説明

画像形成装置

【課題】ユーザの使い勝手が損なわれることなく、セキュリティを維持することができる画像形成装置の提供。
【解決手段】画像形成装置1は、メモリインターフェース44、画像形成部43、指示受付部46a、記憶部45及び進行状況書き込み部46bを備える。メモリインターフェース44を介して記憶媒体から第1画像データが取得されると、画像形成部43は、第1画像データを用いて第1印刷ジョブを行うが、この途中で記憶媒体がメモリインターフェース44から抜かれると、指示受付部46aはこれを第1印刷ジョブの中断指示と判断し、画像形成部43は第1印刷ジョブを停止し、進行状況書き込み部46bは、第1印刷ジョブの進行状況を記憶部45に書き込む。その後、記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれると、指示受付部46aはこれを第1印刷ジョブの再開指示と判断し、画像形成部43は、進行状況に基づいて第1印刷ジョブを再開する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像形成装置には、様々な機能を有しているものがある。画像形成装置が有する機能には、縮小コピーや拡大コピーを行うズームコピー機能や、原稿を両面コピーする両面コピー機能などが挙げられる。ユーザは、このような機能の中から所望の機能を選択し、原稿をコピーすることができる。
【0003】
また、このような画像形成装置には、特許文献1に示すように、USBメモリに直接接続可能なものがある。具体的に、特許文献1には、例えば個人情報を含む機密データ等が格納されたUSBメモリが画像形成装置に接続されると、画像形成装置は、先ずはUSBメモリを認証後、USBメモリ内の機密データを読み出してこれを印刷する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004―109765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、画像形成装置が機密データを印刷している途中でユーザが画像形成装置から離れる場合、ユーザは、その機密データが第三者に知られないようにするため、現在印刷中のジョブを一旦キャンセルするか、その印刷が終了するまで待たなければならない。特に、ジョブを一旦キャンセルした際、ジョブを再開させるためには、ユーザは画像形成装置に対し再度印刷のための設定を行う必要がある。従って、ユーザの使い勝手が損なわれてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、機密データ等の第三者に知られたくない画像データを印刷する場合であっても、ユーザの使い勝手が損なわれることなく、かつセキュリティを維持することができる画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明1に係る画像形成装置は、第1画像データ取得部と、画像形成部と、指示受付部と、記憶部と、進行状況書き込み部とを備える。第1画像データ取得部は、画像データが記憶された記憶媒体から画像データを取得する。画像形成部は、画像データを用いて画像形成動作を行う。指示受付部は、画像形成動作の中断指示を受け付ける。記憶部は、画像形成動作の進行状況を記憶する。進行状況書き込み部は、画像形成部が画像形成動作を完了するまでの間に、指示受付部が画像形成動作の中断指示を受け付けた場合、画像形成動作の進行状況を記憶媒体または記憶部に書き込む。そして、画像形成部は、指示受付部が画像形成動作の中断指示を受け付けた場合、画像形成動作を中断し、指示受付部が画像形成動作の再開指示を受け付けた場合、記憶媒体または記憶部が記憶している画像形成動作の進行状況に基づいて画像形成動作を再開する。
【0007】
この画像形成装置は、画像データを用いて画像形成動作を行っている間に、この画像形成動作の中断指示を受け付けた場合には、行っている画像形成動作を中断して画像形成動作の進行状況を例えば記憶媒体に一旦記憶させる。そして、画像形成装置は、画像データを用いた画像形成動作の再開を指示された場合には、記憶媒体から進行状況を読み出し、画像形成動作を続きから行う。これにより、画像形成装置が、例えばユーザが重要と判断している画像データを用いて画像形成動作を行っている時に、ユーザがこの画像形成装置から一時的に離れた場合であっても、ユーザは、画像データを用いた画像形成動作の再開時、画像形成動作についての設定等を一から行わずに済む。そのため、ユーザビリティが向上する。また、ユーザが一時的に画像形成装置から離れている間、画像データを用いた画像形成動作は停止した状態にあるため、例えばユーザにとって重要度の高い画像データが第三者に漏洩することを防ぐことができる。
【0008】
発明2に係る画像形成装置は、発明1に係る画像形成装置であって、第1画像データ取得部は、記憶媒体と接続可能なメモリインターフェースである。指示受付部は、記憶媒体とメモリインターフェースとの接続が切断されたことにより画像形成動作の中断指示を受け付け、記憶媒体とメモリインターフェースとが再度接続されたことにより画像形成動作の再開を受け付ける。そして、進行状況書き込み部は、記憶媒体とメモリインターフェースとの接続が切断された場合、画像形成動作の進行状況を記憶部に書き込む。
【0009】
記憶媒体としては、例えばUSBメモリ等が挙げられる。この画像形成装置は、USBメモリがメモリインターフェースに差し込まれている時には、USBメモリ内に記憶されている画像データを用いて画像形成動作を行い、USBメモリがメモリインターフェースから抜かれた場合には、行っている画像形成動作を中断し、その進行状況を一時的に記憶する。そして、USBメモリが再度メモリインターフェースに差し込まれた時には、記憶していた進行状況を記憶部から読み出して画像データを用いて行っていた画像形成動作を続きから行う。これにより、画像データを用いた画像形成動作がなされている途中でユーザがUSBメモリの抜き差しを行っても、ユーザは、画像データを用いた画像形成動作の再開時に設定等を一から行わずに済む。また、例えば画像データが重要度の高いデータである場合、画像データが第三者に漏洩することが抑えられる。
【0010】
発明3に係る画像形成装置は、発明1に係る画像形成装置であって、記憶媒体は、RFID(Radio Frequency-IDentification)タグである。第1画像データ取得部は、RFIDタグから画像データを受信する受信部である。そして、指示受付部は、外部入力により画像形成動作の中断指示を受け付け、画像形成動作の中断指示を受け付けた後、受信部がRFIDタグから画像データを受信したことにより画像形成動作の再開を受け付ける。
【0011】
発明4に係る画像形成装置は、発明1〜3のいずれかに係る画像形成装置であって、第1画像データ取得部とは別の第2画像データ取得部を更に備える。そして、画像形成部は、画像データを用いた画像形成動作を中断している場合、第2画像データ取得部が取得した画像データを用いて画像形成動作を行う。
【0012】
ここで、第2画像データ取得部としては、例えばPC等の外部端末と通信を行うことができる通信部等が挙げられる。この画像形成装置は、第1画像データ取得部が取得した画像データを用いた画像形成動作を中断している間には、第2画像データ取得部が取得した画像データを用いた画像形成動作を行う。これにより、画像形成装置の空き時間は有効に用いられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置によると、機密データ等の第三者に知られたくない画像データを印刷する場合であっても、ユーザの使い勝手が損なわれることなく、かつセキュリティが維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(1)画像形成装置の構成
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の外観図である。この画像形成装置1は、FAXやプリンタ、スキャナ、コピーを行うことができる複合機の機種であって、複数の機能を有している。複数の機能としては、複数の原稿を集約してコピーする集約機能や、用紙に印刷される画像の濃度を調整する濃度調整機能等が挙げられる。
【0015】
図1の画像形成装置1は、原稿カバー3、本体部4、操作パネル5、給紙カセット6及び排紙トレイ7を含む。
【0016】
原稿カバー3と対向する本体部4の部分には、原稿載置台2が設けられている。原稿カバー3は、原稿載置台2上に載置された原稿を押さえるためのものであって、原稿載置台2に対して開閉自在に本体部4に装着されている。
【0017】
本体部4は、図2に示すように、通信部41、原稿読み取り部42、画像形成部43、メモリインターフェース44(第1画像データ取得部に相当)、記憶部45及び制御部46を含む。
【0018】
通信部41は、通信ネットワークを介して接続されたPC等の外部装置と通信を行うものであって、外部装置から画像データ等を取得することができる。
【0019】
原稿読み取り部42は、原稿載置台2に載置された原稿を読み取って画像データを取得するためのものであって、図示しない光学系を有している。
【0020】
画像形成部43は、通信部41やメモリインターフェース44、原稿読み取り部42から取得された画像データに基づいてトナー像を形成する。特に、画像形成部43は、画像形成装置1が有している複数の機能のうち、ユーザにより操作パネル5を介して所定機能が設定された場合には、その所定機能を用いて画像形成動作を行う。ここで、以下では、説明の便宜上、画像形成動作を印刷ジョブという。尚、トナー像は、転写装置(図示せず)により用紙に転写された後、定着装置(図示せず)により定着される。
【0021】
メモリインターフェース44は、画像形成装置1外部の記憶媒体との接続口であって、図1に示すように、本体部4の表面に露出して設けられている。ここで、記憶媒体としては、USBメモリやメモリカード等が挙げられる。USBメモリは、メモリインターフェース44に直接差し込まれることが可能であって、メモリカードは、カードリーダに差し込まれ、そのカードリーダがメモリインターフェース44に接続されることで、画像形成装置1と接続することができる。このように、記憶媒体がメモリインターフェース44に接続されることにより、画像形成装置1は、記憶媒体内の画像データをメモリインターフェース44を介して取得することができる。尚、以下では、説明を簡単にするため、記憶媒体が記憶している画像データを第1画像データといい、第1画像データを用いて行われる印刷ジョブを、第1印刷ジョブという。
【0022】
記憶部45は、制御部46により読み出されて実行される各種プログラムを記憶している。また、本実施形態に係る記憶部45は、図3〜5に示すような進行状況テーブル45aを記憶することができる。
【0023】
ここで、進行状況テーブル45aについて簡単に説明する。進行状況テーブル45aとは、各印刷ジョブがどのような内容のもので現在どのような状況であるのかを示すステータスであって、進行状況テーブル45aには、図3〜5に示すように、印刷ジョブの処理順、画像データ番号、認証キー番号、全印字枚数、印字終了枚数及び各印刷ジョブの進行状況が対応づけられている。尚、画像データ番号は、各印刷ジョブで用いられる画像データの識別番号であって、認証キー番号は、各印刷ジョブで用いられる画像データがUSBメモリ等の記憶媒体に記憶されている場合、その記憶媒体を使用するユーザを認証するための番号である。また、全印字枚数は、各印刷ジョブにおいて印刷される枚数を示し、印刷終了枚数は、全印字枚数のうち既に印刷が完了した枚数を示す。
【0024】
制御部46は、CPUやメモリを含むマイクロコンピュータで構成されており、図2に示すように、通信部41、原稿読み取り部42、画像形成部43、メモリインターフェース44、記憶部45及び操作パネル5と接続されている。制御部46は、画像形成処理や接続されている各入出部の動作の制御等を行う。尚、制御部46については、「(2)制御部の構成」で詳述する。
【0025】
操作パネル5は、図1に示すように、本体部4において原稿載置台2の手前側部分に設けられ、操作キー5a及び表示パネル5bを有している。操作キー5aは、印刷ジョブの開始を指示するためのスタートキーや、コピー、プリンタ、スキャナ及びFAXの機能を設定するための設定キー及びテンキー等を有している。表示パネル5bは、例えば液晶ディスプレイで構成されるタッチパネルであって、各種の設定画面等を表示する。このような操作パネル5を通じて、ユーザは所望の設定等を行うことができる。
【0026】
給紙カセット6は、用紙を収納可能であって、図1に示すように本体部4の下方に3段設けられている。
【0027】
排紙トレイ7は、本体部4の側面に側方に突出するように設けられており、本体部4内部の画像形成部43により画像が形成された用紙が積載される。
【0028】
(2)制御部の構成
本実施形態に係る制御部46は、各種イベントに応じて図3〜5に示す進行状況テーブル45aの更新を行うと共に、印刷ジョブの制御を行う。例えば、記憶媒体がUSBメモリであって、USBメモリがメモリインターフェース44に差し込まれUSBメモリ内の第1画像データを用いた第1印刷ジョブが行われている際に、USBメモリがメモリインターフェース44から抜かれた場合には、制御部46は、行っていた第1印刷ジョブを停止させると共に、進行状況テーブル45aを更新する。このような動作を行うため、制御部46は、図2に示すように、指示受付部46a、進行状況書き込み部46b、認証部46c及び画像形成制御部46dとして機能する。
【0029】
指示受付部46aは、メモリインターフェース44、通信部41及び操作パネル5を介して、印刷ジョブの開始指示や中断指示、再開指示を受け付ける。
【0030】
例えば、指示受付部46aは、USBメモリがメモリインターフェース44に差し込まれた場合には、USBメモリとメモリインターフェース44とが接続されたことにより第1印刷ジョブの開始指示を受け付ける。そして、指示受付部46aは、第1印刷ジョブが画像形成部43により行われている際に、USBメモリがメモリインターフェース44から抜かれた場合には、USBメモリとメモリインターフェース44との接続が切断するため、これにより現在行っている第1印刷ジョブの中断指示を受け付ける。更に、指示受付部46aは、第1印刷ジョブが中断された状態の時に、一度抜かれたUSBメモリが再度メモリインターフェース44に差し込まれた場合には、USBメモリとメモリインターフェース44とが再度接続されるため、これにより中断している第1印刷ジョブの再開指示を受け付ける。
【0031】
進行状況書き込み部46bは、図3〜5の進行状況テーブル45aを更新する。例えば、進行状況書き込み部46bは、指示受付部46aが第1印刷ジョブの開始指示を受け付けた場合、受け付けた第1印刷ジョブについての情報を進行状況テーブル45aに書き込む。また、進行状況書き込み部46bは、画像形成部43が第1印刷ジョブを開始した時には、進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を「未開始」から「印刷中」に書き換え、画像形成部43が第1印刷ジョブを行っている間に指示受付部46aが第1印刷ジョブの中断指示を受け付けた場合には、進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を、「印刷中」から「停止」に書き換える。そして、進行状況書き込み部46bは、進行状況テーブル45a中の進行状況が「停止」である第1印刷ジョブの再開指示を指示受付部46aが受け付けた場合、進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を、「停止」から再度「印刷」に書き換える。
【0032】
認証部46cは、メモリインターフェース44に接続された記憶媒体の認証を行う。言い換えると、認証部46cは、記憶媒体自体の認証を行うことで、ユーザを特定する。
【0033】
画像形成制御部46dは、画像形成部43の制御を行う。具体的には、画像形成制御部46dは、進行状況テーブル45aにおける印刷ジョブの処理順が一番早い番号である印刷ジョブが行われるように、画像形成部43を制御する。特に、画像形成制御部46dは、第1印刷ジョブが現在行われている状態時に、指示受付部46aが第1印刷ジョブの中断指示を受け付けた場合には、画像形成部43が第1印刷ジョブを中断するように、画像形成部43を制御する。また、画像形成制御部46dは、指示受付部46aが第1印刷ジョブの再開指示を受け付けた場合、記憶部45内の進行状況テーブル45aに基づいて、中断している第1印刷ジョブが再開されるように、画像形成部43を制御する。
【0034】
尚、画像形成制御部46dは、第1印刷ジョブが中断状態にある時には、進行状況テーブル45a内の印刷ジョブのうち、第1印刷ジョブを除く他の印刷ジョブが行われるように、画像形成部43を制御する。例えば、画像形成制御部46dは、進行状況テーブル45aのうち、第1印刷ジョブを除いて次に処理順の早い印刷ジョブから順に行われるように画像形成部43を制御したり、認証不要な画像データを用いた印刷ジョブが優先して行われるように画像形成部43を制御したりする。
【0035】
(3)画像形成装置の動作
次に、画像形成装置1の動作について図6を用いて説明する。尚、ここでは、画像形成装置1は、電源が既に投入された状態であるとする。また、画像形成装置1は、既に第1画像データとは異なるいくつかの画像データを通信部41または原稿読み取り部42を介して取得しており、進行状況テーブル45aにはこれらの画像データを用いて行われる印刷ジョブについての情報が含まれているとする。
【0036】
ステップS1〜2:記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれ、記憶媒体とメモリインターフェース44とが接続されると(S1のYES)、画像形成制御部46dは、USBメモリ内の第1画像データ(図3中の画像データ番号「1」)を読み出し、第1印刷ジョブが開始されるように画像形成部43を制御する。進行状況書き込み部46bは、記憶部45の進行状況テーブル45a内に、第1印刷ジョブについての情報を書き込む(S2、図3)。これにより、第1印刷ジョブは、画像形成部43により開始される。
【0037】
ステップS3〜5:ユーザによりメモリインターフェース44から記憶媒体が抜かれ、記憶媒体とメモリインターフェース44との接続が切断されると(S3のYES)、画像形成制御部46dは、現在行っている第1印刷ジョブを中断させるように画像形成部43を制御し、進行状況書き込み部46bは、記憶部45の進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を、「中断」に書き換える(S4)。そして、第1印刷ジョブの停止後、画像形成制御部46dは、記憶部45内の進行状況テーブル45aのうち、第1印刷ジョブ以外の他の印刷ジョブが行われるように画像形成部43を制御し、進行状況書き込み部46bは、進行状況テーブル45aにおいて、画像形成部43により行われる他の印刷ジョブの進行状況を「印刷中」に書き換える(S5、図4)。尚、図4では、認証する必要のない画像データを用いた印刷ジョブ(図4中の画像データ番号「4」)が優先的に行われた場合を示している。
【0038】
ステップS6〜7:ステップS3で抜かれた記憶媒体が、再度メモリインターフェース44に差し込まれた場合(S6のYES)、画像形成制御部46dは、現在行っている印刷ジョブの終了後、進行状況テーブル45a内における第1印刷ジョブの各種情報に基づいて第1印刷ジョブが続きから行われるように、画像形成部43を制御する。そして、進行状況書き込み部46bは、進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を、再度「印刷中」に書き換える(S7、図5中の画像データ番号「1」)。これにより、第1印刷ジョブは、ステップS3において記憶媒体が抜かれる前の状態から続いて行われる。
【0039】
ステップS8:ステップS7において第1印刷ジョブが終了した後、またはステップS3において、記憶媒体が切断されることなく第1印刷ジョブが終了した場合には(S3のNO)、画像形成制御部46dは、進行状況テーブル45a内の印刷ジョブのうち、まだ開始されていない第1印刷ジョブ以外の印刷ジョブが行われるように、画像形成部43を制御する。そして、進行状況書き込み部46bは、進行状況テーブル45aのうち、開始された印刷ジョブの進行状況等を書き換える。これにより、第1印刷ジョブの終了後、第1印刷ジョブとは別の他の印刷ジョブが画像形成部43により行われる。
【0040】
ステップS9:ステップS1において、記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれない場合には(S1のNO)、画像形成装置1は、進行状況テーブル45a中の印刷ジョブを実行する。
【0041】
(4)効果
本実施形態に係る画像形成装置1は、記憶媒体内の第1画像データを用いて第1印刷ジョブを行っている間に、第1印刷ジョブの中断指示を受け付けた場合には、行っている第1印刷ジョブを中断して記憶部45内の進行状況テーブル45aに第1印刷ジョブの進行状況を一旦記憶させる。そして、画像形成装置1は、第1印刷ジョブの再開を指示された場合には、記憶部45の進行状況テーブル45a内から第1印刷ジョブについての進行状況を読み出し、第1印刷ジョブを続きから行う。これにより、画像形成装置1が、例えばユーザが重要と判断している第1画像データを用いた第1印刷ジョブを行っている時に、ユーザがこの画像形成装置1から一時的に離れた場合であっても、ユーザは、第1印刷ジョブの再開時、第1印刷ジョブについての設定等を一から行わずに済む。そのため、ユーザビリティが向上する。また、ユーザが一時的に画像形成装置1から離れている間、第1印刷ジョブは停止した状態にあるため、例えばユーザにとって重要度の高い第1画像データが第三者に漏洩することを防ぐことができる。
【0042】
特に、この画像形成装置1は、メモリカードが挿入されたカードリーダやUSBメモリ等の記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれている時には、記憶媒体内に記憶されている第1画像データを用いて第1印刷ジョブを行い、記憶媒体がメモリインターフェース44から抜かれた場合には、行っている第1印刷ジョブを中断し、その進行状況を一時的に記憶部45の進行状況テーブル45a内に記憶する。そして、記憶媒体が再度メモリインターフェース44に差し込まれた時には、進行状況テーブル45a内から第1印刷ジョブの進行状況を読み出し、第1印刷ジョブを続きから行う。これにより、第1印刷ジョブがなされている途中でユーザが記憶媒体の抜き差しを行っても、ユーザは、第1印刷ジョブの再開時に第1印刷ジョブについての設定等を一から行わずに済む。また、例えば第1画像データが重要度の高いデータである場合、第1画像データが第三者に漏洩することが抑えられる。
【0043】
また、画像形成装置1は、第1印刷ジョブを中断している間には、第1印刷ジョブとは別の印刷ジョブを行う。これにより、画像形成装置1の空き時間は有効に用いられる。
【0044】
<その他の実施形態>
(a)上記実施形態では、記憶部45が進行状況テーブル45aを記憶している場合について記載したが、進行状況テーブルは、記憶部45ではなく記憶媒体が記憶していてもよい。この場合の進行状況テーブル45a’は、図7に示すように、記憶媒体が記憶している画像データに関する印刷ジョブのみを示すものとなり、進行状況書き込み部46bは、記憶媒体内の進行状況テーブル45a’を、印刷ジョブの開始指示の受付等の何らかのイベントが生じる毎に更新する。これにより、記憶媒体がメモリインターフェース44から突然抜かれても、記憶媒体内の進行状況テーブル45a’は常に最新の状態を保つことができ、このような記憶媒体が再度画像形成装置1に接続された場合、画像形成装置1は、記憶媒体が記憶している進行状況テーブル45a’の進行状況を読み出し、その進行状況の続きから印刷ジョブを行うとする。
【0045】
尚、図7の進行状況テーブル45a’には、全印刷枚数及び印刷終了枚数が含まれているが、これらはなくてもよい。即ち、進行状況テーブル45a’には、少なくとも印刷中であった印刷ジョブが印刷途中の状態であることがわかるような情報が含まれていればよい。
【0046】
(b)上記実施形態では、第1画像データがメモリカードやUSBメモリ等の記憶媒体に記憶されており、このような記憶媒体がメモリインターフェース44に接続された場合について説明した。しかし、第1画像データは、RFIDタグに記憶されている場合であっても、本発明の画像形成装置を適用することができる。
【0047】
図8は、第1画像データがRFIDタグに記憶されている時に、RFIDタグから第1画像データを取得することができる画像形成装置101の構成を模式的に示すブロック図である。図8によると、画像形成装置101は、操作キー105aや表示パネル105bを含む操作パネル105と、本体部104とを備える。本体部104は、通信部141、原稿読み取り部142、画像形成部143、RFIDデータ受信部144(第1画像データ取得部に相当)、記憶部145及び制御部146を含む。制御部146は、指示受付部146a、進行状況書き込み部146b、認証部146c及び画像形成制御部146dとして機能する。尚、図8の操作パネル105、通信部141、原稿読み取り部142、画像形成部143、記憶部145及び制御部146内の各機能部については、上記実施形態に係る図2の操作パネル5、通信部41、原稿読み取り部42、画像形成部43、記憶部45及び制御部46内の各機能部と同様であるため、説明を省略する。
【0048】
RFIDデータ受信部144は、RFIDタグから第1画像データを受信する。そして、制御部146内の指示受付部146aは、RFIDデータ受信部144がRFIDタグから第1画像データを受信したことにより、第1画像データを用いた第1印刷ジョブの開始指示を受け付け、操作パネル105からの外部入力により第1画像データを用いた第1印刷ジョブの中断指示を受け付ける。そして、第1印刷ジョブが中断している状態の時に、RFIDデータ受信部144がRFIDタグから第1画像データを再度受信したことにより、第1印刷ジョブの再開を受け付ける。
【0049】
このような構成を有する画像形成装置101の動作の流れを、図9に示す。以下より、図9に基づいて、画像形成装置101の主な流れについて説明する。
【0050】
RFIDデータ受信部144がRFIDタグから第1画像データを受信すると(S101のYES)、画像形成部143は第1印刷ジョブを開始し、進行状況書き込み部146bは、進行状況テーブルを更新する(S102)。第1印刷ジョブが行われている間に、操作パネル105上から中断指示がユーザによりなされた場合(S103のYES)、画像形成部143は、第1印刷ジョブを中断し、進行状況書き込み部146bは、進行状況テーブル中の第1印刷ジョブの進行状況を「中断」に書き換える(S104)。その後、画像形成部143は、第1印刷ジョブ以外の印刷ジョブを実行する(S105)。そして、RFIDデータ受信部144がRFIDタグから再度第1画像データを受信すると(S106のYES)、画像形成部143は進行状況テーブル中の第1印刷ジョブの進行状況に基づいて第1印刷ジョブを再開し、進行状況書き込み部146bは、進行状況テーブルにおける第1印刷ジョブの進行状況を「印刷中」に書き換える(S107)。
【0051】
尚、図9のステップS108及びS109については、上記実施形態に係る図6と同様であるため、説明を省略する。
【0052】
また、この画像形成装置101は、上記実施形態と同様、進行状況テーブルを画像形成装置101が有する場合について記載したが、これに限定されない。その他の実施形態(a)に示すように、進行状況テーブルは、RFIDタグが有していてもよい。
【0053】
(c)上記実施形態では、図6に示すように、記憶媒体がメモリインターフェース44から抜かれた場合には、進行状況テーブル45aにおける第1印刷ジョブの進行状況を停止にし、記憶媒体が再度メモリインターフェース44に差し込まれた場合には、第1印刷ジョブを再開する場合について説明した。しかし、記憶媒体がメモリインターフェース44から抜かれてから所定時間が経過してもなお、記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれない場合には、画像形成装置1は、第1印刷ジョブがキャンセルされたとみなし、第1印刷ジョブを進行状況テーブル45aから消去してもよい。尚、進行状況テーブル45aから第1印刷ジョブを消去した後に、再度記憶媒体がメモリインターフェース44に差し込まれた場合には、第1印刷ジョブははじめから行われる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る画像形成装置は、複写機、プリンタ及びファクシミリ装置の各機種や、これらの機能に更にスキャナ機能を併せ持つ複合機において適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の外観図。
【図2】本実施形態に係る画像形成装置の構成を模式的に示すブロック図。
【図3】本実施形態に係る進行状況テーブル例。
【図4】本実施形態に係る進行状況テーブル例。
【図5】本実施形態に係る進行状況テーブル例。
【図6】本実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するためのフロー図。
【図7】その他の実施形態(a)に係る進行状況テーブルの例。
【図8】その他の実施形態(b)に係る画像形成装置の構成を模式的に示すブロック図。
【図9】その他の実施形態(b)に係る画像形成装置の動作を説明するためのフロー図。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
5 操作パネル
41 通信部
43 画像形成部
44 メモリインターフェース
45 記憶部
46 制御部
46a 指示受付部
46b 進行状況書き込み部
46c 認証部
46d 画像形成制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データが記憶された記憶媒体から前記画像データを取得する第1画像データ取得部と、
前記画像データを用いて画像形成動作を行う画像形成部と、
前記画像形成動作の中断指示を受け付け可能な指示受付部と、
前記画像形成動作の進行状況を記憶可能な記憶部と、
前記画像形成部が前記画像形成動作を完了するまでの間に、前記指示受付部が前記画像形成動作の中断指示を受け付けた場合、前記画像形成動作の進行状況を前記記憶媒体または前記記憶部に書き込む進行状況書き込み部と、
を備え、
前記画像形成部は、
前記指示受付部が前記画像形成動作の中断指示を受け付けた場合、前記画像形成動作を中断し、
前記指示受付部が前記画像形成動作の再開指示を受け付けた場合、前記記憶媒体または前記記憶部が記憶している前記画像形成動作の進行状況に基づいて前記画像形成動作を再開する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記第1画像データ取得部は、前記記憶媒体と接続可能なメモリインターフェースであって、
前記指示受付部は、
前記記憶媒体と前記メモリインターフェースとの接続が切断されたことにより前記画像形成動作の中断指示を受け付け、
前記記憶媒体と前記メモリインターフェースとが再度接続されたことにより前記画像形成動作の再開を受け付け、
前記進行状況書き込み部は、前記記憶媒体と前記メモリインターフェースとの接続が切断された場合、前記画像形成動作の進行状況を前記記憶部に書き込む、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶媒体は、RFID(Radio Frequency-IDentification)タグであって、
前記第1画像データ取得部は、前記RFIDタグから前記画像データを受信する受信部であって、
前記指示受付部は、
外部入力により前記画像形成動作の中断指示を受け付け、
前記画像形成動作の中断指示を受け付けた後、前記受信部が前記RFIDタグから前記画像データを受信したことにより前記画像形成動作の再開を受け付ける、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1画像データ取得部とは別の第2画像データ取得部を更に備え、
前記画像形成部は、前記画像データを用いた前記画像形成動作を中断している場合、前記第2画像データ取得部が取得した前記画像データを用いて前記画像形成動作を行う、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−221470(P2008−221470A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58538(P2007−58538)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】