説明

画像形成装置

【課題】用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセットに形状が共通の1種類の部品により用紙残量を視覚的に表示させる画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙装置21の2つの給紙カセット46a及び46b内にある可動底板47a及び47bには、同一の形状で左右反転した状態の検知部材66がそれぞれ係合する。用紙積載量が少ない給紙カセット用の可動底板47aの用紙満載時の低位置から用紙無し時の高位置に回動するまでの先端部の最大可動量Bよりも、用紙積載量が多い給紙カセット用の可動底板47bの先端部の最大可動量Cのほうが大きい。可動底板47bの最大可動量Cのときの可動量がBとなる位置と可動底板47aの最大可動量Bとなる先端部に検知部材66のリンクアーム部66−1を係合させ、それらの中央に指標66−2がくるように設定し、同位置に給紙カセットの表示窓を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーを用いてフルカラーの画像を形成する電子写真式の画像形成装置(プリンタ又は複写機)がある。
図19は、そのような従来のトナーを用いてフルカラーの画像を形成する電子写真式の二重転写方式の画像形成装置の構成を簡略に示す側断面図である。簡単に説明すると、この画像形成装置は、図19に示すように、下部に上下2段の給紙カセット1(1a、1b)を備えている。そして、これらの給紙カセット1には、それぞれ多枚数の用紙が底板の上に載置されて収容されている。
【0003】
用紙10は、これら2段の給紙カセット1のいずれか一方、例えば給紙カセット1aから繰り出しローラ2によって繰り出され、給紙ローラ3と捌きローラ4とによって一枚ごとに送り出され、待機ローラ対5により搬送タイミングに合わせて二次転写ローラ6が配置されている二次転写部へと搬送される。他方の給紙カセット1bが使用される場合は、用紙は下給紙ガイド7を介して待機ローラ対5へと送り出される。
【0004】
上記の二次転写部では、無端状の扁平なベルトからなる転写ベルト8の一方の端部が二次転写ローラ6に圧接して配置されている。転写ベルト8は、他方の端部を駆動ローラ9に掛け渡され、上記一方の端部を従動ローラ11に掛け渡されて張設され、駆動ローラ9に駆動されて、図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動する。
【0005】
転写ベルト8の上循環移動面に接して、移動方向上流側から4個の感光体ドラム12(12m、12c、12y、12k)が順次配置されている。これらの感光体ドラム12はそれぞれ図示を省略した画像形成ユニットの最下端部に配置されており、それぞれの下面に、転写ベルト8を介して一次転写ローラ13(13m、13c、13y、13k)が圧接している。
【0006】
感光体ドラム12mは、マゼンタのトナー像を回転搬送する。そして、そのトナー像は一次転写ローラ13mにより転写ベルト8に転写される。同様にして感光体ドラム12cのシアンのトナー像がマゼンタのトナー像の上に重ねて転写され、感光体ドラム12yのイエローのトナー像が重ねて転写され、更に、感光体ドラム12kのブラックのトナー像が重ねて転写される。
【0007】
これら4色のトナー像が重ねて転写されたフルカラーのトナー像は、転写ベルト8の循環移動に伴われて二次転写部へと搬送され、二次転写ローラ6によって、用紙10に転写される。フルカラーのトナー像を転写された用紙10は、定着部14において熱と圧力とによりトナー像を紙面に定着されたのち、排紙ローラ対15により、排紙トレー16に、画像形成面を下にして排出される。
【0008】
両面印刷の場合は、第1面にトナー画像を定着された用紙10は、矢印bで示すように一旦途中まで機外に排出されたのち、矢印cで示すように逆送されて両面印刷用搬送ユニット17に送り込まれる。そして用紙10は、矢印dで示すように下方に搬送され、上に反転しながら下給紙ガイド7を介して待機ローラ対5を通過し、二次転写部で第2面にトナー像を転写され、定着部14でトナー像を定着され、第1面を上にして排紙トレー16に排出される。
【0009】
ところで、上記の上下2段の給紙カセット1(1a、1b)には、連続して印刷(印字又は画像形成とも言う)を行なうために、大量の用紙を収納している。一般に、画像形成装置には、給紙カセット内の用紙の残量が無くなったことを検知する機構が設けられており、用紙無しが検知されると、ランプの点灯やブザーの放音により用紙無しを報知して用紙の補充を行うことを促すようにしている。
【0010】
しかし、給紙カセット内の用紙が全て無くなるまで利用者に通知されないのでは、大量の印刷を行なう場合に途中で用紙切れとなる虞がある。したがって、給紙カセットを画像形成装置本体から取り出して、収容されている用紙の残量を確認する必要がある。
【0011】
このような手間を省くため、給紙カセットに収容した用紙が給紙されるごとに給紙カセットの底板を上昇させ、この底板の用紙が積載されない部分に突起部を当接させ、底板の上昇動作に伴い回転して給紙カセットに明けた窓を通して見える箇所に設けられた指標を移動させて、この指標の窓での位置に基づき用紙の残量確認を給紙カセット本体の外側から視覚的に行い得るようにした構成が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、複数の給紙カセットが上下に複数段配置される給紙カセット収納部を備えた画像形成装置において、複数の給紙カセットに対応する複数のインジケータと、給紙カセットの用紙積載板の上下動に連動して上記のインジケータを上下動させるレバーを各給紙カセット毎に備える例も提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開平06−271141号公報([要約]、図1)
【特許文献2】特開2002−362762号公報([要約]、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、上記特許文献1又は2に示される従来の画像形成装置においては、いずれも用紙最大積載量が異なる複数の給紙カセットを用いる場合には、その用紙最大積載量に応じたインジケータが必要になる。
【0013】
つまり用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセットがあった場合には、2種類のインジケータが必要になる。これは、部品点数の増加に繋がるものであり、画像形成装置の製造上のコストアップの要因ともなって、不満の残るものであった。
【0014】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセットにおいて形状が共通の1種類の部品により給紙カセット内の用紙残量を視覚的に表示させる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の画像形成装置は、用紙給送手段と、外装部と本体部を備え用紙を収納する用紙収納カセットと、該用紙収納カセット内に設けられ後方部の支点を介して上記用紙給送手段に対応する前端部を移動自在に支持され少なくとも用紙の給送方向前部を積載する可動底板と、該可動底板を上記用紙給送手段側へ付勢する可動底板付勢手段と、上記可動底板と係合し最大積載量の用紙が積載されて上記可動底板付勢手段により付勢された上記可動底板の状態から上記用紙給送手段により用紙が給紙され尽くした際の上記可動底板の状態に至る移動量に連動して用紙積載量を検知する検知部材と、上記用紙収納カセットの上記外装部に設けられ上記検知部材の連動量に基いて用紙積載量を表示するための表示窓とを備えた給紙装置を上下2段に配置した画像形成装置において、上記上下2段の給紙装置は、上記用紙収納カセットの少なくとも外装部が同一形状であって各々の最大積載量が異なり、一方の給紙装置の上記可動底板の最大移動量をA、他方の給紙装置の上記可動底板の最大移動量をBとした時、A<Bであり、上記検知部材は同一形状をなし、一方の上記検知部材は上記一方の給紙装置の上記可動底板の最大移動量Aに対応する連動量がA′となるよう上記一方の給紙装置の上記可動底板と係合し、他方の上記検知部材は上記他方の給紙装置の上記可動底板の最大移動量Bに対応する連動量が上記A′となるよう上記他方の給紙装置の上記可動底板と係合する、ように構成される。
【0016】
上記検知部材は、例えば、上記可動底板と係合するリンクアーム部、指標を先端に備えた表示アーム部、上記リンクアーム部と上記表示アーム部を連結する連結部からなり、上記リンクアーム部と上記表示アーム部の間には、上記連結部に平行してヒンジが介装され、上記リンクアーム部の上記可動底板との係合部と上記表示アーム部先端の上記指標とは上記ヒンジを中に挟んで反対側に在って上記表示窓の内面に位置しているように構成される。
【0017】
この場合、上記検知部材は、例えば、上記可動底板が用紙満載時の最低位置から用紙が給紙され尽くした用紙無し時の最高位置まで移動することに追随して上記リンクアーム部が最低位置から最高位置まで移動することに応じて、上記指標を上記表示窓の内面に沿って最高位置から最低位置まで移動させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセットであっても、同一形状の外装部と同一形状の検知部材とにより給紙カセット内の用紙の残量表示を行うので、部品の種類を減らすことができて金型費が大幅に削減され、画像形成装置の製造上のコストダウンに貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
尚、以下の説明において、上記の用紙給送手段は、例えば用紙取出ローラ48、給送ローラ49、捌きローラ51、ガイド部52、待機搬送ローラ対53等から成り、上記の可動底板付勢手段は、例えば不図示の付勢部材等から成り、そして上記の外装部は、例えば外装取っ手22等から成る。
【0020】
また、以下の説明において、印字と印刷と画像形成は同義に用いている。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態における用紙収納カセットを組み込まれたカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の外観を示す斜視図である。図1において、プリンタ20は、ケーブルによって不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器に接続されている。
【0021】
このプリンタ20は、装置本体前面下部に上下2段に配置された給紙装置21(21a、21b)を備えている。これらの給紙装置21は、外装取っ手22を備え、それらの外装取っ手22には、用紙積載量を表示するための表示窓23がそれぞれ形成されている。これらの給紙装置21は、用紙を補給する際には外装取っ手22を手前(図1の斜め左前)に引くことによって全体を外部に引き出すことができる。
【0022】
また、装置本体上部前方にはオペレーションパネル24が配設され、上部中央部の右方には排紙トレー25が形成されている。上記のオペレーションパネル24は、複数のキーが配設されたキー操作部24aと、不図示のCPUから出力される表示情報に基づき表示を行う液晶ディスプレイ24bと、報知ランプ24c等で構成されている。
【0023】
また、装置本体の右側面には、メンテナンス時には開閉可能な後述する両面印刷用搬送ユニット26が配設され、その下部には手差し給紙ユニット27が配設されている。
図2は、上記の外観構成を有するプリンタ20の内部構成を説明する断面図である。図2に示すように、プリンタ20は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、中央部に中間転写ベルトユニット28を備えている。
【0024】
中間転写ベルトユニット28の上方に4つの画像形成部29が配置され、その右方に定着装置31が配置され、更にその右方には、装置本体右側面を形成する上述した両面印刷用搬送ユニット26及び手差し給紙ユニット27が配設されている。
【0025】
また、中間転写ベルトユニット28の上方には、廃トナー回収容器32が配置され、更にその下方に上述した給紙装置21(21a、21b)が配置されている。
上記4つの画像形成部29は、図2の右から左へ4個の画像形成ユニット33(33M、33C、33Y、33K)を多段式に並設した構成からなる。
【0026】
上記4個の画像形成ユニット33のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット33M、33C及び33Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット33Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0027】
上記の各画像形成ユニット33は、トナー容器に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット33Kを例にしてその構成を説明する。
【0028】
画像形成ユニット33は、最下部に感光体ドラム34を備えている。この感光体ドラム34は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム34の周面近傍を取り巻いて、クリーナ35、帯電ローラ36、光書込ヘッド37、及び現像器38の現像ローラ39が配置されている。
【0029】
現像器38は、上部のトナー容器に、図2ではM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ39を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ39にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ39上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0030】
中間転写ベルトユニット28は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト41と、この転写ベルト41を掛け渡されて転写ベルト41を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ42と従動ローラ43を備えている。
【0031】
上記の転写ベルト41は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0032】
この中間転写ベルトユニット28は、上記扁平なループ状の転写ベルト41のループ内にベルト位置制御機構44を備えている。ベルト位置制御機構44は、転写ベルト41を介して感光体ドラム34の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ45を備えている。
【0033】
ベルト位置制御機構44は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット33M、33C及び33Yに対応する3個の一次転写ローラ45を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させ、ブラック(K)の画像形成ユニット33Kに対応する1個の一次転写ローラ45を上記3個の一次転写ローラ45の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト41を感光体ドラム34から離接させる。
【0034】
これによって、ベルト位置制御機構44は、印刷モードをフルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ45が転写ベルト41に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット33Kに対応する一次転写ローラ45のみが転写ベルト41に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ45が転写ベルト41から離れる)に切換える。
【0035】
上記の中間転写ベルトユニット28には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット33Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の前述の廃トナー回収容器32が着脱自在に配置されている。
【0036】
また、上記給紙装置21(21a、21b)は、それぞれ詳しくは後述する給紙カセット46(46a、46b)を備え、2個の給紙カセット46は、それぞれ多枚数の用紙を載置する可動底板47(47a、47b)を備えている。
【0037】
上記2個の給紙カセット46の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ48、給送ローラ49、捌きローラ51、ガイド部52、待機搬送ローラ対53が配置されている。
【0038】
待機搬送ローラ対53の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト41を介して従動ローラ43に圧接する二次転写ローラ54が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0039】
この二次転写部の下流(図では上方)側には前述した定着装置31が配置されている。定着装置31は、ベルト式熱定着装置で構成されている。この定着装置31の更に下流側には、定着後の用紙を定着装置31から搬出する搬出ローラ対55、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー25に排紙する排紙ローラ対56が配設されている。
【0040】
両面印刷用搬送ユニット26は、上記搬出ローラ対55と排紙ローラ対56との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路57a、それから下方に曲がる中間返送路57b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路57cを備えている。
【0041】
そして、それらの返送路の途中には、4組の返送ローラ対58a、58b、58c、58dが配設されている。また、上記の返送ローラ対58dが配設されている終端返送路57cの出口は、給紙装置21の下方の給紙カセット46bに対応する待機搬送ローラ対53への両面印刷用搬送路59bに連絡している。この両面印刷用搬送路59bは、待機搬送ローラ対53を介して更に両面印刷用搬送路59aに連絡している。
【0042】
また、本例において中間転写ベルトユニット28の上面部には、クリーニング部61、取り込みローラ62が配置されている。クリーニング部61は、転写ベルト41の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ62はクリーニング部61が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器32に送り込んでいる。
【0043】
また、上記のクリーニング部61を適度の圧力で転写ベルト41に圧接させるために、中間転写ベルトユニット28側には、下方から転写ベルト41をクリーニング部61に向けて押圧する押圧ローラ63が設けられている。
【0044】
図1に示すように、この画像形成装置20は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対53により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト41を介してカラートナー像を一括して転写する方式となっている。
【0045】
このように給紙装置21から給紙された用紙は、一路鉛直方向に搬送されるだけであるので、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図1の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0046】
そして、用紙ジャム等の不具合は、画像形成ユニットのキット類の配設部では発生しないので、図1の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、長手方向(図の紙面奥行き方向)に入れ替え操作するだけの小さなスペースで良いように構成されている。
【0047】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化が図られている。また、光書込みヘッド自体も小型化され、感光体ドラムに、より近接している構成となっている。
【0048】
尚、この画像形成装置20の印刷処理時の動作は、図19に示した画像形成装置で説明した印刷処理の動作とほぼ同様である。
図3は、上記プリンタ20の給紙装置21のみを取り出して示す斜視図である。図3に示すように、上下2段の給紙装置21a及び21bは、それぞれ同一形状の外装取っ手22を備えている。
【0049】
この同一形状の2つの外装取っ手22に、上部の給紙カセット46a及び下部の給紙カセット46bがそれぞれ保持されている。そして、上部の給紙カセット46aには可動底板47aが配設され、下部の給紙カセット46bには可動底板47bが配設されている。
【0050】
本例では、上部の給紙カセット46aの用紙最大積載量よりも、下部の給紙カセット46bの用紙最大積載量の方が多くなるように構成されている。したがって、用紙最大積載量の少ない上部の給紙カセット46aの可動底板47aはやや小さく形成され、用紙最大積載量の多い下部の給紙カセット46bの可動底板47bはやや大きく形成されている。
【0051】
これらの可動底板47a及び47bは、後端部の回動係合孔64に嵌入する支持ピン65(図3では上部の給紙カセット46aの紙面奥方向の回動係合孔64及び支持ピン65のみが見えており紙面手前側及び下部の給紙カセット46bの回動係合孔64及び支持ピン65は陰になって見えない)により回動可能に支持されている。
【0052】
そして、これら可動底板47a及び47bと、給紙カセット46a及び46bの各給紙カセット底面との間には、特には図示しないが、付勢部材が介装されている。
これにより、可動底板47a及び47bは、上記の付勢部材により、支持ピン65を支点にして前方部分が常に上方に回動すべく付勢され、用紙満載時の低位置から給紙され尽くして用紙無しとなった高位置まで、用紙の残量に応じて上方に回動する。
【0053】
そして、給紙カセット46a及び46bには、上記のように回動する可動底板47a及び47bに係合して用紙残量を検出する検知部材が設けられている。
図4(a),(b) は、上記の給紙カセット46a及び46bから可動底板47a及び47bと検知部材のみを取り出して示す斜視図である。図4(a) は可動底板47a及び47bが用紙満載時の低位置に在る状態を示し、図4(b) は、用紙無しとなった高位置の状態を示している。
【0054】
図4(a),(b) に示す可動底板47a及び47bにそれぞれ係合する2つの検知部材66は、同一の形状をしており、可動底板と係合するリンクアーム部66−1、指標66−2を先端に備えた表示アーム部66−3、リンクアーム部66−1と表示アーム部66−3を連結する連結部66−4からなる。
【0055】
そして、リンクアーム部66−1と表示アーム部66−3の間には、連結部66−4に平行してヒンジ67が介装されている。
そして、上記2つの検知部材66は形状は同一で、可動底板47aと47bとでは、検知部材66は、リンクアーム部66−1と表示アーム部66−3とが左右反転した状態でそれぞれ係合している。
【0056】
2つの検知部材66は、可動底板47aと47bのいずれの場合も、可動底板47a又は47bが、図4(a) に示す用紙満載時の低位置から、図4(b) に示す用紙無し時の高位置に回動すると、可動底板に係合するリンクアーム部66−1の係合端部がヒンジ67を支点にして矢印eで示すように上昇する。
【0057】
このようにリンクアーム部66−1の係合端部がヒンジ67を支点にして上昇することにより、ヒンジ67の軸を中にして反対側に位置する表示アーム部66−3先端の指標66−2が矢印fで示すように下降する。
【0058】
図5(a),(b),(c) は、2つの可動底板の回動動作と検知部材の動作との関係を示す図である。図5(a) は図4(a) の側面図を示しており、図5(b) は図4(b) の側面図を示している。
【0059】
本例では、上述したように上部の給紙カセット46aの用紙最大積載量よりも下部の給紙カセット46bの用紙最大積載量の方が多く設定されている。
このように用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセット46a及び46bにおいては、図5(c) に示すように、給紙カセット46a及び46bに取付けてある可動底板47a及び47bの用紙満載の低位置から用紙無しの高位置までの可動量B及びCは、用紙最大積載量の多い給紙カセット47bの可動底板47bの可動量Cの方が大きい。
【0060】
本例では、このように用紙満載時から用紙無し時までの可動量の異なる2種類の可動底板47a及び47bに、形状の同一な検知部材66を係合させて、形状の同一な外装取っ手22の表示窓23において、用紙残量を示す指標66−2を動作させる。
【0061】
そのために、本例においては、2種類の給紙カセット46a及び46bの可動底板47a及び47bの可動量が同じになる位置にインジケータとしての検知部材66(具体的にはリンクアーム部66−1端部の係合部)を係合させる。
【0062】
図5(c) に示すように、装置本体の正面から見た場合、用紙最大積載量が少ない給紙カセット46aの可動底板47aでは、可動量が最大量Bとなる可動底板先端部にインジケータを係合させるべき部位P1を設定する。
【0063】
そして、用紙最大積載量が多い方の給紙カセット46bの可動底板47bでは、可動底板先端部より内側に、可動底板47aの最大可動量Bと同一の可動量Bとなる部位があり、この部位を部位P2として設定する。そして、それらの部位P1とP2の中間位置に部位P3を設定する。
【0064】
当然ながら、図5(a),(b) に示すように、中間位置である部位P3から部位P1までの距離と中間位置の部位P3から部位P2までの距離は同一の距離Aである。
このように、可動底板47a及び47bに、距離Aとなる部位P1とP3及び部位P2とP3を設定した上で、リンクアーム部66−1の端部係合部と指標66−2の中心との距離が距離Aとなる同一形状の検知部材66を2個用意する。
【0065】
これら同一形状の2つの検知部材66の左右を反転させて、
一方の検知部材66の指標66−2の中心が部位P3に一致する状態でそのリンクアーム部66−1端部の係合部を、給紙カセット46aの可動底板47aの部位P1に係合させる。
【0066】
そして、他方の検知部材66の指標66−2の中心が部位P3に一致する状態でそのリンクアーム部66−1端部の係合部を、給紙カセット46bの可動底板47bの部位P2に係合させる。
【0067】
この状態で、給紙カセット46a及び46bを、図3(b) に示したように、給紙装置21a及び21bの外装取っ手22にそれぞれ収容すると、検知部材66の指標66−2の中心が、表示窓23の内側に摺接するように配置される。すなわち、表示窓23は図5に示した部位P3の位置に設定されている。
【0068】
ここで、給紙カセット46a又は46bが、図5(a) に示す用紙満載位置から、用紙が給紙され尽くして、図5(b) に示す用紙無し位置まで、不図示の付勢部材の付勢力により逐次上昇すると、その間、給紙カセット46a又は46bに係合する検知部材66の指標66−2が、図4でも説明したように、ヒンジ67を支点にして表示窓23の内側で最高位置から最低位置まで同一距離を逐次移動する。
【0069】
これにより、用紙最大積載量が異なる2種類の給紙カセット46a及び46bにおいて形状が共通の1種類の検知部材66という部品により、給紙カセット46a及び46b内の用紙残量を視覚的に表示させることができるようになる。
【0070】
また、2種類の給紙カセットに形状が共通の1種類の検知部材を用いるので、部品の種類を減らすことができて金型費が大幅に削減され、画像形成装置の製造上のコストダウンに貢献することができる。
【0071】
(実施形態2)
ところで、上述した給紙カセット46a及び46bには、通常、A3判からB5判までの4種類の用紙が載置収容される。それまで載置収容されていた用紙と異なるサイズの用紙を載置収容する場合は、搬送幅方向の用紙の中央が給紙カセットの中央に一致するように設定する必要がある。さもないと、用紙取出ローラ48が、給紙カセットから用紙を正しく取り出すことができない。
【0072】
そこで、通常は、給紙カセットには用紙の両側を所定の位置に設定するサイド規制板が設けられている。そして、両側のいずれか一方のサイド規制板を用紙搬送幅方向に移動させるだけで、その移動に連動して他方のサイド規制板が、給紙カセットの中央に対して一方のサイド規制板と対称となる位置に移動するような位置規制移動機構が設けられている。これにより、用紙の中央を給紙カセットの中央に容易に一致させることができるようになっている。
【0073】
一般に、このような位置規制移動機構の要部は、カセット底面と可動底板との間に設けられている。そして、位置規制移動機構は上記両側のサイド規制板と、これら両側のサイド規制板の下部からそれぞれ相手側のサイド規制板方向に延び出すラックと、これらラックの間に回転可能に介装され且つ軸位置をカセット底面に固定されたピニオンとで構成されている。
【0074】
ところで、給紙カセットがプリンタ本体に装着される際の装着部への挿入動作に伴い、サイド規制板に衝撃が加わって位置が変動し、このため給紙カセット内に載置収容されている用紙が挿入方向に動くことが多い。
【0075】
このように、用紙を規制するサイド規制板が移動して給紙カセット内の用紙を位置をずらしてしまうと、用紙ジャムや斜行等の搬送不良を引き起こしやすい。また、上記の衝撃で、ラックやピニオンに高負荷が掛かり、ラックやピニオンの破損を引き起こす要因ともなりやすい。
【0076】
そこで、本例においては、ラックとピニオンを使用して規制板を移動させる位置規制移動機構において、給紙カセットがプリンタ本体に装着される際の挿入の衝撃でラックとピニオンの歯面に掛かる負荷を軽減させるようにして、規制板の位置が変動したり、ラックやピニオンが損傷することを防止する。
【0077】
図6(a) は、実施形態2としてのプリンタの給紙装置において給紙カセットに組み込まれている位置規制移動機構の構成を示す図であり、図6(b) はその丸Dで囲んで示す部分の拡大図、図6(c) はそのラックの歯の構成を示す拡大斜視図である。
【0078】
図6(a) は、図3に示した給紙カセット46a及び46bに組み込まれている位置規制移動機構において、装置本体前側のサイド規制板(不図示)に組み付けられているラック68と、装置本体後側のサイド規制板(不図示)に組み付けられているラック69と、これらのラック68と69との間に介装され、ラック68及び69に所定のバックラッシュを伴って噛合しているピニオン71を、給紙カセット46a(又は46b)の底面側から見た図である。
【0079】
このような構成により、前述したうように両側のいずれか一方のサイド規制板を用紙搬送幅方向に移動させるだけで、すなわちラック68又は69のいずれか一方を用紙搬送幅方向に移動させるだけで、そのラックに噛合しているピニオン71が回転し、そのピニオン71の回転に駆動されて他方のラック69又は68が、一方のラック68又は69の移動方向と逆方向に移動する。
【0080】
すなわち、一方のサイド規制板が中央Eに近づくと、その移動に連動して、他方のサイド規制板も中央Eに近づき、一方のサイド規制板が中央Eから遠退くと、その移動に連動して、他方のサイド規制板も中央Eから遠退く。これにより、用紙の中央を給紙カセットの中央に一致させることができる。
【0081】
このような構成の本例の位置規制移動機構において、図6(b),(c) に示すように、ピニオン71の歯と噛合するラック68(又は69)の歯面68−1(又は69−1)には、ゲル状部材72が埋め込まれている。このゲル状部材72としては、シリコン系の軟質材または粘性を持つ材質が好ましい。
【0082】
このゲル状部材72にピニオン71の歯が当接して、ピニオン71がラック68(又は69)と噛合することにより、この部分に加わる過度の力がゲル状部材72により吸収される。
【0083】
このように、給紙装置21a(又は21b)のプリンタ本体への挿入装着時の衝撃が吸収されるので、サイド規制板の変動が可及的に低減され、これにより、用紙の給送ミスや斜行、重送等の不具合の発生がなくなる。また、ラック68(又は69)やピニオン71の損傷も可及的に低減される。
【0084】
尚、ゲル状部材72は、防震性のある弾性体としても良い。
また、ユーザがサイド規制板を移動させる際に、用紙サイズごとにサイド規制板の設定位置が感触的に分かり易いように、ゲル状部材72をラック68(又は69)用紙のサイズ毎に対応する位置の歯面68−1(又は69−1)のみに配設するようにしても良い。
【0085】
(実施形態3)
ところで、図1及び図2に示した画像形成装置20の開閉式の手差し給紙ユニット27は、長尺紙などの特殊サイズの用紙を給紙する際に用いられる。
【0086】
ただし、長尺紙を手差し給紙ユニット27で給紙するには、給紙トレイや側面ガイドだけでは長尺紙を支えきれないので、ユーザが手で支えることが必要になってくる場面が少なくない。
【0087】
そうすると、長尺紙の送り込みに僅かながら左右へのぶれが生じてしまうことが多い。そのように、用紙の送り込みにぶれが生じると、最初は僅かのぶれであっても、用紙が少しずつ斜行していって、最終的には大きな位置ずれとなって4色の重ね印字にも大きなずれが生じて画質を大きく損なってしまう。
【0088】
そこで、手差し給紙ユニットのガイド、特にサイド規制板を、単なる垂直な板ではなく用紙を幅方向左右から挟み込む部分の断面がコの字状となるように形成して、横方向の規制に加えて上下方向についても用紙を規制するようしたものが知られている。
【0089】
しかし、サイド規制板の断面をコの字状として用紙をガイドするのは、より安定した状態で用紙を装置本体内に送り込むことはできるが、上下方向から紙を押さえ付けている訳ではないので特に長尺紙に代表される大型の紙を使用する場合では、用紙後端部の自重で送りに対する抵抗が大きくなり、やはり用紙送りにぶれを生じやすくなる。
【0090】
本例では、上位の問題を簡単な構成で解決している。以下、これを実施形態3として説明する。
図7(a),(b) は、実施形態3としての画像形成装置20の手差し給紙ユニット27の構成を示す図である。図7(a) は、斜め上から見た斜視図を示している。図7(a) に示すよいうに、手差し給紙ユニット27は、サイド規制板73を備えた給紙トレー74と、本例で新たに設けられた規制カバー75から成る。
【0091】
図7(a) は、給紙口76において、給紙トレー74が全開した状態を示し、規制カバー75が中間位置に半開した状態で一時的に静止している状態を示している。給紙トレー74は両方向矢印hで示すように回動自在であり、規制カバー75も開閉式の給紙トレー74と同様に装置本体に近い根元部分を支点にして、両方向矢印iで示すように回動自在である。
【0092】
図7(b) は、図7(a) の側断面を示しており、規制カバー75に、図7(a) では斜め上から見た斜視図であるため陰になって見えないパイル面77が形成されている状態を示している。
【0093】
この構成において、長尺紙などを給紙させる際には、給紙トレー74上に長尺紙先端部を載置したのち、規制カバー75を矢印jで示すように長尺紙の上に倒して降ろすことで、給紙トレー74との間に挟み込んだ長尺紙を上方向から軽く押さえ付ける。
【0094】
図8(a) は規制カバー75の上記のような動作状態を示す図であり、図8(b) はその丸Fで囲んで示す部分の拡大図である。図8(a),(b) に示すように、長尺紙LPは規制カバー75によって上から軽く押さえ付けられている。
【0095】
そして、規制カバー75のパイル面77には、図8(b) に示すように、パイル77−1が矢印kで示す用紙搬送方向に斜めに倒れた状態で植設されている。
これにより、長尺紙LPは、矢印kで示す用紙搬送方向に進むときは、パイル77−1の毛流れ方向に進むことになるので抵抗なく円滑に装置本体内に搬入される。
【0096】
他方、矢印mで示す用紙搬送方向と逆方向に加わる力に対しては、その力の加わる方向がパイル77−1の毛流れ方向に逆らう向きとなるので、パイル77−1がストッパとして機能する。
【0097】
これにより、長尺紙LPは、搬送姿勢を維持したまま、もっぱら用紙搬送方向に進むのみであり、したがって、安定した給紙を継続することができる。
このように本例の手差し給紙ユニット27によれば、簡単な装置で、用紙の浮きやぶれによる斜行や自重による落下などの不具合を防止して、安定した給紙を行うことができるようになる。また、手差し給紙ユニット27自体が用紙を送り方向に支持できるので、送りの際に用紙を手で支える手間などが不要となって使い勝手が向上する。
【0098】
図9(a) は、上記実施形態3の変形例を示す側断面図であり、図9(b),(c) は、その丸Gで囲んで示す部分の拡大図である。尚、図9(a),(b),(c) には、図8(a),(b) と同一構成部分には図8(a),(b) と同一の番号を付与して示している。
【0099】
図9(b),(c) に示すように、規制カバー75の長尺紙LPとの当接面には、図8(a),(b) に示したパイル面77に代わって、歯付き従動送りローラ78と、この歯付き従動送りローラ78の逆転を防止する逆転ストッパ(ラチェット)79とが配設されている。
【0100】
尚、逆転ストッパ79は、不図示の付勢部材により、用紙の進行に従動して回転する歯付き従動送りローラ78の抵抗にならない程度の付勢力で常に歯付き従動送りローラ78の表面に摺接している。
【0101】
この変形例の場合も、長尺紙LPは、矢印kで示す用紙搬送方向に進むときは、その長尺紙LPの進行に従動して歯付き従動送りローラ78が逆転ストッパ79が働かない方向に回転するので、長尺紙LPは抵抗なく円滑に装置本体内に搬入される。
【0102】
他方、矢印mで示す用紙搬送方向と逆方向に加わる力に対しては、その力の加わる用紙搬送方向と逆方向に歯付き従動送りローラ78が従動しようとすると、逆転ストッパ79が歯付き従動送りローラ78の歯と噛みあってストッパとして機能する。
【0103】
これにより、この場合も長尺紙LPは、搬送姿勢を維持したまま、もっぱら用紙搬送方向に進むのみであり、したがって、安定した給紙を継続することができる。
(実施形態4)
ところで、一般に、画像形成装置においては、用紙搬送中に用紙ジャムを引き起こすことがしばしばある。
【0104】
そのような場合、ジャム用紙の除去機構としては、装置本体の外装カバーの一部を開閉したり、装置本体内部に散在する各搬送ガイド部材を、それらの搬送ガイド部材にそれぞれ連結されている板バネの付勢力に抗して搬送ガイド部材を押引するロッドを備えたソレノイドを設けるなどの構成が採用されている。
【0105】
しかし、各搬送ガイド部材に専用のソレノイドやバネを用いるのでは、全体として部材の費用が高価となるばかりでなく、ソレノイドの制御処理に手数が掛かって面倒である。
また、搬送ガイド部材のヒンジ部にバネを用いた場合は、ユーザがバネの付勢力に抗して搬送ガイド部材を持ち上げながら、ジャム用紙を除去するという作業を行わなければならず、ユーザにとって操作性が悪く作業の負担も大きいという難点がある。
【0106】
しかし、本例では、図2に示したように、給紙装置21から給紙された用紙は、図1に示す装置本体の右側の搬送路を一路鉛直方向に搬送されるだけであり、画像形成ユニットのキット類の配設部には用紙は搬送されないので、用紙ジャム等の不具合は画像形成ユニットのキット類の配設部では発生しない。
【0107】
したがって、本例では、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図1に示す装置本体の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0108】
また、図1の右側の外装カバーには両面印刷用搬送ユニット26が配設されている。したがって、図1に示す装置本体の右側を開閉するときは、両面印刷用搬送ユニット26が配設されている外装カバーを開閉することになる。
【0109】
図10(a),(b) は、実施形態4における装置本体右側の外装カバーと各搬送路との関係を示す断面図であると共にその動作を示す図である。尚、図10(a) には、図2に示した構成と同一の構成部分には図2と同一の番号を付与して示している。
【0110】
図10(a),(b) に示すように、図2に示した両面印刷用搬送ユニット26が配設されている装置本体の外装カバー81は、下部のヒンジ82を支点にして両方向矢印nで示すように回動自在に構成されている。
【0111】
図2に示した上下2つの給紙カセット46a及び46bにそれぞれ対応するガイド部52を形成する1対の搬送ガイド部材83及び84のうち一方の搬送ガイド部材84は、他方では、ガイド部52のガイド面とは反対側の面で、他の搬送ガイド部材85と共に図2にも示した両面印刷用搬送路59a及び59bを形成している。
【0112】
上記の搬送ガイド部材85は、それぞれ下端部を支持軸86により回動自在に軸支され、その上方には、丸孔87(下の搬送ガイド部材85の丸孔87は陰になって見えない)と長孔溝88が形成されている。
【0113】
そして、上段の搬送ガイド部材85の長孔溝88には連結シャフト89の上端のピン(図では陰になって見えない)が滑動自在に嵌入して係合し、下段の搬送ガイド部材85の丸孔87には、同じく連結シャフト89の下端のピンが嵌入して係合している。
【0114】
図10(a) に示す外装カバー81の閉成時には、外装カバー81に一体となって配設されている両面印刷用搬送ユニット26の下端部の段差を形成している鉛直面91−1及び91−2のうちの上方の鉛直面91−1が連結シャフト89を装置内部方向に押し付け、下方の鉛直面91−2が下段の搬送ガイド部材85の背面を押し付けている。
【0115】
図10(b) に示すように、外装カバー81を開放すると、各搬送ガイド部材84及び85がそれぞれの自重で装置本体外側に開いて、各搬送路が開放され、ユーザによってジャム用紙80の位置及び状態が直ちに判別される。
【0116】
そして、外装カバー81を図10(a) に示すように閉成すると、ヒンジ82を支点として外装カバー81と共に閉成方向に回動する両面印刷用搬送ユニット26により、図10(b) に示すように、先ずその最下端部91−3が下段の搬送ガイド部材85の外壁を押し込みながら閉成の動作を開始する。
【0117】
続いて、閉成の途中で作用点が両面印刷用搬送ユニット26の下方の鉛直面91−2に切り替わり、図10(a) に示すように閉成動作が完全に完了する。このとき、連結シャフト89が両面印刷用搬送ユニット26の上方の鉛直面91−1により押し込まれることにより、連結シャフト89に連結されている上段の搬送ガイド85も下段の搬送ガイド部材85と同じ動作をしながら閉成される。
【0118】
このように、簡単な構成で、外装カバーの開閉と給紙部から二次転写部までの各搬送路の開閉とが連動するので、用紙ジャムの回復処理時には、ジャム用紙の位置を気にすることなく外装カバーを開けるだけで、ジャム用紙を容易に発見してすぐに処理することが出来、外装カバーを閉めるだけで元の状態に復帰させることが出来る。したがって、ユーザの操作性が大幅に向上する。
【0119】
また、簡単な構成で、外装カバーの開閉と各搬送路の開閉を連動させているので、部品点数の低減化が実現する。
(実施形態5)
ところで、用紙搬送中における用紙ジャムは、上記のように給紙部から二次転写部までの搬送路だけでなく、定着装置31の排出口でも発生することがある。これは近年においては多種多様の用紙が流通しており、中には定着装置31における定着時の熱と圧力で用紙の先端が反って曲がる癖のある用紙もある。
【0120】
定着時に用紙の先端が反って曲がると、定着装置31の排出口から出たときに用紙ジャムを引き起こす虞が多分にある。
図11(a) は、定着装置31の排出口から出た用紙90が正常に排紙トレー25上に排出されるときの状態を示す図であり、図11(b) は、定着装置31の排出口から出た所で用紙ジャムを引き起こしている不具合を示す図である。
【0121】
図11(b) に示すように、ジャム用紙80は、用紙の先端80−1又は80−2のように反っているため、定着装置31の排出口から出た所で、定着装置31の上面と装置本体側の定着装置装着部92の上部壁面92−1との隙間に入り込んで用紙ジャムを引き起こしている。
【0122】
図12(a),(b),(c) は、実施形態5としての定着装置出口の用紙ジャムを防止する用紙ジャム防止機構を説明する図である。
図12(a) は装置本体(プリンタ)20の全体斜視図を示しており、定着装置31は、装置本体20の外装カバー81を開いて開放される定着装置装着部92に対し、両方向矢印qで示すように着脱自在に装着される。
【0123】
この定着装置31には、適正な定着温度を維持するためと、定着装置31の着脱操作のハンドリングの際にユーザ(又は保守作業者、以下同様)が火傷するなどの不都合を防止するために、外装上部の排出口31−1を挟んで両側に、用紙搬送方向と直交する面に平行にリブ93が配置されている。
【0124】
図12(b) は、定着装置装着部92の奥行き方向の奥側の一部を図12(a) に示す定着装置装着口の方向から見た図である。図12(b) に示すように、本例における装置本体20の定着装置装着部92の上部壁面92−1には、定着装置31のリブ93に平行に、且つリブ93と交互に、そしてリブ93と93との間に入り込むように、リブ94が形成されている。
【0125】
尚、図12(c) に示すように、定着装置31の排出口31−1の直上部における用紙受渡し箇所95において連絡し合うリブ93とリブ94の形状は、それぞれ上向きと下向きのハの字形状となっており、そのハの字形状の傾斜角は、定着装置31を通過した後の反りを有した用紙であっても搬出ローラ対55へと円滑に導くような角度を持たせて形成されている。
【0126】
このように、定着装置31のリブ93の上面と定着装置装着部92の上部壁面92−1との図11(a),(b) に示した隙間が解消されると共に、上下の用紙受渡し箇所95において、リブの連絡形状が上向きと下向きのハの字形状となっている。
【0127】
これにより、図12(c) に示すように、定着装置31から排出される用紙90は、たとえ先端が反って曲がっていたとしても、定着装置31のリブ93に連続した形で定着装置装着部92の上部壁面92−1に形成されているリブ94に案内されて、図11(b) のように脇方向に逸れることなく、図12(c) に示すように正しく排紙トレー25上に排出される。
【0128】
(実施形態6)
ところで、定着装置31の近傍において、図11(b) に示すような用紙ジャムが発生した場合、定着装置31の熱ローラと圧着ローラ間の圧着圧力を解除してジャム用紙を取り出す必要がある。
【0129】
このような熱ローラと圧着ローラ間の圧着圧力を解除する方法としては、定着装置の外装カバーを開成することにより、この開成と連動させて、付勢部材の付勢力を解除することによって行っているのが一般的である。
【0130】
換言すれば、熱ローラと圧着ローラ間の圧着圧力を復元させるときは、定着装置の外装カバーを閉成することにより、この閉成と連動させて外装カバーにより付勢部材を押圧して、付勢部材による圧着ローラへの付勢力を復元させている。
【0131】
しかしながら、定着装置の外装カバーには難燃性の高い高価な材料が使用されるが、このような高価な材料の使用は、コスト削減のため極力少なく用いるようにする傾向がある。これに加えて、近年の画像形成装置では小型軽量化のため、定着装置等の内部装置の外装カバー材料は、薄肉化することが主流となっている。
【0132】
このため定着装置等の内部装置の外装カバー材料の強度は以前よりも低下しているのが現状である。
ところが、通常、定着装置の熱ローラと圧着ローラ間の圧着圧力は、数10N〜数100N(数Kg〜数10Kg)もあって、かなり強いものである。したがって、定着装置の薄くて強度の弱い外装カバーで圧着圧力を切り換える方法では、薄くて強度の弱い外装カバーが高負荷を長期間受け続けることになって、外装カバーに変形や破損が生じて、正しい圧着圧力を保持できなくなる虞が多分にある。
【0133】
本例では、定着装置の圧着圧力の解除と加圧の切り換えを行う定着装置圧着機構の駆動部として、定着装置の薄くて強度の弱い外装カバーを用いず、強度の高い構造体、例えば両面給紙ユニットを用い、これにより、定着装置の正しい圧着圧力と装置寿命の長期の維持を図っている。これについて実施形態6として以下に説明する。
【0134】
図13(a),(b),(c) は、実施形態6としての定着装置の正しい圧着圧力と装置寿命を長期に維持する定着装置圧着機構の構造と動作を示す図である。
図13(a) は装置本体(プリンタ)20の全体斜視図を示しており、定着装置31が、装置本体20の外装カバー81を開いて開放される定着装置装着部92に対し両方向矢印qで示すように着脱自在に装着されることは、図12の場合と同様である。
【0135】
また、図13(a),(b),(c) では番号の付与を省略しているが、装置本体20の定着装置装着部92の上部壁面92−1と、定着装置31の上面に、平行、且つ交互に、そして相互の間に入り込むように、リブが形成されていることも図12の場合と同様である。
【0136】
本例の定着装置31には、図13(a) に示すように、右側面の両端部にそれぞれ加圧レバー96が設けられている。加圧レバー96は、図13(b) に示すように、下端部のヒンジ97に回動自在に支持されており、上端部内側には加圧突起98を備えている。
【0137】
他方、装置本体20の外装カバー81に配設されている両面印刷用搬送ユニット26の装置本体20内側を向く外装面には、加圧レバー96の上端に対応する位置にそれぞれ凸部99が設けられている。
【0138】
定着装置31の内部には、図13(b) に示すように、熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101に対向して圧着ローラ102が配置されており、圧着ローラ102には加圧アーム103が係合している。
【0139】
加圧アーム103は、下端部をヒンジ104により左右に回動可能に支持され、その上端部には引き付勢バネ105の一端が係止している。引き付勢バネ105の他端は加圧リンク部材106のほぼ中央部に係止している。この引き付勢バネ105は、用紙通過時に発生する圧着ローラ102への過負荷を解消する役割もしている。
【0140】
加圧リンク部材106は、外部からの加圧力を、引き付勢バネ105を介して加圧アーム103に伝達する部材である。加圧リンク部材106は、これも左右に回動可能に、下端部をヒンジ107により支持されており、上端部は自由端となっている。図13(b) に示すように、加圧リンク部材106の自由端である上端部に外力が加わらないときは、加圧リンク部材106は引き付勢バネ105側に回動して自由状態となっている。
【0141】
この状態では、加圧リンク部材106と加圧アーム103間に介装されている引き付勢バネ105は付勢力を失い自由状態で縮んでいる。したがって、圧着ローラ102による熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101への圧着は解除されている。
【0142】
図13(a) に示す状態から、ユーザが、定着装置31を、その加圧レバー96を持って装置本体20の定着装置装着部92に装着し、外装カバー81を閉じると、先ず図13(b) に示すように、両面印刷用搬送ユニット26の装置本体20内側を向く外装面の凸部99が加圧レバー96の背面上端部に当接する。
【0143】
続いて、ユーザが外装カバー81を完全に閉じると、図13(c) に示すように、上記の凸部99に押し込まれた加圧レバー96が鉛直位置まで回動して、その加圧突起98が加圧リンク部材106の上端を内側に押圧する。
【0144】
これにより、加圧リンク部材106は引き付勢バネ105を牽引しながら内側に回動する。これにより、他方で引き付勢バネ105に係止する加圧アーム103が引き付勢バネ105によって内側に回動する付勢される。これにより加圧アーム103に係合する圧着ローラ102が熱ローラ101に熱ベルト100を介して圧着する。
【0145】
このように、本例では、装置本体20に現在実装中の、例えば両面印刷用搬送ユニット26などのより強度の強い構造体を用いて、定着装置31の圧着圧力の解除と加圧の切り換えを行うので、強度上の不安を解消すると共に正確な加圧動作が得られるようになる。
【0146】
また、定着装置の外装上部には放熱と火傷防止を兼ねたリブが配置されているが、それでも定着装置の取り扱い時にユーザが熱源近くを持つ可能性が高く、問題となるが、本例の定着装置には加圧レバー96が設けられているので、この加圧レバー96を介して定着装置を取り扱うことにより、高温な内部部品に手が触れる虞のない構成となっている。
【0147】
尚、加圧レバー96の加圧突起98の高さを交換自在に変更するか或いは両面印刷用搬送ユニット26の内側を向く外装面に配設される凸部99の高さを交換自在に変更するようにすれば、圧着力を段階的に変更することも可能になる。
【0148】
この場合、圧着力の設定を変更する際には、装置本体20の両面印刷用搬送ユニット26が配設されている外装カバー81を開放して、圧着力が加わっていない状態で変更することができるので、小さな力で簡単に操作できる。
【0149】
(実施形態6の変形例)
図14(a),(b),(c) は、上記実施形態6の変形例を示す図である。
図14(a) の装置本体(プリンタ)20の全体斜視図に示すように、定着装置31の上面後部の両端部には、図13(b),(c) に示した加圧リンク部材106の縦配置を図14(c) に示すように横配置に変えた加圧リンク部材106′の後端部が、内部から外に露出している。
【0150】
また、図14(a) に示すように、装置本体20の定着装置装着部92の後部(装置本体20としては右方部)上方には、2段の段差からなる斜面部108が形成されたカム板109が配設されている。
【0151】
図14(b) は、右にカム板109の図14(a) に示す露出部の拡大図を示し、左にその側面図を示している。図14(b) に示すように、カム板109は矢印v1又はv2に示すように図14(b) の左右方向に所定の範囲で摺動させることができる。
【0152】
また、カム板109の斜面部108は、カム板109の両外側に位置して、大きな傾斜角θaの斜面108aと、より小さな傾斜角θbの斜面108bとで構成されている。
その両外側に位置において、いずれの場合も、図14(b) に示すように、大きな傾斜角θaの斜面108aは装置本体20の手前側に、より小さな傾斜角θbの斜面108bは装置本体20の奥側に配置されている。
【0153】
また、装置本体20の外装カバー81に配設されている両面印刷用搬送ユニット26の装置本体20内側を向く外装面には、カム板109の斜面部108に対応する位置にそれぞれ側断面が三角形状のカムレバー111が設けられている。
【0154】
カム板109を図14(b) の矢印v1方向に摺動させるとカムレバー111の三角形状の頂点がカム板109の斜面108aに係合し、カム板109を図14(b) の矢印v2方向に摺動させるとカムレバー111の三角形状の頂点がカム板109の斜面108bに係合する。
【0155】
尚、図14(c) は、上記のような構成において、両面印刷用搬送ユニット26が配設されている装置本体20の外装カバー81を閉じる直前(又は開けた直後)の状態を示す図である。
【0156】
図15(a),(b) は、そのように両面印刷用搬送ユニット26が配設されている装置本体20の外装カバー81を閉じた際の定着装置圧着機構の動作を説明する図である。
図15(a) は、カム板109の斜面108bにカムレバー111の三角形状の頂点が係合した場合の動作状態を示している。斜面108bは傾斜角が小さいので、その分だけカムレバー111の頂点の逃げが少なく、カムレバー111が大きく押し下げられる。
【0157】
これにより、カムレバー111の自由端部が下方に大きく回動して、加圧リンク部材106′の後端部を大きく押し下げる。すなわち、加圧リンク部材106′が図の時計回り方向に大きく回動する。
【0158】
これにより、加圧リンク部材106′を支持するヒンジを支点にして加圧リンク部材106′の後端部の反対側の前端部が、引き付勢バネ105を介して、加圧アーム103の上端部を大きく引き寄せる。これにより、加圧アーム103に係合する圧着ローラ102が熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101に強く圧着する。
【0159】
また、図15(b) は、カム板109の斜面108aにカムレバー111の三角形状の頂点が係合した場合の動作状態を示している。斜面108aは傾斜角が大きいので、その分だけカムレバー111の頂点の逃げが多く、したがって、斜面108aによるカムレバー111への押し下げは、図15(a) の場合よりも小さい。
【0160】
これにより、カムレバー111の自由端部が下方に、より小さく回動して、加圧リンク部材106′の後端部を、より小さく押し下げる。すなわち、加圧リンク部材106′が図の時計回り方向に、より小さく回動する。
【0161】
これにより、加圧リンク部材106′を支持するヒンジを支点にして加圧リンク部材106′の後端部の反対側の前端部が、引き付勢バネ105を介して、加圧アーム103の上端部を、より小さく引き寄せる。これにより、加圧アーム103に係合する圧着ローラ102が熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101に弱く圧着する。
【0162】
尚、斜面部108の斜面が異なる複数のカム板109を用意して交換するか或いは三角形状の異なる、つまり頂点の高さが異なる複数のカムレバー111を用意して交換するようにすると、圧着力を上記の2通り以外に更に段階的に変更することも可能になる。
【0163】
この場合も、圧着力の設定を変更する際には、装置本体20の両面印刷用搬送ユニット26が配設されている外装カバー81を開放して、圧着力が加わっていない状態で変更することができるので、小さな力で簡単に操作できる。
【0164】
このように実施形態6及びその変形例においては、定着圧力を容易に変更できるので、種類の異なる用紙への幅広い対応が可能となる。
また、外装部品の開閉により無負荷と負荷状態をつくりだしているので、外装部品を開放しての用紙ジャムの復元処理作業では必然的に定着圧力が無負荷となり、作業性が増すとともに、定着装置の圧力による疲労を軽減することができる。
【0165】
また、1つの部品を移動させるだけで或いは1つの部品を交換するだけで、定着圧力の選択ができるので、ユーザによる定着圧の左右の不均衡が発生しないので使い勝手がよくなる。
【0166】
また、上記の変形例においては、カム板109の傾斜面を2通りとしているが、更にカムレバー111と接触しない部分を設けることによって、梱包保存時などの不使用時における熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101への圧着ローラ102の圧着を排除した状態を作ることができ、これにより、圧着ローラ102等の変形を防止することができる。
【0167】
(実施形態7)
ところで、定着装置の排出口外部近傍での用紙ジャムの発生の不具合は、図12(a),(b),(c) の実施形態5に示したリブ93とリブ94の構成を適用することで解消されるが、定着装置に係わる用紙ジャムは排出口外部近傍と限るものではない。
【0168】
用紙の種類によっては、トナー像の定着面が熱ローラ101の熱ベルト100側に貼り付いて、用紙が熱ベルト100側に巻き込まれる形態の用紙ジャムも発生することがある。
【0169】
このような用紙ジャムの発生を防止するために、複数の、例えば7枚ほどの分離爪を平行に配置して支持部材に支持し、それら分離爪の先端を熱ベルト100を掛け渡された熱ローラ101の熱ベルト100の表面の至近距離に配置して、定着装置から排出される用紙の先端を強制的に熱ベルト100から引き剥がして排出口へ案内する構成のものがある。
【0170】
しかし、この構成は、例えば7枚もの分離爪と、これを保持する保持部材を備える必要があり、これでは、部品点数も多くなり、構造も複雑であり、本体装置のコスト上昇の要因ともなって好ましくない。
【0171】
そこで、コストの高い複数枚の分離爪に代わって、コスト引き下げのために、一枚構成の分離板を用意し、この分離板を熱ローラ101の熱ベルト100の表面の至近距離に配置する構成も用いられるようになっている。
【0172】
図16(a) は、分離板を熱ローラ101の熱ベルト100表面の至近距離に配置した構成を示す部分拡大斜視図であり、図16(b) は、その側面図、図16(c) は同図(b) の丸Hで囲んで示す部分の拡大図である。
【0173】
図16(a),(b),(c) に示すように、分離板112は、補強板113と、この補強板113により補強されて保持される厚さ1mm未満の薄い金属板114と、この金属板114の表面を包み込むようにして被覆されたテフロン(登録商標)シート115とで構成されている。
【0174】
この分離板112のテフロン(登録商標)シート115で表面加工された金属板114の端部は熱ローラ101の熱ベルト100の表面に近接して配置される。この分離板112は、分離爪ほどではないにしても、3点の部品から成っており、コスト削減の点では未だ不満が残る構成であるといえる。
【0175】
また、この分離板112は、普通紙やOHP用紙のように比較的腰のある用紙が使用されることが想定されている。腰のある用紙は、トナー像の定着面が熱ベルト100の表面に貼り付いても用紙先端部の余白部が腰の強さによって熱ベルト100の表面から浮き上がるので、この用紙先端部を金属板114の先端で掬い上げることができる。
【0176】
また、用紙先端部が金属板114の端面に当接した場合でも、用紙の弾力により金属板114の端面から上に撓って跳ね上がり、結果として金属板114の先端で掬い上げられ、排出口に案内される。
【0177】
しかし、薄くて腰の弱い用紙などが使用されると、用紙先端部の余白部が熱ベルト100の表面から浮き上がらずに、そのまま金属板114の先端をかいくぐって熱ベルト100方向に巻き込まれる可能性が高い。
【0178】
また、用紙先端部の余白部が熱ベルト100の表面から浮き上がっている場合でも、その用紙先端部が金属板114の端面に当接すると、弾力が弱いため、金属板114の端面から上に撓って跳ね上がって外れるということがなく、そのまま定着装置内でジャム状になってしまう可能性が高い。
【0179】
本例の定着装置には、上記のような不具合の発生する虞のない分離板が組み込まれている。以下、この分離板について実施形態7として説明する。
図17(a) は、実施形態7としての分離板が組み込まれた定着装置31の側断面図であり、図17(b) は、その内部の構成を取り出して示す斜視図、図17(c) は、分離板の先端部近傍の構成を示す拡大側面図である。
【0180】
図17(a),(b),(c) に示すように、本例の分離板117は、一枚の板金で構成されている。すなわち、この分離板117は、一枚の長い板金を短手方向の一方の端部を長手方向に沿って断面が鉤状になるようほぼ直角に折り曲げて全体の強度を補強している。
【0181】
そして、短手方向の他方の端部は、プレス加工によって斜めに切り落とされてブレード部117−1が形成されている。図17(c) に示すように、端部が斜めに切り落とされることによって形成されるブレード部117−1の角度δは、用紙の分離に必要とされる角度に設定されている。
【0182】
このように、一枚の板金の短手方向の端部を、一方では折り曲げて全体を補強し、他方では鋭角に切り落としてブレード部117−1を形成することにより、一枚の板金で分離板の構成することが可能となる。
【0183】
これにより、図17(a) に示すように、定着装置31に用紙90が矢印w方向に搬入され、ベルト付き熱ローラ101と圧着ローラ102との対向部に挟持されて、熱と圧力とにより、トナー像を紙面に定着されながら排出口31−1に向けて搬送されるとき、分離板117のブレード部117−1により、熱ベルト100から容易に分離されて、排出口31−1から排出される。
【0184】
このように、板金の短手方向の端部をプレス加工により分離爪と同じ機能を持つ鋭角なブレード状に加工することにより、一枚の板金により分離板の構造を構成することが可能となり、製品コストの削減に貢献することができる。
【0185】
(実施形態8)
ところで、熱ベルト100から用紙90を分離するために、鋭角な刃物状に形成されているブレード部117−1の先端を、そのまま熱ベルト100の表面に当接させたのでは、ブレード部117−1の刃先によって熱ベルト100の表面が破損する。
【0186】
したがって、腰の弱い薄紙の先端部の小さな浮き上がりに対しても対応できる程度に熱ベルト100の表面に近接した位置で、且つ熱ベルト100の表面から離れた位置に、ブレード部117−1の刃先を配置する必要がある。しかし、そのような配置を、分離板117の保持機構で設定するのは、位置の精度を維持するのに困難を伴う。
【0187】
そこで、本例の分離板では、分離板自身が熱ベルト100の表面とブレード部117−1の刃先との適正な間隔を形成すると共に、その位置の精度を維持するようにする。以下、これについて、実施形態8として説明する。
【0188】
図18(a) は、実施形態8としての分離板が組み込まれた定着装置の側断面図であり、図18(b) は、分離板の先端部の構成を拡大して示す側面図、図18(c) は、それを斜め上か見下ろした斜視図、図18(d) は、分離板の先端部の角を下から見上げて示す拡大図である。
【0189】
図18(a),(b),(c) に示すように、本例の分離板118は、一枚の薄い板金をプレス加工して、短手方向の一方の端部を長手方向に沿って断面が鉤状になるようほぼ直角に折り曲げて全体を補強し、短手方向の他方の端部を斜めに切り落とされてブレード部118−1が形成されているところまでは、実施形態7の場合と同様である。
【0190】
だたし、本例の場合は、プレス加工によって、更に両端部が押しつぶされて、長手方向に沿った立下り部119−1と短手方向に沿った立下り部119−2により段差部119−3が形成されている。
【0191】
この段差部119−3は、その後方において、図18(d) に示すように、分離板118の裏面から見ると、分離板118の端部裏面118−2に対して裏面突起部119−4を形成している。
【0192】
その裏面突起部119−4が熱ローラ101の熱ベルト100に突き当てられて熱ベルト100と分離板118のブレード部118−1の刃先との隙間が設定される。
図18(b) に示す上記の熱ベルト100と分離板118のブレード部118−1の刃先との隙間tは、どのような腰の弱い薄紙でもその先端の余白部が熱ベルト100から浮き上がる高さよりも、やや低くなるように設定される。
【0193】
このように本例の場合も、一部品で分離板を構成し、且つ熱ベルトとの間隙の設定も別部品を使用せずに分離板自身で行うことができるので、製品コストの削減に大きく貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】本発明の実施の形態における用紙収納カセットを組み込まれたカラー画像形成装置(プリンタ)の外観を示す斜視図である。
【図2】プリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図3】実施形態1としてのプリンタの給紙装置のみを取り出して示す斜視図である。
【図4】(a),(b) は実施形態1としての給紙装置の給紙カセットから可動底板と検知部材のみを取り出して示す斜視図である。
【図5】(a),(b),(c) は実施形態1としての給紙装置の2つの可動底板の回動動作と検知部材の動作との関係を示す図である。
【図6】(a) は実施形態2としてのプリンタの給紙装置において給紙カセットに組み込まれている位置規制移動機構の構成を示す図、(b) はその丸Dで囲んで示す部分の拡大図、(c) はそのラックの歯の構成を示す拡大斜視図である。
【図7】(a),(b) は実施形態3としての画像形成装置の手差し給紙ユニットの構成を示す図である。
【図8】(a) は実施形態3における規制カバーの動作状態を示す図、(b) はその丸Fで囲んで示す部分の拡大図である。
【図9】(a) は実施形態3の変形例を示す側断面図、(b),(c) はその丸Gで囲んで示す部分の拡大図である。
【図10】(a),(b) は実施形態4における装置本体右側の外装カバーと各搬送路との関係を示す断面図であると共にその動作を示す図である。
【図11】(a) は定着装置の排出口から出た用紙が正常に排紙トレー上に排出されるときの状態を示す図、(b) は定着装置の排出口から出た所で用紙ジャムを引き起こしている不具合を示す図である。
【図12】(a),(b),(c) は実施形態5としての定着装置出口の用紙ジャムを防止する用紙ジャム防止機構を説明する図である。
【図13】(a),(b),(c) は実施形態6としての定着装置の正しい圧着圧力と装置寿命を長期に維持する定着装置圧着機構の構造と動作を示す図である。
【図14】(a),(b),(c) は実施形態6の変形例を示す図である。
【図15】(a),(b) は実施形態6の変形例における装置本体の外装カバーを閉じた際の定着装置圧着機構の動作を説明する図である。
【図16】(a),(b),(c) は従来の分離板の構成を説明する図である。
【図17】(a) は実施形態7としての分離板が組み込まれた定着装置の側断面図、(b) はその内部の構成を取り出して示す斜視図、(c) は分離板の先端部近傍の構成を示す拡大側面図である。
【図18】(a) は実施形態8としての分離板が組み込まれた定着装置の側断面図、(b),(c),(d) は分離板の先端部の構成を見る角度を変えて示す拡大図である。
【図19】従来のトナーを用いてフルカラーの画像を形成する電子写真式の二重転写方式の画像形成装置の構成を簡略に示す側断面図である。
【符号の説明】
【0195】
1(1a、1b) 給紙カセット
2 繰り出しローラ
3 給紙ローラ
4 捌きローラ
5 待機ローラ対
6 二次転写ローラ
7 下給紙ガイド
8 転写ベルト
9 駆動ローラ
10 用紙
11 従動ローラ
12(12m、12c、12y、12k) 感光体ドラム
13(13m、13c、13y、13k) 一次転写ローラ
14 定着部
15 排紙ローラ対
16 排紙トレー
17 両面印刷用搬送ユニット
20 プリンタ
21(21a、21b) 給紙装置
22 外装取っ手
23 表示窓
24 オペレーションパネル
25 排紙トレー
26 両面印刷用搬送ユニット
27 手差し給紙ユニット
28 中間転写ベルトユニット
29 画像形成部
31 定着装置
31−1 排出口
32 廃トナー回収容器
33(33M、33C、33Y、33K) 画像形成ユニット
34(34m、34c、34y、34k) 感光体ドラム
35 クリーナ
36 帯電ローラ
37 光書込ヘッド
38 現像器
39 現像ローラ
41 転写ベルト
42 駆動ローラ
43 従動ローラ
44 ベルト位置制御機構
45 一次転写ローラ
46(46a、46b) 給紙カセット
47(47a、47b) 可動底板
48 用紙取出ローラ
49 給送ローラ
51 捌きローラ
52 ガイド部
53 待機搬送ローラ対
54 二次転写ローラ
55 搬出ローラ対
56 排紙ローラ対
57a 開始返送路
57b 中間返送路
57c 終端返送路
58a、58b、58c、58d 返送ローラ対
59a、59b 両面印刷用搬送路
61 クリーニング部
62 取り込みローラ
63 押圧ローラ
64 回動係合孔
65 支持ピン
66 検知部材
66−1 リンクアーム部
66−2 指標
66−3 表示アーム部
66−4 連結部
67 ヒンジ
68、69 ラック
68−1、69−1 歯面
71 ピニオン
72 ゲル状部材
73 サイド規制板
74 給紙トレー
75 規制カバー
76 給紙口
77 パイル面
77−1 パイル
78 歯付き従動送りローラ
79 逆転ストッパ(ラチェット)
80 ジャム用紙
80−1、80−2 先端
81 外装カバー
82 ヒンジ
83、84、85 搬送ガイド部材
86 支持軸
87 丸孔
88 長孔溝
89 連結シャフト
90 用紙
91−1、91−2 鉛直面
91−3 最下端部
92 定着装置装着部
92−1 上部壁面
93、94 リブ
95 用紙受渡し箇所
96 加圧レバー
97 ヒンジ
98 加圧突起
99 凸部
100 熱ベルト
101 熱ローラ
102 圧着ローラ
103 加圧アーム
104 ヒンジ
105 引き付勢バネ
106 加圧リンク部材
107 ヒンジ
108 斜面部
108a、18b 斜面
109 カム板
111 カムレバー
112 分離板
113 補強板
114 金属板
115 テフロン(登録商標)シート
117 分離板
117−1 ブレード部
118 分離板
118−1 ブレード部
118−2 端部裏面
119−1 長手方向に沿った立下り部
119−2 短手方向に沿った立下り部
119−3 段差部
119−4 裏面突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙給送手段と、外装部と本体部を備え用紙を収納する用紙収納カセットと、該用紙収納カセット内に設けられ後方部の支点を介して前記用紙給送手段に対応する前端部を移動自在に支持され少なくとも用紙の給送方向前部を積載する可動底板と、該可動底板を前記用紙給送手段側へ付勢する可動底板付勢手段と、前記可動底板と係合し最大積載量の用紙が積載されて前記可動底板付勢手段により付勢された前記可動底板の状態から前記用紙給送手段により用紙が給紙され尽くした際の前記可動底板の状態に至る移動量に連動して用紙積載量を検知する検知部材と、前記用紙収納カセットの前記外装部に設けられ前記検知部材の連動量に基いて用紙積載量を表示するための表示窓とを備えた給紙装置を上下2段に配置した画像形成装置において、
前記上下2段の給紙装置は、前記用紙収納カセットの少なくとも外装部が同一形状であって各々の最大積載量が異なり、一方の給紙装置の前記可動底板の最大移動量をA、他方の給紙装置の前記可動底板の最大移動量をBとした時、A<Bであり、
前記検知部材は同一形状をなし、
一方の前記検知部材は前記一方の給紙装置の前記可動底板の最大移動量Aに対応する連動量がA′となるよう前記一方の給紙装置の前記可動底板と係合し、
他方の前記検知部材は前記他方の給紙装置の前記可動底板の最大移動量Bに対応する連動量が前記A′となるよう前記他方の給紙装置の前記可動底板と係合する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記検知部材は、前記可動底板と係合するリンクアーム部、指標を先端に備えた表示アーム部、前記リンクアーム部と前記表示アーム部を連結する連結部からなり、前記リンクアーム部と前記表示アーム部の間には、前記連結部に平行してヒンジが介装され、前記リンクアーム部の前記可動底板との係合部と前記表示アーム部先端の前記指標とは前記ヒンジを中に挟んで反対側に在って前記表示窓の内面に位置している、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記検知部材は、前記可動底板が用紙満載時の最低位置から用紙が給紙され尽くした用紙無し時の最高位置まで移動することに追随して前記リンクアーム部が最低位置から最高位置まで移動することに応じて、前記指標を前記表示窓の内面に沿って最高位置から最低位置に移動させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−219266(P2006−219266A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−34923(P2005−34923)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】