説明

画像形成装置

【課題】既存の構成を利用して、ガイド部材を、常時、接地させて帯電を防止する。
【解決手段】装置本体1内で、像担持体12に形成したトナー像を記録媒体5に転写させた後、定着手段4により、記録媒体5にトナー像を定着させる。装置本体1内に回動可能に設けられ、搬送経路を形成することにより、定着手段4から搬送される記録媒体5をガイドするガイド部材24と、ガイド部材24を搬送経路から離間させるように付勢する付勢部材29とを設ける。ガイド部材24に接地される導電部27を形成する。付勢部材29は、ガイド部材24の回動位置に拘わらず、常時、導電部27に接触するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に記録媒体の通路をガイドするガイド部材の帯電を防止するための接地構造に特徴を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置として、紙等の記録媒体を搬送する搬送経路を構成する部材が帯電することを防止するために、例えば、特許文献1〜3に記載された構成のものが公知である。
【0003】
すなわち、特許文献1には、紙案内後部材をサイドフレームに位置決めすると、捩りコイルバネのバネ力によって係止状態となり、駆動ローラ軸及び補強フレームが捩りコイルバネからサイドフレームを介して接地されるようにした構成が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、導電性を有する弾性部材の一端を機能ユニットの導電性部材に圧接するように取り付け、機能ユニットが機器に挿入される際、弾性部材の他端を機器内に設けた導電性部材に圧接させるようにした構成が開示されている。
【0005】
さらに、特許文献3には、装着部にカートリッジを装着する際、まず、ドアを閉じることにより、その押込部でカートリッジを押し込み、その後、ばねによって引き込むようにし、かつ、このばねを電気基板に接触させて接地するようにした構成が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−41610号公報
【特許文献2】特開2006−95963号公報
【特許文献3】特開平10−254328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1〜3のいずれの構成であっても、構成部品(紙案内後部材、機能ユニット、カートリッジ)を装置本体に装着することにより、ばねが弾性変形し、接地されるようになっている。つまり、接地状態は常に得られているわけではなく、装着後でしかない。
【0008】
また、前記特許文献1〜3のいずれの構成であっても、ばね以外の幾つかの構成部品をも専用の構成として設計し直す必要がある。したがって、既存の構成に採用することはできない。
【0009】
そこで、本発明は、既存の構成を利用して、ガイド部材を、常時、接地させて帯電を防止することのできる画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
装置本体内で、像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させた後、定着手段により、記録媒体にトナー像を定着させるようにした画像形成装置であって、
前記装置本体内に回動可能に設けられ、搬送経路を形成することにより、前記定着手段でトナー像を定着された記録媒体をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材を搬送経路から離間させるように付勢する付勢部材と、を設け、
前記ガイド部材は導電部を備え、
前記装置本体は接地される導通部を備え、
前記付勢部材は、前記ガイド部材の回動位置に拘わらず、常時、前記各導電部にそれぞれ接触するように配置したものである。
【0011】
この構成により、ガイド部材が搬送経路を形成する位置と離間する位置のいずれの位置に回動していても、常に付勢部材が各導電部にそれぞれ接触し、接地状態を維持することができる。また、付勢部材を取り付けただけの簡単な構成で、ガイド部材を接地することができるので、組立性に優れ、安価に製作することが可能となる。
【0012】
前記ガイド部材は、前記定着手段に支軸を中心として回動可能に設けられ、
前記付勢部材は、前記支軸に外装されるコイル部と、前記ガイド部材の導電部に圧接する一端側の第1付勢部と、前記ガイド部材に圧接し、ガイド部材を搬送経路から離間させるように付勢し、前記装置本体の導通部に圧接する他端側の第2付勢部と、を備えた捩りコイルバネであるのが好ましい。
【0013】
前記捩りコイルバネは、第1付勢部が、略U字形に屈曲され、屈曲部分から徐々に広がるように形成され、
前記ガイド部材は、前記第1付勢部が圧入され、少なくとも圧入部分のいずれかに導電部が露出するガイド凹部を備えるのが好ましい。
【0014】
この構成により、第1付勢部をガイド凹部に圧入するだけで、導電部と電気的接続を図ることができる。
【0015】
前記ガイド凹部は、ガイド部材の一部と、該ガイド部材に固定され、導電性材料からなる補強部材の一部とで形成するのが好ましい。
【0016】
なお、前記付勢部材による付勢力は、前記ガイド部材の自重よりも若干大きいのが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガイド部材に接地した導電部を形成し、この導電部にガイド部材を搬送経路から離間させるように付勢するために設けた付勢部材を接触させるだけでよいので、既存部品に大幅な設計変更を必要とせず、安価に製作することができる。また、ガイド部材がいずれの位置に回動していたとしても、付勢部材によって接地状態を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置の概略図である。この画像形成装置は、装置本体1内に、給紙ユニット2、作像装置3、定着装置4(定着手段)、等を設けたものである。
【0020】
給紙ユニット2は、サイズの異なる用紙5(記録媒体)がそれぞれ収容される複数のカセット6で構成されている。図示しない操作パネル上で選択された、あるいは、自動的に選択されたサイズの用紙5が、該当するカセット6から排出されるようになっている。
【0021】
作像装置3は、中間転写ベルト7と、中間転写ベルト7に沿って配置される4つの画像形成ユニット8とを備える。中間転写ベルト7は、駆動ローラ9と従動ローラ10とに架け渡されており、図示しないモータを駆動して駆動ローラ9を回転させることにより、図1中、矢印方向に循環移動するようになっている。各画像形成ユニット8は、帯電器11によって感光体12(像担持体)を帯電し、露光器13によって選択的に露光して静電潜像を形成し、現像器14によってトナーを付着させ、トナー画像を形成するものである。
【0022】
各画像形成ユニット8で形成されたトナー画像は、1次転写ローラ15によって中間転写ベルト7を感光体12に押圧することにより、中間転写ベルト7に転写される。また、駆動ローラ9と2次転写ローラ16によって中間転写ベルト7に転写されたトナー像が用紙5に転写される。なお、前記各画像形成ユニット8には、トナーカートリッジからイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナーがそれぞれ供給される。
【0023】
定着装置4は、図1、図2、図7及び図9に示すように、加圧ローラ17及び定着ローラ18を支持フレーム19によって回転可能に支持したものである。加圧ローラ17は、定着ローラ18側を除いて、カバー20によって覆われている。上面カバー20a及び側面カバー20bの内側には、図9に示すように、定着フレーム21(導通部)が配置されている。この定着フレーム21は、金属製板材を断面略L字形としたもので、接地され、上面が上面カバー20aの一部に露出している。定着ローラ18には加熱ローラ22との間にベルト23が掛け渡されている。加圧ローラ17を図示しないモータで回転させることにより、ベルト23を介して定着ローラ18と加熱ローラ22が回転する。
【0024】
また、定着装置4には、ガイド部材24によって搬送経路が形成され、通過する用紙5にトナー画像が定着された後、排出トレイ25へと導かれるようになっている。
【0025】
ガイド部材24は、図5及び図6に示すように、ガイド板26に補強板27(導通部)を固定し、図4に示すように、被覆板28で覆ったもので、装置本体1に支軸1aを中心として回動可能に支持されている。支軸1aには、捩りコイルバネ29(付勢部材)が取り付けられ、ガイド部材24は、搬送経路から離間するように付勢されている。ガイド部材24は、図示しない係止手段によって位置決めされ、搬送経路の一部を構成する。
【0026】
ガイド板26は合成樹脂材料を成形加工したもので、定着装置4の支持フレーム19側とで搬送経路を形成する。ガイド板26には、支持フレーム19側に回転自在に設けたガイドローラ19aとで用紙5を搬送可能にガイドするガイドローラ26aが回転自在に設けられている。また、ガイド板26には、レバー30が取り付けられている。レバー30は、搬送経路(ガイドローラの間)を通過する用紙5の有無を検出するようになっている。
【0027】
補強板27は、樹脂製のガイド板26だけでは、そり等の変形による不具合(用紙5を適切に搬送できない等)が発生するため、この変形を防止できるようにガイド板26に一体的に設けられる。補強板27には、導電性金属材料が使用されている。ガイド板26内には、電気部品として、前記ガイド板26に設けたレバー30が動作したか否かを検出するフォトスイッチ(図示せず)等が取り付けられている。フォトスイッチでの検出信号は、図示しない制御装置へと出力され、用紙5の通過状態が検出されるようになっている。
【0028】
ガイド板26に補強板27を一体化した状態では、ガイド板26の一部に形成した起立壁26bと、補強板27の一部をクランク状に屈曲して形成したガイド壁27aとで筒状のガイド凹部31が形成されている。ガイド壁をクランク状に屈曲しているのは、厚肉とすることなく、簡単な構造で所望の強度を得るためである。そして、この補強構造を得るために、従来からガイド凹部31として利用可能な空間が形成されている。つまり、既存の構成に何等変更を加えることなく、後述する捩りコイルバネ29の取付が可能となっている。
【0029】
被覆板28は、補強板27を一体化したガイド板26に固定され、フォトスイッチ等を含めた、搬送経路を構成するガイド板26の表面を除いた部分の全体を覆う。被覆板28の両端部には支軸がそれぞれ突設され、ガイド部材24は支持フレーム19に、この支軸を中心として回転可能に支持されている。また、図8及び図9に示すように、被覆板28と装置本体1との間には、元々隙間が形成されている。そして、この隙間を取付部32として後述する捩りコイルバネ29の取付に利用している。
【0030】
捩りコイルバネ29は、前記被覆板28の支軸に外装されるコイル部33と、その両端部にそれぞれ形成される第1付勢部34及び第2付勢部35とからなる。第1付勢部34は、略U字形に屈曲され、屈曲部分から徐々に広がるように形成された、いわゆるヘアピン形状となっている。第1付勢部34は、挿入先端側が幅狭となり、前記ガイド凹部31に容易に挿入することができる。また、所定位置まで挿入すると、広がった部分が内側に弾性変形することにより、確実に接地状態を得ることができる。さらに、第1付勢部34及び第2付勢部35と、コイル部33とは、コイル部33を被覆板28の支軸に取り付けた状態で、第1付勢部34を前記ガイド凹部31に、第2付勢部35を前記取付部32に圧入可能な位置関係となっている。したがって、コイル部33を支軸に外装するだけで、簡単に取り付けることができ、組立作業性を悪化させることがない。また、取付状態では、ガイド部材24は、捩りコイルバネ29によって搬送経路側から離間するように付勢される。この場合、捩りコイルバネ29による付勢力は、ガイド部材24の自重よりも若干大きくなるように設定されている。したがって、係止手段による係止状態を解除すれば、自動的にガイド部材24が回動し、あるいは、回動させやすく、簡単に搬送経路を開放することができる。
【0031】
次に、前記構成の画像形成装置の動作について説明する。
【0032】
画像形成時には、画像読取部で画像を読み取って得られたカラープリントデータ、又はパーソナルコンピュータ等から出力された画像データは、制御部で所定の信号処理が施された後、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色の画像信号として、各画像形成ユニット8に供給される。各画像形成ユニット8は、それぞれの感光体ドラム7上に画像信号で変調されたレーザ光が投射されて画像潜像が形成される。各感光体ドラム7上にはイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が形成される。形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像は、1次転写ローラ15の作用により、移動する中間転写ベルト7上に順次重ね合わせて1次転写される。このようにして中間転写ベルト7上に形成された重ね合わせトナー画像は、中間転写ベルト7の移動に従って2次転写ローラ側へと移動する。
【0033】
また、給紙ユニット2から用紙5が供給される。供給された用紙5は、搬送ローラによって2次転写ローラ16と中間転写ベルト7の間へと搬送され、中間転写ベルト7に形成されたトナー画像が転写される。トナー画像を転写された用紙5は、さらに定着装置4へと搬送され、そこで、転写されたトナー画像が定着される。用紙5が定着装置4を通過する際、摩擦等により電荷を帯びることがあり、金属材料からなる補強板27に帯電する恐れがある。しかし、前述の通り、補強板27には、捩りコイルバネ29が接触し、この捩りコイルバネ29は接地された支持フレーム19に接触している。したがって、補強板27から捩りコイルバネ29及び支持フレーム19を介して放電されることになり、補強板27が帯電することはない。これにより、ガイド部材24に設けた電気部品が帯電による悪影響を受けて損傷したり、用紙5にトナー画像を定着させる際にノイズが発生して適切な画像形成を行えなくなったりというような不具合の発生を防止することができる。
【0034】
また、定着装置4で紙詰まり等が発生した場合には、図示しない係止手段による係止状態を解除し、ガイド部材24を、図3に示すように、支軸1aを中心として回動させることにより搬送経路を開放する。この間、捩りコイルバネ29により補強板27と支持フレーム19との導通状態が維持され、接地された状態が解除されることはない。つまり、画像形成時だけでなく、ガイド部材24を開放する際であっても、常に接地状態が維持され、帯電を防止し、前述の不具合の発生を確実に防止することが可能となる。
【0035】
なお、本発明は、前記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、ガイド部材24は定着装置4と一体的に設けるようにしたが、別体としてもよい。また、捩りコイルバネ29は、支軸1aの一端側にのみ設けるようにしたが、両端に設けるようにしてもよいし、可能であれば中間部分に設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の概略図である。
【図2】図1の定着装置の斜視図である。
【図3】図2からガイド部材を回動させて搬送経路を開放した状態を示す斜視図である。
【図4】図2のガイド部材の斜視図である。
【図5】図4から被覆板を除去した状態での斜視図である。
【図6】図5の部分拡大斜視図である。
【図7】図3の部分拡大平面図である。
【図8】図7でガイド部材を除去した状態を示す図である。
【図9】図1の定着装置を含む近傍部分の概略断面図である。
【符号の説明】
【0037】
1…装置本体
1a…支軸
2…給紙ユニット
3…作像装置
4…定着装置(定着手段)
5…用紙(記録媒体)
6…カセット
7…中間転写ベルト
8…画像形成ユニット
9…駆動ローラ
10…従動ローラ
11…帯電器
12…感光体(像担持体)
13…露光器
14…現像器
15…1次転写ローラ
16…2次転写ローラ
17…加圧ローラ
18…定着ローラ
19…支持フレーム
19a…ガイドローラ
20…カバー
20a…上面カバー
20b…側面カバー
21…定着フレーム
22…加熱ローラ
23…ベルト
24…ガイド部材
25…排出トレイ
26…ガイド板
26a…ガイドローラ
26b…起立壁
27…補強板(導電部)
27a…ガイド壁
28…被覆板
29…捩りコイルバネ(付勢部材)
30…レバー
31…ガイド凹部
32…取付部
33…コイル部
34…第1付勢部
35…第2付勢部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内で、像担持体に形成したトナー像を記録媒体に転写させた後、定着手段により、記録媒体にトナー像を定着させるようにした画像形成装置であって、
前記装置本体内に回動可能に設けられ、搬送経路を形成することにより、前記定着手段でトナー像を定着された記録媒体をガイドするガイド部材と、
前記ガイド部材を搬送経路から離間させるように付勢する付勢部材と、を設け、
前記ガイド部材は導電部を備え、
前記装置本体は接地される導通部を備え、
前記付勢部材は、前記ガイド部材の回動位置に拘わらず、常時、前記各導電部にそれぞれ接触するように配置したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記定着手段に支軸を中心として回動可能に設けられ、
前記付勢部材は、前記支軸に外装されるコイル部と、前記ガイド部材の導電部に圧接する一端側の第1付勢部と、前記ガイド部材に圧接し、ガイド部材を搬送経路から離間させるように付勢し、前記装置本体の導通部に圧接する他端側の第2付勢部と、を備えた捩りコイルバネであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記捩りコイルバネは、第1付勢部が、略U字形に屈曲され、屈曲部分から徐々に広がるように形成され、
前記ガイド部材は、前記第1付勢部が圧入され、少なくとも圧入部分のいずれかに導電部が露出するガイド凹部を備えたことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ガイド凹部は、ガイド部材の一部と、該ガイド部材に固定され、導電性材料からなる補強部材の一部とで形成したことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記付勢部材による付勢力は、前記ガイド部材の自重よりも若干大きいことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−192704(P2009−192704A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31756(P2008−31756)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】