820(P2010−173820A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19525(P2009−19525)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】