説明

画像形成装置

【課題】カラー画像を高速で形成することができ、しかも耐久性、長期信頼性も確保された、小型で優れた画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光体ドラム2と、帯電器4が1つと、感光体ドラム2に静電潜像を形成するラインヘッド5B、5Y、5M、5Cと、静電潜像にカラートナーを供給する現像部6B、6Y、6M、6Cとを備えている。各ラインヘッドは、有機EL素子からなる発光点が直線的に配列され、隣り合う4つの発光点が、感光体ドラム2に形成される静電潜像の1単位分のカラー画素に対応するように構成されている。各発光点は、一つのカラーのみに対応して一つのサブ画素に対応する発光点のみが発光するよう構成されている。各ラインヘッドには、一つのサブ画素に対応して発光する発光点を、他の発光点に切り替える切替手段14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(ラインヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器によって帯電された感光体ドラムの周面上に、ラインヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行なうことにより、静電潜像を形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するようにしたものである。
【0003】
ところで、このような画像形成装置(ラインプリンタ)によるカラー画像の形成方式には、タンデム方式、転写方式、多重書込方式などがある。
タンデム方式では、単色の画像形成動作を実行するための構成要素を例えば4組用い、各色毎に、静電潜像の形成から定着までの動作を実行する。
転写方式では、前記構成要素を1組用い、各色毎に、静電潜像の形成から転写までの動作を実行し、定着動作は一括して実行する。
多重書込方式では、1つの感光体ドラムに対して複数個の現像器を設け、各色毎に、静電潜像の形成から像担持体へのトナーの供給までの動作を実行し、転写および定着動作を一括して実行する。
【0004】
しかしながら、このような方式にはそれぞれ一長一短があり、特にカラー画像を高速で形成することができ、しかも比較的小型に構成することは困難であった。
そこで、このような背景のもとに従来では、少なくとも3つのカラー画素を1単位とした画素のうちの、所定のカラー画素に対応する静電潜像を像担持体上に形成する、ラインヘッドとしての静電潜像形成手段(LEDアレイ)を備え、帯電器等の構成要素を一つにすることで小型化を図った画像形成装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−297447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の画像形成装置では、ラインヘッド(静電潜像形成手段)を構成する発光素子がLED(発光ダイオード)からなっている。しかし、LEDを用いた場合、例えばこれを数千個配列し、各LEDに対応する発光点を精度良く配列することは極めて困難である。
そこで、近年では、発光点を精度良く作り込める有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を発光素子とし、これを配列したプリンタヘッドが提案されている。有機EL素子は、有機材料からなる固体蛍光物質を発光層として用い、電界発光を利用して光を取り出す発光素子であり、素子部を1μm以下の厚さにでき、また基板形状に合わせて自由な形状に形成できることなどから、小型のラインヘッドに好適だからである。
【0006】
ところが、有機EL素子は、LEDに比べて発光輝度が低いといった問題がある。発光輝度を高めるためには、これに通じる電流を高くすることが考えられる。しかし、その場合には、LEDに比べて寿命が極めて短くなってしまう。このように発光素子の寿命が短くなると、この発光素子によって構成されるラインヘッドの寿命も必然的に短くなり、このラインヘッドを備えた画像形成装置の耐久性、長期信頼性が大きく損なわれてしまう。
【0007】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、カラー画像を高速で形成することができ、しかも耐久性、長期信頼性も確保された、小型で優れた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明の画像形成装置は、少なくとも異なる3つの色のカラートナーからなるカラー画像を転写する画像形成装置であって、
回転軸を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させるための帯電器が1つと、
前記各色に対応してそれぞれ設けられた、前記感光体ドラム表面に静電潜像を形成するためのラインヘッドが少なくとも3つと、
前記各ラインヘッドで形成された感光体ドラム表面の静電潜像に、前記各ラインヘッドにそれぞれ対応するカラートナーを供給する現像部が少なくとも3つと、を備え、
前記各ラインヘッドは、前記感光体ドラムの副走査方向に沿って有機EL素子からなる発光点が直線的に配列され、該発光点の隣り合う少なくとも3つの発光点が、前記感光体ドラムに形成される静電潜像の1単位分のカラー画素に対応するように構成されてなり、
前記各発光点は、前記ラインヘッド毎に設定された一つのカラーのみに対応して、前記カラー画素のうちの一つのサブ画素に対応する発光点のみが発光するよう構成されてなり、
前記各ラインヘッドには、前記一つのサブ画素に対応して発光する発光点を、他の発光点に切り替える切替手段が設けられていることを特徴としている。
【0009】
この画像形成装置によれば、1つの帯電器を用いることにより、少なくとも3つの色のカラートナーからなるカラー画像を転写できるので、全体を小型化することができる。また、感光体ドラムに対してラインヘッド、現像部を少なくとも3つ備えているので、感光体ドラムを1周させることでカラー画像の転写を行うことができ、これにより高速での画像形成が可能になる。
さらに、各ラインヘッドの発光点は、ラインヘッド毎に設定された一つのカラーのみに対応して、前記カラー画素のうちの一つのサブ画素に対応する発光点のみが発光するよう構成されているので、他のサブ画素に対応する発光点は発光することなく休止した状態となる。そして、例えば発光させている発光点を構成する有機EL素子の寿命がつきたとき、切替手段によって一つのサブ画素に対応して発光する発光点を、休止していた他の発光点に切り替えることにより、ラインヘッドとして正常に機能させることができる。したがって、このように切替手段による切替動作を行わせることにより、ラインヘッドの寿命を、1単位分のカラー画素を構成するサブ画素の数に対応して延ばすことができる。
【0010】
また、前記画像形成装置においては、前記切替手段は、発光点を構成する有機EL素子の予め設定された寿命に対応して、全てのラインヘッドを同時に切り替えるよう構成されているのが好ましい。
このようにすれば、発光させている発光点を構成する有機EL素子の寿命を予め推定し、設定しておくことにより、有機EL素子の輝度低下に起因して形成する画像の品質が低下するのを防止することができる。また、全てのラインヘッドを同時に切り替えるので、1単位分のカラー画素を構成する全てのサブ画素が同時に切り替えられ、これにより1単位分のカラー画素においてむらが生じるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳しく説明する。なお、以下に参照する全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略構成図であり、図1中符号1は、主に個人用などとして用いられる小型の画像形成装置1である。
【0012】
この画像形成装置1は、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色のカラートナーからなるカラー画像を、紙等の被転写体に転写するもので、像担持体としての感光体ドラム2を備えたものである。感光体ドラム2は、その中心軸に一致する回転軸(図示せず)を有し、これによって回転可能に構成されたもので、被転写体3の移送経路の近傍に配設されたものである。この感光体ドラム2の周囲には、図1中矢印で示す回転方向に沿って、帯電器4、ブラック用の第1ラインヘッド5B、ブラック用の第1現像部6B、イエロー用の第2ラインヘッド5Y、イエロー用の第2現像部6Y、マゼンダ用の第3ラインヘッド5M、マゼンダ用の第3現像部6M、シアン用の第4ラインヘッド5C、シアン用の第4現像部6C、転写部7、クリーニング部8、除電部9がこの順に配設されている。
【0013】
また、転写部7には、その両側に前記被転写体3の移送経路が形成されている。この移送経路において、転写部7の上流側には、図示しない給紙トレイから供給された被転写体(紙)3を移送するローラ対10、11が配設されている。また、転写部7の下流側には、定着部12、排出トレー13が配設されている。
【0014】
このような構成の画像形成装置1において、前記帯電器4は、感光体ドラム2の表面を例えば正(+)に帯電させるものであり、ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、帯電した感光体ドラム2の表面を露光し、静電潜像を形成するものである。また、現像部6B、6Y、6M、6Cは、露光された感光体ドラム2の表面に帯電させたカラートナーを付与し、電気的吸着力によって前記静電潜像に対応するトナー像を形成するものである。
【0015】
転写部7は、ローラ対10、11で移送されてきた被転写体3を、所定の圧力で感光体ドラム2に押圧させることにより、被転写体3にトナー像を転写させるものである。そして、定着部12は、トナー像を転写した被転写体3に対して所定温度の熱と所定の圧力とを加え、被転写体3にトナー像を定着させるものである。
また、クリーニング部8は、トナー像を被転写体3の表面に転写させた後の感光体ドラム2に対し、その表面に残留するトナー粒子を取り除くものであり、除電部9は、感光体ドラム2の表面に残留する電荷を取り除くものである。
【0016】
ここで、前記のラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、図2(a)に示すように、有機EL素子からなる発光点13が直線的に配列されて構成されたものである。すなわち、ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、図2(b)に示すように長細い矩形の素子基板31上に、複数の有機EL(エレクトロルミネセンス)素子36を配列してなる発光素子列37と、有機EL素子36を駆動させる駆動素子35からなる駆動素子群と、これら駆動素子35(駆動素子群)の駆動を制御する制御回路群32とを一体形成したものである。
【0017】
有機EL素子36は、一対の電極間に少なくとも有機発光層を備えたもので、その一対の電極から発光層に電流を供給することにより、発光するものである。有機EL素子36における一方の電極には電源線34が接続され、他方の電極には駆動素子35を介して電源線33が接続されている。この駆動素子35は、薄膜トランジスタ(TFT)や薄膜ダイオード(TFD)等のスイッチング素子で構成されている。駆動素子35にTFTを採用した場合には、そのソース領域に電源線34が接続され、ゲート電極に制御回路群32が接続される。そして、制御回路群32により駆動素子35の動作が制御され、駆動素子35により有機EL素子36への通電が制御されるようになっている。
【0018】
このような構成からなるラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、その発光点13の配列方向が、前記感光体ドラム2の副走査方向、すなわち感光体ドラム2の主走査方向である周方向と直交する方向(感光体ドラム2の回転軸方向)に平行となるように、配設されている。なお、ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cの発光点13の配列は、感光体ドラム2の感光領域における副走査方向の長さと同等以上とされ、これによって感光体ドラム2の感光領域に対し、全てに露光できるようになっている。
【0019】
これらラインヘッド5B、5Y、5M、5Cによって露光され、感光体ドラム2上に形成される静電潜像は、図3に示すようにブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色のサブ画素SB、SY、SM、SCによって1単位分のカラー画素Pが構成されるようになっている。すなわち、前記の各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、それぞれ、隣り合う4つの発光点13が、1単位分のカラー画素Pに対応するように構成され、配設されているのである。
【0020】
ただし、位置的には、各発光点13はカラー画素Pを構成するサブ画素SB、SY、SM、SCの全てに対応しているものの、各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cの発光点13は、ラインヘッド毎に設定された一つのカラーのみに対応して発光するようになっている。すなわち、前記カラー画素Pのうちの一つのサブ画素(SB、SY、SM、SC)に対応するもののみが、発光するように構成されているのである。具体的には、ブラック用の第1ラインヘッド5Bの発光点13からは、図3中に矢印で示すように、ブラック用のサブ画素SBに対応する発光点13−1のみが発光し、該サブ画素SBを露光するようになっている。
【0021】
同様に、イエロー用の第2ラインヘッド5Yの発光点13からは、イエロー用のサブ画素SYに対応する発光点13−2のみが発光し、該サブ画素SYを露光するようになっており、マゼンダ用の第3ラインヘッド5Mの発光点13からは、マゼンダ用のサブ画素SMに対応する発光点13−3のみが発光し、該サブ画素SMを露光するようになっており、シアン用の第4ラインヘッド5Cの発光点13からは、シアン用のサブ画素SCに対応する発光点13−4のみが発光し、該サブ画素SCを露光するようになっている。
そして、これら各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cにおいては、それぞれ対応するサブ画素に対して発光する発光点13以外は、すなわち、他のサブ画素に対応する発光点13は、設定された間、発光することなく休止した状態となるように構成されている。
【0022】
このように、感光体ドラム2表面の静電潜像形成領域(感光領域)は、ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cとの位置関係によって多数のカラー画素Pが形成されるようになっており、これらカラー画素Pを構成するサブ画素SB、SY、SM、SC毎に、ラインヘッド5B(5Y、5M、5C)による露光、現像部6B(6Y、6M、6C)による現像がなされるようになっている。
【0023】
すなわち、感光体ドラム2は、帯電器4で帯電された後回転することにより、第1ラインヘッド5Bによってブラックのサブ画素SBのみが選択的に露光されてブラック用の静電潜像が形成され、続いて第1現像器6Bによってブラック用のカラートナーが付与され、これによりブラックのトナー像が形成される。そして、さらに回転することにより、感光体ドラム2は第2ラインヘッド5Yによってイエローのサブ画素SYのみが選択的に露光されてイエロー用の静電潜像が形成され、続いて第2現像器6Yによってイエロー用のカラートナーが付与され、これによりイエローのトナー像が形成される。
【0024】
さらに、同様にして感光体ドラム2は第3ラインヘッド5M及び第3現像器6Mによってマゼンダのトナー像が形成され、第4ラインヘッド5C及び第4現像器6Cによってシアンのトナー像が形成される。
そして、このように各サブ画素SB、SY、SM、SC毎にそれぞれ選択的に形成されたトナー像は、4色のトナー像からなるカラーのトナー像として感光体ドラム2上に形成された後、転写部7にて被転写体3に転写され、さらに定着部12にて定着される。これにより、被転写体3には、4色のカラートナーからなるカラー画像が転写され、形成されるのである。
【0025】
ところで、前記の各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、その発光点13が有機EL素子36からなっているため、前述したようにLEDに比べて発光輝度が低く、したがって発光輝度を高めるべく、これに通じる電流を高くする必要がある。しかし、電流を高くすると、有機EL素子36はその寿命が短くなり、露光した際に所望の露光量が得られる時間(期間)が短くなってしまう。なお、有機EL素子36の寿命は、例えば初期の輝度に対して、その輝度が半減するまでの発光時間で定義される。
【0026】
そこで、本発明では、図1に示すように前記各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cに、前記したように一つのサブ画素SB(SY、SM、SC)に対応して発光する発光点13を、他の発光点13に切り替える切替手段14が設けられている。この切替手段14は、例えば内部に寿命検出手段15と制御部16とを有したものである。寿命検出手段15は、例えば各ラインヘッド5B、5Y、5M、5C毎に、その発光点13(有機EL素子36)が何回発光を行ったかをカウントし、その発光時間を積算して予め設定された寿命(輝度が半減するまでの発光時間)に達したか否かを検出したり、有機EL素子36に印加した電圧のパルス幅を積算し、有機EL素子36に通じた総電流量が予め設定された寿命(輝度が半減するまでの発光時間)に対応する電流量に達したか否かを検出するものである。そして、予め設定した値に達した際、ラインヘッド5B(5Y、5M、5C)の使用している発光点13(有機EL素子36)を切り替えるように、制御部16に信号を出力するようになっている。
【0027】
制御部16は、寿命検出手段15から信号を受けると、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cに対し、発光させる発光点13(有機EL素子36)を切り替え、それまで休止させていた発光点13(有機EL素子36)を発光させるようになっている。例えば、本実施形態において各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cは、図4に示すように、×で示した発光点、すなわちラインヘッド5Bの発光点13−1、ラインヘッド5Yの発光点13−2、ラインヘッド5Mの発光点13−3、ラインヘッド5Cの発光点13−4は全てが寿命に達したと判定され、休止させられる。
【0028】
代わって、第1ラインヘッド5Bではその発光点13−2が、第2ラインヘッド5Yではその発光点13−3が、第3ラインヘッド5Mではその発光点13−4が、第4ラインヘッド5Cではその発光点13−1がそれぞれ発光するようになる。したがって、このように各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cでそれぞれ新たな発光点13を発光させることにより、感光体ドラム2上に形成される静電潜像は、図4に示したようにシアン(C)、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)の4色のサブ画素SC、SB、SY、SMが左からこの順に形成され、1単位分のカラー画素Pが構成されるようになる。
【0029】
そして、このようにして形成されるカラー画素Pは、各サブ画素SC、SB、SY、SM毎に、それぞれのカラーに対応する現像部6C、6B、6Y、6Mで順次現像され、最終的に、4色のトナー像からなるカラーのトナー像として感光体ドラム2上に形成される。その後、転写部7にて被転写体3に転写され、さらに定着部12に定着されることにより、被転写体3には、4色のカラートナーからなるカラー画像が形成される。
【0030】
ここで、感光体ドラム2上に形成され、さらにはこれが転写されて形成されるカラー画素Pは、そのサブ画素SC、SB、SY、SMの配列が図3に示したときと異なるものとなる。しかし、カラー画素Pは非常に小さな大きさ(面積)で形成されていることから、このような配列の違いは、実際に被転写体3に転写されて得られたカラー画像においては、目視では全く見分けがつかないものとなる。
【0031】
そして、前記寿命検出手段15により、使用している発光点13(有機EL素子36)が寿命に達したと再度判定されると、この信号を受けて制御部16は、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cに対し、再度発光させる発光点13(有機EL素子36)を切り替えるように制御する。また、それまで休止させていた発光点13(有機EL素子36)のうち、未使用の発光点13を発光させるように制御する。
【0032】
すなわち、各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cでは、図5に示すように×で示した、寿命がつきたと判定された発光点13が増加する。そして、これらに代わって、第1ラインヘッド5Bではその発光点13−3が、第2ラインヘッド5Yではその発光点13−4が、第3ラインヘッド5Mではその発光点13−1が、第4ラインヘッド5Cではその発光点13−2が、それぞれ発光するようになる。したがって、このように各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cでそれぞれ新たな発光点13を発光させることにより、感光体ドラム2上に形成される静電潜像は、図5に示したようにマゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(B)、イエロー(Y)の4色のサブ画素SM、SC、SB、SYが左からこの順に形成され、1単位分のカラー画素Pが構成されるようになる。
【0033】
さらに、前記寿命検出手段15により、使用している発光点13(有機EL素子36)が寿命に達したと再度判定されると、この信号を受けて制御部16は、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cに対し、再度発光させる発光点13(有機EL素子36)を切り替えるように制御する。また、それまで休止させていた発光点13(有機EL素子36)のうち、未使用の発光点13を発光させるように制御する。
【0034】
すなわち、各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cでは、図6に示すように×で示した、寿命がつきたと判定された発光点13がさらに増加する。そして、これらに代わって、第1ラインヘッド5Bではその発光点13−4が、第2ラインヘッド5Yではその発光点13−1が、第3ラインヘッド5Mではその発光点13−2が、第4ラインヘッド5Cではその発光点13−3がそれぞれ発光するようになる。したがって、このように各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cでそれぞれ新たな発光点13を発光させることにより、感光体ドラム2上に形成される静電潜像は、図6に示したようにイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の4色のサブ画素SY、SM、SC、SBが左からこの順に形成され、1単位分のカラー画素Pが構成されるようになる。
【0035】
その後、前記寿命検出手段15によってさらに使用している発光点13(有機EL素子36)が寿命に達したと判定されると、この信号を受けて制御部16は、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cが寿命に達したと判定する。これは、例えば寿命検出手段15からの寿命判定についての信号を4回、すなわち1単位分のカラー画素Pを構成するサブ画素の数分受けると、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cが寿命に達したと判定するように設定しておく。
そして、画像形成装置1に設けられた表示パネル(図示せず)に、ラインヘッドの交換時期がきたことを知らせるメッセージを表示させるとともに、その後の画像形成のための動作を停止させる。
【0036】
このような構成の画像形成装置1にあっては、発光させている発光点13を構成する有機EL素子36の寿命がつきたとき、一つのサブ画素に対応して発光する発光点13を、休止していた他の発光点13に切り替えるための切替手段14を備えているので、発光点13の寿命がつきたときこの切替手段14で切り替えを行うことにより、各ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cを正常に機能させることができる。したがって、このように切替手段14による切替動作を行わせることにより、ラインヘッドの寿命を、1単位分のカラー画素Pを構成するサブ画素(SB、SY、SM、SC)の数に対応して、通常の4倍に延ばすことができる。
【0037】
また、1つの帯電器4のみを用いて4色のカラートナーからなるカラー画像を被転写体3に転写できるようにしたので、全体を小型化することができ、特に小型化が要求される個人用として好適なものとなる。また、感光体ドラム2に対してラインヘッド5(5B、5Y、5M、5C)、現像部6(6B、6Y、6M、6C)をそれぞれ4つずつ備えているので、感光体ドラムを1周させることでカラー画像の転写を行うことができ、これにより高速で画像形成を行うことができる。
【0038】
また、前記切替手段14が、発光点13を構成する有機EL素子36の予め設定された寿命に対応して、全てのラインヘッド5B、5Y、5M、5Cを同時に切り替えるように構成されているので、1単位分のカラー画素Pを構成する全てのサブ画素SB、SY、SM、SCを同時に切り替えることができ、これにより1単位分のカラー画素Pにおいて輝度差に起因するむらが生じるのを防止することができる。
以上のようにこの画像形成装置1は、カラー画像を高速で形成することができ、しかも耐久性、長期信頼性も確保された、小型で優れたものとなる。
【0039】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計要求等に基づき種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態ではブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の4色のカラートナーを用いてカラー画像を転写・形成するようにしたが、ブラック(B)を除いた、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の3色のカラートナーを用いるようにしてもよい。
また、感光体ドラム2に対する露光・現像の順番についても、ブラック(B)、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)の順に限定されることなく、任意の順となるように、各ラインヘッド5B、5Y、5M、5C、各現像部6B、6Y、6M、6Cを任意の順に配置することができる。
【0040】
さらに、寿命検出手段15については、ラインヘッド5B、5Y、5M、5Cの発光点13(有機EL素子36)での発光時間等を積算するのに代えて、光センサ等によって発光点13で発光した光の輝度を直接測定し、予め設定した寿命に相当する輝度になったとき、寿命がつきたと判定するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置を示す概略構成図である。
【図2】(a)、(b)はラインヘッドの概略構成を説明するための図である。
【図3】ラインヘッドの各発光点とカラー画素中のサブ画素との関係を示す図である。
【図4】ラインヘッドの各発光点とカラー画素中のサブ画素との関係を示す図である。
【図5】ラインヘッドの各発光点とカラー画素中のサブ画素との関係を示す図である。
【図6】ラインヘッドの各発光点とカラー画素中のサブ画素との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1…画像形成装置、2…感光体ドラム、3…被転写体、4…帯電器、5B、5Y、5M、5C…ラインセンサ、6B、6Y、6M、6C…現像部、7…転写部、13…発光点、14…切替手段、15…寿命検出手段、16…制御手段、36…有機EL素子、P…カラー画素、SB、SY、SM、SC…サブ画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも異なる3つの色のカラートナーからなるカラー画像を転写する画像形成装置であって、
回転軸を有する感光体ドラムと、
前記感光体ドラムの表面を帯電させるための帯電器が1つと、
前記各色に対応してそれぞれ設けられた、前記感光体ドラム表面に静電潜像を形成するためのラインヘッドが少なくとも3つと、
前記各ラインヘッドで形成された感光体ドラム表面の静電潜像に、前記各ラインヘッドにそれぞれ対応するカラートナーを供給する現像部が少なくとも3つと、を備え、
前記各ラインヘッドは、前記感光体ドラムの副走査方向に沿って有機EL素子からなる発光点が直線的に配列され、該発光点の隣り合う少なくとも3つの発光点が、前記感光体ドラムに形成される静電潜像の1単位分のカラー画素に対応するように構成されてなり、
前記各発光点は、前記ラインヘッド毎に設定された一つのカラーのみに対応して、前記カラー画素のうちの一つのサブ画素に対応する発光点のみが発光するよう構成されてなり、
前記各ラインヘッドには、前記一つのサブ画素に対応して発光する発光点を、他の発光点に切り替える切替手段が設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記切替手段は、発光点を構成する有機EL素子の予め設定された寿命に対応して、全てのラインヘッドを同時に切り替えるよう構成されていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−80565(P2008−80565A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261140(P2006−261140)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】