説明

画像形成装置及びプログラム

【課題】画像形成装置における印刷色に影響を及ぼす印刷設定値が、色変換情報が生成された際の値から変更された場合に、その変更に対応して印刷処理を制御できるようにする。
【解決手段】画像処理装置100の制御部120は、色基準画像を印刷する際のプリントエンジン104の印刷設定値106を取得し、その色基準画像の印刷結果を測色した結果に基づきプロファイルデータ112を生成し、取得した印刷設定値114を、生成したプロファイルデータ112と対応づけて記憶装置110に登録する。印刷対象画像10の印刷が指示された場合、制御部120は、現時点でのプリントエンジン104の印刷設定値106と、指定されたプロファイルデータ112に対応づけて登録されている印刷設定値114とに基づき、印刷処理を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、複合機(プリンタ、スキャナ、複写機等の複数の機能を兼ね備えた装置)などの画像形成装置は、多種の用紙を用いる。用紙の種類が変わっても同じ色を再現するために、画像形成装置には、用紙の種類ごとに色変換データが登録されている。色変換データには、例えばプロファイルデータやキャリブレーションデータがある。プロファイルデータは、入力色の色空間における格子点の座標と、出力色の色空間における格子点の座標との対応関係を表すデータである。例えばICC(International Color Consotium)プロファイルなどがその一例である。また、経時的な変化により、画像形成装置の色再現特性と過去に作成されたプロファイルデータとの間にずれが生じる場合があるが、キャリブレーションデータはそのようなずれを補償するためのデータである。
【0003】
特許文献1には、ユーザが画像出力を行おうとするユーザ用紙の特性に合致した色変換を行う画像形成装置が開示されている。この装置では、選択部は、予め設定された複数の標準用紙の中から、ユーザが画像出力の際に使用しようとする用紙であるユーザ用紙と特性が近似する標準用紙を選択する。変換テーブル作成部は、選択部により選択された標準用紙に対応するプリンタプロファイルと、ユーザ用紙に対応して生成されたプリンタプロファイルとに基づいて、標準用紙用のCMYK画像データをユーザ用紙用のCMYK画像データに変換するための変換テーブルを作成する。色変換テーブル合成部は、選択部により選択された標準用紙に対応する色変換テーブルと、変換テーブルに基づいて、RGB画像データをユーザ用紙用のCMYK画像データに変換するための色変換テーブルを合成する。
【0004】
画像形成装置の色再現特性に影響を与える要素には、色変換データの他に、プロセス条件の設定値がある。色再現の調整のために、これらプロセス条件の設定値をユーザが変更することも考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2008−153810号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、画像形成装置における印刷色に影響を及ぼす印刷設定値が、色変換情報が生成された際の値から変更された場合に、その変更に対応して印刷処理を制御できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、色基準画像を印刷装置に印刷させるとともに、前記色基準画像を印刷する際の前記印刷装置の印刷色に影響を及ぼす印刷設定値を取得する取得手段と、前記印刷装置により印刷された前記色基準画像の測色結果に基づき、入力された画像の色情報を前記印刷装置に供給する色情報へと変換するための色変換情報を生成する生成手段と、前記取得手段が取得した前記印刷設定値を前記生成手段が生成した前記色変換情報と対応づけて記憶する記憶手段と、入力画像の印刷が指示された場合に、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、に基づき、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を制御する制御手段と、を備える画像形成装置である。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を中止して警報を発する、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記印刷装置の印刷設定値を、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値に置き換え、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を、前記置き換えられた印刷設定値に従って前記印刷装置に印刷させる、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明において、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、のうちのいずれを優先するかを示す優先情報を記憶した優先情報記憶手段を更に備え、前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記優先情報が示す優先される印刷設定値に従って、前記印刷装置に、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明は、請求項1に係る発明において、印刷設定値が含む項目ごとに、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、のうちのいずれを優先するかを示す優先情報を記憶した優先情報記憶手段を更に備え、前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記項目ごとに前記優先情報が示す優先される印刷設定値の方の値に従って、前記印刷装置に、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明は、請求項1〜5のいずれか1項に係る発明において、前記印刷装置に入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させた場合において、前記印刷の時点で前記印刷装置に設定されている印刷設定値を採用する旨の指示をユーザから受けた場合に、前記記憶手段に前記色変換情報と対応づけて記憶されている前記印刷設定値に置き換えて、前記印刷の時点で前記印刷装置に設定されている印刷設定値を前記記憶手段に記憶する手段、を更に備える。
【0013】
請求項7に係る発明は、コンピュータを、色基準画像を印刷装置に印刷させるとともに、前記色基準画像を印刷する際の前記印刷装置の印刷色に影響を及ぼす印刷設定値を取得する取得手段、前記印刷装置により印刷された前記色基準画像の測色結果に基づき、入力された画像の色情報を前記印刷装置に供給する色情報へと変換するための色変換情報を生成する生成手段、前記取得手段が取得した前記印刷設定値を前記生成手段が生成した前記色変換情報と対応づけて記憶する記憶手段、入力画像の印刷が指示された場合に、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、に基づき、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を制御する制御手段、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1又は7に係る発明によれば、画像形成装置における印刷色に影響を及ぼす印刷設定値が、色変換情報が生成された際の値から変更された場合に、その変更に対応して印刷処理を制御できる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、色変換情報に対応していない印刷設定値に従って印刷されてしまうことを防ぐことができる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、印刷装置の印刷設定値が色変換情報の生成時の値から変更されてしまった場合でも、その色変換情報を用いる場合には、生成時の印刷設定値で印刷を行うことができる。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、現時点での印刷装置の印刷設定値と、色変換情報に対応づけて記憶されている印刷設定値とのうち、ユーザが設定した優先情報に応じた印刷設定値で印刷を行うことができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、印刷設定値の項目ごとに、現時点での印刷装置の印刷設定値と、色変換情報に対応づけて記憶されている印刷設定値とのうちどちらを用いるかを、ユーザの意図に合わせることができる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、色変換情報の生成の際の印刷装置の印刷設定値よりも良好な印刷設定値が見つかった場合に、色変換情報に対応づけて記憶する印刷設定値を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施形態の画像形成装置の一例を図1に示す。この画像形成装置100は、色変換部102,プリントエンジン104,記憶装置110,制御部120及びユーザインタフェース部130を備える。
【0021】
画像形成装置100は、印刷対象画像10を印刷出力するための処理を行う。印刷対象画像10は、例えば、ビットマップ画像データ、PDL(ページ記述言語)で記述された画像データなど、どのような形式の画像データでもよい。印刷対象画像10は、例えば、ネットワーク等の通信路経由で、あるいはCD−R等の可搬型の記録媒体を介して、画像形成装置100に入力される。また、画像形成装置100がスキャナを備える場合、そのスキャナが読み取った画像のデータを印刷対象画像10として用いてもよい。なお、印刷対象画像10は、図示省略したインタプリタその他の画像処理部により、プリントエンジン104が取扱可能なラスター画像に変換される。
【0022】
色変換部102は、印刷対象画像10から生成されたラスター画像に対して、プロファイルデータ112に応じた色変換を行う。プロファイルデータ112は、入力側色空間の各格子点の色座標とその格子点に対応する出力側色空間の色座標との対応関係を表す情報を含んだデータである。プロファイルデータ112は、例えば、ICCプロファイルであっても、画像形成装置100のメーカーが定めた独自規格のプロファイルであってもよい。
【0023】
ここで、出力側色空間は、プリントエンジン104の色空間である。出力側色空間は、典型的にはC,M,Y,Kの4色の組合せで表現される。ただし、出力側色空間は、CMYKに限定されるものではなく、プリントエンジン104に対して供給する色信号に応じたものならどのようなものでもよい。一方、入力側色空間は、印刷対象画像10自体の色空間である。
【0024】
プロファイルデータ112は、例えばプロファイルデータ生成部122により生成され、記憶装置110に記憶されている。用紙の種類ごとにプロファイルデータ112を生成して記憶装置110に記憶しておき、ユーザがそれら複数のプロファイルデータ112の中から、使用する用紙に適合したものを選択して利用するようにしてもよい。
【0025】
色変換部102は、印刷対象画像10から生成されたラスター画像の画素ごとに、その画素の値(色座標)を入力側色空間の色座標としたときの出力側色空間の色座標をプロファイルに従って算出する。ここで、印刷対象画像10の画素値がプロファイルに表された格子点に一致する場合は、プロファイルに示されるその格子点の出力側の色座標を用いればよい。そうでない場合は、その画素値の周囲の格子点の情報を補間することにより、その画素値に対応する出力側の色座標を計算する。このような色補正の演算は周知であるので、これ以上の説明は省略する。
【0026】
プリントエンジン104は、色変換部102が出力する色変換結果の画像を用紙に印刷する。以下では、プリントエンジン104が電子写真方式のものである場合を例にとって説明する。しかし、本実施形態の手法は、電子写真方式に限らず、インクジェット方式などの他のプリントエンジンを備えた装置にも適用可能である。
【0027】
プリントエンジン104には、印刷のプロセス条件を規定する印刷設定値106が設定されている。印刷設定値106の中には、プリントエンジン104における色再現に影響を与える項目がある。そのような項目には、例えば、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)等の各プロセス色の濃度を変化させる濃度条件と、感光体から印刷媒体(用紙)への転写パワーを規定する転写条件がある。濃度条件には、感光体の帯電強度を規定する表面電位(帯電パワー)、感光体への露光の強さを規定する露光パワー、感光体の露光部分を現像する強さを規定する現像バイアス電位などがある。プリントエンジン104は、印刷設定値106に従って当該エンジン104内の各部を制御し、入力される印刷データを用紙に印刷する。
【0028】
制御部120は、画像形成装置100全体を制御する。例えば、制御部120は、ユーザから印刷指示を受け付け、色変換部102及びプリントエンジン104等を制御してその印刷指示の対象画像の印刷処理を行う。
【0029】
制御部120は、記憶装置110に記憶されたプロファイルデータ112が複数ある場合、ユーザから使用するプロファイルデータ112の指定を受け付け、指定されたプロファイルデータ112を色変換部102に設定する。例えば、ユーザは、印刷に使用する用紙に対応するプロファイルデータを制御部120に対して指定する。色変換部102は、設定されたプロファイルデータ112を用いて、印刷対象画像10を色変換する。
【0030】
また制御部120は、プロファイルデータ生成部122を備える。プロファイルデータ生成部122は、プロファイルデータ112を生成するための処理を行う。プロファイルデータ112は、色の基準となるチャートパターン116をプリントエンジン104に印刷させ、その印刷結果を測色計140で測色し、その測色結果に基づいて生成する。チャートパターン116は、例えば、CMYKの色ごとに、濃度が複数段階に異なる色パッチを配列した画像パターンである。チャートパターン116のデータは記憶装置110に記憶されており、制御部120は、そのデータを読み出してプリントエンジンに印刷させる。チャートパターン116を用いたプロファイルデータ112の生成処理は周知なので、これ以上の説明は省略する。
【0031】
プロファイルデータ112の生成は、例えば、用紙の種類ごとに行われる。すなわち、用紙の種類ごとに、その種類の用紙にチャートパターン116を印刷し、その印刷結果を測色してその用紙種類に対応するプロファイルデータ112を生成する。用紙種類ごとに生成されたプロファイルデータ112は、例えば用紙種類の名称と対応づけて、記憶装置110に記憶される。
【0032】
また、プリントエンジン104の色再現特性は経時的に変化するので、その変化に対応するためにプロファイルデータ112を生成し直すこともある。また、既存のプロファイルデータ112と現在のプリントエンジン104の色再現特性とのずれを補償するためのキャリブレーションデータを生成し、プロファイルデータ112と対応づけて記憶装置110に記憶してもよい。キャリブレーションデータも、チャートパターン(プロファイルデータ112生成に用いるチャートパターンと同じでもよいし、それを簡略化したものでもよい)をプリントエンジン104に印刷させ、その印刷結果を測色し、その測色結果から公知の手法により求めればよい。
【0033】
この実施形態では、プロファイルデータ生成部122は、プロファイルデータ生成部122を生成した際に、その時点でプリントエンジン104に設定されている印刷設定値106(特に色再現特性に影響を与える項目の値)を取得し、その印刷設定値をプロファイルデータ112に対応づけて記憶装置110に記憶する(印刷設定値114)。
【0034】
ユーザインタフェース部130は、ユーザに画像形成装置100の状態を報知したり、ユーザから指示入力を受け付けたりするための手段である。ユーザインタフェース部130は、例えば液晶タッチパネル等の表示装置とキーパッド等の入力ボタンを供えていてもよい。
【0035】
次に、図2を参照して、プロファイルデータ生成部122の処理手順の例を説明する。この例では、ユーザが画像形成装置100に対してプロファイルデータの生成を指示する。この指示には、例えばそのプロファイルデータを表す識別名(例えば使用する用紙の種類を表す名称でもよい)が含まれていてもよい。この指示を受けると、プロファイルデータ生成部122が、まずプリントエンジン104にチャートパターン116の印刷を指示する(S10)。これに応じ、プリントエンジン104は供給されたチャートパターン116を用紙に印刷する(S12)。この印刷の際に、プリントエンジン104は、印刷設定値106に従った動作設定で印刷を行う。なお、チャートパターン116の印刷の際に、その時点のプリントエンジン104の印刷設定値106をチャートパターン116と共に印刷してもよい。この場合、ユーザは、チャートパターン116の印刷結果から、これを印刷したときの印刷設定値を確認できる。
【0036】
ユーザは、チャートパターン116の印刷結果を測色計140で測色する(S14)。測色計140の測色結果が入力されると、プロファイルデータ生成部122は、その測色結果に基づきプロファイルデータを生成する(S16)。また、プロファイルデータ生成部122は、ステップS12の時点でのプリントエンジン104の印刷設定値106を取得し、この印刷設定値を、生成したプロファイルデータとリンク(対応付け)して、記憶装置110に記憶する(S18)。
【0037】
以上では、プロファイルデータを生成した場合の例を説明したが、キャリブレーションデータを生成した場合も、同様の処理を行う。すなわち、チャートをプリントエンジン104に印刷させ、その印刷結果に基づきプロファイルデータ112に対応するキャリブレーションデータを生成した場合、生成したキャリブレーションデータをそのプロファイルデータ112に対応づけて記憶装置110に登録すると共に、キャリブレーションデータ生成時点でのプリントエンジン104の印刷設定値106を、そのプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値112に上書きする。プロファイルデータ112にキャリブレーションデータがリンクされている場合は、色変換部102は、指定されたプロファイルデータ112と、これにリンクされたキャリブレーションデータとを用いて、印刷対象画像10の色を変換する。
【0038】
さて、このようにしてプロファイルデータ112を生成して記憶装置110に登録した後、何らかの理由でプリントエンジン104の印刷設定値106が変更される場合がある。例えば、用紙の種類を変更した場合などに、変更後の用紙に対し適切な値に印刷設定値106が変更される場合などである。このようにプリントエンジン104の印刷設定値106がプロファイルデータ112を生成した時点の値から変更された場合、そのプロファイルデータ112を用いた色変換及び印刷を行うと、想定した色再現が達成されなくなる可能性がある。以下では、そのような印刷設定値106の変更に対処する処理の例を説明する。
【0039】
図3を参照して、ホストコンピュータから印刷指示を受けた場合の画像形成装置100の処理手順の例を説明する。この手順では、制御部120は、ホストコンピュータから例えばネットワークを介して印刷指示を受け付ける(S20)。印刷指示には、使用するプロファイルデータ(例えば「プロファイルA」という名のプロファイルデータ)の指定が含まれる。印刷指示を受けた制御部120は、指定されたプロファイルデータにリンクして記憶装置110に記憶されている印刷設定値114を読み出し、これと現在プリントエンジン104に設定されている印刷設定値106とを比較する(S22)。印刷設定値は様々な項目を含んでいるが、ステップS22では、それらのうちの色再現特性に影響を与える項目(露光パワー、転写パワーなど)を対象として比較を行う。印刷設定値のうちどれが色再現特性に影響を与える項目であるかは、あらかじめ画像形成装置100に登録しておけばよい。
【0040】
そして、比較の結果、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106とが等しい(すなわち、色再現特性に影響を与える各項目の値が両者間で全て等しい)と判明した場合は、制御部120は、プリントエンジン104に現在の印刷設定値106で印刷を実行させる(S24)。
【0041】
一方、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106とが等しくないことが判明した場合、制御部120は、印刷は行わず、ユーザインタフェース部130にアラーム情報を出力させる(S26)。アラーム情報の出力は、例えば、アラームメッセージをユーザインタフェース部130の表示画面に表示する形態で行えばよい。このアラームに応じ、オペレータ(ユーザ)がプリントエンジン104の印刷設定値106を変更するなどの処置を行う(S28)。
【0042】
次に、図4を参照して、ホストコンピュータから印刷指示を受けた場合の画像形成装置100の処理手順の別の例を説明する。
【0043】
この手順では、ホストコンピュータから使用するプロファイルデータ112の指定を含む印刷指示を受けた場合(S30)、制御部120は、そのプロファイルデータ122にリンクされた印刷設定値114とプリントエンジン104の現在の印刷設定値106とを比較する(S32)。そして、両者が等しければ、図3の例と同様、現在の印刷設定値106に従ってプリントエンジン104に印刷を行わせる(S34)。一方、それら両者が等しくなければ、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値112を、プリントエンジン104に設定する(S36)。これにより、プリントエンジン104の印刷設定値106は、プロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値112に置き換えられる。そして、この置き換えの後、制御部120は、プリントエンジン104に印刷を実行させる(S34)。これにより、プリントエンジン104は、指定されたプロファイルデータ112が生成された時点での印刷設定値114に従って印刷を実行することとなる。
【0044】
次に、図5を参照して、ホストコンピュータから印刷指示を受けた場合の画像形成装置100の処理手順の更に別の例を説明する。
【0045】
この手順では、ホストコンピュータから使用するプロファイルデータ112の指定を含む印刷指示を受けた場合(S40)、制御部120は、そのプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114とプリントエンジン104の現在の印刷設定値106とを比較する(S42)。そして、両者が等しければ、図3の例と同様、現在の印刷設定値106に従ってプリントエンジン104に印刷を行わせる(S44)。
【0046】
一方、それら両者が等しくなければ、画像形成装置100にあらかじめ設定されている優先情報(図示省略)を参照する(S46)。優先情報は、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106のどちらを優先するかを示す設定情報であり、例えば記憶装置110に登録されている。制御部120は、ステップS46で、その優先情報がプリントエンジン104の現在の印刷設定値106を(プロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114よりも)優先するという設定になっているかどうかを判定する。ステップS46の判定結果が肯定(Yes)であれば、ステップS44に進み、制御部120は、プリントエンジン104に、現在の印刷設定値106で印刷を行わせる。ステップS46の判定結果が否定であれば、制御部120は、プリントエンジン104の印刷設定値106を、プロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値112に置き換え、この置き換えの後、プリントエンジン104に印刷を実行させる(S48)。
【0047】
次に、図6を参照して、ホストコンピュータから印刷指示を受けた場合の画像形成装置100の処理手順の更に別の例を説明する。
【0048】
図5の例では、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106のどちらを優先するかを示す優先情報を用いたが、図6の例は更にこれを詳しくしたものである。すなわち、この例では、印刷設定値の項目ごとに、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106のどちらを優先するかを示す優先情報を用いる。このような優先情報は、あらかじめユーザが画像形成装置100に設定しておく。
【0049】
図6の手順では、ホストコンピュータから使用するプロファイルデータ112の指定を含む印刷指示を受けた場合(S50)、制御部120は、そのプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114とプリントエンジン104の現在の印刷設定値106とを比較する(S52)。そして、両者が全項目について互いに等しければ、図3の例と同様、現在の印刷設定値106に従ってプリントエンジン104に印刷を行わせる(S54)。
【0050】
一方、それら両者が等しくなければ、画像形成装置100にあらかじめ設定されている優先情報を参照し、印刷設定値の項目ごとに、指定されたプロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114と、プリントエンジン104に現在設定されている印刷設定値106のうち、優先すべきと設定された方を採用する(S56)。すなわち、プロファイルデータ112にリンクされた印刷設定値114の方を優先すべきと優先情報に示された項目については、プリントエンジン104の印刷設定値106をその優先すべき方の値に変更する。そして、その設定変更の後、プリントエンジン104に印刷を実行させる(S54)。
【0051】
さて、プロファイルデータ112を生成した後に、そのプロファイルデータ112を用いて試し刷りを行う場合がある。その試し刷りの色再現が想定しているものであれば問題はないが、想定しているものと異なる場合には、ユーザがプリントエンジン104の印刷設定値106を調整することがある。このような調整により想定した色再現が実現された場合、調整後の印刷設定値106が、そのプロファイルデータ112に適した印刷設定値106であると考えることができる。また、プロファイルデータ112の生成直後だけでなく、ある程度時間が経った後に、想定していた色再現を実現するために印刷設定値106を調整することもある。
【0052】
そこで、1つの変形例として、プロファイルデータ112にリンクされているプロファイルデータ112生成時の印刷設定値114を、その調整後の印刷設定値106に置き換える手段を画像形成装置100に設けてもよい。
【0053】
すなわち、この変形例では、プロファイルデータ112にリンクして記憶装置110に記憶されている印刷設定値114を変更する指示をユーザから受け付ける。例えば、ユーザインタフェース部130が表示するメニューの中に、プロファイルデータにリンクした印刷設定値の変更を指示する項目を設ければよい。
【0054】
制御部120は、図7に示すように、この変更指示が入力されるのを監視し(S60)、変更指示が入力されると、現在選択されているプロファイルデータ112にリンクした印刷設定値114を、現在の印刷設定値106に置き換える(S62)。
【0055】
なお、プロファイルデータ112にリンクした印刷設定値114の変更指示を受け付けるユーザインタフェースは、プリントエンジン104の印刷設定値106を変更して試し刷りが行われた場合に初めて表示されるようにしてもよい。
【0056】
以上に例示した画像形成装置100の制御部120は、例えば、汎用のコンピュータに上述の各機能モジュールの処理を表すプログラムを実行させることにより実現される。ここで、コンピュータは、例えば、ハードウエアとして、図8に示すように、CPU200等のマイクロプロセッサ、ランダムアクセスメモリ(RAM)202およびリードオンリメモリ(ROM)204等のメモリ(一次記憶)、HDD(ハードディスクドライブ)206を制御するHDDコントローラ208、各種I/O(入出力)インタフェース210、ローカルエリアネットワークなどのネットワークとの接続のための制御を行うネットワークインタフェース212等が、たとえばバス214を介して接続された回路構成を有する。また、そのバス214に対し、例えばI/Oインタフェース210経由で、CDやDVDなどの可搬型ディスク記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのディスクドライブ216、フラッシュメモリなどの各種規格の可搬型の不揮発性記録媒体に対する読み取り及び/又は書き込みのためのメモリリーダライタ218、などが接続されてもよい。上に例示した各機能モジュールの処理内容が記述されたプログラムがCDやDVD等の記録媒体を経由して、又はネットワーク等の通信手段経由で、ハードディスクドライブ等の固定記憶装置に保存され、コンピュータにインストールされる。固定記憶装置に記憶されたプログラムがRAM202に読み出されCPU200等のマイクロプロセッサにより実行されることにより、上に例示した機能モジュール群が実現される。なお、それら機能モジュール群のうちの一部又は全部を、専用LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、特定用途向け集積回路)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウエア回路として構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施形態の画像形成装置の構成例を示す図である。
【図2】プロファイルデータ生成処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図3】印刷指示を受けた場合の画像形成装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】印刷指示を受けた場合の画像形成装置の処理手順の別の一例を示すフローチャートである。
【図5】印刷指示を受けた場合の画像形成装置の処理手順の別の一例を示すフローチャートである。
【図6】印刷指示を受けた場合の画像形成装置の処理手順の別の一例を示すフローチャートである。
【図7】プロファイルデータにリンクする印刷設定値の変更指示があった場合の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図8】コンピュータのハードウエア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 印刷対象画像、100 画像形成装置、102 色変換部、104 プリントエンジン、106 印刷設定値、110 記憶装置、112 プロファイルデータ、114 印刷設定値、116 チャートパターン、120 制御部、122 プロファイルデータ生成部、130 ユーザインタフェース部、140 測色計。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色基準画像を印刷装置に印刷させるとともに、前記色基準画像を印刷する際の前記印刷装置の印刷色に影響を及ぼす印刷設定値を取得する取得手段と、
前記印刷装置により印刷された前記色基準画像の測色結果に基づき、入力された画像の色情報を前記印刷装置に供給する色情報へと変換するための色変換情報を生成する生成手段と、
前記取得手段が取得した前記印刷設定値を前記生成手段が生成した前記色変換情報と対応づけて記憶する記憶手段と、
入力画像の印刷が指示された場合に、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、に基づき、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を制御する制御手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を中止して警報を発する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記印刷装置の印刷設定値を、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値に置き換え、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を、前記置き換えられた印刷設定値に従って前記印刷装置に印刷させる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、のうちのいずれを優先するかを示す優先情報を記憶した優先情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記優先情報が示す優先される印刷設定値に従って、前記印刷装置に、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷設定値が含む項目ごとに、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、のうちのいずれを優先するかを示す優先情報を記憶した優先情報記憶手段を更に備え、
前記制御手段は、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、が異なっている場合には、前記項目ごとに前記優先情報が示す優先される印刷設定値の方の値に従って、前記印刷装置に、前記入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させる、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷装置に入力画像の前記色変換情報に基づく色変換の結果を印刷させた場合において、前記印刷の時点で前記印刷装置に設定されている印刷設定値を採用する旨の指示をユーザから受けた場合に、前記記憶手段に前記色変換情報と対応づけて記憶されている前記印刷設定値に置き換えて、前記印刷の時点で前記印刷装置に設定されている印刷設定値を前記記憶手段に記憶する手段、
を更に備える請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを、
色基準画像を印刷装置に印刷させるとともに、前記色基準画像を印刷する際の前記印刷装置の印刷色に影響を及ぼす印刷設定値を取得する取得手段、
前記印刷装置により印刷された前記色基準画像の測色結果に基づき、入力された画像の色情報を前記印刷装置に供給する色情報へと変換するための色変換情報を生成する生成手段、
前記取得手段が取得した前記印刷設定値を前記生成手段が生成した前記色変換情報と対応づけて記憶する記憶手段、
入力画像の印刷が指示された場合に、現時点での前記印刷装置の印刷設定値と、前記色変換情報に対応づけて前記記憶手段に記憶されている前記印刷設定値と、に基づき、前記色変換情報を用いた前記入力画像の印刷処理を制御する制御手段、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−66502(P2010−66502A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232531(P2008−232531)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】