画像形成装置及び色域補正方法
【課題】色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域を補正する。
【解決手段】RGB直交座標によって構成される第一色域の各座標点を円柱座標系xyθに変換し、xyθを出力する色情報によって再現できる第二色域に合わせて圧縮する圧縮調整部122と、RGB直交座標を、圧縮後の第一色域にもとづいて補正する座標変換部102と、を備え、圧縮調整部122は、第一色域に含まれるRGB直交座標に係るxyθの各座標点を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域における各座標点を第二色域に圧縮する構成としてある。
【解決手段】RGB直交座標によって構成される第一色域の各座標点を円柱座標系xyθに変換し、xyθを出力する色情報によって再現できる第二色域に合わせて圧縮する圧縮調整部122と、RGB直交座標を、圧縮後の第一色域にもとづいて補正する座標変換部102と、を備え、圧縮調整部122は、第一色域に含まれるRGB直交座標に係るxyθの各座標点を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域における各座標点を第二色域に圧縮する構成としてある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された色情報を出力用の色情報に変換する画像形成装置及び色域補正方法に関し、特に、入力された色情報の色域を出力用の色情報の色域に補正するための圧縮を行う画像形成装置及び色域補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を出力する画像形成装置にはLCDなどの入力系の表示装置や、プリンタなどの印刷装置がある。これらの出力装置は、出力方式の違いなどにより固有の色域を有しており再現可能な色範囲が異なる。
このため、例えば、LCDを見ながら作成した画像をプリンタで印刷する場合など、異なる出力装置で同じ画像データをそのまま出力すると再現できない色が生じることがある。
そこで、入力側の色域における色信号を出力側の色域内の色信号に置き換える処理が必要となる。このため、所定の色空間上に、入力側及び出力側の色信号を点で表し、色信号に係る色相を二次元の閉領域で表し、各色相の集合体を色域として表したうえで、入力側の色信号を示す点(以下、適宜入力点という)が、出力側の色域内にあるか否かの内外判定を行い、当該色域の外部にあると判定された場合にはその点を当該色域内に圧縮する幾何学的な手法が従来から用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、入力点の明度が、最大彩度点より高い場合は、明度を優先的に保持しながら圧縮を行いつつ、他方、入力点の明度が、最大彩度点より低い場合は、色差最小方向や明度軸上の所定の目標点方向に圧縮する技術について開示されてある。
このような圧縮方法によれば、明るい色については明度を維持し、暗い色については彩度と明度のバランスが取れた補正が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3515885号公報
【特許文献2】特許第4114033号公報
【特許文献3】特許第4411961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の色補正方法によれば、色域の内部にあると判定された点については圧縮処理の対象としていないため、例えば最外郭付近で所謂色つぶれが発生するなど、階調性を保つことができない問題が指摘されていた。
また、特許文献2、3に記載の圧縮方法によれば、出力色の色域において最大彩度点の明度を基点として圧縮方法を変えるようにしているため、出力デバイスへの依存度が必要以上に増え、結果、入力色の色あいが十分に反映されない問題があった。
さらに、特許文献3に記載の圧縮方法によれば、圧縮処理の過程において所定の明度変換処理を介して中間画像信号を生成するようにしているが、この明度変換処理においては、入力色の色域における最大彩度と入力色の彩度との比率を用いて色相ごとに明度変換処理を行うようにしているため、色相をまたいで形成される画像の場合、階調性が低下する問題が指摘されていた。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域を補正する画像形成装置及び色域補正方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮手段と、入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正手段と、を備え、前記圧縮手段は、前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮するようにしてある。
【0008】
また、本発明の色域補正方法は、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮ステップと、入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正ステップと、を有し、前記圧縮ステップは、前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び色域補正方法によれば、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域を補正するため、元の色あいを保持した好適な色味を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る色域圧縮方法のメインフローを示したフローチャートである。
【図3】第一色域における座標変換処理を示したフローチャートである。
【図4】第一色域における明度パラメータのレンジ調整処理を示したフローチャートである。
【図5】第一色域及び第二色域を用いた圧縮基準点の算出処理を示したフローチャートである、
【図6】色相座標における各パラメータの圧縮処理を示したフローチャートである。
【図7】第一色域における座標逆変換処理を示したフローチャートである。
【図8】格子点の変換処理を模式的に表した模式図である。
【図9】座標変換に係る各パラメータを説明するための説明図である。
【図10】第一色域の特定の色相座標θにおける各格子点がもつパラメータ(CIE Lab、CIE LCh)を説明するための説明図である。
【図11】色相座標θにおける圧縮基準点候補Lθを説明するための説明図である。
【図12】最大彩度点Cpの圧縮後の点Cqを模式的に表した模式図である。
【図13】格子点情報を説明するための説明図である。
【図14】圧縮時の比率の一例を示した図表である。
【図15】圧縮の演算式を説明するための説明図である。
【図16】元の色相形状と圧縮後の色相形状を説明するための比較図である。
【図17】格子点のポリゴンと、ポリゴンを用いた補間計算を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置Aの構成を示す構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置Aは、例えば、USBインタフェースや外部ネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の外部装置90から印刷データを受取り、制御部10が、これらの入力データに対し所定の色調整等、必要な画像処理を施し、出力エンジン20が、画像処理後の画像データにもとづき出力処理を行うプリンタ装置等が該当する。
特に本実施形態に係る画像形成装置Aは入力した色情報を補正する機能を有し、具体的には、制御部10の機能によって、入力した信号の色域(以下、入力色域という)が再現できる色の範囲と出力に用いる信号の色域(以下、出力色域という)が再現できる色の範囲とが異なるために、入力色域を出力色域の範囲に圧縮する所謂ガマットマッピング処理を行うようにしている。
【0013】
すなわち、画像形成装置Aは、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲に圧縮する圧縮手段(後述する圧縮調整部122の機能)と、入力した色情報を圧縮後の第一色域にもとづいて補正する補正手段(後述する座標変換手段102の機能)とを備え、圧縮手段は、第一色域に含まれる色情報の各座標を、各色相ごとに、明度、彩度及び色相の関係を保持しながら第二色域の所定箇所に移動することで第一色域を第二色域の範囲内に圧縮するようにしている。
なお、入力色域の範囲や出力色域の範囲は、その色空間によって異なり、入力色域の範囲に出力色域の全部が含まれる場合、入力色域の範囲に出力色域の一部が含まれる場合、出力色域の範囲と入力色域の範囲がこれらと逆の関係になる場合等あるが、本実施形態の画像形成装置Aは、いずれの場合においても対応可能である。
以下、入力色域を第一色域、出力色域を第二色域として説明する。
【0014】
ここで、制御部10は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、制御部10を「色空間の最外郭の算出部(手段)」(以下、最外郭算出部101という)、「色空間の座標変換部(手段)」(以下、座標変換部102という)、「色域の情報部」(以下、色域情報部120という)、「色域の圧縮部」(以下、色域圧縮部121という)、及び、「色相座標θ毎の圧縮調整部(以下、圧縮調整部122という)として機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPUは、このコンピュータプログラムをROMから読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより、制御部10を、最外郭算出部101、座標変換部102、色域情報部120、色域圧縮部121及び圧縮調整部122として動作する。RAMは、CPUがこのコンピュータプログラムを実行する際の作業用メモリなどとして用いられる。
【0015】
制御部10は、図1に示すように、最外郭算出部101、座標変換部102、色域情報部120、色域圧縮部121及び圧縮調整部122を、各機能ブロックとして備え、
【0016】
最外郭算出部101は、入力色域を出力色域にあわせる過程において、出力色域における最外郭を求める。入力色域としては、例えば、RGB直交座標系からなる色空間によって色再現できる領域があり、出力色域としては、CMY表色系からなる色空間によって色再現できる領域がある。
【0017】
座標変換部102は、第一色域及び第二色域の色空間における座標を、これら色域に依存しない他の色空間における座標に変換することで本発明の座標変換手段の動作を実現する。
具体的には、座標変換部102は、各座標を、色相ごとの明度及び彩度を示すことが可能な他の色空間(本発明の第一の色空間に相当)における座標に変換する。例えば、RGB空間からなる第一色域の直交座標系をxyθの円柱座標系に変換し、各格子点に対応したCIE Lab値(以下、Lab値という)を補間計算によって求める。求めたLab値を色域圧縮部121に出力する。
【0018】
色域情報部120は、図1に示すように、白色点・黒色点検索手段103と基準値演算手段104と最外郭点検索手段105とを備える。
白色点・黒色点検索手段103は、第一色域及び第二色域において、明度の最大となる点(白色点)と、明度の最小となる点(黒色点)を検索して求める。白色点・黒色点検索手段103は求めた白色点と黒色点の座標値を色域圧縮部121に出力する。
基準値演算手段104は、CIE LCh空間(以下、LChという)において示される色相の最大彩度点Cpを利用して、各色相ごとに圧縮時の指標となる圧縮基準点Gを求める。基準値演算手段104は、求めた圧縮基準点Gを圧縮調整部122に出力する。
最外郭点検索手段105は、後述する圧縮調整部122から入力した最大彩度点Cpと前記圧縮基準値Gにもとづき、θ座標ごとに第一色域における最大彩度点の移動先の座標Cqを求める。最外郭点検索手段105は、求めた座標Cqを圧縮調整部122に出力する。
【0019】
色域圧縮部121は、図1に示すように、色域圧縮手段106と色空間変換手段107とを備える。
色空間変換手段107は、座標変換部102から入力したLab値をXYZ値に変換し、変換後の各パラメータを色域圧縮手段106に出力する。
色域圧縮手段106は、後述する白色点・黒色点検索手段103から入力した白色点と黒色点の座標値にもとづき、第一色域における白色点及び黒色点を第二色域における白色点及び黒色点に合わせて圧縮する。圧縮処理は、白色点と黒色点のXYZ値の各パラメータにもとづき行うことにより線形圧縮を実現する。
なお、色空間変換手段107は、圧縮処理後の白色点・黒色点の座標(XYZ値)を、Lab値に逆変換し、その後、圧縮調整部122に出力する。
【0020】
圧縮調整部122は、前記他の空間において、第一色域に含まれる色情報の各座標のうち、任意の色相の最大彩度の座標を、第二色域におけるその色相の最外郭に移動するとともに、前記色相の他の座標を、前記最大彩度の座標の移動差に応じ第二色域の所定箇所に移動することで第一色域を第二色域の範囲内に圧縮することで本発明の圧縮手段の動作を実現する。
圧縮手段の具体的な動作としては、他の色空間として明度及び彩度からなる第一の色空間において、第二色域における各色相の最大彩度の座標及び当該各色相と相対する色相における最大彩度の座標からなる線分と明度軸との交点を圧縮基準点として求め、前記任意の色相の最大彩度の座標を、前記圧縮基準点の方向で、前記第二色域におけるその色相の最外郭に移動する。
また、前記第一の色空間において、第一色域における任意の色相の他の座標に関する所定の調整比率を各座標の配置関係にもとづいて求め、前記色相の他の座標を、前記調整比率及び最大彩度の座標の移動差にもとづいて求まる第二色域の所定箇所に移動する。
【0021】
このため、圧縮調整部122は、図1に示すように、高彩度点算出手段108と比率演算手段109と補間演算手段110とを備える。
高彩度点算出手段108は、θ座標毎に最大彩度点Cpの座標値を色域情報部120に出力し、最大彩度点Cpの移動先となる第一色域の最外郭の点Cqを求めさせる。
高彩度点算出手段108は、最大彩度点Cpの点Cqに対する移動量を算出する。
比率算出手段109は、最大彩度点Cpの最外郭点Cqへの移動量に応じ、第一色域における他のデータの移動量を算出する。具体的には、最大彩度点Cpの彩度に関する移動量と明度に関する移動量にもとづき、同一色相に属する各格子点の彩度と明度の移動量を求める。
補間演算手段110は、各格子点の移動後の彩度及び明度にもとづき、色相値を元の色相の形状に沿うように補間計算により求める。
具体的には、第一色域の色空間を色相ごとの色相範囲を示す他の色空間(本発明の第二の色空間に相当)に変換することで本発明の座標変換手段の動作を実現する。第二の色空間は、色相ごとの色相範囲を示す色空間であり、例えば、CIE La*b*空間が該当する。
そして、補間演算手段110は、第一の色空間において求めた第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び任意の色相の他の座標の移動後の座標値にもとづき、色相範囲をなす各色相値を求め、第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び任意の色相の他の座標の移動とともに、これら各座標の色相を求めた各色相値に変更することで本発明の圧縮手段を実現している。
このように、本実施形態に係る制御部10は、上述した、各構成部の処理を介して、第一色域における明度、彩度及び色相の補正値を求め、これにより本発明の補正手段の動作を実現している。
【0022】
つぎに、本実施形態に係る圧縮方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図2は、圧縮方法のメインフロー、図3は、第一色域における座標変換処理、図4は、第一色域における明度パラメータのレンジ調整処理、図5は、第一色域及び第二色域を用いた圧縮基準点の算出処理、図6は、色相座標における各パラメータの圧縮処理、図7は、第一色域における座標逆変換処理を、それぞれ示すフローチャートである。
なお、適宜、図8〜17を参照しながら説明する。
【0023】
[第二色域での最外郭算出]
図2に示すように、メインフローでは、まず、第二色域の最外郭を算出する(S1)。具体的には、最外郭算出手段101が、第二色域の各座標値にもとづきその最外郭に位置する座標を特定する。
【0024】
[第一色域における座標変換]
次いで、第一色域に含まれる座標値について座標変換を行う(S2)。
具体的には、図3に示すように、座標変換手段102が、RGBの直交座標でのLab値を取得し(S201)、円柱座標系xyθへの格子点変換を行い(S202)、座標変換後のLab値の補間演算を行う(S203)。
すなわち、図8に示すように、RGB直交座標系の格子点の座標値を、WBkからなる明度軸を縦軸とし彩度を横軸とする円柱座標系の座標に変換する。
【0025】
図9は座標変換に係る各パラメータを説明するための説明図である。
図9(a)に示すように、元の色空間は、RGB表色系とCMY表色系とが対応付けられた直交座標である。W−Bkは明度軸を示し、Pは任意の色相面(P−W−Bk)における最大彩度点を示す。
図9(b)は、図9(a)から、色相面(P−W−Bk)を取り出した図であり、色相方向をx軸とし、明度軸方向をy軸としている。
図9(c)は、図9(b)をWからBk方向に見た図であり、同図において色相を識別する色相座標をθで表すようにしている。
【0026】
ここで、θ及びx、yは、次式(1)によって算出することができる。
【数1】
なお、ωは角度(ラジアン)を示し、αouterはベクトル外積を示す。
すなわち、2つのベクトルの向きを確認し、角度のプラス・マイナスを判定するものである。
【0027】
[明度パラメータのレンジ調整]
図2に示すように、次に、第一色域において明度パラメータのレンジ調整処理を行う(S3)。
具体的には、図4に示すように、まず、色空間変換手段107が、第一色域でのLab値をXYZ値へ色変換し(S301)、白色点・黒色点検索手段103が、第二色域における明度(L値)の最大値(白色点)Lw2を取得する(S302)とともに、第一色域における明度の最大値(白色点)Lw1を取得する(S303)。
ここで、色域圧縮手段106は、Lw1とLw2との比較を行う(S304)。例えば、Lw1に対するLab値を算出してL値を比較する。
色域圧縮手段106は、Lw1がLw2より大きい場合(S304:YES)、Lw2のLab値をXYZ値に変換し(S305)、次に、白色点Lw1をLw2に合わせるため、第一色域をXYZ空間において線形圧縮する(S306)。
【0028】
他方、色域圧縮手段106は、Lw1がLw2より小さい場合(S304:NO)、S305、S306の処理は行わず、S307に進む。
続いて、白色点・黒色点検索手段103が、第二色域における明度(L値)の最小値(黒色点)Lk2を取得する(S307)とともに、第一色域における明度が最小値(黒色点)Lk1を取得する(S308)。
ここで、色域圧縮手段106は、Lk1とLk2との比較を行う(S309)。
色域圧縮手段106は、Lk1がLk2より大きい場合(S309:YES)、Lk2のLab値をXYZ値に変換し(S310)、次に、黒色点Lk1をLk2に合わせるため、第一色域をXYZ空間において線形圧縮する(S311)。
そして、色空間変換手段107が、圧縮後の第一色域におけるXYZ値をLab値へ変換する(S312)。色空間変換手段107は、圧縮後の第一色域のLab値は圧縮調整部122に出力する。
【0029】
[圧縮基準点の算出]
図2に示すように、次に、第一色域及び第二色域を用いて圧縮基準点を算出する(S4)。
具体的には、図5に示すように、まず、基準値演算手段104は、圧縮調整部122から入力した明度レンジ調整後の第一色域の情報にもとづき、第一色域でのLab値からLCh値を算出し(S401)、第一色域での同一θ値における色相(Hue)の範囲(Rangeθ)を算出する(S402)。
これにより、図10(a)に示すように、第一色域において色相座標θとしてθ1が特定された場合、図10(b)に示すように、その色相座標θ1における明度Lと彩度Cの値やその関係を求めることができる。
また、図10(c)に示すように、その色相座標θ1におけるa*、b*を求めることができ、結果、同一色相における色相範囲(Rangeθ=[Hue_a,Hue_b])を把握することができる。
【0030】
次いで、基準値演算手段104は、第二色域においてRangeθごとの最大彩度値(Cpθ)を求める(S403)。
続いて、基準値演算手段104は、CpθとCp(θ−180)よりLθを求め(S404)、各Lθの最小値(圧縮基準値G)を求める(S405)。
すなわち、図11(a)に示すように、第二色域において、同一色相における各座標を含む色相面における最大彩度点Cpθ1とこの最大彩度点に対し明度軸(L軸)を挟んで対称となる最大彩度点Cp(θ1−180)を求め、線分Cpθ1−Cp(θ1−180)と明度軸との交点Lθ1を求める。
図11(b)は、このような交点Lθ1及びこれを求めるために必要なCpθ1、Cp(θ1−180)を、CIE L、CIE Cからなる実際の二次元空間上に表した図である。
そして、基準値演算手段104は、S402〜405の処理を任意の色相座標θ毎に行い、その中から最小のLθ1を圧縮基準値Gとして求める。例えば、30度ごとの場合、Lθ1が12個求められ、この中の最小のLθ1を圧縮基準値Gとして求める。
【0031】
[色相座標における各パラメータの圧縮]
図2に示すように、次に、色相座標における各パラメータの圧縮を行う(S205)。
具体的には、図6に示すように、まず、高彩度点算出手段108が、第一色域が第二色域の最外郭より小さいか否かを判断する(S501)。すなわち、第一色域に含まれる任意の座標値と、最外郭算出手段101によって求めた第二色域の最外郭の値との対比を行う。
ここで、第一色域が第二色域より小さい場合(S501:YES)は、以降のS502〜S506に係る圧縮処理は行わず、第一色域が第二色域の最外郭より大きい場合(S501:NO)、最外郭点検索手段105が、第一色域での最大彩度点(Cp)と基準点Gの線分CpGを生成し(S502)、第二色域における最外郭と線分CpGとの交点Cqを算出する(S503)。
すなわち、図12に示すように、第一色域の最大彩度点Cpを圧縮基準点Gの方向で、かつ、第二色域の明度・彩度の移動量が最小となる点Cqに移動するようにする。
【0032】
次に、比率算出手段109が、各色相において、第一色域における各格子点の座標(明度L、彩度C)に対する調整比率を算出し(S504)、この調整比率を点Cpから点Cqへの移動差に乗算する演算を介し(S505)、補間演算手段110が、第一色域での演算前の色相形状に応じて補間を行う(S506)。
図13(a)は、第一色域の一色相面の1辺に格子点が5個ある場合の様子を模式的に示した図であり、図13(b)は、一色相面に含まれる格子点情報として、同図(a)の場合の各格子点におけるベクトル比率を対応付けた図表である。
ここで、図13(a)の各格子点に付した番号は、図13(b)に示す格子点IDを示す。
すなわち、図13(b)を参照することによって、対象の格子点におけるy軸方向のベクトル比率(KW)とx軸方向のベクトル比率(KCp)を求めることができる。例えば、格子点ID=11の格子点におけるx軸方向のベクトル比率(KW)は1/4となり、y軸方向のベクトル比率(KCp)は1/2となる。
Cqのxyθ空間におけるCpとのx座標比αIDは、αID=x(Cq)/x(Cp)によって求めることができる。
これにより、調整比率OUTBは、OUTB=1−(1−αID)3によって求めることができる。
【0033】
図14(a)は、A曲線がOUTA=INを示し、本実施形態に係るB曲線がOUTA=1−(1−IN)3を示した曲線であり、図14(b)は、OUTBにもとづいて調整比率OUTBを求めたものである。
そして、各格子点の移動先を対応する格子点IDの調整比率OUTBにもとづいて求める。
具体的には、図15に示すようにCpとCqとの差と、各格子点IDごとに求めた調整比率OUTBにもとづき、各格子点の移動先座標を次式(2)によって算出する。
CID’=Csub・OUTB+CID
LID’=Lsub・OUTB+LID
ただし、Csub=Cq−Cp、Lsub=Lq−Lp、OUTB={1−(1−αID)3}とする。
・・・・・(2)
【0034】
次に、a*及びb*によって示される色相形状を保持しつつ、各格子点の色相値を新たな色相値に写像する処理を行う。
すなわち、図16(a)に示す第一色相の初期形状を、図16(b)に示すようにHue値を保持したまま圧縮するのではなく、図16(c)に示すように色相形状(すなわち、元の色相範囲)を保ったまま圧縮することを目的とする。
このようにすると、明度及び彩度の階調性は勿論のこと、色相の色合いを保持しながら圧縮することができる。
このため、CIE C・CIE Lからなる二次元空間において、任意の色相座標θにおける格子点群から形成されるポリゴン群を用い、所定の面積比率にもとづいて色相値hを求める。
【0035】
具体的には、図17に示すように、格子点(P1、P2、P3)からなる三角形のポリゴンの内部に、圧縮後の対象の点T(C1,L1)が含まれる場合、まず、次式(3)を利用して、三角形TP2P3の面積S1、三角形TP1P3の面積S2及び三角形TP1P2の面積S3を求める。
S1=(C2−CT)(L3−LT)−(L2−LT)(C3−CT)
S2=(CT−C1)(L3−L1)−(LT−L1)(C3−C1)
S3=(C2−C1)(LT−L1)−(L2−L1)(CT−C1)
(P1、P2、P3の座標値は、P1=(C1,L1)、P2=(C1,L1)、P3=(C1,L1)とする。)
・・・・・(3)
【0036】
そして、求めたS1、S2、S3とこれらの総面積との面積比率を用いて、次式(4)にもとづき、CIE a*、CIE b*からなる二次空間上の点Tの値aT,bTを求め、aT,bTにもとづき色相値htを求める。
aT=(S1・a1+S2・a2+S3・a3)/(S1+S2+S3)
bT=(S1・b1+S2・b2+S3・b3)/(S1+S2+S3)
ht=tan(bT/aT)
・・・・・(4)
なお、補間演算手段110は、このようにして求めた圧縮後のLCh値を、座標変換手段102に出力する。
【0037】
[第一色域における座標逆変換]
図2に示すように、最後に、第一色域での座標逆変換を行う(S206)。
具体的には、図7に示すように、座標変換手段102が圧縮後のLch値にもとづき、円柱座標系xyθから直交座標RGBの格子点へ戻すために変換し(S701)、その格子情報にあったCIE Labを補間演算により求める(S702)。
すなわち、ICC Profile形式を考慮してLabを求めておくものであり、DeviceColorであるRGBやCMYKなどをLabなどデバイスに依存しない色空間のデータに対応付けて保持しておくものである。
【0038】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置によれば、色変換を行う過程において、出力側の色域(第二色域)で再現することができない範囲だけでなく、全体を圧縮することで色合いをつぶすことなく階調性を保つことができる。
すなわち、全体を等倍率で圧縮しないので、本来再現できる色を大きく変化させることなく、色再現が可能であり、低彩度及び中彩度付近の色味を損なわないで変換を行うことができる。
また、色相ごとに、入力側の最大彩度値と出力側の色域最外郭面を利用することで圧縮比率を求めるようにしているため、隣り合う色相で、入力側及び出力側の色域最外郭は滑らかであり、圧縮比率が特異な値をとることはない。つまり、隣り合う色相間で階調を崩すことなくいわゆるガマットマッピングを行うことが可能となる。
したがって、本発明の実施形態に係る画像形成装置によれば、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域の圧縮を行うことができるため、元の色あいを維持したまま忠実に画像を再現することができる。
【0039】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置Aは、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明は、コピー機、ファクシミリ装置など、プリンタ装置以外の他のカラー対応の画像形成装置においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プリンタ装置等、カラー対応の画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
A 画像形成装置
10 制御部
101 最外郭算出部(最外郭算出手段)
102 座標変換部(座標変換手段)
120 色域情報部
121 色域圧縮部
122 圧縮調整部
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された色情報を出力用の色情報に変換する画像形成装置及び色域補正方法に関し、特に、入力された色情報の色域を出力用の色情報の色域に補正するための圧縮を行う画像形成装置及び色域補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー画像を出力する画像形成装置にはLCDなどの入力系の表示装置や、プリンタなどの印刷装置がある。これらの出力装置は、出力方式の違いなどにより固有の色域を有しており再現可能な色範囲が異なる。
このため、例えば、LCDを見ながら作成した画像をプリンタで印刷する場合など、異なる出力装置で同じ画像データをそのまま出力すると再現できない色が生じることがある。
そこで、入力側の色域における色信号を出力側の色域内の色信号に置き換える処理が必要となる。このため、所定の色空間上に、入力側及び出力側の色信号を点で表し、色信号に係る色相を二次元の閉領域で表し、各色相の集合体を色域として表したうえで、入力側の色信号を示す点(以下、適宜入力点という)が、出力側の色域内にあるか否かの内外判定を行い、当該色域の外部にあると判定された場合にはその点を当該色域内に圧縮する幾何学的な手法が従来から用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1〜3には、入力点の明度が、最大彩度点より高い場合は、明度を優先的に保持しながら圧縮を行いつつ、他方、入力点の明度が、最大彩度点より低い場合は、色差最小方向や明度軸上の所定の目標点方向に圧縮する技術について開示されてある。
このような圧縮方法によれば、明るい色については明度を維持し、暗い色については彩度と明度のバランスが取れた補正が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3515885号公報
【特許文献2】特許第4114033号公報
【特許文献3】特許第4411961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の色補正方法によれば、色域の内部にあると判定された点については圧縮処理の対象としていないため、例えば最外郭付近で所謂色つぶれが発生するなど、階調性を保つことができない問題が指摘されていた。
また、特許文献2、3に記載の圧縮方法によれば、出力色の色域において最大彩度点の明度を基点として圧縮方法を変えるようにしているため、出力デバイスへの依存度が必要以上に増え、結果、入力色の色あいが十分に反映されない問題があった。
さらに、特許文献3に記載の圧縮方法によれば、圧縮処理の過程において所定の明度変換処理を介して中間画像信号を生成するようにしているが、この明度変換処理においては、入力色の色域における最大彩度と入力色の彩度との比率を用いて色相ごとに明度変換処理を行うようにしているため、色相をまたいで形成される画像の場合、階調性が低下する問題が指摘されていた。
【0006】
本発明は、以上のような事情に鑑みなされたものであり、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域を補正する画像形成装置及び色域補正方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮手段と、入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正手段と、を備え、前記圧縮手段は、前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮するようにしてある。
【0008】
また、本発明の色域補正方法は、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮ステップと、入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正ステップと、を有し、前記圧縮ステップは、前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮する方法としてある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像形成装置及び色域補正方法によれば、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域を補正するため、元の色あいを保持した好適な色味を再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る色域圧縮方法のメインフローを示したフローチャートである。
【図3】第一色域における座標変換処理を示したフローチャートである。
【図4】第一色域における明度パラメータのレンジ調整処理を示したフローチャートである。
【図5】第一色域及び第二色域を用いた圧縮基準点の算出処理を示したフローチャートである、
【図6】色相座標における各パラメータの圧縮処理を示したフローチャートである。
【図7】第一色域における座標逆変換処理を示したフローチャートである。
【図8】格子点の変換処理を模式的に表した模式図である。
【図9】座標変換に係る各パラメータを説明するための説明図である。
【図10】第一色域の特定の色相座標θにおける各格子点がもつパラメータ(CIE Lab、CIE LCh)を説明するための説明図である。
【図11】色相座標θにおける圧縮基準点候補Lθを説明するための説明図である。
【図12】最大彩度点Cpの圧縮後の点Cqを模式的に表した模式図である。
【図13】格子点情報を説明するための説明図である。
【図14】圧縮時の比率の一例を示した図表である。
【図15】圧縮の演算式を説明するための説明図である。
【図16】元の色相形状と圧縮後の色相形状を説明するための比較図である。
【図17】格子点のポリゴンと、ポリゴンを用いた補間計算を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置Aの構成を示す構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置Aは、例えば、USBインタフェースや外部ネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の外部装置90から印刷データを受取り、制御部10が、これらの入力データに対し所定の色調整等、必要な画像処理を施し、出力エンジン20が、画像処理後の画像データにもとづき出力処理を行うプリンタ装置等が該当する。
特に本実施形態に係る画像形成装置Aは入力した色情報を補正する機能を有し、具体的には、制御部10の機能によって、入力した信号の色域(以下、入力色域という)が再現できる色の範囲と出力に用いる信号の色域(以下、出力色域という)が再現できる色の範囲とが異なるために、入力色域を出力色域の範囲に圧縮する所謂ガマットマッピング処理を行うようにしている。
【0013】
すなわち、画像形成装置Aは、入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲に圧縮する圧縮手段(後述する圧縮調整部122の機能)と、入力した色情報を圧縮後の第一色域にもとづいて補正する補正手段(後述する座標変換手段102の機能)とを備え、圧縮手段は、第一色域に含まれる色情報の各座標を、各色相ごとに、明度、彩度及び色相の関係を保持しながら第二色域の所定箇所に移動することで第一色域を第二色域の範囲内に圧縮するようにしている。
なお、入力色域の範囲や出力色域の範囲は、その色空間によって異なり、入力色域の範囲に出力色域の全部が含まれる場合、入力色域の範囲に出力色域の一部が含まれる場合、出力色域の範囲と入力色域の範囲がこれらと逆の関係になる場合等あるが、本実施形態の画像形成装置Aは、いずれの場合においても対応可能である。
以下、入力色域を第一色域、出力色域を第二色域として説明する。
【0014】
ここで、制御部10は、非図示のCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備える。ROMには、制御部10を「色空間の最外郭の算出部(手段)」(以下、最外郭算出部101という)、「色空間の座標変換部(手段)」(以下、座標変換部102という)、「色域の情報部」(以下、色域情報部120という)、「色域の圧縮部」(以下、色域圧縮部121という)、及び、「色相座標θ毎の圧縮調整部(以下、圧縮調整部122という)として機能させるためのコンピュータプログラムが記憶されている。CPUは、このコンピュータプログラムをROMから読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより、制御部10を、最外郭算出部101、座標変換部102、色域情報部120、色域圧縮部121及び圧縮調整部122として動作する。RAMは、CPUがこのコンピュータプログラムを実行する際の作業用メモリなどとして用いられる。
【0015】
制御部10は、図1に示すように、最外郭算出部101、座標変換部102、色域情報部120、色域圧縮部121及び圧縮調整部122を、各機能ブロックとして備え、
【0016】
最外郭算出部101は、入力色域を出力色域にあわせる過程において、出力色域における最外郭を求める。入力色域としては、例えば、RGB直交座標系からなる色空間によって色再現できる領域があり、出力色域としては、CMY表色系からなる色空間によって色再現できる領域がある。
【0017】
座標変換部102は、第一色域及び第二色域の色空間における座標を、これら色域に依存しない他の色空間における座標に変換することで本発明の座標変換手段の動作を実現する。
具体的には、座標変換部102は、各座標を、色相ごとの明度及び彩度を示すことが可能な他の色空間(本発明の第一の色空間に相当)における座標に変換する。例えば、RGB空間からなる第一色域の直交座標系をxyθの円柱座標系に変換し、各格子点に対応したCIE Lab値(以下、Lab値という)を補間計算によって求める。求めたLab値を色域圧縮部121に出力する。
【0018】
色域情報部120は、図1に示すように、白色点・黒色点検索手段103と基準値演算手段104と最外郭点検索手段105とを備える。
白色点・黒色点検索手段103は、第一色域及び第二色域において、明度の最大となる点(白色点)と、明度の最小となる点(黒色点)を検索して求める。白色点・黒色点検索手段103は求めた白色点と黒色点の座標値を色域圧縮部121に出力する。
基準値演算手段104は、CIE LCh空間(以下、LChという)において示される色相の最大彩度点Cpを利用して、各色相ごとに圧縮時の指標となる圧縮基準点Gを求める。基準値演算手段104は、求めた圧縮基準点Gを圧縮調整部122に出力する。
最外郭点検索手段105は、後述する圧縮調整部122から入力した最大彩度点Cpと前記圧縮基準値Gにもとづき、θ座標ごとに第一色域における最大彩度点の移動先の座標Cqを求める。最外郭点検索手段105は、求めた座標Cqを圧縮調整部122に出力する。
【0019】
色域圧縮部121は、図1に示すように、色域圧縮手段106と色空間変換手段107とを備える。
色空間変換手段107は、座標変換部102から入力したLab値をXYZ値に変換し、変換後の各パラメータを色域圧縮手段106に出力する。
色域圧縮手段106は、後述する白色点・黒色点検索手段103から入力した白色点と黒色点の座標値にもとづき、第一色域における白色点及び黒色点を第二色域における白色点及び黒色点に合わせて圧縮する。圧縮処理は、白色点と黒色点のXYZ値の各パラメータにもとづき行うことにより線形圧縮を実現する。
なお、色空間変換手段107は、圧縮処理後の白色点・黒色点の座標(XYZ値)を、Lab値に逆変換し、その後、圧縮調整部122に出力する。
【0020】
圧縮調整部122は、前記他の空間において、第一色域に含まれる色情報の各座標のうち、任意の色相の最大彩度の座標を、第二色域におけるその色相の最外郭に移動するとともに、前記色相の他の座標を、前記最大彩度の座標の移動差に応じ第二色域の所定箇所に移動することで第一色域を第二色域の範囲内に圧縮することで本発明の圧縮手段の動作を実現する。
圧縮手段の具体的な動作としては、他の色空間として明度及び彩度からなる第一の色空間において、第二色域における各色相の最大彩度の座標及び当該各色相と相対する色相における最大彩度の座標からなる線分と明度軸との交点を圧縮基準点として求め、前記任意の色相の最大彩度の座標を、前記圧縮基準点の方向で、前記第二色域におけるその色相の最外郭に移動する。
また、前記第一の色空間において、第一色域における任意の色相の他の座標に関する所定の調整比率を各座標の配置関係にもとづいて求め、前記色相の他の座標を、前記調整比率及び最大彩度の座標の移動差にもとづいて求まる第二色域の所定箇所に移動する。
【0021】
このため、圧縮調整部122は、図1に示すように、高彩度点算出手段108と比率演算手段109と補間演算手段110とを備える。
高彩度点算出手段108は、θ座標毎に最大彩度点Cpの座標値を色域情報部120に出力し、最大彩度点Cpの移動先となる第一色域の最外郭の点Cqを求めさせる。
高彩度点算出手段108は、最大彩度点Cpの点Cqに対する移動量を算出する。
比率算出手段109は、最大彩度点Cpの最外郭点Cqへの移動量に応じ、第一色域における他のデータの移動量を算出する。具体的には、最大彩度点Cpの彩度に関する移動量と明度に関する移動量にもとづき、同一色相に属する各格子点の彩度と明度の移動量を求める。
補間演算手段110は、各格子点の移動後の彩度及び明度にもとづき、色相値を元の色相の形状に沿うように補間計算により求める。
具体的には、第一色域の色空間を色相ごとの色相範囲を示す他の色空間(本発明の第二の色空間に相当)に変換することで本発明の座標変換手段の動作を実現する。第二の色空間は、色相ごとの色相範囲を示す色空間であり、例えば、CIE La*b*空間が該当する。
そして、補間演算手段110は、第一の色空間において求めた第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び任意の色相の他の座標の移動後の座標値にもとづき、色相範囲をなす各色相値を求め、第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び任意の色相の他の座標の移動とともに、これら各座標の色相を求めた各色相値に変更することで本発明の圧縮手段を実現している。
このように、本実施形態に係る制御部10は、上述した、各構成部の処理を介して、第一色域における明度、彩度及び色相の補正値を求め、これにより本発明の補正手段の動作を実現している。
【0022】
つぎに、本実施形態に係る圧縮方法の詳細について図面を参照しながら説明する。
図2は、圧縮方法のメインフロー、図3は、第一色域における座標変換処理、図4は、第一色域における明度パラメータのレンジ調整処理、図5は、第一色域及び第二色域を用いた圧縮基準点の算出処理、図6は、色相座標における各パラメータの圧縮処理、図7は、第一色域における座標逆変換処理を、それぞれ示すフローチャートである。
なお、適宜、図8〜17を参照しながら説明する。
【0023】
[第二色域での最外郭算出]
図2に示すように、メインフローでは、まず、第二色域の最外郭を算出する(S1)。具体的には、最外郭算出手段101が、第二色域の各座標値にもとづきその最外郭に位置する座標を特定する。
【0024】
[第一色域における座標変換]
次いで、第一色域に含まれる座標値について座標変換を行う(S2)。
具体的には、図3に示すように、座標変換手段102が、RGBの直交座標でのLab値を取得し(S201)、円柱座標系xyθへの格子点変換を行い(S202)、座標変換後のLab値の補間演算を行う(S203)。
すなわち、図8に示すように、RGB直交座標系の格子点の座標値を、WBkからなる明度軸を縦軸とし彩度を横軸とする円柱座標系の座標に変換する。
【0025】
図9は座標変換に係る各パラメータを説明するための説明図である。
図9(a)に示すように、元の色空間は、RGB表色系とCMY表色系とが対応付けられた直交座標である。W−Bkは明度軸を示し、Pは任意の色相面(P−W−Bk)における最大彩度点を示す。
図9(b)は、図9(a)から、色相面(P−W−Bk)を取り出した図であり、色相方向をx軸とし、明度軸方向をy軸としている。
図9(c)は、図9(b)をWからBk方向に見た図であり、同図において色相を識別する色相座標をθで表すようにしている。
【0026】
ここで、θ及びx、yは、次式(1)によって算出することができる。
【数1】
なお、ωは角度(ラジアン)を示し、αouterはベクトル外積を示す。
すなわち、2つのベクトルの向きを確認し、角度のプラス・マイナスを判定するものである。
【0027】
[明度パラメータのレンジ調整]
図2に示すように、次に、第一色域において明度パラメータのレンジ調整処理を行う(S3)。
具体的には、図4に示すように、まず、色空間変換手段107が、第一色域でのLab値をXYZ値へ色変換し(S301)、白色点・黒色点検索手段103が、第二色域における明度(L値)の最大値(白色点)Lw2を取得する(S302)とともに、第一色域における明度の最大値(白色点)Lw1を取得する(S303)。
ここで、色域圧縮手段106は、Lw1とLw2との比較を行う(S304)。例えば、Lw1に対するLab値を算出してL値を比較する。
色域圧縮手段106は、Lw1がLw2より大きい場合(S304:YES)、Lw2のLab値をXYZ値に変換し(S305)、次に、白色点Lw1をLw2に合わせるため、第一色域をXYZ空間において線形圧縮する(S306)。
【0028】
他方、色域圧縮手段106は、Lw1がLw2より小さい場合(S304:NO)、S305、S306の処理は行わず、S307に進む。
続いて、白色点・黒色点検索手段103が、第二色域における明度(L値)の最小値(黒色点)Lk2を取得する(S307)とともに、第一色域における明度が最小値(黒色点)Lk1を取得する(S308)。
ここで、色域圧縮手段106は、Lk1とLk2との比較を行う(S309)。
色域圧縮手段106は、Lk1がLk2より大きい場合(S309:YES)、Lk2のLab値をXYZ値に変換し(S310)、次に、黒色点Lk1をLk2に合わせるため、第一色域をXYZ空間において線形圧縮する(S311)。
そして、色空間変換手段107が、圧縮後の第一色域におけるXYZ値をLab値へ変換する(S312)。色空間変換手段107は、圧縮後の第一色域のLab値は圧縮調整部122に出力する。
【0029】
[圧縮基準点の算出]
図2に示すように、次に、第一色域及び第二色域を用いて圧縮基準点を算出する(S4)。
具体的には、図5に示すように、まず、基準値演算手段104は、圧縮調整部122から入力した明度レンジ調整後の第一色域の情報にもとづき、第一色域でのLab値からLCh値を算出し(S401)、第一色域での同一θ値における色相(Hue)の範囲(Rangeθ)を算出する(S402)。
これにより、図10(a)に示すように、第一色域において色相座標θとしてθ1が特定された場合、図10(b)に示すように、その色相座標θ1における明度Lと彩度Cの値やその関係を求めることができる。
また、図10(c)に示すように、その色相座標θ1におけるa*、b*を求めることができ、結果、同一色相における色相範囲(Rangeθ=[Hue_a,Hue_b])を把握することができる。
【0030】
次いで、基準値演算手段104は、第二色域においてRangeθごとの最大彩度値(Cpθ)を求める(S403)。
続いて、基準値演算手段104は、CpθとCp(θ−180)よりLθを求め(S404)、各Lθの最小値(圧縮基準値G)を求める(S405)。
すなわち、図11(a)に示すように、第二色域において、同一色相における各座標を含む色相面における最大彩度点Cpθ1とこの最大彩度点に対し明度軸(L軸)を挟んで対称となる最大彩度点Cp(θ1−180)を求め、線分Cpθ1−Cp(θ1−180)と明度軸との交点Lθ1を求める。
図11(b)は、このような交点Lθ1及びこれを求めるために必要なCpθ1、Cp(θ1−180)を、CIE L、CIE Cからなる実際の二次元空間上に表した図である。
そして、基準値演算手段104は、S402〜405の処理を任意の色相座標θ毎に行い、その中から最小のLθ1を圧縮基準値Gとして求める。例えば、30度ごとの場合、Lθ1が12個求められ、この中の最小のLθ1を圧縮基準値Gとして求める。
【0031】
[色相座標における各パラメータの圧縮]
図2に示すように、次に、色相座標における各パラメータの圧縮を行う(S205)。
具体的には、図6に示すように、まず、高彩度点算出手段108が、第一色域が第二色域の最外郭より小さいか否かを判断する(S501)。すなわち、第一色域に含まれる任意の座標値と、最外郭算出手段101によって求めた第二色域の最外郭の値との対比を行う。
ここで、第一色域が第二色域より小さい場合(S501:YES)は、以降のS502〜S506に係る圧縮処理は行わず、第一色域が第二色域の最外郭より大きい場合(S501:NO)、最外郭点検索手段105が、第一色域での最大彩度点(Cp)と基準点Gの線分CpGを生成し(S502)、第二色域における最外郭と線分CpGとの交点Cqを算出する(S503)。
すなわち、図12に示すように、第一色域の最大彩度点Cpを圧縮基準点Gの方向で、かつ、第二色域の明度・彩度の移動量が最小となる点Cqに移動するようにする。
【0032】
次に、比率算出手段109が、各色相において、第一色域における各格子点の座標(明度L、彩度C)に対する調整比率を算出し(S504)、この調整比率を点Cpから点Cqへの移動差に乗算する演算を介し(S505)、補間演算手段110が、第一色域での演算前の色相形状に応じて補間を行う(S506)。
図13(a)は、第一色域の一色相面の1辺に格子点が5個ある場合の様子を模式的に示した図であり、図13(b)は、一色相面に含まれる格子点情報として、同図(a)の場合の各格子点におけるベクトル比率を対応付けた図表である。
ここで、図13(a)の各格子点に付した番号は、図13(b)に示す格子点IDを示す。
すなわち、図13(b)を参照することによって、対象の格子点におけるy軸方向のベクトル比率(KW)とx軸方向のベクトル比率(KCp)を求めることができる。例えば、格子点ID=11の格子点におけるx軸方向のベクトル比率(KW)は1/4となり、y軸方向のベクトル比率(KCp)は1/2となる。
Cqのxyθ空間におけるCpとのx座標比αIDは、αID=x(Cq)/x(Cp)によって求めることができる。
これにより、調整比率OUTBは、OUTB=1−(1−αID)3によって求めることができる。
【0033】
図14(a)は、A曲線がOUTA=INを示し、本実施形態に係るB曲線がOUTA=1−(1−IN)3を示した曲線であり、図14(b)は、OUTBにもとづいて調整比率OUTBを求めたものである。
そして、各格子点の移動先を対応する格子点IDの調整比率OUTBにもとづいて求める。
具体的には、図15に示すようにCpとCqとの差と、各格子点IDごとに求めた調整比率OUTBにもとづき、各格子点の移動先座標を次式(2)によって算出する。
CID’=Csub・OUTB+CID
LID’=Lsub・OUTB+LID
ただし、Csub=Cq−Cp、Lsub=Lq−Lp、OUTB={1−(1−αID)3}とする。
・・・・・(2)
【0034】
次に、a*及びb*によって示される色相形状を保持しつつ、各格子点の色相値を新たな色相値に写像する処理を行う。
すなわち、図16(a)に示す第一色相の初期形状を、図16(b)に示すようにHue値を保持したまま圧縮するのではなく、図16(c)に示すように色相形状(すなわち、元の色相範囲)を保ったまま圧縮することを目的とする。
このようにすると、明度及び彩度の階調性は勿論のこと、色相の色合いを保持しながら圧縮することができる。
このため、CIE C・CIE Lからなる二次元空間において、任意の色相座標θにおける格子点群から形成されるポリゴン群を用い、所定の面積比率にもとづいて色相値hを求める。
【0035】
具体的には、図17に示すように、格子点(P1、P2、P3)からなる三角形のポリゴンの内部に、圧縮後の対象の点T(C1,L1)が含まれる場合、まず、次式(3)を利用して、三角形TP2P3の面積S1、三角形TP1P3の面積S2及び三角形TP1P2の面積S3を求める。
S1=(C2−CT)(L3−LT)−(L2−LT)(C3−CT)
S2=(CT−C1)(L3−L1)−(LT−L1)(C3−C1)
S3=(C2−C1)(LT−L1)−(L2−L1)(CT−C1)
(P1、P2、P3の座標値は、P1=(C1,L1)、P2=(C1,L1)、P3=(C1,L1)とする。)
・・・・・(3)
【0036】
そして、求めたS1、S2、S3とこれらの総面積との面積比率を用いて、次式(4)にもとづき、CIE a*、CIE b*からなる二次空間上の点Tの値aT,bTを求め、aT,bTにもとづき色相値htを求める。
aT=(S1・a1+S2・a2+S3・a3)/(S1+S2+S3)
bT=(S1・b1+S2・b2+S3・b3)/(S1+S2+S3)
ht=tan(bT/aT)
・・・・・(4)
なお、補間演算手段110は、このようにして求めた圧縮後のLCh値を、座標変換手段102に出力する。
【0037】
[第一色域における座標逆変換]
図2に示すように、最後に、第一色域での座標逆変換を行う(S206)。
具体的には、図7に示すように、座標変換手段102が圧縮後のLch値にもとづき、円柱座標系xyθから直交座標RGBの格子点へ戻すために変換し(S701)、その格子情報にあったCIE Labを補間演算により求める(S702)。
すなわち、ICC Profile形式を考慮してLabを求めておくものであり、DeviceColorであるRGBやCMYKなどをLabなどデバイスに依存しない色空間のデータに対応付けて保持しておくものである。
【0038】
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置によれば、色変換を行う過程において、出力側の色域(第二色域)で再現することができない範囲だけでなく、全体を圧縮することで色合いをつぶすことなく階調性を保つことができる。
すなわち、全体を等倍率で圧縮しないので、本来再現できる色を大きく変化させることなく、色再現が可能であり、低彩度及び中彩度付近の色味を損なわないで変換を行うことができる。
また、色相ごとに、入力側の最大彩度値と出力側の色域最外郭面を利用することで圧縮比率を求めるようにしているため、隣り合う色相で、入力側及び出力側の色域最外郭は滑らかであり、圧縮比率が特異な値をとることはない。つまり、隣り合う色相間で階調を崩すことなくいわゆるガマットマッピングを行うことが可能となる。
したがって、本発明の実施形態に係る画像形成装置によれば、色相、彩度、明度の階調性を保ちながら色域の圧縮を行うことができるため、元の色あいを維持したまま忠実に画像を再現することができる。
【0039】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置Aは、上述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明は、コピー機、ファクシミリ装置など、プリンタ装置以外の他のカラー対応の画像形成装置においても適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、プリンタ装置等、カラー対応の画像形成装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0041】
A 画像形成装置
10 制御部
101 最外郭算出部(最外郭算出手段)
102 座標変換部(座標変換手段)
120 色域情報部
121 色域圧縮部
122 圧縮調整部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した色情報を補正する機能を有する画像形成装置であって、
入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮手段と、
入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正手段と、を備え、
前記圧縮手段は、
前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一色域及び前記第二色域の色空間における座標を、これら色域に依存しない他の色空間における座標に変換する座標変換手段を備え、
前記圧縮手段は、
前記他の色空間において、前記第一色域に含まれる色情報の各座標のうち、任意の色相の最大彩度の座標を、前記第二色域における前記色相の最外郭に移動するとともに、前記色相の他の座標を、前記最大彩度の座標の移動差に応じ前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記他の色空間は、色相ごとの明度及び彩度を示す第一の色空間であって、
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において、前記第二色域における各色相の最大彩度の座標及び当該各色相と相対する色相における最大彩度の座標からなる線分と明度軸との交点を圧縮基準点として求め、前記任意の色相の最大彩度の座標を、前記圧縮基準点の方向で、前記第二色域における前記色相の最外郭に移動する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において、前記第一色域における前記色相の他の座標に関する所定の調整比率を各座標の配置関係にもとづいて求め、前記色相の他の座標を、前記調整比率及び前記最大彩度の座標の移動差にもとづいて求まる前記第二色域の所定箇所に移動する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記他の色空間は、色相ごとの色相範囲を示す第二の色空間であって、
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において求めた前記第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び前記色相の他の座標の移動後の座標値にもとづき、前記色相範囲をなす各色相値を求め、前記第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び前記色相の他の座標の移動とともに、これら各座標の色相を前記各色相値に変更する請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
入力した色情報を補正する色域補正方法であって、
入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮ステップと、
入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正ステップと、を有し、
前記圧縮ステップは、
前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮することを特徴とする色域補正方法。
【請求項1】
入力した色情報を補正する機能を有する画像形成装置であって、
入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮手段と、
入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正手段と、を備え、
前記圧縮手段は、
前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第一色域及び前記第二色域の色空間における座標を、これら色域に依存しない他の色空間における座標に変換する座標変換手段を備え、
前記圧縮手段は、
前記他の色空間において、前記第一色域に含まれる色情報の各座標のうち、任意の色相の最大彩度の座標を、前記第二色域における前記色相の最外郭に移動するとともに、前記色相の他の座標を、前記最大彩度の座標の移動差に応じ前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮する請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記他の色空間は、色相ごとの明度及び彩度を示す第一の色空間であって、
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において、前記第二色域における各色相の最大彩度の座標及び当該各色相と相対する色相における最大彩度の座標からなる線分と明度軸との交点を圧縮基準点として求め、前記任意の色相の最大彩度の座標を、前記圧縮基準点の方向で、前記第二色域における前記色相の最外郭に移動する請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において、前記第一色域における前記色相の他の座標に関する所定の調整比率を各座標の配置関係にもとづいて求め、前記色相の他の座標を、前記調整比率及び前記最大彩度の座標の移動差にもとづいて求まる前記第二色域の所定箇所に移動する請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記他の色空間は、色相ごとの色相範囲を示す第二の色空間であって、
前記圧縮手段は、
前記第一の色空間において求めた前記第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び前記色相の他の座標の移動後の座標値にもとづき、前記色相範囲をなす各色相値を求め、前記第一色域における任意の色相の最大彩度の座標及び前記色相の他の座標の移動とともに、これら各座標の色相を前記各色相値に変更する請求項3又は4記載の画像形成装置。
【請求項6】
入力した色情報を補正する色域補正方法であって、
入力した色情報によって再現できる第一色域を、出力する色情報によって再現できる第二色域の範囲内に圧縮する圧縮ステップと、
入力した色情報を、前記圧縮後の前記第一色域にもとづいて補正する補正ステップと、を有し、
前記圧縮ステップは、
前記第一色域に含まれる色情報を示す各座標を、明度、彩度及び色相ごとの関係をそれぞれ保持しながら前記第二色域の所定箇所に移動することで前記第一色域を前記第二色域の範囲内に圧縮することを特徴とする色域補正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−182549(P2012−182549A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42578(P2011−42578)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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