画像形成装置
【課題】 専用のAC入力電圧検出用の回路を設けることなく、100V,200V共通の交流駆動のヒータを、商用電源の電圧の大きさに拘わらず、適正な電力で駆動させる。
【解決手段】 電源のPFC回路20で元々使用されている構成を利用して、PFC駆動電流Ipfcを制御部90が検出し、検出した電流値に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを決定し、決定したAC入力電圧に基づいてトライアック63の駆動を制御して、セラミックヒータ62に供給される電力を適正化する。
【解決手段】 電源のPFC回路20で元々使用されている構成を利用して、PFC駆動電流Ipfcを制御部90が検出し、検出した電流値に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを決定し、決定したAC入力電圧に基づいてトライアック63の駆動を制御して、セラミックヒータ62に供給される電力を適正化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はPFC方式の電源装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置の電気的な負荷に対しては、電源の電圧値を基準とした定格電力が定められており、日本国内向けモデルでは、交流電圧100Vを基準として製品や負荷の設計がされている。しかしながら海外向けモデルでは交流電圧が100Vでない場合がほとんどである。例えば、交流電圧100Vを基準として設計された製品の交流負荷に対し、交流電圧200Vをそのままの波形パターンで入力すると、交流負荷には2倍の電圧が供給されてしまう。この場合、交流負荷の消費電力は交流入力電圧の2乗に比例するので、100V入力の場合の4倍となり、機器の故障や不具合が発生する場合がある。
【0003】
ここで、画像形成装置において内部に収容されている記録紙を乾燥状態に保つためのセラミックヒータを交流負荷の例として考える。例えば交流電圧100Vの電圧に対して200Wの定格電力となるセラミックヒータに200Vの電圧で100Vと同じ条件で電力を供給した場合は、セラミックヒータの消費電力が800Wとなり、セラミックヒータの故障や性能の劣化を招く。そのため、特許文献1では、入力電圧の大きさを判定して、入力電圧が定格電圧よりも大きい場合は、負荷に対して給電状態と非給電状態を切り替えることにより負荷に供給される電力を一定にするといった対策を行っている。
【特許文献1】特開2007−110839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の手法では、入力電圧を判定するための専用の電圧検出回路が必要になるためにそのためのスペースを確保する必要があり、また装置のコストUP要因にもなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、請求項1の画像形成装置は、商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、前記電源回路のスイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、検出した電流に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、前記電力制御素子を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記電流検出回路の出力を入力して、前記電流検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の画像形成装置は、商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、前記電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路を有し、検出した電圧に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、前記電力制御素子を制御する制御部と、有し、前記制御部は、前記電圧検出回路の出力を入力し、前記電圧検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、専用の電圧検出回路を設けることなく、安価な構成で商用電源の入力電圧を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明における第1の実施の形態における画像形成装置の概略断面図を図1に示す。本実施形態における画像形成装置は、商用電源の電圧が異なる地域別に製造されたものではなく、例えば、100V系の地域でも200V系の地域でも同じ構成のまま使用できるようになっている。そのために、商用電源が直接供給される交流負荷に対する電力供給を商用電源の入力電圧に応じて異ならせている。
【0010】
同図に示す画像形成装置は、画像形成装置本体M内に4箇所の画像形成部(画像形成ステーション)、すなわち第1の画像形成部PA、第2の画像形成部PB、第3の画像形成部PC、第4の画像形成部PDが並設されている。各画像形成部PA〜PDではそれぞれ例えばイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像が帯電、露光、現像、転写の各プロセスを経て形成される。
【0011】
各画像形成部PA〜PDはそれぞれ専用の感光ドラム1A,1B,1C,1Dを有している。これら感光ドラム1A,1B,1C,1Dは、帯電ローラ2A,2B,2C,2Dによって帯電され、レーザビームスキャナ3A,3B,3C,3Dによって静電潜像が形成される。それぞれの静電潜像は、現像器4A,4B,4C,4Dによってトナーが付着されて各色のトナー像が形成される。
【0012】
また、感光ドラム1A〜1Dに隣接して、中間転写ベルト(中間転写体)23が配設されている。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト23が被転写体に相当する。また、中間転写体としては中間転写ベルトに代えて中間転写ドラムを使用することも可能である。中間転写ベルト23は、駆動ローラ24、従動ローラ25、二次転写対向ローラ26に掛け渡されている。転写ベルト23の内側には、一次転写ローラ(転写部材)9A,9B,9C,9Dが配設されている。中間転写ベルト23は、これら一次転写ローラ9A〜9Dによって感光ドラム1A〜1Dに押圧されている。これにより中間転写ベルト23と感光ドラム1A〜1Dの間には、一次転写ニップ部(転写部)T1が形成されている。感光ドラム1A上に形成されたイエロー(1色目)のトナー像は、一次転写ローラ9Aに転写バイアス印加電源(不図示)によって一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト23上に一次転写される。以下、同様にして、マゼンタ(2色目),シアン(3色目),ブラック(4色目)のトナー像が中間転写ベルト23上に順次に一次転写されて重ね合わされる。
【0013】
中間転写ベルト23上に形成された4色のトナー像は、給紙カセット5から供給された記録材Pに転写される。給紙カセット5内に収納されていた記録材Pは、給送ローラ6によって給紙され、レジストローラ7によりタイミングをとって中間転写ベルト23と二次転写ローラ(転写部材)27との間の転写部としての二次転写ニップ部(転写部)T2に供給される。なお、給紙カセット5内の記録材Pは、カセットヒータ即ち、交流負荷としてのセラミックヒータ62により吸湿している水分を除去されるようになっている。二次転写ローラ27には、転写バイアス印加電源(不図示)によって二次転写バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト23上の4色のトナー像は、記録材P上に一括で二次転写される。このときに二次転写ローラ27に印加される転写電圧も上述の一次転写バイアスと同様にして決定する。
【0014】
この二次転写時に、記録材Pに転写されないで、中間転写ベルト23上に残ったトナー(転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニング装置28によって除去される。
【0015】
記録材Pに転写されたトナー像は定着器11により記録時Pに定着され、機外へ排出される。
【0016】
第1の実施の形態における電源回路の構成図を図2に示す。商用交流電源からの交流電圧が整流回路10により全波整流され、その出力は高周波リップル吸収用の小容量コンデンサC1を介して脈流とされ、昇圧形チョッパ回路からなる電源回路としてのPFC回路20により安定な直流出力に変換される。この直流出力が第1の負荷50に供給される。第1の負荷50については後述する。
【0017】
PFC回路20は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1とともに整流回路10の出力間に直列接続されたインダクタL1と、ダイオードD1とコンデンサC2とを有する。ダイオードD1はスイッチング素子Q1の非導通時にインダクタL1を通して電流が流れるように接続されている。スイッチング素子Q1は変換された直流電圧を交流電源の周波数より充分に高い周波数で導通(オン)・非導通(オフ)駆動する。これにより、コンデンサC2の両端から平滑化され電圧安定化された直流出力が取り出される。PFC回路20の出力は電源制御回路としてのPFC制御回路70により制御される。制御部90は電力制御素子としてのトライアック63の駆動を制御することにより交流負荷であるセラミックヒータ62への電力供給を制御する。
【0018】
なお、図示していないが、制御部90を動作させるための電源が別途設けられている。
【0019】
図3は図2に示すPFC制御回路70の詳細を示す回路図である。PFC回路20の出力電圧V2を抵抗R2、R3で分圧した電圧V3が乗算器MUL40の一方の入力となる(乗算器MUL40の端子B)。また、乗算器MUL40にはPFC回路20の入力電圧V1(交流入力の全波整流波形)が入力され(乗算器MUL40の端子A)。乗算器MULからはPFC回路20の入力電圧V1と同位相の全波整流波形で、かつPFC回路20の出力電圧V2を分圧した電圧V3に対応した振幅のしきい値信号が出力される。
【0020】
スイッチング素子Q1に流れる電流Ipfcは抵抗R1で電圧に変換され、その信号はPFC制御回路70の端子Cより入力され、駆動電流検出回路30により検出される。その電流検出信号と乗算器MULからのしきい値信号とが比較器COで比較される。電流検出信号がしきい値信号よりも小さければ、駆動パルス発生回路60が比較器COからの信号を受けてスイッチング素子Q1を動作させる駆動パルスを端子Dから出力する。スイッチング素子Q1が導通するとインダクタL1を通してスイッチング素子Q1に流れる電流Ipfcが徐々に増加するが、電流検出信号がしきい値信号のレベルに達したとき比較器COの出力が所定の信号を出力する。なお、駆動電流検出回路30で検出された信号は制御部90へも出力される。
【0021】
電流検出信号がしきい値信号よりも大きくなると、駆動パルス発生回路60が駆動パルスの出力を停止し、スイッチング素子Q1が非導通となる。スイッチング素子Q1が非導通になると、インダクタL1からダイオードD1を通して出力側に流れる電流が徐々に減少する。
【0022】
そして、スイッチング素子Q1が非導通になってから所定の時間が経過するとスイッチング素子Q1が再び導通して電流Ipfcが徐々に増加する。その電流Ipfcがしきい値信号のレベルに達するとスイッチング素子Q1が非導通となり、インダクタL1を流れる電流が徐々に減少する。以上の動作を繰り返すことで、スイッチング素子Q1が交流電源より充分高い周波数で導通・非導通駆動され、電流Ipfcが前記しきい値信号に一致するように制御がなされる。また、導通と非導通の割合をデューティといい、商用電源の入力電圧によりその値は決まる。
【0023】
なお、駆動パルス発生回路60には制御部90からのリモート信号が入力されており、リモート信号がオフであると、比較器COからの出力に拘わらず、駆動パルスの出力を停止した状態となる。即ち、リモート信号がオンになって初めてPFC回路20が動作する。
【0024】
以上のような制御により、脈流入力の電流Iの包絡線は正弦波となり、その高調波成分を抑圧することにより力率が改善される。
【0025】
次に、交流負荷であるセラミックヒータ62の制御方法について説明する。上述したように、セラミックヒータ62は図1のカセットヒータとして用いられている。
【0026】
図2において、ゼロクロス信号検知回路80は、商用交流電源からの交流電流の値がゼロになった時にゼロクロス信号を出力する。PFC回路20においてスイッチング素子Q1の駆動電流(PFC駆動電流Ipfc)は、入力電圧の減少に反比例して増加する。出力電圧を常に一定にする場合は入力電圧が大きいほどPFC駆動電流Ipfcを小さくする必要がある。よって、入力電圧とPFC駆動電流Ipfcとの関係は図5に示すように、入力電圧によってPFC駆動電流値Ipfcが異なる。
【0027】
図6は、入力電圧が100Vの場合と200Vの場合の入力電圧波形とPFCスイッチング電流波形を示す図である。図6において、破線は入力電圧が100Vの場合を示し、実線は入力電圧が200Vの場合を示す。入力電圧が200Vの場合の方が、入力電圧が100Vの場合よりもPFC駆動電流が小さい。
【0028】
制御部90では、画像形成装置全体の制御を行うと共に、セラミックヒータ62への供給される電力の制御を行っている。駆動電流検出回路30で検出された電流検出信号は制御部90にも入力される。制御部90は、図5に示すようにPFC駆動電流値とAC入力電圧の関係式:Vin=α×Ipfc + VoからPFC回路の駆動電流値に基づいて入力電圧を決定する入力電圧判定手段として機能する。なお、PFC駆動電流の検出は、画像形成装置に電源を投入した直後に行われる。このように、別途、AC入力電圧を判定する専用の電圧検出回路を設けなくても、PFC制御回路70(駆動電流検出回路30)及び抵抗R1という元々設けられている回路を利用してAC入力電圧を判定することができる。
【0029】
図4は第1の負荷50の詳細を示す構成図である。第1の負荷50は、スイッチング電源501、モータ502,503や高圧電源504を等を有する。スイッチング電源501は、PFC回路20の出力電圧V2をDC24Vに変換する給排紙用モータ502は記録材Pの給送や排出を行うためのモータである。感光ドラム用モータ503は、感光ドラム1A〜1Dを夫々回転させる複数のモータを有する。高圧電源504は帯電器2A〜2D、現像器4A〜4D,一次転写ローラ9A〜9D,二次転写ローラ27に高圧を供給する。画像形成装置に電源を投入した直後はこれらの負荷が停止した所定の状態となっている。
【0030】
制御部90は、PFC駆動電流値(電流検出信号)を入力し、予め用意されているPFC駆動電流値とAC入力電圧の関係式からAC入力電圧を求めている。このPFC駆動電流のIpfcの検出に関して、PFC回路20の制御のために元々設けられている回路から信号を制御部90へ入力させているので、新たな電流検出回路を設ける必要がない。そして、制御部90は、求めたAC入力電圧に基づいてセラミックヒータ62へ供給される電力を制御する。
【0031】
制御部90は、交流波形における各々の周期においてセラミックヒータ62へ供給される入力電圧の大きさに関係なく一定の電力が供給されるように電力制御素子としてのトライアック63を制御する機能を持っている。即ち、制御部90はヒータ制御手段として機能する。前述のように定格電力が100Vのセラミックヒータに対し、200Vの交流電源を100Vと同じ条件で入れるとセラミックヒータへの電力は4倍となる。そこで、入力電圧が200Vの時の電力が、入力電圧が100Vの時の電力と同じとなるようにセラミックヒータ62へ供給される交流電圧の半波の数を調整する。
制御部90は入力電圧が100Vの時は、AC入力電圧の正弦波の全ての半波をセラミックヒータ62へ供給させる。
【0032】
これに対し、入力電圧が200Vの時はセラミックヒータ62へ供給される電力が、入力電圧が100Vの時と同じになるように、AC入力電圧の正弦波の4半波のうち1半波の割合で交流電圧を供給させる。制御部90は、交流が入力されて初めにゼロクロス信号検知回路80から第1の所定回数のゼロクロス信号が出力されるまではトライアック63を通電状態に制御してセラミックヒータへ電力を供給する。ゼロクロス信号が第1の所定回数出力されると、制御部90はトライアック63を非通電状態に制御して電力供給を停止する。そして次にゼロクロス信号が第2の所定回数出力されるとセラミックヒータへの電力供給を再開する。このように、制御部90はセラミックヒータ62へ供給される電力を交流電圧の半波の単位で制御する。
【0033】
前述の例に基づいて、制御部90による電力制御のフローチャートを図7に示す。
【0034】
始めに画像形成装置の電源が投入されると、制御部90はPFC駆動電流Ipfcを検出し(S101)、図5に示す関係からAC入力電圧を決定し、決定後リモート信号をオンする(S102)。制御部90は、決定したAC入力電圧が100V系か否かを判断し(S103)、100V系であれば、トライアック63をオンする信号を出力する(S104)。100V系の場合は、AC入力電圧の正弦波の全ての半波がセラミックヒータ62へ共有されるようにトライアック63が駆動される。一方、AC入力電圧が100V系でない、即ち、200V系の場合、制御部90は、ゼロクロス信号検知回路80からゼロクロス信号を入力したか否かを判断する(S105)。ゼロクロス信号が入力されると、制御部90はトライアック63をオンさせる信号を出力する(S106)。次にゼロクロス信号を計数するカウンタZの値を0にし(S107)、再びゼロクロス信号が入力されるのを待機する(S108)。ゼロクロス信号が入力されると、制御部90はカウンタZを1つインクリメントし(S108)、カウンタZの値が1か否かを判断する(S110)。Z=1であれば、制御部90はトライアック63をオフする信号を出力する(駆動信号をオフする)(S111)。Z=1でなければ、制御部90はカウンタZの値が4か否かを判断し(S112)、Z=4でなければ、ステップS108で再びゼロクロス信号の入力を待機する。Z=4であれば、制御部はトライアック63をオンする信号を出力し(S113)、ステップS107に戻り、カウンタZを0に初期化する。なお、このフローチャートの制御は画像形成装置の電源がオフされるまで続けられる。
【0035】
このように、ゼロクロス信号が出て、1回目(第1の所定回数)のゼロクロス信号が出力されるまではセラミックヒータへの電力供給を行い、1回目のゼロクロス信号に同期して電力供給を停止する。そして電力供給が停止してから3回目(第2の所定回数)のゼロクロス信号に同期してセラミックヒータ62への電力供給を再開し、その次のゼロクロス信号で再び電力供給を停止する。これを繰り返すことで、入力電圧が200Vの場合であっても、AC入力電圧の正弦波における半波の数を調整しセラミックヒータ62への供給電力を100Vと場合の同じにすることを実現する。
【0036】
この様子を図9及び図10に示す。図8は入力電圧が100Vの場合の様子を示し、図9は入力電圧が200Vの場合の様子を示す。入力電圧が100Vの場合は、交流電圧波形の全ての半波の期間でセラミックヒータ62がオンするが、入力電圧が200Vの場合は、全半波のうち、4回に1回の割合でのみセラミックヒータ62がオンする。電力供給時のゼロクロス信号の回数と電力の供給停止におけるゼロクロス信号の回数は、あらかじめ制御部90内のSRAMなどに記憶させておく。
【0037】
以上のように、第1の実施の形態によれば、専用の電圧検出回路を用いなくても電源制御のために既に設けられているPFC制御回路70で制御されるPFC駆動電流値により商用電源の入力電圧を判定できるので、装置のコストアップを押さえることをできる。
【0038】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態における画像形成装置は、画像形成を行うための構成は図1と同様である。
【0039】
図10は第2の実施形態において用いられている電源回路の構成を示す回路図である。図2の回路と異なる点は、PFC回路20から制御部90へ入力される信号が異なることである。図2の回路では、PFC駆動電流Ipfcが制御部90へ入力されていたが、図10の回路では、PFC出力電圧V2を分圧した電圧V3が制御部90へ入力される。なお、それ以外の部分は共通であり、PFC回路20の動作も第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0040】
また、AC入力電圧の判定方法に関し、第1の実施形態ではPFC駆動電流値から入力電圧を決定しているのに対し、第2の実施形態ではAC入力電圧値の違いにより生じるPFC出力電圧の立ち上がり前の電圧の違いからAC入力電圧を決定している点で異なる。
【0041】
PFC出力電圧の立ち上がりについて説明する。PFC回路20においては、PFC出力電圧の立ち上がり時間は入力電圧減少に半比例して増加する。AC入力電圧がPFC制御回路70に入力され、スイッチング素子Q1がOFFしている場合、PFC出力電圧値はAC入力電圧波形のピーク電圧値(厳密にはこの値から整流回路10やダイオードD1の順方向電圧降下分を減じた値)となる。この状態で制御部90がリモート信号をPFC制御回路70へ出力してPFC回路20を動作させると、PFC回路20の出力V2が立ち上がる。立ち上がりの傾きは、100Vでも200Vでもほとんど変わらないので、元々のAC入力電圧値が高い方が立ち上がり時間が短い。
【0042】
よって、図11のように、入力電圧によってPFC出力電圧の立ち上がり時間が異なる。尚、図11において、破線が入力電圧が100Vの場合のPFC出力立ち上がり波形を示し、実線が入力電圧が200Vの場合のPFC出力立ち上がり波形を示す。AC入力電圧が200Vの場合の立ち上がり時間T1の方が、入力電圧が100Vの場合の立ち上がり時間T2よりもが短い。
【0043】
リモート信号がPFC制御回路へ入力されるまでは、AC入力電圧の大きさに応じた抵抗R2,R3で分圧されてPFC制御回路70へ入力される。この分圧された電圧を制御部90へも入力させることにより、制御部90は、リモート信号をオンする前の電圧を検出する。制御部90はこの検出電圧に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを判断できる。
【0044】
例えば、リモート信号オン前の検出電圧が150Vに相当する値よりも小さければ、AC入力電圧が100V系であると決定し、150Vに相当する値よりも大きければ200V系であると決定する。
【0045】
第2の実施形態における制御部の処理を示すフローチャートを図12に示す。
【0046】
画像形成装置の電源がオンされると、制御部90は、リモート信号オン前のPFC出力電圧V2を分圧した電圧V3の大きさを検出する(S201)。そして、制御部90は、検出電圧に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを決定し、決定後リモート信号をオンする(S202)。その後の制御部90は、判定したAC入力電圧に従って、セラミックヒータ62への電力供給を制御するが、電力供給の制御方法に関しては第1の実施形態における図7のステップS103以降と同様である。
【0047】
第2の実施形態によれば、専用の電圧検出回路を用いなくても、電源制御のために既に設けられているPFC制御回路70で検出されるPFC出力電圧を検出することにより、安価な構成でAC入力電圧を判定することができる。
【0048】
第1、第2の実施形態では、画像形成装置の電源がオンされている状態でセラミックヒータ62への通電が行われるように構成してあるが、画像形成装置の電源がオフされた状態でセラミックヒータへの通電が行われるように構成してあってもよい。この場合、画像形成装置の電源がオンされたときに、AC入力電圧が決定され、決定したAC入力電圧に基づいて画像形成装置の電源がオフされた後に、制御部90がステップS103以降の処理を行い、トライアック63の駆動を制御する。制御部90の電源は画像形成装置の電源がオフされた状態でも動作するように構成される。
【0049】
また、セラミックヒータ62への電力供給を制御するだけでなく、交流負荷である定着器のヒータが100V系と200V系の装置で共通であれば、AC入力電圧に応じた電力供給の制御を行ってもよい。
【0050】
また、第1、第2の実施形態では、100V系と200V系のAC入力電圧を判定したが、AC入力電圧として任意の第1の電圧、第2の電圧を判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】画像形成装置の概略断面図。
【図2】第1の実施の形態における電源回路を示す図。
【図3】PFC制御回路の詳細を示す図。
【図4】第1の負荷の構成図。
【図5】入力電圧とPFC駆動電流の関係を示す図。
【図6】入力電圧波形とPFC駆動電流波形を示す図。
【図7】第1の実施の形態における制御部のフローチャート。
【図8】100V入力時の電力供給の状態を示す図。
【図9】200V入力時の電力供給の状態を示す図。
【図10】第2の実施の形態における電源回路を示す図。
【図11】入力100Vと200Vの場合のPFC出力電圧の立ち上がり波形を示す図。
【図12】第2の実施の形態における制御部のフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
20 PFC回路
30 電流検出回路
62 セラミックヒータ
63 トライアック
70 PFC制御回路
80 ゼロクロス信号検知回路
90 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明はPFC方式の電源装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置の電気的な負荷に対しては、電源の電圧値を基準とした定格電力が定められており、日本国内向けモデルでは、交流電圧100Vを基準として製品や負荷の設計がされている。しかしながら海外向けモデルでは交流電圧が100Vでない場合がほとんどである。例えば、交流電圧100Vを基準として設計された製品の交流負荷に対し、交流電圧200Vをそのままの波形パターンで入力すると、交流負荷には2倍の電圧が供給されてしまう。この場合、交流負荷の消費電力は交流入力電圧の2乗に比例するので、100V入力の場合の4倍となり、機器の故障や不具合が発生する場合がある。
【0003】
ここで、画像形成装置において内部に収容されている記録紙を乾燥状態に保つためのセラミックヒータを交流負荷の例として考える。例えば交流電圧100Vの電圧に対して200Wの定格電力となるセラミックヒータに200Vの電圧で100Vと同じ条件で電力を供給した場合は、セラミックヒータの消費電力が800Wとなり、セラミックヒータの故障や性能の劣化を招く。そのため、特許文献1では、入力電圧の大きさを判定して、入力電圧が定格電圧よりも大きい場合は、負荷に対して給電状態と非給電状態を切り替えることにより負荷に供給される電力を一定にするといった対策を行っている。
【特許文献1】特開2007−110839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の手法では、入力電圧を判定するための専用の電圧検出回路が必要になるためにそのためのスペースを確保する必要があり、また装置のコストUP要因にもなっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、請求項1の画像形成装置は、商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、前記電源回路のスイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、検出した電流に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、前記電力制御素子を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記電流検出回路の出力を入力して、前記電流検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の画像形成装置は、商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、前記電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路を有し、検出した電圧に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、前記電力制御素子を制御する制御部と、有し、前記制御部は、前記電圧検出回路の出力を入力し、前記電圧検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、専用の電圧検出回路を設けることなく、安価な構成で商用電源の入力電圧を判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
本発明における第1の実施の形態における画像形成装置の概略断面図を図1に示す。本実施形態における画像形成装置は、商用電源の電圧が異なる地域別に製造されたものではなく、例えば、100V系の地域でも200V系の地域でも同じ構成のまま使用できるようになっている。そのために、商用電源が直接供給される交流負荷に対する電力供給を商用電源の入力電圧に応じて異ならせている。
【0010】
同図に示す画像形成装置は、画像形成装置本体M内に4箇所の画像形成部(画像形成ステーション)、すなわち第1の画像形成部PA、第2の画像形成部PB、第3の画像形成部PC、第4の画像形成部PDが並設されている。各画像形成部PA〜PDではそれぞれ例えばイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色のトナー像が帯電、露光、現像、転写の各プロセスを経て形成される。
【0011】
各画像形成部PA〜PDはそれぞれ専用の感光ドラム1A,1B,1C,1Dを有している。これら感光ドラム1A,1B,1C,1Dは、帯電ローラ2A,2B,2C,2Dによって帯電され、レーザビームスキャナ3A,3B,3C,3Dによって静電潜像が形成される。それぞれの静電潜像は、現像器4A,4B,4C,4Dによってトナーが付着されて各色のトナー像が形成される。
【0012】
また、感光ドラム1A〜1Dに隣接して、中間転写ベルト(中間転写体)23が配設されている。ここで、本実施の形態では、中間転写ベルト23が被転写体に相当する。また、中間転写体としては中間転写ベルトに代えて中間転写ドラムを使用することも可能である。中間転写ベルト23は、駆動ローラ24、従動ローラ25、二次転写対向ローラ26に掛け渡されている。転写ベルト23の内側には、一次転写ローラ(転写部材)9A,9B,9C,9Dが配設されている。中間転写ベルト23は、これら一次転写ローラ9A〜9Dによって感光ドラム1A〜1Dに押圧されている。これにより中間転写ベルト23と感光ドラム1A〜1Dの間には、一次転写ニップ部(転写部)T1が形成されている。感光ドラム1A上に形成されたイエロー(1色目)のトナー像は、一次転写ローラ9Aに転写バイアス印加電源(不図示)によって一次転写バイアスが印加されることで、中間転写ベルト23上に一次転写される。以下、同様にして、マゼンタ(2色目),シアン(3色目),ブラック(4色目)のトナー像が中間転写ベルト23上に順次に一次転写されて重ね合わされる。
【0013】
中間転写ベルト23上に形成された4色のトナー像は、給紙カセット5から供給された記録材Pに転写される。給紙カセット5内に収納されていた記録材Pは、給送ローラ6によって給紙され、レジストローラ7によりタイミングをとって中間転写ベルト23と二次転写ローラ(転写部材)27との間の転写部としての二次転写ニップ部(転写部)T2に供給される。なお、給紙カセット5内の記録材Pは、カセットヒータ即ち、交流負荷としてのセラミックヒータ62により吸湿している水分を除去されるようになっている。二次転写ローラ27には、転写バイアス印加電源(不図示)によって二次転写バイアスが印加される。これにより、中間転写ベルト23上の4色のトナー像は、記録材P上に一括で二次転写される。このときに二次転写ローラ27に印加される転写電圧も上述の一次転写バイアスと同様にして決定する。
【0014】
この二次転写時に、記録材Pに転写されないで、中間転写ベルト23上に残ったトナー(転写残トナー)は、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニング装置28によって除去される。
【0015】
記録材Pに転写されたトナー像は定着器11により記録時Pに定着され、機外へ排出される。
【0016】
第1の実施の形態における電源回路の構成図を図2に示す。商用交流電源からの交流電圧が整流回路10により全波整流され、その出力は高周波リップル吸収用の小容量コンデンサC1を介して脈流とされ、昇圧形チョッパ回路からなる電源回路としてのPFC回路20により安定な直流出力に変換される。この直流出力が第1の負荷50に供給される。第1の負荷50については後述する。
【0017】
PFC回路20は、スイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1とともに整流回路10の出力間に直列接続されたインダクタL1と、ダイオードD1とコンデンサC2とを有する。ダイオードD1はスイッチング素子Q1の非導通時にインダクタL1を通して電流が流れるように接続されている。スイッチング素子Q1は変換された直流電圧を交流電源の周波数より充分に高い周波数で導通(オン)・非導通(オフ)駆動する。これにより、コンデンサC2の両端から平滑化され電圧安定化された直流出力が取り出される。PFC回路20の出力は電源制御回路としてのPFC制御回路70により制御される。制御部90は電力制御素子としてのトライアック63の駆動を制御することにより交流負荷であるセラミックヒータ62への電力供給を制御する。
【0018】
なお、図示していないが、制御部90を動作させるための電源が別途設けられている。
【0019】
図3は図2に示すPFC制御回路70の詳細を示す回路図である。PFC回路20の出力電圧V2を抵抗R2、R3で分圧した電圧V3が乗算器MUL40の一方の入力となる(乗算器MUL40の端子B)。また、乗算器MUL40にはPFC回路20の入力電圧V1(交流入力の全波整流波形)が入力され(乗算器MUL40の端子A)。乗算器MULからはPFC回路20の入力電圧V1と同位相の全波整流波形で、かつPFC回路20の出力電圧V2を分圧した電圧V3に対応した振幅のしきい値信号が出力される。
【0020】
スイッチング素子Q1に流れる電流Ipfcは抵抗R1で電圧に変換され、その信号はPFC制御回路70の端子Cより入力され、駆動電流検出回路30により検出される。その電流検出信号と乗算器MULからのしきい値信号とが比較器COで比較される。電流検出信号がしきい値信号よりも小さければ、駆動パルス発生回路60が比較器COからの信号を受けてスイッチング素子Q1を動作させる駆動パルスを端子Dから出力する。スイッチング素子Q1が導通するとインダクタL1を通してスイッチング素子Q1に流れる電流Ipfcが徐々に増加するが、電流検出信号がしきい値信号のレベルに達したとき比較器COの出力が所定の信号を出力する。なお、駆動電流検出回路30で検出された信号は制御部90へも出力される。
【0021】
電流検出信号がしきい値信号よりも大きくなると、駆動パルス発生回路60が駆動パルスの出力を停止し、スイッチング素子Q1が非導通となる。スイッチング素子Q1が非導通になると、インダクタL1からダイオードD1を通して出力側に流れる電流が徐々に減少する。
【0022】
そして、スイッチング素子Q1が非導通になってから所定の時間が経過するとスイッチング素子Q1が再び導通して電流Ipfcが徐々に増加する。その電流Ipfcがしきい値信号のレベルに達するとスイッチング素子Q1が非導通となり、インダクタL1を流れる電流が徐々に減少する。以上の動作を繰り返すことで、スイッチング素子Q1が交流電源より充分高い周波数で導通・非導通駆動され、電流Ipfcが前記しきい値信号に一致するように制御がなされる。また、導通と非導通の割合をデューティといい、商用電源の入力電圧によりその値は決まる。
【0023】
なお、駆動パルス発生回路60には制御部90からのリモート信号が入力されており、リモート信号がオフであると、比較器COからの出力に拘わらず、駆動パルスの出力を停止した状態となる。即ち、リモート信号がオンになって初めてPFC回路20が動作する。
【0024】
以上のような制御により、脈流入力の電流Iの包絡線は正弦波となり、その高調波成分を抑圧することにより力率が改善される。
【0025】
次に、交流負荷であるセラミックヒータ62の制御方法について説明する。上述したように、セラミックヒータ62は図1のカセットヒータとして用いられている。
【0026】
図2において、ゼロクロス信号検知回路80は、商用交流電源からの交流電流の値がゼロになった時にゼロクロス信号を出力する。PFC回路20においてスイッチング素子Q1の駆動電流(PFC駆動電流Ipfc)は、入力電圧の減少に反比例して増加する。出力電圧を常に一定にする場合は入力電圧が大きいほどPFC駆動電流Ipfcを小さくする必要がある。よって、入力電圧とPFC駆動電流Ipfcとの関係は図5に示すように、入力電圧によってPFC駆動電流値Ipfcが異なる。
【0027】
図6は、入力電圧が100Vの場合と200Vの場合の入力電圧波形とPFCスイッチング電流波形を示す図である。図6において、破線は入力電圧が100Vの場合を示し、実線は入力電圧が200Vの場合を示す。入力電圧が200Vの場合の方が、入力電圧が100Vの場合よりもPFC駆動電流が小さい。
【0028】
制御部90では、画像形成装置全体の制御を行うと共に、セラミックヒータ62への供給される電力の制御を行っている。駆動電流検出回路30で検出された電流検出信号は制御部90にも入力される。制御部90は、図5に示すようにPFC駆動電流値とAC入力電圧の関係式:Vin=α×Ipfc + VoからPFC回路の駆動電流値に基づいて入力電圧を決定する入力電圧判定手段として機能する。なお、PFC駆動電流の検出は、画像形成装置に電源を投入した直後に行われる。このように、別途、AC入力電圧を判定する専用の電圧検出回路を設けなくても、PFC制御回路70(駆動電流検出回路30)及び抵抗R1という元々設けられている回路を利用してAC入力電圧を判定することができる。
【0029】
図4は第1の負荷50の詳細を示す構成図である。第1の負荷50は、スイッチング電源501、モータ502,503や高圧電源504を等を有する。スイッチング電源501は、PFC回路20の出力電圧V2をDC24Vに変換する給排紙用モータ502は記録材Pの給送や排出を行うためのモータである。感光ドラム用モータ503は、感光ドラム1A〜1Dを夫々回転させる複数のモータを有する。高圧電源504は帯電器2A〜2D、現像器4A〜4D,一次転写ローラ9A〜9D,二次転写ローラ27に高圧を供給する。画像形成装置に電源を投入した直後はこれらの負荷が停止した所定の状態となっている。
【0030】
制御部90は、PFC駆動電流値(電流検出信号)を入力し、予め用意されているPFC駆動電流値とAC入力電圧の関係式からAC入力電圧を求めている。このPFC駆動電流のIpfcの検出に関して、PFC回路20の制御のために元々設けられている回路から信号を制御部90へ入力させているので、新たな電流検出回路を設ける必要がない。そして、制御部90は、求めたAC入力電圧に基づいてセラミックヒータ62へ供給される電力を制御する。
【0031】
制御部90は、交流波形における各々の周期においてセラミックヒータ62へ供給される入力電圧の大きさに関係なく一定の電力が供給されるように電力制御素子としてのトライアック63を制御する機能を持っている。即ち、制御部90はヒータ制御手段として機能する。前述のように定格電力が100Vのセラミックヒータに対し、200Vの交流電源を100Vと同じ条件で入れるとセラミックヒータへの電力は4倍となる。そこで、入力電圧が200Vの時の電力が、入力電圧が100Vの時の電力と同じとなるようにセラミックヒータ62へ供給される交流電圧の半波の数を調整する。
制御部90は入力電圧が100Vの時は、AC入力電圧の正弦波の全ての半波をセラミックヒータ62へ供給させる。
【0032】
これに対し、入力電圧が200Vの時はセラミックヒータ62へ供給される電力が、入力電圧が100Vの時と同じになるように、AC入力電圧の正弦波の4半波のうち1半波の割合で交流電圧を供給させる。制御部90は、交流が入力されて初めにゼロクロス信号検知回路80から第1の所定回数のゼロクロス信号が出力されるまではトライアック63を通電状態に制御してセラミックヒータへ電力を供給する。ゼロクロス信号が第1の所定回数出力されると、制御部90はトライアック63を非通電状態に制御して電力供給を停止する。そして次にゼロクロス信号が第2の所定回数出力されるとセラミックヒータへの電力供給を再開する。このように、制御部90はセラミックヒータ62へ供給される電力を交流電圧の半波の単位で制御する。
【0033】
前述の例に基づいて、制御部90による電力制御のフローチャートを図7に示す。
【0034】
始めに画像形成装置の電源が投入されると、制御部90はPFC駆動電流Ipfcを検出し(S101)、図5に示す関係からAC入力電圧を決定し、決定後リモート信号をオンする(S102)。制御部90は、決定したAC入力電圧が100V系か否かを判断し(S103)、100V系であれば、トライアック63をオンする信号を出力する(S104)。100V系の場合は、AC入力電圧の正弦波の全ての半波がセラミックヒータ62へ共有されるようにトライアック63が駆動される。一方、AC入力電圧が100V系でない、即ち、200V系の場合、制御部90は、ゼロクロス信号検知回路80からゼロクロス信号を入力したか否かを判断する(S105)。ゼロクロス信号が入力されると、制御部90はトライアック63をオンさせる信号を出力する(S106)。次にゼロクロス信号を計数するカウンタZの値を0にし(S107)、再びゼロクロス信号が入力されるのを待機する(S108)。ゼロクロス信号が入力されると、制御部90はカウンタZを1つインクリメントし(S108)、カウンタZの値が1か否かを判断する(S110)。Z=1であれば、制御部90はトライアック63をオフする信号を出力する(駆動信号をオフする)(S111)。Z=1でなければ、制御部90はカウンタZの値が4か否かを判断し(S112)、Z=4でなければ、ステップS108で再びゼロクロス信号の入力を待機する。Z=4であれば、制御部はトライアック63をオンする信号を出力し(S113)、ステップS107に戻り、カウンタZを0に初期化する。なお、このフローチャートの制御は画像形成装置の電源がオフされるまで続けられる。
【0035】
このように、ゼロクロス信号が出て、1回目(第1の所定回数)のゼロクロス信号が出力されるまではセラミックヒータへの電力供給を行い、1回目のゼロクロス信号に同期して電力供給を停止する。そして電力供給が停止してから3回目(第2の所定回数)のゼロクロス信号に同期してセラミックヒータ62への電力供給を再開し、その次のゼロクロス信号で再び電力供給を停止する。これを繰り返すことで、入力電圧が200Vの場合であっても、AC入力電圧の正弦波における半波の数を調整しセラミックヒータ62への供給電力を100Vと場合の同じにすることを実現する。
【0036】
この様子を図9及び図10に示す。図8は入力電圧が100Vの場合の様子を示し、図9は入力電圧が200Vの場合の様子を示す。入力電圧が100Vの場合は、交流電圧波形の全ての半波の期間でセラミックヒータ62がオンするが、入力電圧が200Vの場合は、全半波のうち、4回に1回の割合でのみセラミックヒータ62がオンする。電力供給時のゼロクロス信号の回数と電力の供給停止におけるゼロクロス信号の回数は、あらかじめ制御部90内のSRAMなどに記憶させておく。
【0037】
以上のように、第1の実施の形態によれば、専用の電圧検出回路を用いなくても電源制御のために既に設けられているPFC制御回路70で制御されるPFC駆動電流値により商用電源の入力電圧を判定できるので、装置のコストアップを押さえることをできる。
【0038】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態における画像形成装置は、画像形成を行うための構成は図1と同様である。
【0039】
図10は第2の実施形態において用いられている電源回路の構成を示す回路図である。図2の回路と異なる点は、PFC回路20から制御部90へ入力される信号が異なることである。図2の回路では、PFC駆動電流Ipfcが制御部90へ入力されていたが、図10の回路では、PFC出力電圧V2を分圧した電圧V3が制御部90へ入力される。なお、それ以外の部分は共通であり、PFC回路20の動作も第1の実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0040】
また、AC入力電圧の判定方法に関し、第1の実施形態ではPFC駆動電流値から入力電圧を決定しているのに対し、第2の実施形態ではAC入力電圧値の違いにより生じるPFC出力電圧の立ち上がり前の電圧の違いからAC入力電圧を決定している点で異なる。
【0041】
PFC出力電圧の立ち上がりについて説明する。PFC回路20においては、PFC出力電圧の立ち上がり時間は入力電圧減少に半比例して増加する。AC入力電圧がPFC制御回路70に入力され、スイッチング素子Q1がOFFしている場合、PFC出力電圧値はAC入力電圧波形のピーク電圧値(厳密にはこの値から整流回路10やダイオードD1の順方向電圧降下分を減じた値)となる。この状態で制御部90がリモート信号をPFC制御回路70へ出力してPFC回路20を動作させると、PFC回路20の出力V2が立ち上がる。立ち上がりの傾きは、100Vでも200Vでもほとんど変わらないので、元々のAC入力電圧値が高い方が立ち上がり時間が短い。
【0042】
よって、図11のように、入力電圧によってPFC出力電圧の立ち上がり時間が異なる。尚、図11において、破線が入力電圧が100Vの場合のPFC出力立ち上がり波形を示し、実線が入力電圧が200Vの場合のPFC出力立ち上がり波形を示す。AC入力電圧が200Vの場合の立ち上がり時間T1の方が、入力電圧が100Vの場合の立ち上がり時間T2よりもが短い。
【0043】
リモート信号がPFC制御回路へ入力されるまでは、AC入力電圧の大きさに応じた抵抗R2,R3で分圧されてPFC制御回路70へ入力される。この分圧された電圧を制御部90へも入力させることにより、制御部90は、リモート信号をオンする前の電圧を検出する。制御部90はこの検出電圧に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを判断できる。
【0044】
例えば、リモート信号オン前の検出電圧が150Vに相当する値よりも小さければ、AC入力電圧が100V系であると決定し、150Vに相当する値よりも大きければ200V系であると決定する。
【0045】
第2の実施形態における制御部の処理を示すフローチャートを図12に示す。
【0046】
画像形成装置の電源がオンされると、制御部90は、リモート信号オン前のPFC出力電圧V2を分圧した電圧V3の大きさを検出する(S201)。そして、制御部90は、検出電圧に基づいてAC入力電圧が100V系か200V系かを決定し、決定後リモート信号をオンする(S202)。その後の制御部90は、判定したAC入力電圧に従って、セラミックヒータ62への電力供給を制御するが、電力供給の制御方法に関しては第1の実施形態における図7のステップS103以降と同様である。
【0047】
第2の実施形態によれば、専用の電圧検出回路を用いなくても、電源制御のために既に設けられているPFC制御回路70で検出されるPFC出力電圧を検出することにより、安価な構成でAC入力電圧を判定することができる。
【0048】
第1、第2の実施形態では、画像形成装置の電源がオンされている状態でセラミックヒータ62への通電が行われるように構成してあるが、画像形成装置の電源がオフされた状態でセラミックヒータへの通電が行われるように構成してあってもよい。この場合、画像形成装置の電源がオンされたときに、AC入力電圧が決定され、決定したAC入力電圧に基づいて画像形成装置の電源がオフされた後に、制御部90がステップS103以降の処理を行い、トライアック63の駆動を制御する。制御部90の電源は画像形成装置の電源がオフされた状態でも動作するように構成される。
【0049】
また、セラミックヒータ62への電力供給を制御するだけでなく、交流負荷である定着器のヒータが100V系と200V系の装置で共通であれば、AC入力電圧に応じた電力供給の制御を行ってもよい。
【0050】
また、第1、第2の実施形態では、100V系と200V系のAC入力電圧を判定したが、AC入力電圧として任意の第1の電圧、第2の電圧を判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】画像形成装置の概略断面図。
【図2】第1の実施の形態における電源回路を示す図。
【図3】PFC制御回路の詳細を示す図。
【図4】第1の負荷の構成図。
【図5】入力電圧とPFC駆動電流の関係を示す図。
【図6】入力電圧波形とPFC駆動電流波形を示す図。
【図7】第1の実施の形態における制御部のフローチャート。
【図8】100V入力時の電力供給の状態を示す図。
【図9】200V入力時の電力供給の状態を示す図。
【図10】第2の実施の形態における電源回路を示す図。
【図11】入力100Vと200Vの場合のPFC出力電圧の立ち上がり波形を示す図。
【図12】第2の実施の形態における制御部のフローチャート。
【符号の説明】
【0052】
20 PFC回路
30 電流検出回路
62 セラミックヒータ
63 トライアック
70 PFC制御回路
80 ゼロクロス信号検知回路
90 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、
前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、
前記電源回路のスイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、検出した電流に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、
前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、
前記電力制御素子を制御する制御部と、
を有し、前記制御部は、前記電流検出回路の出力を入力して、前記電流検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、
前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、
前記電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路を有し、検出した電圧に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、
前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、
前記電力制御素子を制御する制御部と、
を有し、前記制御部は、前記電圧検出回路の出力を入力し、前記電圧検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、決定した電圧が第1の電圧の場合に前記交流負荷へ供給される交流電圧を、決定した電圧が前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の場合に前記交流負荷へ供給される電力を少なくするよう前記電力制御素子を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記商用電源の交流電圧の半波の単位で、前記交流負荷へ供給される電力を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記交流負荷は、交流電圧で駆動されるヒータであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源回路が動作する前の前記電圧検出回路の出力に基づいて前記商用電源の入力電圧を決定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項1】
商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、
前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、
前記電源回路のスイッチング素子に流れる電流を検出する電流検出回路を有し、検出した電流に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、
前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、
前記電力制御素子を制御する制御部と、
を有し、前記制御部は、前記電流検出回路の出力を入力して、前記電流検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
商用電源からの交流電圧が供給される交流負荷を有する画像形成装置において、
前記商用電源から交流電圧を入力して所定の直流電圧を出力する電源回路と、
前記電源回路の出力電圧を検出する電圧検出回路を有し、検出した電圧に基づいて前記電源回路の出力を制御する電源制御回路と、
前記交流負荷へ供給される電力を制御する電力制御素子と、
前記電力制御素子を制御する制御部と、
を有し、前記制御部は、前記電圧検出回路の出力を入力し、前記電圧検出回路の出力の大きさに基づいて前記商用電源の電圧を決定し、決定した電圧に基づいて前記電力制御素子の駆動を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、決定した電圧が第1の電圧の場合に前記交流負荷へ供給される交流電圧を、決定した電圧が前記第1の電圧よりも低い第2の電圧の場合に前記交流負荷へ供給される電力を少なくするよう前記電力制御素子を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記商用電源の交流電圧の半波の単位で、前記交流負荷へ供給される電力を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記交流負荷は、交流電圧で駆動されるヒータであることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記電源回路が動作する前の前記電圧検出回路の出力に基づいて前記商用電源の入力電圧を決定することを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−148216(P2010−148216A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321621(P2008−321621)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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