説明

画像形成装置

【課題】記憶素子にアクセスするための接続部や記憶素子自体などのトナーによる汚れをなくすことにより、記憶情報の処理にエラーが生じないようにして、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確にアクセスして利用することのできる画像形成装置を提供すること。【解決手段】現像カートリッジ14のいずれかが感光体ドラム12に対面してその表面の静電潜像をトナー現像し、このトナー像を記録用紙に転写定着させる画像形成装置であって、本体側アンテナ51に対面して送受信回路52との間で非接触通信を行い各種情報を書換可能に保持するメモリタグ41が現像カートリッジ外面に貼付されるとともに、感光体ドラムに対面する現像位置近傍上部を吸引する排気ダクト60を備え、その排気ダクトの吸引口61は主走査方向の1/4程度に形成して、メモリタグはその吸引口よりも主走査方向の外方に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、トナーを収容するカートリッジ毎に設置されている記憶素子に、正確にアクセスして利用することができるものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、感光体により作製した担持体の表面に静電潜像を露光形成する電子写真記録方式の画像形成装置が知られており、この画像形成装置では、その静電潜像をトナー現像して担持させた担持体表面のトナー像を、記録用紙などの記録媒体に転写して画像形成する。このトナー像は、担持体表面に対面する現像ローラを回転させてそのローラの外周面上のトナーを、その担持体表面の静電潜像に選択的に乗り移らさせて付着させることによりトナー現像する。
【0003】
この電子写真記録方式を採用する画像形成装置は、担持体に対面させる現像ローラなどと共にトナーを収容する容器を備える現像カートリッジ(現像器)が挿脱可能に装着されており、この現像カートリッジを現像ロータリーユニット内に複数収納可能に構成された装置も存在する。この画像形成装置では、その現像ロータリーユニットを回転軸を中心に回転させることにより、担持体に現像ローラを対面させる現像位置の現像カートリッジを切り換えることができる。
【0004】
このことから、このような画像形成装置は、担持体表面にトナーを付着させる現像カートリッジとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーをそれぞれ収容する現像カートリッジを現像ロータリーユニットに収納(装着)可能に構成することにより、現像カートリッジを順次に切り換えて各色トナーを重ねたカラー画像を形成することができる。なお、この構成では、一色のトナーによる単色画像、例えば、ブラック(K)のトナーによる白黒のモノクロ画像(以下、単にモノクロ画像ともいう)を形成することができることはいうまでもない。
【0005】
ここで、このような画像形成装置では、担持体と現像ローラの双方を回転させつつトナー現像することから、その現像ローラの周面上のトナーのすべてを担持体に乗り移らさせたり現像カートリッジ内に回収することは難しい。このため、そのトナーは、細かい粉末であることから、担持体に対面する現像位置から周囲に飛散・浮遊して堆積したり、記録用紙などを汚してしまう場合がある。このことから、電子写真記録方式を採用する画像形成装置には、その現像位置の近傍を吸引して排気する排気ダクトを備えさせる場合がある。
【0006】
また、この現像ロータリーユニットを備える画像形成装置は、複数の現像カートリッジ毎にトナーの色などを任意に選択することができ、またトナー残量なども異なることから、その現像カートリッジ毎に各種情報を記憶保持するメモリ(記憶素子)を設置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合には、現像カートリッジのメモリにアクセスすることにより、そのメモリ内の情報を読み出して現像カートリッジの種別の確認を可能にしたり、収容するトナーの残量などを書き換えるなどして、現像カートリッジに自身の各種情報を付帯させることができる。
【特許文献1】国際公開WO03/098356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような画像形成装置にあっては、現像ロータリーユニット内に収納されて回転する現像カートリッジ外面のメモリに、各種情報(信号)のやり取りを可能に接続する必要がある。
【0008】
その一方で、この画像形成装置は、図7(a)に示すように、現像カートリッジ14の現像ローラ14aが担持体12に対面する現像位置近傍を排気ダクト160の吸引口161aから吸引するが、図7(b)に示すように、すべての浮遊トナーtが吸引される前に、現像カートリッジ14を切り換えるための現像ロータリーユニット15の回転動作が開始されて、吸い切る前の浮遊トナーtが現像カートリッジ14の外面に沿って移動する場合がある。これは、画像形成の処理スピードを上げるほど、現像終了後に現像カートリッジ14を停止させておく時間が短くなって顕著になる。
【0009】
しかるに、一般に、この現像カートリッジ14の外面に設置するメモリ141は、上記文献1に記載のように、主走査方向(現像ローラ14aの軸方向)の中央に配置されている。また、排気ダクト160の吸引口161は、浮遊するトナーtを吸引するために、担持体12に対面する現像ローラ14aの軸長全体を覆うように形成されている。このことから、その現像カートリッジ14の外面のメモリ141は、浮遊するトナーtの接触する領域(吸引口161の近傍を通過する範囲)内を移動することになる。
【0010】
しかしながら、現像カートリッジ14側のメモリ141内の記憶情報をやり取りするために装置本体側と接続する接続部が浮遊トナーtに触れて汚れていたのでは、その接続部が接触方式あるいは非接触方式のいずれで接続するかに拘わらずに、接続不良が発生してしまう恐れがある。この接続不良の状態でメモリ141にアクセスしたとしても、そのメモリ141内の記憶情報の読出や書込(書換)にエラーが生じる恐れがある。また、そのメモリ141の表面が汚れていたのでは、付着する物質による悪影響をメモリ141の外面などに与えてしまう可能性もある。
【0011】
そこで、本発明は、記憶素子にアクセスするための接続部や記憶素子自体などの浮遊するトナーによる汚れをできるだけなくすことにより、記憶情報の処理にエラーが生じないようにして、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確にアクセスして利用することのできる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するための主たる発明は、静電潜像を担持するための担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの前記現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、前記現像カートリッジが前記担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するための吸引口を有するダクトと、前記現像カートリッジの外面のうち、前記現像カートリッジが回転されて前記吸引口の近傍を通過する際に前記吸引口を形成する前記ダクトの部位と対向する領域の外側、に設けられ、当該現像カートリッジに関する情報を記憶保持して前記装置本体と通信可能な記憶素子と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0015】
上記課題を解決する画像形成装置の第1の発明は、画像データに基づく静電潜像が表面に形成されて該静電潜像を現像したトナー像を担持する担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像する現像カートリッジと、該現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対面させる現像ロータリーユニットと、受け取った画像データや各種情報に基づいて担持体および現像カートリッジを含む装置各部の駆動を制御する制御部と、を備えて、担持体表面のトナー像を記録媒体に転写して定着させることにより画像を形成する画像形成装置であって、現像カートリッジが担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するダクトと、現像カートリッジの外面に設置されて該現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子と、制御部の処理する情報として少なくとも記憶素子内の情報を読み出す通信を実行する通信手段と、を具備して、ダクトの吸引口の近傍を通過する現像カートリッジの外面の範囲外に記憶素子が配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
この発明では、ダクトの吸引口近傍にトナーが浮遊していたとしても、その近傍を現像カートリッジ外面の記憶素子が移動することはなく、浮遊するトナーが記憶素子に触れて汚してしまうことがない。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子が付着する物質による悪影響を受けることがなく、また、その記憶素子に隣接して装置本体側と通信可能に接続する接続部が配置されていても、接続不良を発生することなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0017】
上記課題を解決する画像形成装置の第2の発明は、上記第1の発明の特定事項に加え、前記通信手段は、現像カートリッジ側および装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触通信する機能を備えるとともに、該現像カートリッジ側のアンテナには記憶素子が隣接していることを特徴とするものである。
【0018】
この発明では、装置本体側と現像カートリッジ側のアンテナが非接触状態で対面して非接触通信することにより、接続するための移動などの制御動作を行うことなく、現像カートリッジ外面の記憶素子に迅速にアクセスすることができ、そのアンテナが記録素子に隣接していても、そのアンテナ表面にダクトの吸引口近傍に浮遊するトナーが堆積してしまうことがない。したがって、非接触通信時に通信不良(接続不良)を発生することなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0019】
上記課題を解決する画像形成装置の第3の発明は、画像データに基づく静電潜像が表面に形成されて該静電潜像を現像したトナー像を担持する担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像する現像カートリッジと、該現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの現像カートリッジを担持体表面に対面させる現像ロータリーユニットと、受け取った画像データや各種情報に基づいて担持体および現像カートリッジを含む装置各部の駆動を制御する制御部と、を備えて、担持体表面のトナー像を記録媒体に転写して定着させることにより画像を形成する画像形成装置であって、現像カートリッジが担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するダクトと、現像カートリッジの外面に設置されて該現像カートリッジに関する情報を記憶保持する記憶素子と、制御部の処理する情報として少なくとも記憶素子内の情報を読み出す通信を実行する通信手段と、を具備して、ダクトの吸引口の近傍を通過する現像カートリッジの外面の範囲外に対応する位置が、記憶素子と記憶情報をやり取り可能に接続する通信手段による通信位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0020】
この発明では、ダクトの吸引口近傍にトナーが浮遊していたとしても、その近傍を現像カートリッジ外面の記憶素子と接続するための接続部が移動することはなく、浮遊するトナーがその接続部に触れて汚してしまうことがない。したがって、現像カートリッジ外面の接続部は、接続不良を発生させることなく、装置本体側と通信可能に接続することができ、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0021】
上記課題を解決する画像形成装置の第4の発明は、上記第3の発明の特定事項に加え、前記通信手段は、現像カートリッジ側および装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触通信する機能を備えて、該アンテナの対面位置が通信位置に設定されていることを特徴とするものである。
【0022】
この発明では、装置本体側と現像カートリッジ側のアンテナ(接続部)が非接触状態で対面して非接触通信することにより、接続するための移動などの制御動作を行うことなく、現像カートリッジ外面の記憶素子に迅速にアクセスすることができ、そのアンテナ表面にダクトの吸引口近傍に浮遊するトナーが堆積してしまうことがない。したがって、非接触通信時に通信不良(接続不良)を発生することなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0023】
また、静電潜像を担持するための担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの前記現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、前記現像カートリッジが前記担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するための吸引口を有するダクトと、前記現像カートリッジの外面のうち、前記現像カートリッジが回転されて前記吸引口の近傍を通過する際に前記吸引口を形成する前記ダクトの部位と対向する領域の外側、に設けられ、当該現像カートリッジに関する情報を記憶保持して前記装置本体と通信可能な記憶素子と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0024】
このような画像形成装置によれば、前記現像カートリッジが回転されて前記吸引口の近傍を通過する際に、記憶素子は前記吸引口の近傍を通過しない。このため、ダクトの吸引口近傍にトナーが浮遊していたとしても、浮遊するトナーが記憶素子に付着することを抑えることが可能である。したがって、現像カートリッジ外面の記憶素子が付着する物質による悪影響を受けないので、記憶素子と装置本体とが良好に通信し、記憶素子内の情報を正確にやり取りすることが可能である。
【0025】
かかる画像形成装置において、前記記憶素子と前記装置本体とが通信するための通信部を有し、前記通信部は、前記現像カートリッジ側および前記装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触通信する機能を備えるとともに、該現像カートリッジ側のアンテナには記憶素子が隣接していることが望ましい。
【0026】
このような画像形成装置によれば、装置本体側と現像カートリッジ側のアンテナが非接触状態で対向して非接触通信する。このため、例えば装置本体側の接点と記憶素子側の接点とが物理的に接触して通信する場合のように、接点同士を接触させるためにいずれかの接点を移動させるなどの制御動作を行うことなく、現像カートリッジ外面の記憶素子に迅速にアクセスすることができる。そして、アンテナは記憶素子と隣接しているので、現像カートリッジが移動される際に、アンテナもダクトの吸引口近傍を通過する可能性は低い。このため、アンテナ表面にダクトの吸引口近傍に浮遊するトナーが堆積し難い。したがって、非接触通信時に通信不良(接続不良)を発生することなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0027】
また、静電潜像を担持するための担持体と、該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの前記現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、前記現像カートリッジが前記担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するための吸引口を有するダクトと、前記現像カートリッジに関する情報を記憶保持するための記憶素子と、前記回転軸に沿う方向において、前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側に配置され、前記装置本体と前記記憶素子とが通信するための通信部と、を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0028】
このような画像形成装置によれば、回転軸に沿う方向において、前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側に、記憶素子と装置本体とが通信するための通信部が配置されている。このため、ダクトの吸引口近傍にトナーが浮遊していたとしても、記憶素子と装置本体との通信時に浮遊するトナー等が通信部に付着することを抑えることが可能である。したがって、現像カートリッジ外面の通信部が付着する物質による悪影響を受けないので、記憶素子と装置本体とが良好に通信し、記憶素子内の情報を正確にやり取りすることが可能である。
【0029】
かかる画像形成装置において、前記通信部は、前記記憶素子と前記装置本体とが通信するための、前記現像カートリッジ側アンテナおよび装置本体側アンテナを有し、前記現像カートリッジ側アンテナと装置本体側アンテナとが、前記回転軸に沿う方向において前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側で対面して、前記記憶素子と前記装置本体とが非接触通信することが望ましい。
【0030】
このような画像形成装置によれば、装置本体側アンテナと現像カートリッジ側アンテナとは非接触状態で対面して非接触通信する。このため、例えば装置本体側の接点と記憶素子側の接点とが物理的に接触して通信する場合のように、接点同士を接触させるためにいずれかの接点を移動させるなどの制御動作を行うことなく、現像カートリッジ側に設けられた記憶素子に迅速にアクセスすることができる。そして、記憶素子と装置本体とは、現像カートリッジ側アンテナと装置本体側アンテナとが、前記回転軸に沿う方向において前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側で対面して通信するので、非接触通信時に、ダクト周辺に浮遊するトナーの影響により通信不良(接続不良)等が生じることなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取りすることができる。
【0031】
===画像形成装置===
以下、本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5は本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図である。
【0032】
図1および図2において、画像形成装置は、文字等の画像を作成・出力するパーソナルコンピュータPCなどの外部装置に接続して利用するプリンターであり、この画像形成装置は、画像形成する文字等の画像データを受け取って電子写真方式により記録用紙(記録媒体)の一面側または両面側に記録形成する画像記録装置10と、積載する複数枚の記録用紙をこの画像記録装置10に搬送するとともに画像を記録形成されたその記録用紙を装置外に搬出して積載する用紙搬送装置20と、パーソナルコンピュータPCに接続されて受け取った画像データなどに基づいて画像記録装置10および用紙搬送装置20を含む装置全体を統括制御することにより記録用紙に画像を形成してプリントアウトする制御ユニット30と、により構成されている。
【0033】
画像記録装置10は、簡単に説明すると、図1に示すように、画像データに基づいてレーザ光Lを走査するレーザ光走査装置11と、このレーザ光走査装置11からのレーザ光Lを照射・走査されて画像データに基づく静電潜像が表面に露光・形成される感光体ドラム(担持体)12と、レーザ光Lの照射により静電潜像を形成可能に感光体ドラム12の外周表面を帯電させる帯電器13と、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)のトナーを収容して感光体ドラム12上の静電潜像をトナー現像する各色毎の現像カートリッジ14(1箇所のみ図示)と、この現像カートリッジ14をその各色毎の設置空間15a内に収納して回転軸15bを中心に回転する現像ロータリーユニット15と、感光体ドラム12上に現像されたトナー像を受け取って記録用紙上に転写記録可能なトナー画像(モノクロ画像あるいはカラー画像)を形成する中間転写ベルト(中間転写媒体)16と、搬送されてきた記録用紙を中間転写ベルト16との間で挟むように圧接(ニップ)することによりその中間転写ベルト16が担持するトナー像を転写させるとともにその記録用紙を挟持しつつ下流へと搬送する転写ローラ17と、トナー像を転写されて搬送されてきた記録用紙を加熱圧接することによりそのトナー画像を定着させるとともにその記録用紙をさらに下流側へと挟持搬送する定着ローラ対18と、感光体ドラム12上に残留するトナーをブレード19aにより回収して貯留する廃トナータンク19と、を備えている。
【0034】
これにより、画像記録装置10は、レーザ光走査装置11により感光体ドラム12表面に形成された画像データに基づく静電潜像を、その画像データに応じて切り換えられた現像ロータリーユニット15内の現像カートリッジ14がトナー現像するようになっており、この後に、その感光体ドラム12上のトナー像を、中間転写ベルト16を介して用紙搬送装置20により搬送されてきた記録用紙に転写記録した後に定着ローラ対18が加熱圧接して定着させることにより画像形成する。なお、この画像記録装置の中間転写ベルト16および転写ローラ17や、定着ローラ対18は、記録用紙を搬送する機能も備えることから、以下で説明する用紙搬送装置20の一部をも構成している。また、中間転写ベルト16のユニットにも、そのベルト16上に残留するトナーをブレードにより回収して貯留する廃トナータンクが設けられている。
【0035】
用紙搬送装置20は、簡単に説明すると、図1に示すように、装置本体下部に着脱可能にセットされて複数枚の記録用紙を積載する用紙カセット21と、この用紙カセット21の底面の昇降板21aにより上昇された記録用紙束に圧接して回転することにより最上の記録用紙を引き出して搬送経路fへと送り出すピックアップローラ22と、このピックアップローラ22により送り出されてきた記録用紙を受け取ってさらに下流の搬送経路fへと挟持搬送する中継搬送ローラ対23a、23bと、この中継搬送ローラ対23a、23bが搬送する搬送経路f内の記録用紙を受け取って画像記録装置10の中間転写ベルト16および転写ローラ17による画像の記録形成位置に挟持搬送するレジストローラ対24と、このレジストローラ対24から中間転写ベルト16および転写ローラ17の間や定着ローラ対18間を経る搬送経路fを搬送されることにより一面側に定着画像が形成された記録用紙を受け取って装置本体上部の排紙テーブル29上に搬出・排紙して積載する排紙ローラ対25a、25bと、を備えている。
【0036】
これにより、用紙搬送装置20は、用紙カセット21内からピックアップローラ22により引き出された記録用紙を、中継搬送ローラ対23a、23bを介してレジストローラ対24に受け渡した後に、そのレジストローラ対24が画像記録装置10の動作に同期するように、中間転写ベルト16と転写ローラ17が圧接する画像の記録形成位置に給紙するようになっており、その中間転写ベルト16上のトナー像を転写記録させて定着ローラ対18を介して画像データに基づく画像を定着(記録形成)させた記録用紙を、排紙ローラ対25a、25bが排紙テーブル29上に搬出・排紙して積載する。
【0037】
なお、この用紙搬送装置20は、一面側に画像形成された記録用紙を反転させてレジストローラ対24の上流側の搬送経路fに送り出すための再搬送経路rおよびその経路rに配設された中間搬送ローラ対27を備えており、排紙ローラ対25a、25bが反転することにより再搬送経路r内に送られてきた記録用紙を中間搬送ローラ対27が受け取ってレジストローラ対24に受け渡すことにより、記録用紙の両面に画像形成することができる。また、この用紙搬送装置20は、手差しする記録用紙をレジストローラ対24の上流側の搬送経路fに送り出すための手差し経路mおよびその経路mに配設された手差し給送ローラ対28を備えており、その手差し経路m内に差し込まれた記録用紙を手差し給送ローラ対28が受け取ってレジストローラ対24に受け渡すことにより、記録用紙の片面または両面に画像形成することができる。
【0038】
制御ユニット30は、図2に示すように、装置本体内に搭載される回路基板上に構築されたコントローラ部31およびエンジン制御部32により構成されており、これらが予め準備されているプログラムに従って各種のデータ処理制御や装置各部の駆動制御を実行する。
【0039】
簡単に説明すると、コントローラ部31は、不図示のCPUがメモリ内に格納されている処理プログラムに従って各種処理手順を実行することにより、パーソナルコンピュータPCのプリンタドライバとの間で印字命令などの各種情報をやり取りするとともに、記録用紙に画像形成(印字)するテキスト等の画像データを受け取って不図示のメモリ内に一時記憶する。このコントローラ部31は、パーソナルコンピュータPCから受け取る画像データ(画像情報信号)がレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の所謂、RGBデータであることから、これらを印刷可能なイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の所謂、YMCKデータの画像データに変換しつつ、メモリ内から読み出してエンジン制御部32に受け渡す。
【0040】
エンジン制御部32は、CPU33がROM34内に格納されている制御プログラムに従って、コントローラ部31から例えば、ページ単位で画像データを受け取って本体メモリ35内に一時記憶するとともに、RAM36をワークエリアとして使用しつつ画像記録装置10および用紙搬送装置20との間で各種情報をやり取りすることにより、その画像データに基づく画像を記録用紙に形成する。また、このときに、CPU33は、この画像形成制御を実行する際には、内蔵するタイマー機能(計時手段)33aにより各種処理時間などを計時することにより、装置各部を最適に動作させる。
【0041】
これにより、制御ユニット30は、パーソナルコンピュータPCなどから画像データを受け取ると、コントローラ部31が一次記憶しつつRGBデータからYMCKデータに変換した画像データをエンジン制御部32に出力するようになっており、このエンジン制御部32のCPU33が、本体メモリ35内にページ単位に記憶するコントローラ部31からの画像データに基づいて画像記録装置10や用紙搬送装置20を統括制御することにより、その画像データに基づいて感光体ドラム12上に形成した静電潜像を現像カートリッジ14によりトナー現像して、そのトナー像を用紙カセット21内から搬送されてきた記録用紙の片面または両面に転写・定着させて画像形成し、その記録用紙を排紙テーブル29上に搬出・積載する。
【0042】
なお、図2中、I/Oインターフェース37は、各種情報をやり取り可能に、画像記録装置10、用紙搬送装置20およびコントローラ部31と、エンジン制御部32と、の間を接続している。D/Aコンバータ38およびA/Dコンバータ39は、エンジン制御部32が画像記録装置10、用紙搬送装置20およびコントローラ部31との間でやり取りするその各種情報をそれぞれで処理することができるように、デジタル信号(D)をアナログ信号(A)に変換したり、アナログ信号をデジタル信号に変換する。
【0043】
そして、画像記録装置10の現像カートリッジ14は、現像ロータリーユニット15の回転軸15bを中心に回転する区画フレーム15cにより区画されている複数の収納位置内に収納可能に外形を相似形状に形成されており、エンジン制御部32のCPU(制御部)33がパーソナルコンピュータPCからの画像データを含む印字命令に基づいて現像ロータリーユニット15を回転軸15bを中心に回転させることにより、感光体ドラム12に対面する現像カートリッジ14が切り換えられて記録用紙の片面または両面に転写・定着させて画像形成するトナー像を現像する。
【0044】
例えば、この画像記録装置10は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンダ(M)、ブラック(K)の各色トナーを収容する現像カートリッジ14を現像ロータリーユニット15内に収納して感光体ドラム12上の静電潜像を現像するトナーの色を切り換えることにより、受け取った画像データに基づいてその各色のトナーを色重ねしたり選択してカラー画像から単色画像までを印字形成することができる。
【0045】
また、この画像記録装置10は、すべての現像カートリッジ14内に同色のトナーを収容して現像ロータリーユニット15に収納しても画像形成することができ、例えば、同色のブラック(K)のトナーを収容する4本の現像カートリッジ14を収納することにより、感光体ドラム12上の静電潜像を現像する現像カートリッジ14を順次に切り換えてモノクロ画像を連続印字して形成する専用機として利用することができる。
【0046】
この現像カートリッジ14には、全体として極小型で薄型に作製された所謂、メモリタグ41が片面の粘着面により所定の外面に貼付されており、メモリタグ41は、図1に図示する装置本体側の本体側アンテナ51に対面する回転位置(通信位置)に移動したときに、装置本体の外装カバー100に沿う位置、言い換えると、その外装カバー100に最も接近する位置で上向きの姿勢で対面するように現像カートリッジ14の外面に設置(貼付)されている。このメモリタグ41は、その本体側アンテナ51を介して装置本体側の送受信回路52との間で非接触通信して各種情報のやり取りをすることにより必要な情報を記憶保持するとともにエンジン制御部32のCPU33に必要な情報を受け渡すように設計されている。ここで、本体側アンテナ51は、装置本体側で下向きの姿勢(塵埃が堆積しない姿勢)になるように設置されており、後述する現像側アンテナ43と略同様に作製されてメモリタグ41との間で非接触通信可能に、そのメモリタグ41に対する対面間隔が、例えば、10mm以内になるように設置されている。この本体側アンテナ51には、送受信回路52を構成してメモリタグ41との間で非接触通信を行う回路基板が接続されており、この送受信回路52は、I/Oインターフェース37を介して装置本体側のエンジン制御部32のCPU33に接続されている。
【0047】
具体的には、現像カートリッジ14側のメモリタグ41は、図3(a)に示すように、本体側アンテナ51を介する送受信回路52からの命令に基づいて各種情報を記憶保持するとともにその各種情報のうち必要な情報を読み出してその送受信回路52に受け渡す非接触ICチップ42と、この非接触ICチップ42および金属皮膜をエッチングして形成された共振用コンデンサ43aが並列接続されてこれらの周囲を複数回周回して隣接するように形成された平面状コイルよりなる現像側アンテナ43と、がプラスチックフィルム上に実装されて透明なカバーシートにより被覆されている。これにより、メモリタグ41は、装置本体側の送受信回路52で発生された高周波信号により本体側アンテナ51を介して誘起される高周波磁界を現像側アンテナ43が受け取る(吸収する)ことにより、コネクタが移動して直接接続する動作を行うことなく、迅速にアクセスして非接触ICチップ42に入力することができる。
【0048】
このメモリタグ41の非接触ICチップ42は、図3(b)に示すように、現像側アンテナ43を介して受け取る装置本体側の送受信回路52からの高周波磁界(高周波信号)を整流してチップ内の各回路を駆動する直流電力源とする整流器44と、この現像側アンテナ43を介して受け取った高周波磁界の高周波信号を解析するとともに、装置本体側の送受信回路52に受け渡す各種信号に基づく高周波信号を生成してその現像側アンテナ43に入力することにより本体側アンテナ51が吸収可能な高周波磁界を発生させる信号解析RF(Radi Frequency)45と、書き込まれた情報を記憶保持するとともに、その記憶情報を外部から読出可能で不揮発性の例えば、NAND型フラッシュROMなどのメモリセル46と、整流器44を介する直流電源で駆動しつつ信号解析RF45を介して各種信号を装置本体側の送受信回路52との間でやり取りすることによりメモリセル46内の記憶情報を書き換えるとともに読み出した記憶情報をその送受信回路52に受け渡す制御部47と、を備えている。すなわち、メモリセル46が記憶素子を構成するとともに、現像側アンテナ43と本体側アンテナ51が非接触通信可能に接続する接続部を構成しており、このメモリセル46を内蔵する非接触ICチップ42と現像側アンテナ43が非接触通信する現像カートリッジ14側の通信手段(通信部)を構成し、また、本体側アンテナ51と送受信回路52が装置本体側の通信手段(通信部)を構成している。
【0049】
ここで、この非接触ICチップ42のメモリセル46内には、メモリタグ41毎のシリアル番号等の固有のID情報、現像カートリッジ14の製造年月日や製造番号などの製造情報、現像カートリッジ14の仕向地情報、現像カートリッジ14を装着可能な機種情報、現像カートリッジ14内に収容されているトナーの色や残量などのトナー情報、また、現像カートリッジ14のリサイクル回数や着脱回数などの必要な各種情報が記憶保持されている。これにより、制御ユニット30のエンジン制御部32は、現像ロータリーユニット15の収納位置における現像カートリッジ14の有無や位置などと共に、その現像カートリッジ14のトナーの色情報などの各種情報をCPU33が本体メモリ35内に記憶保持させて適宜把握することにより最適な画像形成制御を実行することができ、また、エラーが発生した場合には、その各種情報をオペレーションポートなどに表示出力することにより原因の追跡などに役立てることができる。
【0050】
また、この現像カートリッジ14は、感光体ドラム12の表面に隙間を介して対面する現像ローラ14aを同期回転させて、その表面に形成された静電潜像にトナーを乗り移らさせて付着させることによりトナー現像するようになっており、感光体ドラム12が図1中時計回りに回転するのに対して現像ローラ14aが図1中反時計回りに回転するので、その現像ローラ14aから感光体ドラム12に乗り移ろうとするトナーの極一部がその回転方向下流側に飛散して浮遊する。このことから、現像ローラ14aと感光体ドラム12の回転方向下流側には、その対面位置(現像位置)近傍上部を吸引口とする排気ダクト60が配置されている。なお、現像カートリッジ14の現像ローラ14aには、その現像カートリッジ14のトナーの収容空間内で回転する供給ローラ14bが圧接回転することによりトナーを供給するようになっている。
【0051】
排気ダクト60は、図1に示すように、感光体ドラム12に現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置近傍(現像ロータリーユニット15の装置本体内部側の現像位置近傍)の上部に配置された吸引口61と、この吸引口61から側面側の外装カバー100側に向かって現像ロータリーユニット15の上側を覆うように迂回した後に、その外装カバー100に沿うように降下させる排気流路を画成する排気経路62と、この排気経路62内の空気を吸引する不図示の吸引ファンが設置されて側面側の外装カバー100に隣接する現像ロータリーユニット15の下部付近に配置された排気口63と、を備えている。この排気ダクト60の排気経路62の途中には、現像ロータリーユニット15上側に位置して吸引空気内に混入するトナーを吸着除去するフィルタ64が配設されており、排気口63から吐出する排気空気内にトナーが含まれていて周囲を汚染してしまうことがないように設計されている。
【0052】
また、この排気ダクト60の吸引口61は、図4に示すように、感光体ドラム12に現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置の主走査方向(軸方向)の幅W1に対して短めに、例えば、略1/4程度の幅W2になるように形成されて、その現像位置の近傍の上部を吸引するように設計されており、排気ダクト60は、この吸引口61からその現像位置近傍上部の主走査方向の全長に亘って吸引力が及ぶように吸引ファンが駆動する。
【0053】
このとき、排気ダクト60の吸引口61は、感光体ドラム12と現像ローラ14aの双方に接近(現像カートリッジ14の回転時に現像ローラ14aに接触しない程度に接近)して、これらが互いに対面する現像位置の上部を吸引するので、その現像位置以外(例えば、感光体ドラム12や現像ローラ14aの軸方向端部から外れた開放空間など)から大量の空気を吸込まずに、図5に示すように、感光体ドラム12と現像ローラ14aの対面する現像位置近傍上部をその全長に亘って効果的に吸込むことができ、その現像位置近傍上部に浮遊するトナーtを吸引口61側に集めて吸引することができる。
【0054】
これにより、感光体ドラム12と現像カートリッジ14の現像ローラ14aが対面する現像位置近傍に浮遊するトナーtは、その主走査方向中央に配置された排気ダクト60の吸引口61付近に集められて効果的に吸引されて、吸い切る前に現像カートリッジ14が回転したとしても、その外面にはほとんど付着することはなく、多少付着するにしても、その中央付近のみの外面の狭い領域に沿って移動するだけで、現像カートリッジ14の外面の全体に付着してしまうことはない。
【0055】
その一方で、この現像カートリッジ14の外面に設置されるメモリタグ41は、現像ロータリーユニット15の回転時に、排気ダクト60の吸引口61が相対的に移動しつつ対面する範囲(吸引口61の近傍が通過する範囲)よりも、図4における右側で外側となる現像カートリッジ14の外面に配置されており、このため、装置本体側の本体側アンテナ51も、そのメモリタグ41(現像側アンテナ43)に対面するように装置本体の図1の紙面に対して裏面側となる位置が通信位置に設定されて配置されている。
【0056】
これにより、現像カートリッジ14外面のメモリタグ41は、排気ダクト60の吸引口61に接近することなく、その吸引口61から吸込まれるトナーtがその表面(現像側アンテナ43)に触れて汚れてしまうことはなく、非接触通信を行う際に、本体側アンテナ51との間でやり取りする信号の感度が低下して通信不良(接続不良)となってしまうことなく、メモリセル46内の記憶情報の読出や書換を信頼性高く正確に行うことができる。この結果、メモリタグ41と送受信回路52との間の非接触通信などの各種処理を迅速に完了することができ、メモリタグ41の表面に堆積するトナーtが付着するなど反応してしまうことを回避することができる。
【0057】
このように本実施形態においては、現像カートリッジ14外面のメモリタグ41(現像側アンテナ43やメモリセル46)の表面に、排気ダクト60の吸引口61近傍に浮遊するトナーtが接触して、不必要に付着・堆積してしまうことを回避することができ、それらの表面や内部素子に対する悪影響や、現像側アンテナ43や本体側アンテナ51の間の接続不良(非接触通信での通信不良)が発生してしまうことなく、非接触通信や記憶情報の読出・書換を効率よく、またミスなく完了することができる。したがって、現像カートリッジ14毎のメモリタグ41内の各種情報の書換や読出処理を正確かつ迅速に行うことができ、装置各部の駆動制御に必要な情報を快適に利用可能に提供することができる。
【0058】
本実施形態の他の態様としては、図6に示すように、本実施形態のように非接触通信するためのアンテナに換えて、装置本体側の送受信回路52には電極端子71を備えるコネクタ72を接続する一方、現像カートリッジ14側には不図示の電極端子を露出させるメモリタグ73を設置して、通信時にはコネクタ72がメモリタグ73に接近して電極端子71同士を圧接させることにより接触式に通信可能に接続する場合にも適用することができる。この場合には、上述実施形態と同様に、通信位置の現像カートリッジ14外面のメモリタグ73(電極端子)は、その表面上に塵埃などが不必要に付着・堆積してしまうことを回避することができ、現像カートリッジ14毎のメモリタグ73にコネクタ72を信頼性高く接触導通させて、そのメモリセル内の各種情報の書換や読出処理を正確かつ迅速に行うことができる。
【0059】
また、上述実施形態では、排気ダクト60の吸引口61を狭く形成している場合を一例に説明するが、これに限るものではなく、例えば、その吸引口が感光体ドラム12などの軸方向の全長と同程度の幅を有する場合にも、現像カートリッジ外面でその吸引口よりも外方に位置するようにメモリタグを設置すればよい。
【0060】
本実施形態によれば、現像カートリッジ外面の記憶素子や装置本体側との接続部は、ダクトの吸引口近傍にトナーが浮遊していたとしても、そのトナーが浮遊する領域内を移動することがなく、浮遊するトナーが堆積するなどして接続不良の発生要因となるように汚してしまうことを回避することができる。したがって、記憶素子に影響を与えることなく、また、現像カートリッジ側と装置本体側との間で接続不良を発生させることなく、記憶素子内の記憶情報を正確にやり取り可能に通信することができる。この結果、現像カートリッジ外面の記憶素子内の記憶情報の読出や書換を信頼性高く行うことができ、現像カートリッジ毎の記憶素子に正確にアクセスして、その記憶素子内の記憶情報を画像処理などの駆動制御に快適に利用することができる。
【0061】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図であり、その概略全体構成を示す透視正面図である。
【図2】その制御部を説明する関係ブロック図である。
【図3】その要部構成を示す図であり、(a)はその現像カートリッジ側に設置するメモリタグ(記憶素子)を示す透視平面図、(b)はその通信手段を示す関係ブロック図である。
【図4】その排気ダクトの配置を説明する上面図である。
【図5】その排気ダクトの吸引を説明する側面図である。
【図6】その他の態様を示す図であり、その要部構成を示す概念透視正面図である。
【図7】その課題を説明する図であり、(a)は排気ダクトによる吸引を説明する概念透視正面図、(b)はその現像カートリッジの回転時の状態を示す概念透視正面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 画像記録装置、11 レーザ光走査装置、12 感光体ドラム、
14 現像カートリッジ、14a 現像ローラ、15 現像ロータリーユニット、
16 中間転写ベルト、17 転写ローラ、18 定着ローラ対、
20 用紙搬送装置、30 制御ユニット、31 コントローラ部、
32 エンジン制御部、33 CPU、35 本体メモリ、
41,73 メモリタグ、42 非接触ICチップ、43 現像側アンテナ、
44 整流器、46 メモリセル、47 制御部、51 本体側アンテナ、
52 送受信回路、60 排気ダクト、61 吸引口、62 排気経路、
63 排気口、65 ダクト板、65a 壁面、66 吸込口、71 電極端子、
72 コネクタ、t トナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像を担持するための担持体と、
該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、
装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの前記現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、
前記現像カートリッジが前記担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するための吸引口を有するダクトと、
前記現像カートリッジの外面のうち、前記現像カートリッジが回転されて前記吸引口の近傍を通過する際に前記吸引口を形成する前記ダクトの部位と対向する領域の外側、に設けられ、当該現像カートリッジに関する情報を記憶保持して前記装置本体と通信可能な記憶素子と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記憶素子と前記装置本体とが通信するための通信部を有し、
前記通信部は、前記現像カートリッジ側および前記装置本体側の対面可能な位置にアンテナが設置されて非接触通信する機能を備えるとともに、該現像カートリッジ側のアンテナには記憶素子が隣接していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
静電潜像を担持するための担持体と、
該担持体表面の静電潜像にトナーを選択的に付着させて該静電潜像を現像するための現像カートリッジと、
装置本体に設けられ前記現像カートリッジの複数を回転軸の周囲に挿脱可能に収納して該回転軸を中心に回転することによりいずれかの前記現像カートリッジを担持体表面に対向させる現像ロータリーユニットと、
前記現像カートリッジが前記担持体表面の静電潜像にトナーを付着させる現像位置の近傍を吸引して該現像位置近傍に浮遊するトナーを吸引するための吸引口を有するダクトと、
前記現像カートリッジに関する情報を記憶保持するための記憶素子と、
前記回転軸に沿う方向において、前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側に配置され、前記装置本体と前記記憶素子とが通信するための通信部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記記憶素子と前記装置本体とが通信するための、前記現像カートリッジ側アンテナおよび装置本体側アンテナを有し、前記現像カートリッジ側アンテナと装置本体側アンテナとが、前記回転軸に沿う方向において前記吸引口を形成する前記ダクトの部位の外側で対面して、前記記憶素子と前記装置本体とが非接触通信することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−227584(P2006−227584A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344910(P2005−344910)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】