画像形成装置
【課題】縦綴じあるいは横綴じのいずれにしようとする場合においても、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】原稿の読取面と記録紙の記録面とを設定するための原稿/用紙面選択メニューM1(ボタンB1〜B4の4通り)と、複写元と複写物の綴じ方の関係を設定する綴じ方設定メニューM2(ボタンB5〜B84通り)とを用意する。それぞれの選択の内容と、読取処理および印刷処理の内容とが関連づけられている。縦綴じの両面原稿を複写元として横綴じの両面原稿を作成する場合、「両面→両面」ボタンB1と「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P1とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ180°回転させて両面複写がなされた複写物が得られる。これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【解決手段】原稿の読取面と記録紙の記録面とを設定するための原稿/用紙面選択メニューM1(ボタンB1〜B4の4通り)と、複写元と複写物の綴じ方の関係を設定する綴じ方設定メニューM2(ボタンB5〜B84通り)とを用意する。それぞれの選択の内容と、読取処理および印刷処理の内容とが関連づけられている。縦綴じの両面原稿を複写元として横綴じの両面原稿を作成する場合、「両面→両面」ボタンB1と「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P1とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ180°回転させて両面複写がなされた複写物が得られる。これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多ページからなる両面文書の綴じ方には、ページ面の上部に綴じ位置を設けてページを上下方向にめくるように綴じる仕方(図4参照)と、ページ面の左右いずれかに綴じ位置を設けてページを左右方向にめくるように綴じる仕方(図6参照)とがある。前者の綴じ方は「縦綴じ」と称され、後者の綴じ方は「横綴じ」と称されることがある。なお、本明細書においては、文書とは所定の用紙に文字、図形、写真その他の視認可能な像などが形成されたものを指し示すものとする。
【0003】
また、向きが揃っている複数枚の片面文書を複写して両面複写物を作成する場合に、縦綴じ用の複写物と横綴じ用の複写物とを選択的に作成可能な画像形成装置が既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−93809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な両面文書においては、視認の都合上、ページをめくった状態の各ページの文書の向きが揃えられているので、縦綴じの場合、表ページの文書と裏ページの文書とは上下逆向きになっている(図5参照)。これに対し、横綴じの場合は、表ページと裏ページとは同じ向きとなっている(図7参照)。
【0006】
そのため、縦綴じ用の両面文書(複写元)を複写することによって、横綴じ用の文書(複写物)を作成しようとする場合、複写元の各ページの向きを維持したまま複写を行うと、両面文書とするか片面文書(表面にのみ複写がされる文書)とするかに関わらず、横綴じ用の複写物は得られない。また、横綴じ用の両面文書を複写元として、複写物として縦綴じ用の文書を得ようとする場合も、複写元の各ページの向きを維持したまま複写を行うと、複写物は縦綴じ用とはならない。
【0007】
よって、従来は、オペレータがマニュアルで表ページを複写する場合と裏ページを複写する場合とで複写元を逐一上下反転させる、などの対応が必要であり、煩雑であった。
【0008】
なお、特許文献1においては、複写元と複写物とがこのような関係にある場合、具体的には、複写元が縦綴じ用の両面文書であって横綴じ用の複写物を作成しようとする場合、および複写元が横綴じ用の両面文書であって縦綴じ用の複写物を得ようとする場合の処理について、何ら開示がされていない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複写物を得る場合に、複写物の綴じ方を縦綴じあるいは横綴じのいずれにしようとする場合においても、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、読取手段により原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録手段により記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置であって、原稿の読取面と記録紙の記録面とを選択的に指定するための第1設定手段と、原稿の綴じ方と複写物の綴じ方との組み合わせ情報を選択的に指定するための第2設定手段と、前記画像形成装置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1設定手段における読取面の指定に従って前記読取手段に読取処理を実行させるとともに、前記第1および第2設定手段により与えられた設定組み合わせに従って前記記録手段に記録処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記制御手段が、前記設定組み合わせの内容に従い、奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで両面に記録を行う第1処理、全ページとも画像の向きを変えずに両面に記録を行う第2処理、奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで片面に記録を行う第3処理、全ページとも画像の向きを変えずに片面に記録を行う第4処理、のいずれかを前記記録処理として前記記録手段に実行させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記第1設定手段によって前記読取面および前記記録面がいずれも両面と指定され、前記第2設定手段によって前記原稿の綴じ方と前記複写物の綴じ方とが異なる組み合わせが指定されている場合に、前記制御手段は、前記読取手段に原稿両面の読取処理を実行させるとともに、前記記録手段に前記第1処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、複写物にフィニッシング処理を行うフィニッシング手段、をさらに備え、前記フィニッシング手段は、前記第2設定手段における前記複写物の綴じ方に関する指定内容に従って、前記複写物にフィニッシング処理を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないし請求項4の発明によれば、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、2つの設定手段による設定を行うだけで確実に行うことができる。
【0015】
特に、請求項2の発明によれば、複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、確実に行うことができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、意図した綴じ方に合わせて作成された複写物に対して、該綴じ方に従ったステープルの付与やパンチ穴の形成を確実に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<装置の外観構成>
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1Aの概略外観構成を示す図であり、図1がブックカバー17を閉じた状態の斜視図に相当し、図2がブックカバー17を開いた状態の斜視図に相当する。
【0018】
図1および図2に示すように、画像形成装置1Aは、筐体HSの上面に設けられたスキャナ11と、筐体HSに内蔵されたプリンタ12と、筐体HSにおいて前方へ突出した表示部13および操作部14と、筐体HSの下部に設けられた給紙部15とを備える。さらに、画像形成装置1Aには、フィニッシング処理を行うフィニッシャ16が筐体HSの側面に装着され、スキャナ11へ原稿を給送するADF(Automatic Document Feeder)172を備えるブックカバー17が筐体HSの上面に取り付けられる。また、筐体HSの側面(側面以外でもよい)には、開閉可能なオプションスロットカバー18が設けられる。画像形成装置1Aでは、オプションスロットカバー18を開いた状態において、筐体HSに内蔵された本体ボード上のオプションスロット30(図3)に筐体HSの外側からアクセス可能である。
【0019】
画像形成装置1Aには、ユーザインターフェースとして、操作部14および表示部13が設けられる。操作部14は、メカニカルスイッチで構成され、複写処理その他に関する各種指示をオペレータが画像形成装置1Aに与える際に用いられる。表示部13は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスによって構成され、複写処理その他に関する各種情報を表示する。例えば、読み取り原稿(複写処理の場合の複写元)の読み取り対象(両面/片面)の選択メニュー、記録紙(複写処理によって複写物となる用紙)への記録状態(両面/片面)の選択メニュー、さらには、後述する「綴じ方設定複写」の実行に係る選択メニューなどが、表示部13に表示される。なお、表示部13をタッチパネルディスプレイで構成して、表示部13が操作部14の一部または全部の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0020】
給紙部15は、前方に引き出し可能な4個の給紙カセット151〜154を備える。各給紙カセット151〜154には、所定のサイズ(例えば、A4,B5等)の記録紙が所定の方向(縦、横)で格納される。
【0021】
フィニッシャ16は、画像が形成された記録紙に、ステープル加工および/またはパンチ加工等のフィニッシング処理を施して、排紙トレイ161に出力する。図1および図2における矢印AR1は、画像が形成された記録紙の排出方向を示している。なお、好ましくは、後述する綴じ方設定複写処理の際の、綴じ方設定メニューM2における選択内容に応じて定まる所定の綴じ位置に、フィニッシャ16がステープルを付与する処理またはパンチ穴を形成する処理を、選択的に実行可能とされてなる。
【0022】
ブックカバー17は、ヒンジ171を軸として開閉可能となっている。ブックカバー17にはADF172が搭載されてなる。
【0023】
ADF172は、複数枚の原稿を連続的に読み取ることが出来るよう、原稿を自動的に供給する機構である。ADF172は、原稿がセットされる原稿給紙トレイ173を備えており、原稿ガイド174a,174bに沿って差込口175にセット(差込)された原稿を1枚ずつ原稿ガラス111bへ給送する。なお、原稿ガイド174aは原稿給紙トレイ173に固定されているのに対して、原稿ガイド174bは図1にて矢印AR2に示すように±Y方向に所定の範囲でスライド可能となっている。すなわち、原稿ガイド174bは読取対象となる原稿のサイズに応じてその配置を調節可能となっている。また、ADF172の内部には用紙反転機構172R(図3)が備わっており、原稿の両面について複写を行うよう設定されている場合に、スキャナ11が片面の読み取りを完了すると、その反対側の面を読み取り対象面とすべく該原稿を反転させることができるようになっている。ADF172は、公知の技術によって実現可能である。
【0024】
<装置の内部構成>
図3は、画像形成装置1Aの内部構成を示すブロック図である。画像形成装置1Aは、MPU(マイクロプロセッサ;MicroProcessor Unit)20、ROM21およびRAM22を備えるマイクロコンピュータを内蔵している。MPU20は、ROM21に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置1Aの各構成を統括制御する。RAM22は、MPU20による統括制御に必要なデータを一時記憶する。MPU20による統括制御により、画像形成装置1Aの各種機能が実現される。
【0025】
MPU20は、操作部14に対する操作を検出して画像形成装置1Aの動作へ反映させるとともに、表示部13における表示内容の制御を行う。また、MPU20は、プリンタ12による画像形成に際して必要な、色座標の変換処理や画像の回転処理などに係る演算処理も行う。あるいは、専用の処理回路(図示せず)を構成してこれらの演算処理を実行させる態様であってもよい。
【0026】
スキャナ11は、FBS(Flat Bed Scanner)方式およびADF方式による原稿上の画像の読み取り処理を担う。FBS方式の場合は、あらかじめ読み取りたい面を下方(−z方向)に向けた状態で原稿ガラス111a上に載置された原稿を、原稿ガラス111aの下方にてX軸方向に移動可能に設けられた読取機構113(図1、図2では図示せず)を移動させつつ読み取る。ADF方式の場合は、読取機構113を原稿ガラス111bの下方に固定し、ADF172にて供給された原稿を読み取る。読取機構113は、ライン状に設けられたCCDイメージセンサ(ラインセンサ)により原稿上の画像をライン単位に順次に(線順次に)読み取り、当該画像に係る画像データを生成する。当該画像データは、画像メモリ23に記憶され、複写処理の際の複写元画像データとして利用される。また、画像形成装置1Aがファクシミリとしての機能を有する場合には、当該画像データはファクシミリ送信における送信画像データとしても利用される。スキャナ11は公知の技術によって実現可能である。
【0027】
なお、読取機構113が原稿の表面を読み取るための表面用ラインセンサと原稿の裏面を読み取るための裏面用ラインセンサとを備え、一度の原稿通過によって原稿両面を並行して読み取るように構成されていてもよい。係る場合、ADF172は用紙反転機構172Rを備えずともよい。
【0028】
プリンタ12は、例えば、LEDプリンタヘッドを有する公知の電子写真方式のプリンタである。プリンタ12は、複写処理の際、複写元画像データの記述内容に従って、記録紙上に複写画像を形成する。なお、プリンタ12は、用紙反転機構12R(図1、図2では図示せず)を備えており、記録紙両面への記録を行うように設定されている場合(つまりは両面印刷の場合)、一方の面への画像記録を終えた後、用紙反転機構12Rによって記録紙を反転させて、もう一方の面への画像記録を行うよう構成されている。係るプリンタ12は、公知の技術によって実現可能である。複写画像データは、複写元画像データを、画像形成に適した所定の色座標系(通常は、CMYK座標系)による記述形式に変換することで得られるデータである。画像形成装置1Aにおいては、係る変換はMPU20の作用により、あるいは所定の演算処理回路によって実現される。
【0029】
なお、画像形成装置1Aが装置外部のコンピュータなどに接続され、該コンピュータから受け取った画像データに基づいて印刷を行うように構成されている場合も、同様にプリンタ12によって記録紙に対する画像記録が行われる。
【0030】
また、画像形成装置1Aがファクシミリとしての機能を有する場合、NCU(網制御装置;Network Control Unit)24、MODEM(モデム;MOdulator DEModulator)25、CODEC(符号化・復号器;COderand DECoder)26をさらに備える。
【0031】
NCU24は、一般公衆電話回線網(PSTN;Public Switched Telephone Networks)への接続を制御する。NCU24は、通信先の電話番号(FAX番号を含む)に対応したダイヤル信号を送出する機能および着信を検出する機能を備える。
【0032】
MODEM25は、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30に従ったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等に従った送信データの変調および受信データの復調を行う。あるいは、MODEM25は、これらに加えて、V.34に従った送信データの変調および受信データの復調を行う。MODEM25によって変調された送信データは、NCU24を経由してPSTNへ送出される。また、MODEM25が復調を行う受信データは、NCU24を経由してPSTNから与えられる。
【0033】
CODEC26は、スキャナ11における読み取り処理によって得られた送信画像データをMH,MRおよびMMR方式等により符号化(エンコード)して画像メモリ23に記憶する。記憶された符号化データは、MODEM25において変調され、ファクシミリ送信される。また、CODEC26は、MODEM25によって復調され、画像メモリ23に記憶されている受信データ(符号化データ)を復号(デコード)する。復号により得られた画像データはプリンタ12による記録処理に供される。
【0034】
オプションスロット30は、オプションボード40を着脱可能に構成される。オプションスロット30に装着されたオプションボード40は、MPU20と通信可能であり、MPU20によって制御される。
【0035】
<縦綴じと横綴じ>
ここで、本実施の形態にかかる画像形成装置1Aにおいて特徴的な処理である綴じ方設定複写処理について説明するに先立ち、まず、縦綴じおよび横綴じの状態について確認しておく。
【0036】
図4は、縦綴じの両面文書D1を例示する図である。図4においては、ステープルST1で綴じている場合を例示しているが、綴じ方はこれに限定されない。また、図5(a)は、縦綴じの両面文書D1の1枚目の用紙の表ページF1を示し、図5(b)は裏ページR1を示す図である。縦綴じの両面文書D1においては、図5に示す表ページF1と裏ページR1のように、全ての用紙について表裏に形成される画像の向きを互いに上下反対向きにすることで、図4に示すように用紙をめくって裏面を視認した場合の画像の向きが表面を視認したときの画像の向きと一致することになる。表ページF1を1ページ目としてページをカウントする場合、奇数ページが表ページ、偶数ページが裏ページとなるが、縦綴じの両面文書D1においては、奇数ページと偶数ページとで画像の向きが互いに上下反対向きとなっている、ということになる。
【0037】
一方、図6は、横綴じの両面文書D2を例示する図である。図6においては、ステープルST2で綴じている場合を例示しているが、綴じ方はこれに限定されない。また、図7(a)は、横綴じの両面文書D2の1枚目の用紙の表ページF2を示し、図7(b)は、裏ページR2を示す図である。横綴じの両面文書D2においては、図7に示す表ページF2と裏ページR2のように、全ての用紙について表裏によらず形成される画像の向きを同じにすることで、図6に示すように用紙をめくって裏面を視認した場合の画像の向きが表面を視認したときの画像の向きと一致することになる。表ページF2を1ページ目としてページをカウントする場合、奇数ページが表ページ、偶数ページが裏ページとなるが、横綴じの両面文書D2においては、奇数ページであるか偶数ページであるかによらず、全てのページで画像の向きは同じである、ということになる。
【0038】
なお、片面文書の場合は、縦綴じ、横綴じに関わらず、奇数ページであろうと偶数ページであろうと画像の向きは同じである。ただし、片面文書においては、画像が形成される面(表面)のみをページとみなすものとする。
【0039】
従って、縦綴じ用の両面文書においてのみ、偶数ページと奇数ページの画像の向きが上下反転していることになる。従って、このような縦綴じの両面文書を複写元として横綴じ用の両面文書を作成しようとする場合、ページの向きがそのままであると、図8に示す両面文書D3のように、表ページF3(奇数ページ)とこれをめくって視認される裏ページR3(偶数ページ)との画像の向きが上下反対のままとなってしまい、不適切である。なお、片面文書を作成する場合は、横綴じ用であろうと縦綴じ用であろうと同様の結果となる。さらには、横綴じの両面文書を複写元として縦綴じの両面文書を作成しようとする場合も同様に表裏の画像の向きは上下反対となる。
【0040】
<綴じ方設定複写>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1Aにおいて実現される、綴じ方設定複写処理について説明する。綴じ方設定複写処理とは、複写物の綴じ方を縦綴じあるいは横綴じのいずれにしようとする場合においても、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる複写処理である。詳細に言えば、複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方に合う複写物の作成が可能とされている。なお、複数枚のシート原稿からなる文書の複写を前提とする処理であるので、以降の説明においては、ADF方式にて原稿の読み取りがなされるものとする。
【0041】
図9は、画像形成装置1Aの表示部13に表示される、綴じ方設定複写処理に関する設定メニュー画面を例示する図である。具体的には、原稿/用紙面選択メニューM1と、綴じ方設定メニューM2とが表示部13に表示されている。なお、以降の説明においては、表示部13がタッチパネルとして機能するものとして説明する。
【0042】
原稿/用紙面選択メニューM1は、複写元である原稿の読み取り面が両面/片面のいずれとするのか、および、複写物となる記録紙への画像形成を両面/片面のいずれとするのかを、組み合わせて指定するための、タッチボタンにて提示されるメニューである。それぞれの場合に応じて、「両面→両面」ボタンB1、「両面→片面」ボタンB2、「片面→両面」ボタンB3、「片面→片面」ボタンB4の4つのタッチボタンが表示されてなる。
【0043】
各ボタンにおいては、矢印の前側に複写元の読み取り面の設定が、後側に複写物の記録面の設定が示されている。従って、「両面→両面」ボタンB1あるいは「両面→片面」ボタンB2が選択された場合はADF172においては両面読み取りがなされ、「片面→両面」ボタンB3あるいは「片面→片面」ボタンB4が選択された場合は片面読み取りがなされることになる。そして、「両面→両面」ボタンB1あるいは「片面→両面」ボタンB3が選択された場合はプリンタ12においては両面印刷がなされ、「両面→片面」ボタンB2あるいは「片面→片面」ボタンB4が選択された場合は片面印刷がなされることになる。
【0044】
なお、図9においては、これら4つのタッチボタンのうち、「両面→両面」ボタンB1がタッチされて選択された状態を例示している。なお、好ましくは、通常よく用いられる一般的な組み合わせである「片面→片面」ボタンB4が選択された状態がデフォルトとされていてもよい。また、原稿面の選択と、用紙の記録面の選択とを独立して設定できる態様であってもよい。
【0045】
綴じ方設定メニューM2は、複写元である原稿の綴じ方が縦綴じ/横綴じのいずれであるのか(あるいは、どちらの綴じ方用に作成されている文書であるか)、および、複写物を綴じる場合の綴じ方を縦綴じ/横綴じのいずれとするのかを、組み合わせて指定するための、タッチボタンにて提示されるメニューである。それぞれの場合に応じて、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5、「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6、「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7、「横綴じ→横綴じ」ボタンB8の4つのタッチボタンが表示されてなる。各ボタンにおいては、矢印の前側に複写元の綴じ位置の設定が、後側に複写物の綴じ位置の設定が示されている。
【0046】
図9においては、これら4つのタッチボタンのうち、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5がタッチされて選択された状態を例示している。なお、好ましくは、通常よく用いられる一般的な組み合わせである「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された状態がデフォルトとされていてもよい。また、綴じ方設定の実行の可否を選択するタッチボタンが別途に設けられ、実行する旨の選択なされた場合のみ、綴じ方設定メニューM2がアクティブになり、実行しない旨の選択がなされている場合は、該メニューの使用が禁止されるよう設定されていてもよい。
【0047】
画像形成装置1Aにおいては、オペレータによるそれぞれのメニューについてのボタンの選択内容に応じて、対応する読取処理および印刷処理が実行されることになる。換言すれば、選択と処理内容とが関連づけされているともいえる。具体的には、各メニューボタンの選択がなされ、操作部14(もしくはタッチパネルとして作用する表示部13)に備わる図示しないスタートボタンが押下されると、MPU20は、選択内容に応じたADF172による複写元原稿の読み取りと、プリンタ12による印刷処理とを実現すべく、必要な演算処理を行うとともに各部を制御しつつ動作させる。
【0048】
図10は、原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2におけるボタン選択の組み合わせと、実行される印刷処理との関連づけを示す図である。原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2とにおいてはそれぞれ、4つのボタンが選択可能とされているので、選択の組み合わせは4×4=16通りあることになるが、綴じ方設定複写処理においては、以下に示すように、結果的には図10に示す4種類の印刷処理P1〜P4のいずれかが実行されることになる。
【0049】
(ケース1)「両面→両面」ボタンB1が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P1か印刷処理P2かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0050】
(1a)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は、偶数ページについては、画像を180°回転させたうえで記録紙両面に画像形成を行う印刷処理P1を行うことになる。なお、画像の回転は、公知の技術を用い、複写画像データに記述されている個々の画素のアドレス位置を適宜の演算処理によって変換することにより実現可能である。
【0051】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、図6に例示するような横綴じの両面文書を作成したい場合は、「両面→両面」ボタンB1と、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P1とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ上下反転させて(180°回転させて)記録紙の両面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【0052】
(1b)「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合は、複写元と全く同じ状態の複写物を作成することになるので、全ページについて向きを変えることなく記録紙両面に画像形成を行う印刷処理P2を行うことになる。
【0053】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、同じく縦綴じの両面文書を作成したい場合は、「両面→両面」ボタンB1と、「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P2とが行われ、全ページそのままの向きで記録紙の両面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを縦綴じすれば、適切な複写物が得られることになる。
【0054】
(ケース2)「両面→片面」ボタンB2が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P3か印刷処理P4かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0055】
(2a)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は、偶数ページについては、画像を180°回転させたうえで記録紙の片面(表面)に画像形成を行う印刷処理P3を行うことになる。
【0056】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、横綴じの片面文書を作成したい場合は、「両面→片面」ボタンB2と、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P3とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ上下反転させて(180°回転させて)記録紙の片面にのみ複写がなされた複写物が得られることになるので、これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【0057】
(2b)「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合は、全てのページについて複写元と全く同じ向きに画像を形成すればよいので、全ページについて向きを変えることなく記録紙の片面(表面)に画像形成を行う印刷処理P4を行うことになる。
【0058】
従って、例えば図6に例示するような横綴じの両面文書を複写元として、縦綴じの片面文書を作成したい場合は、「両面→片面」ボタンB3と、「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P4とが行われ、全ページそのままの向きで記録紙の片面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを縦綴じすれば、適切な複写物が得られることになる。
【0059】
(ケース3)「片面→両面」ボタンB3が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P1か印刷処理P2かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0060】
(3a)「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6または「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は印刷処理P1を行うことになる。
【0061】
(3b)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合、全てのページについて複写元と全く同じ向きに画像を形成すればよいので、印刷処理P2を行うことになる。
【0062】
(ケース4)「片面→片面」ボタンB4が選択されている場合;
この場合は、結局のところ通常の「片面→片面」の複写処理を行うことになる。すなわち、綴じ方設定メニューM2の選択によらず、印刷処理P4を行うことになる。
【0063】
なお、図11は、それぞれのボタンの選択と、読取処理および印刷処理の内容をマトリックスMTRとして表示した図である。例えばROM21などにおいて内部的に該マトリックスMTRに係るデータをあらかじめ記憶しておき、ボタン選択がなされた際、係るデータを参照して、行うべき読取処理および印刷処理を特定するようにされていてもよい。
【0064】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる。複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、簡単なメニュー選択を行うだけで、確実に行うことができる。特に、原稿と複写物の綴じ方の関係を一括して指定するメニューが用意され、該指定と読取面の指定との組み合わせと実行する印刷処理とが関連づけられており、その内容に従って複写処理が行われるので、制御に際して装置内部における複雑な判断が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】画像形成装置1Aの概略外観構成(ブックカバー17を閉じた状態)を示す図である。
【図2】画像形成装置1Aの概略外観構成(ブックカバー17を開いた状態)を示す図である。
【図3】画像形成装置1Aの内部構成を示すブロック図である。
【図4】縦綴じの両面文書D1を例示する図である。
【図5】両面文書D1の1枚目の用紙の表裏ページを示す図である。
【図6】横綴じの両面文書D2を例示する図である。
【図7】両面文書D2の1枚目の用紙の表裏ページを示す図である。
【図8】両面文書D1を複写元とする不適切な横綴じの両面文書D3を例示する図である。
【図9】表示部13に表示される、綴じ方設定複写処理に関する設定メニュー画面を例示する図である。
【図10】原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2におけるボタン選択の組み合わせと、実行される印刷処理との関連づけを示す図である。
【図11】それぞれのボタンの選択と、読取処理および印刷処理の内容をマトリックスMTRとして表示した図である。
【符号の説明】
【0066】
1A 画像形成装置
11 スキャナ
12 プリンタ
13 表示部
14 操作部
15 給紙部
16 フィニッシャ
172 ADF
M1 原稿/用紙面選択メニュー
M2 綴じ方設定メニュー
P1〜P4 印刷処理
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多ページからなる両面文書の綴じ方には、ページ面の上部に綴じ位置を設けてページを上下方向にめくるように綴じる仕方(図4参照)と、ページ面の左右いずれかに綴じ位置を設けてページを左右方向にめくるように綴じる仕方(図6参照)とがある。前者の綴じ方は「縦綴じ」と称され、後者の綴じ方は「横綴じ」と称されることがある。なお、本明細書においては、文書とは所定の用紙に文字、図形、写真その他の視認可能な像などが形成されたものを指し示すものとする。
【0003】
また、向きが揃っている複数枚の片面文書を複写して両面複写物を作成する場合に、縦綴じ用の複写物と横綴じ用の複写物とを選択的に作成可能な画像形成装置が既に公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−93809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な両面文書においては、視認の都合上、ページをめくった状態の各ページの文書の向きが揃えられているので、縦綴じの場合、表ページの文書と裏ページの文書とは上下逆向きになっている(図5参照)。これに対し、横綴じの場合は、表ページと裏ページとは同じ向きとなっている(図7参照)。
【0006】
そのため、縦綴じ用の両面文書(複写元)を複写することによって、横綴じ用の文書(複写物)を作成しようとする場合、複写元の各ページの向きを維持したまま複写を行うと、両面文書とするか片面文書(表面にのみ複写がされる文書)とするかに関わらず、横綴じ用の複写物は得られない。また、横綴じ用の両面文書を複写元として、複写物として縦綴じ用の文書を得ようとする場合も、複写元の各ページの向きを維持したまま複写を行うと、複写物は縦綴じ用とはならない。
【0007】
よって、従来は、オペレータがマニュアルで表ページを複写する場合と裏ページを複写する場合とで複写元を逐一上下反転させる、などの対応が必要であり、煩雑であった。
【0008】
なお、特許文献1においては、複写元と複写物とがこのような関係にある場合、具体的には、複写元が縦綴じ用の両面文書であって横綴じ用の複写物を作成しようとする場合、および複写元が横綴じ用の両面文書であって縦綴じ用の複写物を得ようとする場合の処理について、何ら開示がされていない。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複写物を得る場合に、複写物の綴じ方を縦綴じあるいは横綴じのいずれにしようとする場合においても、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、読取手段により原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録手段により記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置であって、原稿の読取面と記録紙の記録面とを選択的に指定するための第1設定手段と、原稿の綴じ方と複写物の綴じ方との組み合わせ情報を選択的に指定するための第2設定手段と、前記画像形成装置を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1設定手段における読取面の指定に従って前記読取手段に読取処理を実行させるとともに、前記第1および第2設定手段により与えられた設定組み合わせに従って前記記録手段に記録処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置であって、前記制御手段が、前記設定組み合わせの内容に従い、奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで両面に記録を行う第1処理、全ページとも画像の向きを変えずに両面に記録を行う第2処理、奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで片面に記録を行う第3処理、全ページとも画像の向きを変えずに片面に記録を行う第4処理、のいずれかを前記記録処理として前記記録手段に実行させる、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2に記載の画像形成装置であって、請求項2に記載の画像形成装置であって、前記第1設定手段によって前記読取面および前記記録面がいずれも両面と指定され、前記第2設定手段によって前記原稿の綴じ方と前記複写物の綴じ方とが異なる組み合わせが指定されている場合に、前記制御手段は、前記読取手段に原稿両面の読取処理を実行させるとともに、前記記録手段に前記第1処理を実行させる、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、複写物にフィニッシング処理を行うフィニッシング手段、をさらに備え、前記フィニッシング手段は、前記第2設定手段における前記複写物の綴じ方に関する指定内容に従って、前記複写物にフィニッシング処理を行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1ないし請求項4の発明によれば、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、2つの設定手段による設定を行うだけで確実に行うことができる。
【0015】
特に、請求項2の発明によれば、複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、確実に行うことができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、意図した綴じ方に合わせて作成された複写物に対して、該綴じ方に従ったステープルの付与やパンチ穴の形成を確実に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<装置の外観構成>
図1および図2は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置1Aの概略外観構成を示す図であり、図1がブックカバー17を閉じた状態の斜視図に相当し、図2がブックカバー17を開いた状態の斜視図に相当する。
【0018】
図1および図2に示すように、画像形成装置1Aは、筐体HSの上面に設けられたスキャナ11と、筐体HSに内蔵されたプリンタ12と、筐体HSにおいて前方へ突出した表示部13および操作部14と、筐体HSの下部に設けられた給紙部15とを備える。さらに、画像形成装置1Aには、フィニッシング処理を行うフィニッシャ16が筐体HSの側面に装着され、スキャナ11へ原稿を給送するADF(Automatic Document Feeder)172を備えるブックカバー17が筐体HSの上面に取り付けられる。また、筐体HSの側面(側面以外でもよい)には、開閉可能なオプションスロットカバー18が設けられる。画像形成装置1Aでは、オプションスロットカバー18を開いた状態において、筐体HSに内蔵された本体ボード上のオプションスロット30(図3)に筐体HSの外側からアクセス可能である。
【0019】
画像形成装置1Aには、ユーザインターフェースとして、操作部14および表示部13が設けられる。操作部14は、メカニカルスイッチで構成され、複写処理その他に関する各種指示をオペレータが画像形成装置1Aに与える際に用いられる。表示部13は、液晶ディスプレイ等の表示デバイスによって構成され、複写処理その他に関する各種情報を表示する。例えば、読み取り原稿(複写処理の場合の複写元)の読み取り対象(両面/片面)の選択メニュー、記録紙(複写処理によって複写物となる用紙)への記録状態(両面/片面)の選択メニュー、さらには、後述する「綴じ方設定複写」の実行に係る選択メニューなどが、表示部13に表示される。なお、表示部13をタッチパネルディスプレイで構成して、表示部13が操作部14の一部または全部の機能を兼ね備えるようにしてもよい。
【0020】
給紙部15は、前方に引き出し可能な4個の給紙カセット151〜154を備える。各給紙カセット151〜154には、所定のサイズ(例えば、A4,B5等)の記録紙が所定の方向(縦、横)で格納される。
【0021】
フィニッシャ16は、画像が形成された記録紙に、ステープル加工および/またはパンチ加工等のフィニッシング処理を施して、排紙トレイ161に出力する。図1および図2における矢印AR1は、画像が形成された記録紙の排出方向を示している。なお、好ましくは、後述する綴じ方設定複写処理の際の、綴じ方設定メニューM2における選択内容に応じて定まる所定の綴じ位置に、フィニッシャ16がステープルを付与する処理またはパンチ穴を形成する処理を、選択的に実行可能とされてなる。
【0022】
ブックカバー17は、ヒンジ171を軸として開閉可能となっている。ブックカバー17にはADF172が搭載されてなる。
【0023】
ADF172は、複数枚の原稿を連続的に読み取ることが出来るよう、原稿を自動的に供給する機構である。ADF172は、原稿がセットされる原稿給紙トレイ173を備えており、原稿ガイド174a,174bに沿って差込口175にセット(差込)された原稿を1枚ずつ原稿ガラス111bへ給送する。なお、原稿ガイド174aは原稿給紙トレイ173に固定されているのに対して、原稿ガイド174bは図1にて矢印AR2に示すように±Y方向に所定の範囲でスライド可能となっている。すなわち、原稿ガイド174bは読取対象となる原稿のサイズに応じてその配置を調節可能となっている。また、ADF172の内部には用紙反転機構172R(図3)が備わっており、原稿の両面について複写を行うよう設定されている場合に、スキャナ11が片面の読み取りを完了すると、その反対側の面を読み取り対象面とすべく該原稿を反転させることができるようになっている。ADF172は、公知の技術によって実現可能である。
【0024】
<装置の内部構成>
図3は、画像形成装置1Aの内部構成を示すブロック図である。画像形成装置1Aは、MPU(マイクロプロセッサ;MicroProcessor Unit)20、ROM21およびRAM22を備えるマイクロコンピュータを内蔵している。MPU20は、ROM21に格納されたプログラムを読み出して実行することにより、画像形成装置1Aの各構成を統括制御する。RAM22は、MPU20による統括制御に必要なデータを一時記憶する。MPU20による統括制御により、画像形成装置1Aの各種機能が実現される。
【0025】
MPU20は、操作部14に対する操作を検出して画像形成装置1Aの動作へ反映させるとともに、表示部13における表示内容の制御を行う。また、MPU20は、プリンタ12による画像形成に際して必要な、色座標の変換処理や画像の回転処理などに係る演算処理も行う。あるいは、専用の処理回路(図示せず)を構成してこれらの演算処理を実行させる態様であってもよい。
【0026】
スキャナ11は、FBS(Flat Bed Scanner)方式およびADF方式による原稿上の画像の読み取り処理を担う。FBS方式の場合は、あらかじめ読み取りたい面を下方(−z方向)に向けた状態で原稿ガラス111a上に載置された原稿を、原稿ガラス111aの下方にてX軸方向に移動可能に設けられた読取機構113(図1、図2では図示せず)を移動させつつ読み取る。ADF方式の場合は、読取機構113を原稿ガラス111bの下方に固定し、ADF172にて供給された原稿を読み取る。読取機構113は、ライン状に設けられたCCDイメージセンサ(ラインセンサ)により原稿上の画像をライン単位に順次に(線順次に)読み取り、当該画像に係る画像データを生成する。当該画像データは、画像メモリ23に記憶され、複写処理の際の複写元画像データとして利用される。また、画像形成装置1Aがファクシミリとしての機能を有する場合には、当該画像データはファクシミリ送信における送信画像データとしても利用される。スキャナ11は公知の技術によって実現可能である。
【0027】
なお、読取機構113が原稿の表面を読み取るための表面用ラインセンサと原稿の裏面を読み取るための裏面用ラインセンサとを備え、一度の原稿通過によって原稿両面を並行して読み取るように構成されていてもよい。係る場合、ADF172は用紙反転機構172Rを備えずともよい。
【0028】
プリンタ12は、例えば、LEDプリンタヘッドを有する公知の電子写真方式のプリンタである。プリンタ12は、複写処理の際、複写元画像データの記述内容に従って、記録紙上に複写画像を形成する。なお、プリンタ12は、用紙反転機構12R(図1、図2では図示せず)を備えており、記録紙両面への記録を行うように設定されている場合(つまりは両面印刷の場合)、一方の面への画像記録を終えた後、用紙反転機構12Rによって記録紙を反転させて、もう一方の面への画像記録を行うよう構成されている。係るプリンタ12は、公知の技術によって実現可能である。複写画像データは、複写元画像データを、画像形成に適した所定の色座標系(通常は、CMYK座標系)による記述形式に変換することで得られるデータである。画像形成装置1Aにおいては、係る変換はMPU20の作用により、あるいは所定の演算処理回路によって実現される。
【0029】
なお、画像形成装置1Aが装置外部のコンピュータなどに接続され、該コンピュータから受け取った画像データに基づいて印刷を行うように構成されている場合も、同様にプリンタ12によって記録紙に対する画像記録が行われる。
【0030】
また、画像形成装置1Aがファクシミリとしての機能を有する場合、NCU(網制御装置;Network Control Unit)24、MODEM(モデム;MOdulator DEModulator)25、CODEC(符号化・復号器;COderand DECoder)26をさらに備える。
【0031】
NCU24は、一般公衆電話回線網(PSTN;Public Switched Telephone Networks)への接続を制御する。NCU24は、通信先の電話番号(FAX番号を含む)に対応したダイヤル信号を送出する機能および着信を検出する機能を備える。
【0032】
MODEM25は、ITU(国際電気通信連合)−T勧告T.30に従ったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等に従った送信データの変調および受信データの復調を行う。あるいは、MODEM25は、これらに加えて、V.34に従った送信データの変調および受信データの復調を行う。MODEM25によって変調された送信データは、NCU24を経由してPSTNへ送出される。また、MODEM25が復調を行う受信データは、NCU24を経由してPSTNから与えられる。
【0033】
CODEC26は、スキャナ11における読み取り処理によって得られた送信画像データをMH,MRおよびMMR方式等により符号化(エンコード)して画像メモリ23に記憶する。記憶された符号化データは、MODEM25において変調され、ファクシミリ送信される。また、CODEC26は、MODEM25によって復調され、画像メモリ23に記憶されている受信データ(符号化データ)を復号(デコード)する。復号により得られた画像データはプリンタ12による記録処理に供される。
【0034】
オプションスロット30は、オプションボード40を着脱可能に構成される。オプションスロット30に装着されたオプションボード40は、MPU20と通信可能であり、MPU20によって制御される。
【0035】
<縦綴じと横綴じ>
ここで、本実施の形態にかかる画像形成装置1Aにおいて特徴的な処理である綴じ方設定複写処理について説明するに先立ち、まず、縦綴じおよび横綴じの状態について確認しておく。
【0036】
図4は、縦綴じの両面文書D1を例示する図である。図4においては、ステープルST1で綴じている場合を例示しているが、綴じ方はこれに限定されない。また、図5(a)は、縦綴じの両面文書D1の1枚目の用紙の表ページF1を示し、図5(b)は裏ページR1を示す図である。縦綴じの両面文書D1においては、図5に示す表ページF1と裏ページR1のように、全ての用紙について表裏に形成される画像の向きを互いに上下反対向きにすることで、図4に示すように用紙をめくって裏面を視認した場合の画像の向きが表面を視認したときの画像の向きと一致することになる。表ページF1を1ページ目としてページをカウントする場合、奇数ページが表ページ、偶数ページが裏ページとなるが、縦綴じの両面文書D1においては、奇数ページと偶数ページとで画像の向きが互いに上下反対向きとなっている、ということになる。
【0037】
一方、図6は、横綴じの両面文書D2を例示する図である。図6においては、ステープルST2で綴じている場合を例示しているが、綴じ方はこれに限定されない。また、図7(a)は、横綴じの両面文書D2の1枚目の用紙の表ページF2を示し、図7(b)は、裏ページR2を示す図である。横綴じの両面文書D2においては、図7に示す表ページF2と裏ページR2のように、全ての用紙について表裏によらず形成される画像の向きを同じにすることで、図6に示すように用紙をめくって裏面を視認した場合の画像の向きが表面を視認したときの画像の向きと一致することになる。表ページF2を1ページ目としてページをカウントする場合、奇数ページが表ページ、偶数ページが裏ページとなるが、横綴じの両面文書D2においては、奇数ページであるか偶数ページであるかによらず、全てのページで画像の向きは同じである、ということになる。
【0038】
なお、片面文書の場合は、縦綴じ、横綴じに関わらず、奇数ページであろうと偶数ページであろうと画像の向きは同じである。ただし、片面文書においては、画像が形成される面(表面)のみをページとみなすものとする。
【0039】
従って、縦綴じ用の両面文書においてのみ、偶数ページと奇数ページの画像の向きが上下反転していることになる。従って、このような縦綴じの両面文書を複写元として横綴じ用の両面文書を作成しようとする場合、ページの向きがそのままであると、図8に示す両面文書D3のように、表ページF3(奇数ページ)とこれをめくって視認される裏ページR3(偶数ページ)との画像の向きが上下反対のままとなってしまい、不適切である。なお、片面文書を作成する場合は、横綴じ用であろうと縦綴じ用であろうと同様の結果となる。さらには、横綴じの両面文書を複写元として縦綴じの両面文書を作成しようとする場合も同様に表裏の画像の向きは上下反対となる。
【0040】
<綴じ方設定複写>
次に、本実施の形態に係る画像形成装置1Aにおいて実現される、綴じ方設定複写処理について説明する。綴じ方設定複写処理とは、複写物の綴じ方を縦綴じあるいは横綴じのいずれにしようとする場合においても、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる複写処理である。詳細に言えば、複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方に合う複写物の作成が可能とされている。なお、複数枚のシート原稿からなる文書の複写を前提とする処理であるので、以降の説明においては、ADF方式にて原稿の読み取りがなされるものとする。
【0041】
図9は、画像形成装置1Aの表示部13に表示される、綴じ方設定複写処理に関する設定メニュー画面を例示する図である。具体的には、原稿/用紙面選択メニューM1と、綴じ方設定メニューM2とが表示部13に表示されている。なお、以降の説明においては、表示部13がタッチパネルとして機能するものとして説明する。
【0042】
原稿/用紙面選択メニューM1は、複写元である原稿の読み取り面が両面/片面のいずれとするのか、および、複写物となる記録紙への画像形成を両面/片面のいずれとするのかを、組み合わせて指定するための、タッチボタンにて提示されるメニューである。それぞれの場合に応じて、「両面→両面」ボタンB1、「両面→片面」ボタンB2、「片面→両面」ボタンB3、「片面→片面」ボタンB4の4つのタッチボタンが表示されてなる。
【0043】
各ボタンにおいては、矢印の前側に複写元の読み取り面の設定が、後側に複写物の記録面の設定が示されている。従って、「両面→両面」ボタンB1あるいは「両面→片面」ボタンB2が選択された場合はADF172においては両面読み取りがなされ、「片面→両面」ボタンB3あるいは「片面→片面」ボタンB4が選択された場合は片面読み取りがなされることになる。そして、「両面→両面」ボタンB1あるいは「片面→両面」ボタンB3が選択された場合はプリンタ12においては両面印刷がなされ、「両面→片面」ボタンB2あるいは「片面→片面」ボタンB4が選択された場合は片面印刷がなされることになる。
【0044】
なお、図9においては、これら4つのタッチボタンのうち、「両面→両面」ボタンB1がタッチされて選択された状態を例示している。なお、好ましくは、通常よく用いられる一般的な組み合わせである「片面→片面」ボタンB4が選択された状態がデフォルトとされていてもよい。また、原稿面の選択と、用紙の記録面の選択とを独立して設定できる態様であってもよい。
【0045】
綴じ方設定メニューM2は、複写元である原稿の綴じ方が縦綴じ/横綴じのいずれであるのか(あるいは、どちらの綴じ方用に作成されている文書であるか)、および、複写物を綴じる場合の綴じ方を縦綴じ/横綴じのいずれとするのかを、組み合わせて指定するための、タッチボタンにて提示されるメニューである。それぞれの場合に応じて、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5、「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6、「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7、「横綴じ→横綴じ」ボタンB8の4つのタッチボタンが表示されてなる。各ボタンにおいては、矢印の前側に複写元の綴じ位置の設定が、後側に複写物の綴じ位置の設定が示されている。
【0046】
図9においては、これら4つのタッチボタンのうち、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5がタッチされて選択された状態を例示している。なお、好ましくは、通常よく用いられる一般的な組み合わせである「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された状態がデフォルトとされていてもよい。また、綴じ方設定の実行の可否を選択するタッチボタンが別途に設けられ、実行する旨の選択なされた場合のみ、綴じ方設定メニューM2がアクティブになり、実行しない旨の選択がなされている場合は、該メニューの使用が禁止されるよう設定されていてもよい。
【0047】
画像形成装置1Aにおいては、オペレータによるそれぞれのメニューについてのボタンの選択内容に応じて、対応する読取処理および印刷処理が実行されることになる。換言すれば、選択と処理内容とが関連づけされているともいえる。具体的には、各メニューボタンの選択がなされ、操作部14(もしくはタッチパネルとして作用する表示部13)に備わる図示しないスタートボタンが押下されると、MPU20は、選択内容に応じたADF172による複写元原稿の読み取りと、プリンタ12による印刷処理とを実現すべく、必要な演算処理を行うとともに各部を制御しつつ動作させる。
【0048】
図10は、原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2におけるボタン選択の組み合わせと、実行される印刷処理との関連づけを示す図である。原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2とにおいてはそれぞれ、4つのボタンが選択可能とされているので、選択の組み合わせは4×4=16通りあることになるが、綴じ方設定複写処理においては、以下に示すように、結果的には図10に示す4種類の印刷処理P1〜P4のいずれかが実行されることになる。
【0049】
(ケース1)「両面→両面」ボタンB1が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P1か印刷処理P2かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0050】
(1a)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は、偶数ページについては、画像を180°回転させたうえで記録紙両面に画像形成を行う印刷処理P1を行うことになる。なお、画像の回転は、公知の技術を用い、複写画像データに記述されている個々の画素のアドレス位置を適宜の演算処理によって変換することにより実現可能である。
【0051】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、図6に例示するような横綴じの両面文書を作成したい場合は、「両面→両面」ボタンB1と、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P1とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ上下反転させて(180°回転させて)記録紙の両面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【0052】
(1b)「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合は、複写元と全く同じ状態の複写物を作成することになるので、全ページについて向きを変えることなく記録紙両面に画像形成を行う印刷処理P2を行うことになる。
【0053】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、同じく縦綴じの両面文書を作成したい場合は、「両面→両面」ボタンB1と、「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P2とが行われ、全ページそのままの向きで記録紙の両面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを縦綴じすれば、適切な複写物が得られることになる。
【0054】
(ケース2)「両面→片面」ボタンB2が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P3か印刷処理P4かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0055】
(2a)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は、偶数ページについては、画像を180°回転させたうえで記録紙の片面(表面)に画像形成を行う印刷処理P3を行うことになる。
【0056】
従って、例えば図4に例示するような縦綴じの両面文書を複写元として、横綴じの片面文書を作成したい場合は、「両面→片面」ボタンB2と、「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P3とが行われ、奇数ページはそのままで、偶数ページのみ上下反転させて(180°回転させて)記録紙の片面にのみ複写がなされた複写物が得られることになるので、これを横綴じすれば、全ページの向きが揃った適切な複写物が得られることになる。
【0057】
(2b)「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合は、全てのページについて複写元と全く同じ向きに画像を形成すればよいので、全ページについて向きを変えることなく記録紙の片面(表面)に画像形成を行う印刷処理P4を行うことになる。
【0058】
従って、例えば図6に例示するような横綴じの両面文書を複写元として、縦綴じの片面文書を作成したい場合は、「両面→片面」ボタンB3と、「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6とを選択すれば、両面読み取りと印刷処理P4とが行われ、全ページそのままの向きで記録紙の片面に複写がなされた複写物が得られることになるので、これを縦綴じすれば、適切な複写物が得られることになる。
【0059】
(ケース3)「片面→両面」ボタンB3が選択されている場合;
綴じ方設定メニューM2の選択の仕方に応じて、印刷処理P1か印刷処理P2かの2通りの処理のいずれかがなされることになる。
【0060】
(3a)「横綴じ→縦綴じ」ボタンB6または「縦綴じ→縦綴じ」ボタンB7が選択された場合は、いずれも、複写物の偶数ページの向きを複写元に対して上下反対にすることが必要である。従って、これらの場合は印刷処理P1を行うことになる。
【0061】
(3b)「縦綴じ→横綴じ」ボタンB5または「横綴じ→横綴じ」ボタンB8が選択された場合、全てのページについて複写元と全く同じ向きに画像を形成すればよいので、印刷処理P2を行うことになる。
【0062】
(ケース4)「片面→片面」ボタンB4が選択されている場合;
この場合は、結局のところ通常の「片面→片面」の複写処理を行うことになる。すなわち、綴じ方設定メニューM2の選択によらず、印刷処理P4を行うことになる。
【0063】
なお、図11は、それぞれのボタンの選択と、読取処理および印刷処理の内容をマトリックスMTRとして表示した図である。例えばROM21などにおいて内部的に該マトリックスMTRに係るデータをあらかじめ記憶しておき、ボタン選択がなされた際、係るデータを参照して、行うべき読取処理および印刷処理を特定するようにされていてもよい。
【0064】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、意図した綴じ方に合う複写物を得ることができる。複写元が縦綴じである場合および横綴じである場合、複写元が両面文書である場合あるいは片面文書である場合、複写物を両面文書とする場合あるいは片面文書とする場合、いずれの場合についても、意図した綴じ方(縦綴じあるいは横綴じ)に合う複写物の作成を、簡単なメニュー選択を行うだけで、確実に行うことができる。特に、原稿と複写物の綴じ方の関係を一括して指定するメニューが用意され、該指定と読取面の指定との組み合わせと実行する印刷処理とが関連づけられており、その内容に従って複写処理が行われるので、制御に際して装置内部における複雑な判断が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】画像形成装置1Aの概略外観構成(ブックカバー17を閉じた状態)を示す図である。
【図2】画像形成装置1Aの概略外観構成(ブックカバー17を開いた状態)を示す図である。
【図3】画像形成装置1Aの内部構成を示すブロック図である。
【図4】縦綴じの両面文書D1を例示する図である。
【図5】両面文書D1の1枚目の用紙の表裏ページを示す図である。
【図6】横綴じの両面文書D2を例示する図である。
【図7】両面文書D2の1枚目の用紙の表裏ページを示す図である。
【図8】両面文書D1を複写元とする不適切な横綴じの両面文書D3を例示する図である。
【図9】表示部13に表示される、綴じ方設定複写処理に関する設定メニュー画面を例示する図である。
【図10】原稿/用紙面選択メニューM1と綴じ方設定メニューM2におけるボタン選択の組み合わせと、実行される印刷処理との関連づけを示す図である。
【図11】それぞれのボタンの選択と、読取処理および印刷処理の内容をマトリックスMTRとして表示した図である。
【符号の説明】
【0066】
1A 画像形成装置
11 スキャナ
12 プリンタ
13 表示部
14 操作部
15 給紙部
16 フィニッシャ
172 ADF
M1 原稿/用紙面選択メニュー
M2 綴じ方設定メニュー
P1〜P4 印刷処理
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取手段により原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録手段により記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置であって、
原稿の読取面と記録紙の記録面とを選択的に指定するための第1設定手段と、
原稿の綴じ方と複写物の綴じ方との組み合わせ情報を選択的に指定するための第2設定手段と、
前記画像形成装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1設定手段における読取面の指定に従って前記読取手段に読取処理を実行させるとともに、前記第1および第2設定手段により与えられた設定組み合わせに従って前記記録手段に記録処理を実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御手段が、前記設定組み合わせの内容に従い、
奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで両面に記録を行う第1処理、
全ページとも画像の向きを変えずに両面に記録を行う第2処理、
奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで片面に記録を行う第3処理、
全ページとも画像の向きを変えずに片面に記録を行う第4処理、
のいずれかを前記記録処理として前記記録手段に実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記第1設定手段によって前記読取面および前記記録面がいずれも両面と指定され、前記第2設定手段によって前記原稿の綴じ方と前記複写物の綴じ方とが異なる組み合わせが指定されている場合に、
前記制御手段は、前記読取手段に原稿両面の読取処理を実行させるとともに、前記記録手段に前記第1処理を実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
複写物にフィニッシング処理を行うフィニッシング手段、
をさらに備え、
前記フィニッシング手段は、前記第2設定手段における前記複写物の綴じ方に関する指定内容に従って、前記複写物にフィニッシング処理を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
読取手段により原稿を読み取り、読取内容に基づいて記録手段により記録紙の両面もしくは片面に画像を記録して複写物を作成する画像形成装置であって、
原稿の読取面と記録紙の記録面とを選択的に指定するための第1設定手段と、
原稿の綴じ方と複写物の綴じ方との組み合わせ情報を選択的に指定するための第2設定手段と、
前記画像形成装置を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1設定手段における読取面の指定に従って前記読取手段に読取処理を実行させるとともに、前記第1および第2設定手段により与えられた設定組み合わせに従って前記記録手段に記録処理を実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置であって、
前記制御手段が、前記設定組み合わせの内容に従い、
奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで両面に記録を行う第1処理、
全ページとも画像の向きを変えずに両面に記録を行う第2処理、
奇数ページについては画像の向きを変えず、偶数ページについては画像を回転させたうえで片面に記録を行う第3処理、
全ページとも画像の向きを変えずに片面に記録を行う第4処理、
のいずれかを前記記録処理として前記記録手段に実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置であって、
前記第1設定手段によって前記読取面および前記記録面がいずれも両面と指定され、前記第2設定手段によって前記原稿の綴じ方と前記複写物の綴じ方とが異なる組み合わせが指定されている場合に、
前記制御手段は、前記読取手段に原稿両面の読取処理を実行させるとともに、前記記録手段に前記第1処理を実行させる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置であって、
複写物にフィニッシング処理を行うフィニッシング手段、
をさらに備え、
前記フィニッシング手段は、前記第2設定手段における前記複写物の綴じ方に関する指定内容に従って、前記複写物にフィニッシング処理を行う、
ことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−333054(P2006−333054A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153633(P2005−153633)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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