説明

画像形成装置

【課題】簡易な構成により、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
感光ドラム15と、感光ドラム15に下方から接触する搬送ベルト20と、感光ドラム15の右端部を支持し、スライドすることにより感光ドラム15の右端部を上方に向かって押圧する直動カム35とを備え、直動カム35をスライドさせて、感光ドラム15の左端部を支点として感光ドラム15を揺動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式のカラープリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のタンデムタイプのカラープリンタなどの画像形成装置には、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色に対応する感光体と搬送ベルトとが対向配置されている。
【0003】
しかし、これらの感光体は、常時、搬送ベルトと接触しているため、例えば、ブラックのみの画像を形成する場合であっても、残りのイエロー、マゼンタ、シアンの感光体が劣化してしまうという不具合がある。
【0004】
そこで、このような感光体の劣化を防止する画像形成装置として、たとえば、イエロー、マゼンタ、シアンの画像形成部を1つのカラー画像形成ユニットに構成し、ブラックの画像形成部を1つのユニットに構成し、ブラックの画像を形成するときには、カラー画像形成ユニットを搬送ベルトから離間させるカラー画像記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−281770号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、上記した特許文献1では、感光体の長手方向において、カラー画像形成ユニットの両端部を、偏心カムで押圧または押圧解除することにより、カラー画像形成ユニットを昇降させている。
【0006】
詳しくは、カラー画像形成ユニットを偏心カムで下方から押圧することによって上昇させ、感光体を搬送ベルトから離間させている。また、偏心カムの押圧を解除することによってカラー画像形成ユニットを下降させ、感光体を搬送ベルトに接触させている。
【0007】
そのため、カラー画像形成ユニットを昇降させる構成に、偏心カムや複雑なギヤ列などが用いられており、感光体を搬送ベルトに接触または離間させる構成が、複雑化している。
【0008】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成により、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像形成装置であって、間隔を隔てて並列配置される複数の感光体と、各前記感光体と接触するエンドレスベルトと、少なくとも1つの前記感光体の長手方向一端部を押圧して、前記感光体を、長手方向全部にわたって前記エンドレスベルトから離間させる離間機構とを備えることを特徴としている。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記離間機構は、前記感光体の長手方向一端部を押圧し、前記感光体の長手方向他端部を支点として、前記感光体を揺動させることにより、前記感光体を前記エンドレスベルトから離間させることを特徴としている。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、各前記感光体と前記エンドレスベルトを挟んで対向するように配置され、各前記感光体に向かって付勢される複数の転写部材を備え、前記転写部材は、前記感光体が前記エンドレスベルトと接触されているときには、接触位置に、前記感光体が前記エンドレスベルトから離間されているときには、前記転写部材の付勢方向において、前記接触位置よりも下流側の離間位置に配置され、前記感光体は、前記離間位置よりも前記付勢方向下流側に配置されるように、押圧されることを特徴としている。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、各前記感光体の長手方向他端部には、各前記感光体に駆動力を伝達するためのカップリング部がそれぞれ設けられていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の発明において、前記感光体の並列方向に沿って往復移動可能であり、前記感光体を押圧する往復移動部材を備え、前記往復移動部材は、全ての前記感光体を前記エンドレスベルトに接触させる第1位置と、黒色の画像を形成する前記感光体を前記エンドレスベルトに接触させるとともに、それ以外の前記感光体を揺動させる第2位置とに移動することを特徴としている。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記往復移動部材には、前記感光体の揺動を案内する第1ガイド部が形成されていることを特徴としている。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項2ないし6のいずれかに記載の発明において、前記感光体の長手方向他端部は、前記エンドレスベルトの外側に配置されていることを特徴としている。
【0016】
また、請求項8に記載の発明は、請求項2ないし7のいずれかに記載の発明において、各前記感光体にそれぞれ隣接する現像ローラを備え、各前記現像ローラには、前記長手方向他端部において、各前記現像ローラに駆動力を伝達するための現像カップリング部が設けられており、前記現像ローラは、対応する前記感光体とともに揺動することを特徴としている。
【0017】
また、請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、各前記現像ローラをそれぞれ収容する現像カートリッジを備え、各前記現像カートリッジは、各前記感光体に対して、接離可能に隣接していることを特徴としている。
【0018】
また、請求項10に記載の発明は、請求項2ないし9のいずれかに記載の発明において、各前記感光体を支持する感光体ユニットを備えていることを特徴としている。
【0019】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記感光体ユニットは、間隔を隔てて対向配置され、各前記感光体の長手方向両端部を支持する1対の側板を備え、前記長手方向一方側の前記側板には、前記並列方向および前記長手方向の両方と直交する方向に沿って前記感光体の揺動を案内する第2ガイド部が、形成されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明は、各前記感光体は、前記長手方向他方側の前記側板に支持されている部分を支点として揺動されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、少なくとも1つの感光体の長手方向一端部を押圧して、感光体を、長手方向全部にわたってエンドレスベルトから離間させる離間機構を備えている。
【0022】
そのため、離間機構によって、感光体の長手方向一端部を押圧すれば、感光体を長手方向全部にわたってエンドレスベルトから離間させることができる。
【0023】
その結果、感光体の長手方向両端部をエンドレスベルトから離間させる構成に比べて、簡易な構成により、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、離間機構は、感光体の長手方向一端部を押圧し、感光体の長手方向他端部を支点として、感光体を揺動させることにより、感光体をエンドレスベルトから離間させる。
【0025】
そのため、感光体の長手方向他端部の位置を大きく変動させることなく、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0026】
その結果、感光体の長手方向他端部から駆動力を入力すれば、駆動入力を解除することなく、感光体を揺動させ、エンドレスベルトから離間させることができる。
【0027】
また、請求項3に記載の発明によれば、転写部材は、感光体がエンドレスベルトから離間されているときには、感光体がエンドレスベルトと接触されているときに配置される接触位置よりも付勢方向下流側の離間位置に配置される。一方、感光体は、離間位置よりも付勢方向下流側に配置されるように、押圧される。
【0028】
そのため、感光体は、押圧されたときには、転写部材の離間位置よりも付勢方向下流側に配置され、エンドレスベルトから離間される。
【0029】
その結果、接触位置において、転写部材が、エンドレスベルトを介して感光体に、確実に圧接することを確保しつつ、離間位置において、確実に、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0030】
また、請求項4に記載の発明によれば、各感光体の長手方向他端部には、各感光体に駆動力を伝達するためのカップリング部がそれぞれ設けられている。
【0031】
そのため、感光体の揺動支点であり、感光体が揺動したときに位置が変動しにくい感光体の長手方向他端部において、感光体に駆動力を伝達することができる。
【0032】
また、カップリング部により、感光体の長手方向他端部において、感光体の長手方向から駆動力を入力することができる。
【0033】
これにより、感光体が揺動したとしても、感光体の長手方向に沿う駆動入力が解除されることがないので、感光体の長手方向他端部において、感光体への駆動伝達を解除することなく、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0034】
その結果、各感光体への駆動伝達を解除する機構を備える必要がなく、簡易な構成により、感光体を、長手方向全部にわたってエンドレスベルトから離間させることができる。
【0035】
また、請求項5に記載の発明によれば、感光体を押圧する往復移動部材は、全ての感光体をエンドレスベルトに接触させる第1位置と、黒色の画像を形成する感光体をエンドレスベルトに接触させるとともに、それ以外の感光体を揺動させる第2位置とに移動する。
【0036】
そのため、往復移動部材は、画像形成装置を、第1位置において、全ての感光体をエンドレスベルトに接触させ、カラー画像を形成するカラーモードに切り替え、第2位置において、黒色の画像を形成する感光体のみをエンドレスベルトに接触させ、モノクロ画像を形成するモノクロモードに切り替えることができる。
【0037】
その結果、往復移動部材をスライドするという簡易な動作により、各モードを切り替えることができる。
【0038】
また、請求項6に記載の発明によれば、往復移動部材に形成される第1ガイド部により、感光体の揺動が案内される。
【0039】
そのため、往復移動部材のスライドにより、確実に感光体を揺動させることができる。
【0040】
また、請求項7に記載の発明によれば、感光体の長手方向他端部は、エンドレスベルトの外側に配置されている。
【0041】
そのため、感光体の長手方向他端部を揺動支点として感光体を揺動させたときには、感光体の長手方向他端部よりも長手方向一方側において、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0042】
その結果、感光体の長手方向全部にわたって、確実に、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【0043】
また、請求項8に記載の発明によれば、現像ローラは、感光体にそれぞれ隣接するように設けられ、対応する感光体とともに揺動する。また、現像ローラには、長手方向他端部において、各現像ローラに駆動力を伝達するための現像カップリング部が設けられている。
【0044】
そのため、現像カップリング部により、長手方向他端部において、長手方向に沿って駆動力を入力することができる。
【0045】
これにより、現像ローラが感光体とともに揺動したとしても、各現像ローラへの駆動伝達を解除する機構を備える必要がない。その結果、簡易な構成により、現像ローラを対応する感光体とともに揺動させることができる。
【0046】
また、請求項9に記載の発明によれば、各現像ローラをそれぞれ収容し、各感光体に対して接離可能な現像カートリッジを備えている。
【0047】
そのため、現像カートリッジのみを取り外して交換することができ、現像カートリッジを効率よくメンテナンスすることができる。
【0048】
また、請求項10に記載の発明によれば、各感光体を支持する感光体ユニットを備えている。
【0049】
そのため、各感光体を一体的に操作することができる。
【0050】
また、請求項11に記載の発明によれば、感光体ユニットには、長手方向一方側の側板に、並列方向および長手方向の両方と直交する方向に沿って感光体の揺動を案内する第2ガイド部が、形成されている。
【0051】
そのため、往復移動部材をスライドさせて感光体を揺動させるときには、往復移動部材がスライドする並列方向において、感光体がぶれることを防止することができる。
【0052】
その結果、感光体を、第2ガイド部に沿って揺動させ、エンドレスベルトに対して安定に接触および離間させることができる。
【0053】
また、請求項12に記載の発明によれば、長手方向他方側の側板に支持されている部分を支点として、各感光体を揺動させることができる。
【0054】
そのため、長手方向他方側の側板を利用して、感光体の長手方向一端部を揺動させることができる。
【0055】
その結果、より簡易な構成により、感光体をエンドレスベルトから離間させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
1.カラーレーザプリンタの全体構成
図1は、本発明の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタを示す側断面図である。
【0057】
このカラーレーザプリンタ1は、図1に示すように、横置きタイプのタンデム型カラーレーザプリンタであって、本体ケーシング2内に、用紙Pを給紙するための給紙部3と、給紙された用紙Pに画像を形成するための画像形成部4とを備えている。
(1)本体ケーシング
本体ケーシング2は、画像形成部4を収容する側面視略矩形状のボックス状に形成されており、その一方側壁には、後述するプロセスユニット10を着脱させるためのフロントカバー5が設けられている。
【0058】
なお、以下の説明において、フロントカバー5が設けられる側(図1における左側)を前側とし、その反対側(図1における右側)を後側とする。また、カラーレーザプリンタ1を前側から見たときを左右の基準とする。すなわち、図1の紙面手前側が右側であり、紙面奥側が左側である。
(2)給紙部
給紙部3は、用紙Pを収容する給紙トレイ6を備えている。給紙トレイ6は、本体ケーシング2内の底部に着脱自在に装着されている。給紙トレイ6の前端部上方には、給紙ローラ7と、Uターンパスからなる給紙パス8とが配置されている。
【0059】
給紙ローラ7の回転により、給紙トレイ6に収容されている用紙Pが給紙パス8に向けて1枚ずつ給紙される。その後、用紙Pは、給紙パス8から、画像形成部4(感光ドラム15(後述)と搬送ベルト20(後述)との間)に向けて搬送される。
(3)画像形成部
画像形成部4は、スキャナユニット9、感光体ユニットの一例としてのプロセスユニット10、転写ユニット11、および定着ユニット12を備えている。
(3−1)スキャナユニット
スキャナユニット9は、本体ケーシング2の上部に配置されている。スキャナユニット9は、鎖線で示すように、4つの感光ドラム15(後述)に向けて、画像データに基づくレーザビームをそれぞれ出射し、感光ドラム15(後述)を露光する。
(3−2)プロセスユニット
(3−2−1)プロセスユニットの構成
プロセスユニット10は、スキャナユニット9の下方であって、給紙部3の上方に配置されており、1つのプロセスフレーム13と、各色に対応する4つの現像カートリッジ14とを備えている。
【0060】
プロセスフレーム13は、本体ケーシング2に対して、前後方向に沿ってスライド可能であり、着脱自在に設けられ、感光体の一例としての感光ドラム15、および帯電ローラ16を収容している。
【0061】
感光ドラム15は、左右方向に沿うように設けられ、前後方向に間隔を隔てて、前方から順次、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色に対応して、4つ、並列配置されている。
【0062】
帯電ローラ16は、感光ドラム15の後側において、感光ドラム15に対して隣接配置されている。
【0063】
現像カートリッジ14は、感光ドラム15の上側に隣接配置され、現像ローラ17を備えている。
【0064】
現像ローラ17は、現像カートリッジ14の下端から露出するように、現像カートリッジ14に回転自在に支持されており、感光ドラム15に対して上側から接触するように配置されている。
【0065】
なお、図示しないが、現像カートリッジ14は、現像ローラ17にトナーを供給する供給ローラ、現像ローラ17に供給されたトナーの厚みを規制する層厚規制ブレードを備え、それらの上方の空間には、各色に対応するトナーが収容されている。
(3−2−2)プロセスユニットでの現像動作
現像カートリッジ14内のトナーは、供給ローラ(図示せず)に供給され、さらに、現像ローラ17に供給され、供給ローラ(図示せず)と現像ローラ17との間で正極性に摩擦帯電される。
【0066】
現像ローラ17に供給されたトナーは、現像ローラ17の回転に伴って、層厚規制ブレード(図示せず)によって厚さが規制され、一定厚さの薄層として現像ローラ17の表面に担持される。
【0067】
一方、感光ドラム15の表面は、感光ドラム15の回転に伴って、帯電ローラ16により一様に正帯電された後、スキャナユニット9からのレーザビーム(図1破線参照。)の高速走査により露光される。これにより、用紙Pに形成すべき画像に対応した静電潜像が感光ドラム15の表面に形成される。
【0068】
感光ドラム15がさらに回転すると、現像ローラ17の表面に担持され、かつ、正帯電されているトナーが、感光ドラム15の表面に形成されている静電潜像に供給される。これにより、感光ドラム15の静電潜像は可視像化され、感光ドラム15の表面には、反転現像によるトナー像が担持される。
(3−3)転写ユニット
転写ユニット11は、本体ケーシング2内において、給紙部3の上方であって、プロセスユニット10の下方において、前後方向に沿って配置されている。この転写ユニット11は、駆動ローラ18、従動ローラ19、各感光ドラム15と接触するエンドレスベルトの一例としての搬送ベルト20、および転写部材の一例としての転写ローラ21を備えている。
【0069】
駆動ローラ18および従動ローラ19は、前後方向に間隔を隔てて対向配置されており、それらの周りに搬送ベルト20が巻回されている。
【0070】
転写ローラ21は、各感光ドラム15と、搬送ベルト20を挟んで対向するように、各感光ドラム15に対応して、4つ、設けられている。
【0071】
そして、給紙部3から給紙された用紙Pは、搬送ベルト20によって、前側から後側に向かって、各感光ドラム15と各転写ローラ21とが対向する転写位置を順次通過するように搬送される。その搬送中に、各感光ドラム15に担持されている各色のトナー像が、用紙Pに順次転写され、カラー画像が形成される。
(3−4)定着ユニット
定着ユニット12は、転写ユニット11の後方に配置され、加熱ローラ22、および加熱ローラ22に対向する加圧ローラ23を備えている。転写ユニット11において、用紙Pに転写されたカラー画像は、用紙Pが加熱ローラ22と加圧ローラ23との間を通過する間に、加熱および加圧されることによって用紙Pに熱定着される。
(4)排紙
トナー像が定着した用紙Pは、Uターンパスからなる排紙パス(図示せず)を通過して、排紙ローラ24に向けて搬送され、排紙ローラ24によって、本体ケーシング2の上面に形成された排紙トレイ25上に排紙される。
2.プロセスユニットの詳細
図2は、図1に示すカラーレーザプリンタを説明するための説明図である。図3は、図1に示すカラーレーザプリンタの正面視における断面図である。図4は、図3に対応し、感光ドラムを搬送ベルトから離間した状態を示す断面図である。図5、図6および図7は、図4に示す感光ドラムの揺動を説明するための説明図であって、図5は、ドラム側突部が上下方向に沿う状態、図6は、本体側突部が上下方向に沿う状態、図7は、ドラム側突部および本体側突部がともに上下方向に沿わない状態を示す。図8は、図4に示す感光ドラムの左端部の要部拡大図である。図9は、図4に示す感光ドラムの左端部の分解斜視図である。
【0072】
プロセスフレーム13は、図1および図3に示すように、間隔を隔てて対向配置される左右1対の側板31と、両側板31間に架設されるフロントビーム32、リヤビーム33および仕切板34と、往復移動部材の一例としての直動カム35(図2参照)とを備えている。また、プロセスフレーム13は、上述したように、各感光ドラム15を支持している。
【0073】
両側板31(以下、両側板31の左右方向に言及する時には、左側の側板31を左側側板31Lとし、右側の側板31を右側側板31Rとする。)は、側面視略矩形状に形成され、搬送ベルト20の外側に配置されている。
【0074】
また、右側側板31Rには、図2に示すように、上下1対の直動カム支持部38、第2ガイド部の一例としてのドラム軸ガイド溝39、および、ブラックドラム軸挿通穴40が形成されている。また、右側側板31Rは、中継ギヤ41を備えている。
【0075】
両直動カム支持部38は、右側側板31Rの右端面において前後方向に延びる断面略L字形状の突条であり、上下方向に間隔を隔てて対向配置されている。
【0076】
上側の直動カム支持部38は、右側側板31Rの右端面から右方に突出し、下方に向かって屈曲している。また、上側の直動カム支持部38は、右側側板31Rの前後方向略中央かつ上下方向略中央において、後端部がシアンに対応する感光ドラム15のドラム軸46(後述)の上方に配置され、前端部がイエローに対応する感光ドラム15のドラム軸46(後述)よりも前側の上方に配置されるように、形成されている。
【0077】
下側の直動カム支持部38は、右側側板31Rの右端面の下端縁から右方に突出し、上方に向かって屈曲している。また、下側の直動カム支持部38は、後端部が右側側板31Rの後端縁に配置され、前端部がイエローに対応する感光ドラム15のドラム軸46(後述)よりも前側の下方に配置されるように、形成されている。
【0078】
ドラム軸ガイド溝39は、両直動カム支持部38間において、両直動カム支持部38の上下方向間隔とほぼ同じ上下方向長さの長穴として形成され、イエロー、マゼンタおよびシアンの各感光ドラム15のドラム軸46(後述)に対応するように、前後方向に間隔を隔てて並列配置されている。
【0079】
ブラックドラム軸挿通穴40は、両直動カム支持部38の後方において、ブラックの感光ドラム15のドラム軸46(後述)に対応するように配置され、ブラックの感光ドラム15のドラム軸46(後述)を受け入れるように側面視略円形状に形成されている。
【0080】
中継ギヤ41は、上側の直動カム支持部38の後方に配置され、右側側板31Rの右端面から右方に突出する中継ギヤ支持軸48に回転自在に支持されている。
【0081】
また、左側側板31Lには、図3および図5に示すように、カップリング部の一例としてのドラムカップリング部36、および、現像カップリング嵌合穴37が、形成されている。
【0082】
ドラムカップリング部36は、図8に示すように、ドラムカップリングカバー42およびドラム中継カップリング43を備えている。
【0083】
ドラムカップリングカバー42は、左側側板31Lの左端面から左方に突出する円筒形状に形成されている。なお、左側面視において、ドラムカップリングカバー42の内側の左側側板31Lには、ドラム軸46を受け入れ可能なドラム軸挿通穴50が形成されている。
【0084】
ドラム中継カップリング43は、ドラムカップリングカバー42内に遊嵌されている。
【0085】
また、ドラム中継カップリング43は、図9に示すように、ベース部71、本体側突部72、ドラム側突部73、および、3つの鉤部74を一体的に備えている。
【0086】
ベース部71は、ドラムカップリングカバー42よりもやや小径な円板形状に形成されている。
【0087】
本体側突部72は、ベース部71の左端面に形成される突条であり、ベース部71の径方向に沿って、ベース部71の直径より短い長さに形成されている。
【0088】
ドラム側突部73は、ベース部71の右端面において、左右方向に投影したときに本体側突部72と直交するように形成される突条であり、ベース部71の径方向に沿って、ベース部71の直径より短い長さに形成されている。
【0089】
各鉤部74は、ベース部71の周端縁において、互いに約120度の間隔を隔てて配置され、ベース部71の周端縁から右方に突出し、ベース部71の径方向内方に向かって屈曲する鉤形状に形成されている。
【0090】
現像カップリング嵌合穴37は、図3および図5に示すように、左側側板31Lにおいて、現像カップリング部52(後述)を受け入れ可能に貫通形成されている。
【0091】
フロントビーム32は、図1に示すように、両側板31の前端部間に架設され、前側が開放された側断面視略コ字形状に形成されている。
【0092】
リヤビーム33は、両側板31の後端部間に架設され、下側が開放された側断面視略V字形状に形成されている。
【0093】
仕切板34は、下側が開放された側断面視略V字形状に形成されており、フロントビーム32とリヤビーム33との間において、前後方向に間隔を隔てて3つ並列配置されている。これにより、フロントビーム32、リヤビーム33および両側板31に囲まれる空間は、3つの仕切板34により、前後方向に略4等分されている。
【0094】
直動カム35は、図2に示すように、側面視矩形状の平板である。また、直動カム35には、ラック部44、および、第1ガイド部の一例としての3つのカム溝45が形成されている。
【0095】
ラック部44は、直動カム35の上端部の後端部において、中継ギヤ41と噛合するように、カム溝45よりもやや長い前後方向長さに形成されている。
【0096】
各カム溝45は、直動カム35を左右方向に貫通して形成されており、各感光ドラム15のドラム軸46(後述)に対応するように前後方向に間隔を隔てて並列配置され、各ドラム軸46(後述)を受け入れ可能な略クランク状に形成されている。
【0097】
詳しくは、感光ドラム15が搬送ベルト20に接触しているときに、ドラム軸46を受け入れる前後方向に沿う後端部分81(図11参照)、後端部分81よりも上方に配置され、感光ドラム15が搬送ベルト20から離間しているときに、ドラム軸46を受け入れる前後方向に沿う前端部分82(図12参照)、および、後端部分81と前端部分82とを連結し、前方に向かうに従って上方に向かう傾斜部分83を連続して備えている。
【0098】
各感光ドラム15には、図9に示すように、感光ドラム15を支持するドラム軸46が挿通され、ドラム軸46の左端部には第1ドラムカップリング47が設けられている。
【0099】
ドラム軸46は、感光ドラム15と中心軸線を共有するように、感光ドラム15に対して相対回転不能に挿通されている。
【0100】
また、ドラム軸46の左端部は、図8に示すように、左側側板31Lのドラム軸挿通穴50に挿通され、ドラムカップリングカバー42内部に配置されている。
【0101】
また、ドラム軸46の右端部は、図10に示すように、ブラックの感光ドラム15のドラム軸46がブラックドラム軸挿通穴40に挿通され、ブラック以外の各感光ドラム15のドラム軸46がドラム軸ガイド溝39に挿通されている。
【0102】
第1ドラムカップリング47は、図9に示すように、ドラム中継カップリング43のベース部71よりも小径、かつ、鉤部74に引っ掛かるような直径の円板形状に形成され、ドラム軸46に対して相対回転不能に設けられている。また、第1ドラムカップリング47には、径方向全てにわたってドラム側突部73を受け入れ可能な第1溝部49が形成されている。
【0103】
そして、第1ドラムカップリング47は、ドラムカップリングカバー42内において、ドラム側突部73と第1溝部49とが嵌合した状態で、鉤部74が係合されており、これにより、第1ドラムカップリング47は、ドラム中継カップリング43に対して相対回転不能に遊嵌されている。
【0104】
現像カートリッジ14は、図3および図10に示すように、感光ドラム15に対して接離可能に設けられ、現像ローラ17、現像ガイドボス51および現像カップリング部52を備えている。
【0105】
現像ローラ17は、現像ローラ軸56および現像ローラ駆動ギヤ57を備えている。
【0106】
現像ローラ軸56は、現像ローラ17と中心軸線を共有するように、現像ローラ17を貫通して、現像カートリッジ14に回転自在に支持されている。
【0107】
現像ローラ駆動ギヤ57は、現像ローラ軸56の左端部において、現像カートリッジ14の外側に配置されるように、現像ローラ軸56に対して相対回転不能に設けられている。
【0108】
現像ガイドボス51は、現像カートリッジ14の上端部において、現像カートリッジ14の左端面から右方に向かって突出する円柱形状に形成されている。
【0109】
現像カップリング部52は、現像カートリッジ14の右端部に設けられ、現像ローラ駆動ギヤ57に駆動力を伝達する。また、現像カップリング部52は、現像カップリングカバー53、現像中継カップリング54および第1現像カップリング55を備えている。
【0110】
現像カップリングカバー53は、現像カートリッジ14の左端面から左方に突出する円筒形状に形成されている。
【0111】
現像中継カップリング54は、図3および図5に示すように、ドラム中継カップリング43と同様、すなわち、ベース部71、本体側突部72、ドラム側突部73および鉤部74に相当するベース部101、本体側突部102、現像側突部103および鉤部104を備えるように、形成され、現像カップリングカバー53内に遊嵌されている。
【0112】
第1現像カップリング55は、円板形状に形成され、現像カートリッジ14の左端部において、現像カートリッジ14の左端面から左方に突出する第1現像カップリング支持軸58に、回転自在に支持されている。また、第1現像カップリング55は、右側において、その周端縁に現像ローラ駆動ギヤ57と噛合するギヤ歯105が形成され、左側において、径方向全てにわたって、現像中継カップリング54の現像側突部103に嵌合する第1溝部106が形成されている。
【0113】
そして、第1現像カップリング55は、現像カップリングカバー53内において、現像側突部103と第1溝部106とが嵌合した状態で、鉤部104が係合されており、これにより、第1現像カップリング55は、現像中継カップリング54に対して相対回転不能に遊嵌されている。
【0114】
現像カートリッジ14は、現像カップリング部52が左側側板31Lの現像カップリング嵌合穴37に嵌合され、現像ガイドボス51および現像ローラ軸56が右側側板31Rに形成される現像ガイド溝(図示せず)に嵌合されるように、現像ローラ17を下側にして、プロセスフレーム13に上方から装着される。また、現像カートリッジ14は、上方に向かって引き抜かれることにより、プロセスフレーム13から離脱される。
3.本体ケーシングの詳細
定着ユニット12は、図2に示すように、直動カム駆動部材67を備えている。なお、直動カム駆動部材67は、直動カム35、直動カム支持部38、ドラム軸ガイド溝39および中継ギヤ41とともに離間機構を構成する。
【0115】
直動カム駆動部材67は、定着ユニット12右端縁上方に一体的に設けられており、上方に向かって延び、前方に向かって屈曲する側面視略L字の平板形状に形成されている。また、直動カム駆動部材67は、駆動ギヤ支持軸97および駆動ギヤ68を備えている。
【0116】
駆動ギヤ支持軸97は、直動カム駆動部材67の前端部において、左方に向かって突出する円筒形状に形成されている。
【0117】
駆動ギヤ68は、直動カム駆動部材67の前端部の左側において、中継ギヤ41と噛合するように、駆動ギヤ支持軸97に回転自在に支持されている。
【0118】
転写ユニット11は、図1および図3に示すように、フレーム96、転写ローラ支持部材64、付勢部材の一例としての圧縮ばね65、および転写ローラストッパ66を備えている。
【0119】
フレーム96は、前後方向および左右方向に延びるトレイ状に形成され、各転写ローラ21を収容する。
【0120】
転写ローラ支持部材64は、正断面視略矩形状に形成され、転写ローラ21の転写ローラ軸69の両端部を回転自在に支持する。
【0121】
また、転写ローラ支持部材64には、図8に示すように、上側において、左右方向に貫通形成され、転写ローラ軸69を回転自在に受け入れる挿通穴95、および、下側において、下端縁から上方に向かって正断面視略矩形状に切欠かれ、圧縮ばね65を収容する圧縮ばね収容部94が形成されている。
【0122】
圧縮ばね65は、上端部が圧縮ばね収容部94に収容され、下端部が転写ユニット11のフレーム96に連結されている。これにより、転写ローラ支持部材64は、常には上方に向かって付勢されている。
【0123】
転写ローラストッパ66は、フレーム96の左右方向両端部の上端縁において、左右方向外側に突出し、前後方向に沿って延びる突条であり(図2参照)、転写ローラ軸69に上方から当接する。これにより、転写ローラ21は上方への移動を規制されている。
【0124】
また、本体ケーシング2には、駆動入力部61が設けられている。
【0125】
駆動入力部61は、図5に示すように、第2ドラムカップリング62および第2現像カップリング63を備えている。なお、第2ドラムカップリング62および第2現像カップリング63は、図示しない進退機構により、左右方向に進退される。
【0126】
第2ドラムカップリング62は、モータ(図示せず)からの駆動力が入力されるギヤ部91、および、ギヤ部91と中心軸線を共有し、ドラム中継カップリング43の本体側突部72を受け入れる嵌合部92を備えている。
【0127】
ギヤ部91は、第2ドラムカップリング62の左側において、感光ドラム15よりも大径な円板形状に形成されており、その周縁部にギヤ歯が形成されている。
【0128】
嵌合部92は、ギヤ部91の右端面から右方に延び、本体側突部72の長さとほぼ同じ直径の円柱形状に形成されており、その右端部には、径方向全てにわたって、本体側突部72を受け入れ可能な第2溝部93が形成されている。
【0129】
第2現像カップリング63は、第2ドラムカップリング62と同様、すなわち、ギヤ部91、および、第2溝部93が形成される嵌合部92に相当するギヤ部107、および、第2溝部109が形成される嵌合部108を備えるように、形成されている。
4.プロセスユニットの本体ケーシングへの装着
図10、図11は、プロセスユニットの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、図10は、装着前の状態、図11は、装着後の状態を示す。
【0130】
プロセスユニット10を本体ケーシング2に装着するには、図10に示すように、プロセスユニット10の後端部を本体ケーシング2内に挿入し、本体ケーシング2に対して、後方に向かってプロセスユニット10を押し込む。すると、図11に示すように、中継ギヤ41が駆動ギヤ68に噛合する。
【0131】
そして、図示しない進退機構により、各第2ドラムカップリング62が、対応する各ドラム中継カップリング43に向かって進出し、本体側突部72と第2溝部93とが嵌合されると、ドラム軸46と第2ドラムカップリング62とが相対回転不能に連結される。
【0132】
また、同様に、各第2現像カップリング63が、対応する各現像中継カップリング55に向かって進出し、本体側突部102と第2溝部109とが嵌合されると、現像ローラ軸56と第2現像カップリング63とが相対回転不能に連結される。
【0133】
これにより、プロセスユニット10の本体ケーシング2への装着が完了される。
【0134】
そして、駆動入力部61において図示しないモータから各第2ドラムカップリング62に駆動力が入力されると、対応するドラム中継カップリング43を介して第1ドラムカップリング47に駆動力が伝達され、感光ドラム15が駆動される。
【0135】
また、各第2現像カップリング63に駆動力が入力されると、対応する現像中継カップリング54を介して第1現像カップリング55に駆動力が伝達される。そして、第1現像カップリング55から、現像ローラ駆動ギヤ57に駆動力が伝達されると、現像ローラ17が駆動される。
5.プロセスユニットの動作
図12は、プロセスユニットの本体ケーシング内における動作を説明する説明図である。
【0136】
プロセスユニット10の本体ケーシング2への装着が完了すると、図11に示すように、直動カム35は、第1位置に配置され、ラック部44の前端部は、中継ギヤ41と噛合している。また、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する各感光ドラム15のドラム軸46は、カム溝45の後端部分81に嵌合されている。
【0137】
また、このとき、図3に示すように、各感光ドラム15は、左右方向全てにわたって上方から搬送ベルト20に接触されている。そして、各転写ローラ21は、対応する感光ドラム15によって上方から押圧され、圧縮ばね65の付勢力に抗して接触位置に配置されている。
【0138】
すなわち、カラーレーザプリンタ1は、カラー画像を形成するカラーモードになっている。
【0139】
そして、カラーモードにおいて、各第2ドラムカップリング62および各第2現像カップリング63に駆動力が入力されると、全ての感光ドラム15および全ての現像カートリッジ14に駆動が伝達され、カラー画像が形成される。
【0140】
次いで、駆動ギヤ68から中継ギヤ41およびラック部44を介して直動カム35に後方に向かう駆動力が伝達されると、直動カム35が後方にスライドする。
【0141】
すると、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する各感光ドラム15のドラム軸46は、右端部において、カム溝45の傾斜部分83に沿って上方に向かって押圧され、ドラム軸ガイド溝39に案内されながら上方に向かって移動して、図12に示すように、カム溝45の前端部分82に嵌合され、第2位置に配置される。
【0142】
このとき、図4に示すように、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する各感光ドラム15は、第1ドラムカップリング47とドラム中継カップリング43との連結、および、ドラム中継カップリング43と第2ドラムカップリング62との連結を維持したまま、左側側板31Lに支持されている左端部を支点として正面視反時計回りに揺動される(図8参照)。
【0143】
詳しくは、図5に示すように、ドラム側突部73が上下方向に沿うときには、上側において第1ドラムカップリング47とドラム中継カップリング43との連結を維持しながら、第1ドラムカップリング47の下側が、ドラム中継カップリング43から少し外れるように、各感光ドラム15が揺動される。
【0144】
また、図6に示すように、本体側突部72が上下方向に沿うときには、上側においてドラム中継カップリング43と第2ドラムカップリング62との連結を維持しながら、ドラム中継カップリング43の下側が、第2ドラムカップリング62から少し外れるように、各感光ドラム15が揺動される。
【0145】
また、図7に示すように、本体側突部72およびドラム側突部73のいずれも上下方向に沿わないときには、上側において第1ドラムカップリング47とドラム中継カップリング43との連結、および、ドラム中継カップリング43と第2ドラムカップリング62との連結を維持しながら、第1ドラムカップリング47の下側がドラム中継カップリング43から少し外れるとともに、ドラム中継カップリング43の下側が第2ドラムカップリング62から少し外れるように、各感光ドラム15が揺動される。
【0146】
つまり、感光ドラム15の揺動に追従するように、ドラム中継カップリング43と、第1ドラムカップリング47または第2ドラムカップリング62との連結具合が調節されるので、各感光ドラム15は、駆動伝達を解除されることなく、揺動される。
【0147】
また、このとき、図4に示すように、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する各現像カートリッジ14は、第1現像カップリング55と現像中継カップリング54との連結、および、現像中継カップリング54と第2現像カップリング63との連結を維持したまま、感光ドラム15とともに正面視反時計回りに揺動される(図8参照)。
【0148】
詳しくは、図5に示すように、現像側突部103が上下方向に沿うときには、上側において第1現像カップリング55と現像中継カップリング54との連結を維持しながら、第1現像カップリング55の下側が、現像中継カップリング54から少し外れるように、各現像カートリッジ14が揺動される。
【0149】
また、図6に示すように、本体側突部102が上下方向に沿うときには、上側において現像中継カップリング54と第2現像カップリング63との連結を維持しながら、現像中継カップリング54の下側が、第2現像カップリング63から少し外れるように、各現像カートリッジ14が揺動される。
【0150】
また、図7に示すように、本体側突部102および現像側突部103のいずれも上下方向に沿わないときには、上側において第1現像カップリング55と現像中継カップリング54との連結、および、現像中継カップリング54と第2現像カップリング63との連結を維持しながら、第1現像カップリング55の下側が現像中継カップリング54から少し外れるとともに、現像中継カップリング54の下側が第2現像カップリング63から少し外れるように、各現像カートリッジ14が揺動される。
【0151】
つまり、感光ドラム15と同様に、現像カートリッジ14の揺動に追従するように、現像中継カップリング54と、第1現像カップリング55または第2現像カップリング63との連結具合が調節されるので、各現像カートリッジ14は、駆動伝達を解除されることなく、感光ドラム15とともに揺動される。
【0152】
そして、各感光ドラム15が揺動されると、図4に示すように、各感光ドラム15は、左右方向全てにわたって搬送ベルト20から離間され、転写ローラ21は、圧縮ばね65の付勢力により、接触位置(図4において仮想線で示す。)よりも上側であって、転写ローラ軸69が転写ローラストッパ66に当接する離間位置に配置される。
【0153】
このとき、感光ドラム15は、転写ローラ21の離間位置よりも上側に配置されるように、揺動される。
【0154】
これにより、ブラックに対応する感光ドラム15が、左右方向全てにわたって搬送ベルト20に接触されたまま、イエロー、マゼンタおよびシアンに対応する各感光ドラム15が、左右方向全てにわたって搬送ベルト20から離間されるので、カラーレーザプリンタ1は、モノクロ画像を形成するモノクロモードになる。
【0155】
そして、モノクロモードにおいて、ブラック以外の感光ドラム15が搬送ベルト20から離間された状態で、ブラックに対応する第2ドラムカップリング62、および、ブラックに対応する第2現像カップリング63に駆動力が入力されると、黒色の画像を形成することができる。
6.作用効果
(1)このカラーレーザプリンタ1によれば、図4に示すように、イエロー、マゼンタ、シアンに対応する感光ドラム15の右端部のドラム軸46を、直動カム35によってカム溝45に沿って押圧して、感光ドラム15を、左右方向全部にわたって搬送ベルト20から離間させる離間機構を備えている。
【0156】
そのため、離間機構によって、感光ドラム15の右端部のドラム軸46を押圧すれば、感光ドラム15を左右方向全部にわたって搬送ベルト20から離間させることができる。
【0157】
その結果、感光ドラム15の左右方向両端部を搬送ベルト20から離間させる構成に比べて、簡易な構成により、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
(2)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図4に示すように、離間機構は、感光ドラム15の右端部のドラム軸46を押圧し、感光ドラム15の左端部のドラム軸46を支点として、感光ドラム15を揺動させることにより、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させる。
【0158】
そのため、感光ドラム15の左端部のドラム軸46の位置を大きく変動させることなく、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
【0159】
その結果、感光ドラム15の左端部からドラムカップリング部36により駆動力を入力すれば、駆動入力を解除することなく、感光ドラム15を揺動させ、搬送ベルト20から離間させることができる。
(3)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図3および図4に示すように、転写ローラ21は、感光ドラム15が搬送ベルト20から離間されているときには、感光ドラム15が搬送ベルト20と接触されているときに配置される接触位置よりも上側の離間位置に配置される。一方、感光ドラム15は、離間位置よりも上側に配置されるように、上方に押圧される。
【0160】
そのため、感光ドラム15は、上方に押圧されたときには、転写ローラ21の離間位置よりも上側に配置され、搬送ベルト20から離間される。
【0161】
その結果、接触位置において、転写ローラ21が、搬送ベルト20を介して感光ドラム15に、確実に圧接することを確保しつつ、離間位置において、確実に、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
(4)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図3および図4に示すように、各感光ドラム15の左端部のドラム軸46には、各感光ドラム15に駆動力を伝達するためのドラムカップリング部36がそれぞれ設けられている。
【0162】
そのため、感光ドラム15の揺動支点であり、感光ドラム15が揺動したときに位置が変動しにくい感光ドラム15の左端部のドラム軸46において、感光ドラム15に駆動力を伝達することができる。
【0163】
また、ドラムカップリング部36により、感光ドラム15の左端部において、左方向から駆動力を入力することができる。
【0164】
これにより、感光ドラム15が揺動したとしても、左方向からの駆動入力が解除されることがないので、感光ドラム15の左端部において、感光ドラム15への駆動伝達を解除することなく、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
【0165】
その結果、各感光ドラム15への駆動伝達を解除する機構を備える必要がなく、簡易な構成により、感光ドラム15を、左右方向全部にわたって搬送ベルト20から離間させることができる。
(5)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図11および図12に示すように、感光ドラム15を押圧する直動カム35は、全ての感光ドラム15を搬送ベルト20に接触させる第1位置と、黒色の画像を形成する感光ドラム15を搬送ベルト20に接触させるとともに、それ以外の感光ドラム15を揺動させる第2位置とに移動する。
【0166】
そのため、直動カム35は、カラーレーザプリンタ1を、第1位置において、全ての感光ドラム15を搬送ベルト20に接触させ、カラー画像を形成するカラーモードに切り替え、第2位置において、黒色の画像を形成する感光ドラム15のみを搬送ベルト20に接触させ、モノクロ画像を形成するモノクロモードに切り替えることができる。
【0167】
その結果、直動カム35をスライドするという簡易な動作により、各モードを切り替えることができる。
(6)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図11および図12に示すように、直動カム35に形成されるカム溝45により、感光ドラム15の揺動が案内される。
【0168】
そのため、直動カム35のスライドにより、確実に感光ドラム15を揺動させることができる。
(7)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図3に示されるように、感光ドラム15の左端部のドラム軸46は、搬送ベルト20の外側に配置されている。
【0169】
そのため、感光ドラム15の左端部のドラム軸46を揺動支点として感光ドラム15を揺動させたときには、感光ドラム15の左端部のドラム軸46よりも右側において、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
【0170】
その結果、左右方向全部にわたって、確実に、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
(8)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図3および図4に示すように、現像ローラ17は、感光ドラム15にそれぞれ上下方向において隣接するように設けられ、対応する感光ドラム15とともに揺動する。また、現像ローラ17には、左端部において、各現像ローラ17に駆動力を伝達するための現像カップリング部52が設けられている。
【0171】
そのため、現像カップリング部52により、左端部において、左右方向に沿って駆動力を入力することができる。
【0172】
これにより、現像ローラ17が感光ドラム15とともに揺動したとしても、各現像ローラ17への駆動伝達を解除する機構を備える必要がない。その結果、簡易な構成により、現像ローラ17を対応する感光ドラム15とともに揺動させることができる。
(9)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図10に示すように、各現像ローラ17をそれぞれ収容し、各感光ドラム15に対して接離可能な現像カートリッジ14を備えている。
【0173】
そのため、現像カートリッジ14のみを取り外して交換することができ、現像カートリッジ14を効率よくメンテナンスすることができる。
(10)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図10に示すように、各感光ドラム15を支持するプロセスユニット10を備えている。
【0174】
そのため、各感光ドラム15を一体的に操作することができる。
(11)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図2に示すように、プロセスユニット10には、右側側板31Rに、上下方向に沿って感光ドラム15の揺動を案内するドラム軸ガイド溝39が、形成されている。
【0175】
そのため、直動カム35をスライドさせて感光ドラム15を揺動させるときには、直動カム35がスライドする前後方向において、感光ドラム15がぶれることを防止することができる。
【0176】
その結果、感光ドラム15を、ドラム軸ガイド溝39に沿って揺動させ、搬送ベルト20に対して安定に接触および離間させることができる。
(12)また、このカラーレーザプリンタ1によれば、図8に示すように、左側側板31Lに支持されている部分を支点として、各感光ドラム15を揺動させることができる。
【0177】
そのため、左側側板31Lを利用して、感光ドラム15の右端部を揺動させることができる。
【0178】
その結果、より簡易な構成により、感光ドラム15を搬送ベルト20から離間させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0179】
【図1】本発明の画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタを示す側断面図である。
【図2】図1に示すカラーレーザプリンタを説明するための説明図である。
【図3】図1に示すカラーレーザプリンタの正面視における断面図である。
【図4】図3に対応し、感光ドラムを搬送ベルトから離間した状態を示す断面図である。
【図5】図4に示す感光ドラムの揺動を説明するための説明図であって、ドラム側突部が上下方向に沿う状態を示す。
【図6】図4に示す感光ドラムの揺動を説明するための説明図であって、本体側突部が上下方向に沿う状態を示す。
【図7】図4に示す感光ドラムの揺動を説明するための説明図であって、ドラム側突部および本体側突部がともに上下方向に沿わない状態を示す。
【図8】図4に示す感光ドラムの左端部の要部拡大図である。
【図9】図4に示す感光ドラムの左端部の分解斜視図である。
【図10】プロセスユニットの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、装着前の状態を示す。
【図11】プロセスユニットの本体ケーシングへの装着を説明する説明図であって、装着後の状態を示す。
【図12】プロセスユニットの本体ケーシング内における動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
【0180】
1 カラーレーザプリンタ
10 プロセスユニット
14 現像カートリッジ
15 感光ドラム
17 現像ローラ
20 搬送ベルト
21 転写ローラ
35 直動カム
36 ドラムカップリング部
39 ドラム軸ガイド溝
45 カム部
52 現像カップリング部
65 圧縮ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて並列配置される複数の感光体と、
各前記感光体と接触するエンドレスベルトと、
少なくとも1つの前記感光体の長手方向一端部を押圧して、前記感光体を、長手方向全部にわたって前記エンドレスベルトから離間させる離間機構と
を備えることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記離間機構は、前記感光体の長手方向一端部を押圧し、前記感光体の長手方向他端部を支点として、前記感光体を揺動させることにより、前記感光体を前記エンドレスベルトから離間させることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
各前記感光体と前記エンドレスベルトを挟んで対向するように配置され、各前記感光体に向かって付勢される複数の転写部材を備え、
前記転写部材は、
前記感光体が前記エンドレスベルトと接触されているときには、接触位置に、
前記感光体が前記エンドレスベルトから離間されているときには、前記転写部材の付勢方向において、前記接触位置よりも下流側の離間位置に配置され、
前記感光体は、前記離間位置よりも前記付勢方向下流側に配置されるように、押圧されることを特徴とする、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
各前記感光体の長手方向他端部には、各前記感光体に駆動力を伝達するためのカップリング部がそれぞれ設けられていることを特徴とする、請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記感光体の並列方向に沿って往復移動可能であり、前記感光体を押圧する往復移動部材を備え、
前記往復移動部材は、
全ての前記感光体を前記エンドレスベルトに接触させる第1位置と、
黒色の画像を形成する前記感光体を前記エンドレスベルトに接触させるとともに、それ以外の前記感光体を揺動させる第2位置と
に移動することを特徴とする、請求項2ないし4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記往復移動部材には、前記感光体の揺動を案内する第1ガイド部が形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記感光体の長手方向他端部は、前記エンドレスベルトの外側に配置されていることを特徴とする、請求項2ないし6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
各前記感光体にそれぞれ隣接する現像ローラを備え、
各前記現像ローラには、前記長手方向他端部において、各前記現像ローラに駆動力を伝達するための現像カップリング部が設けられており、
前記現像ローラは、対応する前記感光体とともに揺動することを特徴とする、請求項2ないし7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
各前記現像ローラをそれぞれ収容する現像カートリッジを備え、
各前記現像カートリッジは、各前記感光体に対して、接離可能に隣接していることを特徴とする、請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
各前記感光体を支持する感光体ユニットを備えていることを特徴とする、請求項2ないし9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記感光体ユニットは、間隔を隔てて対向配置され、各前記感光体の長手方向両端部を支持する1対の側板を備え、
前記長手方向一方側の前記側板には、前記並列方向および前記長手方向の両方と直交する方向に沿って前記感光体の揺動を案内する第2ガイド部が、形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
各前記感光体は、前記長手方向他方側の前記側板に支持されている部分を支点として揺動されることを特徴とする、請求項10または11に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−152283(P2010−152283A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−333157(P2008−333157)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】