説明

画像形成装置

【課題】着脱性及びメンテナンス性に優れると共に小型化を図ることができ、現像バイアスが帯電バイアスに及ぼす影響をも抑制可能な帯電装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置100の帯電装置2aは、帯電バイアスを印加されて感光体ドラム1aを帯電する帯電ローラ21と、帯電ローラ21を囲む絶縁性のケーシング41と、金属製のシールド部材43とを有しており、シールド部材43は、ケーシング41を包囲すると共にケーシング41の外周面に密着するように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真法を用いた画像形成装置に関するものであり、特に感光体の帯電を行う帯電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを用いた画像形成装置には、被帯電体である像担時体(感光体)表面を帯電させるために帯電装置が用いられている。帯電装置としては、スコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置のように非接触方式の帯電装置が用いられているが、環境への配慮から感光体ドラムに対して接触して帯電し、オゾン排出量を低減可能な帯電ローラや帯電ブラシ等の帯電部材を有する接触方式の帯電装置も用いられている。
【0003】
例えば、接触方式の帯電装置として帯電ローラを用いる場合、感光体表面に接触させた帯電ローラに1kV程度の直流電圧を印加することにより、感光体表面に電荷を直接注入し、感光体表面を所定の電位に帯電させることができる。しかし、電圧を印加した帯電ローラ表面、及び該帯電ローラが接触する感光体表面は、微視的には凹凸を有するため、感光体表面上に斑点上の帯電ムラが発生する。
【0004】
かかる帯電ムラを解消する方法として、例えば、特許文献1には、帯電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を有する脈流電圧を導電性部材(帯電部材)に印加して被帯電体と導電性部材との間に振動電界を形成して帯電を行うことにより、被帯電面各部を均一に帯電する方法が提案されている。
【0005】
一方、感光体に形成された静電潜像の現像方法として、いわゆるジャンピング現像法が使用されることもある。かかる現像法は、トナー担持体としての現像ローラに現像剤(トナー)の均一な薄層を形成して感光体上の静電潜像面に近接させ、直流バイアスと交流バイアスを重畳した現像バイアスを現像ローラに印加することにより、トナーを飛翔させて静電潜像に付着させ、静電潜像を可視画像に現像することができる。これにより、画像濃度の安定性の向上や、かぶりの減少が可能となる。
【0006】
このようなジャンピング現像法において、帯電バイアス及び現像バイアスのいずれにも直流バイアスと交流バイアスとを重畳したバイアスを使用する場合、帯電バイアスの交流成分の周波数が、現像バイアスの交流成分の周波数、その整数倍の周波数、又はその整数分の1の周波数のいずれかに近い周波数の場合、周期的な現像ムラが発生するという問題点が有る。
【0007】
その原因として、帯電バイアス及び現像バイアスの交流成分が近距離領域で同時に印加されると、高圧電源基板上の配線、帯電装置及び現像装置自体の電磁誘導等を引き起こし、これにより帯電バイアスに現像バイアスの交流成分が、現像バイアスに帯電バイアスの交流成分が誘起(電磁誘導)されることが考えられる。
【0008】
特に、帯電バイアスに現像バイアスの交流成分が誘起された場合、帯電バイアス本来の交流成分の周波数と誘起された交流成分の周波数との間に唸りが発生する。かかる帯電バイアスの唸りが帯電ムラとなって静電潜像の形成に反映されると、形成された画像に筋(ジッタ)が発生するおそれがある。
【0009】
そこで、このような帯電バイアスと現像バイアスとの間の干渉を防止する方法が提案されている。例えば特許文献2には、接地された導電性部材によって形成されたシールド部材によって帯電部材と被帯電部材との間に形成された接触ニップ部を囲繞することにより、放射(静電)ノイズの発生を防止して付近の電子機器の誤作動を防止する方法が開示されている。
【0010】
また、特許文献3には、少なくとも2つの画像形成手段が近接配置された画像形成装置において、クリーニング手段が、像担持体のクリーニング部材と、クリーニング部材を支持する接地された導電性の支持部材と、を有し、現像部材の現像部材と隣接する像担持体を帯電する帯電部材に対する見込み角を遮断するように支持部材(シールド部材)を設けることにより、上流側の帯電部材と下流側の現像手段とを近接配置することによる帯電ムラを、新規部品を追加することなく抑制し小型化を可能とする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭63−149669号公報
【特許文献2】特開平06−175472号公報
【特許文献3】特開2006−139155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、特許文献2の方法では、シールド部材を帯電部材の支持部材(ケーシング)よりも外側に離れた位置に配置されているため、十分に小型化を図ることが困難である。また、帯電装置を交換等する際には、シールド部材を取り外した後に、ケーシングと共に帯電部材を取り外す必要がある。これにより、帯電装置の着脱に影響を及ぼしメンテナンス作業が煩雑となるおそれがある。
【0013】
さらに、シールド部材とケーシングとの間に間隔があることにより、帯電バイアスが印加される帯電装置と像担持体との対向部分周辺において、シールド部材により囲まれる空間部分が大きくなる。これにより、現像バイアスのうちシールド部材を超えて廻り込む電界(廻り込み電界)を十分に抑制することができず、帯電バイアスに影響を及ぼすおそれもある。
【0014】
また、特許文献3の方法では、支持部材(シールド部材)は、クリーニング部材のケーシング若しくは帯電ローラカバー(ケーシング)の一部を覆っているのみであり、現像バイアスの廻り込み電界を十分に抑制することができず、帯電バイアスに影響を及ぼすおそれがある。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、着脱性及びメンテナンス性に優れると共に小型化を図ることができ、現像バイアスが帯電バイアスに及ぼす影響をも抑制可能な帯電装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、像担持体に接触または非接触で配置される帯電部材と、該帯電部材を囲む絶縁性のケーシングとを有し、前記帯電部材に帯電バイアスを印加することにより像担持体表面を帯電させる帯電装置において、前記ケーシングを包囲する金属製のシールド部材を、前記ケーシングの外周面に密着するように配置したことを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の帯電装置において、前記シールド部材は、前記帯電部材と前記像担持体との対向部分において開口する断面コ字状であり、コ字状の先端部の少なくとも一方が帯電部材側に傾斜していることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の帯電装置において、前記シールド部材の長手方向の一端を折り曲げて板バネ状の接地部を形成したことを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の帯電装置と、該帯電装置により帯電される像担持体と、前記帯電装置により一様に帯電された前記像担持上に光照射して静電潜像を形成する露光装置と、交流成分を含む現像バイアスを印加して静電潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置である。
【0020】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記現像装置は、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー薄層を形成するトナー供給部材と、該トナー供給部材及び前記トナー担持体に直流及び交流バイアスを印加する電圧印加手段と、を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の構成によれば、帯電部材のケーシングを包囲する金属製のシールド部材を、ケーシングの外周面に密着するように配置することにより、帯電装置の着脱性及びメンテナンス性に優れると共に小型化を図ることができる。また、現像バイアス周辺においてシールド部材で囲まれない空間部分を小さくすることができるため、現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響を抑制することができる。これにより、像担持体の帯電を安定にすることができる。
【0022】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の帯電装置において、シールド部材を、帯電部材と像担持体との対向部分において開口する断面コ字状とし、コ字状の先端部の少なくとも一方が帯電部材側に傾斜していることにより、現像バイアス周辺においてシールド部材で囲まれない空間部分をより小さくすることができるため、現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。
【0023】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1または第2の構成の画像形成装置において、シールド部材の長手方向の一端を折り曲げて板バネ状の接地部を形成することにより、より確実に接地することができ、現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。
【0024】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第1〜第3のいずれかの構成の帯電装置において、上記構成の帯電装置と、該帯電装置により帯電される像担持体と、帯電装置により一様に帯電された前記像担持上に光照射して静電潜像を形成する露光装置と、交流成分を含む現像バイアスを印加して静電潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置とすることにより、帯電ムラの抑制された画像形成を行うことができる。
【0025】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第4の構成の画像形成装置において、現像装置が、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー薄層を形成するトナー供給部材と、該トナー供給部材及びトナー担持体に直流及び交流バイアスを印加する電圧印加手段と、を有することにより、帯電バイアスが現像バイアスの影響を受け易い状態であっても像担持体の帯電を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の画像形成装置の全体構成を示す概略断面図
【図2】図1における画像形成ユニットPa周辺の部分拡大図
【図3】感光体ドラム及び帯電装置周辺を示す斜視図
【図4】帯電ローラ及び現像装置と、第1、第2及び第3電源との電気的接続を示す図
【図5】帯電装置の斜視図
【図6】ケーシングの斜視図
【図7】シールド部材の斜視図
【図8】ケーシングに対するシールド部材の組立動作を示す図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明のタンデム型カラー画像形成装置の構成を示す概略図である。画像形成装置100本体内には4つの画像形成ユニットPa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成ユニットPa〜Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタ及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像を順次形成する。
【0028】
この画像形成ユニットPa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転しながら各画像形成ユニットに隣接して移動する中間転写ベルト8上に順次転写(一次転写)された後、二次転写ローラ9において用紙P上に一度に転写(二次転写)され、さらに、定着部7において用紙P上に定着された後、装置本体より排出される構成となっている。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0029】
トナー像が転写される用紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラ12a及びレジストローラ対12bを介して二次転写ローラ9へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられる。また、画像形成ユニットPaの上流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナーを除去するためのベルトクリーニング装置19が配置されている。
【0030】
次に、画像形成ユニットPa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電装置2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光ユニット(露光装置)4と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)を除去するクリーニング装置5a、5b、5c及び5dが設けられている。
【0031】
ユーザにより画像形成開始が入力されると、先ず、帯電装置2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光ユニット4によって光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像信号に応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dは、感光体ドラム1a〜1dに対向配置された現像ローラ27(トナー担持体、図2参照)を備え、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色のトナーが補給装置(図示せず)によって所定量充填されている。このトナーは、現像装置3a〜3dの現像ローラ27により感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光ユニット4からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0032】
そして、中間転写ベルト8に所定の転写電圧で電界が付与された後、転写ローラ6a〜6dにより感光体ドラム1a〜1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置5a〜5dにより除去される。
【0033】
中間転写ベルト8は、従動ローラ10、駆動ローラ11及びテンションローラ20に掛け渡されており、駆動モータ(図示せず)による駆動ローラ11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、用紙Pがレジストローラ12bから所定のタイミングで中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラ9へ搬送され、中間転写ベルト8とのニップ部(二次転写ニップ部)において用紙P上にフルカラー画像が二次転写される。トナー像が転写された用紙Pは定着部7へと搬送される。
【0034】
定着部7に搬送された用紙Pは、定着ローラ対13のニップ部(定着ニップ部)を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が用紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。用紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラ15によって排出トレイ17に排出される。
【0035】
一方、用紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部7を通過した用紙Pの一部を一旦排出ローラ15から装置外部にまで突出させる。その後、用紙Pは排出ローラ15を逆回転させることにより分岐部14で用紙搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ローラ9に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラ9により用紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部7に搬送されてトナー像が定着された後、排出トレイ17に排出される。
【0036】
図2は、図1における画像形成ユニットPa付近の拡大図であり、図3は、感光体ドラム及び帯電装置周辺を示す斜視図であり、図4は、帯電ローラ及び現像装置と、第1、第2及び第3電源との電気的接続を示す図である。なお、画像形成ユニットPb〜Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。
【0037】
感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(図2の反時計回り)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置5aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラ6aが配置されている。また、感光体ドラム1aに対し中間転写ベルト8の回転方向上流側には中間転写ベルト8を挟んで従動ローラ10に対向するベルトクリーニングローラ19aを備えたベルトクリーニング装置19が配置されている。
【0038】
図2及び図3に示すように、帯電装置2aは、感光体ドラム1aに接触してドラム表面に帯電バイアスを印加する帯電ローラ(帯電部材)21と、帯電ローラ21をクリーニングするためのブラシローラ等から成る帯電クリーニングローラ23と、帯電ローラ21及び帯電クリーニングローラ23を包囲するケーシング41と、シールド部材43と、を有している。なお、ケーシング41及びシールド部材43の詳細については後述する。
【0039】
帯電ローラ21は、装置本体に従動可能に支持され、感光体ドラム1aに所定のニップ圧で圧接されており、感光体ドラム1aに従動回転するようになっている。帯電ローラ21は、例えば、表層に抵抗値105〜106Ω、表面粗さRZ=10μmのエピクロルヒドリンゴムを使用した導電性ゴムローラ等のソリッドタイプを好適に用いることができるが、特にこれに限定されるものではない。その他、例えば、発泡ゴムローラにチューブを被せたスポンジタイプや、導電性ブラシ等を用いることもできる。
【0040】
また、帯電ローラ21のシャフト部には、図4に示すように直流電源45aと交流電源45bとから成る第1電源45が電気的に接続されており、これにより帯電ローラ21に帯電バイアスが印加されるようになっている。また、正帯電トナーを用いる場合には、帯電ローラ21に正極性(帯電極性、以下、単に「正」という)の帯電バイアスを印加することにより、感光体ドラム1aを正に帯電させる。帯電ローラ21により帯電した感光体ドラム1aを露光ユニット4により露光することにより、感光体ドラム1a上に静電潜像が形成される。
【0041】
図2に示すように、現像装置3aは、2本の攪拌搬送スクリュー25と、現像ローラ27と、磁気ローラ29とを有するジャンピング現像式であり、現像ローラ27にトナーと同極性(正)の現像バイアスを印加してドラム表面にトナーを飛翔させる。現像ローラ27は、後述する磁気ブラシから供給されたトナーによるトナー層を担持し、トナー層からトナーを飛翔させて感光体ドラム1a上の静電潜像を現像する。
【0042】
現像ローラ27の表面は、均一な導電性のアルミニウム、SUS、導電樹脂被覆などからなるスリーブで構成される。現像ローラ27のシャフト部には、図4に示すように、直流電源47aと交流電源47bとからなる第2電源(電圧印加手段)47が接続されており、これにより現像ローラ27に直流及び交流成分から成る第1現像バイアス(現像バイアス)が印加される。
【0043】
磁気ローラ29は、非磁性金属材料で回転可能な円筒状に形成され、内部に複数の固定磁石が配設されている。かかる磁石によって磁気ローラ29表面に現像剤に含まれるキャリアによる磁気ブラシを発生させ、磁気ブラシの層厚が穂切りブレード(図示せず)により規制されるようになっている。磁気ローラ29のシャフト部には、図4に示すように、直流電源49aと交流電源49bとからなる第3電源(電圧印加手段)49が接続されている。これにより磁気ローラ29に直流及び交流成分から成る第2現像バイアス(現像バイアス)が印加される。
【0044】
また、第3電源49は、第2電源47と共通のグランドに電気的接続されており、磁気ローラ29に対して第1現像バイアスにさらに重畳して、第2現像バイアスを印加することができる。これにより、現像ローラ27と磁気ローラ29との間に形成されるバイアスの合成波形が第3電源49の第2現像バイアスによる影響を受けることがなく、第1及び第2現像バイアスを独自に設定することが可能となるため、現像性を向上させることができる。
【0045】
しかし、現像ローラ27及び磁気ローラ29に対する第1及び第2現像バイアスの印加方法は特に限定されるものではなく、第2及び第3電源47、49を別個のグランドに電気的接続することもできる。
【0046】
そして、図2に示すように、現像装置3a内の攪拌搬送スクリュー25によってトナーコンテナ(図示せず)から供給される現像剤が攪拌されつつ現像装置3a内を循環し、トナーとキャリアとの摩擦によりトナーを帯電させ、攪拌搬送スクリュー25によって現像剤が磁気ローラ29に搬送される。
【0047】
かかる現像剤により磁気ローラ29上に磁気ブラシが形成され、この磁気ブラシは穂切りブレード(図示せず)によって層厚規制され、一定の層厚で現像ローラ27に接触又は近接し、第1及び第2現像バイアスによって磁気ローラ29と現像ローラ27との間に形成される電位差により現像ローラ27にトナー層(トナー薄層)が形成される。
【0048】
現像ローラ27上のトナーは、第1現像バイアスによって現像ローラ27と感光体ドラム1aとの間に形成される電位差により、感光体ドラム1aに飛翔し、ドラム表面に形成された静電潜像に担持され、トナー像が形成される。現像ローラ27上に残った現像残トナーは、磁気ローラ29上の磁気ブラシによって回収される。また、現像ローラ27と磁気ローラ29との電位差によっても回収される。回収されたトナーは攪拌搬送スクリュー25で撹拌・搬送されて、トナーの入れ替えが促進される。
【0049】
本発明に用いられるトナーとしては、トナー粒子表面に研磨剤としてシリカ、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、アルミナ等が埋め込まれて表面に一部突出するように保持されたものや、研磨剤がトナー表面に静電的に付着しているものが用いられる。キャリアとしては、マグネタイトキャリア、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Cu−Zn系、樹脂中に磁性体を分散した樹脂キャリアなどを用いることができ、適正な抵抗値を上げない範囲で表面処理して用いることも可能である。
【0050】
図2に示すように、クリーニング装置5aは、摺擦ローラ30、クリーニングブレード31、及び回収スクリュー33を有している。摺擦ローラ30及びクリーニングブレード31によって感光体ドラム1a表面から転写後の残留トナーを除去し、除去された残留トナーは、回収スクリュー33の回転に伴ってクリーニング装置5aの外部に排出される。
【0051】
上記の通り、帯電ローラ21には第1電源45から帯電バイアスが、現像ローラ27及び磁気ローラ29には第2及び第3電源47、49から第1及び第2現像バイアスが印加されている。しかし、帯電バイアスと第1及び第2現像バイアスとが近距離で同時に印加されると、高圧電源基板(図示せず)上の配線、帯電装置2aや現像装置3a自体の電磁誘導等により、帯電バイアスに第1及び第2現像バイアスの交流成分が誘起されるおそれがある。
【0052】
このように帯電バイアスに第1及び第2現像バイアスが干渉すると、画像に筋となって現れ、画像品質の低下を招くことになる。そこで、以下に示すように帯電装置2aのケーシング41の周囲にシールド部材43を設けることとした。
【0053】
図2及び図3に示すように、帯電装置2aは、帯電ローラ21及び帯電クリーニングローラ23の周囲に、帯電ローラ21と感光体ドラム1aとの対向部分N(図2参照)において開口する断面コ字状のケーシング41を有している。
【0054】
図5は、帯電装置の斜視図であり、図6は、ケーシングの斜視図であり、図7は、シールド部材の斜視図であり、図8は、ケーシングに対するシールド部材の組立動作を示す図である。図5、図6及び図8では、便宜上、帯電ローラ21及び帯電クリーニングローラ23を省略して示す。
【0055】
図5及び図6に示すように、ケーシング41のコ字状の現像装置3a側の第1先端部41aは、帯電ローラ21側に傾斜している(図2参照)。また、ケーシング41は、例えば樹脂等の絶縁材料から形成されており、絶縁性を有している。また、図5に示すように、ケーシング41の周囲には、該ケーシング41を包囲する金属製のシールド部材43が設けられている。シールド部材43は、例えばSUS等から形成することができる。
【0056】
図5及び図7に示すように、シールド部材43は、ケーシング41の外周面に沿ってコ字状に形成されており、且つケーシング41の外周面に密着するように配置されている。また、シールド部材43のコ字状の現像装置3a(図2参照)側の第2先端部43aは、ケーシング41の第1先端部41aに沿って帯電ローラ21側に傾斜するよう形成されている。
【0057】
また、シールド部材43の長手方向装置本体前面側(図5、図7の左側)端部は、外側に延出されると共に長手方向とは垂直方向に沿ってU字上に折り曲げられており、これにより板バネ状の接地部43bが形成されている。接地部43bは、図示しない装置本体の金属製の当接部と当接してグランドに電気的に接続されるようになっている。そして、図8に示すように、ケーシング41の下方から、ケーシング41に対してシールド部材43を嵌め込むことにより、ケーシング41の外周面にシールド部材43を密着させて、これらを組み立てることができる。
【0058】
そして、帯電ローラ21には、第1電源45の直流電源45a及び交流電源45bから、直流成分としてVdc1:500V、交流成分としてVpp1:1.2kV、周波数:2kHzを印加した。現像ローラ27には、第2電源47の直流電源47a及び交流電源47bから、直流成分としてVdc2:70V、交流成分としてVpp2:1.5kV、周波数:4.7kHzを印加した。
【0059】
磁気ローラ29には、第3電源49の直流電源49a及び交流電源49bから、直流成分としてVdc3:370V、交流成分としてVpp3:2.3kV、周波数:4.7kHzを印加した。このように、帯電ローラ21に印加する帯電バイアスのVpp1と、現像ローラ27に印加する第1現像バイアスVpp2との差を、0.3kVとした。また、帯電ローラ21に印加する帯電バイアスのVpp1と、磁気ローラ29に印加する第2現像バイアスVpp3との差を、1.1kVとした。
【0060】
本実施形態では、Vpp1とVpp3との差の方が、Vpp1とVpp2との差よりも大きいため、磁気ローラ29に印加した第2現像バイアスの方が、現像ローラ27に印加した第1現像バイアスよりも帯電バイアスに大きな影響を及ぼすおそれがある。しかし、かかるバイアス設定で画像形成を行っても筋や画像ムラ等の画像不良は生じなかった。
【0061】
すなわち、本実施形態では、帯電バイアスと現像バイアスとのVppの差が1.1kVと大きな場合であっても、現像バイアスの帯電バイアスに対する干渉を抑制することができ、筋や画像ムラ等の画像不良を十分に抑制することが可能であった。また、現像不良による画像不良も生じなかった。
【0062】
上記の通り、シールド部材43によってケーシング41の周囲を包囲すると共にシールド部材43をケーシング41の外周面に密着したため、これらを一体として着脱することができる。これにより、帯電装置2aの着脱性及びメンテナンス性に優れると共に、帯電装置2aの小型化を図ることができる。
【0063】
また、シールド部材43によってケーシング41の周囲を包囲することにより、現像装置3aの現像ローラ27及び磁気ローラ29に印加した第1及び第2現像バイアスを、帯電バイアスが印加される帯電ローラ21と感光体ドラム1aとの対向部分N(図2参照)周辺に対して遮蔽することができる。
【0064】
加えて、シールド部材43をケーシング41の外周面に密着させることにより、シールド部材43を対向部分Nに近づけることができる。これにより、対向部分Nの周辺、すなわち帯電バイアスの周辺において、シールド部材43によって囲まれない空間部分を小さくすることができる。
【0065】
従って、第1及び第2現像バイアスがシールド部材41を越えて帯電バイアスに廻り込み、かかる廻り込み電界の交流成分が帯電バイアスに誘起されることを抑制することができる。これにより、第1及び第2現像バイアスが帯電バイアスに干渉し、影響を及ぼすことを抑制することができるため、感光体ドラム1aの帯電を安定にすることができる。
【0066】
また、本実施形態では、シールド部材43を、帯電ローラ21と感光体ドラム1aとの対向部分Nにおいて開口する断面コ字状とし、コ字状の第2先端部43aを帯電ローラ21側に傾斜させたため、帯電バイアス周辺においてシールド部材43によって囲まれない部分をより小さくすることができる。これにより、第1及び第2現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。
【0067】
なお、シールド部材43のコ字状のクリーニング装置5a側(図2参照)の先端部を帯電ローラ21側に傾斜させることもできる。これにより、隣接する現像装置3b(図1参照)からの現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響を、より抑制することができる。また、これら両先端部を帯電ローラ21側に傾斜させることもできる。また、これら両端部を傾斜させない構成とすることもできる。
【0068】
また、ここでは、ケーシング41のコ字状の第1先端部41aも帯電ローラ21側に傾斜させたが、シールド部材43の第2先端部43aのみを帯電ローラ21側に傾斜させることもできる。かかる場合、例えばケーシング41の第1先端部41aを傾斜させることなくシールド部材43の第2先端部43aよりも短く形成し、第1先端部41aよりも感光体ドラム1a側に突出した第2先端部43aのみを傾斜させることができる。
【0069】
また、本実施形態では、シールド部材43に板バネ状の接地部43bを形成したため、より確実に接地することができ、第1及び第2現像バイアスからの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。しかし、シールド部材43を接地可能であれば、その接地方法は特に限定されるものではない。また、接地部43bは、シールド部材43と一体に形成しても、別途形成した後シールド部材に取り付けても良い。
【0070】
また、本実施形態では、帯電装置2aと、該帯電装置2aにより帯電される感光体ドラム1aと、帯電装置2aにより一様に帯電された感光体ドラム1a上に光照射して静電潜像を形成する露光ユニット4と、交流成分を含む第1及び第2現像バイアスを印加して静電潜像を現像する現像装置3aと、を備えた画像形成装置100としたため、帯電ムラの抑制された画像形成を行うことができる。
【0071】
また、本実施形態では、現像装置3aが、像担持体に非接触で対向配置される現像ローラ27と、現像ローラ27上に磁気ブラシを用いてトナー薄層を形成する磁気ローラ29と、現像ローラ27及び磁気ローラ29に直流及び交流成分から成る第1及び第2現像バイアスを印加する第2及び第3電源47、49と、を有することとしたため、第1現像バイアス及び第2現像バイアスの両現像バイアスの影響を受け易い状態であっても帯電を安定させることができる。
【0072】
しかし、現像装置3aの現像方法は、本実施形態に特に限定されるものではなく、磁気ローラ29を用いることなく、現像ローラ27のみを用いて現像を行うことできる。かかる場合、例えば磁性材料から形成したスリーブを有する現像ローラ27を用い、現像ローラ27上に磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシから感光体ドラム1aにトナーを飛翔させて現像を行うこと等ができる。
【0073】
なお、ここでは画像形成ユニットPaに配置された感光体ドラム1a、帯電装置2a及び現像装置3aについて説明したが、画像形成ユニットPb〜Pdに配置された帯電装置2b〜2d及び現像装置3b〜3dについても基本的に同様の構成であり同様の作用効果を生じる。
【0074】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では、中間転写ベルト8のクリーニング手段としてベルトクリーニングローラ19aを備えたベルトクリーニング装置19を配置しているが、例えばベルトクリーニングローラ19aに代えてベルトクリーニングブレードを備えたベルトクリーニング装置19を配置することもできる。
【0075】
また、本実施形態では帯電クリーニングローラ23を用いたが、かかる帯電クリーニングローラ23は本発明の必須構成要素ではなく、これを用いない構成とすることもできる。また、本実施形態では、帯電装置として、帯電ローラ21を有する接触式の帯電装置2aを用いたが、その他、非接触式のスコロトロン帯電装置やコロトロン帯電装置を用いることもできる。
【0076】
また本発明は、デジタル複合機やタンデム式のカラー複写機、アナログ方式のモノクロ複写機等の複写機、或いはファクシミリやレーザプリンタ等、帯電装置を用いて感光体表面を帯電させる種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、像担持体に接触または非接触で配置される帯電部材と、該帯電部材を囲む絶縁性のケーシングとを有し、前記帯電部材に帯電バイアスを印加することにより像担持体表面を帯電させる帯電装置において、前記ケーシングを包囲する金属製のシールド部材を、前記ケーシングの外周面に密着するように配置したものである。
【0078】
これにより、帯電装置の着脱性及びメンテナンス性に優れると共に小型化を図ることができ、現像バイアスが帯電バイアスへと廻り込むことによって及ぼす帯電バイアスへの影響を抑制して像担持体の帯電を安定にすることができる。
【0079】
また、シールド部材を、帯電部材と像担持体との対向部分において開口する断面コ字状とし、コ字状の先端部の少なくとも一方が帯電部材側に傾斜していることにより、現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。また、シールド部材の長手方向の一端を折り曲げて板バネ状の接地部を形成することにより、より確実に接地することができ、現像バイアスの廻り込み電界が帯電バイアスに及ぼす影響をより抑制することができる。
【0080】
また、上記構成の帯電装置と、該帯電装置により帯電される像担持体と、帯電装置により一様に帯電された前記像担持上に光照射して静電潜像を形成する露光装置と、交流成分を含む現像バイアスを印加して静電潜像を現像する現像装置と、を備えた画像形成装置とすることにより、帯電ムラの抑制された画像形成を行うことができる。
【0081】
また、現像装置が、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー薄層を形成するトナー供給部材と、該トナー供給部材及びトナー担持体に直流及び交流バイアスを印加する電圧印加手段と、を有することにより、帯電バイアスが現像バイアスの影響を受け易い状態であっても像担持体の帯電を安定させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
2a〜2d 帯電装置
3a〜3d 現像装置
4 露光ユニット(露光装置)
5a〜5d クリーニング装置
21 帯電ローラ(帯電部材)
23 帯電クリーニングローラ
25 攪拌搬送スクリュー
27 現像ローラ(トナー担持体)
29 磁気ローラ(トナー供給部材)
41 ケーシング
41a 第1先端部
43 シールド部材
43a 第2先端部(先端部)
43b 接地部
45 第1電源
47 第2電源(電圧印加手段)
49 第3電源(電圧印加手段)
100 画像形成装置
Pa〜Pd 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に接触または非接触で配置される帯電部材と、該帯電部材を囲む絶縁性のケーシングとを有し、前記帯電部材に帯電バイアスを印加することにより像担持体表面を帯電させる帯電装置において、
前記ケーシングを包囲する金属製のシールド部材を、前記ケーシングの外周面に密着するように配置したことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記シールド部材は、前記帯電部材と前記像担持体との対向部分において開口する断面コ字状であり、コ字状の先端部の少なくとも一方が帯電部材側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の帯電装置。
【請求項3】
前記シールド部材の長手方向の一端を折り曲げて板バネ状の接地部を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の帯電装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の帯電装置と、
該帯電装置により帯電される像担持体と、
前記帯電装置により一様に帯電された前記像担持上に光照射して静電潜像を形成する露光装置と、
交流成分を含む現像バイアスを印加して静電潜像を現像する現像装置と、
を備えた画像形成装置。
【請求項5】
前記現像装置は、像担持体に非接触で対向配置されるトナー担持体と、該トナー担持体上に磁気ブラシを用いてトナー薄層を形成するトナー供給部材と、該トナー供給部材及び前記トナー担持体に直流及び交流バイアスを印加する電圧印加手段と、を有することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−164866(P2010−164866A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8389(P2009−8389)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】