説明

画像形成装置

【課題】装置本体からユニットを着脱する際にユニットのロック解除と連動して該ユニットに当接する部材の当接解除を可能とする画像形成装置を提供する。
【解決手段】装置本体に対してスライド可能な作像ユニット144と、装置本体に対して開閉可能であって、前記作像ユニット144に当接して画像形成するための二次転写ローラ117を有する搬送扉155と、前記作像ユニット144を装置本体に装着した状態でロックするためのユニットロック手段と、前記搬送扉155を装置本体に閉じた状態で保持するためのラッチ機構と、を有し、前記ラッチ機構は前記ユニットロック手段のロック解除動作に連動して前記搬送扉155の保持が解除することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録材に画像形成を行う複写機、プリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式を採用する画像形成装置では、フルカラー化が進んでいる。そのため、感光体ドラムを有するプロセスカートリッジを4個あるいはそれ以上搭載したカラー画像形成装置も多く普及している。
【0003】
このようなカラー画像形成装置は、装置本体の大きさを小さくし、厚紙等の記録材の種類による画像不良を無くすため、中間転写方式を採用したものが広く採用されている。これは、4個のプロセスカートリッジで作像した像を中間転写ベルトに一次転写し、そのトナー像を二次転写部において記録材に二次転写するものである。
【0004】
更に上記中間転写ベルトとプロセスカートリッジの配置は、まず記録材の搬送方向を縦方向とした上で中間転写ベルトを水平方向に配置し、4個のプロセスカートリッジをベルト下面に並べて配置する構成が近年多く用いられている。このように配置することにより、一次転写で作成したトナー像を二次転写させるまでの時間を短くできると同時に、プロセスカートリッジから二次転写部への距離を短くすることができ、結果としてプリントタイムの短縮が可能となる(特許文献1)。
【0005】
ここで、上記のような複数のプロセスカートリッジを含む作像ユニットを交換する場合について説明する。
【0006】
先ず、第1の従来例を図10に示す。画像形成装置本体600において、中間転写ベルト601とこれを支持する転写フレーム602を矢印R1方向、つまりプロセスカートリッジ603内の感光体ドラム604に対し、中間転写ベルト601が離間するように上方へ移動させる。その後、プロセスカートリッジ603を本体前方方向P1に引出して、プロセスカートリッジ交換を行う。
【0007】
上記構成の場合、中間転写ベルト601と転写フレーム602を感光体ドラム604に対し離間/当接する加圧・圧解除機構とが必要となる。また、中間転写ベルト601を取り外す場合は、中間転写ベルト601とこれを支持する転写フレーム602を矢印R1方向に移動させると共に、中間転写ベルト601と対向配置された図示しない搬送ローラを矢印R2方向に退避させる。その後、中間転写ベルト601を本体前方方向P1に引き出す。ここにおいても、図示しない搬送ローラを中間転写ベルト601に対して離間、当接させる加圧・圧解除機構が必要となる。
【0008】
次に図11に他の画像形成装置のプロセスカートリッジ交換構成を示す。図11-Aに示すように、4個のプロセスカートリッジ603の上方に中間転写ベルト601が配置されている。このプロセスカートリッジ603と中間転写ベルト601を一体とした作像ユニット605を図11-Bに示すように交換扉606を開放する。そして、前述した第1の従来例と同様、中間転写ベルト601と対向配置された図示しない搬送ローラを退避させ、作像ユニット605を本体前方方向P2に引出す。従って、第2の従来例においては、4個のプロセスカートリッジ603と中間転写ベルト601を一体で交換することになる。
【0009】
【特許文献1】特開2003−287939号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来例の中間転写ベルト601及びプロセスカートリッジ603の交換構成では、以下のようになる。プロセスカートリッジ603に対する中間転写ベルト601の加圧・圧解除機構と、中間転写ベルト601に対する搬送ローラの加圧・圧解除機構のどちらか、又は双方が必要となりコストアップとなる。また、交換時以外は使用することのない中間転写ベルト601の退避スペース、搬送ローラの退避スペースが必要になるなど、装置本体のサイズに対しても不利となる。
【0011】
一方、このような構成においては、搬送ローラに記録材がジャムした場合には、搬送ローラを中間転写ベルト601から離間させるだけでなく、そのエリアを開放するための開閉ドアを用いてジャム処理を行う必要がある。
【0012】
このような構成のため、従来の構成では、ユニット取り出しのための搬送ローラを加圧・圧解除機構が設けられるとともに、搬送ローラが中間転写ベルトから離間する開閉ドアが設けられる。その結果、用途に応じて異なる搬送ローラと中間転写ベルトとの加圧・圧解除機構が複数も受けられることで、機構が複雑になるだけでなく、部品点数の増加となる。
【0013】
更に、ユニット着脱用加圧・圧解除機構は、装置本体の前カバーやドア、又は別途設けられたハンドル等を操作することでユニットへの加圧・圧解除を行う構成をとる。しかし、ユニット着脱用加圧・圧解除機構自体による圧解除を行っているかどうかが外観から分かりにくいために、圧を解除せずに不意に移動させることで作像ユニットにダメージを与えてしまう可能性がある。
【0014】
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を多くしなくても装置本体からユニットを着脱する際にユニットのロック解除と連動して該ユニットに当接する部材の当接解除を可能とする画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための本発明における代表的な手段は、記録材に転写されるトナー像を担持する中間転写体を有する装置本体に対してスライド可能なユニットと、装置本体に対して開閉可能であって、中間転写体に当接して記録材にトナー画像を形成するための転写部材を有する開閉部材と、前記ユニットを装置本体に装着した状態でロックするためのユニットロック手段と、前記開閉部材を装置本体に閉じた状態で保持するための開閉部材保持手段と、を有し、前記開閉部材保持手段は、前記ユニットロック手段のロック解除動作に連動して前記開閉部材の保持が解除されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にあっては、少ない部品点数で、開閉部材に設けられた転写部材がユニットに当接したままでの作像ユニットの着脱をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に本発明の一実施形態に係る画像形成装置について、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
〔第1実施形態〕
図1乃至図7は第1実施形態に係る画像形成装置を示すものである。
【0019】
{画像形成装置の全体構成}
まず、図1及び図2を参照して本実施形態の画像形成装置の全体構成について画像形成動作とともに説明する。
【0020】
本実施形態の画像形成装置は、電子写真方式のフルカラーの画像形成装置として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色毎に応じた4個の感光体ドラム104を水平に1列に配列している。そして、各感光体ドラム104上に形成された各色のトナー像を、その上方に配置された中間転写体である中間転写ベルト101に順次重ね合わせてカラー画像を形成する。そして、縦方向に搬送される記録材に二次転写する、いわゆるインライン型の画像形成装置となっている。これにより、一次転写で作成したトナー像を二次転写させるまでの時間を短くできる。
【0021】
画像形成装置100は、一定の間隔をおいて略水平な一直線上に配置されたプロセスカートリッジ103を4個備えており、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の画像を形成する。これら各プロセスカートリッジ103が装置本体に着脱自在となっている。
【0022】
各プロセスカートリッジ103には、それぞれ像担持体としてのドラム型の電子写真感光体104(感光体ドラム)が設置されている。感光体ドラム104の周囲には、一次帯電器109、現像手段110、トナー収納部111、ドラムクリーナ装置112、一次転写部材としての一次転写ローラ114がそれぞれ配置されている。また、一次帯電器109と現像手段110との間の下方には、レーザー露光装置108が設置されている。
【0023】
各現像手段110には対応するトナー収納部111から(中間転写ベルト101の移動方向上流側から順に)それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各トナーが供給される。
【0024】
中間転写ベルトユニット115は、二次転写内ローラを兼ねる駆動ローラ116を備え、図示しない本体上の駆動ギアにより回転駆動される。駆動ローラ116は二次転写ローラ117と対向するよう配置されている。
【0025】
記録材Pの搬送方向において、二次転写ローラ117の下流側には定着ローラ118と加圧ローラ119を有する定着装置が縦パス構成で設置されている。
【0026】
ここで、本実施形態の装置本体は、記録材の搬送及びトナー像の定着を主に行う搬送部と、画像形成動作を主に行う作像部に分けられる。上記説明したユニットのうち、プロセスカートリッジ103、中間転写ベルトユニット115、露光装置は作像部に分類され、定着装置は搬送部に分類される。
【0027】
画像形成に際しては、原稿読取装置120で原稿を読み取り、画像形成開始信号が発せられると回転駆動される各感光体ドラム104が一次帯電器109によって一様に帯電される。そして、露光装置108が画信号に応じた露光を行うことで各感光体ドラム104上に各色の静電潜像を形成する。この静電潜像を現像手段110によりトナー像として現像して可視像化し、一次転写ローラ114へのバイアス印加により中間転写ベルト101にトナー像を転写する。
【0028】
なお、感光体ドラム104上に残留した一次転写残トナーはドラムクリーナ装置112により回収される。
【0029】
上記のようにして形成したイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー像を中間転写ベルト101へ順次重ね合わせて転写することでフルカラーのトナー像を形成する。そして、中間転写ベルト101上のフルカラートナー像は、二次転写ローラ117にバイアス印加することにより、縦パス上を二次転写部まで搬送された記録材Pに一括して転写される。
【0030】
カラー画像が転写された記録材Pは下流に位置する定着装置により加熱、加圧されて表面にトナー像を熱定着された後、装置本体上面の排出トレイ125上に排出される。
【0031】
なお、本実施形態の画像形成装置においては、装置本体に開閉部材としての搬送扉155が装置本体奥側を中心として回動することで開閉可能に設けられている。本実施例では、この開閉部材は、画像形成装置においてサイドの面を開放するものであり、記録材の搬送路を開放するものである。そして、この搬送扉155には記録材への画像転写タイミングを決定するレジストローラ対123の一方のローラと、中間転写ベルト101に圧接する転写部材である二次転写ローラ117及び両面パスが配設されている。したがって、搬送扉155を装置本体より開くことで、レジストローラ対123の一方のローラと二次転写ローラ117が搬送扉155と一体で移動することで、中間転写ベルト101と二次転写ローラ117とが離間して、搬送部全体へのアクセスが容易に行える構成となっている。これにより、記録材が縦パスの途中でジャムとなった場合のジャム処理性を良好にしている。
【0032】
{枠体構造}
次に本実施形態の枠体構造について図3乃至図6を用いて説明する。
【0033】
図3-Aには画像形成装置本体全体を支持している本体筐体128を示し、図3-Bは作像部を支持する作像筐体129を示す。
【0034】
本体筐体128には作像筐体129が画像形成装置110の外に取り出される際に筐体を支持する伸縮可能な支持レール130が左右に二本配置されている。
【0035】
作像筐体129は筐体内部にプロセスカートリッジ103が4個装着可能となるように構成されている。装着時の位置決めとしては、感光体ドラム104の回転母線軸上に支持された図示しないベアリング(両端2ヶ所)が、図3-Bに示すドラム支持部132(両端2ヶ所)に嵌合し、筐体に対して高精度に位置決めがなされる構成となっている。
【0036】
また、中間転写ベルト101も作像筐体129に装着されるよう構成されている。中間転写ベルト101の装着時の位置決めは、中間転写ベルト101を駆動する駆動ローラ116の軸上に支持されたベアリング142が、作像筐体129に設けられたベルト支持部143(図5-A参照)に嵌合して筐体に対して高精度に位置決めがなされる。
【0037】
上記位置決め構成をとることにより、感光体ドラム104と中間転写ベルトユニット115が筐体を介して高精度に位置決めされる。
【0038】
図4-Aは中間転写ベルトユニット115と転写フレーム102を分解した状態を示している。中間転写ベルトユニット115は転写フレーム102の第1の保持部134(2ヵ所)と第2の保持部160が、それぞれ中間転写ベルトユニット115の第1の係止部133(2ヵ所)と第2の係止部135(2ヵ所)に係止する構成となっている。これにより、中間転写ベルトユニット115と転写フレーム102とが図4-Bのように合体される。
【0039】
この際、転写フレーム102内の第1の加圧バネ137(2ヶ所)が中間転写ベルトユニット115の第1の支持部材139(2ヶ所)を下方へと加圧した状態でフックされる。同様に、転写フレーム102内の第2の加圧バネ138(2ヶ所)が中間転写ベルトユニット115の駆動ローラ116付近の第2の支持部140(2ヶ所)を下方へと加圧した状態でフックされる。
【0040】
また、中間転写ベルトユニット115内には、駆動ローラ116、図示しないテンションローラ及び一次転写面を規定するアイドラローラの3本のローラを備えており、中間転写ベルト101が前記3本のローラに張架されている。
【0041】
上記中間転写ベルト101は筐体に対して高精度に位置決めがなされるものの剛体支持されているわけではない。そのため、駆動ローラ116の回転軸線方向の外力等によりずれ易いなど、ダメージに対し弱い構成となっている。そのため、本実施形態の画像形成装置では口述するように、ベルトの交換時など、装置本体外に引き出す際は、中間転写ベルト101に圧接している転写部材である二次転写ローラ117により不具合がないように、加圧解除等を確実に行える構成にしている。
【0042】
また、図5-Aに示すように、着脱可能なユニット側には感光体ドラム駆動用の第1のドラムカップリング145、現像装置駆動用の第1の現像カップリング146が設けられている。さらに、ベルト駆動用の駆動ローラ116には第1の駆動ローラカップリング147が設けられている。
【0043】
一方、装置本体側には、図5-Bに示すように、前記各カップリングとそれぞれ結合可能なカップリングが設けられている。すなわち、本体駆動148に第1のドラムカップリング145と結合する第2のドラムカップリング149、第1の現像カップリング146と結合する第2の現像カップリング150、さらには第1の駆動ローラカップリング147と結合する第2の駆動ローラカップリング151がそれぞれ設けられている。
【0044】
プロセスカートリッジ103や中間転写ベルトユニット115を装着したときに、上記各カップリングが結合して感光体ドラム104、現像部材、駆動ローラ116に駆動力の伝達が行われる。
【0045】
なお、この駆動伝達が正常に行われない場合は色ずれなど、直ちに画像不良となるため、駆動伝達部のメンテナンス性、交換性にも配慮した設計を行う必要がある。
【0046】
{作像ユニット等の着脱}
次に本実施形態の特徴である作像ユニット144(中間転写ベルトユニット115、転写フレーム102、プロセスカートリッジ103、作像筐体129)の装置本体からの取り外し・収納方法について図6及び図7を用いて説明する。本実施形態では、中間転写体を有するユニットとしては、上記作像ユニットとした。この作像ユニット144は前述した支持レール130によって装置本体内を前後方向、すなわち二次転写ローラ117の回転軸線方向にスライド可能に装着され、装置本体から引き出すことによって取り外すことができるようになっている。その取り外しは以下の手順で行う。
【0047】
(1)図6-Aで画像形成装置100の前カバー154を矢印Q1方向に開く。
【0048】
(2)図6で作像筐体129前面の左右両側に設けられたハンドル部材300を、図6-Aに示す状態から図6-Bの状態へと180度回転させる。これにより、図7に示すハンドル支軸301Aと連動した作像ユニット144を装置本体に対する位置を固定するユニットロック手段のロックを解除する。なお、ユニットロック手段は作像ユニットを装置本体に装着した状態でロックするものである。その構成としては、例えばハンドル支軸301Aの端部に係止爪等によるロック部を設け、ハンドル支軸301Aが回転すると前記ロック部が装置本体の被係止部に係止し、作像ユニット144をロックするように構成する。
【0049】
(3)図6-Bに示す二次転写ローラ117を備えた開閉部材としての搬送扉155を矢印Q3方向に開き、二次転写ローラ117による中間転写ベルト101への加圧解除を行う。
【0050】
(4)図6-Bに示すように作像ユニット144を装置本体前方のP2方向に引出す。
【0051】
作像ユニット144を装置本体に収納する場合は、上記手順と逆の手順で操作を行えばよい。
【0052】
{ロック解除・加圧解除機構}
本実施形態の画像形成装置にあっては、搬送扉155を閉じた状態では二次転写ローラ117が中間転写ベルト101に圧接し、その状態を保持するように開閉部材保持手段が設けられている。そして、この開閉部材保持手段は前記ユニットロック手段のロック解除動作に連動して搬送扉155の保持状態が解除されるように構成されている。
【0053】
ここで、上記の手順(2)における装置本体へのユニットロック手段によるロック解除と、上記手順(3)における中間転写ベルト101への二次転写ローラ117の加圧解除構成について説明する。
【0054】
図7-Aは装置本体前面に向かって右側に配設されたハンドル部材300の周囲拡大図である。このハンドル部材300は、ハンドル支軸301Aにより回動自在に作像筐体に取り付けられ、ハンドル支軸301Aには搬送扉フック301Bが取り付けられている。また、ハンドル支軸301Aの図示しない端部には、装着した作像ユニット144を装置本体にロックするロック部が設けられており、ハンドル部材300と共にハンドル支軸301を時計回り方向に回動させることで、ロックが外れるよう構成されている。更に搬送扉155の端部には、装置本体のフレームに開けられた角穴を通して搬送扉フック301Bと係合するよう設けられたラッチ201が設けられている。
【0055】
上記ラッチ201及び搬送扉フック301Bが開閉部材保持手段を構成する。すなわち、搬送扉を閉じると二次転写ローラ117が中間転写ベルト101に圧接する。この状態でラッチ201が搬送扉フック301Bに係止することで搬送扉155は閉じた状態で保持される。また、逆に、ユニットを画像形成装置に取り付ける際に、このハンドル部材300を戻し忘れて、ロックし忘れた場合には、搬送扉155は開閉部材保持手段により保持できないため、ハンドル部材300の戻し忘れ防止にも有効である。
【0056】
以上の構成において、前述した手順(2)と(3)を説明する。まず、図7-Aにおいてハンドル部材300を時計回り方向(図7-Bにおける矢印W方向)に回転させ、作像ユニット144の装置本体に対するユニットロック手段のロックを解除する。
【0057】
ハンドル部材300の回動動作により搬送扉フック301Bもまた同様に時計回り方向に回動するため、搬送扉フック301Bに係合していた搬送扉側のラッチ201が外れる。このとき、二次転写ローラ117の加圧力による反力などで、搬送扉155が図7-Bの矢印Q3方向に回動する。中間転写ベルト101に対向配置されている二次転写ローラ117は搬送扉155上に設けられているため、この搬送扉155が開く動作が中間転写ベルト101と二次転写ローラ117の圧解除動作となる。
【0058】
上記のようにハンドル部材300を回してロック解除・圧解除を行い、そのハンドル部材300をもったまま作像ユニット144を引き出す。このように、ロック解除・圧解除操作を行うハンドル部材300が作像ユニット144をスライドさせるときの把手となるために、作像ユニット144を容易に取り出すことができる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態においては作像ユニット144のロック解除動作と中間転写ベルト101への転写部材の圧解除動作(手順の(2)と(3))が連動して行われる。
【0060】
なお、作像ユニット144を装置本体へ装着する場合、従来例では挿入した作像ユニットをロックする前に中間転写ベルトユニットへの二次転写ローラの圧解除動作を最初に行うなどの誤作動により、中間転写ベルトへダメージを与える可能性があった。しかし、本実施形態においては、作像ユニット144を装置本体に収納してハンドル部材300を回して作像ユニット144をロックしない限り、搬送扉155のフックができない。すなわち、作像ユニット144が装置本体にロックされた状態で搬送扉155を閉じた状態に保持する。このため、前述したような誤操作は起こりえない。
【0061】
このようにして作像ユニット114を画像形成装置100の外に引出し、かつ収納させる動作と同期させることで、作像ユニット144のロック解除動作及び中間転写ベルトユニット115への転写部材の圧解除動作を容易かつ直感的に行える。このため、誤操作などの不具合を起こし難い構成となっている。
【0062】
従って、二次転写ローラ117と当接した状態で中間転写ベルト101を二次転写ローラ117の回転軸線方向にスライドさせるおそれがなくなり、中間転写ベルト101に摺動傷がつく等のダメージを与えることがない。
【0063】
またさらに、図6-Bに示すように、作像ユニット144を引き出して搬送扉155を開いた状態においては、装置本体奥側に配置されたドラムカップリング145と駆動ローラカップリング147へのアクセスが極めて容易である。作像ユニット114を装置本体に収納した状態においてもカップリング周りの駆動伝達部の視認が可能であるため、メンテナンス性、交換性の面でも優れている。
【0064】
ここで図6及び図7の構成は、搬送扉155が装置本体の奥側に回動中心を持ち、中間転写ベルトユニット115内のローラ母線と直交する方向に回動するよう図示している。しかし、搬送扉155の回動中心を中間転写ベルトユニット115内のローラ母線と並行に配置させ、搬送扉155を装置本体に対し上下方向に回動させる構成にしてもよい。
【0065】
また、作像ユニット144に対する二次転写ローラ117の圧接解除は、二次転写ローラ117を有する搬送扉155の開動作をもって行われる。このため、二次転写ローラ117の圧解除のために特に装置内にスペースを設ける必要がない。
【0066】
さらに、駆動伝達部へのアクセスを容易となり、メンテナンス性や交換性も向上する効果が得られる。
【0067】
上記のように本実施形態にあっては、少ない部品点数で、開閉部材に設けられた転写部材がユニットに当接したままでのユニットの着脱をなくすことができる。
【0068】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態に係る画像形成装置について図8を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成は前述した実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
【0069】
まず、図8-Aは装置本体前面に向かって右側に配設されたハンドル部材300周囲の拡大図である。ハンドル部材300はハンドル支軸401Aにより回動自在に作像筐体129に取り付けられている。ハンドル支軸401Aにはレバー401Bが取り付けられている。ハンドル支軸301Aの図示しない端部には第1実施形態と同様に、装置本体に係合するユニットロック手段が設けられており、ハンドル部材300と共にハンドル支軸を時計回り方向に回動させることで、作像ユニットのロックが外れるよう構成されている。更に搬送扉155の端部には、装置本体のフレームに開けられた角穴を通してハンドル周囲にアクセスする位置にラッチ201が設けられている点も同様である。
【0070】
ここで、装置本体にはラッチ201と係合する位置にストッパ402Aが上下にスライド可能に配置され、図示しないバネ等によって上方へ付勢されている。ストッパ402Aは上方にある場合にラッチ201と係合し、すなわち搬送扉115がラッチし、ストッパ402Aが下方にある場合にはラッチ201が解放されて搬送扉115が開動するよう構成されている。また、ストッパ402Aの端部にはレバー401Bと係合するよう、レバーフック402Bが配設されている。以上の構成において、前述した手順(2)と(3)を説明する。
【0071】
まず、図8-Aにおいてハンドル部材300を時計回り方向(図8-Bにおける矢印W方向)に回転させ、作像ユニット144の装置本体に対するロック機構を解除する。
【0072】
次に、ハンドル部材300の回動動作によりレバー401Bもまた同様に時計回り方向に回動するため、レバーフック402Bと係合して、結果、ストッパ402Aを下方に押し下げる。これにより搬送扉115のラッチが外れ、二次転写ローラ117の加圧力による反力などで、搬送扉155が図7-Bの矢印Q3方向に回動する。中間転写ベルト101に対向配置されている二次転写ローラ117は搬送扉155上に設けられているため、この搬送扉155が開く動作が即ち中間転写ベルト101と二次転写ローラ117の圧解除動作となる。
【0073】
このように、第1実施形態が作像ユニットのロック機構及び搬送扉のラッチ機構を共に作像ユニット側に備えることに対し、第2実施形態では搬送扉のラッチ機構は本体側に備えていることである。このように構成することにより、部品点数は増えるものの、ラッチ機構と搬送扉との位置決め精度が上がるため、より確実なラッチが可能となる。
【0074】
〔第3実施形態〕
次に第3実施形態に係る画像形成装置について図9を参照して説明する。なお、本実施形態の装置の基本構成も前述した第1実施形態と同一であるため重複する説明は省略し、ここでは本実施形態の特徴となる構成について説明する。また、前述した実施形態と同一機能を有する部材には同一符号を付す。
【0075】
図9-Aは装置本体前側に向かって右側に配設されたハンドル部材300周囲の拡大図である。ハンドル部材300はハンドル支軸501により回動自在に作像筐体129に取り付けられている。ハンドル支軸501の図示しない端部には第1実施形態と同様に、装置本体に係合するロック部が設けられており、ハンドル部材300と共にハンドル支軸を時計回り方向に回動させることで、ロックが外れるよう構成されている。更に搬送扉155の端部には装置本体のフレームに開けられた角穴を通してハンドル周囲にアクセスする位置にラッチ201が設けられている点も同様である。
【0076】
ここで、装置本体にはラッチ201と係合する位置にストッパ500Bが図9-Aに示す矢印V1、V2方向へと回動自在に配置されている。ストッパ500Bは位置V2にある場合にラッチ201と係合し、すなわち搬送扉115がラッチし、図9-Bに示すように、位置V1にある場合はラッチ201が解放されて搬送扉115が開動するよう構成されている。また、ストッパ500Bの端部にはストッパを操作可能なように、開動レバー500Aが配設されている。以上の構成において、前述した手順(2)と(3)を説明する。
【0077】
まず、図9-Aの状態においては、ハンドル部材300は開動レバー500Aに規制され、時計回り方向に回転させることができない。従って、第1の操作手順して開動レバー500Aを矢印V1方向へと回転させ、ラッチ201を外して搬送扉115を開動させる。次に、回転可能となったハンドル部材300を時計回り方向(図9-Bにおける矢印W方向)に回転させ、作像ユニット144の装置本体に対するロック機構を解除する。
【0078】
以上の動作により、中間転写ベルト101への圧解除動作及び作像ユニット144のロック解除動作を行う。本実施形態と前述した第1、第2実施形態との相違は、操作手順におけるロック解除動作と二次転写ローラの圧解除動作(前述した操作(2)と(3))の順序が逆となっていることが上げられる。
【0079】
以上詳細に説明したように、本実施形態の構成を取ることにより、確実かつ誤操作を起こしにくい加圧・圧解除機構をサイズを取らずに配置することが可能となる。また、同時に駆動伝達部へのアクセスを容易にすることで、メンテナンス性や交換性も向上する効果が得られる。
【0080】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では作像ユニット144として中間転写ベルトユニット115、転写フレーム102、プロセスカートリッジ103、作像筐体129を一体的にスライドする構成を例示した。しかし、このユニットは中間転写体を有するユニットであればよく、例えば中間転写ベルトユニット115のみを着脱するようにしたものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】画像形成装置の斜視図である。
【図2】画像形成装置の断面図である。
【図3A】画像形成装置本体全体を支持している本体筐体の斜視図である。
【図3B】作像部を支持する作像筐体の斜視図である。
【図4A】中間転写ベルトユニットの分解構成説明図である。
【図4B】中間転写ベルトユニットの組み立て構成説明図である。
【図5A】作像ユニットの筐体説明図である。
【図5B】装置本体のカップリング配置説明図である。
【図6A】作像ユニットを取り出すときに前カバーを開いた状態説明図である。
【図6B】作像ユニットを取り出すときに作像ユニットを引き出した状態説明図である。
【図7A】第1実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図7B】第1実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図8A】第2実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図8B】第2実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図9A】第3実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図9B】第3実施形態におけるユニット脱着構成説明図である。
【図10】第1従来例における作像ユニット脱着構成説明図である。
【図11A】第2従来例における画像形成装置の断面図である。
【図11B】第2従来例における作像ユニット脱着構成説明図である。
【符号の説明】
【0082】
P …記録材
100 …画像形成装置
101 …中間転写ベルト
102 …転写フレーム
103 …プロセスカートリッジ
104 …感光体ドラム
108 …レーザー露光装置
109 …一次帯電器
110 …現像手段
111 …トナー収納部
112 …ドラムクリーナ装置
114 …一次転写ローラ
115 …中間転写ベルトユニット
116 …駆動ローラ
117 …二次転写ローラ
118 …定着ローラ
119 …加圧ローラ
120 …原稿読取装置
123 …レジストローラ
125 …排出トレイ
128 …本体筐体
129 …作像筐体
130 …支持レール
132 …ドラム支持部
133,135 …係止部
134 …第1の保持部
137,138 …加圧バネ
139 …第1の支持部材
140 …第2の支持部
142 …ベアリング
143 …ベルト支持部
144 …作像ユニット
145,149 …ドラムカップリング
146,150 …現像カップリング
147,151 …駆動ローラカップリング
148 …本体駆動
150 …現像カップリング
154 …前カバー
155 …搬送扉
160 …第2の保持部
201 …ラッチ
300 …ハンドル部材
301A …ハンドル支軸
301B …搬送扉フック
402A …ストッパ
402B …レバーフック
500A …開動レバー
500B …ストッパ
501 …ハンドル支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材に転写されるトナー像を担持する中間転写体を有する装置本体に対してスライド可能なユニットと、
装置本体に対して開閉可能であって、中間転写体に当接して記録材にトナー画像を形成するための転写部材を有する開閉部材と、
前記ユニットを装置本体に装着した状態でロックするためのユニットロック手段と、
前記開閉部材を装置本体に閉じた状態で保持するための開閉部材保持手段と、
を有し、
前記開閉部材保持手段は、前記ユニットロック手段のロック解除動作に連動して前記開閉部材の保持が解除されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記開閉部材保持手段は、該ユニットロック手段により前記ユニットが装置本体にロックされた状態で前記開閉部材を装置本体に保持することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記転写部材はローラ部材であり、前記ユニットは前記ローラ部材の回転軸線方向にスライド可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ユニットロック手段は前記ユニットをロック及びロック解除するときに操作するハンドル部材を有し、前記ハンドル部材は前記ユニットをスライドさせるときの把手となることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ユニットは、装置本体に着脱可能な複数のプロセスカートリッジからトナー像が転写される中間転写ベルトを有し、
前記開閉部材は前記中間転写ベルトに転写されたトナー像を記録材に転写させるための二次転写ローラを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ユニットは装置本体に装着された前記複数のプロセスカートリッジの上方に配置されることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
開閉部材は前記装置本体に対して回動可能に取り付けられ、回動中心が前記装置本体の奥側にあることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2007−304500(P2007−304500A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135288(P2006−135288)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】