説明

画像形成装置部品、その製造方法、及びそれを用いた画像形成装置

【課題】従来の高分子材料がもつ混合攪拌性の低さを克服し、十分な混合攪拌性が得られ、均一微細セルで、ピンホールの少ない画像形成装置部品用高分子材料を短時間で提供できる該画像形成装置部品用高分子材料の製造方法、及びこの材料を用いた画像形成装置部品及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくともポリオールとポリイソシアネートを含む高分子材料を原料とする画像形成装置部品の製造方法において、該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程、気体成分を脱気することにより該ポリオール中の気体成分を1〜5質量%に調整する脱気調整工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともポリオールとポリイソシアネートからなる画像形成装置部品用高分子材料、それを用いた画像形成装置部品及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置等の画像形成装置には、帯電用、現像用、転写用、トナー供給用、クリーニング用などに供される部品の部材として、高分子材料からなる部材が注目されている。これらは、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、トナー供給ローラ、クリーニングローラなどの弾性を有するローラやトナー層規制ブレード、クリーニングブレード等の弾性を有するブレード等の形態で用いられている。これらの目的に使用される高分子材料からなる部材には、通常ゴム又はポリウレタンなどの高分子エラストマーやフォームが用いられ、トナーへのストレス低減や再生画像の画質向上のために低硬度の発泡弾性体材料、特にはポリウレタンフォームの適用が増加してきている。
【0003】
前記高分子材料は、所定量のポリオール、ポリイソシアネートを攪拌装置で混合攪拌し、所定の形状に成形するのが一般的である。前記攪拌装置としては、低圧攪拌装置、高圧攪拌装置、RIM(reaction injection molding、反応射出成形)装置などが挙げられる。
【0004】
例えば、RIM成形では、通常フロンR−11を発泡剤として使用する。その際、高分子材料中にガスを溶解させておくことで、溶存ガスが核となり、R−11のガス気泡生成を助け、結果としてクリーム時間(クリームタイム)を早め、より均一なセル構造の成形品を得ることができる。ガスを溶かす方法としては、プロセスタンク中の原液を乾燥空気又は乾燥窒素で加圧する方法がある。しかし、短時間に多くのガスを溶存させるには、乾燥ガスをバブリングさせ攪拌することにより、強制的に溶存ガス量を増加させることができるとされている(非特許文献1参照)。
【0005】
本発明による画像形成装置部品用高分子材料は、非常に小型で低硬度であることから、フロンR−11などを溶存させるRIM装置は適さない。よって、低圧攪拌機を用いて空気、窒素、あるいは炭酸ガスを溶存させ成形することを特徴としている。
【0006】
低圧攪拌装置で該部品用高分子材料を所定の形状に成形する場合、主成分であるポリオール及びポリイソシアネートの混合攪拌性は重要な因子である。十分な混合攪拌性が得られるように、攪拌装置の混合部分に製造者が独自の工夫を凝らしているほか、原料の混合攪拌性や粘度を考慮して製品開発が行われる場合が多い。
【0007】
近年、安価で多機能な製品が求められるようになり、ポリエステルポリオールからポリエーテルポリオールへの原料転換が行われてきている。一般的に、ポリエーテルポリオールは、ポリエステルポリオールに比べ原料粘度が極めて低く、どちらかと言えば親水性の原料である。これに反して、ポリイソシアネートは低粘度で疎水性の原料である場合が多い。よって、両者の混合攪拌性は非常に悪く、攪拌不良や、セル粗大化、ピンホール混入などの混合攪拌性に基づく種々の問題が生じていた。
【0008】
このような従来の高分子材料がもつ混合攪拌性の低さを克服するため、高分子材料であるポリオールとポリイソシアネートとを混合するに際し、タンクや配管中のポリオールや混合ポリオールに気体成分を加圧し溶存させ、さらにバブリングし攪拌することでポリオール中の気体成分を1〜5質量%とする方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、上記の方法では、気体成分を溶解させる際に気泡が発生し、気泡が存在しなくなるまでに長時間を要する。ポリオールとポリイソシアネートとの混合においては厳密に量比を適合させる必要があるため、気泡が存在しなくなるまで成型を開始することはできない。そのため、この材料準備時間の増大は実生産において工程時間の増大につながり、コスト増となってしまう場合があった。
【0010】
【非特許文献1】岩田敬治著「ポリウレタン樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社出版、1987年9月25日、p.293
【特許文献1】特開2004−285109号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、従来の高分子材料がもつ混合攪拌性の低さを克服し、十分な混合攪拌性が得られ、均一微細セルで、ピンホールの少ない画像形成装置部品用高分子材料を短時間で提供できる該画像形成装置部品用高分子材料の製造方法、及びこの材料を用いた画像形成装置部品及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための、本発明は、以下の通りである。
(1)少なくともポリオールとポリイソシアネートを含む高分子材料を原料とする画像形成装置部品の製造方法において、該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程、気体成分を脱気することにより該ポリオール中の気体成分を1〜5質量%に調整する脱気調整工程を含むことを特徴とする画像形成装置部品の製造方法による。
(2)気体成分が、空気、窒素あるいは炭酸ガスである(1)に記載の画像形成装置部品の製造方法による。
(3)該ポリオールが、触媒および助剤を含む混合ポリオールである(1)または(2)に記載の画像形成装置部品の製造方法による。
(4)該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程が、該気体成分を加圧し、攪拌する方法であることを特徴とする(1)乃至(3)に記載の画像形成装置部品の製造方法による。
(5)該ポリオール中の気体成分の脱気方法が0.1から70kPaに減圧して攪拌する方法であることを特徴とする(1)乃至(4)に記載の画像形成装置部品の製造方法による。
(6)該ポリオール中の気体成分含有量の調整を該ポリオールの液比重の測定によってモニターすることを特徴とする(1)乃至(5)に記載の画像形成装置部品の製造方法による。
(7)上記(1)乃至(6)のいずれか1項に記載の画像形成装置部品の製造方法を用いて製造された画像形成装置部品による。
(8)画像形成装置部品が、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラあるいはクリーニングローラである(7)に記載の画像形成装置部品による。
(9)上記(7)又は(8)に記載の画像形成装置部品を装着してなる画像形成装置による。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来の高分子材料がもつ混合攪拌性の低さを克服し、十分な混合攪拌性が得られ、均一微細セルで、ピンホールの少ない画像形成装置部品用高分子材料を短時間で提供できる該画像形成装置部品用高分子材料の製造方法、及びこの材料を用いた画像形成装置部品及び画像形成装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
本発明の画像形成装置部品の製造方法は、少なくともポリオールとポリイソシアネートを含む高分子材料を原料とする画像形成装置部品の製造方法において、該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程、気体成分を脱気することにより該ポリオール中の気体成分を1〜5質量%に調整する脱気調整工程を含むことを特徴とする画像形成装置部品の製造方法である。
【0016】
ポリオールとポリイソシアネートを用いて得られる高分子材料を所定の形状に成形する場合、(1)ポリオール、ポリイソシアネート、触媒、その他助剤(整泡剤、発泡剤、添加剤など)を混合攪拌し、所定の画像形成装置部品を成形する、あるいは、(2)ポリオール、触媒、その他助剤(整泡剤、発泡剤、添加剤など)を予め混合して混合ポリオールとし、その後、ポリイソシアネートと混合攪拌し、所定の画像形成装置部品を成形するのが一般的である。
【0017】
ポリオールとポリイソシアネートを混合攪拌する際に、ポリオール中に溶存している気体の混入量によって、前記画像形成装置部品用高分子材料の形成性が異なる。気体成分としては、空気、窒素、炭酸ガスなどが挙げられる。
【0018】
ポリオール中に微細な気体を溶存させることで原料粘度がやや向上し、ポリイソシアネートとの混合攪拌性を格段に向上する。すなわち、前記ポリオール中の気体の割合を1〜5質量%に調整し、ポリイソシアネートと混合して画像形成装置部品用高分子材料を製造し、さらに発泡成形硬化させると、十分な混合攪拌性が得られ、均一微細セルでピンホールの少ない画像形成装置部品が得られる。
【0019】
ポリオール中の気体成分の含有割合G(質量%)は、ポリオールの気体成分を含まない状態での液比重W0と気体成分を含ませた後の状態の液比重W1より、下記式にしたがって定義される。各液比重は、液比重計を用いて測定する。なお、ポリオールは混合ポリオールを用いたときは該混合ポリオールを含む。
G=(W0−W1)×100
【0020】
ポリオール中の気体成分の含有割合Gが5質量%より大きい場合には、ポリイソシアネートとの混合攪拌性においては良好であるが、形成した画像形成装置部品はピンホールの多い画像形成装置部品用高分子材料となりやすい。また、1質量%より小さい場合には、ポリイソシアネートと十分な混合攪拌性が得られず、気泡の大きさが不均一になりやすい。
【0021】
ポリオール中に気体成分を含有させる方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法が使用できる。タンクや配管中のポリオールや混合ポリオールにこれらを加圧し攪拌させることで溶存させる。さらに、バブリングし攪拌すると短時間に多くのガスを溶存させることができる。
【0022】
気体成分を過剰に含有させたポリオールから気体成分を脱気する方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法が使用できる。減圧にして攪拌する方法、超音波を用いる方法、加熱する方法、中空糸膜などの気液分離膜を用いる方法などが挙げられ、減圧にして攪拌する方法が好ましい。減圧・攪拌により該ポリオールから気体成分を脱気する際の減圧度としては特に限定されないが、0.1〜70kPaであることが好ましく、1〜40kPaであることがより好ましい。該ポリオールから気体成分を脱気する際には、脱気条件(開始気体含有量、温度、圧力、時間、その他)と気体成分の含有割合の関係を表す実験プロット等をあらかじめ作成し、参照することが好ましい。気体成分を脱気することで、気体成分の含有過程で発生した気泡は除去される。
【0023】
本発明で用いるポリオールとしては、特に制限は無く、従来公知の各種ポリオールの中から、適宜選択して使用することができる。具体的には、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキシレンアジペート、ポリ(エチレン、ブチレン)アジペート、ダイマー酸系ポリオール、ヒマシ油系ポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリエステルポリオールや、ポリオキシアルキレングリコール等のポリエーテルポリオールが挙げられる。この中でも、分子量が2000〜10000であるものを単独若しくは混合して用いることが好ましい。すなわち、2000未満であると架橋密度が高くなりすぎて、得られる高分子材料の物性が低下する傾向がみられる。また、10000を超えるとポリオールの粘度が高くなり、反応時の作業性が悪くなる傾向がみられるからである。
【0024】
なお、上記ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールを用いると、耐湿熱耐久性に優れた高分子材料を得るのに好適である。更に、エチレンオキサイドを5モル%以上含有するポリエーテルポリオールを使用すると、反応性に優れ好ましい。
【0025】
また、あらかじめポリイソシアネートと反応させたプレポリマーとして用いても差し支えない。
【0026】
ポリエーテルポリオールと組み合せる他の各種ポリオールとしては、上記したポリオールの他に、ポリエーテルポリオール中でエチレン性不飽和単量体(アクリロニトリル、スチレン、メタクリル酸メチル、塩化ビニリデン等)の重合により変性した通称ポリマーポリオール(商品名:三井武田ケミカル)、エチレンオキサイドを60〜95モル%ランダム付加重合させたポリエーテルポリオールなどが挙げられる。これらのポリオールを一部併用することにより材料の湿熱耐久性を低下させることなく、通気性向上等を図ることができる。
【0027】
一方、本発明で用いうるポリイソシアネートとしては、特に制限は無く、従来公知の各種ポリイソシアネートの中から、適宜選択して使用する。このポリイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネート(TDI)やジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)などの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)などの脂肪族ポリイソシアネート及びその誘導体、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などの脂環式ポリイソシアネート及びその誘導体などが挙げられる。ここで誘導体とは、例えば、多核体、ポリオールなどで変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物などを挙げることができる。これらのポリイソシアネートの中で、TDI、MDIなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体を主成分とするものは、得られる高分子材料からなる部材の低硬度化、湿熱耐久性を向上させるので好適である。
【0028】
TDI、MDIなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体を単独で用いても良く、また、二種以上を組み合せて用いても良い。また、所望により、TDI、MDIなどの芳香族ポリイソシアネート及びその誘導体とともに、HMDIなどの脂肪族ポリイソシアネート、IPDIなどの脂環式ポリイソシアネート及びその誘導体を併用することができる。
【0029】
これらポリイソシアネートの配合量としては特に制限は無いが、NCOインデックスを60〜120%になるように設定することが好ましく、70〜105%になるように設定することがより好ましい。
【0030】
本発明の画像形成装置部品用高分子材料は、ポリオール、ポリイソシアネート、及び所望により用いられる整泡剤、触媒、水、その他助剤から製造される。
【0031】
整泡剤としては、ポリジメチルシロキサンとEO/PO共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサン、スルホン化リシノール酸のナトリウム塩やこれらとポリシロキサン・ポリオキシアルキレンコポリマーとの混合物等が挙げられる。これらの整泡剤の中で、ポリジメチルシロキサンとEO/PO共重合物からの水溶性ポリエーテルシロキサンが好ましい。その使用量としては全ポリオール100質量部に対して0.1〜3質量部が適当である。
【0032】
水は、ポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することにより発泡剤として使用される。通常その配合量は、全ポリオール100質量部に対して、0.1〜10質量部が適当であり、好ましくは0.1〜5質量部である。なお、助剤として、HFC−134A等のクロロフルオロカーボン類、シクロペンタン等の炭化水素、その他の発泡剤を水と併用しても構わない。
【0033】
その他助剤として、架橋剤、難燃剤、着色剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、酸化防止剤、導電性付与剤等が挙げられる。これらは必要に応じて使用する。
【0034】
本発明の画像形成装置部品の製造方法については、ポリオールあるいは混合ポリオール中の気体成分の含有割合を特定にするほかは特に制限は無く常法によれば良い。その一例を示せば次の通りである。まず、ポリオール、触媒、その他助剤(整泡剤、発泡剤、添加剤など)を予め混合して混合ポリオールとする。その後、ポリイソシアネートと混合攪拌して高分子材料を得、次いで部品金型等に入れ、加熱して発泡硬化させることにより、画像形成装置部品が得られる。ここで、あらかじめ部品金型にローラ芯金等の金属部材をセットしておくことによって、金属部材を取り付けることができる。
【0035】
ポリオール成分とポリイソシアネート成分を混合する際の温度や時間については特に制限は無いが、混合温度は、通常10〜90℃、好ましくは15〜50℃の範囲であり、混合時間は、通常1秒〜10分間、好ましくは3秒〜5分間程度である。
【0036】
また、加熱して発泡硬化させる際、従来公知の方法により、ポリウレタンフォームからなる画像形成装置部品を作製することができる。ここでの発泡方法については特に制限はない。なお、発泡倍率は、画像形成装置部品が必要とする強度や柔軟性等により決まるが、適宜定めればよく、特に制限はない。
【0037】
本発明の画像形成装置部品は、必要により、ローラである場合には、通常、鉄にメッキを施したものやステンレス鋼などからなる芯金に取り付けることにより画像形成装置に組み込まれる。
【0038】
また、用途によっては、導電性付与剤を添加してもよいし、導電性や半導電性、あるいは絶縁性の塗料により、その外側を塗装してもよい。
【0039】
本発明の画像形成装置部品は、例えば帯電用部材、現像用部材、転写用部材、トナー供給用部材及びクリーニング用部材などとして用いられるものである。
【0040】
なお、本発明の画像形成装置用部品と必要により取り付けられる金属部材との接合方法については特に制限は無いが、本発明の高分子材料を成形するに当たり金属部材を予めモールド(成形型)内部に配設しておく方法や、高分子材料を所定の形状に成形した後接着する方法などを用いることができる。どちらの方法でも、必要に応じて金属部材と画像形成装置用部品との間に接着層を設けることができる。この接着層としては、接着剤やホットメルトシートなどの公知の材料を用いることができる。
【0041】
本発明の画像形成装置用部品の製造方法としては、上述した所定の形状のモールドに注型する方法によるほか、あらかじめブロック状のウレタン発泡体を得、この発泡体から切削加工により所定の寸法に切り出す方法、発泡体を研磨処理して所定の寸法にする方法、あるいはこれらの方法を適宜組み合せる方法などを挙げることができる。
【0042】
本発明の画像形成装置部品の種類としては、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラ、クリーニングローラ、トナー層規制ブレード、クリーニングブレードなどを挙げることができる。
【0043】
図1に、本発明の画像形成装置部品がトナー供給ローラである電子写真方式の画像形成装置の一例の説明図を示す。
【0044】
トナー供給ローラ3と静電潜像を保持した画像形成体1との間に現像ローラ2が、その外周面を画像形成体1の表面に近接させた状態で配設され、該画像形成体1に紙などの記録媒体8を介して、転写ローラ5を当接させた構造をしている。トナー供給ローラ3及び現像ローラ2は反時計周りに、画像形成体1は時計周りに回転させることにより、トナーがトナー供給ローラ3により、現像ローラ2の表面に供給され、層規制ブレード4によって均一な薄層に整えられた後、画像形成体1上の潜像に付着し、該潜像が可視化される。そして画像形成体1と転写ローラ5との間に電界を発生させることにより、画像形成体1上のトナー画像を記録媒体8に転写させる。また、クリーニングブレード6により、転写後に画像形成体1表面に残留するトナーが除去される。なお、7は帯電ローラである。
【0045】
図2に現像ローラおよびトナー供給ローラを備えた現像ユニットの断面を示した。
【0046】
現像ユニット9はトナー11を蓄えるホッパーの出口部分にトナー供給ローラ3、現像ローラ2および現像ローラ2上のトナー11を均一な層にする層規制ブレード4が設けられており、通常一体となって画像形成装置に組み込まれる。トナーがなくなるとこのユニットは取り替えられる。
【0047】
また、図3にトナー供給ローラの斜視図を示す。
【0048】
芯金12の周りに本発明の高分子材料から形成されるポリウレタンフォーム層13があり、このものは通常図4に示されるようなパイプ状の金型で製造される。
【0049】
図4に示すように、成形用金型14はローラの大きさを規定するパイプ15と芯金12を保持するキャップ16からなる。芯金12を組み込み、パイプ15、キャップ16および芯金12から形成される成形キャビティ17に本発明の高分子材料を流し込んで発泡硬化することによりトナー供給ローラは製造される。
【実施例】
【0050】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0051】
<実施例1〜3、比較例1>
内径Φ14mm、長さ270mmのSUS304製金型にワックス系離型剤(フリリース600:ネオス(株)製)をスポンジ等に含ませて塗布し、50℃で20分間加温乾燥した。
【0052】
下記のポリオールと助剤をあらかじめ混合して混合ポリオールとし、窒素をバブリングさせながら攪拌することで混合ポリオール中に窒素を過剰に溶解させた。その後、混合ポリオールを27kPaに減圧しながら攪拌し、窒素含有量が所定の値となるまで脱気した。
【0053】
次に、混合ポリオールと下記のポリイソシアネートを混合攪拌し、次いで、前記成形型にて発泡成形することにより、トナー供給ローラを得た。
【0054】
<比較例2〜5>
内径Φ14mm、長さ270mmのSUS304製金型にワックス系離型剤(フリリース600:ネオス(株)製)をスポンジ等に含ませて塗布し、50℃で20分間加温乾燥した。
【0055】
下記のポリオールと助剤をあらかじめ混合して混合ポリオールとし、混合ポリオール中の窒素含有量が所定の値となるまで窒素をバブリングさせながら攪拌させた。その後、混合ポリオール中の気泡が無くなるまで静置した。
【0056】
次に、混合ポリオールと下記のポリイソシアネートを混合攪拌し、次いで、前記成形型にて発泡成形することにより、トナー供給ローラを得た。
【0057】
(ウレタン原料)
ポリオール
ポリオール:FA−908(三洋化成(株)製) ・・・ 100質量部
助剤
整泡剤:L−5366(日本ユニカー(株)製) ・・・ 1質量部
触媒:TOYOCAT−ET(東ソー(株)製) ・・・ 0.1質量部
TEDA−L33(東ソー(株)製) ・・・ 0.5質量部
水 ・・・ 2.0質量部
ポリイソシアネート
コスモネートT−80(三井武田ケミカル(株)製)・・・17.4質量部
コスモネートM200(三井武田ケミカル(株)製)・・・ 4.4質量部
【0058】
(気泡除去時間の測定)
実施例1〜3及び比較例1においては、混合ポリオールに気体成分を過剰に溶解させた後、減圧にしてから窒素含有量が所定の値となるまでの時間を測定した。比較例2〜5においては、混合ポリオール中の気体成分が所定量の値になってから気泡が存在しなくなるまでの時間を測定した。なお、気泡の存在は目視で確認した。
【0059】
(セル径評価)
成形したローラの樹脂部の平均セル径。セル径の測定は、ビデオマイクロスコープで実施した。350nm以下が好ましい。
【0060】
(ピンホール評価)
ピンホール判定は、ビデオマイクロスコープで実施した。成形したローラの樹脂部に形成された大きな気泡、ボイドなど。
○:なし
△:若干あり
×:顕著に発生
【0061】
(画像評価)
上記各トナー供給ローラをフルカラーレーザービームプリンタ(キヤノン(株)製;LBP−2510)のシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各トナーカートリッジに組み込み、このカートリッジを取り付けたフルカラーレーザービームプリンタを用いて、連続耐久試験用のテキストページを連続4000枚出力した。出力終了後1晩以上放置してから各色ベタ画像を作像して下記の方法に従って目視による判定を行った。
○:良好
△:やや不良(若干の色抜け、濃度むら)
×:不良(色抜け、濃度むら)
【0062】
上記実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
表1の結果より明らかなように、本発明の製造方法によれば、従来の高分子材料がもつ混合攪拌性の低さを克服し、十分な混合攪拌性が得られ、均一微細セルで、ピンホールの少ない画像形成装置部品用高分子材料を短時間で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の画像形成装置部品がトナー供給ローラである電子写真方式の、画像形成装置の一例の説明図である。
【図2】現像ローラおよびトナー供給ローラを備えた現像ユニットの断面図である。
【図3】本発明に従うトナー供給ローラの一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に従うトナー供給ローラの製造方法において用いられる成形金型の例を示す縦断説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1.画像形成体
2.現像ローラ
3.トナー供給ローラ
4.層規制ブレード
5.転写ローラ
6.クリーニングローラ
7.帯電ローラ
8.記録媒体
9.現像ユニット
10.ホッパー
11.トナー
12.芯金
13.ポリウレタンフォーム層(樹脂部)
14.成形型
15.パイプ
16.キャップ
17.成形キャビティ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリオールとポリイソシアネートを含む高分子材料を原料とする画像形成装置部品の製造方法において、該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程、気体成分を脱気することにより該ポリオール中の気体成分を1〜5質量%に調整する脱気調整工程を含むことを特徴とする画像形成装置部品の製造方法。
【請求項2】
気体成分が、空気、窒素あるいは炭酸ガスである請求項1に記載の画像形成装置部品の製造方法。
【請求項3】
該ポリオールが、触媒および助剤を含む混合ポリオールである請求項1または2に記載の画像形成装置部品の製造方法。
【請求項4】
該ポリオールに5質量%以上の気体成分を含有せしめる工程が、該気体成分を加圧し、攪拌する方法であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置部品の製造方法。
【請求項5】
該ポリオール中の気体成分の脱気方法が0.1から70kPaに減圧して攪拌する方法であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置部品の製造方法。
【請求項6】
該ポリオール中の気体成分含有量の調整を該ポリオールの液比重の測定によってモニターすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像形成装置部品の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像形成装置部品の製造方法を用いて製造された画像形成装置部品。
【請求項8】
画像形成装置部品が、帯電ローラ、現像ローラ、トナー供給ローラ、転写ローラあるいはクリーニングローラである請求項7に記載の画像形成装置部品。
【請求項9】
請求項7または8に記載の画像形成装置部品を装着してなる画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−178520(P2007−178520A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374297(P2005−374297)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(393002634)キヤノン化成株式会社 (640)
【Fターム(参考)】