説明

画像形成装置

【課題】内部機能に対する操作を開始した時に、内部機能に対する問題を確実に認識することが出来る画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】画像形成装置が、操作部と、内部機能の動作状態を検出する動作状態検出部と、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記内部機能に対する操作指示を前記操作部に受け付けさせない制御部とを具備するという手段を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複合機等の画像形成装置は、用紙搬送ローラの駆動モータ等の各種内部機能及びフィニッシャー等のオプション装置のメンテナンス時にサービスマンによって使用されるメンテナンス専用の画面及び動作モードを具備している。サービスマンは、上記メンテナンス専用の画面及び動作モードを使用して、各種内部機能及びオプション装置に対する種々の設定を実施したり、また上記モータを試験的に回転させて現在の動作状態を通知するメッセージ等によって動作状態を確認する。なお、上記メンテナンス専用の画面及び動作モードを使用してオプション装置に設定を行うには、オプション装置が画像形成装置と正常に通信していなければならず、下記特許文献1に開示されているオプション装置のコネクタ抜けを検出する技術等を利用して通信の問題を排除しておく必要がある。
【特許文献1】特開平8−249248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来技術では、内部機器に問題がある場合に、この問題を通知するメッセージ等を表示することによって、サービスマンに内部機器の問題を通知するが、問題を通知した後にも当該問題に関係なく内部機器に対する設定等の各種操作を継続して行うことが可能である。その為、この内部機器の問題をサービスマンが見落としていた場合に、サービスマンはこの問題に気付かないまま内部機器に対する操作を終了してしまう恐れがある。また、サービスマンが内部機器に対する操作の途中に問題に気付いた場合でも、それまでサービスマンが行っていた内部機器に対する操作が、無駄になる可能性がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、内部機能に対する操作を開始した時に、内部機能に対する問題を確実に認識することが出来る画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、画像形成装置に係る第1の解決手段として、操作部と、内部機能の動作状態を検出する動作状態検出部と、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記内部機能に対する操作指示を前記操作部に受け付けさせない制御部とを具備するという手段を採用する。
【0006】
本発明では、画像形成装置に係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記操作部は、タッチパネルを有し、前記タッチパネルが表示する操作ボタンの押下によって前記内部機能に対する操作指示を受け付け、前記制御部は、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記操作ボタンを前記タッチパネルにグレーアウト表示させると共に前記操作ボタン押下による前記内部機能に対する操作指示を受け付けさせないという手段を採用する。
【0007】
本発明では、画像形成装置に係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記制御部は、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に基づいて、内部機能が有する複数の機能のうち特定の機能に問題があると判断した場合に、前記内部機能の前記特定の機能に関連する操作指示を前記操作部に受け付けさせないという手段を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、画像形成装置が、操作部と、内部機能の動作状態を検出する動作状態検出部と、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記内部機能に対する操作指示を前記操作部に受け付けさせない制御部とを具備することによって、サービスマンが何かしら問題の存在する内部機器の操作指示を操作部に受け付けさせようとしても、操作部はその操作指示を受け付けない為、サービスマンは内部機能に対する操作を開始したときに内部機能に対する問題を確実に認識することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。本発明の画像形成装置の一つである複写機能及び印刷機能を有する複合機に関する。図1は本実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。複合機Aは、CPU(Central Processing Unit)1、ROM(Read Only Memory)2、RAM(Random Access Memory)3、各種センサ群4、用紙搬送部5、画像読取部6、印刷データ記憶部7、画像形成部8、通信I/F部9、操作表示部10を備えている。
【0010】
CPU1は、ROM2に記憶されている制御プログラム、各種センサ群4から入力される検出信号、印刷データ記憶部7に記憶されている画像データ、通信I/F部9を介して図示しないパーソナルコンピュータから入力される印刷指示、操作表示部10から入力される操作指示及基づいて複合機Aの全体動作を制御する。このCPU1の制御処理の詳細については、以下に複合機Aの動作として説明する。
ROM2は、CPU1が実行する制御プログラム及びその他のデータを記憶する不揮発性メモリである。
RAM3は、CPU1が制御プログラムを実行して各種動作を行う際に、データの一時保存先となるワーキングエリアとして用いられる揮発性メモリである。
【0011】
各種センサ群4は、例えば用紙切れ検出センサや、用紙詰まり検出センサ、用紙位置検出センサ、温度センサ等の画像形成動作に必要な各種センサであり、それぞれのセンサで検出した各種の情報を検出信号としてCPU1に出力する。この各種センサ群4は、各種センサの1つとして各種内蔵モータの動作状態を検出する動作状態検出センサ4aを有する。動作状態検出センサ4aは、各種内蔵モータに設置され、内蔵モータの動作状態の検出結果をCPU1に出力する。
用紙搬送部5は、用紙トレイに収納されている用紙を画像形成部8に搬送するための搬送ローラ及び搬送ローラ駆動用のモータや、画像形成処理後の用紙を図示しない排紙トレイに搬送するための排出ローラ及び排出ローラ駆動用の排出モータなどから構成されている。
【0012】
画像読取部6は、ADF(自動原稿送り装置)とCCD(Charge Coupled Device)センサ等を備え、ADFによって順次給紙される原稿の画像をCCDセンサに読み取らせ、原稿画像に基づく印刷データを出力する。なお、画像読取部6は、印刷データをCPU1に出力し、一方、CPU1は、原稿の印刷データを印刷データ記憶部7に記憶させる。
印刷データ記憶部7は、例えばフラッシュメモリであり、CPU1の要求に応じて原稿の印刷データを記憶する一方、原稿の印刷データをCPU1に出力する。
【0013】
画像形成部8は、CPU1の制御の下、印刷データ記憶部7に記憶されている印刷データに基づいて、用紙搬送部5から搬送される用紙にトナー像を転写し、当該トナー像の定着処理を行う。
通信I/F部9は、複合機Aと図示しないパーソナルコンピュータとの間で信号を送受信する為のインターフェースであり、図示しないローカルエリアネットワークによって上記パーソナルコンピュータと接続されている。
【0014】
操作表示部10は、スタートキー、ストップキー、電源キー、テンキー(数値入力キー)、タッチパネル10a、クリアキーやその他の各種操作キー、を備えており、それぞれのキーの操作指示をCPU1に出力すると共に、CPU1の制御の下、タッチパネル10aに種々の画面を表示する。
【0015】
次に、上記のように構成された本実施形態に係る複合機Aの動作について図2を参照して詳しく説明する。図2は、本実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
複合機Aのメンテナンスを実施するサービスマンは、複合機Aに内蔵される排出モータ等の内蔵モータいずれかの動作状態を確認する場合に、操作表示部10の操作によってタッチパネル10aに確認対象の内蔵モータを選択する画面(内蔵モータ選択画面)を表示させる。
【0016】
複合機AのCPU1は、操作表示部10が内蔵モータ選択画面の表示指示を受け付けたか否か判定し(ステップS1)、ステップS1において『NO』と判定した場合には、すなわち内蔵モータ選択画面の表示指示を受け付けていないと判定した場合には、内蔵モータ選択画面の表示指示を受け付けるまで待機し、ステップS1において『YES』と判定した場合には、すなわち内蔵モータ選択画面の表示指示を受け付けた場合には、暗証番号の入力を促す暗証番号入力画面を表示する(ステップS2)。
【0017】
CPU1は、操作表示部10が暗証番号の入力を受け付けたか否か判定し(ステップS3)、ステップS3において『NO』と判定する場合には、すなわち暗証番号の入力を受け付けていないと判定した場合には、操作表示部10が暗証番号の入力を受け付けるまで待機し、ステップS3において『YES』と判定した場合には、すなわち操作表示部10が暗証番号の入力を受け付けたと判定した場合には、当該暗証番号がROM2に記憶される正しい番号と一致するか否か判定する(ステップS4)。
【0018】
CPU1は、ステップS4において『NO』と判定した場合には、すなわち当該暗証番号がROM2に記憶される正しい番号と一致しない場合には、ステップS3に移行し、ステップS4において『YES』と判定した場合には、すなわち当該暗証番号がROM2に記憶される正しい番号と一致すると判定した場合には、内蔵モータ選択画面を表示する(ステップS5)。
【0019】
内蔵モータ選択画面について図3を参照して説明する。図3は、上記内蔵モータ選択画面の一例を示す図である。図3に示すように内蔵モータ選択画面は、「原稿搬送モータ」、「感光ドラムモータ」、「定着モータ」、「排出モータ(正転)」及び「排出モータ(逆転)」のいずれかを選択する為の選択ボタンを表示する。原稿搬送モータ(図示なし)は画像読取部6のADFが有する原稿搬送ローラを回転駆動するモータであり、感光ドラムモータ(図示なし)は画像形成部8が有する感光ドラムを回転駆動させるモータであり、定着モータ(図示なし)は、画像形成部8が有する定着ローラを回転駆動させるモータであり、排出モータ(図示なし)は用紙搬送部5が有する排出ローラを回転駆動するモータである。そして、「排出モータ(正転)」は、排出モータの正転動作を確認する為の選択ボタンであり、「排出モータ(逆転)」は、排出モータの逆転動作を確認する為の選択ボタンである。
【0020】
CPU1は、ステップS5の後に、原稿搬送モータ、感光ドラムモータ、定着モータ及び排出モータの各内蔵モータに設置される動作状態検出センサ4aに動作状態検出指示を出力し(ステップS6)、動作状態検出指示の出力から所定の時間内に各内蔵モータに設置される動作状態検出センサ4aから動作状態検出結果を入力されたか否か判定する(ステップS7)。なお、排出モータに設置された動作状態検出センサ4aは、排出ローラの正転動作及び逆転動作の結果を動作状態検出結果としてCPU1に出力する。
【0021】
CPU1は、ステップS7において『NO』と判定した場合には、すなわち各内蔵モータに設置される動作状態検出センサ4aから所定の時間内に動作状態検出結果を入力されなかった場合には、動作状態検出結果を入力できていない動作状態検出センサ4aが設置される内蔵モータの選択ボタンをタッチパネル10aにグレーアウト表示させると共にグレーアウト表示させた選択ボタンの押下による操作指示をタッチパネル10aに受け付けさせないようにする(ステップS8)。
【0022】
CPU1は、ステップS7において『YES』と判定した場合には、すなわち各内蔵モータに設置される動作状態検出センサ4aから所定の時間内に動作状態検出結果を入力された場合には、各内蔵モータにおける動作状態検出結果にエラー情報が含まれないか否か判定する(ステップS9)。
【0023】
CPU1は、ステップS9において『NO』と判定した場合には、すなわち動作状態検出センサ4aから受信した動作状態検出結果にエラー情報が含まれている場合には、動作状態検出結果にエラー情報の含まれている内蔵モータの選択ボタンをタッチパネル10aにグレーアウト表示させると共グレーアウト表示させた選択ボタンの押下による操作指示をタッチパネル10aに受け付けさせないようにする(ステップS10)。
【0024】
CPU1は、ステップS9において『NO』と判定した場合には、すなわち動作状態検出センサ4aから受信した動作状態検出結果にエラー情報が含まれている場合には、タッチパネル10aに内蔵モータ選択画面の選択ボタンを通常表示させると共に選択ボタンの押下による操作指示をタッチパネル10aに受け付けさせる(ステップS11)。
【0025】
以上のように、本実施形態に係る複合機Aでは、CPU1が、タッチパネル10aに内蔵モータ選択画面を表示させる場合に、原稿搬送モータ、感光ドラムモータ、定着モータ及び排出モータの各内蔵モータに設置される動作状態検出センサ4aに動作状態確認指示を送信し、所定時間内に動作状態検出センサ4aから動作状態確認結果を入力されない場合には、その動作状態検出センサ4aが設置される内蔵モータの選択ボタンをタッチパネル10aにグレーアウト表示させる共にグレーアウト表示させた選択ボタンの押下による操作指示をタッチパネル10aに受け付けさせないようにし、また動作状態検出結果にエラー情報が含まれている場合も、動作状態検出結果にエラー情報含まれる内蔵モータの選択ボタンをタッチパネル10aにグレーアウト表示させる共にグレーアウト表示させた選択ボタンの押下による操作指示をタッチパネル10aに受け付けさせないようにすることによって、サービスマンが何かしら問題の存在する内蔵モータの選択ボタンを押下しても操作指示をタッチパネルが受け付けない為、サービスマンは内部機能に対する操作を開始したときに内部機能に対する問題を確実に認識することが出来る。
【0026】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、例えば以下のような変形が考えられる。
(1)上記実施形態では、CPU1が、動作状態検出センサ4aから動作検出結果を入力されない場合及び動作検出結果にエラー情報が含まれている場合に、内蔵モータの選択ボタンをグレーアウト表示させたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、選択ボタンをグレーアウト表示するかわりに、選択ボタンを押下された際に、操作指示を受け付けない旨を通知する警告音またはLED(Light Emitting Diode)光等を発生させるようにしてもよい。
【0027】
(2)上記実施形態では、CPU1が、タッチパネルに内蔵モータ選択画面の選択ボタンをグレイアウト表示させると共に操作指示を受け付けさせないようにしたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、内蔵モータ以外の感光ドラムに関するものとして、印加される電圧に応じて感光ドラム上に形成されるトナー像の濃度をサービスマンが設定する場合に、CPU1が、電圧に応じた濃度をセンサによって検出させ、この検出結果に基づいて、動作上に問題のある濃度(例えば、極濃または極薄等)を設定できないようにする為に、この動作上に問題のある濃度の設定指示をタッチパネルに受け付けさせないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る本実施形態に係る複合機Aの機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る複合機Aの動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る複合機Aの内蔵モータ選択画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
A…複合機、1…CPU、2…ROM、3…RAM、4…各種センサ群、4a…動作状態検出センサ、5…用紙搬送部、6…画像読取部、7…印刷データ記憶部、8…画像形成部、9…通信I/F部、10…操作表示部、10a…タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
内部機能の動作状態を検出する動作状態検出部と、
前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記内部機能に対する操作指示を前記操作部に受け付けさせない制御部と
を具備することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部は、タッチパネルを有し、前記タッチパネルが表示する操作ボタンの押下によって前記内部機能に対する操作指示を受け付け、
前記制御部は、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に問題がある場合に、前記操作ボタンを前記タッチパネルにグレーアウト表示させると共に前記操作ボタン押下による前記内部機能に対する操作指示を受け付けさせないことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記動作状態検出部が検出した内部機能の動作状態に基づいて、内部機能が有する複数の処理のうち特定の処理に問題があると判断した場合に、前記内部機能の前記特定の処理に関連する操作指示を前記操作部に受け付けさせないことを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−233865(P2009−233865A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79041(P2008−79041)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】