説明

画像形成装置

【課題】画像形成装置において、ユーザが電源の遮断の指示等により動作の終了を指示した際に、ユーザの意図した動作を行うことを可能とし、利便性を向上させる。
【解決手段】本発明に係る画像形成装置によれば、副電源スイッチにより電源の遮断が指示されると、ジョブの実行中又は予約ジョブが登録されているジョブ待機中であるか否かが判断され、ジョブの実行中又は予約ジョブが登録されているジョブ待機中であると判断されると、表示部に「強制終了」、「現状を保存して終了」、「終了動作を中止」の3つの動作項目の中から何れかを選択するための三択表示画面が表示され、タッチパネルにより何れかの動作項目が選択操作されると、選択操作された動作項目に応じて画像形成装置の動作が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成動作中又は待機中にユーザが動作の終了を指示するための終了指示部を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複写機やプリンタ等の画像形成装置をPOD(Print On Demand)向けの大量印刷機として利用し、何百枚ものドキュメントを何百部、何千部と出力する場合がある。このようなとき、画像形成動作を途中で強制終了し電源を遮断(OFF)すると、揮発性メモリに記憶されている画像データやその関連データは失われるので、電源投入時、再度画像データの読み取り(送信)を行ったり、出力条件や残部数等をユーザが設定したりし直さなければならず不便である。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、画像出力動作を中断するためのワンタッチジョブメモリキーを有し、ワンタッチメモリキーが押下されると、現在出力している部の最終転写紙の作像が終了した時点で画像出力を中断させ、画像データ、画像出力に係わる操作設定条件、原稿枚数、出力部数、画像データとの関連付けを示すデータ不揮発性メモリに退避させた後、電源遮断動作を開始することで、電源を再投入した後でも画像出力動作を再開可能とした画像形成装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、電源遮断の指示を受けたとき、処理中のデータを不揮発性記憶媒体に退避し、電源投入時、退避させたデータを復帰させる画像記録装置が記載されている。また、特許文献3には、電源スイッチをOFFにして処理すべきトラブルの発生を検知したとき、画像出力動作を行うものとして入力されている画像データを電源スイッチのOFF時にも記憶内容を保持可能な内部メモリに記憶させ、トラブル解消後に内部メモリに記憶されている画像データについての画像出力動作を引き続き行う画像形成装置が記載されている。
【特許文献1】特開2000−250362号公報
【特許文献2】特開平5−112060号公報
【特許文献3】特開平7−162624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、ユーザが電源遮断を指示する操作、例えば、電源スイッチをOFFした場合、画像形成ジョブの実行中であっても強制終了してしまうため、次回に電源スイッチを操作して電源を投入した場合に、中断されたところからジョブを再開できず、再度画像データの読み取り(送信)を行ったり、出力条件や残部数等をユーザが設定したりし直さなければならず、不便である。
【0006】
また、特許文献2においては、電源遮断の指示を受けたとき、処理中のデータを不揮発性記憶媒体に退避させるが、ユーザが直ちに電源をOFFしたい場合であってもデータの退避を行うので、ユーザの意図に反してなかなか電源がOFFされないといった問題点がある。また、特許文献3は、トラブルが発生した際にコピー条件等を退避するものであり、ジョブ実行中に副電源スイッチを操作して電源OFFを指示した場合は、中断されたところからジョブを再開できない。
【0007】
本発明の課題は、画像形成装置において、ユーザが電源の遮断の指示等により動作の終了を指示した際に、ユーザの意図した動作を行うことを可能とし、利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に記載は、
画像形成装置において、
入力された画像データを記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成し出力する画像出力部と、
動作の終了を指示するための終了指示部と、
前記画像出力部における画像形成動作中又は画像形成動作の待機中に前記終了指示部により動作の終了が指示された際に、少なくとも「強制終了」、「現状を保存して終了」を含む動作項目の中から何れか一つを選択するための選択画面を表示する表示部と、
前記選択画面に表示された動作項目のうち何れか一つを選択操作するための操作部と、
前記操作部により選択操作された動作項目に応じて当該画像形成装置の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、前記表示部に前記選択画面が表示されてから予め定められた所定時間内に前記操作部からの選択操作がされなかった場合に、前記選択画面に表示された動作項目のうち、予め定められた動作項目に応じて当該画像形成装置の動作を制御することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、
前記制御部は、前記予め定められた所定時間までの時間数を前記表示部の前記選択画面上にカウントダウン表示させることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、
前記終了指示手段による動作の終了の指示は、電源の遮断の指示であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、画像形成動作中又は画像形成動作の待機中に動作の終了が指示された際に、従来のように「強制終了」動作のみでなく、ユーザによる選択操作に応じて「現状を保存して終了」等の動作を行うことが可能となるので、ユーザの意図を反映させた動作が可能となり、利便性が向上する。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、選択画面が表示されてから予め定められた所定時間内に操作部からの選択操作がされなかった場合に、自動的に予め定められた動作に移行するので、例えば、ユーザが終了指示部での動作終了の指示によって動作を終了したつもりになり、選択画面からの操作を行わなかった場合等に、入力待ち状態のまま放置されてしまうことを防止することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、予め定められた動作項目に応じた動作が開始されるまでの時間をユーザに認識させることができるので、突然予め定められた動作に移行してしまうことを防止することが可能となる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、画像形成動作中又は画像形成動作の待機中に電源の遮断が指示された際に、従来のように「強制終了」動作のみでなく、ユーザによる選択操作に応じて「現状を保存して終了」等の動作を行うことが可能となるので、ユーザの意図を反映させた動作が可能となり、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
【0017】
図1に、本発明に係る画像形成装置1の機能構成例を示す。画像形成装置1は、例えば、電子写真方式の複写機であり、図1に示すように、制御部11、操作部12、表示部13、通信制御部14、画像読取部15、画像処理部16、画像出力部17、フラッシュメモリ18、タイマ19、電源部20等により構成され、各部はバス21により接続されている。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)11a、ROM(Read Only Memory)11b、RAM(Random Access Memory)11c等により構成される。制御部11のCPU11aは、操作部12の操作等に応じて、ROM11bに格納されているシステムプログラム、全体制御プログラム、各種処理プログラムを読み出してRAM11c内に展開し、展開されたプログラムに従って、画像形成装置1各部の動作を集中制御する。
【0019】
即ち、CPU11aは、操作部12又は通信制御部14から入力される各種処理要求を受け付けて画像形成ジョブ(以下、ジョブという)として登録し、登録されたジョブに基づいて画像出力部17等を制御して画像形成動作(記録媒体上への画像の形成及び排出(出力)を含む動作)を実行する。ここで、登録されたジョブに基づいて、画像形成に関する一連の動作を実行することを、ジョブの実行という。また、登録されたジョブの実行待ちの状態をジョブの待機中という。また、登録されたジョブのうち、実行待ち(待機中)のジョブを予約ジョブという。
【0020】
ジョブは、ジョブデータと、原稿の画像データとを含み、CPU11aにより、登録順にジョブを識別するためのジョブIDが付与されて管理される。ジョブデータとは、ジョブを識別するためのジョブID、各種出力条件(原稿ページ数、出力部数、用紙種類、用紙サイズ、倍率、片面/両面等)、画像データの記憶場所等からなるデータであり、RAM11cに記憶される。また、CPU11aは、ジョブ実行中に、画像出力部17における出力中のページ数及び部数等をカウントし、ジョブIDと対応付けてRAM11cに格納する。
【0021】
また、CPU11aは、RAM11cに展開されたプログラムに従って、後述する停止処理、復旧処理を始めとする各種処理を実行する。
【0022】
操作部12は、タッチパネル12a、ハードキー12bを備えて構成される。
タッチパネル12aは、表示部13のLCD(Liquid Crystal Display)の上面を覆うように透明電極を格子状に配置した感圧式(抵抗膜圧式)のタッチパネルであり、手指やタッチペン等で押下された力点のXY座標を電圧値で検出し、検出された位置信号を操作信号として制御部11に出力する。なお、タッチパネルは、感圧式に限らず、他の静電式、光式等であってもよい。
ハードキー12bは、数字ボタン、スタートボタン(図示せず)等の各種操作ボタン、終了指示部としての副電源スイッチ121等の各種操作スイッチを備え、ボタン操作、スイッチ操作による操作信号を制御部11に出力する。副電源スイッチ121は、制御部11に対し、画像形成装置1の各部への電源の投入(副電源ON)を指示したり、画像形成装置1の各部への電源の遮断(副電源OFF)を指示したりするためのスイッチである。
【0023】
表示部13は、LCD等により構成され、制御部11から入力される表示信号の指示に従って表示画面上に各種操作ボタンや装置の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。
【0024】
通信制御部14は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェースである。通信制御部14は、例えばLANカード等の通信制御カードにより構成され、LANケーブル等の通信回線を介して通信ネットワークに接続されたホスト装置等の外部の装置との間で制御信号、プリンタコードを始めとする各種データの送受信を行う。
【0025】
画像読取部15は、原稿を載置するコンタクトガラスの下部にスキャナを備えて構成され、原稿の画像を読み取る。スキャナは、光源、CCD(Charge Coupled Device)等により構成され、光源から原稿へ照明走査した光の反射光を結像して光電変換することにより原稿の画像を読み取り、読み取った画像をA/D変換器によりデジタル画像データに変換して画像処理部16に出力する。ここで、画像は、図形や写真等のイメージデータに限らず、文字や記号等のテキストデータ等も含む。
【0026】
画像処理部16は、処理部161及び画像記憶部162により構成される。画像処理部16は、処理部161において画像読取部15から入力された画像データに空間フィルタ処理、拡大/縮小処理、回転処理、階調補正処理等の画像処理を施して画像記憶部162に一時的に記憶し、所定のタイミングで画像出力部17に出力する。また、通信制御部14から入力されたプリンタコードを画像データに変換して画像記憶部162に一時的に記憶し、所定のタイミングで画像出力部17に出力する。なお、入力された画像データには、画像データを識別するための画像IDが付与される。画像データは、画像IDにより管理される。
【0027】
図2に、画像記憶部162の構成例を示す。図2に示すように、画像記憶部162は、メモリコントローラ16a、揮発性メモリ16b、圧縮/伸張部16c、HDD(Hard Disk;ハードディスク)コントローラ16d、HDD16eを備えて構成されている。
【0028】
メモリコントローラ16aは、制御部11からの制御に基づいて、処理部161から入力された画像データの揮発性メモリ16bへの書き込み及び揮発性メモリ16bからの画像データの読み出しを行う。即ち、メモリコントローラ16aは、制御部11からの制御に基づいて、処理部161から入力された画像データを圧縮/伸張部16cにより圧縮させるとともに揮発性メモリ16bに書き込んで一時的に記憶させる。また、制御部11から画像データ出力の指示があると、メモリコントローラ16aは、揮発性メモリ16bに記憶されている出力指示された画像データを圧縮/伸張部16cにより伸張させ、画像出力部17に出力する。
【0029】
揮発性メモリ16bは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成される。揮発性メモリ16bは、処理部161から入力され圧縮/伸張部16cにより圧縮された画像データを一時的に記憶する。圧縮/伸張部16cは、画像データの圧縮処理、伸張処理を行うICである。
【0030】
HDDコントローラ16dは、制御部11からの制御に基づいて、画像データのHDD16eへの書き込み、HDD16eからの画像データの読み出し及び消去を行う。
HDD16eは、画像データを記憶する不揮発性記憶手段である。
【0031】
図1の画像出力部17は、画像処理部16から入力された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成し出力する装置である。画像出力部17は、パルス幅変調器、レーザ光源、感光ドラム、帯電器、現像器、転写部、給紙部、排紙部、定着器等を備えて構成されており、画像処理部16から入力された画像データをパルス幅変調器によりパルス幅変調してレーザ光を発光させ、帯電器により帯電された感光ドラム表面にレーザ光を照射することにより静電潜像を形成する。更に、画像出力部17は、操作部12や通信制御部14から入力指示されたサイズ、向きの記録媒体を給紙部から搬送し、感光ドラム表面の静電潜像を含む領域に現像器によりトナーを付着させ、搬送された記録媒体上に転写部によりトナーを転写し、定着器により定着させた後、排紙部から排出する。
【0032】
フラッシュメモリ18は、ジョブの実行中またはジョブ待機中に副電源スイッチ121が操作されて副電源OFFが指示された際に、実行中及び待機中のジョブを副電源ON時に継続して実行可能にするために、揮発性のRAM11c等に記憶されている現状を示すデータ等を保存するための不揮発性記憶手段である。フラッシュメモリ18は、図1に示すように、しおり・環境保存領域181、HDD管理テーブル領域182等を有している。しおり・環境保存領域181は、RAM11cに記憶されている現状を示すデータ、即ち、登録されているジョブデータ、実行中のジョブのジョブID、カウント値(出力部数及びページ数)等(以下、しおり・環境情報という。副電源ON時にどのジョブの何部目の何ページからどのような出力条件で画像形成動作を再スタートさせるかを示す情報)を保存するため領域である。HDD管理テーブル領域182は、HDD16eに保存した画像データを管理するためのHDD管理テーブルT1を保存するための領域である。
【0033】
タイマ19は、電池を内蔵したRTC(Real Time Clock)回路であり、制御部11によりセットされた時刻が到来するとパルスを発生し、制御部11に出力する。
【0034】
電源部20は、図示しない商用交流電源に接続され、商用交流電源から入力されたAC(交流)電源電力をDC(直流)電源電力に変換し、必要な電圧を各部にそれぞれ供給する。電源部20は制御部11からの制御命令に従って電源供給を行う。電源部20と商用交流電源との接続は、主電源スイッチ(図示せず)によりON/OFFすることができる。
【0035】
次に、本実施の形態の動作について説明する。
図3は、副電源OFFが指示された際に制御部11により実行される停止処理を示すフローチャートである。副電源OFFの指示は、副電源スイッチ121からの操作信号の入力、又は、タイマ19に設定された副電源OFF時刻の到来によるタイマ19からの副電源OFF指令のパルスの入力により行われる。当該処理は、CPU11aとROM11bに格納されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現されるものである。
【0036】
まず、副電源OFFの指示がタイマ19によるものであるか否かが判断され、タイマ19によるものであると判断されると(ステップS1;YES)、処理はステップS12に移行し、電源部20による画像形成装置1の各部への電源が遮断(副電源OFF)され、本処理は終了する。
【0037】
副電源OFFの指示がタイマ19によるものではないと判断された場合(ステップS1;NO)、システムが停止できる状態に制御され、動作が中断される(ステップS2)。例えば、ジョブ実行中であれば、画像出力部17内の搬送経路上にある記録媒体が排出され、ジョブが中断される。
【0038】
次いで、現在ジョブが実行中か又は予約ジョブがあるか否かが判断され、現在ジョブが実行中でもなく、かつ予約ジョブもないと判断されると(ステップS3;NO)、処理はステップS12に移行し、画像形成装置1の各部への電源供給が遮断(副電源OFF)され、本処理は終了する。
【0039】
現在ジョブが実行中であるか又は予約ジョブがあると判断された場合(ステップS3;YES)、表示部13の表示画面上に三択表示画面131が表示されるとともに(ステップS4)、予め定められた自動動作開始時間までの時間数(ここでは秒数)がカウントダウンされ、三択表示画面131に自動動作開始時間までの時間数がカウントダウン表示される(ステップS5)。なお、自動動作は、ここでは「A.強制終了」である。
【0040】
図4に、ステップS4において表示部13の表示画面上に表示される三択表示画面131の一例を示す。図4に示すように、三択表示画面131は、副電源スイッチ121の操作により副電源OFFが指示された際に、以降の動作をユーザに選択させるための画面である。具体的には、三択表示画面131には「A.強制終了」「B.現状を保存して終了」「C.終了行為を中止」の3つの動作項目が表示されており、表示された動作項目の何れかの項目上のタッチパネル12aの押下操作により、A〜Cの何れかの動作項目を選択操作させるための画面である。ユーザが副電源スイッチ121を操作する場合としては、直ちに電源を遮断したい場合、大量部数のジョブ中に「今日はここまで」とし明日中断したところからジョブを再開したい場合、間違えて副電源スイッチ121を操作してしまった場合、が考えられる。Aを選択すると、直ちに電源が遮断される。Bを選択すると、揮発性メモリ16bに記憶されている画像データ、RAM11cに記憶されているしおり・環境情報がHDD16eやフラッシュメモリ18等の不揮発性記憶手段に退避、保存された後、電源が遮断される。Cを選択すると、中断前の動作が再開される。三択表示画面131の下部には、自動動作開始までの時間数がカウントダウン表示される。
【0041】
三択表示画面131から「A.強制終了」が選択されると(ステップS6;YES)、電源部20からの画像形成装置1の各部への電源供給が遮断され(ステップS12)、本処理は終了する。
【0042】
三択表示画面131から「B.現状を保存して終了」が選択されると(ステップS6;NO、ステップS7;YES)、揮発性メモリ16bに一時記憶されている画像データがHDD16eに退避されるとともに、RAM11cに記憶されているしおり・環境情報がフラッシュメモリ18に退避される(ステップS8)。即ち、揮発性メモリ16bに一時記憶されている画像データがHDD16eに順次転送されて書き込まれるとともに、RAM11cに記憶されているしおり・環境情報がフラッシュメモリ18のしおり・環境保存領域181に転送されて書き込まれる。
【0043】
本実施の形態においては、HDD16eへの画像データの書き込み及びHDD16eからの画像データの読み出しを高速に行うため、HDD16eに画像データを書き込む際には、連続したクラスタ(連続領域)に1枚分の画像データが書き込まれる。また、HDD16eの何れの領域に何れの画像データが退避されたかを検索可能にするために、HDD管理テーブルT1が生成され、フラッシュメモリ18のHDD管理テーブル領域182に書き込まれる。
【0044】
図5に、HDD管理テーブルT1の一例を示す。図5に示すように、HDD管理テーブルT1には、画像を特定するための画像IDと、当該画像IDで特定される画像データが記憶されている連続領域の開始クラスタ番号及び終了クラスタ番号とが対応付けて記憶される。
【0045】
揮発性メモリ16bに一時記憶されている画像データ及びRAM11cに記憶されているしおり・環境情報の退避が終了すると、電源部20による画像形成装置1の各部への電源供給が遮断され(ステップS12)、本処理は終了する。
【0046】
三択表示画面131から「C.終了行為を中止」が選択されると(ステップS7;NO、ステップS9;YES)、中断前の動作に戻り(ステップS10)、本処理は終了する。即ち、ジョブの実行中であったならば、RAM11cに記憶されているジョブデータやしおり・環境情報に基づいて、中断されたジョブが中断時点から再開される。予約ジョブの実行待ちであったならば、予約ジョブの実行が待機される。
【0047】
三択表示画面131からA〜Cの動作が選択されない場合(ステップS9;NO)、自動動作開始時間が経過したか否かが判断され、経過していないと判断されると(ステップS11;NO)、処理はステップS5に戻る。自動動作開始時間が経過したと判断されると(ステップS11;YES)、電源部20による画像形成装置1の各部への電源供給が遮断され(ステップS12)、本処理は終了する。
【0048】
次に、副電源ONが指示された際に制御部11により実行される復旧処理について説明する。図6は、復旧処理を示すフローチャートである。副電源ONの指示は、副電源スイッチ121からの副電源ONの操作信号の入力、又は、タイマ19に設定された副電源ON時刻の到来によるタイマ19からの副電源ON指令のパルスの入力により行われる。当該処理は、CPU11aとROM11bに格納されているプログラムとの協働によるソフトウエア処理により実現されるものである。
【0049】
まず、電源部20により画像形成装置1の各部に電源が供給され、立ち上げ動作が行われる(ステップS21)。立ち上げ動作としては、ブートプログラムによりROM11bから全体制御プログラムが読み出され、RAM11cにロードされる。次いで、全体制御プログラムが実行され、各部のハードウエアの接続確認と初期化が行われる。
【0050】
次いで、フラッシュメモリ18のしおり・環境保存領域181が参照され、データが記憶されているか否かが判断される。しおり・環境保存領域181にデータが記憶されていないと判断されると(ステップS22;NO)、処理はステップS31に移行し、画像出力部17の定着器等のウォームアップ動作等が行われることにより画像形成可能な状態に制御され、本処理は終了する。
【0051】
しおり・環境保存領域181にデータが記憶されていると判断されると(ステップS22;YES)、副電源OFF時に中断された動作の復旧を行うか否かを問い合わせる復旧問い合わせ画面132が表示されるとともに(ステップS23)、自動動作開始までの待機時間として予め定められた時間数(ここでは秒数)がカウントダウンされ、復旧問い合わせ画面132に自動動作開始までの時間がカウントダウン表示される(ステップS24)。なお、自動動作においては、ここでは、中断されたジョブを復旧せずに中断時に登録されていたジョブをクリアしてウォームアップ動作に移行する。
【0052】
図7に、ステップS23において表示部13の表示画面上に表示される復旧問い合わせ画面132の一例を示す。図7に示すように、復旧問い合わせ画面132は、副電源OFF時に中断された動作の復旧を行うか否かをユーザに指示させるための画面である。復旧問い合わせ画面132には、「電源OFF時に中断されたジョブがあります。復旧しますか」等のメッセージ及び復旧を指示するための「はい」ボタン、復旧しないことを指示するための「いいえ」ボタンが表示されている。表示された「はい」ボタン上のタッチパネル12aの押下操作により、復旧指示を入力することができる。また、表示された「いいえ」ボタン上のタッチパネル12aの押下操作により、復旧しない指示を入力することができる。復旧問い合わせ画面132の下部には、自動動作開始までの時間がカウントダウン表示される。
【0053】
復旧問い合わせ画面132から自動動作開始時間までに「はい」ボタンが押下されて復旧が指示されると(ステップS25;YES)、画像出力部17において定着器のウォームアップ動作等が行われて画像形成可能な状態に制御される(ステップS26)。そして、フラッシュメモリ18のしおり・環境保存領域181に記憶されているしおり・環境情報、HDD管理テーブルT1がRAM11cに読み出され、読み出されたしおり・環境情報に基づいて、電源遮断前に動作が中断されたジョブの中断された部数目の中断されたページ数の画像データがHDD16eから読み出され、画像形成動作(ジョブ)が再開される(ステップS27)。
【0054】
復旧問い合わせ画面132から自動動作開始時間までに「いいえ」ボタンが押下されて復旧しない旨が指示されると(ステップS25;NO、ステップS28;YES)、又は、自動動作開始時間が経過すると(ステップS28;NO、ステップS29;YES)、フラッシュメモリ18に記憶されているしおり・環境情報及びHDD管理テーブルT1がクリアされることによりジョブがクリアされ(ステップS30)、画像出力部17において定着器のウォームアップ動作等が行われて画像形成可能な状態に制御され(ステップS31)、本処理は終了する。
【0055】
以上説明したように、画像形成装置1によれば、ジョブの実行中又は予約ジョブが登録されているジョブ待機中に副電源スイッチ121により電源の遮断が指示されると、表示部13に「強制終了」、「現状を保存して終了」、「終了動作を中止」の3つの動作項目の中から何れかを選択するための三択表示画面131が表示され、タッチパネル12aにより何れかの動作項目が選択操作されると、選択操作された動作項目に応じて画像形成装置1の動作が制御される。具体的に、「強制終了」が選択されると、各部への電源供給が遮断される。「現状を保存して終了」が選択されると、揮発性メモリ16bに記憶されている画像データ、RAM11cに記憶されているしおり・環境情報がHDD16eやフラッシュメモリ18等の不揮発性記憶手段に保存された後、各部への電源供給が遮断される。「終了動作を中止」が選択されると、中断前の動作が再開される。
【0056】
従って、ジョブの実行中又は予約ジョブが登録されているジョブ待機中に電源の遮断が指示された際に、従来のように「強制終了」動作のみでなく、ユーザによる選択操作に応じて「現状を保存して終了」動作や「終了動作を中止」動作を行うことが可能となり、ユーザの意図を反映させた動作が可能となり、利便性が向上する。
【0057】
また、三択表示画面131が表示されてから予め定められた自動動作開始時間が経過すると、自動的に各部への電源供給が遮断されるので、例えば、ユーザが副電源スイッチ121を操作して電源を遮断したつもりになり、三択表示画面131からの操作を行わなかった場合等に、入力待ち状態のまま放置されてしまうことを防止することができる。
【0058】
また、三択表示画面131には、自動動作開始時間までの時間数がカウントダウン表示されるので、自動動作開始までの時間をユーザに認識させることができ、突然自動動作に移行してしまうことを防止することが可能となる。
【0059】
なお、上記実施の形態における記述内容は、本発明に係る画像形成装置1の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0060】
例えば、上記実施の形態においては、終了指示部としての副電源スイッチ122により各部への電源遮断が指示された際に、揮発性メモリ16bに格納されている画像データをHDD16eに転送し、HDD16eの連続したクラスタ領域に書き込むこととしたが、終了指示部としては、これに限定されず、例えば、操作部12により低消費電力モードへの移行が指示された際に、揮発性メモリ16bに格納されている画像データをHDD16eに転送し、HDD16eの連続したクラスタ領域に書き込むようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施の形態においては、「B.現状を保存して終了」が選択され、揮発性メモリ16bの画像データを退避、保存する際に、HDD16eの連続したクラスタに1枚分の画像データを書き込むこととし、HDD管理テーブルT1によりHDD16eに保存された画像データの管理を行うこととしたが、HDD16eにファイル形式で画像データを書き込み、FAT(File Allocation Tables)によりファイル管理を行うようにしてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態においては、自動動作開始時間経過後に、自動的に強制終了動作に移行し電源供給が遮断されることとしたが、自動動作開始時間の経過後、「強制終了」、「現状を保存して終了」、「終了動作を中止」の何れの動作に移行するかを操作部12から入力可能とし、フラッシュメモリ18に入力された動作項目を設定し、自動動作開始時間経過後には設定された動作に移行するようにしてもよい。
【0063】
また、自動動作開始時間までの時間を操作部12から入力可能とし、フラッシュメモリ18等に設定できるようにしてもよい。
【0064】
その他、画像形成装置1を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る画像形成装置1の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】図1の画像記憶部162の構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の制御部11により実行される停止処理を示すフローチャートである。
【図4】図1の表示部13に表示される三択表示画面131の一例を示す図である。
【図5】図1のHDD管理テーブル領域171に記憶されるHDD管理テーブルT1のデータ格納例を示す図である。
【図6】図1の制御部11により実行される復旧処理を示すフローチャートである。
【図7】図1の表示部13に表示される復旧問い合わせ画面132の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成装置
11 制御部
11a CPU
11b ROM
11c RAM
12 操作部
12a タッチパネル
12b ハードキー
121 副電源スイッチ
13 表示部
131 三択表示画面
132 復旧問い合わせ画面
14 通信制御部
15 画像読取部
16 画像処理部
161 処理部
162 画像記憶部
16a メモリコントローラ
16b 揮発性メモリ
16c 圧縮/伸張部
16d HDDコントローラ
16e HDD
17 画像出力部
18 フラッシュメモリ
181 しおり・環境保存領域
182 HDD管理テーブル領域
19 タイマ
20 電源部
21 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置において、
入力された画像データを記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成し出力する画像出力部と、
動作の終了を指示するための終了指示部と、
前記画像出力部における画像形成動作中又は画像形成動作の待機中に前記終了指示部により動作の終了が指示された際に、少なくとも「強制終了」、「現状を保存して終了」を含む動作項目の中から何れか一つを選択するための選択画面を表示する表示部と、
前記選択画面に表示された動作項目のうち何れか一つを選択操作するための操作部と、
前記操作部により選択操作された動作項目に応じて当該画像形成装置の動作を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記表示部に前記選択画面が表示されてから予め定められた所定時間内に前記操作部からの選択操作がされなかった場合に、前記選択画面に表示された動作項目のうち、予め定められた動作項目に応じて当該画像形成装置の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記予め定められた所定時間までの時間数を前記表示部の前記選択画面上にカウントダウン表示させることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記終了指示手段による動作の終了の指示は、電源の遮断の指示であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−65242(P2008−65242A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245656(P2006−245656)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】