説明

画像形成装置

【課題】高温多湿環境においても省エネ性を犠牲にすることなく、高品質な画像を形成できるようにする。
【解決手段】スキャナ部、プリント部及び画像処理機能の少なくとも1つを駆動制御するエンジン制御部200と、作像部周辺を冷却除湿する空調装置413とを備えた画像形成装置において、省エネルギモードの場合には、前記冷却除湿空調装置413には電力供給を行い、前記エンジン制御部200へは電力供給を遮断し、冷却除湿動作を可能とする必要最低限の部分のみ通電状態として、省エネルギモード時での消費電力を極力抑えながら冷却除湿制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ及びこれらの機能を複合して備えたデジタル複合機などの画像形成装置に係り、特に、省エネルギ対応の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の画像形成部には温湿度の影響を受けやすい部材が多く使用されている。トナーの流動性や現像剤の電荷量などはその中でも最たるもので、他にも感光体の帯電特性や、その帯電部に使用されているゴムローラの硬度などの特性も影響を受ける。また、高湿条件では、帯電部で発生したオゾンが感光体ドラムの表面近傍に滞留すると、感光体ドラム表面を酸化することから感光体ドラム表面の帯電特性が悪化し、画像ボケなどの異常画像が発生しやすくなる。
【0003】
このような高温、高湿状態による悪影響を可能な限り排除するため、例えば特許文献1記載には、湿度検出手段により検出された機内湿度と所定の最適湿度とを比較し、該湿度差がある場合に前記湿度調節手段により装置内の湿度を調節するようにした発明が記載されている。また、特許文献2記載には、ペルチェ素子を用いた熱交換ユニットと熱交換ユニットを冷却・放熱するためのファンを備えた空調装置により温度調整を行うようにした発明が記載されている。また、この発明では、作像部近傍には温湿度センサが配置され、そのセンサで測定した湿度が所定の値以上になった場合に空調装置を作動させるようにもなっている。
【0004】
特許文献2記載の発明では、前記空調装置が作動することにより、外気が空調装置の低温部を通過し、この低温部を通過した外気は、低温部で冷却され、冷却除湿風となる。そこで、この冷却除湿風を作像部へ送風することによって作像部近傍の温湿度を抑制するようにしている。そして、この作像部近傍の温湿度を抑制することにより、前述の高温湿度に起因する影響を排除するようにしている。
【0005】
ところで、この種の画像形成装置では省エネルギの要請が強く、省エネルギモードという動作モードが設けられているのが一般的である。この省エネルギモードは、ユーザが画像形成装置の操作部上の電源キーを押下した場合、あるいは予め設定された省エネルギモード移行時間が画像形成装置に対して何の動作指示も行われない状態で経過した場合に、省エネルギモードに自動的に移行する。この省エネルギモードへの移行は、制御回路のコントローラからエンジン制御部に省エネルギモード移行要求が送信されることにより行われる。
【0006】
省エネルギモード移行要求を受けたエンジン制御部は接続されているアクチュエータOFF、定着部のヒータ及びリレーOFFなどの処理を行い、電源遮断しても良い状態に移行する。そして、コントローラへ省エネルギモード移行完了を通知する。コントローラはエンジン制御部からの省エネルギモード移行完了通知を受けて、電源供給ユニットにエンジン制御部への電源遮断を指示する。省エネルギモードへの移行は、このようなシーケンスに従って行われる。
【0007】
なお、関連する公知技術として特許文献3及び4記載の発明も公知である。
【特許文献1】特許第3352573号公報
【特許文献2】特開2005−268584号公報
【特許文献3】特開2005−26860号公報
【特許文献4】特開2002−86844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述のシーケンスに従って省エネルギモードに入ると、空調装置及び温湿度センサは非通電状態になってしまうため、冷却除湿制御が不可能になってしまう。そのため、高温多湿環境に設置された画像形成装置において常に良好な画質を得たい場合は、当該画像形成装置が省エネモードに入らないような設定に変更し、除湿効果が低下しないようにしている。そのため、省エネルギ性が犠牲になっていた。
【0009】
そこで、本発明が解決すべき課題は、高温多湿環境においても省エネルギ性を犠牲にすることなく、高品質な画像を形成できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、第1の手段は、スキャナ部、プリント部及び画像処理機能の少なくとも1つを駆動制御するエンジン制御手段と、作像部周辺を冷却除湿する冷却除湿手段とを備えた画像形成装置において、省エネルギモードの場合には、前記冷却除湿手段には電力供給を行い、前記エンジン制御手段へは電力供給を遮断する電力供給制御手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
第2の手段は、第1の手段において、前記省エネルギモード時はエンジン制御手段のCPUで用いられているクロック信号を低速にするクロック制御手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
第3の手段は、第1の手段が、前記冷却除湿手段及びこの冷却除湿手段を駆動制御する駆動回路を搭載した第1の基板と、前記エンジン制御手段を搭載した第2の基板とを備え、両者が別体に設けられていることを特徴とする。
【0013】
第4の手段は、第1ないし第3のいずれかの手段において、前記冷却除湿手段の動作可否設定を変更する設定変更手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
第5の手段は、第4の手段において、省エネルギモード中の前記冷却除湿手段の動作可否設定を判別する判別手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
第6の手段は、第5の手段において、前記判別手段が省エネルギモード中に動作不可の設定と判別した場合は省エネルギモードでは前記冷却除湿手段及び前記エンジン制御手段への電力供給をともに遮断することを特徴とする。
【0016】
第7の手段は、第3の手段において、前記冷却除湿手段によって冷却除湿される部分もしくはその近傍の温湿度を検出するセンサを備え、前記センサが前記第1の基板上に搭載された駆動回路に接続されていることを特徴とする。
【0017】
第8の手段は、第7の手段において、前記冷却除湿される部分が、結露防止ヒータ、給紙部の除湿ヒータ及び二次転写部の除湿ヒータのいずれかを含むことを特徴とする。
【0018】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、省エネルギモード時においては、前記冷却除湿手段に備えられたファンの回転速度を通常モード時より低速にすることを特徴とする。
【0019】
第10の手段は、第1ないし第9のいずれかの手段において、省エネルギモード時においては、前記冷却除湿手段に備えられた熱交換ユニットに流す電流を通常モード時より低いレベルとすることを特徴とする。
【0020】
なお、後述の実施形態では、スキャナ部は原稿読み取り部、プリンタ部は画像形成部20、画像処理機能は画像処理部210に、エンジン制御手段はエンジン制御部200に、冷却除湿手段はファン412,502、空調装置413,503、または空調制御部500に、電力供給制御手段は電源供給ユニット330及びコントローラ112に、CPUは221,511に、駆動回路はCPU221,512、ROM222,512、RAM223,513に、第1の基板は空調制御基板510に、第2の基板はエンジン制御基板に、設定変更手段は操作部及びコントローラ110のCPU112に、判別手段はコントローラ110のCPU112に、それぞれ対応する。また、ファン412はCPU221により、また、ファン502はCPU511により回転制御され、熱交換ユニットに流す電流もCPU221あるいは511により制御される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、冷却除湿手段に対しては電力供給を行い、エンジン制御手段へは電力供給を遮断するので、高温多湿環境においても省エネ性を犠牲にすることなく、高品質な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明の実施例1に係る画像形成装置としてのデジタルカラー複写機の全体構成の概略を示す図である。同図において、デジタルカラー複写機1は給紙部2、原稿搬送部3、原稿読み取り部23、画像形成部20から基本的に構成されている。画像形成部20はいわゆるタンデム式の作像部を有し、図1において中間転写ベルト25の上側に4個の感光体ドラム26Y、26M、26C、26Kが接した状態で並設されている。各感光体ドラム26(以下、前色に共通し、概括的に述べる場合には、Y,M,C,Kの色を表す添え字は省略する)の周りには、各感光体ドラム26表面を帯電処理する帯電装置62と、各感光体ドラム26表面に形成された静電潜像を各色のトナーで可視像化する現像装置63と、各感光体ドラム26上のトナー像(可視像)を中間転写ベルト25上に転写した後に感光体ドラム上に残ったトナーを回収するクリーニング装置64がそれぞれ設けられている。この画像形成部20の上部には、感光体ドラム26表面上に静電潜像を形成する露光部を備えた露光装置7が設けられている。
【0024】
給紙部2から搬送された転写紙は、レジストローラ33のニップ位置で一旦停止し、感光体ドラム26上の画像と同期をとって再給紙され、二次転写ローラ51によって中間転写ベルト25上のトナー像が転写紙に転写される。トナー像が転写された転写紙は定着装置28で定着処理され、最後に排紙収納部24に排出される。また、中間転写ベルト25上に残留したトナーは中間転写ベルトクリーナ52によってクリーニングされる。
【0025】
定着装置28で定着処理された転写紙が排紙収納部24に排紙される際には、分岐爪43によって排紙収納部24側への搬送路が選択され、転写紙は排紙ローラ41によって排紙収納部24に排紙される。一方、転写紙の両面に画像を形成する場合には、分岐爪43によって両面トレイ29側の搬送路が選択される。両面トレイ29側に搬送された転写紙は、両面トレイ29で反転され、再度レジストローラ33側まで搬送されて裏側の面に再度画像が形成され、同様の動作を経て排紙収納部24に排紙される。
【0026】
給紙部2の給紙トレイ5に集積され、給紙カセット22に収納されたシートPは、1枚ずつ給紙ローラ(ピックアップローラ)6によってピックアップされ、搬送ロー4を介してレジストローラ33側まで搬送される。なお、ピックアップローラ6によってピックアップされた転写紙は分離ローラ8によって1枚ずつ画像形成部20側に搬送される。
【0027】
原稿搬送部3はADFとも称され、原稿載置台に載置された原稿を1枚ずつ画像読み取り部23のコンタクトガラス31上に搬送し、画像読み取り部23で原稿画像を読み取る。読み取りは、照明用光源と第1ミラーを搭載した第1走行体32a、第2及び第3ミラーを搭載した第2走行体32bを原稿の副走査方向に移動させ、原稿からの反射光を第1ないし第3のミラーを介して結像レンズ34に導き、CCDなどの光電変換素子35上に結像して読み取る。
【0028】
図2は図1のデジタルカラー複写機1の電気的構成の概略を示すブロック図である。
図2において、デジタルカラー複写機1はシステム制御部100とエンジン制御部200と電源供給ユニット300とから基本的に構成されている。システム制御部100はコントローラ110とFAX制御部120を備えている。コントローラ110はさらにASIC111、CPU112,ROM113、RAM114及びNV−RAM115を備え、電源供給ユニット300から電源の供給を受けている。
【0029】
エンジン制御部200は画像処理部210、メイン制御部220、CCD制御部(読み取り制御部)230及びLD制御部(書き込み制御部)240を備えている。メイン制御部220はCPU221、ROM222、RAM223、I/O制御用ASIC224,225,226を備え、電源供給ユニット300からDC電力供給を受けている。
【0030】
画像形成装置のコントローラ制御部110とエンジン制御部200の基板は独立しており、エンジン制御部200は主にスキャナ機構とプリント機構及び画像処理機能を制御し、空調装置413はプリント機構に含まれる。エンジン制御部200に搭載されているCPUは1つであり、このCPU221でエンジン・メイン制御部220、CCD制御部230、画像処理部210、LD制御部240全てを駆動する。
【0031】
本実施例では、冷却除湿動作に必要な温湿度センサ411、ファン412、空調装置413と、冷却動作に必要でない構成要素とはDC電源の供給を分けている。すなわち、温湿度センサ411、ファン412、空調装置413、及びそれらを制御するのに必要な最小限の構成(図1ではCPU221、ROM222、RAM3及びI/O制御用ASIC224)とそれ以外の部分に独立してDC電源を供給するようにしている。ここでは、センサ401、アクチュエータ402及びI/O制御用ASIC225,226に、CPU221,ROM222、RAM223及びI/O制御用ASIC224とは別にDC電源が供給されている。
【0032】
図3はこのように構成したときの省エネルギモードに移行するコントローラ側の処理手順を示すフローチャート、図4はエンジン側の処理手順を示すフローチャートである。
省エネルギモードには、操作部上の電源スイッチをユーザが押下した場合、または動作終了後、所定時間以上放置された場合に移行する。放置された場合とは、操作部上のキー操作もプリンタデータインもない状態である。これらの監視及び判定はコントローラ110が行い(S1)、省エネルギモードへの移行条件を満たした場合、エンジン制御部200へ省エネルギモード移行要求を発行する(S2)。
【0033】
エンジン制御部200はコントローラ110からの省エネルギモード移行要求を受ける(S10)と、除湿冷却動作に必要なファン・空調装置以外のアクチュエータ402を停止(S11)し、また、定着ヒータをOFFし(S12)、さらにはパワーリレーもOFF(S13)する。その後、コントローラ110へ省エネルギモード移行完了を通知(S14)する。
【0034】
コントローラ110はエンジン制御部200からの省エネルギモード移行完了通知を受ける(S3)と、電源供給ユニット300にエンジン制御部200の冷却除湿機構以外への電源遮断を指示(S4)し、省エネルギモード移行手順が完了する。
【0035】
なお、省エネルギモードでも冷却除湿動作させるなら、省エネルギモードでも通電されているコントローラ110で冷却除湿機構の制御を行うこともできる。しかし、機械動作時の冷却除湿動作ON/OFFは作像部の動作ON/OFFに同期する場合があり、また、ウォームアップ動作、プリント動作時に電力配分制御が必要なケースではエンジン内の定着部、紙搬送部、周辺機などの制御との連携が必須であるなどの理由によりコントローラ110で冷却除湿機構の制御を行うことは好ましくない。そこで、本実施例のように制御するようにしている。
【0036】
このように構成すると、省エネルギモード中の消費電力を抑えながらも、冷却除湿機構を動作させることが可能となる。よって、除湿効果を得るために省エネルギ性を犠牲にする必要がなくなる。
【0037】
また、本実施例において、省エネルギモード中はCPU221に供給されるクロックを低速にできるように図示しないクロック生成部をエンジン制御基板内に設けることもできる。この場合、CPU221、ROM222、RAM223及びI/O制御用ASIC224,225,226は図示しないCPUバスで接続され、通常動作時は前記クロック生成部からこれらのCPU221、ROM222、RAM223及びI/O制御用ASIC224〜226に高速クロック信号を送出している。そして、コントローラ110からエンジン制御部200内のクロック生成部にはクロック設定データ信号が送出される。
【0038】
このように構成すると、省エネルギモード移行時の手順は以下のようになる。
すなわち、図1に示すように省エネルギモード移行要求を受けたエンジン制御部200は除湿冷却動作に必要なファン412及び空調装置413以外のアクチュエータ402を停止し、定着ヒータ及びリレーをOFFした後にコントローラ110へ省エネルギモード移行完了を通知する。コントローラ110は電源供給ユニット300にエンジン制御部200の冷却除湿機構以外への電源遮断を指示するとともに、エンジン制御部200内のクロック生成部に低速クロック設定信号を送出する。これにより省エネルギモード時は低速クロックでエンジン制御部200が動作することになる。
【0039】
省エネルギモード中に冷却除湿機構を動作させるにあたってはプリント時のように多くのCPUパワーを必要としない。そこで、本実施例のように構成することにより省エネルギモード中は低速クロックで冷却除湿機構を動作させることが可能となり、消費電力をさらに低減することができる。
【0040】
その他、特に説明しない各部は前述の従来例と同等に構成され、同等に機能する。
【実施例2】
【0041】
図5は本実施例2に係るデジタルカラー複写機1の電気的構成の概略を示すブロック図である。本実施例は、冷却除湿動作に必要な温湿度センサ501、ファン502、及び空調装置503、及びその制御部を空調制御部500としてエンジン制御部200を搭載したエンジン制御基板から独立させ、別基板である空調制御基板510上に設定したものである。電源供給ユニット300もエンジン制御部200とは独立して空調制御部500にも独立して電源を供給する。空調装置制御基板には装置を制御するためのCPU511、ROM512及びRAM513(場合によってはI/O制御用ASICも加わる)を配し、エンジン制御部200とはシリアルバスによって接続される。空調装置制御基板に搭載されるCPU511、ROM512、RAM513は当然のことながら、冷却除湿機能を実現するうえで必要最低限のスペックとし、出来る限りコストはかけないようにする。
【0042】
本実施例では、省エネルギモード移行要求を受けたエンジン制御部200はアクチュエータ402を停止し、定着ヒータ及びリレーをOFFした後にコントローラ110へ省エネルギモード移行完了を通知する。コントローラ110は電源供給ユニット300にエンジン制御部200への電源遮断を指示する。なお、省エネルギモード中の冷却除湿部の動作仕様が通常時と異なるようであれば、エンジン制御部200への電源供給が遮断される前に、エンジン制御部200から空調制御部500へこれから省エネルギモードに移行することを通知しておく必要がある。
【0043】
このように構成すると、省エネルギモード中に冷却除湿に必要最低限な構成のみ動作させることが可能となる。その結果、除湿効果を得るために省エネルギ性を犠牲にする必要がなくなる。
【0044】
その他、特に説明しない各部は前述の実施例1と同等に構成され、同等に機能する。
【0045】
なお、実施例1及び2に対して次のように構成することもできる。
1)冷却除湿機能の要否は画像形成装置が設置されている環境によって左右される。季節によって温湿度は変化し、設置環境の空調設備の有無によっても変わる。そこで、各々の画像形成装置の設置環境に応じて冷却除湿機構の要否を変更できるようにする。この冷却除湿機構の動作可否の変更は、画像形成装置の図示しない操作部からユーザまたはサービスエンジニアが設定する。この設定は、前記操作部からコントローラ110に入力され、コントローラ110のCPU112の制御を変更することにより行われる。このCPU112はこの設定変更に伴ってファン412,502、空調装置413,503を制御することになる。
このように画像形成装置の設置環境に合わせて冷却除湿動作可否設定を変更することにより、冷却除湿が必要でない環境で無駄な電力の消費を防止することができる。
【0046】
2)通常動作時の機内の温湿度を定期的にサンプリングし、その結果により省エネルギモード中に機内の冷却除湿が必要か否かを判別する機能を設ける。本機能のON/OFFは画像形成装置の図示しない操作部からユーザまたはサービスエンジニアが変更する。この場合も前記冷却除湿動作可否設定と同様に前記操作部からコントローラ110に入力され、コントローラ110のCPU112の制御を変更することにより行われる。このCPU112はこの設定変更に伴ってファン412,502、空調装置413,503を制御することになる。
このように構成すると、ユーザまたはサービスエンジニアの手を煩わすことなく、省エネルギモード中の冷却除湿要否を自動的に判別することにより、より設置環境に即した制御をしながらも省エネルギモード中の消費電力を抑制することができる。
【0047】
3)前記1)または2)の制御において省エネルギモード中の冷却除湿が不要と設定もしくは判断された場合は、省エネルギモード移行時にエンジン制御部全体を非通電状態とする。
すなわち、省エネルギモード移行要求を受けたエンジン制御部200はアクチュエータ402を停止し、定着ヒータ及びリレーをOFFした後にコントローラ110へ省エネルギモード移行完了を通知する。コントローラ110は省エネルギモード中の冷却除湿要否設定値を参照し、「不要」であれば電源供給ユニット300に実施例1の場合はエンジン制御部200(空調装置も含む)への電源遮断を指示し、実施例2の場合はエンジン制御部200と空調制御部500への電源遮断を指示する。
このように構成すると、省エネルギモード中の冷却除湿が不要と設定または判断された場合に無駄な電力の消費を防止することができる。
【0048】
4)冷却除湿機構が接続されている基板上の回路にスキャナ部の結露防止ヒータ及びその近傍の温湿度を測定する温湿度センサ411を接続する(図2参照)。これにより省エネルギモード中においてもスキャナ部の温度が所定の温度より低い場合のみ結露防止ヒータをONすることが可能となる。
このように構成すると、結露防止用のヒータ制御の最適化を図ること可能となり、消費電力を抑制することができる。
【0049】
5)冷却除湿機構が接続されている基板に給紙部2、二次転写部(二次転写ローラ51部)の除湿ヒータ及びその近傍の温湿度を測定する温湿度センサ411を接続する(図2参照)。これにより省エネルギモード中においても給紙部2または二次転写部が所定の湿度より高い場合のみ除湿ヒータをONすることが可能となる。
このように構成すると、給紙部2、二次転写部(二次転写ローラ51部)の除湿ヒータ制御の最適化を図ることが可能となり、消費電力を抑制することができる。
【0050】
6)前記実施例1,2で使用している空調装置413,503は冷却部への送風と放熱部の排熱のためにファン412,502を使用しているが、これらを省エネルギモード時に作動させると騒音の問題が発生する場合がある。そこで、省エネルギモード時に冷却除湿を行う場合は、412,502ファンの回転速度を通常動作時より低速に抑える。
このように構成すると、省エネルギモード中の冷却除湿動作中の騒音を抑えることができる。これにより、省エネ性を損なうことなく作像部の冷却・除湿効果を高め、常に安定した画像を得ることができる。
【0051】
7)省エネルギモード時に空調装置413,503のファン412,502の回転を低速化すると除湿効率が悪くなる虞がある。また、本実施例で使用している空調装置413,503ではペルチェ素子により冷却された部分に結露した水分は排熱で蒸発させるようになっているが、ファン412,502の回転の低速化はこれらにも影響を与える。そこで、ファンの回転を落とすのに合わせて、ペルチェ素子の駆動電流を小さくする。これにより、騒音回避とともに消費電力の低下も図ることができる。
このように構成すると、省エネルギモード中の冷却除湿動作中の騒音を抑えることが可能となる。これにより、省エネ性を損なうことなく作像部の冷却・除湿効果を高め、常に安定した画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例1に係るデジタルカラー複写機の機械的構成の概略を示す図である。
【図2】実施例1に係るデジタルカラー複写機の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【図3】実施例1におけるコントローラ側の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】実施例1におけるエンジン側の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施例2に係るデジタルカラー複写機の電気的構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0053】
100 システム制御部
110 コントローラ
112 CPU
200 エンジン制御部
210 画像処理部
220 エンジン・メイン制御部
221 CPU
224〜226 I/O制御用ASIC
300 電源供給ユニット
401 センサ
402 アクチュエータ
411,501 温湿度センサ
412,502 ファン
413,503 空調装置
500 空調制御部
510 空調制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナ部、プリント部及び画像処理機能の少なくとも1つを駆動制御するエンジン制御手段と、作像部周辺を冷却除湿する冷却除湿手段とを備えた画像形成装置において、
省エネルギモードの場合には、前記冷却除湿手段には電力供給を行い、前記エンジン制御手段へは電力供給を遮断する電力供給制御手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記省エネルギモード時はエンジン制御手段のCPUで用いられているクロック信号を低速にするクロック制御手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記冷却除湿手段及びこの冷却除湿手段を駆動制御する駆動回路を搭載した第1の基板と、
前記エンジン制御手段を搭載した第2の基板と、
を備え、両者が別体に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記冷却除湿手段の動作可否設定を変更する設定変更手段を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
省エネルギモード中の前記冷却除湿手段の動作可否設定を判別する判別手段を備えていることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判別手段が省エネルギモード中に動作不可の設定と判別した場合、前記電力供給制御手段は省エネルギモードでは前記冷却除湿手段及び前記エンジン制御手段への電力供給をともに遮断することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記冷却除湿手段によって冷却除湿される部分もしくはその近傍の温湿度を検出するセンサを備え、
前記センサが前記第1の基板上に搭載された駆動回路に接続されていることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記冷却除湿される部分が、結露防止ヒータ、給紙部及び二次転写部の除湿ヒータのいずれかを含むことを特徴とする請求項7記載の画像形成装置。
【請求項9】
省エネルギモード時においては、前記冷却除湿手段に備えられたファンの回転速度を通常モード時より低速にすることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
省エネルギモード時においては、前記冷却除湿手段に備えられた熱交換ユニットに流す電流を通常モード時より低いレベルとすることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−65059(P2008−65059A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242922(P2006−242922)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】